説明

布団カバー及び係止体

【課題】布団の出し入れの作業性を向上させた布団カバーを提供するものである。
【解決手段】布団カバーは、布団を収納するものであって、布団を出し入れする開口部を備え、開口縁部に対向するのは、一方の側の部位1eと他方の側の部位1e’である。一方の側の部位に係止部材3、他方の側の部位に被係止部材4が取り付けられ、係止部材を被係止部材に係止するには、第2の平坦面状部材3aがループ状部材4bの開口部へ挿入できる位置までループ状部材をスライドさせ、第2の平坦面状部材をスライドしたループ状部材の開口部内を挿通させ、ループ状部材を前記スライドの方向と逆方向にスライドさせて、第2の平坦面状部材をループ状部材に係止させて、第2の平坦面状部材の移動を規制するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団カバー及び係止体に係り、特に、布団の出し入れの作業性を向上させた布団カバー及び作業性を向上させた係止体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布地を封筒状に形成した袋体の一部に開口部を有した布団カバーがあり、前記開口部を介して布団を出し入れできるようにすると共に、収納した布団が袋体の外へはみ出ないように、開口縁部にボタン、面状ファスナー、紐等を設けて前記開口部を閉じるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前記ボタンにあっては、前記ボタンが割れたり、布団カバーから前記ボタンが容易に取れたり、また、前記面状ファスナーにあっては、アイロンの熱により破損したり、また、前記紐にあっては、前記紐を結んだり、外したりしなければならず、特に、手が不自由な人にとっては、作業性が良くない上に、洗濯時、絡んで解けにくくなったり、絡んで布団カバーから取れたりするという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたもので、布団の出し入れの作業性を向上させた布団カバー及び作業性を向上させた係止体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の布団カバーは、布団を収納する布団カバーであって、この布団カバーは、布団を出し入れする開口部を備え、この開口部の縁部である開口縁部の対向する部位は、一方の側の部位と他方の側の部位であり、前記一方の側の部位に係止部材、前記他方の側の部位に前記係止部材に係止される被係止部材が取り付けられ、前記係止部材は、前記一方の側の部位に取り付けられる所定幅で直線的に延びる第1の平坦面状部材と、この第1の平坦面状部材の先端側に取り付けられ、左右側方に所定幅で張り出す第2の平坦面状部材とを有し、前記被係止部材は、前記他方の側の部位に取り付けられた跨り部材と、この跨り部材と表側の前記布団カバーとで形成された表側の通路と前記跨り部材と裏側の前記布団カバーとで形成された裏側の通路とにそれぞれ挿通され、移動自在に支持されたループ状部材とを有し、前記跨り部材は、一端部を前記他方の側の部位の表側の前記布団カバーに取り付けられ、中途部を前記開口縁部に取り付けられ、他端部を前記他方の側の部位の裏側の前記布団カバーに取り付けられ、前記表側の通路は、前記跨り部材の前記一端部と前記中途部との間の部位と該間の部位に対向する表側の前記布団カバーの部位とで形成された空間であり、前記裏側の通路は、前記跨り部材の前記中途部と前記他端部との間の部位と該間の部位に対向する裏側の前記布団カバーの部位とで形成された空間であり、前記第2の平坦面状部材が前記ループ状部材の開口部へ挿入できる位置まで前記ループ状部材をスライドさせ、前記第2の平坦面状部材をスライドした前記ループ状部材の開口部内を挿通させ、前記ループ状部材を前記スライドの方向と逆方向にスライドさせて、前記第2の平坦面状部材を前記ループ状部材に係止させて、前記第2の平坦面状部材の移動を規制するものである。
【0006】
また、請求項2記載の係止体は、請求項1記載の被係止部材に請求項1記載の係止部材を係脱する係止体であって、前記被係止部材及び被係止部材は、共に扁平した形状で、且つ、布製である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の布団カバーによれば、従来のように、紐を結んだり、外したりせず、第2の平坦面状部材がループ状部材の開口部へ挿入できる位置まで前記ループ状部材をスライドさせ、前記第2の平坦面状部材をスライドした前記ループ状部材の開口部内を挿通させ、前記ループ状部材を前記スライドの方向と逆方向にスライドさせて、前記第2の平坦面状部材を前記ループ状部材に係止させて、前記第2の平坦面状部材の移動を規制するため、開口部の開閉が簡易となり作業性を向上させ、特に、手が不自由な人にとっては、頗る便利となる効果を有する。
【0008】
また、請求項2記載の係止体によれば、従来のように、紐を結んだり、外したりせず、第2の平坦面状部材がループ状部材の開口部へ挿入できる位置までループ状部材をスライドさせ、前記第2の平坦面状部材をスライドした前記ループ状部材の開口部内を挿通させ、ループ状部材を前記スライドの方向と逆方向にスライドさせて、第2の平坦面状部材をループ状部材に係止させて、第2の平坦面状部材の移動を規制するため、開閉が簡易となり作業性を向上させ、特に、手が不自由な人にとっては、頗る便利となり、しかも、係止部材及び被係止部材は、共に扁平した形状で、且つ、布製であるため、傷付けることなく洗濯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施例の布団カバーの概略的斜視図である。
【図2】図2は、図1の一部を拡大して示す概略的一部拡大斜視図である。
【図3】図3は、図1の布団カバーに布団を入れる状態を示す概略的斜視図である。
【図4】図4は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大斜視図である。
【図5】図5は、図3の布団カバー内に布団を入れ、係止部材を被係止部材に係止する前の状態の概略的斜視図である。
【図6】図6は、図5の係止部材を被係止部材のループ状部材に挿通させた状態の概略的斜視図である。
【図7】図7は、図6の被係止部材のループ状部材を図6の矢印方向にスライドさせ、係止部材を被係止部材に係止させた状態の概略的斜視図である。
【図8】図8は、図2の被係止部材のループ状部材を製作する過程を示した概略的斜視図である。
【図9】図9は、図8記載のものを図8の矢印方向に折って扁平状態にした概略的斜視図である。
【図10】図10は、図9記載のものを図9の矢印方向に折って扁平状態にした概略的斜視図である。
【図11】図11は、図10記載のループ状部材が跨り部材に取り付けられる前の状態を示す概略的斜視図である。
【図12】図12は、図11記載のループ状部材が跨り部材に取り付けられた状態を示す概略的斜視図である。
【図13】図13は、図12の13−13線による概略的断面図である。
【図14】図14は、図2の係止部材を一方の側の部位に取り付ける前の状態を示す概略的斜視図である。
【図15】図15は、図14の係止部材を一方の側の部位に取り付けた状態を示す概略的斜視図である。
【図16】図16は、図15の16−16線による概略的断面図である。
【図17】図17は、図1の係止部材、被係止部材を衣服に取り付けた状態の概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例の布団カバー及び係止体を図面を参照して説明する。
図1に示す1は布団カバーで、布団カバー1は、掛け布団、敷き布団等の布団2を収納するためのカバーであって、このカバーは布地を封筒状に形成した袋体であり、表生地1aと裏生地1bを重ね合わせて、前縁1A、一方の側縁1B及び下縁1Cを縫い合わせている。なお、他方の側縁1Dにあっては、他方の側縁1Dの一部を残して縫い合わせし、他方の側縁1Dの縫い合わせていない部分が布団2を出し入れする開口部1Eとなっている。
【0011】
開口部1Eの縁部である開口縁部の対向する部位は、一方の側の部位1eと他方の側の部位1e’で、一方の側の部位1eに係止部材3、他方の側の部位1e’に係止部材3に係止される被係止部材4が、例えば、縫製により取り付けられている。
係止部材3は、例えば、扁平した形状で、且つ、布製であり、一方の側の部位1eに取り付けられる所定幅で直線的に延びる第1の平坦面状部材3aと、この第1の平坦面状部材3aの先端側に取り付けられ、左右側方に所定幅で張り出す第2の平坦面状部材3bとを有し、一方の側の部位1eに、例えば、縫製により取り付けられている(図14乃至図16参照)。
【0012】
被係止部材4は、例えば、扁平した形状で、且つ、布製であり、他方の側の部位1e’に取り付けられた跨り部材4aと、この跨り部材4aと表側の布団カバー1とで形成された表側の通路P1(図13参照)と跨り部材4aと裏側の布団カバー1とで形成された裏側の通路P2(図13参照)とにそれぞれ挿通され、移動自在に支持されたループ状部材(扁平環状体)4bとを有している。
ループ状部材(扁平環状体)4bは、図8に示す部材を図8に示す方向に折って、扁平状態とし(図9参照)、図10に鎖線で示すように縫製し、跨り部材4aに取り付けられる(図11乃至図13)。
即ち、跨り部材4aは、例えば、帯状部材で、一端部4a1を他方の側の部位1e’の表側の布団カバー1に取り付けられ、中途部4a2を開口縁部(開口部1E)に取り付けられ、他端部4a3を他方の側の部位1e’の裏側の布団カバー1に取り付けられている。
上述した表側の通路P1は、図13に示すように、跨り部材4aの一端部4a1と中途部4a2との間の部位と該間の部位に対向する表側の布団カバー1の部位とで形成された空間であり、また、上述した裏側の通路P2も、図13に示すように、跨り部材4aの中途部4a2と他端部4a3との間の部位と該間の部位に対向する裏側の布団カバー1の部位とで形成された空間である。
ループ状部材(扁平環状体)4bの対向する部位の一方を表側の通路P1に、ループ状部材(扁平環状体)4bの対向する部位の他方を裏側の通路P2とにそれぞれ挿通させてスライドできるようにしている。
【0013】
従って、図2に示すように、開口部1Eより布団2を入れて、開口部1Eを閉じるには、先ず、図5に示すように、第2の平坦面状部材3aがループ状部材4bの開口部へ挿入できる位置までループ状部材4bをスライドさせる。次に、第2の平坦面状部材3aをスライドしたループ状部材4bの開口部内を挿通させる(図6参照)。
次に、ループ状部材4bを前記スライドの方向と逆方向(図6に記載の矢印方向)にスライドさせて、第2の平坦面状部材3aをループ状部材4bに係止させて(図7参照)、第2の平坦面状部材3aの移動を規制して、係止部材3と被係止部材4との係止状態を保持するようにしている。
なお、布団カバー1から布団2を取り出すときには、上述と逆の操作をして、係止部材3と被係止部材4との係止状態を解除して開口部1Eを開けて、開口部1Eを介して布団カバー1から布団2を取り出すようにする。
【0014】
上述した本実施例の布団カバー1によれば、従来のように、紐を結んだり、外したりせず、第2の平坦面状部材3aがループ状部材4bの開口部へ挿入できる位置までループ状部材4bをスライドさせ、第2の平坦面状部材3aをスライドしたループ状部材4bの開口部内を挿通させ、ループ状部材4bを前記スライドの方向と逆方向にスライドさせて、第2の平坦面状部材3aをループ状部材4bに係止させて、第2の平坦面状部材3aの移動を規制するため、開口部1Eの開閉が簡易となり作業性を向上させ、特に、手が不自由な人にとっては、頗る便利となる効果を有する。
また、係止部材3及び被係止部材4は、共に扁平した形状で、且つ、布製とすれば、布団カバー1を傷付けることなく洗濯することができる。
【0015】
上述した係止部材3、被係止部材4は、布団カバー1のみならず、例えば、図17に示す衣服10でも良く、一方の側の部位1eに係止部材3、他方の側の部位1e’に係止部材3に係止される被係止部材4が取り付けられ、被係止部材4に係止部材3を係脱する係止体であれば良い。
【符号の説明】
【0016】
1 布団カバー
1E 開口部
1e 一方の側の部位
1e’ 他方の側の部位
2 布団
3 係止部材
3a 第2の平坦面状部材
4 被係止部材
4b ループ状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布団を収納する布団カバーであって、
この布団カバーは、布団を出し入れする開口部を備え、
この開口部の縁部である開口縁部の対向する部位は、一方の側の部位と他方の側の部位であり、
前記一方の側の部位に係止部材、前記他方の側の部位に前記係止部材に係止される被係止部材が取り付けられ、
前記係止部材は、前記一方の側の部位に取り付けられる所定幅で直線的に延びる第1の平坦面状部材と、この第1の平坦面状部材の先端側に取り付けられ、左右側方に所定幅で張り出す第2の平坦面状部材とを有し、

前記被係止部材は、前記他方の側の部位に取り付けられた跨り部材と、この跨り部材と表側の前記布団カバーとで形成された表側の通路と前記跨り部材と裏側の前記布団カバーとで形成された裏側の通路とにそれぞれ挿通され、移動自在に支持されたループ状部材とを有し、
前記跨り部材は、一端部を前記他方の側の部位の表側の前記布団カバーに取り付けられ、中途部を前記開口縁部に取り付けられ、他端部を前記他方の側の部位の裏側の前記布団カバーに取り付けられ、
前記表側の通路は、前記跨り部材の前記一端部と前記中途部との間の部位と該間の部位に対向する表側の前記布団カバーの部位とで形成された空間であり、
前記裏側の通路は、前記跨り部材の前記中途部と前記他端部との間の部位と該間の部位に対向する裏側の前記布団カバーの部位とで形成された空間であり、
前記第2の平坦面状部材が前記ループ状部材の開口部へ挿入できる位置まで前記ループ状部材をスライドさせ、前記第2の平坦面状部材をスライドした前記ループ状部材の開口部内を挿通させ、前記ループ状部材を前記スライドの方向と逆方向にスライドさせて、前記第2の平坦面状部材を前記ループ状部材に係止させて、前記第2の平坦面状部材の移動を規制する
ことを特徴とする布団カバー。
【請求項2】
請求項1記載の被係止部材に請求項1記載の係止部材を係脱する係止体であって、
前記被係止部材及び被係止部材は、共に扁平した形状で、且つ、布製である
ことを特徴とする係止体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−200488(P2012−200488A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69716(P2011−69716)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(392013796)伏見縫製株式会社 (4)
【Fターム(参考)】