巻上げ装置
本発明は、駆動ユニット（２）と、連結対象を連結可能な駆動フランジ（４）を有して駆動ユニット（２）によって駆動され得る駆動シャフト（３）と、駆動フランジ（４）に対して継手部を介して連結され得るケーブルドラム（５）とを備え、継手部は、トルクを伝達すべく駆動フランジ（４）の凹部（１１）に掛入し且つケーブルドラム（５）の開口部（１２）に掛入する少なくとも一つの継手要素（１０）を含む、巻上げ装置に関する。モータとギアボックスを含む駆動ユニットを有する巻上げ装置に対し、簡素で省スペース化を図り得る装置構造において簡単な組立て作業を可能ならしめる継手部を具備すべく、本発明では、継手要素（１０）は、組付け位置から機能位置まで径方向に変位させて固定させることが可能であり、機能位置にある継手要素（１０）は、駆動フランジ（４）およびケーブルドラム（５）の間を動力伝達可能に連結している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は次のような巻上げ装置に関する。駆動ユニットと、連結対象を連結可能な駆動フランジを有して駆動ユニットによって駆動され得る駆動シャフトと、継手部を介して駆動フランジに連結されたケーブルドラムとを備え、継手部は少なくとも一つの継手要素を有し、この継手要素は、トルクを伝達すべく、駆動フランジに設けられた凹部に掛入し且つケーブルドラムに設けられた開口部に掛入する、巻上げ装置である。
【背景技術】
【０００２】
ケーブル牽引機として構成された巻上げ装置は、回転可能な態様でフレームに取り付けられた略筒状のケーブルドラムを備える。ケーブルドラムは、伝動モータの助力によって駆動されるところ、伝動機構における出力シャフトが、ケーブルドラムに対し、これに固定されて回転し得る態様で連結されている。いわゆる”３点支持用ベアリング”（駆動構造における歪みを誘発し得る）が一般的に備え付けられているケーブルドラムについての製造誤差、心合わせの誤差、および変形を補償するため、これら心合わせ誤差等に対処するための継手を出力シャフトとケーブルドラムの間に設けることが知られている。
【０００３】
下記の特許文献１には、持上げユニットにおいて駆動される伝動シャフトのモーメントをケーブルドラムに伝達するための継手が開示されている。この継手は、継手ハブおよび継手ハウジングを有する。継手ハブは、伝動シャフトの一端部に取り付けられている。継手ハウジングは、継手ハブに取り付けられ、且つ、ケーブルドラム内の内側カバーおよびケーブルドラム外の外側カバーを有してこれらによって閉塞されている。継手ハブおよび継手ハウジングを有する継手には、継手ハブ側に形成された凹部とこれに対向する位置にて継手ハウジング側に形成された凹部とからなる筒状の穴部が複数設けられており、各穴部には、継手ハブから継手ハウジングへの動力伝達のためのバレルローラが、いわゆるポジティブロックの様式で設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】独国実用新案第２９８１６６７５号明細書
【発明の概要】
【０００５】
このような技術的背景において、本発明は、モータや伝動機構を有する駆動ユニットを備えるのに加えて、簡素で省スペース化を図り得る構造において簡単な組立て作業を可能ならしめる継手部を備える、巻上げ装置を提供することを、目的とする。この目的は、駆動ユニット（モータと伝動機構を含む）と請求項１に記載の特徴とを有する巻上げ装置によって達成される。また、本発明の好ましい形態は、従属請求項２から９に記述されている。
【０００６】
本発明によると、駆動ユニットと、連結対象を連結可能な駆動フランジを有して駆動ユニットによって駆動され得る駆動シャフトと、駆動フランジに対して継手部を介して連結され得るケーブルドラムとを備え、継手部は、トルクを伝達すべく駆動フランジの凹部に掛入し且つケーブルドラムの開口部に掛入する少なくとも一つの継手要素を含む、巻上げ装置において、継手要素が組付け位置から径方向に変位可能であって機能位置にて固定可能であり且つ機能位置にある継手要素が駆動フランジとケーブルドラムとの間を動力伝達可能に連結しているという構成をとることにより、簡素で省スペース化を図り得る構造、および、簡単な組立て作業を、実現することができる。継手要素の前記の変位動により、連結されるべき構成部品間におけるいわゆるポジティブロック接続を、特に簡単に実現することができる。前記のような継手部は、特に簡単な方法で組立てられ、且つ、費用効率に優れる。また、継手要素は、装置の組立て作業において、駆動フランジを駆動シャフトに接続してから駆動フランジに対してケーブルドラムを押し嵌めることを可能ならしめ、且つ、当該ケーブルドラムをその状態において継手要素と接続させることを可能ならしめる。駆動フランジに対してケーブルドラムを押し嵌めた状態において、継手要素には、外部から径方向に特に簡単に届き得る。そのため、装置の組立て作業を簡単かつ費用効率よく実行することができる。また、ケーブルドラムに対する継手要素の接続状態を解除することにより、ケーブルドラムを取り外すことも容易に可能である。
【０００７】
組付け位置（即ち、継手要素が、装置の組立て作業において駆動フランジに対して組み付けられて最初にとる位置）にある継手要素は、その全体が完全に駆動フランジの凹部内に収まるという構成により、コンパクトな構造も実現される。
【０００８】
機能位置（即ち、継手要素がケーブルドラムと接続するという一機能を果たす位置）にある継手要素は、ケーブルドラムに係留されて駆動フランジの凹部にて保持されるという構成により、継手要素の拘束的固定が、そして特に安全な装置稼働状態が、もたらされる。このとき、継手要素が機能位置にある状態にて、継手要素の肩部が、ケーブルドラムの内表面に対向して当接する。これらのことは、通常は作業者の頭上に設置される巻上げ装置にとって、災害防止を図るうえで特に重要である。
【０００９】
構造上特に簡素な一の実施形態においては、継手要素は、ドラム側の外方駆動カムと、これに隣接するフランジ側の内方駆動カムとを有し、外方駆動カムは、内方駆動カムの外径より小さい外径を有し、また、継手要素は、外方駆動カムと内方駆動カムとの間の遷移領域において肩部を有する。
【００１０】
継手要素が、径方向に配向する中央孔を有するスリーブとして形成されて、当該スリーブの位置調節のためのネジを当該中央孔にねじ入れることが可能に構成される場合、当該継手要素については、特に適切な態様で、組付け位置から径方向外方に機能位置へと変位させることが可能となる。本装置では継手部ないし継手要素に対して外部から容易にアクセス可能であるところ、径方向の当該位置調節は、外部から簡単になし得る。ネジの代わりに、他の固定用部品を使用することも可能である。
【００１１】
機能位置への継手要素の固定は、継手要素が機能位置にある状態おいて前記ネジがその先端部にて凹部（有底穴として形成されている）の基底部に当接して支持されるという構成により、簡易に実現される。
【００１２】
継手部の据付けサイズは、継手要素が機能位置にある状態おいてネジのヘッド部がケーブルドラムの表面から僅かだけ（好ましくは、ヘッド部が、ケーブルガイドを越えない程度に、或は、ケーブルドラムの壁部の厚さ分の長さを超えない程度に）突き出るという構成により、小型化される。
【００１３】
均質的で好ましいトルク伝達は、複数（好ましくは三つ）の継手要素が駆動フランジの周方向に並んで離隔して設けられるという構成により、達成される。好ましくは三つの継手要素が設けられるところ、このような構成によると、信頼性の高いトルク伝達を実現しつつ部品点数およびコストを抑制ないし最小化することが可能である。
【００１４】
本発明について、以下では添付の図面を参照してより詳細に説明する（添付の図面には、本発明による巻上げ装置の典型的な実施形態を単なる一例として示す）。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】図１は、巻上げ装置の概略構造の縦断面図である。
【図２】図２は、本発明による巻上げ装置の継手部領域の断面図である。
【図３】図３は、駆動フランジを伴うケーブルドラムの部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
図１は、ケーブル牽引機として構成された巻上げ装置１の構造を模式的に表す。巻上げ装置１は、基本的には駆動ユニット２と、駆動シャフト３と、ケーブルドラム５とを備える。駆動ユニット２は、モータおよび伝動機構を含む。駆動シャフト３は、駆動ユニット２によって駆動され、且つ、連結対象を連結可能な駆動フランジ４を有する。ケーブルドラム５は、駆動フランジ４に対し、これに固定されて回転し得る態様で連結されている。ケーブル６が、ケーブルドラム５に巻上げられ、或はケーブルドラム５から繰り出されるところ、ケーブル６も図示しておく。本実施形態では、ディスク形状の駆動フランジ４は、ケーブルドラム５の図中側端部の内径より小さい外径を有し、且つ、ケーブルドラム５の図中側端部に対し挿入されて面一状とされる。
【００１７】
図１に示されるように、ケーブルドラム５に対しては、いわゆる”３点支持用ベアリング”が備え付けられており、当該ケーブルドラム５は、駆動シャフト３側ではベアリング７ａ，７ｂを介して支持され、且つ、ケーブルドラム５に対して駆動シャフト３とは反対の側に設けられたドラムピン９の側ではベアリング８を介して支持されることとなる。或は、ケーブルドラム５の内表面に外環側が対向するベアリングを介してケーブルドラム５を直接的に支持することも可能である。
【００１８】
製造誤差、組立て誤差、および、負荷の下での変形の結果、これら三つのベアリング７ａ，７ｂ，８は、実際には常時厳密に一列に並んでいるわけではなく、このことに起因して、組み付けられる各構成部品、すなわち、駆動シャフト３、および／またはケーブルドラム５の駆動フランジ４においては、拘束応力が生じてしまう。これら望まれない応力は、ケーブル牽引力Ｓとして作用するいわゆる積載量に加えて生じ且つ正確には算出しきれないものであるところ、このような応力を回避するために、本装置では、駆動シャフト３のトルクをケーブルドラム５に伝える継手部が、図２に示されるように、角度や長さを補償するための態様で設けられている。
【００１９】
図２は、本発明による巻上げ装置１の継手部領域の断面図である。継手部は、駆動フランジ４とケーブルドラム５の間に設けられ、その一方で、駆動フランジ４は、駆動シャフト３に対し、これに固定されて回転し得る態様で連結されている。もちろん、駆動シャフト３と駆動フランジ４の間に継手部を配設することも可能である。この場合、駆動フランジ４は、ケーブルドラム５に対し、これに固定されて回転し得る態様で連結される必要がある。継手部に関する第３の形態として、駆動シャフト３から駆動フランジ４へのトルク伝達を継手部に担わせ、且つ、駆動フランジ４からケーブルドラム５へのトルク伝達を継手部に担わせるように、継手部を配設することも可能である。
【００２０】
図２に示すように、継手部は、少なくとも一つの、駆動フランジ４に設けられた凹部１１に配された継手要素１０からなる。図２では、選択された所定の角度で切り取った断面において、二つの継手要素１０が示されている。図中上位の継手要素１０は、係留位置（ないし機能位置）にあり、連結される駆動フランジ４とケーブルドラム５との当該連結状態を確実にロックするためのポジティブロックの態様で設けられている。これに対し、図中下位の継手要素１０は、休止位置（ないし組付け位置）にあり、その全体が完全に駆動フランジ４の凹部１１内に収まっており、その結果、駆動フランジ４とケーブルドラム５とを連結していない。
【００２１】
各継手要素１０は、スリーブ形状を有し、且つ、両端に駆動カム１０ａ，１０ｂを有する。駆動カム１０ａは、図３に表れているように径方向外方を向き、駆動カム１０ｂは径方向内方を向く。また、駆動カム１０ａ，１０ｂは、トルクを伝達すべく、それぞれが対応するケーブルドラム５の開口部１２および駆動フランジ４の凹部に係入する部位である。
【００２２】
駆動フランジ４とケーブルドラム５の間を伝達されるトルクによる相当程度の剪断応力が継手要素１０に作用することから、本実施形態では、継手要素１０は鉄鋼製とされる。
【００２３】
図２は、また、継手要素１０が、スリーブ様に形成されて、実質的に外方駆動カム１０ａと、内方駆動カム１０ｂと、これら外方駆動カム１０ａおよび内方駆動カム１０ｂを含む継手要素１０の全長にわたって延びる中央孔１０ｃとからなることも、示している。外方駆動カム１０ａおよび内方駆動カム１０ｂは共に環状であり、外方駆動カム１０ａの外径ａは、内方駆動カム１０ｂの外径Ａより小さい。その結果として、継手要素１０は、外方駆動カム１０ａと内方駆動カム１０ｂとの間の遷移領域においてリング状平面の肩部１０ｄを有する段状の外形を伴うこととなる。中央孔１０ｃは、ネジ１３に対応する雌ネジを、例えば径方向内方側の部分領域に有する。ネジ１３は、そのヘッド部１３ａにて、外方駆動カム１０ａの外方環状ベアリング面１０ｅに当接して支持され得る。係留状態では、このベアリング面１０ｅは、ケーブルドラム５の外表面の領域内に位置し、当該外表面から僅かにだけ突出している。ネジ１３のヘッド部１３ａは、ケーブルドラム５の厚さと比較して大きくは突出しておらず、どんなに突出しても、ケーブルドラム５に取り付けられた環状のケーブルガイド１５を越えない。
【００２４】
図２に示される図中上位の継手要素１０は、凹部１１内での一の停止位置まで押し出されて、機能位置にある。これに対し、継手要素１０の組付け直後の位置では、初めはネジ１３は中央孔１０ｃ（雌ネジが設けられている）内に位置しておらず、継手要素１０は、径方向内方側に位置して、有底穴として形成された筒状の凹部１１の基底部１１ａに当接する位置にある（凹部１１の内径は、継手要素１０がその長手方向に変位するのを許容する一方でトルク伝達を確実なものとするべく、継手要素１０よりも僅かだけ大きいものとされている）。この嵌め合いの手法としては、好ましくは中間嵌めを採用する。継手要素１０の長さｌは凹部１１についての長さＬより小さいか或は長さＬに等しく、継手要素１０がその組付け位置にある状態では、外方駆動カム１０ａは、凹部１１から突出せず、従って駆動フランジ４の外周端から突出しない。したがって、巻上げ装置１の組立て作業の過程においては、継手要素１０がその組付け位置にある状態で、駆動フランジ４に対してケーブルドラム５を押し嵌めることが可能である。本実施形態では、ケーブルドラム５の開口部１２は、継手要素１０の外方駆動カム１０ａに対応した位置にあり、駆動フランジ４へのケーブルドラム５の組付けの後には、ネジ１３を、その先端部１３ｂが凹部１１の基底部１１ａに当接するまで中央孔１０ｃ内にねじ入れることが可能である。ネジ１３を更に締め付けることにより、ネジ１３の先端部１３ｂが基底部１１ａで支持されることが確実とされ、そして、外方駆動カム１０ａを伴う継手要素１０が、その肩部１０ｄがケーブルドラム５の内表面５ａに対向して当接する位置まで、駆動フランジ４から径方向外方に動いてケーブルドラム５の開口部１２に入り込む。また、ネジ１３を締め付けるときに継手要素１０を固定しておくためには、使用する道具に対応したアタッチメント部品が外方駆動カム１０ａに設けられる。使用する道具に対応するアタッチメント部品は、市場で入手可能なタイプ（例えば六角フラット部品）である。継手要素１０が機能位置にある状態では、アタッチメント部品はケーブルドラム５から突き出ている。したがって、トルクは、駆動フランジ４から継手要素１０を介してケーブルドラム５へと直接的に伝達される。すなわち、ネジ１３は、継手要素１０をその機能位置にのみ固定して、トルク伝達の力の流動経路を阻むようには設けられていないのである。以上のような構成によって機能位置に留め置かれた継手要素１０に作用する諸々の力が継手要素１０をその機能位置に保持することは、実証されている。
【００２５】
ケーブルドラム５と駆動フランジ４との間の縦方向のオフセットを補償するために、図示の実施形態では、外方駆動カム１０ａを受け入れるための開口部１２は、外方駆動カム１０ａの外周よりも大きな径で形成される。すなわち、開口部１２は、ケーブルドラム５の軸方向においても周方向においても、受け入れ対象の外方駆動カム１０ａよりも大きく形成されているのである。このような構成を理由に生じるギャップ１４を図２に明示するところ、ギャップ１４は、約０.２〜１.００ｍｍの範囲にあり、好ましくは０.８ｍｍである。
【００２６】
図２には、ケーブルドラム５の長軸と、駆動フランジ４および／または駆動シャフト３の長軸と、の間における角度オフセットがどのように補償され得るかも、示されている。
この種の補償のために、駆動フランジ４の所定箇所、または、ケーブルドラム５の内表面における所定箇所には、カーブが付けられている。
【００２７】
以上のような構成の、構成部品間の連結構造は、次のような事実によって特徴付けられる。連結構造が簡単な方法で組み立てられ且つ連結構造の据付けサイズが小さいということは、装置の製造誤差や組立て誤差等を信頼性高く補償するのに好適である、という事実である。また、大きなトルクが効率よく伝達されるという事実によっても、特徴付けられる。
【００２８】
図３は、駆動フランジ４を伴うケーブルドラム５の部分断面正面図である。図３には、三つの開口部１２、三つの凹部１１、および三つの継手要素１０が、周方向に等間隔に位置するように設けられていることが明示されている。このような構成によると、充分なレベルの安定性が得られる。
【符号の説明】
【００２９】
１ 巻上げ装置
２ 駆動ユニット
３ 駆動シャフト
４ 駆動フランジ
４ａ ベアリング面
５ ケーブルドラム
６ ケーブル
７ａ ベアリング
７ｂ ベアリング
８ ベアリング
９ ドラムピン
１０ 継手要素
１０ａ 外方駆動カム
１０ｂ 内方駆動カム
１０ｃ 孔
１０ｄ 肩部
１０ｅ ベアリング面
１１ 凹部
１１ａ 基底部
１２ 穴部
１３ ネジ
１３ａ ヘッド部
１３ｂ 先端部
１４ ギャップ
１５ ケーブルガイド
ａ 外径
ｌ 長さ
Ａ 外径
Ｌ 長さ
Ｓ ケーブル牽引力
【技術分野】
【０００１】
本発明は次のような巻上げ装置に関する。駆動ユニットと、連結対象を連結可能な駆動フランジを有して駆動ユニットによって駆動され得る駆動シャフトと、継手部を介して駆動フランジに連結されたケーブルドラムとを備え、継手部は少なくとも一つの継手要素を有し、この継手要素は、トルクを伝達すべく、駆動フランジに設けられた凹部に掛入し且つケーブルドラムに設けられた開口部に掛入する、巻上げ装置である。
【背景技術】
【０００２】
ケーブル牽引機として構成された巻上げ装置は、回転可能な態様でフレームに取り付けられた略筒状のケーブルドラムを備える。ケーブルドラムは、伝動モータの助力によって駆動されるところ、伝動機構における出力シャフトが、ケーブルドラムに対し、これに固定されて回転し得る態様で連結されている。いわゆる”３点支持用ベアリング”（駆動構造における歪みを誘発し得る）が一般的に備え付けられているケーブルドラムについての製造誤差、心合わせの誤差、および変形を補償するため、これら心合わせ誤差等に対処するための継手を出力シャフトとケーブルドラムの間に設けることが知られている。
【０００３】
下記の特許文献１には、持上げユニットにおいて駆動される伝動シャフトのモーメントをケーブルドラムに伝達するための継手が開示されている。この継手は、継手ハブおよび継手ハウジングを有する。継手ハブは、伝動シャフトの一端部に取り付けられている。継手ハウジングは、継手ハブに取り付けられ、且つ、ケーブルドラム内の内側カバーおよびケーブルドラム外の外側カバーを有してこれらによって閉塞されている。継手ハブおよび継手ハウジングを有する継手には、継手ハブ側に形成された凹部とこれに対向する位置にて継手ハウジング側に形成された凹部とからなる筒状の穴部が複数設けられており、各穴部には、継手ハブから継手ハウジングへの動力伝達のためのバレルローラが、いわゆるポジティブロックの様式で設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】独国実用新案第２９８１６６７５号明細書
【発明の概要】
【０００５】
このような技術的背景において、本発明は、モータや伝動機構を有する駆動ユニットを備えるのに加えて、簡素で省スペース化を図り得る構造において簡単な組立て作業を可能ならしめる継手部を備える、巻上げ装置を提供することを、目的とする。この目的は、駆動ユニット（モータと伝動機構を含む）と請求項１に記載の特徴とを有する巻上げ装置によって達成される。また、本発明の好ましい形態は、従属請求項２から９に記述されている。
【０００６】
本発明によると、駆動ユニットと、連結対象を連結可能な駆動フランジを有して駆動ユニットによって駆動され得る駆動シャフトと、駆動フランジに対して継手部を介して連結され得るケーブルドラムとを備え、継手部は、トルクを伝達すべく駆動フランジの凹部に掛入し且つケーブルドラムの開口部に掛入する少なくとも一つの継手要素を含む、巻上げ装置において、継手要素が組付け位置から径方向に変位可能であって機能位置にて固定可能であり且つ機能位置にある継手要素が駆動フランジとケーブルドラムとの間を動力伝達可能に連結しているという構成をとることにより、簡素で省スペース化を図り得る構造、および、簡単な組立て作業を、実現することができる。継手要素の前記の変位動により、連結されるべき構成部品間におけるいわゆるポジティブロック接続を、特に簡単に実現することができる。前記のような継手部は、特に簡単な方法で組立てられ、且つ、費用効率に優れる。また、継手要素は、装置の組立て作業において、駆動フランジを駆動シャフトに接続してから駆動フランジに対してケーブルドラムを押し嵌めることを可能ならしめ、且つ、当該ケーブルドラムをその状態において継手要素と接続させることを可能ならしめる。駆動フランジに対してケーブルドラムを押し嵌めた状態において、継手要素には、外部から径方向に特に簡単に届き得る。そのため、装置の組立て作業を簡単かつ費用効率よく実行することができる。また、ケーブルドラムに対する継手要素の接続状態を解除することにより、ケーブルドラムを取り外すことも容易に可能である。
【０００７】
組付け位置（即ち、継手要素が、装置の組立て作業において駆動フランジに対して組み付けられて最初にとる位置）にある継手要素は、その全体が完全に駆動フランジの凹部内に収まるという構成により、コンパクトな構造も実現される。
【０００８】
機能位置（即ち、継手要素がケーブルドラムと接続するという一機能を果たす位置）にある継手要素は、ケーブルドラムに係留されて駆動フランジの凹部にて保持されるという構成により、継手要素の拘束的固定が、そして特に安全な装置稼働状態が、もたらされる。このとき、継手要素が機能位置にある状態にて、継手要素の肩部が、ケーブルドラムの内表面に対向して当接する。これらのことは、通常は作業者の頭上に設置される巻上げ装置にとって、災害防止を図るうえで特に重要である。
【０００９】
構造上特に簡素な一の実施形態においては、継手要素は、ドラム側の外方駆動カムと、これに隣接するフランジ側の内方駆動カムとを有し、外方駆動カムは、内方駆動カムの外径より小さい外径を有し、また、継手要素は、外方駆動カムと内方駆動カムとの間の遷移領域において肩部を有する。
【００１０】
継手要素が、径方向に配向する中央孔を有するスリーブとして形成されて、当該スリーブの位置調節のためのネジを当該中央孔にねじ入れることが可能に構成される場合、当該継手要素については、特に適切な態様で、組付け位置から径方向外方に機能位置へと変位させることが可能となる。本装置では継手部ないし継手要素に対して外部から容易にアクセス可能であるところ、径方向の当該位置調節は、外部から簡単になし得る。ネジの代わりに、他の固定用部品を使用することも可能である。
【００１１】
機能位置への継手要素の固定は、継手要素が機能位置にある状態おいて前記ネジがその先端部にて凹部（有底穴として形成されている）の基底部に当接して支持されるという構成により、簡易に実現される。
【００１２】
継手部の据付けサイズは、継手要素が機能位置にある状態おいてネジのヘッド部がケーブルドラムの表面から僅かだけ（好ましくは、ヘッド部が、ケーブルガイドを越えない程度に、或は、ケーブルドラムの壁部の厚さ分の長さを超えない程度に）突き出るという構成により、小型化される。
【００１３】
均質的で好ましいトルク伝達は、複数（好ましくは三つ）の継手要素が駆動フランジの周方向に並んで離隔して設けられるという構成により、達成される。好ましくは三つの継手要素が設けられるところ、このような構成によると、信頼性の高いトルク伝達を実現しつつ部品点数およびコストを抑制ないし最小化することが可能である。
【００１４】
本発明について、以下では添付の図面を参照してより詳細に説明する（添付の図面には、本発明による巻上げ装置の典型的な実施形態を単なる一例として示す）。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】図１は、巻上げ装置の概略構造の縦断面図である。
【図２】図２は、本発明による巻上げ装置の継手部領域の断面図である。
【図３】図３は、駆動フランジを伴うケーブルドラムの部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
図１は、ケーブル牽引機として構成された巻上げ装置１の構造を模式的に表す。巻上げ装置１は、基本的には駆動ユニット２と、駆動シャフト３と、ケーブルドラム５とを備える。駆動ユニット２は、モータおよび伝動機構を含む。駆動シャフト３は、駆動ユニット２によって駆動され、且つ、連結対象を連結可能な駆動フランジ４を有する。ケーブルドラム５は、駆動フランジ４に対し、これに固定されて回転し得る態様で連結されている。ケーブル６が、ケーブルドラム５に巻上げられ、或はケーブルドラム５から繰り出されるところ、ケーブル６も図示しておく。本実施形態では、ディスク形状の駆動フランジ４は、ケーブルドラム５の図中側端部の内径より小さい外径を有し、且つ、ケーブルドラム５の図中側端部に対し挿入されて面一状とされる。
【００１７】
図１に示されるように、ケーブルドラム５に対しては、いわゆる”３点支持用ベアリング”が備え付けられており、当該ケーブルドラム５は、駆動シャフト３側ではベアリング７ａ，７ｂを介して支持され、且つ、ケーブルドラム５に対して駆動シャフト３とは反対の側に設けられたドラムピン９の側ではベアリング８を介して支持されることとなる。或は、ケーブルドラム５の内表面に外環側が対向するベアリングを介してケーブルドラム５を直接的に支持することも可能である。
【００１８】
製造誤差、組立て誤差、および、負荷の下での変形の結果、これら三つのベアリング７ａ，７ｂ，８は、実際には常時厳密に一列に並んでいるわけではなく、このことに起因して、組み付けられる各構成部品、すなわち、駆動シャフト３、および／またはケーブルドラム５の駆動フランジ４においては、拘束応力が生じてしまう。これら望まれない応力は、ケーブル牽引力Ｓとして作用するいわゆる積載量に加えて生じ且つ正確には算出しきれないものであるところ、このような応力を回避するために、本装置では、駆動シャフト３のトルクをケーブルドラム５に伝える継手部が、図２に示されるように、角度や長さを補償するための態様で設けられている。
【００１９】
図２は、本発明による巻上げ装置１の継手部領域の断面図である。継手部は、駆動フランジ４とケーブルドラム５の間に設けられ、その一方で、駆動フランジ４は、駆動シャフト３に対し、これに固定されて回転し得る態様で連結されている。もちろん、駆動シャフト３と駆動フランジ４の間に継手部を配設することも可能である。この場合、駆動フランジ４は、ケーブルドラム５に対し、これに固定されて回転し得る態様で連結される必要がある。継手部に関する第３の形態として、駆動シャフト３から駆動フランジ４へのトルク伝達を継手部に担わせ、且つ、駆動フランジ４からケーブルドラム５へのトルク伝達を継手部に担わせるように、継手部を配設することも可能である。
【００２０】
図２に示すように、継手部は、少なくとも一つの、駆動フランジ４に設けられた凹部１１に配された継手要素１０からなる。図２では、選択された所定の角度で切り取った断面において、二つの継手要素１０が示されている。図中上位の継手要素１０は、係留位置（ないし機能位置）にあり、連結される駆動フランジ４とケーブルドラム５との当該連結状態を確実にロックするためのポジティブロックの態様で設けられている。これに対し、図中下位の継手要素１０は、休止位置（ないし組付け位置）にあり、その全体が完全に駆動フランジ４の凹部１１内に収まっており、その結果、駆動フランジ４とケーブルドラム５とを連結していない。
【００２１】
各継手要素１０は、スリーブ形状を有し、且つ、両端に駆動カム１０ａ，１０ｂを有する。駆動カム１０ａは、図３に表れているように径方向外方を向き、駆動カム１０ｂは径方向内方を向く。また、駆動カム１０ａ，１０ｂは、トルクを伝達すべく、それぞれが対応するケーブルドラム５の開口部１２および駆動フランジ４の凹部に係入する部位である。
【００２２】
駆動フランジ４とケーブルドラム５の間を伝達されるトルクによる相当程度の剪断応力が継手要素１０に作用することから、本実施形態では、継手要素１０は鉄鋼製とされる。
【００２３】
図２は、また、継手要素１０が、スリーブ様に形成されて、実質的に外方駆動カム１０ａと、内方駆動カム１０ｂと、これら外方駆動カム１０ａおよび内方駆動カム１０ｂを含む継手要素１０の全長にわたって延びる中央孔１０ｃとからなることも、示している。外方駆動カム１０ａおよび内方駆動カム１０ｂは共に環状であり、外方駆動カム１０ａの外径ａは、内方駆動カム１０ｂの外径Ａより小さい。その結果として、継手要素１０は、外方駆動カム１０ａと内方駆動カム１０ｂとの間の遷移領域においてリング状平面の肩部１０ｄを有する段状の外形を伴うこととなる。中央孔１０ｃは、ネジ１３に対応する雌ネジを、例えば径方向内方側の部分領域に有する。ネジ１３は、そのヘッド部１３ａにて、外方駆動カム１０ａの外方環状ベアリング面１０ｅに当接して支持され得る。係留状態では、このベアリング面１０ｅは、ケーブルドラム５の外表面の領域内に位置し、当該外表面から僅かにだけ突出している。ネジ１３のヘッド部１３ａは、ケーブルドラム５の厚さと比較して大きくは突出しておらず、どんなに突出しても、ケーブルドラム５に取り付けられた環状のケーブルガイド１５を越えない。
【００２４】
図２に示される図中上位の継手要素１０は、凹部１１内での一の停止位置まで押し出されて、機能位置にある。これに対し、継手要素１０の組付け直後の位置では、初めはネジ１３は中央孔１０ｃ（雌ネジが設けられている）内に位置しておらず、継手要素１０は、径方向内方側に位置して、有底穴として形成された筒状の凹部１１の基底部１１ａに当接する位置にある（凹部１１の内径は、継手要素１０がその長手方向に変位するのを許容する一方でトルク伝達を確実なものとするべく、継手要素１０よりも僅かだけ大きいものとされている）。この嵌め合いの手法としては、好ましくは中間嵌めを採用する。継手要素１０の長さｌは凹部１１についての長さＬより小さいか或は長さＬに等しく、継手要素１０がその組付け位置にある状態では、外方駆動カム１０ａは、凹部１１から突出せず、従って駆動フランジ４の外周端から突出しない。したがって、巻上げ装置１の組立て作業の過程においては、継手要素１０がその組付け位置にある状態で、駆動フランジ４に対してケーブルドラム５を押し嵌めることが可能である。本実施形態では、ケーブルドラム５の開口部１２は、継手要素１０の外方駆動カム１０ａに対応した位置にあり、駆動フランジ４へのケーブルドラム５の組付けの後には、ネジ１３を、その先端部１３ｂが凹部１１の基底部１１ａに当接するまで中央孔１０ｃ内にねじ入れることが可能である。ネジ１３を更に締め付けることにより、ネジ１３の先端部１３ｂが基底部１１ａで支持されることが確実とされ、そして、外方駆動カム１０ａを伴う継手要素１０が、その肩部１０ｄがケーブルドラム５の内表面５ａに対向して当接する位置まで、駆動フランジ４から径方向外方に動いてケーブルドラム５の開口部１２に入り込む。また、ネジ１３を締め付けるときに継手要素１０を固定しておくためには、使用する道具に対応したアタッチメント部品が外方駆動カム１０ａに設けられる。使用する道具に対応するアタッチメント部品は、市場で入手可能なタイプ（例えば六角フラット部品）である。継手要素１０が機能位置にある状態では、アタッチメント部品はケーブルドラム５から突き出ている。したがって、トルクは、駆動フランジ４から継手要素１０を介してケーブルドラム５へと直接的に伝達される。すなわち、ネジ１３は、継手要素１０をその機能位置にのみ固定して、トルク伝達の力の流動経路を阻むようには設けられていないのである。以上のような構成によって機能位置に留め置かれた継手要素１０に作用する諸々の力が継手要素１０をその機能位置に保持することは、実証されている。
【００２５】
ケーブルドラム５と駆動フランジ４との間の縦方向のオフセットを補償するために、図示の実施形態では、外方駆動カム１０ａを受け入れるための開口部１２は、外方駆動カム１０ａの外周よりも大きな径で形成される。すなわち、開口部１２は、ケーブルドラム５の軸方向においても周方向においても、受け入れ対象の外方駆動カム１０ａよりも大きく形成されているのである。このような構成を理由に生じるギャップ１４を図２に明示するところ、ギャップ１４は、約０.２〜１.００ｍｍの範囲にあり、好ましくは０.８ｍｍである。
【００２６】
図２には、ケーブルドラム５の長軸と、駆動フランジ４および／または駆動シャフト３の長軸と、の間における角度オフセットがどのように補償され得るかも、示されている。
この種の補償のために、駆動フランジ４の所定箇所、または、ケーブルドラム５の内表面における所定箇所には、カーブが付けられている。
【００２７】
以上のような構成の、構成部品間の連結構造は、次のような事実によって特徴付けられる。連結構造が簡単な方法で組み立てられ且つ連結構造の据付けサイズが小さいということは、装置の製造誤差や組立て誤差等を信頼性高く補償するのに好適である、という事実である。また、大きなトルクが効率よく伝達されるという事実によっても、特徴付けられる。
【００２８】
図３は、駆動フランジ４を伴うケーブルドラム５の部分断面正面図である。図３には、三つの開口部１２、三つの凹部１１、および三つの継手要素１０が、周方向に等間隔に位置するように設けられていることが明示されている。このような構成によると、充分なレベルの安定性が得られる。
【符号の説明】
【００２９】
１ 巻上げ装置
２ 駆動ユニット
３ 駆動シャフト
４ 駆動フランジ
４ａ ベアリング面
５ ケーブルドラム
６ ケーブル
７ａ ベアリング
７ｂ ベアリング
８ ベアリング
９ ドラムピン
１０ 継手要素
１０ａ 外方駆動カム
１０ｂ 内方駆動カム
１０ｃ 孔
１０ｄ 肩部
１０ｅ ベアリング面
１１ 凹部
１１ａ 基底部
１２ 穴部
１３ ネジ
１３ａ ヘッド部
１３ｂ 先端部
１４ ギャップ
１５ ケーブルガイド
ａ 外径
ｌ 長さ
Ａ 外径
Ｌ 長さ
Ｓ ケーブル牽引力
【特許請求の範囲】
【請求項１】
駆動ユニット（２）と、連結対象を連結可能な駆動フランジ（４）を有して前記駆動ユニット（２）によって駆動され得る駆動シャフト（３）と、前記駆動フランジ（４）に対して継手部を介して連結され得るケーブルドラム（５）とを備え、
前記継手部は、トルクを伝達すべく前記駆動フランジ（４）の凹部（１１）に掛入し且つケーブルドラム（５）の開口部（１２）に掛入する少なくとも一つの継手要素（１０）を含み、
前記継手要素（１０）は、組付け位置から機能位置まで径方向に変位させて固定させることが可能であり、
前記機能位置にある前記継手要素（１０）は、前記駆動フランジ（４）および前記ケーブルドラム（５）の間を動力伝達可能に連結していることを特徴とする、巻上げ装置。
【請求項２】
前記組付け位置にある前記継手要素（１０）は、その全体が前記凹部（１１）内に収まることを特徴とする、請求項１に記載の巻上げ装置。
【請求項３】
前記機能位置にある前記継手要素（１０）は、前記ケーブルドラム（５）に係留されて前記凹部（１１）にて保持されることを特徴とする、請求項１または２に記載の巻上げ装置。
【請求項４】
前記継手要素（１０）は、外方駆動カム（１０ａ）およびこれに隣接する内方駆動カム（１０ｂ）を有し、前記外方駆動カム（１０ａ）は、前記内方駆動カム（１０ｂ）の外径（Ａ）より小さい外径（ａ）を有し、前記継手要素（１０）は、前記外方駆動カム（１０ａ）と前記内方駆動カム（１０ｂ）との間の遷移領域において肩部（１０ｄ）を有することを特徴とする、請求項１から３のいずれか一つに記載の巻上げ装置。
【請求項５】
前記機能位置において、前記肩部（１０ｅ）は、前記ケーブルドラム（５）の内表面（５ａ）に対向して当接することを特徴とする、請求項４に記載の巻上げ装置。
【請求項６】
前記継手要素（１０）は、径方向に配向する中央の孔（１０ｃ）を有するスリーブとして形成されており、前記孔（１０ｃ）には、ネジ(１３)をねじ入れることが可能であり、当該ネジ（１３）は、前記継手要素（１０）を前記組付け位置から径方向外方に前記機能位置まで動かすために機能することを特徴とする、請求項１から５のいずれか一つに記載の巻上げ装置。
【請求項７】
前記機能位置において、前記ネジ（１３）は、その先端部（１３ｂ）にて、有底穴として形成された前記凹部（１１）の基底部（１１ａ）に支持されることを特徴とする、請求項６に記載の巻上げ装置。
【請求項８】
前記機能位置において、前記ネジ（１３）は、そのヘッド部（１３ａ）が前記ケーブルガイド（１５）を越えない程度に或は前記ケーブルドラム（５）の壁部の厚さ分の長さを超えない程度に、前記ケーブルドラム（５）の外表面から突き出ていることを特徴とする、請求項６または７に記載の巻上げ装置。
【請求項９】
複数（好ましくは三つ）の前記継手要素（１０）が、前記駆動フランジ（４）の周方向に並んで設けられていることを特徴とする、請求項１から８のいずれか一つに記載の巻上げ装置。
【請求項１】
駆動ユニット（２）と、連結対象を連結可能な駆動フランジ（４）を有して前記駆動ユニット（２）によって駆動され得る駆動シャフト（３）と、前記駆動フランジ（４）に対して継手部を介して連結され得るケーブルドラム（５）とを備え、
前記継手部は、トルクを伝達すべく前記駆動フランジ（４）の凹部（１１）に掛入し且つケーブルドラム（５）の開口部（１２）に掛入する少なくとも一つの継手要素（１０）を含み、
前記継手要素（１０）は、組付け位置から機能位置まで径方向に変位させて固定させることが可能であり、
前記機能位置にある前記継手要素（１０）は、前記駆動フランジ（４）および前記ケーブルドラム（５）の間を動力伝達可能に連結していることを特徴とする、巻上げ装置。
【請求項２】
前記組付け位置にある前記継手要素（１０）は、その全体が前記凹部（１１）内に収まることを特徴とする、請求項１に記載の巻上げ装置。
【請求項３】
前記機能位置にある前記継手要素（１０）は、前記ケーブルドラム（５）に係留されて前記凹部（１１）にて保持されることを特徴とする、請求項１または２に記載の巻上げ装置。
【請求項４】
前記継手要素（１０）は、外方駆動カム（１０ａ）およびこれに隣接する内方駆動カム（１０ｂ）を有し、前記外方駆動カム（１０ａ）は、前記内方駆動カム（１０ｂ）の外径（Ａ）より小さい外径（ａ）を有し、前記継手要素（１０）は、前記外方駆動カム（１０ａ）と前記内方駆動カム（１０ｂ）との間の遷移領域において肩部（１０ｄ）を有することを特徴とする、請求項１から３のいずれか一つに記載の巻上げ装置。
【請求項５】
前記機能位置において、前記肩部（１０ｅ）は、前記ケーブルドラム（５）の内表面（５ａ）に対向して当接することを特徴とする、請求項４に記載の巻上げ装置。
【請求項６】
前記継手要素（１０）は、径方向に配向する中央の孔（１０ｃ）を有するスリーブとして形成されており、前記孔（１０ｃ）には、ネジ(１３)をねじ入れることが可能であり、当該ネジ（１３）は、前記継手要素（１０）を前記組付け位置から径方向外方に前記機能位置まで動かすために機能することを特徴とする、請求項１から５のいずれか一つに記載の巻上げ装置。
【請求項７】
前記機能位置において、前記ネジ（１３）は、その先端部（１３ｂ）にて、有底穴として形成された前記凹部（１１）の基底部（１１ａ）に支持されることを特徴とする、請求項６に記載の巻上げ装置。
【請求項８】
前記機能位置において、前記ネジ（１３）は、そのヘッド部（１３ａ）が前記ケーブルガイド（１５）を越えない程度に或は前記ケーブルドラム（５）の壁部の厚さ分の長さを超えない程度に、前記ケーブルドラム（５）の外表面から突き出ていることを特徴とする、請求項６または７に記載の巻上げ装置。
【請求項９】
複数（好ましくは三つ）の前記継手要素（１０）が、前記駆動フランジ（４）の周方向に並んで設けられていることを特徴とする、請求項１から８のいずれか一つに記載の巻上げ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公表番号】特表２０１０−５２２６８１（Ｐ２０１０−５２２６８１Ａ）
【公表日】平成２２年７月８日（２０１０．７．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−５００２１１（Ｐ２０１０−５００２１１）
【出願日】平成２０年３月１８日（２００８．３．１８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＥＰ２００８／０５３１９３
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１１６７８３
【国際公開日】平成２０年１０月２日（２００８．１０．２）
【出願人】（５０４０５４４６８）デマグ クレインズ アンド コンポーネンツ ゲーエムベーハー (18)
【公表日】平成２２年７月８日（２０１０．７．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年３月１８日（２００８．３．１８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＥＰ２００８／０５３１９３
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１１６７８３
【国際公開日】平成２０年１０月２日（２００８．１０．２）
【出願人】（５０４０５４４６８）デマグ クレインズ アンド コンポーネンツ ゲーエムベーハー (18)
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