説明

巻取紙自動仕立用接続テープ及び巻取紙の紙継ぎ方法

【課題】 自動仕立装置による巻取紙の紙継ぎを行う場合に、テープ基材がミシン目で切断されずに、原紙を破損させてしまうことがあることに鑑みて、先行巻取紙と後続巻取紙とを接続させて、原紙を破損しない接続テープを提供する。
【解決手段】 テープ基材21の表側面に粘着性のある表側粘着層22を設けてその表面を剥離紙23で被覆し、裏側面に粘着性のある裏側粘着層24とタブ25とを設け、タブ25の粘着力または層間剥離強度を裏側粘着層24のそれよりも小さくする。裏側粘着層24を後続巻取紙P2の先端部Poの表面に、タブ25を先端部Poの内側にある後続巻取紙P2の表面に貼付し、前記表側粘着層22を先行巻取紙P1の後端部Piに貼付する。後端部Piに随伴して先端部Poが走行すると、前記タブ25がテープ基材21から離脱して、巻取紙P1、P2が接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オフマシンコーター等における巻取紙の仕立作業を自動で行う場合に、先行の巻取紙の後端と後続の巻取紙の先端とを接続させるために用いられる接続テープとこの接続テープによる巻取紙の紙継ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙機で製造された紙の表面に塗料を塗工して塗工紙を製造するオフマシンコーターでは、巻取を形成している巻取紙を巻き解きながらコーターヘッドに供する。巻取が巻き解かれて巻取紙が無くなると、次の巻取の巻取紙に紙継ぎするための仕立作業が行われる。すなわち、先行する巻取を形成している巻取紙の後端と、後続する巻取を形成している巻取紙の先端とを接続させることになる。このとき、先行する巻取は巻取紙が巻き解かれているため回転してから、後続する巻取を先行する巻取の回転に同調させて回転させながら行われる。
【0003】
先行する巻取紙の後端と後続する巻取紙の先端との接続には接続テープが用いられている。従前は、この端部同士を接続させる接続テープの貼付作業は手作業による手仕立により行われていた。図7に、手仕立の場合の接続テープとその作業を示してある。
【0004】
手仕立で用いられる手仕立用接続テープ1は、テープ基材2の表側面に粘着層3が設けられ、この粘着層3の幅方向の中央で分離可能な剥離紙4a、4bが貼付されている。前記テープ基材2の裏側面であって、幅方向の一方の側に偏倚した位置には、粘着性を有するタブ5が設けられている。
【0005】
この手仕立用接続テープ1は、図8(a)に示すように、後続する巻取R2を形成する後続巻取紙P2の先端部Poが臨んだ内側の巻取紙P2の表面に前記タブ5を用いて貼着する。なお、このとき、タブ5は、巻取紙P2の巻き解き時の前方側に位置する状態とする。すなわち、図8(a)に示すように、後続巻取紙P2の先端側にタブ5が位置するようにする。ついで、図8(b)に示すように、剥離紙4bを除去して粘着層3の後方側を露呈させる。この露呈した粘着層3に後続巻取紙P2の先端部Poを貼着させ、図9(c)に示すように、この露呈した粘着層3に貼着した部分よりも先端側を切断する。そして、図9(d)に示すように、前記剥離紙4aを除去して粘着層3の前方側を露呈させる。
【0006】
そして、この後続巻取R2を回転させ、先行巻取から巻き解かれる先行巻取紙P1の速度と同調させて、後続巻取紙P2に貼着させた前記手仕立用接続テープ1を先行巻取紙P1の後端部に押圧すると、図9(e)に示すように、先行巻取紙P1の後端部Piと後続巻取紙P2の先端部Poとが接続される。また、接続と同時に先行巻取紙の接続部の巻取芯側直近部がカットオフナイフ(図示せず)により全幅で自動切断され、紙継ぎが完了し、以後は後続巻取R2が巻き解かれながら後続巻取紙P2がコーターに供給されることになる。
【0007】
上述した手仕立による作業では、手仕立用接続テープ1の貼付作業や剥離紙4a、4bの剥離作業等を人手によっているため作業負担となっている。また、接続テープの貼付時に皺が入ったり、巻取紙の両端部で接続テープが紙幅よりはみ出すと断紙の原因となるため、精度に個人差の出やすい作業となっている。
【0008】
このため、接続テープの貼着作業等の自動化を企図した自動仕立装置が提案されている(特許文献1参照)。この種の自動仕立装置では、図5に示すような、自動仕立用接続テープ10が用いられる。自動仕立装置による場合には、手仕立の場合のように、上層の巻取紙の内側に接続テープを貼付するには不都合があるから、手仕立用接続テープ1とは異なる構造を備えている。この自動仕立用接続テープ10は、図5に示すように、中間部にいわゆるミシン目11aが刻設されて、該ミシン目11a を境に前側部11bと後側部11cとに分離可能なテープ基材11を主体に構成されている。テープ基材11の裏側面には、前記前側部11bと後側部11cのそれぞれに前側粘着層12bと後側粘着層12cとが設けられている。また、テープ基材の11の表側面であって前記後側粘着層12cを挟んだ部分には、外側粘着層13が設けられており、この外側粘着層13に外側剥離紙14が貼付されている。
【0009】
前記自動仕立用接続テープ10は自動仕立装置によって後続巻取R2の巻取紙P2に貼付されることになる。図6(a)に示すように、後続巻取紙P2の先端部Poに前記後側粘着層12cが貼付される。このとき、巻き取られている自動仕立用接続テープ10は、自動仕立装置によって後続巻取紙P2の先端部Poに沿って走行されながら、図示しない内側剥離紙を剥離し、後続巻取紙P2の先端部Poに後側粘着層12cが貼付される。次いで、後続巻取R2を回転させて後続巻取紙P2を巻き戻すと、先端部Poが後続巻取紙P2の表面に当接し、自動仕立用接続テープ10の前側粘着層12bが、後続巻取紙P2の先端部Poの内側に臨んだ面に貼付される。これにより、図6(b)に示すように、自動仕立用接続テープ10によって、後続巻取紙P2の先端部Poが後続巻取紙P2の内側の層の面に貼付された状態となる。この状態で、図6(c)に示すように、作業員により外側粘着層13の剥離紙14が剥離されれば、外側粘着層13が露呈された状態となる。
【0010】
図6(c)に示す状態で、後続巻取R2を回転させて先行巻取紙P1の速度に同調させながら、自動仕立用接続テープ10の前記外側粘着層13を先行巻取紙P1の後端部Piに押圧すると、先行巻取紙P1の後端部Piと後続巻取紙P2の先端部Poとが接続される。このとき、先行巻取紙P1の後端部Piと後続巻取紙P2とはテープ基材11の後側部11cを挟んで貼付された状態となり、その後の後続巻取R2の回転によってテープ基材11が前記ミシン目11aで分離されて、図6(d)に示すように、テープ基材11の前側部11bは後続巻取R2に随伴され、後側部11cは先行巻取紙P1の後端部Piに、後続巻取紙P2の先端部Poと共に随伴されることになる。また、接続と同時に先行巻取紙P1の接続部の巻取芯側直近部がカットオフナイフにより全幅で自動切断され紙継ぎが終了し、以後は後続巻取R2が巻き解かれながら後続巻取紙P2がコーターに供給されることになる。この塗工時、図5に示した自動仕立替用接続テープ10は、まず外側粘着層13側の先行巻取紙P1から順に図示しない第一塗工部でブレード塗工され、その後図示しない第二塗工部で内側粘着層12側に接続されたP2が塗工される。
【0011】
なお、自動仕立用接続テープとしては、特許文献2や特許文献3に開示されたもの等があり、自動仕立用接続テープを用いた接続方法として、例えば特許文献4に開示された巻取紙の紙継ぎ方法等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3507815号公報
【特許文献2】特開2000−38552号公報
【特許文献3】特開2002−96950号公報
【特許文献4】特開2002−255412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した自動仕立用接続テープ10を用いた自動仕立装置によって自動仕立作業を行う場合には、次のような問題が生じている。
【0014】
オフマシンコーターでは種々の銘柄の塗工紙を製造するが、銘柄に応じて坪量が異なっている。坪量の高い原紙では原紙強度が強いため、前記テープ基材11をミシン目11aに沿って分離させる際に、ミシン目強度より原紙強度が強く容易に分離させることができる。一方、坪量が低い原紙の場合には、原紙強度が弱いため、前記ミシン目11aで分離させる力よりも原紙強度が弱く、そのため、ミシン目11aで分離することなく、原紙が破損して断紙を発生させる場合があった。また、塗工時、図5に示した自動仕立用接続テープ10は、まず、外側粘着層13側の先行巻取紙P1から順に第一塗工部でブレード塗工され、その後第二塗工部で内側粘着層12側に接続されたP2が塗工されるが、第二塗工部ではミシン目11aの前後約1mmに粘着層がないため、後側粘着層12cと接着された後続巻取紙P2の先端部P0が塗工ブレードに引っかかり継手部が破断し、坪量の低い原紙の場合には原紙強度が低いため断紙を発生させることがあった。断紙の発生はコーターを停止させることになり、操業性を悪化させることになる。
【0015】
そこで、この発明は、自動仕立装置を用いた場合に、原紙を破損することなく、確実に紙継ぎを行える巻取紙自動仕立用接続テープ及び巻取紙の紙継ぎ方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープは、自動仕立装置によって紙継ぎ作業を行う際に、先行する巻取紙の後端部と後続する巻取紙の先端部との接続に使用される巻取紙自動仕立用接続テープにおいて、テープ基材の表側面に、剥離紙で被覆した粘着性を有する表側粘着層を設け、前記テープ基材の裏側面に粘着性を有する裏側粘着層と粘着性を有するタブとを設け、前記テープ基材に対する前記タブによる粘着力と、該タブを形成する紙の層間剥離強度のいずれよりも前記裏側粘着層の前記テープ基材に対する粘着力を大きくし、前記裏側粘着層を後方側に位置させて、該裏側粘着層を後続する巻取紙の先端部に貼付させ、前記タブを後続する巻取紙の先端部が臨んだ内側の巻取紙の表面に貼付させ、前記表側粘着層に先行する巻取紙の後端部を貼付させ、紙継ぎ後には前記タブがテープ基材から剥離されるか、またはタブの一部が層間剥離することを特徴としている。
【0017】
本発明に係る接続テープに用いられる粘着層としては、感圧粘着剤層等が用いられ、好ましくは、アクリレート類、天然ゴム、合成ゴム系のものが用いられる。また、前記タブには、紙またはフィルムの両面に粘着層を設けたものが用いられる。
【0018】
自動仕立装置では、後続する巻取紙の先端部を直線上に切断する等の加工を施し、この先端部に前記裏側粘着層のみを貼付する。このとき、先端部は該先端部よりも内側にある巻取紙の表面から離隔した状態にあって、裏側粘着層のみが貼付された状態にある。この状態から後続巻取を、巻取紙を巻き取る方向に回動させると前記先端部が巻き取られ、先端部が臨んだ内側の巻取紙の表面に、前記タブがタブテープ押えによって貼付され、該先端部が内側の巻取紙に密着した状態となる。この状態で、表側粘着層を被覆している剥離紙を剥離する。
【0019】
次いで、後続する巻取を回転させて、先行する巻取紙の速度に同調させ、後続巻取紙の先端部を先行する巻取紙の後端部に押圧すれば、前記表側粘着層が該後端部に貼付され、先行巻取紙の後端部と後続巻取紙の先端部とが接続される。
【0020】
このため、後続巻取紙の先端部が先行巻取紙の後端部に随伴されて走行を開始するから、接続テープの前記タブがテープ基材から離脱するか、またはタブを形成する紙の層の一部が剥離する層間剥離が生じて該タブが表裏の部分で分離する。これによって、前記裏側粘着層とテープ基材、表側粘着層とが後続巻取紙の先端部に随伴されて先行することになる。そして、以後は、後続の巻取から巻取紙が巻き解かれながらコーターに供給される。
【0021】
また、請求項2の発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープは、前記タブを形成する紙の層間剥離強度と前記裏側粘着層のテープ基材に対する粘着力の差異は、前記タブを形成する紙の層の層間剥離強度が低い紙または紙複合系材料を用いることを特徴としている。
【0022】
裏側粘着層とタブとに同じ粘着剤を用いる場合には、テープ基材との接触面積の大きい方が、該テープ基材に対して大きな粘着力を発揮することができる。そこで、これらの接触面積を異ならせて粘着力の差異を生じさせるようにしたものである。なお、テープ基材に対する接触面積の割合は、前述したように、先行巻取紙の後端部に後続巻取紙の先端部が随伴される際に、タブのみがテープ基材から離脱することができるように調整すれば良い。
【0023】
また、請求項3の発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープは、前記テープ基材に対する前記タブによる粘着力、または該タブを形成する紙の層間剥離強度の大きい方の力と前記裏側粘着層のテープ基材に対する粘着力の差異は、前記タブと裏側粘着層とをテープ基材に粘着させる粘着剤の種類を異ならせることにより生じさせてあることを特徴としている。
【0024】
テープ基材と粘着させてある粘着剤の種類を異ならせて、裏側粘着層を残存させ、タブのみがテープ基材から離脱するように、粘着力を異ならせたものである。
【0025】
また、請求項4の発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープは、前記テープ基材に対する前記タブによる粘着力、または該タブを形成する紙の層間剥離強度の大きい方の力と前記裏側粘着層のテープ基材に対する粘着力の差異は、前記タブと裏側粘着層とのテープ基材に対する接触面積の相違により生じさせてあることを特徴としている。
【0026】
前記タブを形成する紙に使用されるものとしては、例えば、前記特許文献3に記載された複層紙、易離層紙、サイズ糊付け紙系を使用できる。
【0027】
そして、この発明巻取紙の紙継ぎ方法は、請求項1〜4に記載された巻取紙自動仕立用接続テープを用いて、先行の巻取紙と後続の巻取紙を接続させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープまたは巻取紙の紙継ぎ方法によれば、紙継ぎを完了させる際にミシン目を切断する処理を行うことなく、後続巻取紙の先端部のみを随伴させることができる。このため、原紙を破損させることがなく、断紙を生じさせないから、コーターの運転を停止させることがなく、塗工紙の生産性を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープの概略の構造を示す図である。
【図2】この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープによる紙継ぎ作業の手順を説明する図である。
【図3】図2に示す紙継ぎ作業の手順に後続する手順を説明する図である。
【図4】この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープを使用する自動仕立装置のテープ貼装置の一例を、模式的に示すものである。
【図5】従来の自動仕立装置に用いられる自動仕立用接続テープの概略の構造を示す図である。
【図6】図5に示す自動仕立用接続テープによる紙継ぎ作業の手順を説明する図である。
【図7】従来の手仕立に用いられる手仕立用接続テープの概略の構造を示す図である。
【図8】図7に示す手仕立用接続テープによる紙継ぎ作業の手順の一部を説明する図である。
【図9】図8に示す紙継ぎ作業の手順に後続する手順を説明する図である。
【図10】テープ貼装置の受けローラの構造を示す図である。
【図11】テープ貼装置の固定ガイドプレートの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープを具体的に説明し、併せてこの接続テープによる巻取紙の紙継ぎ方法を説明する。
【0031】
図1にこの発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープ20を示してある。同図はこの接続テープ20の構造を示しており、幅方向で切断した断面図である。
【0032】
図1に示すように、テープ基材21の表側面に粘着性を備えた表側粘着層22が設けられ、この表側粘着層22の表面には剥離紙23が被せられている。テープ基材21の裏側面には、粘着性を備えた裏側粘着層24と粘着性を備えたタブ25とが設けられている。
【0033】
これらの構造を備えた接続テープ20の作用を、図2(a)〜(c)と図3(d)、(e)を参照して説明する。
【0034】
前記接続テープ20は手仕立用接続テープ1とタブの位置が左右反対勝手の位置にあるテープと両面テープで構成され、それぞれが巻き取られた状態で自動仕立装置にセットされており、該自動仕立装置の動作によって、巻き解かれながら貼り合わされ、貼り合わされたテープが後続の巻取R2を形成する巻取紙P2の先端部Poに貼付される。なお、自動仕立装置によって後続巻取紙P2の先端縁が切り揃えられると共に、先端部Poが僅かに巻き出された状態となる。そして、図2(a)に示すように、先端部Poに沿って前記接続テープ20が巻き解かれながら走行し、前記裏側粘着層24が先端部Poの端縁部に貼付される。このとき、先端部Poは、後述するテープ押さえローラによって押圧されて拘束された状態にある。また、テープ基材20の前記タブ25が粘着している部分は、該タブ25と共に、前記先端部Poから突出している。
【0035】
図2(a)に示す状態から、後続巻取R2を巻き戻すと巻取紙P2の先端部Poが自由となって、該先端部Poが臨んだ内側に巻かれている巻取紙P2の表面に該先端部Poが接触しようとする。この先端部Poから突出した位置には前記タブ25があるから、図2(b)に示すように、該タブ25が巻取紙P2の表面に粘着するよう図示しないタブ押えによって押しつけられて自動仕立が完了する。
【0036】
次いで、図2(c)に示すように、表側粘着層22に被せられている剥離紙23を除去する。なお、この除去作業は作業員によって行われる。剥離紙23が除去されると接続テープ20の表面には表側粘着層22が露呈することになる。この状態で、後続の巻取R2を回転させて先行の巻取紙P1の速度に同調させる。そして、先行の巻取紙P1の後端部Piが巻き解かれる前に、回転している後続の巻取R2の巻取紙P2の先端部Poを先行の巻取紙P1に押圧する。これにより、接続テープ20の露呈している前記表側粘着層22が先行の巻取紙P1の後端部Piに粘着し、同時に先行巻取紙P1の接続部の巻取芯側直近部が、図示しないカットオフナイフで全幅切断されることにより、先行の巻取紙P1と後続の巻取紙P2とが接続されることとなる。そして、図3(d)、(e)に示すように、後続巻取紙P2の先端部Poが先行巻取紙P1の後端部Piに随伴されると、前記タブ25がテープ基材21から離脱するか、またはタブ25の表側の層の一部が層間剥離して後続巻取紙P2の表面に貼着して残留する。以後は、後続の巻取紙P2がコーターに供されることになる。
【0037】
ところで、この接続テープ20は前述した手仕立用接続テープ1に前記裏側粘着層24を設けた構造と類似するものである。なお、図1と図7とを比較すると、タブ5とタブ25との位置関係が逆となって、かつ、裏側粘着層24が追加された構造とされている。また、接続テープ20を先端部Poに貼付するために接続テープ20を走行させるための駆動力は、剥離紙を引き剥がす際に接続テープ20を回転させることによる。そこで、手仕立用接続テープ1のテープ基材2をテープ基材21として、該テープ基材21に両面テープによる前記裏側粘着層24を貼付すると共にその剥離紙を引き剥がすことによって接続テープ20を走行させるようにする。なお、手仕立用接続テープ1のタブ5の位置関係は、オフマシンコーターの操作側あるいは駆動側の勝手に応じて決定されるため、接続テープ20についても、当該オフマシンコーターの勝手の仕様に応じた位置関係にタブ25が設けられているものを選定する。
【0038】
図4は、この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープ20を、後続巻取紙P2の先端部Poに貼付するためのテープ貼装置の一例を、模式的に示すものである。このテープ貼装置30は、前述した手仕立用接続テープ1と同様に、テープ基材21の表側面に表側粘着層22が設けられ、裏側面の中央から一端部側に偏倚した位置にタブ25が設けられた基材用テープ31と、前記裏側粘着層24を構成することになる両面テープ32とがセットされている。これら基材用テープ31と両面テープ32とは、ガイドコロ36a、36b、37に受けローラ38まで案内され、該受けローラ38からそれぞれ固定ガイドプレート33に引き出される。この固定ガイドプレート33の先端部に臨んでテープ押さえローラ34が配設されており、固定ガイドプレート33から引き出された基材用テープ31と両面テープ32とを後続巻取紙P2の先端部Poに押圧する。また、両面テープ32の剥離紙32aは固定ガイドプレート33の先端から底面に沿って走行し、ガイドコロ39a、39b、39c、39dに案内されて剥離紙巻取ローラ34に巻き取られるようにしてある。すなわち、この剥離紙巻取ローラ34に剥離紙32aが巻き取られることによって、該剥離紙32aが固定ガイドプレート33を引き動かして、テープ貼装置30を走行させることになる。そして、このテープ貼装置30の走行で両面テープ32により構成された裏側粘着層24が後続巻取紙P2の先端部Poに貼付されて、図2(a)に示す状態となる。
【0039】
ところで、既存の自動仕立装置を利用する場合には、本発明に係る接続テープ20と従来の接続テープ10とは構造等が異なるため、前記テープ貼装置30の一部を改良する必要がある。また、前述したように、塗工時、先行巻取紙P1から順に第一塗工部でブレード塗工され、その後第二塗工部で内側粘着層12側に接続されたP2が塗工されるが、従来の場合には、第二塗工部ではミシン目11aの前後約1mmに粘着層がないため、後側粘着層12cと接着された後続巻取紙P2の先端部P0が塗工ブレードに引っかかり継手部が破断し、坪量の低い原紙の場合には原紙強度が低いため断紙を発生させることがあった。この場合、既存の自動仕立装置を利用する場合には、巻取紙の紙端の切断位置を変更できない。従来のミシン目11aが刻設されている接続テープでは、必ずミシン目が紙端と等しい位置に位置するように、貼付されていたが、本発明に係る接続テープでは、前記両面テープ32の端部が従来仕様でのミシン目位置と等しい位置の該両面テープ32を貼付する必要がある。
【0040】
そこで、前記ガイドコロ36a、36bとガイドコロ37の幅を25mmから50mmに変更して、ガイドコロ37については表面非粘着処理を施した。また、ガイドコロ39a、39b、39c、39dの幅を75mmから25mmに変更した。また、前記受けローラ38には、図10に示すように、前記裏面粘着層24とタブ25とを受容する粘着層受け部38aとタブ受け部38bとを形成した構造とした。なお、これら粘着層受け部38aとタブ受け部38bとの間には拡径部38cが形成されると共に、これら粘着層受け部38aとタブ受け部38bとの外径を異ならせて、裏側粘着層24とタブ25との段差を吸収するようにしてある。また、タブ受け部38bの外周面は非粘着処理を施してある。
【0041】
また、前記固定ガイドプレート33は、図11に示すように、上面に段差部33cを形成した構造として、この段差部33cを前記拡径部38cに対応させ、段差部33cを挟んで一方の側の面が前記粘着層受け部38aに対応した粘着層受け面33aとされ、他方の側の面が前記タブ受け部38bに対応したタブ受け面33bとされている。このため、裏面粘着層24は粘着層受け部38aと粘着層受け面33aとに案内され、タブ25はタブ受け部38bとタブ受け面33bとに案内されることになり、巻取紙自動仕立用接続テープ20の走行が確実に案内されることになる。
【0042】
前述した、ガイドコロ36a、36b、37、39a、39b、39c、39dの幅員の変更等や受けローラ38と固定ガイドプレート33の形状・構造の変更によって、両面テープ32の剥離紙の剥離によりテープ貼装置30の走行を可能とすると共に、巻取紙自動仕立用接続テープ20の走行が確実に案内されるため、巻取紙P2の先端部P0の紙端と裏側粘着層24を構成する両面テープ32の端部とをほぼ一致させることができる。このため、第二塗工部における塗工ブレードがPに引っかかることが防止され、断紙の発生を抑制することができた。
【0043】
したがって、本発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープは、従来の手仕立用接続テープを利用することによって、自動仕立を行うことができるもので、しかも、自動仕立装置を僅かに改良することで、対応させることができる。
【0044】
ところで、本発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープでは、裏側粘着層24に後続巻取紙P2の先端部Poを貼付した状態と、表側粘着層22が先行巻取紙P1の後端部Piに貼付した状態を維持して、タブ25が円滑にテープ基材21から離脱することが必要とされる。または、タブ25が円滑に層間剥離して表裏の部分の層が分離されることが必要とされる。このため、特に裏側粘着層24の粘着力に比べてタブ25の粘着力と該タブ25を形成する紙の層間剥離強度のいずれかを小さくし、該タブ25がテープ基材21から容易に離脱できるようにしたり、該タブ25の一部が層間剥離し表裏の部分の層が分離されるようにしたりすることが好ましい。
【0045】
裏側粘着層24とタブ25とのテープ基材21に対する粘着力を異ならせるために、後続巻取紙P2との粘着面積を異ならせる。すなわち、裏側粘着層24による粘着面積をタブ25による粘着面積よりも大きくすることにより、裏側粘着層24はテープ基材21から離脱せずに、タブ25のみがテープ基材21から離脱するようにできる。
【0046】
あるいは、裏側粘着層24とタブ25との粘着剤の種類を異ならせることによって、これらのテープ基材21に対する粘着力を異ならせることもできる。特に、裏側粘着層24に、図2と図3とに示すように両面テープ32が用いられる場合には、容易に異なる種類の粘着剤を用いることができる。
【0047】
また、裏側粘着層24とテープ基材21に対する粘着力よりもタブ25の層間剥離強度を小さくすることにより、裏側粘着層24はテープ基材21から離脱せずに、タブ25一部のみがテープ基材21から離脱するようにできる。
【0048】
本発明の巻取紙自動仕立用接続テープを使用する巻取紙の坪量については、好ましくは、25〜100g/m2で接続テープ起因の断紙が起こりにくく、より好ましくは30〜60g/m2、更に好ましくは30〜40g/m2である。又、本発明のテープを用いて、先行の巻取紙の後端と後続の巻取紙の先端とを接続させる時の巻取紙の速度については特に規定は無いが、速度が500m/min以上で断紙が起こらず、より好ましくは1000m/min以上であり、更に好ましくは1600 m/min〜2000 m/minで効果を発揮するものである。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
図1で示した巻取自動仕立用接続テープを用いた自動仕立装置によって、坪量34g/m2のコート原紙からなる巻取紙(直径2400mm、幅5000mm)の先端部を先行巻取紙の後端部に接続して紙継ぎを行った。接続時の巻取の速度1000m/minであった。巻取自動仕立用接続テープのタブ中の紙層が剥離し、断紙が発生することなく紙継することができた。
【0050】
[比較例1]
図4で示した巻取自動仕立用接続テープを用いた自動仕立装置によって、坪
34g/m2のコート原紙からなる巻取紙(直径2400mm、幅5000mm)の先端部を、先
行巻取紙の後端部に接続して紙継ぎを行った。接続時の巻取の速度1000m/min
であった。巻取自動仕立用接続テープの紙中のミシン目が切れず断紙が発生し、
紙継することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明に係る巻取紙自動仕立用接続テープによれば、坪量の低い原紙であっても、紙継ぎ時に原紙が破損して断紙してしまうことを防止でき、オフマシンコーター等による生産性の向上に寄与する。
【符号の説明】
【0052】
1 先行巻取の巻取紙(先行巻取紙)
2 後続巻取
2 後続巻取の巻取紙(後続巻取紙)
o 後続巻取紙の先端部
i 先行巻取紙の後端部
20 接続テープ
21 テープ基材
22 表側粘着層
23 剥離紙
24 裏側粘着層
25 タブ
30 テープ貼装置
31 基材用テープ
32 両面テープ
33 固定ガイドプレート
34 剥離紙巻取ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動仕立装置によって紙継ぎ作業を行う際に、先行する巻取紙の後端部と後続する巻取紙の先端部との接続に使用される巻取紙自動仕立用接続テープにおいて、
テープ基材の表側面に、剥離紙で被覆した粘着性を有する表側粘着層を設け、
前記テープ基材の裏側面に粘着性を有する裏側粘着層と粘着性を有するタブとを設け、
前記テープ基材に対する前記タブによる粘着力と、該タブを形成する紙の層間剥離強度のいずれよりも前記裏側粘着層の前記テープ基材に対する粘着力を大きくし、
前記裏側粘着層を後方側に位置させて、該裏側粘着層を後続する巻取紙の先端部に貼付させ、前記タブを後続する巻取紙の先端部が臨んだ内側の巻取紙の表面に貼付させ、
前記表側粘着層に先行する巻取紙の後端部を貼付させ、
紙継ぎ後には前記タブがテープ基材から剥離されるか、またはタブの一部が層間剥離することを特徴とする巻取紙自動仕立用接続テープ。
【請求項2】
前記タブを形成する紙の層間剥離強度と前記裏側粘着層のテープ基材に対する粘着力の差異は、前記タブを形成する紙の層の層間剥離強度が低い紙または紙複合系材料を用いることを特徴とする請求項1に記載の巻取紙自動仕立用接続テープ。
【請求項3】
前記テープ基材に対する前記タブによる粘着力、または該タブを形成する紙の層間剥離強度の大きい方の力と前記裏側粘着層のテープ基材に対する粘着力の差異は、前記タブと裏側粘着層とをテープ基材に粘着させる粘着剤の種類を異ならせることにより生じさせてあることを特徴とする請求項1に記載の巻取紙自動仕立用接続テープ。
【請求項4】
前記テープ基材に対する前記タブによる粘着力、または該タブを形成する紙の層間剥離強度の大きい方の力と前記裏側粘着層のテープ基材に対する粘着力の差異は、前記タブと裏側粘着層とのテープ基材に対する接触面積の相違により生じさせてあることを特徴とする請求項1に記載の巻取紙自動仕立用接続テープ。
【請求項5】
請求項1〜4に記載された巻取紙自動仕立用接続テープを用いて、先行の巻取紙と後続の巻取紙を接続させることを特徴とする巻取紙の紙継ぎ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−10615(P2013−10615A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145050(P2011−145050)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】