説明

巻上牽引機

【課題】 本発明は、手動式チェーンブロックに、補助動力入力装置を取着することにより、動力による昇降が可能となり、人力負荷の軽減、作業時間の短縮を可能とするとともに、ハンドチェーンも付いているため、手動操作における微小な調整も可能な巻上牽引機を提供すること。
【解決手段】 手動巻上牽引機の駆動部材10に係合し、動力を伝達する伝達プレート16と、伝達プレート16と動力伝達可能に連結し、動力手段26と係合する第1入力軸18と、第1入力軸18と増速ギヤ19a、19bを介して連設され、動力手段26と係合する第2入力軸21を備えた巻上牽引機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式チェーンブロックに関するもので、詳しくは、補助動力の入力手段を備えた手動式チェーンブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、重量物の昇降作業に、手動式チェーンブロックが多用されている。この手動式チェーンブロックは、チェーンブロック本体とチェーンブロック本体の上端に設けられた上フックと、チェーンブロック本体のロードシーブに掛けられたロードチェーンと、ロードチェーンの下端に設けられた下フックと、チェーンブロック本体に並設され、ハンドホイールに掛けられたハンドチェーンで構成され、ハンドチェーンを引いてハンドホイールを回し、ロードチェーンを巻き上げまたは巻き下げて、下フックに吊り下げた重量物を昇降させるものである。
【0003】
しかしながら上記した従来装置は、重量物の昇降動作を行う場合などの高負荷操作時には、大きな人力を要し、また、重量物を長揚種で昇降する場合には、長時間の作業になるため、一人にて連続して作業を行うことが困難であり、また、無負荷時においては、高速動作を行うことが必要な場合がある。
【0004】
そのため、作用者のロードを軽減するための手段として、巻上牽引機のロードシーブを回転させる回転体に動力結合部を設け、該動力結合部に電動ドライバーを結合することによって、電動ドライバーの動力によって、巻上牽引機を駆動するようにしたものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−211892号公報(5頁 図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献に記載されている巻上牽引機は、巻上牽引機に電動ドライバーを装着する際、電動ドライバーを巻上牽引機の駆動部に結合するだけのものであって、電動ドライバーを巻上牽引機に装着する手段は必ずしも強固なものではないため、電動ドライバーが巻上牽引機から外れるような場合が生ずる懸念がある。また、重量物の昇降動作を行う場合も、また、無負荷時において動作を行う場合も、巻上牽引機は同一速度で駆動されるもので、無負荷時に高速昇降ができないため、作業時間を短縮し、昇降作業を効率化することができるものではなかった。また、外部駆動手段を用いて巻上牽引機を高速昇降すると、駆動部材のブレーキ部が過熱する場合が発生する。
【0006】
本発明は、手動式チェーンブロックに、補助動力装置を装着することにより、動力による昇降動作が可能となり、人力負荷を軽減し、作業時間の短縮を可能とするとともに、ハンドチェーンも付いているため、手動操作による微小な昇降動作の調整も可能な巻上牽引機を提供するものであり、さらに補助動力装置の装着時にハンドホイールのブレーキ部の過熱を防止でき、かつ、補助動力装置を簡便かつ確実に巻上牽引機に固設できる巻上牽引機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するもので、ロードチェーンが巻回されるロードシーブと、ブレーキ手段を内側に備え、ブレーキ手段を介して前記ロードシーブを回転させるハンドホイールと、前記ハンドホイールと係合し、動力手段の動力をハンドホイールに伝達する伝達プレートと、連結ボックスに装着され、前記伝達プレートと動力伝達可能に連結し、かつ動力手段と着脱可能に係合する入力軸と、動力手段の動力手段である正逆転可能なエアーモータと、前記ブレーキ手段をエアーで冷却するエアー排出手段を備えたことを特徴とする巻上牽引機である。
【0008】
本発明によると、重量物の昇降作業を行う場合や、長時間の昇降作業を継続して行う場合には、動力手段を入力軸に着設して、モータ等による自動昇降を行うことにより、作業負荷を軽減するとともに、作業時間を短縮することができ、また、無負荷昇降作業時には、動力手段を他の入力軸に着設して、モータ等による自動昇降を行うことにより、作業時間を短縮でき、昇降作業の効率化を可能とすることができる。
【0009】
また、動力手段にエアーモータを用いて、排気エアーでハンドホイールのブレーキ部を冷却することにより、ブレーキ性能の低下を防止することができ、動力手段を安全かつ着脱容易に巻上牽引機に装着することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に記載の発明は、ロードチェーンが巻回されるロードシーブと、ブレーキ手段を内側に備え、ブレーキ手段を介して前記ロードシーブを回転させるハンドホイールと、前記ハンドホイールと係合し、動力手段の動力をハンドホイールに伝達する伝達プレートと、連結ボックスに装着され、前記伝達プレートと動力伝達可能に連結し、かつ動力手段と着脱可能に係合する入力軸と、動力手段の動力手段である正逆転可能なエアーモータと、前記ブレーキ手段をエアーで冷却するエアー排出手段を備えたことを特徴とするもので、動力手段としてエアーモーターを用いることで、そのエアーによりブレーキ手段を冷却できるため、簡便にブレーキの性能の低下を防ぐことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、入力軸は、動力手段と着脱可能に係合する第1入力軸と、第1入力軸と増速ギヤを介して連設され、動力手段と着脱可能に係合する第2入力軸を備えたことを特徴とするもので、重量物の昇降作業を行う場合や、長時間の昇降作業を継続して行う場合には、動力手段を第1入力軸に着設して、モータ等による自動昇降を行うことにより、作業負担を軽減するとともに、作業時間を短縮することができ、また、無負荷昇降作業時には、動力手段を第2入力軸に着設して、モータ等による自動昇降を行うことにより、作業時間を短縮でき、昇降作業の効率化を行うことができ、さらに手動による微小な昇降調整ができる巻上牽引機を提供できる作用を有する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、入力軸は、動力手段と着脱可能に係合する第1入力軸と、第1入力軸と増速ギヤを介して連設され、動力手段と着脱可能に係合する第2入力軸を備えたことを特徴とするもので、動力手段を装着した動力手段支持フレームを安全かつ着脱容易に連結ボックスに装着することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、エアー排出手段は、エアーモータと連通するエアーホースと、前記エアーホースと連結し、連結ボックスに固設されて、ハンドホイール外側面を冷却するノズルであることを特徴とするもので、ノズルから排出されるエアーでブレーキ板を備えるハンドホイールを効率的に冷却することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、ハンドホイールは、前記ノズルと嵌合し、エアーをブレーキ部に排出するエアー供給孔を有することを特徴とするもので、ハンドホイール外側面を冷却するエアーをエアー供給孔からブレーキ部に排出することで、直接ブレーキ部にエアーを送ることができるので、ブレーキ部を効率的に冷却できる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、係止手段は、支持ブラケットに設けたL字型支持ブラケットであり、エアーホースと連結するノズルの動力手段側突出部と嵌合する嵌合部を有することを特徴とするもので、簡単な手段により、動力手段支持フレームの装着時における回動を防止し、安全かつ着脱容易に連結ボックスに装着することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、係止手段は、エアーホースと連結するノズルの動力手段側突出部と嵌合する嵌合部材と、連結ボックスに固設された抜け止め部材と係合する係止部材であることを特徴とするもので、動力手段支持フレームをより安全かつ強固に連結ボックスに装着することができる。
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1の巻上牽引機を示す拡大正面図、図2は連結ボックスの側面図、図3は図1に示す巻上牽引機の連結ボックスを取りはずした状態を示す拡大正面図である。図において、1は巻上牽引機であるチェーンブロック本体で、ロードシーブ2、ロードシーブ2を駆動する駆動軸3、ロードシーブ2及び駆動軸3を支持する一対の本体フレーム4、本体フレーム4を 固定し、先端が駆動装置9のカバー13を貫通する固定ボルト5、ロードシーブ2に巻き掛けられたロードチェーン6、チェーンブロック本体の上端に設けられた上フック7、ロードチェーン6の下端に設けられた下フック8を備えている。9は駆動軸3を駆動する駆動装置で、チェーンブロック本体1の本体フレーム4の1側に設けられている。駆動装置9は、駆動軸3の端部に螺合された駆動部材であるハンドホイール10、ハンドホイール10の回転を駆動軸3に伝達し、かつ、吊荷の落下を防止するメカニカルブレーキ11、ハンドホイール10に巻き掛けられるハンドチェーン12を備え、駆動装置9全体は伝達プレート16を挿入可能とするように、伝達プレート16の外径よりわずかに大きい内径の開口部13aを備えるカバー13で被われている。尚、ハンドホイール10は、ハンドチェーン12を巻き掛け保持するためのホイール溝10aと、ブレーキ板30と当接する円形のブレーキ面10bと、ハンドホイール10を貫通する嵌合孔10cを備え、駆動軸3に螺進退自在に螺合されている。14は動力連結装置で、ハンドホイール10に設けた嵌合孔10cに嵌装される伝達軸15を有する伝達プレート16、伝達プレート16と増速ギヤ19aとをスプライン結合し、先端に動力手段嵌合部17を有する第1入力軸18、第1入力軸18と増速ギヤ19bを介して連接され、増速ギヤ19bとスプライン結合し、先端に動力手段嵌合部20を有する第2入力軸21を備え、第1入力軸18、第2入力軸21及び増速ギヤ19a、19bは一対のフレーム22a、22bで形成される連結ボックス22に内設されている。連結ボックス22は、連結ボックス22に嵌挿された連結ナット23を、駆動装置9のカバー13を貫通する固定ボルト5に螺着することによって、チェーンブロック本体1に対して取り外し可能に装着される。24はカバー13と連結ボックス22のフレーム22a間に設けられる位置決め部材で、連結ボックス22の連結ナット23による固定を確実とするように、カバー13の外側端面と接する長さを有する。25は連結ボックス22のフレーム22bの第1入力軸及び第2入力軸近傍に設けられ、モータを内蔵する動力手段26に設けた係止片27が嵌合する逆U字状ストッパーである。29は駆動軸3の段部に軸方向(図1の左側方向)の移動を規制され、駆動軸3と一体回転するよう嵌装されるブレーキ受け、30は爪車31を介してブレーキ受け29に回転自在に嵌装される一対のリング状のブレーキ板、31は爪軸32に回動可能に軸支される爪(図示せず)と係合する歯を備え、ブレーキ受け29に回転自在に嵌装された爪車である。26は動力手段、27は前記した逆U字状ストッパー25に嵌合する係止片、28はスイッチ、37は連結ボックス22に設けた第1入力軸18または第2入力軸21の動力手段嵌合部17、20に嵌合する動力伝達部である。上記動力手段26、係止片27、動力伝達部37で動力手段を構成する。
【0017】
次に、上記した実施の形態1の巻上牽引機の動作について説明する。荷物をチェーンブロックで昇降する場合、動力手段26の動力伝達部37を第1入力軸18の動力手段嵌合部17に嵌合装着し、連結装置14に動力手段26を着設する。動力手段26に設けた係止片27は、連結ボックス22に設けたストッパ25に嵌合し、動力手段26の回転方向への動力手段26の回動を防止する。スイッチ28をONにし、モータ(図示せず)を駆動すると、第1入力軸18が回動し、第1入力軸18とスプライン結合している伝達プレート16が回動し、伝達軸15を介してハンドホイール10を回動し、メカニカルブレーキ11を介して、駆動軸3、ロードシーブ2を回動して、荷の昇降が行われる。
【0018】
次にメカニカルブレーキ11の詳細な動作説明をする。荷を巻き上げる場合は、ハンドホイール10に、例えば時計方向の回転を伝達し、これにより、ハンドホイール10は駆動軸3と螺合しているので、図1の左方向に前進しながらブレーキ面10bがブレーキ板30に圧接されていくので、ブレーキ板30、及び爪車31が締り勝手となり、そのためブレーキ受け29、駆動軸とともに一体的に回転し、減速機を介してロードシーブ2を回動し、荷を巻き上げる。尚、爪車31は爪(図示せず)との係合によって荷の巻き下げ方向に回転できないように保持されている。
【0019】
一方、荷を巻き下げる場合は、ハンドホイール10を時計方向と逆方向に回転させ、これによりハンドホイール10は螺合している駆動軸3上を、図1の右方向に後退するので、ブレーキ面10bとブレーキ板30と爪車31、及びブレーキ受け29の締め付けが解放され、荷重によってロードシーブ2、減速機を介して駆動軸は巻き下げ方向に回転し、ねじ作用によりハンドホイール10を図1の左方向へ引き寄せ、再び前述した締め付け力が発生し、荷の下降が停止される。この繰り返し動作により、巻き下げが行われる。
【0020】
前述したように、荷の巻き下げ時、メカニカルブレーキ11の作用により、ハンドホイール10は螺合している駆動軸上で左右方向に変移するが、伝達プレート16とハンドホイール10は、一定長有する伝達軸15をハンドホイール10の嵌合孔にスライド可能に嵌装して連係しているため、伝達軸15は軸の長さによりハンドホイール10の変移量をスライドして吸収し、ハンドホイール10が変移しても、伝達プレート16とハンドホイール10間の動力伝達を可能としている。また、伝達軸15をスライド可能に嵌装する嵌合孔10cの位置は、ハンドホイール10のホイール溝10aとブレーキ面外径部10dとの間としたので、ブレーキ面10bとホイール溝10aの機能に影響しない位置に設けることができ、加工の容易な貫通孔とすることが可能であるとともに、ハンドホイール10のブレーキ面10b側と逆側に嵌装孔10cを設ける場合は、ハンドホイール10の厚さを肉厚とする必要が有るが、本発明の形態においては、その厚さを不要し、ハンドホイール10を小型軽量化できる効果を有する。尚、無負荷時等における高速昇降時には、動力手段26を第2入力軸21の動力手段嵌合部20に嵌合・装着し、第2入力軸21から増速ギヤ19を介して第1入力軸18を回転し、上記した実施の形態と同じ動作により、荷の高速昇降が行われる。
【0021】
また、ハンドチェーン12の操作のみで、荷物の昇降を行う場合は、動力手段26は連結装置14から外される。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2について、図4〜図8を参照して説明する。
【0022】
以下の説明において、巻上牽引機の本体部分については、ハンドホイールを除き、実施の形態1と同じであり、説明を省略する。
【0023】
本実施の形態では、動力手段26として正逆転可能なエアーモータを用いる。
【0024】
図において、33は動力手段であるエアーモータ26を支持する支持フレームで、巻上牽引機本体に取着された連結ボックス22に設けられたノズル41と連通する被接続部43と結合する接続部42を備える。34はエアーモータ26にエアーを供給するエアー供給ホース、35はエアーモータ26から排気されるエアーを排出する排気ホース、37はエアーモータ26から動力軸26a、駆動ギヤ26b、従動ギヤ26cを介して、伝達プレート16に動力を伝達する動力伝達部で、伝達プレート16の動力手段嵌合部17、20に嵌合して、伝達プレート16に動力を伝達する。
【0025】
エアーモータ26は圧縮空気により回転するフィンを備え、本実施の形態のエアーモータ26はフィンを正及び逆方向に回転させる2本のエアー供給ホース34a、34bからなるエアー供給ホース34と、前記したフィンからのエアーを排気するエアー排気ホース35を備える。
【0026】
また、図15に示すような、動力手段における、他のエアー供給形態では、エアー供給ホース34a、34bは、それぞれエアーの流路を制御する三方逆止弁55a、55bを有し、エアー供給ホース34a、34bとエアー排気ホース35の連結部にそれぞれ逆止弁56a、56bを備える。なお、三方逆止弁は、三方向の流路のうち、一方向閉蓋する弁である。
【0027】
エアーモータ26を正回転する場合は、三方逆止弁55aにより、エアー供給ホース34aからエアーモータ26にエアーを供給し、エアーモータ26を正回転させ、排気エアーは、エアー供給ホース34bから三方逆止弁55b、逆止弁56bを介して、エアー排気ホース35に供給される。
【0028】
一方、エアーモータ26を逆回転する場合は、三方逆止弁55bにより、エアー供給ホース34bからエアーモータ26にエアーを供給し、エアーモータ26を逆回転させ、排気エアーは、エアー供給ホース34aから三方逆止弁55a、逆止弁56aを介して、エアー排気ホース35に供給される。
【0029】
なお、駆動ギヤ26b、従動ギヤ26cはベベルギヤ機構となっている。38は動力手段支持フレーム33に設けられたL字状の支持ブラケットで、L字形状部の先端には、後述するノズル41の動力手段側突出部である被接続部43の基端部と嵌合する2又状嵌合部38aを備える。39は動力手段支持フレーム33に設けられ、L字状に折り曲って、折り曲り端面が連結ボックス22のフレーム22bと着設する補助ブラケット、40は動力手段支持フレーム33に設けられ、動力伝達部37を軸支する軸受部、41は連結ボックス22のフレーム22bに固設され、後記するハンドホイール10に設けたエアー供給孔10eに対向してエアーを排気する端部を有し、エアー排気ホース35と連通する冷却用ノズルである。エアー供給孔10eはハンドホイール10の内側に設けたブレーキ面10bの円周方向外側で、図7、図8に示すように伝達軸15が嵌合する嵌合孔10cと同一円弧上に設けられている。エアー供給孔10eは、図8のように長孔とすることもできるし、図7のように丸孔としてもよく、丸孔とすれば加工が容易で、また、嵌合孔10cと共用して使用できるので好適である。上記冷却ノズルは、連結ボックス22のフレーム22bに固設され、フレーム22bから動力手段側に突出する突出部は、エアー排気ホース35の端部に設けた接続部42と係着して、エアー排気ホース35と接続する被接続部43である。接続部42、被接続部43は例えば図5に示すような流体継手機構(カプラ)を形成しているので、ワンタッチで着脱が容易な、抜け止め体として好適で、被接続部43の基端部に勘合した支持ブラケット38の抜脱を防止することができる。
【0030】
上記した本実施の形態の動力手段装置の巻上牽引機本体への取着及びその作用について説明する。
【0031】
また、支持ブラケット38は、先端部を2又嵌合部38として説明したが、被接続部43と嵌合する嵌合孔を設けてもよい。
【0032】
動力手段装置の動力手段支持フレーム33を連結ボックス22側に接近させて、動力手段伝達部37を入力軸18または21の動力手段嵌合部17または20に嵌合し、同時にエアー排気ホース35の接続部42をノズル41の被接続部43と結合し、支持ブラケット38をノズル41の被接続部43の基端部に嵌合して、動力手段装置を連結ボックス22に固設する。また、補助ブラケット39を連結ボックス22のフレーム22bに着接し、動力手段支持フレーム33の外側への回動を防止する。
【0033】
エアーモータ26をエアー供給ホース34から供給される圧縮空気により駆動すると、動力軸26a、駆動ギア26b、従動ギヤ26c、動力手段伝達部37を介して、入力軸18または21を回動し、伝達プレート16によりハンドホイール10を回転する。一方、エアーモータ26から排気される排気エアーは、エアー排気ホース35を介して、ノズル41からハンドホイール10のエアー供給孔10eに向けてハンドホイール10の外側面に排出され、エアー供給孔10eから排出されるエアーにより、ハンドホイール10のブレーキ面10が冷却される。
【0034】
上記の通り、動力手段支持フレーム33に設けた動力伝達部37を連結ボックス22に設けた動力手段嵌合部17に嵌合し、支持ブラケット38の2又状嵌合部38aを連結ボックス22に固設されたノズル41のエアーモータ26側に設けた被接続部43の基端部に嵌合し、補助ブラケット39を連結ボックス22のフレーム22bに着接することにより、動力手段支持フレーム33は連結ボックス22に確実に装着される。すなわち、動力手段支持フレーム33は、動力伝達部37を動力手段嵌合部17に嵌合し、支持ブラケット38をノズル41の被接続部42の基端部に嵌着することで、動力手段支持フレーム33が連結ボックスに対して回動するのを防止でき、さらに動力手段支持フレーム33から延出する補助ブラケット39を連結ボックス22のフレーム22bに着接するようにしたことで、動力手段支持フレーム38が連結ボックス22から外側方向に回動し、着脱するのを防止する。
【0035】
また、図示の通り、駆動ギヤ26b、従動ギヤ26cにベベルギヤ機構を採用して、動力伝達方向を90度変換するようにしたので、動力手段26を駆動ギヤ26bの下方に設けることができ、動力装置の幅を小さくすることができるため、狭い場所でも操作をすることができる。
【0036】
また、動力手段として圧縮空気を利用し、その排気を、エアー排気ホース35を介してノズル41から、ハンドホイール10の外側面を冷却し、ハンドホイール10に設けたエアー供給孔10eからエアーをブレーキ面に供給することによって、ハンドホイール10のブレーキ面10bを冷却することができる。
【0037】
また、動力伝達プレート16を図7に示すように十字型とすることによって、ハンドホイール10に設けたエアー供給孔10eが伝達プレート16によって塞がれないため、エアー供給孔10eの通気性が損なわれずブレーキ面の冷却効率を向上することができる。
【0038】
また、カバー13には、図7、図8に示すように、該カバー13の両側にはハンドチェーン12通過用の開口部13bが設けられているため、エアーにオイルミストが混入している場合には、エアー排気ホース35の接続部42を開口部56側に設けたノズル41の被接続部43bと接続することによって、オイルミスト混入エアーは外部に容易に放出され、メカニカルブレーキ11側へのエアーの進入を防ぐことができ、オイルミストによるブレーキ性能の低下を防止できる。なお、この場合エアー供給孔10eは塞がれる。
〔実施の形態3〕
本発明の実施の形態は、ノズルの動力手段側突出部を直接動力手段支持フレームに嵌合するようにし、かつノズルの係着手段において、実施の形態2と異なるが、その他の構成は実施の形態2と同じである
以下、本実施の形態について、図9〜図11を参照して説明する。図において、ノズル41は連結ボックス22のフレーム22bに固設され、該ノズル41のフレーム22bから動力手段26側への突出部は、中空の突出軸である被接続部43であって、動力手段支持フレーム33に設けた嵌合孔33aに嵌挿され、その先端部には、後記する係止体46が嵌入される抜け止め溝43cを備えている。また、被接続部43の端は、エアー排気ホース35の端部に設けた接続部42と係着して、エアー排気ホース35と接続する。また、被接続部43の端部はテーパー部43dとなっており、動力手段支持フレーム33をノズル41に嵌挿する際、嵌合孔33a及び係止体46をスムースにガイドする。係止体46は一端が動力手段支持フレーム33に設けられた支持軸47に軸支され、他端には係止体46を開閉操作する操作レバー48が設けられている。また、支持軸47にはバネ50が巻着されており、係止体46に下方に回動する付勢力を与えている。49は係止体46の端部が係合するストッパーである。図11に示す43a、43bはノズルの被接続部で、43bは実施の形態2において記載した通り、カバー13の開口部13b側に設けられており、オイルミストが混入したエアーを外部に排出し易くする場合に用いられる。
【0039】
本実施の形態では、ノズル41の動力手段側突出部である被接続部43を直接動力手段支持フレーム33に係着することで、実施の形態2における支持ブラケット38を不要とし、動力手段支持フレーム33を連結ボックス22に確実に固設することができ、また、被接続部43先端を係止体46により係止することで、被接続部43と嵌合孔33の嵌合状態の抜脱を防止することができる。
〔実施の形態4〕
本実施の形態は、連結フレーム及び動力手段支持フレームに、両者を固設する固着手段を設けた点で、実施の形態3と異なるが、その他の構成は実施の形態と同一であるので、説明を省略する。
【0040】
以下、本実施の形態について図12〜図14を参照して説明する。図において、52は連結ボックス22のフレーム22bから動力手段側に延出するフレームで、抜け止め部材である。53は動力手段支持フレーム33から連結ボックス22側に延出し、前記抜け止め部材52を挟む一対のフレームで、係止部材である。抜け止め部材52は先端に凹部52aと、凹部の端部開口部である狭幅部52bを有し、係止部材53はフレーム52にスライド可能に支持され、前記凹部52aと同径の大径部54aと前記狭幅部52bと同径の小径部54bを有する係止ピン54を有する。動力手段支持フレーム33を連結ボックス22に装着する場合は、抜け止めピン54の小径部54bを係止部材53のフレーム間にセットし、係止部材53を抜け止め部材52の狭幅部52bから凹部52aに押進し、係止ピン54をスライドさせて、大径部54aを凹部52aに嵌合することによって、動力手段支持フレーム33を連結ボックス22に確実かつ強固に固設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1の巻上牽引機を示す正面図である。
【図2】図1の連結ボックスのフレーム部の側面図である。
【図3】図1の連結ボックスを取り外した状態を示すの拡大正面図である。
【図4】本発明の実施の形態2の巻上牽引機を示す正面図である。
【図5】(a)は図4の連結ボックスの拡大側面図である。(b)はノズルとエアー排気ホースの接続部を示す拡大図である。
【図6】図4の支持フレームが分離された状態を示す正面図である。
【図7】図4のハンドホイールと伝達プレートを示す側面図である。
【図8】図7の他の形態を示す側面図である。
【図9】本発明の実施の形態3の巻上牽引機を示す正面図である。
【図10】図9の支持フレームが分離された状態を示す正面図である。
【図11】図9の連結ボックスの拡大側面図である。
【図12】本発明の実施の形態4の巻上牽引機を示す正面図である。
【図13】図12の支持フレームが分離された状態を示す正面図である。
【図14】図13の連結ボックスの拡大側面図である。
【図15】動力手段における、他のエアー供給の形態を示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 チェーンブロック本体
2 ロードシーブ
3 駆動軸
4 本体フレーム
5 固定ボルト
6 ロードチェーン
7 上フック
8 下フック
9 駆動装置
10 ハンドホイール
10a ホイール溝
10b ブレーキ面
10c 嵌合孔
10d ブレーキ面外径部
10e エアー供給孔
11 メカニカルブレーキ
12 ハンドチェーン
13 カバー
13a カバー開口部
13b 開口部(ハンドチェーン開口部)
14 連結装置
15 伝達軸
16 伝達プレート
17 動力手段嵌合部
18 第1入力軸
19a、19b 増速ギヤ
20 動力手段嵌合部
21 第2入力軸
22 連結ボックス
22a フレーム
22b フレーム
23 連結ナット
24 位置決め部材
25 ストッパー
26 動力手段
26a 動力軸
26b 駆動ギヤ
26c 従動ギヤ
27 係止片
28 スイッチ
29 ブレーキ受け
30 ブレーキ板
31 爪車
32 爪軸
33 動力手段支持フレーム
33a 嵌合孔
34 エアー供給ホース
35 エアー排気ホース
37 動力伝達部
38 支持ブラケット
38a 2又状嵌合部
39 補助ブラケット
40 軸受部
41 ノズル
42 接続部
43、43a、43b 被接続部
43c 抜け止め溝
43d テーパー部
45 係止フレーム
46 係止体
47 支持軸
48 操作レバー
49 ストッパ
50 バネ
51 リブ
52 抜け止め体
52a 凹部
52b 狭幅部
53 係止部材
54 係止ピン
54a 大径部
54b 小径部
55a、55b 三方逆支弁
56a、56b 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードチェーンが巻回されるロードシーブと、ブレーキ手段を内側に備え、ブレーキ手段を介して前記ロードシーブを回転させるハンドホイールと、前記ハンドホイールと係合し、動力手段の動力をハンドホイールに伝達する伝達プレートと、連結ボックスに装着され、前記伝達プレートと動力伝達可能に連結し、かつ動力手段と着脱可能に係合する入力軸と、動力手段である正逆転可能なエアーモータと、前記ブレーキ手段を前記エアーモータの排気エアーで冷却する冷却エアー排出手段を備えたことを特徴とする巻上牽引機。
【請求項2】
入力軸は、動力手段と着脱可能に係合する第1入力軸と、第1入力軸と増速ギヤを介して連設され、動力手段と着脱可能に係合する第2入力軸を備えたことを特徴とする請求項1記載の巻上牽引機。
【請求項3】
動力手段を支持フレームに装着し、前記支持フレームは、連結ボックスに固設された突出部材と嵌合する嵌合手段からなる係止手段と、前記動力手段である正逆転可能なエアーモータと、前記エアーモータのエアーで前記ブレーキ手段を冷却するエアー排出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の巻上牽引機。
【請求項4】
エアー排出手段は、エアーモータと連通するエアーホースと、前記エアーホースと連結し、連結ボックスに固設されて、ハンドホイール外側面を冷却するノズルであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の巻上牽引機。
【請求項5】
ハンドホイールは、前記ノズルと嵌合し、エアーをブレーキ部に排出するエアー供給孔を有することを特徴とする請求項4記載の巻上牽引機。
【請求項6】
係止手段は、支持ブラケットに設けたL字型支持ブラケットであり、エアーホースと連結するノズルの動力手段側突出部と嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項3〜5いずれかに記載の巻上牽引機。
【請求項7】
係止手段は、エアーホースと連結するノズルの動力手段側突出部と嵌合する嵌合部材と、連結ボックスに固設された抜け止め部材と係合する係止部材を有することを特徴とする請求項3または6記載の巻上牽引機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−133137(P2008−133137A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7167(P2008−7167)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【分割の表示】特願2003−83172(P2003−83172)の分割
【原出願日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)