説明

布おむつ

【課題】被着用者に対する着用待機状態に展開させた場合の全体形状を被着用者の体に合わせた立体的な形状にすることで着用時における被着用者の体に対する密着性を高めることができる布おむつを提供する。
【解決手段】カバー一体型の布おむつ11は、被着用者の腰の後ろ側を被覆可能に形成された腰布部14a,14bと、被着用者の下腹部を被覆可能に形成された腹布部15aと、腰布部と腹布部とを連結して被着用者の股下を被覆可能に形成された股布部16a,16bとを少なくとも有する布材を備え、股布部における腰布部と腹布部とを連結する長さ方向と交差する幅方向両端の側縁部21には、それらの側縁部21に沿って長尺帯状のバイアステープ22が、その収縮力に抗した伸張状態で且つバイアステープ22における長手方向の両端部分23を股布部における幅方向の内側へ表裏反転するように折り込まれた状態で縫着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯して繰り返し再生利用可能な布おむつとして、例えば特許文献1に開示されるような、布おむつにカバー機能を付加したカバー一体型の布おむつが知られている。このカバー一体型の布おむつは、吸水性を有する吸水布材からなるおむつ本体と、防水性を有する防水布材からなるカバーとを有し、おむつ本体に対してカバーが縫合されることで一体化されている。また、おむつ本体とカバーとは、被着用者の体軸方向に沿う方向の両端部同士でのみ結合されており、体軸方向と垂直な左右方向の両端部では分離しているため、この布おむつは洗濯及び乾燥がしやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−113952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような特許文献1の布おむつは、被着用者に着用させるために展開状態としたときの全体形状が平面的であり、その上に被着用者を仰向け状態に寝かせて着用させた場合にも被着用者の体に対する密着性が十分には確保されない虞があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被着用者に対する着用待機状態に展開させた場合の全体形状を被着用者の体に合わせた立体的な形状にすることで着用時における被着用者の体に対する密着性を高めることができる布おむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の布おむつは、被着用者の腰の後ろ側を被覆可能に形成された腰布部と、前記被着用者の下腹部を被覆可能に形成された腹布部と、前記腰布部と前記腹布部とを連結して前記被着用者の股下を被覆可能に形成された股布部とを有する布材を少なくとも一つ備え、当該少なくとも一つの布材における前記腰布部と前記腹布部とを所定長さに亘り連結する前記股布部の長さ方向と交差する幅方向両端の縁部には、それらの縁部に沿って長尺帯状の伸縮性弾性体が、その収縮力に抗した伸張状態で且つ当該伸縮性弾性体における長手方向の両端部分を前記股布部における幅方向の内側へ向かって表裏反転するように折り込まれた状態で縫着されている、ことを要旨とする。
【0007】
上記の構成によれば、布おむつにおける股布部の幅方向両側の縁部には、その縁部に沿って長尺帯状の伸縮性弾性体が収縮力に抗した伸張状態で縫着されているので、その布おむつを被着用者に着用させたときには、伸縮性弾性体と共に股布部の縁部が伸縮することにより、股布部が被着用者の体に対して密着するようになる。しかも、伸縮性弾性体は、その長手方向の両端部分が腰布部における幅方向の内側へ向かって表裏反転するように折り込まれた状態で縫着されているので、その布おむつを被着用者に着用させるべく展開状態にして置いたときには、伸縮性弾性体と共に股布部の縁部が収縮することにより、布おむつの全体形状が被着用者の体に合わせた立体的な形状になる。したがって、被着用者に対する着用待機状態に展開させた場合の全体形状を被着用者の体に合わせた立体的な形状にすることで着用時における被着用者の体に対する密着性を高めることができる。
【0008】
また、本発明の布おむつは、複数の前記布材が重ねられて、各々の布材における前記腰布部同士及び前記腹布部同士を前記股布部の長さ方向で当該股布部からみて遠い側の部位同士で結合しているとともに、前記複数の布材のうち着用時に被着用者の体に対して近い側になる内側の布材の方が被着用者の体から遠い側になる外側の布材よりも前記股布部同士の長さ方向における寸法が短いことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、複数の布材のうち、内側の布材のほうが外側の布材よりも股布部の長さ方向における寸法が短くなっている。そのため、こうした内側の布材と外側の布材とを、それぞれの腰布部同士及び腹布部同士が股布部の長さ方向で当該股布部からみて遠い側の部位同士で結合されるようにすると、外側の布材が内側の布材を包み込む方向に湾曲して布おむつの全体形状が立体的となり、被着用者の体に布おむつを密着させることができる。
【0010】
また、本発明の布おむつは、前記複数の布材のうち、前記被着用者に接する内側の布材は吸水性を有し、前記外側の布材は防水性を有することを要旨とする。
この構成によれば、カバーとおむつが一体となった布おむつにおいて、上記構成の布おむつが奏し得る効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における布おむつの装着時の形状を示す斜視図。
【図2】本実施形態における布おむつの展開時の形状を示す斜視図。
【図3】本実施形態における布おむつのレンタルシステムの流れを示した図。
【図4】(a)は第1運搬具の表面側を示す平面図、(b)は第1運搬具の裏面側を示す平面図、(c)は第1運搬具の使い方を示す説明図。
【図5】(a),(b),(c)は第1運搬具の使い方を示す説明図。
【図6】(a)は第2運搬具の表面側を示す平面図、(b)は第2運搬具の裏面側を示す平面図、(c)は第2運搬具の使い方を示す説明図。
【図7】(a)は回収容器の斜視図、(b)は底部の平面図、(c)は側面部の展開図、(d)は上枠部材の平面図、(e)は開閉部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をカバー一体型の布おむつに具体化した一実施形態について図1及び図2に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、カバー一体型の布おむつ11は、被着用者と接するように内側に配置されて吸水性を有する内側の布材としてのおむつ本体12と、このおむつ本体12の外側に配置されて防水性を有する外側の布材としてのカバー13とが重ねられた2層構造になっている。
【0013】
おむつ本体12は、着用者に接する側に配置されて透水性を有する図示しない1枚の透水布と、カバー13と接する側に配置されて吸水性を有する図示しない2枚の吸水布とから構成されている。また、おむつ本体12は、図1及び図2に示すように、被着用者の腰の後ろを被覆可能に形成された腰布部14aと、被着用者の下腹を被覆可能に形成された腹布部15aと、腰布部14aと腹布部15aを所定長さに亘り連結して被着用者の股下を被覆可能に形成された股布部16aとを有している。
【0014】
腰布部14a及び腹布部15aにおける被着用者の体軸方向(すなわち、股布部16aが腰布部14aと腹布部15aとを連結する長さ方向)と交差する左右方向(以下、「幅方向」と示す)の両側からは幅方向外側、すなわち左右両側へ向かって突出片17がそれぞれ形成されている。そして、腰布部14aの左右各突出片17の突出長は腹布部15aの左右各突出片17の突出長よりも大きくなっている。さらに、腰布部14aの左右各突出片17の先端部内面には雄側の面ファスナからなる第1貼着部18が各々設けられる一方、腹布部15aの外面には各第1貼着部18と対応する雌側の面ファスナからなる第2貼着部19が設けられている。なお、腹布部15aにおける幅方向に沿う端縁部の略中央には、被着用者の臍部と腹布部15aの布が接触するのを防ぐために切欠凹部20が設けられている。
【0015】
カバー13は、おむつ本体12の吸水布と接する側に配置されて防水性を有する図示しない防水布と、布おむつ11における厚さ方向(すなわち、おむつ本体12とカバー13との重ね方向)の一番外側に配置される図示しない表面布とから構成されている。また、図2に示すように、カバー13は、おむつ本体12と同様に腰布部14b、腹布部15b及び股布部16bを有し、おむつ本体12とほぼ同形状に形成されているが、おむつ本体12の布材における股布部16aの方がカバー13の布材における股布部16bよりも長さ方向における寸法が短くなっている。なお、カバー13の腹布部15bにおける幅方向に沿う端縁部の略中央にも、おむつ本体12の腹布部15aの場合と同様に、切欠凹部20が設けられている。
【0016】
このように形成されたおむつ本体12とカバー13とは、腰布部14a,14b同士及び腹布部15a,15b同士が、股布部16a,16bの長さ方向で股布部16a,16bからみて遠い側の部位同士(すなわち、長さ方向両端部位同士)で縫合される一方、それぞれの股布部16a,16b同士は縫合されていない。すなわち、この布おむつ11では、おむつ本体12とカバー13とが股布部16a,16b同士の部分で離間可能となっている。
【0017】
また、カバー13の股布部16bにおける幅方向両端の縁部21には、長尺帯状をなす伸縮性弾性体としての伸縮性布材からなるバイアステープ22が縁部21に沿うように縫着されている。このバイアステープ22は、収縮力が働いた収縮状態での長さが、股布部16bの縁部21の長さLの約半分の長さ(L/2)となるものであって、その収縮力に抗して伸張された伸張状態、すなわち股布部16bの縁部21の長さLと略同等の長さに伸張された状態で縁部21に沿うように縫着されている。
【0018】
そして更に、その縫着状態において、バイアステープ22は、その長手方向の両端部分23が股布部16bにおける幅方向の内側へ向かって表裏反転するように折り込まれた状態で縫着されている。換言すると、バイアステープ22は、その長手方向の両端部分23以外の中央の帯状部分が股布部16bの縁部21に沿って面接触状態で縫着された状態において、その長手方向の両端部分23だけが股布部16bにおける幅方向の内側へ向かって表裏反転するように捩られた状態で股布部16bの縁部21に縫着されている。
【0019】
したがって、このように伸縮性を有するバイアステープ22が収縮力に抗した伸張状態で且つその長手方向の両端部分23が内側に向けて捩られた状態で股布部16bの縁部21に沿って縫着されたことにより、縫着後における股布部16bの縁部21には、その収縮方向及び捩れ方向にカバー13を立体的に変形させるギャザーが形成される。しかも、その場合において、カバー13の内側に腰布部14a,14b同士及び腹布部15a,15b同士を長さ方向両端部位同士で縫着されるおむつ本体12の方が股布部16a,16bの長さ寸法が短いため、カバー13にはおむつ本体12から腰布部14b及び腹布部15bの各長さ方向の端部を起き上がらせる引っ張り力が作用するようになる。
【0020】
次に、上記のように構成されたカバー一体型の布おむつ11の使用方法(作用)について説明する。
さて、この布おむつ11を被着用者に着用させるときには、まず、布おむつ11をおむつ本体12の透水布が上側を向くと共に左右の各突出片17が展開した状態となるようにベッド上などに広げる。そして、被着用者を腰布部14a,14bが被着用者の腰の後ろ側を覆うように布おむつ11上に位置させ、次に被着用者の股部から股布部16a,16bを通して腹布部15a,15bを前側に引き出し、その引き出した腹布部15a,15bで被着用者の下腹部を被覆させる。なお、このとき腹布部15a,15bは被着用者の臍部が切欠凹部20内に位置するように被着用者の下腹部に重ねる。そして次に、おむつ本体12の腰布部14aにおける左右両突出片17の各第1貼着部18をカバー13の腹布部15bにおける第2貼着部19に係止させると、カバー一体型の布おむつ11が被着用者に装着される。
【0021】
このとき、カバー13は、その股布部16bにおける幅方向両端の縁部21にバイアステープ22の長手方向の両端部分23が内側に捩れるように折り込まれて縫合されているため、その捩れ方向に股布部16bの縁部21が腰布部14b及び腹布部15bにおける股布部16bとの連結部分を引っ張りつつ反るように形状を変形させる。その結果、カバー一体型の布おむつ11は、その全体形状が被着用者の体に合わせた内面側が凹んだ立体形状となるように湾曲し、着用時には被着用者の体に密着しやすくなる。また、着用時にはカバー13の股布部16bの縁部21に縫着されたバイアステープ22が伸縮してギャザーが形成されるため、被着用者の足回りへの密着性がより高まる。さらに、おむつ本体12における股布部16aの長さ方向における寸法はカバー13における股布部16bの長さ方向の寸法よりも短くなっているので、一体型の布おむつ11はさらに内側に湾曲した立体形状となりやすく、より被着用者の体に密着する。
【0022】
本実施形態のカバー一体型の布おむつ11は、洗濯をして繰り返し使用することができるので、新しいおむつを配送し、使用済みのおむつを回収し、洗濯した後、新しいおむつとして配送するレンタル用のおむつとして利用される。
【0023】
次に、本実施形態における布おむつ11を利用したレンタルシステムの概要を、図3に示す流れ図に基づいて説明する。
レンタル会社の工場にて洗濯及び乾燥された布おむつ11は、小さく畳まれて所定の枚数(例えば6枚)が第1運搬具31(図4及び図5参照)内に収納される(ステップS11)。次に、布おむつ11を収納した所定個数(例えば6個)の第1運搬具31が第2運搬具41(図6参照)内に収容される(ステップS12)。そして次に、布おむつ11入りの第1運搬具31を収容した第2運搬具41と使用後の布おむつ11を回収するための回収容器51(図7参照)とが使用者のもとに運搬されて納品される(ステップS13)。そして、納品された一体型の布おむつ11が使用者により一枚ずつ使用される(ステップS14)。
【0024】
使用後の布おむつ11は回収される物品として回収容器51に入れられ、回収までの所定日数(例えば4日)の間、使用者のもとで保管される(ステップS15)。所定日数が経過した後、使用後の布おむつ11が入った回収容器51と、使用前の布おむつ11を収納していた第1運搬具31、及びその第1運搬具31を収容していた第2運搬具41がレンタル会社により回収される(ステップS16)。そして、レンタル会社の工場において、使用後の布おむつ11、回収容器51、第1運搬具31及び第2運搬具41が洗濯又は洗浄されて(ステップS17)、洗濯及び乾燥後に再びレンタル用として使用される(ステップS11に戻る)。
【0025】
次に、上述した本実施形態のレンタルシステムにおいて使用される第1運搬具31について、図4に基づいて説明する。
図4(a)(b)に示すように、第1運搬具31は、略四角形の布材が2枚重ねられた状態で側縁に沿って縫合されてなるシート状の本体部32を有している。そして、本体部32の表面側となる布33には、図4(a)に示すように、雄型のスナップボタン34a、ボタン35a及び平ゴム36aが取り付けられており、4つのボタンホール37a〜37dが形成されている。
【0026】
また、本体部32の裏面側となる布38には、図4(b)に示すように表面側の布33に取り付けられている雄型のスナップボタン34aと嵌合する雌型のスナップボタン34b、2つのボタン35b,35c及び平ゴム36bが取り付けられている。そして、図4(c)、図5(a)(b)に示すように、シート状の本体部32を折りたたむことによって袋状に形成され、布おむつ11を収納する第1運搬具31が形成される。
【0027】
このように、第1運搬具31は1枚のシート状に展開することができ、且つ紐を使用せずに袋状に形成することができるので、洗濯が容易に行え、繰り返して使用することができる。また、図5(c)に示すように、第1運搬具31は小さく畳まれた使用前の布おむつ11を収納した状態で、ベビーベッドの柵39などに括着することができるので、使用場所に近いところに布おむつ11を収納保管しておくことができる。さらに、収納する品物の形状により、第1運搬具31を袋状だけでなく他の形状に形成して使用することができる。
【0028】
次に、上述した本実施形態のレンタルシステムにおいて使用される第2運搬具41について、図6に基づいて説明する。
図6(a)(b)に示すように、第2運搬具41は、第1運搬具31の本体部32よりも大きな略四角形の布材が2枚重ねられた状態で側縁に沿って縫合されてなるシート状の本体部42を有している。そして、本体部42の表面側となる布43には図6(a)に示すように雄型の小スナップボタン44a及び4対の大スナップボタン45a〜45hが取り付けられている。そして、環状に形成された取っ手46が本体部42を対角線方向に縦断するように取り付けられている。
【0029】
また、本体部42の裏面側となる布47には、図6(b)に示すように表面側の布43に取り付けられている雄型の小スナップボタン44aと嵌合する雌型の小スナップボタン44b、2対の小スナップボタン48a〜48d及び2対の大スナップボタン49a〜49dが取り付けられている。そして、図6(c)に示すように、シート状の本体部42を折りたたむことによって第1運搬具31を収納して運搬する第2運搬具41が形成される。第1運搬具31と同様に、第2運搬具41はシート状に展開することができ、対応するスナップボタン同士(44aと44b、45aと45d、45bと45c、45eと45h、45fと45g、49aと49c、49bと49d、48aと48c、48bと48d)を嵌合させるのみで袋状に形成することができるため、洗濯が容易に行え、繰り返し使用することができる。
【0030】
次に、上述した本実施形態のレンタルシステムにおいて使用される回収容器51について、図7に基づいて説明する。
図7(a)に示すように、回収容器51は、平面六角形状に形成された底部材52と、底部材52の周縁に沿って環状に立設される側面部材53と、側面部材53の上端に支持される六角形状の蓋部材54とから構成されており、これらは分離できるようになっている。
【0031】
図7(b)に示すように、底部材52は、上面に開口部52aを有する有底六角形状に形成され、その内底面部52bには周縁に沿って六角環状をなす溝55が設けられている。この溝55は、側面部材53の下端部が差し込まれる溝であり、その溝55内には、例えば発泡ポリエチレンなどで形成された図示しないシール部材が配設されている。また、底部材52は、その外周縁に折曲可能な一対の係止板56aを有しており、各係止板56aには2つの雄型のスナップボタン57a,58aが取り付けられていると共に、手の指先を差込可能な凹凸状に形成された取っ手部材59aが形成されている。すなわち、この取っ手部材59aは、回収容器51の組み立て状態時に側面部材53の外側面と面一となる面に、親指以外の各指(人差し指、中指、薬指、小指)の指先を差込可能とする凹部を形成している。
【0032】
また、図7(c)に示すように、側面部材53は、7枚の同一長方形状をなす板材60a〜60gがそれらの長辺同士を連結させてなる一枚の矩形板状に形成されているとともに、それら各板材60a〜60gの境界線となる一直線状の折曲線Mに沿って折曲可能になっている。また、側面部材53における各板材60a〜60gの連結方向(図7(c)において左右方向)の両端に配置される板材60aと板材60gのうち一方の板材60aの表面には4つの雄型のスナップボタン61a〜64aが取り付けられている。そして、他方の板材60gの裏面には上記一方の板材60aにおける雄型のスナップボタン61a〜64aと対になる雌型のスナップボタン61b〜64bが取り付けられている。
【0033】
また、上記一方の板材60aに連接する隣の板材(図7(c)において左から2番目の板材)60bの長辺方向(縦方向)の両端には略四角形の取っ手孔65a,65bが形成されている。そして、この板材60bの表面上において、上下一対の取っ手孔65a,65bのうち回収容器51の組み立て状態時に底部材52側に配置されることになる取っ手孔65aの上側近傍位置には、底部材52の雄型のスナップボタン57a,58aと対になる雌型のスナップボタン57b,58bが取り付けられている。
【0034】
また、平面視六角形状の回収容器51の組み立て状態時に板材60bと内面同士が対向することになる板材(図7(c)において右から3番目の板材)60eの長辺方向(縦方向)の両端にも、板材60bの場合と同様に上下一対の取っ手孔65a,65bが形成されている。そして、その板材60eの表面上において、上下一対の取っ手孔65a,65bのうち回収容器51の組み立て状態時に底部材52側に配置されることになる取っ手孔65aの上側近傍位置にも、底部材52の雄型のスナップボタン57a,58aと対になる雌型のスナップボタン57b,58bが取り付けられている。そして更に、この板材60eには、その裏面側において上下一対の取っ手孔65a,65bのうち回収容器51の組み立て状態時に蓋部材54側に配置されることになる取っ手孔65bの上側近傍位置に、2つの雌型のスナップボタン57c,58cが取り付けられている。
【0035】
また、図7(d)(e)に示すように、蓋部材54は、六角形の枠状に形成された上枠部材66と、上枠部材66における六辺のうちの一辺に対して開閉可能に連結される開閉部材67とから構成されている。上枠部材66の内面側には、六辺のうちの一辺を除く五辺に沿って連続するフランジ部68が形成されると共に、そのフランジ部68の基端部分には上枠部材66の内周縁に沿って底部材52における溝55のシール部材と同様のシール部材を取付けた溝69が設けられている。
【0036】
また、上枠部材66は、その外周縁を構成する六辺のうちフランジ部68が形成されていない一辺と、この一辺に対向する一辺とからなる互いに対向し合う二辺に対して、底部材52に設けられた一対の係止板56aと同様の折曲可能な一対の係止板56bを有している。そして、それらの係止板56bには、側面部材53における上側の取っ手孔65bに嵌入可能であって且つ手の指先を差込可能な凹凸状に形成された取っ手部材59bが形成されている。また、上枠部材66の六辺のうちフランジ部68が形成されていない一辺と対向する一辺の上端縁には、取っ手部材59bと略同一幅の係止凹部70が切欠形成されている。
【0037】
図7(e)に示すように、開閉部材67は樹脂製の六角形の板状に形成され、上枠部材66に取着された状態で回収容器51における天板を構成するように形成されている。開閉部材67の外周縁を構成する六辺のうちの一辺からは矩形状の連結片71が折曲可能に延設され、その連結片71における回収容器51の組み立て状態時に上枠部材66の内面に対応する側の面には、側面部材53における上側の取っ手孔65bの上側近傍位置に設けられた2つの雌型のスナップボタン57c,58cと対になる雄型のスナップボタン57d,58dが取付けられている。
【0038】
また、開閉部材67の外周縁を構成する六辺のうち連結片71が延設された一辺と対向する一辺からは上枠部材66の係止凹部70に係入可能な摘み片72が突設されている。さらに、開閉部材67における天板となる部分の内面には六角環状をなすシール部材73が取り付けられており、開閉部材67が摘み片72を上枠部材66の係止凹部70に係止させた閉鎖状態では、このシール部材73が上枠部材66側のフランジ部68に当接してシール構造を形成するようになっている。
【0039】
次に、これらの回収容器51の各部品(底部材52、側面部材53、蓋部材54)を組み立てる手順について説明する。
まず、蓋部材54における上枠部材66の内側に開閉部材67の連結片71を差し込み、雌雄のスナップボタン57c,58c,57d,58d同士を嵌合することにより、上枠部材66に開閉部材67を連結して蓋部材54を形成する。次に、展開状態の側面部材53を六角筒状に巻いて両端の板材60aと板材60gとを重ねあわせ、両板材60a,60gに取り付けられた4対のスナップボタンをそれぞれ嵌合することにより、側面部材53を上下方向に六角形状の開口を有する六角筒状に形成する。
【0040】
次に、六角筒状に形成した側面部材53の下側開口に底部材52を嵌めこみ、さらに側面部材53の取っ手孔65aに底部材52の取っ手部材59aを嵌合すると共に、互いに対応する雌雄のスナップボタン57a,58a,57b,58b同士を嵌合する。すると、筒形状態にある側面部材53の下端部が底部材52の内面の溝55に差し入れられてシール部材と密着することでシール構造を形成する。そして、この場合において、底部材52における係止板56aの取っ手部材59aは、スナップボタン57a,58a,57b,58bと共に底部材52を側面部材53に係止させる係止機能部として機能する。
【0041】
そして次に、底部材52の場合と同様に、六角筒状をなす側面部材53の上側開口に蓋部材54を嵌合させ、さらに側面部材53の取っ手孔65bに蓋部材54の取っ手部材59bを嵌合する。すると、筒形状態にある側面部材53の上端部が蓋部材54の内面の溝69に差し入れられてシール部材と密着することでシール構造を形成する。そして、この場合において、蓋部材54における係止板56bの取っ手部材59bは、蓋部材54を側面部材53に係止させる係止機能部として機能する。その結果、図7(a)に示すような、回収容器51が組み立てられる。
【0042】
このように組み立てられた回収容器51は、分解したときには側面部材53等を平面状に展開可能であるため、洗浄が容易に行え、繰り返して使用することができる。また、回収容器51は底部材52と蓋部材54の内周縁に沿って側面部材53の上下両端部と密着可能なシール部材が配置されているので、組み立て状態においては密閉性が高くなっており、使用済みのおむつの臭い洩れが緩和される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のカバー一体型の布おむつ11は、以下の効果を得ることができる。
(1)カバー13における股布部16bの幅方向両側の縁部21には、伸縮性を有するバイアステープ22が収縮力に抗した伸張状態で縫着されているので、カバー一体型の布おむつ11を被着用者に着用させたときに、バイアステープ22と共に股布部16bの縁部21が伸縮する。そして、バイアステープ22は、その長手方向の両端部分23が股布部16bにおける幅方向の内側へ向けて裏表反転するように折り込まれた状態で縫着されている。したがって、カバー一体型の布おむつ11を展開状態にして置いたときに、バイアステープ22と共に股布部16bの縁部21が収縮することにより、布おむつ11の全体形状が被着用者の体に合わせた立体的な形状になるため、着用時における被着用者の体に対する密着性を高めることができる。
【0044】
(2)しかも、内側に配置されるおむつ本体12のほうが外側に配置されるカバー13よりも股布部16a,16bの長さ方向における寸法が短くなっている。したがって、おむつ本体12とカバー13とを、それぞれの腰布部14a,14bと腹布部15a,15bの股布部16a,16bの長さ方向で股布部16a,16bからみて遠い側の部位同士で結合させると、外側のカバー13が内側のおむつ本体12を包み込む方向に湾曲して、カバー一体型の布おむつ11の全体形状が立体的となるため、さらに一層、被着用者の体に布おむつ11を密着させることができるようになる。
【0045】
(3)また、布おむつ11は、内側のおむつ本体12が吸水性を有する一方で、外側のカバー13が防水性を有しているため、被着用者に着用させた場合、外側のカバー13により尿漏れ抑制を図ることができる。
【0046】
なお、本実施形態のカバー一体型の布おむつ11は、以下のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施形態において、おむつ本体12は3層構造となっているが、2層以下或いは4層以上であってもよい。また、カバー13は2層構造となっているが、1層或いは3層以上であってもよい。
【0047】
・上記実施形態において、カバー13は防水性を有していないカバーであってもよい。
・上記実施形態において、おむつ本体12とカバー13との股布部16a,16bの長さ方向における寸法は同じであってもよい。
【0048】
・上記実施形態において、カバー13の股布部16bの縁部21に加えて、おむつ本体12の股布部16aの縁部にも、それぞれ伸縮性弾性体としてのバイアステープ22を、同様に収縮力に抗した伸張状態で且つ長手方向の両端部分23を内側に向けて捩れを有した状態にて縫着した構成としてもよい。このようにすれば、さらに一層、布おむつ11の全体形状を立体的な形状にし得る。
【0049】
・上記実施形態において、布おむつ11は、おむつ本体12及びカバー13以外の他の布材を更に重ねた多層の構造にしてもよく、その場合における少なくとも一層の布材における股布部の幅方向両端の縁部に沿って伸縮製弾性体としてのバイアステープ22が縫着されていればよい。
【0050】
・上記実施形態において、布おむつ11は、カバー一体型に限らず、カバー13がなくて布製のおむつ本体12だけの布おむつ11に適用してもよい。なお、その場合、伸縮性を有するバイアステープ22は、おむつ本体12における股布部16aの幅方向両端の縁部に沿って収縮力に抗した伸縮状態で且つその長手方向の両端部分23が内側に向けて捩られた状態で縫着される。
【0051】
・上記実施形態において、おむつ本体12とカバー13とは、腰布部14a,14b、腹布部15a,15b、及び股布部16a,16bの全ての周縁同士が互いに縫合により一体化されている布おむつ11であってもよい。
【0052】
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について、それらの効果と共に以下に追記する。
(イ)前記伸縮性弾性体は、前記外側の布材における前記股布部の幅方向両端の縁部に沿って縫着されていることを特徴とする請求項3に記載の布おむつ。
【0053】
この技術的思想(イ)によれば、その布おむつを展開状態にして置いたときに、外側の布材が内側の布材を包み込むように内側に湾曲した立体的形状になるので、着用時における被着用者の体に対する密着性を更に高めることができる。
【0054】
(ロ)前記内側の布材は、着用者に接する側に配置されて透水性を有する透水布と、その外側に配置されて吸水性を有する吸水布とから構成されていることを特徴とする請求項3又は上記技術的思想(イ)に記載の布おむつ。
【0055】
この技術的思想(ロ)によれば、着用者に接する側の布材は尿などを吸水した吸水布と着用者の肌との間に透水布があるので、着用者に不快感を与える虞が少なくなる。
(ハ)展開状態と筒形状態とに変形可能な側面部材と、筒形状態にある前記側面部材の下側開口に嵌合可能な底部材と、筒形状態にある前記側面部材の上側開口に嵌合可能な蓋部材とからなり、前記蓋部材には閉鎖状態から開放状態とされることで物品の投入を可能とする開閉部材が連結されると共に、筒形状態にある前記側面部材の下端部と底部材との間及び筒形状態にある前記側面部材の上端部と蓋部材との間にはシール構造が形成されることを特徴とする回収容器。
【0056】
この技術的思想(ハ)の回収容器によれば、例えば使用済みの布おむつ11などの汚れ物品を回収するための保管時に臭い漏れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0057】
11…布おむつ、12…布材としてのおむつ本体、13…布材としてのカバー、14a,14b…腰布部、15a,15b…腹布部、16a,16b…股布部、21…縁部、22…伸縮性弾性体としてのバイアステープ、23…両端部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着用者の腰の後ろ側を被覆可能に形成された腰布部と、前記被着用者の下腹部を被覆可能に形成された腹布部と、前記腰布部と前記腹布部とを連結して前記被着用者の股下を被覆可能に形成された股布部とを有する布材を少なくとも一つ備え、
当該少なくとも一つの布材における前記腰布部と前記腹布部とを所定長さに亘り連結する前記股布部の長さ方向と交差する幅方向両端の縁部には、それらの縁部に沿って長尺帯状の伸縮性弾性体が、その収縮力に抗した伸張状態で且つ当該伸縮性弾性体における長手方向の両端部分を前記股布部における幅方向の内側へ向かって表裏反転するように折り込まれた状態で縫着されている
ことを特徴とする布おむつ。
【請求項2】
複数の前記布材が重ねられて、各々の布材における前記腰布部同士及び前記腹布部同士を前記股布部の長さ方向で当該股布部からみて遠い側の部位同士で結合しているとともに、
前記複数の布材のうち着用時に被着用者の体に対して近い側になる内側の布材の方が被着用者の体から遠い側になる外側の布材よりも前記股布部同士の長さ方向における寸法が短い
ことを特徴とする請求項1に記載の布おむつ。
【請求項3】
前記複数の布材のうち、前記被着用者に接する内側の布材は吸水性を有し、前記外側の布材は防水性を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の布おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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