説明

布団カバー

【課題】各種配管や配線が繋がった布団やマットレスなどの寝具に対して、配管や配線の寝具へ接続状態および配管や配線の太さや形状に関係なく幅広い形態の寝具に簡単に着脱することができる布団カバーを提供する。
【解決手段】布団カバー10は、略長方形状の袋状に形成されており、布製の表面部11と裏面部12とで構成されている。裏面部12には、その中央部に略長方形状の開口部14が形成されているとともに、同開口部14の隅部14aから対角線方向外側に向ってファスナ15が設けられている。ファスナ15は、裏面部12を分断した2つの布片12a,12bに設けられた一対のエレメント15aと、エレメント15aを結合または分離するスライダ15bとから構成されており、布片12a,12bの接合および分離を自在に行なう。このファスナ15は、開口部14側から表面部11の隅部側に向ってスライダ15bを変位させることにより閉じるように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団やマットレスに掛けられる布団カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、敷布団、掛布団またはマットレスなどの寝具においては、使用による直接的な汚損から寝具を保護するためシーツなどの布団カバーが掛けられて使用されている。布団カバーは、寝具を出し入れするための開口部を備えた布製の袋体であり、寝具より一回り大きい大きさの略長方形状に形成されている。このような布団カバーには、寝具を出し入れするための開口部がファスナなどの留め具により開閉自在に構成されたものと、留め具を用いず常に開口した状態に構成されたものとがあるが、いずれにしても作業者は、この開口部を介して寝具を出し入れすることによって布団カバーを寝具に装着または取り外しを行なっている。
【0003】
一方、敷布団やマットレスの中には、内部に空気を送り込んで使用面の硬さを調節できるものや、使用面の内側に設けた電熱線により使用面を暖めて使用者を保温するなどの機能を備えたものがある。このような機能を有する寝具においては、寝具に空気や電気を供給するための長尺の配管や配線が寝具の縁部や隅部に繋がっている。このため、布団カバーの寝具への着脱作業が行い難いとともに、布団カバーにもこれらの配管や配線を避けるための工夫が必要となる。例えば、寝具に繋がった配管や配線を通すために、下記特許文献1〜4に示すような貫通孔を布団カバーの縁部や隅部に設けるなどの構成が必要となる。なお、下記特許文献1〜4に示される貫通孔は、布団カバーの装着作業性を向上させるために設けられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭53−164414号公報
【特許文献2】実開昭61−194376号公報
【特許文献3】実開平01−145272号公報
【特許文献4】特開平06−217856号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、このような縁部や隅部に貫通孔を備えたのみの構成の布団カバーにおいては、貫通孔に配管や配線を通すためにこれらの配管や配線を寝具から一旦外して通す必要がある。このため、布団カバーの寝具への着脱作業が煩雑であるという問題がある。また、空気の供給中などの各種機能の使用中においては配管や配線を寝具から外すことができないため布団カバーの交換作業ができないという問題もある。さらに、配管や配線が寝具から外せないタイプの寝具、または貫通孔の大きさに対して配管や配線の太さが太い寝具においては布団カバーを寝具に装着できず寝具の種類に対する汎用性が低いという問題もある。
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、各種配管や配線が繋がった布団やマットレスなどの寝具に対して、配管や配線の寝具へ接続状態および配管や配線の太さや形状に関係なく幅広い形態の寝具に簡単に着脱することができる布団カバーを提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、布団やマットレスに掛ける布団カバーであって、布団やマットレスにおける使用面に掛けられる表面部と、開口部を有し、布団やマットレスにおける使用面の反対面に掛けられる裏面部と、裏面部における開口部から表面部の縁部に向かって閉じるファスナとを備えることにある。
【0008】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、布団カバーにおける使用面の反対側である裏面部に、開口部と同開口部から表面部の縁部に向かってファスナとが設けられている。そして、この場合、ファスナは、開口部から表面部の縁部に向って閉じる向きで設けられている。したがって、布団カバーを装着する作業者は、ファスナを外して同ファスナによって接合される2つの布片を分離した状態で同2つの布片の間に布団やマットレスなどの寝具に繋がった配管や配線を位置させつつ同2つの布片が分離することにより大きさが広がった開口部を介して寝具を布団カバー内に出し入れすることができる。この場合、寝具の配線や配管の周囲を覆う布団カバーの裏面部は、ファスナが開くことによって2つの布片に分離するため配管や配線を寝具から外すことなく繋がった状態で容易に布団カバー内に出し入れすることができる。そして、作業者は、分離した2つの布片をファスナを介して接合する。この場合、ファスナは、開口部から表面部の縁部に向って閉じられるため、配管や配線の太さに応じた位置でファスナのスライダを止めることにより分離した2つの布片を接合することができる。これらの結果、各種配管や配線が繋がった布団やマットレスなどの寝具に対して、配管や配線の寝具へ接続状態および配管や配線の太さや形状に関係なく幅広い形態の寝具に簡単に着脱することができる。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記布団カバーにおいて、前記開口部は、布団カバー内に布団やマットレスを出し入れ可能な大きさに形成されていることにある。
【0010】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、布団カバーの裏面部に形成された開口部は布団やマットレスを出し入れ可能な大きさに形成されている。これにより、ファスナを閉じた状態で布団カバー内に布団やマットレスなどの寝具を挿入することができる。この結果、より簡単に寝具を布団カバーに着脱することができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記布団カバーにおいて、裏面部は、ファスナが形成されるとともに同ファスナによって互いに接合または分離する2つの布片部分に、同部分に余裕を持たせるための襠が形成されていることにある。
【0012】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、裏面部におけるファスナが形成される部分に同部分に余裕を持たせるための襠が形成されている。このため、ファスナを開くことにより分離した2つの布片の間に容易に配管や配線を配置することができるとともに、同2つの布片の間から容易に配管や配線を取り除くことができる。また、
ファスナを閉じた際においては、閉じたスライダの開く側への自然変位を抑えることができる。すなわち、布団カバーの寝具への着脱作業の作業性および布団カバーを寝具に装着した際の装着安定性を向上させることができる。
【0013】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記布団カバーにおいて、前記表面部は、上面視において方形状に形成されており、ファスナは、開口部から表面部における四隅のうちの少なくとも1つの隅部に向って設けられていることにある。
【0014】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、方形状に形成されるとともに、同方形状のうちの隅部に配管や配線が設けられた寝具、すなわち、一般的に最も多く採用されている形態の寝具に対して、配管や配線の寝具へ接続状態および配管や配線の太さや形状に関係なく簡単に着脱することができる。
【0015】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記布団カバーにおいて、前記表面部と前記裏面部との境部分に貫通孔状の切欠き部が形成されていることにある。
【0016】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、布団カバーの縁部に切欠き部を設けることにより、布団カバーを洗濯する際に切欠き部を介して水が流通するため布団カバーの内側部分の洗浄が促進されるとともに同内側部分にゴミが溜まることを防止することができる。また、寝具に布団カバーを被せる際、切欠き部を利用して布団カバーを作業性良く寝具に装着することができる。具体的には、切欠き部内に手を挿入するなどして、布団カバーと寝具との位置関係や布団カバーの張り具合の調整および布団カバーのシワや偏りの除去などを行なうことができる。また、布団カバーと寝具との間に電気毛布を配置する場合においても、電気毛布を敷く作業を行いやすくすることができる。
【0017】
また、請求項6に係る本発明の他の特徴は、前記布団カバーにおいて、前記表面部は、上面視において方形状に形成されており、切欠き部は、表面部における四隅にそれぞれ設けられていることにある。
【0018】
このように構成した請求項6に係る本発明の他の特徴によれば、表面部の四隅に切欠き部が形成されている。これにより、前記と同様に、布団カバーの内側部分の洗浄が促進されるとともに同内側部分にゴミが溜まることを防止される。また、寝具に布団カバーを被せる際、切欠き部を利用して布団カバーを作業性良く寝具に装着することができる。具体的には、切欠き部内に寝具の四隅部分を適宜挿入して引っ掛けたり、前記と同様に切欠き部内に手を挿入するなどして、布団カバーと寝具との位置関係や布団カバーの張り具合の調整および布団カバーのシワや偏りの除去などを行なうことができる。さらに、また、布団カバーを寝具から外した状態で布団カバーにおける長手方向に形成された2つの切欠き部にそれぞれ棒体を貫通させることにより、布団カバーを担架として用いることもできる。
【0019】
また、請求項7に係る本発明の他の特徴は、前記布団カバーにおいて、ファスナは、開口部から切欠き部に亘って設けられていることにある。
【0020】
このように構成した請求項7に係る本発明の他の特徴によれば、寝具における配管や配線が設けられた位置に対応して布団カバーの縁部に切欠き部を配管や配線の太さに応じた大きさで形成しておくことにより、寝具に設けられた配管や配線に対してより治まりの良い状態で布団カバーを装着することができる。この場合、切欠き部が設けられる縁部には、方形状に形成された布団カバーにおける隅部も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A),(B)は、本発明の一実施形態に係る布団カバーの全体構成を示しており、(A)は平面図であり、(B)は背面図である。
【図2】図1に示す布団カバーが装着されるエアマットレスの外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示す布団カバーにおいてファスナを開いた状態を示す背面図である。
【図4】(A),(B)は、図1に示す布団カバーを図2に示すエアマットレスに装着した状態を示しており、(A)は表側斜視図であり、(B)は裏側斜視図である。
【図5】(A),(B)は、本発明の変形例および他の変形例をそれぞれ示した背面図である。
【図6】本発明の他の変形例を示した背面図である。
【図7】本発明の他の変形例を示した背面図である。
【図8】(A),(B)は、本発明の他の変形例に係る布団カバーの平面図を示しており、(A)はファスナを閉じた状態を示す背面図であり、(B)はファスナを開いた状態を示す背面図背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る布団カバーの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(A),(B)は、本発明に係る布団カバー10の平面図および背面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この布団カバー10は、例えば、図2に示すようなエアマットレス20の外表面に掛けられてエアマットレス20の汚損を防止するためのものである。ここで、エアマットレスとは、主として寝たきりの患者の褥瘡(床ずれ)防止を目的として、マットレス21の内部にエア配管22を介して空気を供給または同内部に供給された空気を排出することによりマットレス21における使用面(表面)23の硬さや角度を変化させることができる介護用の寝具である。
【0023】
(布団カバー10の構成)
布団カバー10は、平面視において略長方形状をした袋状に形成されており、主として綿材およびポリエステル材からなる表面部11および裏面部12によって構成されている。表面部11は、エアマットレス20における使用面23に掛けられて同使用面23を覆う部分であり、布団カバー10の使用者に直接触れる使用面となる部分である。この表面部11は、布団カバー10を装着するエアマットレス20の使用面23の大きさより若干大きく形成されている。本実施形態においては、表面部11は、910mm×1950mmの大きさに形成されている。なお、表面部11の大きさは、布団カバー10を装着する布団やマットレスの使用面の大きさに応じて適宜決定されるものであり、本実施形態の大きさに限定されるものではない。
【0024】
この表面部11の周囲には、裏面部12が形成されている。裏面部12は、エアマットレス20の側面および底面に掛けられてエアマットレス20を包み込む部分であり、表面部11の裏面側に向って折り返されて形成されている。この裏面部12と前記表面部11との境部分における布団カバー10の四隅には、円形の貫通孔で構成された切欠き部13a〜13dがそれぞれ形成されている。
【0025】
切欠き部13a〜13dは、布団カバー10をエアマットレス20に装着する作業または取り外す作業を行い易くするとともに、布団カバー10の洗濯時における布団カバー10の内側部分(袋部分)への洗浄水の流通を促進して洗浄効果の向上および同内側部分のゴミの残留を防止するためのものである。また、エアマットレス20の使用者の救急時においては、布団カバー10をエアマットレス20から取り外した状態で同布団カバー10の長手方向に沿って図示しない棒体を切欠き部13a,13cよび切欠き部13b,13dに挿し込むことにより布団カバー10を担架として用いることができるものでもある。
【0026】
これらの切欠き部13a〜13dの各直径は、本実施形態においては、切欠き部13a〜13cが約80mm、切欠き部13dが約50mmにそれぞれ形成されている。この場合、切欠き部13dの直径が切欠き部13a〜13cの直径に比べて小さいのは、裏面部12に形成される切欠き部13dの近傍に後述するファスナ15が形成されるためである。なお、切欠き部13a〜13dの各直径は、使用目的に応じて適宜設定されるものであり、本実施形態に限定されるものではないことは当然である。
【0027】
一方、この裏面部12の中央部には、布団カバー10の長手方向に沿った略長方形状の開口部14が形成されている。開口部14は、布団カバー10をエアマットレス20に装着する際または取り外す際にエアマットレス20を布団カバー10内に出し入れするための貫通孔である。本実施形態においては、開口部14は、810mm×1850mmの大きさに形成されている。なお、開口部14の大きさもエアマットレス20を出し入れ可能な大きさであれば、本実施形態の大きさに限定されるものではない。すなわち、裏面部12の形状や大きさは、エアマットレス20の側面の厚さや開口部14の大きさに応じて決定されるものであり、上記実施形態に限定されるものではない。
【0028】
また、裏面部12には、開口部14の四隅のうちの1つの隅部14aから対角線方向外側(図示左下方)に向って切欠き部13dの手前の位置までファスナ15が設けられている。本実施形態においては、ファスナ15は、開口部14の隅部14aから切欠き部13dの手前約50mmの位置まで、約450mmの長さで設けられている。ファスナ15は、裏面部12を隅部14aから前記切欠き部13dの手前部分まで分断した2つの布片12a,12bに一対のエレメント(務歯)15aを設けるとともに、これら一対のエレメント15aをスライダ15bの変位によって結合または分離させることによって前記2つの布片12a,12bの接合および分離を自在に行なうための樹脂製の留め具である。このファスナ15は、開口部14側から表面部11の隅部側に向ってスライダ15bを変位させることにより閉じるように設けられている。
【0029】
また、ファスナ15が形成された2つに布片12a,12bには、同布片12a,12bに余裕を持たせるための襠が形成されている。布片12a,12bは、ファスナ15を開いて布片12a,12bが互いに分離した状態で、互いの一部分同士が重なり合う程度の大きさに形成されている。したがって、ファスナ15を閉じた際には、布片12a,12bが弛んだ状態となる(図1(B)参照)。
【0030】
(布団カバー10の作動)
次に、上記のように構成した布団カバー10の作動について説明する。まず、作業者は、エアマットレス20の大きさに対応した大きさの布団カバー10を用意する。次に、作業者は、図3に示すように、布団カバー10のファスナ15におけるスライダ15bを開口部14側にスライドさせて裏面部12における2つの布片12a,12bを分離した状態とする。これにより、裏面部12における2つの布片12a,12bは、切欠き部13d側から開口部14側に向かって開くように分離される。
【0031】
次に、作業者は、布団カバー10の裏面部12における開口部14にエアマットレス20を通すことにより布団カバー10をエアマットレス20に被せる。具体的には、作業者は、エアマットレス20の使用面23が布団カバー10の表面部11によって覆われるとともに、分離した2つの布片12a,12bの間にエアマットレス20のエア配管22が位置するように布団カバー10をエアマットレス20に被せる。この場合、布団カバー10の裏面部12における布片12a,12bは互いに分離した状態であるため、エアマットレス20のエア配管22をエアマット21から外すことなく布団カバー10をエアマットレス20に被せることができる。また、2つの布片12a,12bには襠が形成されているため、布片12aと布片12bとの間を大きく開口することができ、エアマットレス20のエア配管22を布片12aと布片12bとの間に容易に配置することができる。
【0032】
また、この場合、作業者は、エアマットレス20に布団カバー10を被せる際、切欠き部13a〜13dを利用して布団カバー10をエアマットレス20に装着する。具体的には、切欠き部13a〜13d内にエアマットレス20の四隅部を適宜挿入して引っ掛けたり、同切欠き部13a〜13d内に手を挿入するなどして、布団カバー10とエアマットレス20との位置関係や布団カバー10の張り具合の調整および布団カバー10のシワや偏りの除去などを行なう。
【0033】
次に、作業者は、互いに分離した布片12a,12bを互いに寄せてファスナ15のエレメント15aにおける隅部14a側の端部を接続した後、スライダ15bを隅部14a側から切欠き部13d側にスライドさせることによりファスナ15を閉める。この場合、作業者は、スライダ15bをエアマットレス20のエア配管22に当たる位置までスライドさせる。これにより、図4(A),(B)に示すように、エアマットレス20における裏面からエア配管22までの範囲がエア配管22の数や太さに関わらず布団カバー10の裏面部12によって覆われてエアマットレス20への布団カバー10の装着作業が完了する。
【0034】
この場合、2つの布片12a,12bには襠が形成されているため、接合された2つの布片12a,12bは、エアマットレス20におけるエア配管22の周囲の形状に応じて膨らんだ状態または弛んだ状態となる。すなわち、接合状態にあるファスナ15のエレメント15aが上下方向に曲がった状態となるため、閉じたスライダ15bの開く側への自然変位を抑えることができる。これにより、布団カバー10を安定的にエアマットレス20に装着することができる。なお、図4(B)は、布団カバー10のエアマットレス20への装着状態の理解を助けるため、布団カバー10が装着されたエアマットレス20を敢えて裏面から見た斜視図を示している。
【0035】
そして、このように布団カバー10が装着されたエアマットレス20は使用者による利用に供される。一方、エアマットレス20から布団カバー10を取り外す場合には、作業者は、ファスナ15におけるスライダ15bを切欠き部13d側から開口部14側にスライドさせて裏面部12における2つの布片12a,12bを分離させる。これにより、裏面部12における2つの布片12a,12bは、切欠き部13d側から開口部14に向かって開くように分離される。したがって、作業者は、エアマットレス20におけるエア配管22から布団カバー20の裏面部23を外すとともに、開口部14を介してエアマットレス20を布団カバー10から抜き取ることにより布団カバー10をエアマットレス20から取り外すことができる。なお、この場合においても、2つの布片12a,12bに形成された襠により布片12aと布片12bとの間を大きく開口することができるため、布片12aと布片12bとの間から容易にエアマットレス20のエア配管22を取り除くことができる。
【0036】
なお、このように布団カバー10をエアマットレス20から取り外した場合、布団カバー10を担架として利用することもできる。すなわち、布団カバー10をエアマットレス20から取り外した後、布団カバー10の切欠き部13a,13cおよび切欠き部13b,13dに剛性のある棒体を通すことにより布団カバー10を担架として用いることができる。
【0037】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、布団カバー10における表面部11の反対側である裏面部12に、開口部14と同開口部14から表面部11の隅部に向かってファスナ15とが設けられている。そして、この場合、ファスナ15は、開口部14から表面部11の隅部に向って閉じる向きで設けられている。したがって、布団カバー10を装着する作業者は、ファスナ15を外して同ファスナ15によって接合される2つの布片12a,12を互いに分離した後、これら2つの布片12a,12bの間にエアマットレス20に繋がったエア配管22を位置させるとともに同2つの布片12a,12bの分離により大きさが広がった開口部14を介してエアマットレス20を布団カバー10内に出し入れする。この場合、エアマットレス20のエア配管22の周囲を覆う布団カバー10の裏面部12は、ファスナ15を開くことによって2つの布片12a,12bに分離するためエア配管22をエアマットレス20から外すことなく繋がった状態で容易に布団カバー10内に出し入れすることができる。
【0038】
そして、作業者は、分離した2つの布片12a,12bをファスナ15を介して接合する。この場合、ファスナ15は、開口部14から表面部11の隅部に向って閉じられるため、エア配管22の太さに応じた位置でファスナ15のスライダ15bを止めることにより分離した2つの布片12a,12bを接合する。これらの結果、エア配管22のエアマットレス20へ接続状態およびエア配管22の太さなどに関係なくエアマットレス20に布団カバー20を簡単に着脱することができる。
【0039】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、布団カバー10を介護用の寝具であるエアマットレス20に装着した。しかし、布団カバー10は、各種配管や配線が繋がった布団やマットレスなどの寝具に対して装着されるものであり、必ずしもエアマットレス20に限定されるものではない。例えば、布団やマットレスなどの寝具の使用面(表面)を暖めるために、同使用面の内側に電熱線が埋設された形態の寝具に対しても幅広く適用できる。また、寝具には、使用者の下側に敷かれる敷布や敷布団の他に、使用者の上側に掛けられる掛布や掛布団なども含まれる。
【0041】
なお、各種配線や配管が直接布団やマットレスなどに繋がっていなくても、使用面の硬さや角度を調節する機能や使用面を暖める機能などの各種機能を備えた寝具と通常の布団やマットレスなどの寝具とを併用する場合にも本発明に係る布団カバー10を適用できることは当然である。例えば、通常の敷布団の使用面上に電気毛布を重ねて使用する場合においては、電気毛布が重ねられた敷布団に対して布団カバー10を装着することになる。また、本発明は、電気毛布のカバーとしても実施できるものである。
【0042】
また、上記実施形態においては、ファスナ15を裏面部12における開口部14の隅部14aから表面部11の隅部に向って形成した。しかし、ファスナ15は、布団カバー10を装着するエアマットレス20などの寝具における配管や配線が設けられている位置に対応して設けられるものであり、形成する位置、長さおよび形状等は、当然、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、例えば、上記実施形態におけるファスナ15の長さ(450mm)より短くまたは長く形成してもよいし、その形状も円弧状にカーブさせて形成してもよい。また、例えば、図5(A)に示すように、布団カバー10における裏面部12の開口部14から表面部11の縁部中央部に向って設けることもできる。
【0043】
また、この場合、図5(B)に示すように、表面部11と裏面部12との境部分にファスナ15と繋がった状態で貫通孔状の切欠き部13eを設けることもできる。この場合、切欠き部13eの大きさは、寝具に繋がっている配管や配線の太さに対応させてもよい。これによれば、配管や配線に布団カバー10における切欠き部13eの端部が密着するため、寝具に設けられた配管や配線に対してより治まりの良い状態で布団カバーを装着することができる。なお、表面部11と裏面部12との境部分とは、表面部11および裏面部12の両方またはいずれか一方に切欠き部13eが形成されることを含むものである。また、図5(A),(B)においては、上記実施形態における布団カバー10に対応する部分に同じ符号を付している。
【0044】
また、上記実施形態においては、開口部14の大きさを、エアマットレス20が出し入れ可能な大きさに形成した。この場合、エアマットレス20を出し入れ可能な大きさは、布団カバー10またはエアマットレス20を変形させずに、または変形させることによりエアマットレス20を布団カバー10内に出し入れ可能な大きさである。しかし、開口部14は、必ずしもエアマットレス20が出し入れ可能な大きさに形成する必要はない。例えば、図6に示すように、ファスナ15を開くことによる布片12a,12bの分離と併せてエアマットレス20が出し入れ可能な大きさとなる大きさに開口部14を形成することもできる。なお、図6においては、上記実施形態における布団カバー10に対応する部分に同じ符号を付している。
【0045】
また、上記実施形態においては、布団カバー10の裏面部12に1つのファスナ15を設けた。しかし、裏面部12に設けるファスナ12の数は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、布団カバー10の裏面部12に複数のファスナ15を設けるようにしてもよい。例えば、図7に示すように、開口部14の四隅にそれぞれ表面部11に向ってファスナ15〜15を設けることもできる。これによれば、幅広い形態の寝具に対して汎用的に布団カバー10を利用することができる。また、例えば、配管や配線が上記実施形態とは異なる隅部に繋がった寝具や、配管や配線が複数の隅部に繋がった寝具に汎用的に用いることができる。また、この場合、切欠き部13a〜13dに代えて開口部14の四隅に設けられたファスナ15〜15を用いて布団カバー10を担架として利用することもできる。なお、図7においては、上記実施形態における布団カバー10に対応する部分に同じ符号を付している。
【0046】
また、上記実施形態においては、布団カバー10の四隅における表面部11と裏面部12の境部分に切欠き部13a〜13dを設けた。しかし、切欠き部13a〜13dは、主として、布団カバー10のエアマットレス20に対する着脱作業を容易するために設けたものである。すなわち、切欠き部13a〜13dは、本発明に係るファスナ15を実施する上で必ずしも必要な構成ではない。また、切欠き部13a〜13dを設ける数も必要に応じて設定すればよいものであるため、1つでもよいし5つ以上設けてもよい。なお、切欠き部13a〜13dは、ファスナ15と繋げることにより、図5(B)に示すように、配管や配線を治める部分として利用することもできる。
【0047】
また、上記実施形態においては、布団カバー10の形状は、布団やマットレスなどの寝具の一般的な形状である長方形状とした。しかし、布団カバー10の形状は、装着の対象である布団やマットレスなどの寝具の外形状に応じて設定されるものであることは当然である。したがって、例えば、布団カバー10を円形などの長方形以外の形状に形成することもできる。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0048】
また、上記実施形態においては、布団カバー10の裏面部12における布片12a,12bに襠を形成した。しかし、布片12a,12bに形成した襠は、布団カバー10のエアマットレス20への着脱作業の作業性および布団カバー10をエアマットレス20に装着した際の装着安定性を向上させるためのものである。したがって、布団カバー10の着脱作業性および装着安定性を無視できる場合には、例えば、図8(A),(B)に示すように、布片12a、12bに襠を設けない構成とすることもできる。これによれば、互いに接合された布片12a,12bが張られた状態で凹凸を抑えて美観良く布団カバー10をエアマットレス20に装着することができる。なお、図8においては、上記実施形態における布団カバー10に対応する部分に同じ符号を付している。
【符号の説明】
【0049】
10…布団カバー、11…表面部、12…裏面部、12a,12b…布片、13a〜13e…切欠き部、14…開口部、14a…隅部、15,15〜15…ファスナ、15a…セグメント、15b…スライダ、20…エアマットレス、21…マットレス、22…エア配管、23…使用面。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
布団やマットレスに掛ける布団カバーであって、
前記布団やマットレスにおける使用面に掛けられる表面部と、
開口部を有し、前記布団やマットレスにおける前記使用面の反対面に掛けられる裏面部と、
前記裏面部における前記開口部から前記表面部の縁部に向かって閉じるファスナとを備えることを特徴とする布団カバー。
【請求項2】
請求項1に記載した前記布団カバーにおいて、
前記開口部は、前記布団カバー内に前記布団やマットレスを出し入れ可能な大きさに形成されていることを特徴とする布団カバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した前記布団カバーにおいて、
前記裏面部は、前記ファスナが形成されるとともに同ファスナによって互いに接合または分離する2つの布片部分に、同部分に余裕を持たせるための襠が形成されていることを特徴とする布団カバー。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した前記布団カバーにおいて、
前記表面部は、上面視において方形状に形成されており、
前記ファスナは、前記開口部から前記表面部における四隅のうちの少なくとも1つの隅部に向って設けられていることを特徴とする布団カバー。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した前記布団カバーにおいて、
前記表面部と前記裏面部との境部分に貫通孔状の切欠き部が形成されていることを特徴とする布団カバー。
【請求項6】
請求項5に記載した前記布団カバーにおいて、
前記表面部は、上面視において方形状に形成されており、
前記切欠き部は、前記表面部における四隅にそれぞれ設けられていることを特徴とする布団カバー。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載した前記布団カバーにおいて、
前記ファスナは、前記開口部から前記切欠き部に亘って設けられていることを特徴とする布団カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−240323(P2010−240323A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95353(P2009−95353)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509102616)有限会社ふれあいサポート (1)
【Fターム(参考)】