説明

市場サーバ、発注者用端末、製造者用端末、試験者用端末、ソフトウェア開発方法およびプログラム

【課題】市場内で市場参加者の信用情報を収集・開示することにより、信頼性・安全性の高いソフトウェア開発市場を提供すること。
【解決手段】市場サーバ40は、発注者用端末10、製造者用端末20、試験者用端末30のユーザ認証を行う手段と、発注者用端末10、製造者用端末20、試験者用端末30の3者が他の2者の信用情報を登録する手段と、信用情報を市場に公開する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソフトウェア開発市場の実現方法に関し、特にインターネット等のネットワークを介した3者間での取り引きできるソフトウェア開発市場の実現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のソフトウェア開発に関する取引き形態は、個人・法人に関わらず自ら開発を行うまたは階層構造による下請け企業へ依頼することとなっている。このような構成を有する従来のソフトウェア開発に関する取引きは、次のように動作する。
【0003】
すなわち、自らで資源(開発者・開発用機器・開発用ソフトウェア)を確保または階層構造による中間マージンを製品価格に転嫁することとなる。
【0004】
ここで、発注側のセンターは、新規開発物件の開発条件をネットワーク上に提示し、新規開発物件情報のサイトにアクセスするための鍵を持っているソフトベンダーは、入札を行いたい場合、ソフトベンダー端末1から見積書を作成しネットワーク経由でセンターに提出し、センターは、提出された見積価格とデータベースに格納された過去の開発実績とを基に自動的に順位付けを行い、ソフトベンダーを上位数社に絞り込むことで、発注側は、この数社と面接を行い、最終的に発注を行うソフトベンダーを決定することができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ソフトウェアの開発を依頼したい依頼者は、依頼者の端末の仕様の応募画面よりソフトウェアの仕様を応募し、仲介サーバーによって、専用のソフトウェア情報表示画面が製作され、インターネット上に公開され、応募された仕様に対して、開発を希望する開発者は、開発者の端末のソフトウェア情報表示画面より、開発の申し入れを行い、仕様を応募した依頼者は、申し入れのあった開発者の中から1つを選択し、開発を依頼することで、ソフトウェア開発業者において、新規パッケージソフトウェアの開発を支援することができる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、発注者から送られてきた発注内容の概略仕様を受注候補者に公開し、概略仕様に対する提案仕様を公募し、受注候補者から送られてきた提案仕様を受け付けて前記発注者に提示し、概略仕様を詳細化した発注仕様情報を発注者より受け付け、発注仕様情報を受注候補者に公開して見積りを公募し、受注候補者から送られてきた見積り回答を受け付け、発注者より見積り回答の照会があると該見積り回答を発注者に提示することで、設計作業やソフトウェア開発等の受託開発を発注する際、発注者が多数の候補から適切な業者を選定できるようにすることができる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−007784号公報
【特許文献2】特開2003−308398号公報
【特許文献3】特開2004−185167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
【0008】
第1の問題点は、固定的に一定量の資源を確保する必要があるということである。その理由は、資源不足による機会損失を防ぐためである。
【0009】
第2の問題点は、ソフトウェア原価の悪化ということである。その理由は、階層構造にある下請け企業への発注によって、中間マージンが原価に内包されるためである。
【0010】
本発明は、以上説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、インターネットを利用した3者間での取引きを可能とするソフトウェア開発市場を提供することにある。その際に、市場内で市場参加者の信用情報を収集・開示することにより、信頼性・安全性の高いソフトウェア開発市場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、発注者用端末、製造者用端末、試験者用端末のユーザ認証を行う手段と、前記発注者用端末、前記製造者用端末、前記試験者用端末の3者が他の2者の信用情報を登録する手段と、前記信用情報を市場に公開する手段とを備えた市場サーバを提供する。
【0012】
また、本発明は、市場サーバにユーザ認証を依頼する手段と、前記市場サーバに発注情報を登録する手段と、前記市場サーバに支払い依頼をする手段と、前記市場サーバに製造者用端末・試験者用端末の信用情報を登録する手段と、を備えた発注者用端末を提供する。
【0013】
また、本発明は、市場サーバにユーザ認証を依頼する手段と、前記市場サーバに受注希望を意思表示する手段と、前記市場サーバに受領を通知する手段と、前記市場サーバに発注者用端末・試験者用端末の信用情報を登録する手段と、を備えた製造者用端末を提供する。
【0014】
また、本発明は、市場サーバにユーザ認証を依頼する手段と、前記市場サーバに受注希望を意思表示する手段と、前記市場サーバに受領を通知する手段と、前記市場サーバに発注者用端末・製造者用端末の信用情報を登録する手段と、を備えた試験者用端末を提供する。
【0015】
また、本発明は、発注者用端末、製造者用端末、試験者用端末のユーザ認証を行うステップと、前記発注者用端末、前記製造者用端末、前記試験者用端末の3者が他の2者の信用情報を登録するステップと、前記信用情報を市場に公開するステップとを有するソフトウェア開発方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、市場内で市場参加者の信用情報を収集・開示することにより、信頼性・安全性の高いソフトウェア開発市場を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態は、プログラム制御により動作する市場サーバ用コンピュータ40と、発注者用端末10と製造者用端末20と試験者用端末30とから構成されている。
【0019】
市場サーバ用コンピュータ40は、Webサーバ機能とデータベースサーバ機能と納品物格納ストレージ機能の用途を含む。
【0020】
これらの手段はそれぞれ概略つぎのように動作する。
【0021】
Webサーバ機能は、発注者用端末10と製造者用端末20と試験者用端末30にWeb画面を提供し、ユーザ認証機能と受発注機能と信用情報入出力機能を実現する。
【0022】
データベースサーバ機能は、Webサーバ機能と連携し、ユーザ情報と受発注情報と信用情報の保持機能を実現する。
【0023】
納品物格納ストレージ機能は、発注者によって公開された仕様書、製造者によって作成されたプログラム、試験者によって作成された試験結果を格納する機能を実現する。
【0024】
次に、図1及び図2のフローチャートを参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0025】
まず、発注者が発注者用端末10より市場サーバへアクセスする(図2のステップA1)。次に、市場サーバ40がユーザ認証を行う(ステップA2)。認証完了したら、発注者は発注条件を入力し(ステップA3)、市場サーバ40は入力された発注条件を市場へ公開する(ステップA4)。
【0026】
製造希望者は製造者用端末20より市場サーバにアクセスし(ステップA5)、市場サーバのユーザ認証を受けた後(ステップA6)、市場サーバに公開された発注条件を検索し(ステップA7)、市場サーバ40は検索条件に合致した受注の詳細を製造希望者に提示する(ステップA8)。製造希望者は表示された受注の詳細情報の内容を確認し、既に市場サーバ40に登録されている発注者の信用情報を参照し、受注を希望する場合は市場サーバ40に対し受注希望を意思表示する(ステップA9)。
【0027】
発注者は市場サーバに登録された受注希望者を確認し、既に市場サーバ40に登録されている信用情報参照した上で発注先を決定し、発注者端末10より発注する(ステップA10)。
【0028】
市場サーバ40上において、発注者、製造者間で契約が締結されたら、製造者はソフトウェアの製造を行い(ステップA11)、製造完了後、ソフトウェアを市場サーバ40に対し納品し、同時に発注者に対する評価を信用情報として市場サーバ40に登録する(ステップA12)。
【0029】
次に発注者は発注者端末10より市場サーバに対し、試験者を募集するための発注情報を公開する(ステップA13)。試験希望者は試験者用端末30より市場サーバ40へアクセスし(ステップA14)、市場サーバのユーザ認証後(ステップA15)、発注条件を検索する(ステップA16)。市場サーバ40は検索条件に合致した受注の詳細を試験希望者に提示する(ステップA17)。試験希望者は表示された受注の詳細情報の内容を確認し、既に市場サーバ40に登録されている発注者の信用情報と製造者の信用情報を参照し、受注を希望する場合は市場サーバ40に対し受注希望を意思表示する(ステップA18)。発注者は市場サーバ40に登録された受注希望者を確認し、既に市場サーバ40に登録されている信用情報を参照した上で発注先を決定し、発注者端末10より発注する(ステップA19)。
【0030】
市場サーバ40上において、発注者、試験者間で契約が締結されたら、試験者はソフトウェアの試験を行い(ステップA20)、製造者に試験結果を報告する(ステップA21)。報告を受けた試験者は、試験結果に基づき、必要であればソフトウェアを修正した後、発注者、試験者に対し完了報告を実施する(ステップA22)。製造者による修正が入った場合は、試験者は再度試験を実施し、不具合がないことを確認し(ステップA23)、試験結果を発注者に対し納品する(ステップA24)。
【0031】
納品されたソフトウェアおよび試験結果を元に、発注者は発注条件に合致していることを確認し(ステップA25)、問題がなければ製造者、試験者に対し支払いを実施すると共に、製造者と試験者に対する評価を信用情報として市場サーバ40に登録する(ステップA26)。発注者による支払いを受け、製造者、試験者は製造者用端末20、試験者用端末30より受領した旨を通知すると共に、製造者は発注者・試験者の評価を、試験者は発注者・製造者の評価を信用情報として市場サーバ40に登録する(ステップA27、ステップA28、ステップA29、ステップA30)。
【0032】
発注者、作成者、試験者という3者間での取引形態を実現するよう構成されているため、小規模での受注単位となり、従来と比較し、人的リソースの確保を容易に行うことができる。
【0033】
次に、具体的な実施例を用いて本発明を実施するための最良の形態の動作を説明する。
【0034】
図3に示すように、発注者、製造者、試験者はパソコンのブラウザを利用して市場へ参入する。
【0035】
市場サーバ40は、受発注用データベース機能と信用情報用データベースの機能を備え、発注者、製造者、試験者に対しWebにて機能を提供する。
【0036】
また、各種決済はインターネット銀行を使用して実現し、市場サーバの構築費用を低減しつつ信頼性を上げる。
【0037】
上記の本実施の形態によれば、固定的に一定量の資源を確保する必要性を無くすことができる。その理由は、随時、この市場で必要な資源を調達できるためである。
【0038】
また、ソフトウェア原価を低減できる。その理由は、階層構造を廃し、かつ市場に信用情報を公開することにより、従来の下請けを介さず調達できるためである。
ことができる。
【0039】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、発注者用端末10、製造者用端末20、試験者用端末30および市場サーバ40の機能を実現するためのプログラムを各装置に読込ませて実行することにより各装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0040】
上述する各実施の形態は、発注者用端末10、製造者用端末20、試験者用端末30および市場サーバ40が1つのコンピュータシステムとして実現されている構成について説明したが、各装置が別個に接続されている構成や機能毎に複数の装置などが追加された構成にも適用可能であることはもちろんである。
【0041】
本発明によれば、ソフトウェア開発企業のみならず、一般企業での自社開発の際に、高信頼性、低コストでのソフトウェア開発と言った用途に適用できる。また、ソフトウェア開発のみではなく試験を要する製造全般での高信頼性、低コストでの開発と言った用途にも適用可能である(図4参照)。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1、第2の発明を実施するための最良の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の発明を実施するための最良の形態の動作を示す流れ図である。
【図3】第1、第2の発明を実施するための最良の形態の動作の具体例を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の最良の形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
10 発注者用端末
20 製造者用端末
30 試験者用端末
40 市場サーバ
100 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者用端末、製造者用端末、試験者用端末のユーザ認証を行う手段と、前記発注者用端末、前記製造者用端末、前記試験者用端末の3者が他の2者の信用情報を登録する手段と、前記信用情報を市場に公開する手段とを備えたことを特徴とする市場サーバ。
【請求項2】
市場サーバにユーザ認証を依頼する手段と、前記市場サーバに発注情報を登録する手段と、前記市場サーバに支払い依頼をする手段と、前記市場サーバに製造者用端末・試験者用端末の信用情報を登録する手段と、を備えたことを特徴とする発注者用端末。
【請求項3】
市場サーバにユーザ認証を依頼する手段と、前記市場サーバに受注希望を意思表示する手段と、前記市場サーバに受領を通知する手段と、前記市場サーバに発注者用端末・試験者用端末の信用情報を登録する手段と、を備えたことを特徴とする製造者用端末。
【請求項4】
市場サーバにユーザ認証を依頼する手段と、前記市場サーバに受注希望を意思表示する手段と、前記市場サーバに受領を通知する手段と、前記市場サーバに発注者用端末・製造者用端末の信用情報を登録する手段と、を備えたことを特徴とする試験者用端末。
【請求項5】
発注者用端末、製造者用端末、試験者用端末のユーザ認証を行うステップと、前記発注者用端末、前記製造者用端末、前記試験者用端末の3者が他の2者の信用情報を登録するステップと、前記信用情報を市場に公開するステップとを有することを特徴とするソフトウェア開発方法。
【請求項6】
前記発注者用端末が発注を行う際に、複数の発注者からの発注条件を市場に公開することを特徴とする請求項5記載のソフトウェア開発方法。
【請求項7】
コンピュータに請求項1から4のいずれか1項に記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−20940(P2008−20940A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189448(P2006−189448)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)