説明

布団用電気掃除機

【課題】布団掃除の効率化を図ることができる布団用電気掃除機を提供すること。
【解決手段】布団用電気掃除機1では、敷布団Sと掛布団Kとの間での本体2の移動中において、電動送風機44の吸引力によって、底面17の吸込口8から、敷布団Sの塵埃が風路41に吸引され、天面4の吸込口8から、掛布団Kの塵埃が風路41に吸引されるので、敷布団Sと掛布団Kとを、重ねて敷かれた状態で、一度に掃除することができる。敷布団Sに沿った本体2の移動をガイドするために本体2に設けられた一対の脚部18のそれぞれの底面18Aにおいて敷布団Sに隣接する位置には、風路41に連通する補助吸込口35が形成されている。敷布団Sから床面Xにこぼれた塵埃は、電動送風機44の吸引力によって、補助吸込口35から風路41に吸引されるので、布団を掃除するのと同時に、床面Xにおいて掛布団Kからこぼれた塵埃が存在する部分も掃除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布団用電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な床掃除用の電気掃除機に装着され、布団を掃除するために用いられる吸込具が知られている(下記特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載の吸込具は、電気掃除機に接続される接続管と、接続管に固定された筒体と、筒体外周に遊嵌される網状の回転部材とを含んでいる。この吸込具を布団に沿って動かすと、吸込具では、回転部材が布団に接触することで回転する。そのため、吸込具は、布団に引っ掛かることなく、電気掃除機の吸引力によって布団の塵埃を吸い込むことができる。
【0003】
特許文献2に記載の吸込具は、長管形状の吸い込みノズル本体を含んでいる。吸い込みノズル本体には、その長手方向に沿って細長い溝状の吸い込み口が形成されている。吸い込み口が布団表面に沿うように吸い込みノズル本体を移動させると、布団のような面積の広い被掃除物を掃除することができる。
特許文献3に記載の吸込具は、電気掃除機に接続される回転パイプと、互いに対向した状態で回転パイプに取り付けられたシート状の上吸込部および下吸込部とを含んでいる。上吸込部および下吸込部は、ともに、一般的な布団よりも若干大きい面積を有している。上吸込部および下吸込部のそれぞれの対向面には、多数の吸込穴が形成されている。上吸込部と下吸込部との間に布団を挟んで電気掃除機を起動すると、布団の塵埃は、上吸込部および下吸込部のそれぞれの吸込穴に吸引され、回転パイプ内を通過した後に、電気掃除機に吸い込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−332164号公報
【特許文献2】特開平4−84923号公報
【特許文献3】特開2007−7359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、1組の布団(組布団)には、敷布団および掛布団が含まれている。そのため、組布団を掃除する場合には、敷布団および掛布団の両方を掃除する必要がある。
ここで、特許文献1〜3に記載の吸込具を用いて組布団を掃除する場合には、まず、吸込具を電気掃除機に装着し、その後、敷布団および掛布団のうちいずれか一方を掃除してから残りの布団を掃除するといった作業が行われる。つまり、特許文献1〜3に記載の吸込具では、敷布団および掛布団の両方を一度に掃除することができない。さらに、特許文献1〜3に記載の吸込具を用いる場合には、これらの吸込具を適正に使えるように布団を動かす必要があり、布団を敷いたままの状態で掃除することができない。
【0006】
そして、組布団において、敷布団の上面には、塵埃(たとえば、ハウスダストや、敷布団で寝た人から出た角質化した皮膚も含む。)が溜まり易い。そして、敷布団の上面に溜まった塵埃のうち、一部が、敷布団で寝ている人の寝返り等によって、敷布団から、敷布団の幅方向(短手方向)における敷布団の側方の床面にこぼれることがある。この場合、敷布団を掃除した後に、別途、吸込具を敷布団から床面へ移して、床面において敷布団からこぼれた塵埃が存在する部分を掃除せねばならず、手間が掛かる。
【0007】
以上のように、特許文献1〜3に記載の吸込具を用いる場合には、布団掃除の効率化を図ることが困難である。
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、布団掃除の効率化を図ることができる布団用電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、敷布団に対し、幅方向に対向し得る第1面と、掛布団に対し、幅方向に対向し得る第2面とを有する本体と、前記第1面および前記第2面のそれぞれに形成された第1吸込口および第2吸込口と、前記本体に設けられ、吸引力を発生する電動送風機と、前記第1吸込口および前記第2吸込口と前記電動送風機とをつなぐ風路と、前記本体を、予め定める方向へ予め定める速度で移動させるための移動手段と、前記本体に設けられ、敷布団と掛布団との間での前記本体の移動方向に対する直交方向において敷布団を挟み、敷布団と掛布団との間における、敷布団に沿った前記本体の移動をガイドするための一対のガイド部と、各前記ガイド部の底面において敷布団に隣接する位置に形成され、前記風路に連通する第3吸込口と、を含むことを特徴とする、布団用電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、各前記ガイド部の底面において前記第3吸込口を縁取る部分に植立されたブラシを含むことを特徴とする、請求項1記載の布団用電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記第1吸込口、前記第2吸込口および前記第3吸込口における任意の吸込口のみから吸込が行われるように、前記風路を切換えることのできる切換手段を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の布団用電気掃除機である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、この布団用電気掃除機では、本体が、第1面において敷布団に対して幅方向に対向し、第2面において掛布団に対して幅方向に対向した状態(つまり敷布団と掛布団との間にある状態)で移動する。本体の移動中において、本体の電動送風機が作動すると、電動送風機が発生した吸引力によって、第1面に形成された第1吸込口から、敷布団の塵埃が本体内の風路に吸引され、第2面に形成された第2吸込口から、掛布団の塵埃が本体内の風路に吸引される。つまり、この布団用電気掃除機を用いることで、敷布団と掛布団とを、重ねて敷かれた状態で、一度に掃除することができる。これにより、布団掃除の効率化を図ることができる。
【0011】
また、本体に設けられた一対のガイド部は、本体の移動方向に対する直交方向において敷布団を挟み、敷布団と掛布団との間における、敷布団に沿った本体の移動をガイドするので、本体は、敷布団と掛布団との間において、この間からはみ出ることなく、円滑に移動することができる。
ここで、各ガイド部の底面において敷布団に隣接する位置には、風路に連通する第3吸込口が形成されている。そのため、第3吸込口は、敷布団が敷かれた床面において前記直交方向で敷布団に隣接した部分に対向することができるので、敷布団からこの部分にこぼれた塵埃は、布団用電気掃除機が布団を掃除する際に、電動送風機が発生した吸引力によって、第3吸込口から本体内の風路に吸引される。つまり、この布団用電気掃除機は、布団を掃除するのと同時に、床面において掛布団からこぼれた塵埃が存在する部分を掃除することもできる。これにより、布団掃除の効率化を図ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、各ガイド部の底面において第3吸込口を縁取る部分に植立されたブラシが、掛布団からこぼれて床面に付着した塵埃をこすって床面から剥がす。そのため、この布団用電気掃除機では、掛布団から床面にこぼれた塵埃を、床面に付着した塵埃であっても、第3吸込口から本体内の風路に確実に吸引することができる。
請求項3記載の発明によれば、切換手段が、第1吸込口、第2吸込口および第3吸込口における任意の吸込口のみから吸込が行われるように、風路を切換えることができる。これにより、第1吸込口、第2吸込口および第3吸込口のそれぞれにおける空気の流れ(塵埃の吸引力)を選択的に強くすることができるので、必要に応じて風路を切換えることで、敷布団、掛布団、床面のうちのいずれかを重点的に掃除することができ、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】敷布団Sにセットされた状態にある掃除機1を右前から見た斜視図である。
【図2】図1において、掛布団Kが追加された状態を示している。
【図3】掃除状態における敷布団S、掛布団Kおよび掃除機1を右前から見た斜視図である。
【図4】図1における要部右側断面図である。
【図5】図3における要部右側断面図である。
【図6】図5のA−A矢視断面図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】変形例1に係る掃除機1の要部右側面図である。
【図9】変形例2に係る掃除機1の要部右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態としての布団用電気掃除機1について具体的に説明する。
図1は、敷布団Sにセットされた状態にある掃除機1を右前から見た斜視図である。
なお、以下で述べる布団(敷布団Sおよび後述する掛布団K)は、水平面に敷かれているものとする。また、図1において、水平面に敷かれた状態にある敷布団Sの長手方向を前後方向とし、敷布団Sの短手方向を幅方向(左右方向)という(他の図においても同様)。なお、水平方向は、前後方向と幅方向とを含んでいる。
【0015】
図1を参照して、この掃除機1は、本体2と、レールユニット3とを備えている。
本体2は、幅方向に長手で中空のボックス形状である。本体2は、敷布団Sよりも幅広である。本体2の内部には、吸引力を発生する電動送風機(図示せず)が配置されている。
幅方向から見たときの本体2の断面形状は、略三角形状である。つまり、本体2の天面(上面)4(第2面)は、幅方向に長手をし、前後方向における両側に、前後方向中央へ向かうのに従って上側へ傾斜する傾斜面5を有している。前側の傾斜面5を前傾斜面5Aとし、後側の傾斜面5を後傾斜面5Bとすると、前傾斜面5Aは、後上側へ傾斜しており、後傾斜面5Bは、前上側へ傾斜している。そして、前傾斜面5Aの上(後)端部と後傾斜面5Bの上(前)端部とが互いに接続されている。前傾斜面5Aの上(後)端部と後傾斜面5Bの上(前)端部との接続部分は、幅方向から見て、上側へ膨出する円弧状をなしており、尖っていない。このように、天面4は、前後方向(幅方向に対する直交方向)に、上述した接続部分(上面中央部)が最も高くなるように前後方向に所定(詳しくは後述するように45°以下)の傾斜角度を有する2平面(前傾斜面5Aおよび後傾斜面5B)を含んでいる。
【0016】
前傾斜面5Aの上端部と後傾斜面5Bの上端部との接続部分には、幅方向に長手の凹み6が形成されている。凹み6の幅方向寸法は、敷布団Sの幅方向寸法とほぼ同じである。凹み6には、幅方向に長手の3つの円筒体9が、幅方向に並んだ状態で、上側から嵌め込まれている。各円筒体9の幅方向寸法は、凹み6の幅方向寸法の略3分の1である。各円筒体9において、凹み6から上側へ露出された部分には、小吸込口10が形成されている。小吸込口10は、幅方向に細長い多数のスリット11によって構成されている(左端に位置する円筒体9の小吸込口10を参照)。各小吸込口10の幅方向における全体寸法は、一般的な掃除機の床用吸込具の吸込口と同様に、30cm前後となっている。
【0017】
小吸込口10は、円筒体9内に連通しており、各円筒体9の内部空間は、その下部において、本体2の内部に連通している。そのため、小吸込口10は、円筒体9の内部を介して、本体2の内部に連通している。ここで、円筒体9が幅方向に並んで3つあることからり、本体2では、小吸込口10が幅方向に並んで3つ形成されていることがわかる。これら3つの小吸込口10のまとまりを吸込口8というと、吸込口8は、幅方向に長手であり、その長さ方向に3つの小吸込口10に区画されている。
【0018】
前傾斜面5Aの幅方向両側には、幅方向に長手の凹部13が形成されている。各凹部13には、ずらしローラ14(回転体)が上から嵌め込まれている。この状態で、ずらしローラ14は、本体2によって回転自在に支持されている。ずらしローラ14は、幅方向に長手であり、吸込口8と平行に設けられている。ずらしローラ14は、幅方向に沿って延びる軸部14Aと、軸部14Aの外周面に設けられ、軸部14Aの径方向外側へ向かって突出する多数の凸部14Bとを備えている。凸部14Bは、ゴム等の弾性体で形成されている。凹部13から本体2の外側へ露出された位置にある凸部14Bは、前傾斜面5Aよりも前上側へ突出している(後述する図4も参照)。
【0019】
前傾斜面5Aにおいて、右側のずらしローラ14の右側には、スイッチ15が設けられている。スイッチ15をONにすることで、本体2が運転可能な状態となる。なお、本体2を運転させるための電力は、コード16を介して、図示しない電源(コンセント等)から本体2に供給される。なお、電源(図示せず)につながったコード16は、後述する変形例1のように、本体2のスタンド61(後述する図8参照)を経由してから本体2に接続されてもよい。
【0020】
そして、本体2の底面17(第1面)は、幅方向に長手をしたほぼ平面からなり、詳しくは、略水平方向に平坦である。底面17の前端と前傾斜面5Aの前(下)端とは一致しており、底面17の後端と後傾斜面5Bの後(下)端とは一致している。天面4と同様に、底面17にも、幅方向に長手の吸込口8が形成されており、底面17の吸込口8も、その長さ方向に複数の小吸込口10に区画されている(図1では図示されておらず、後述する図4ないし図6参照)。ここで、底面17の吸込口8は、第1吸込口とされ、天面4の吸込口8は、第2吸込口とされる。
【0021】
底面17の幅方向両端には、下方へ突出する脚部18(ガイド部)が一体的に設けられている。左右の脚部18の幅方向内側面の間隔は、敷布団Sの幅よりも広い。各脚部18は、上下方向に扁平な略直方体形状であり、その幅方向外側面(右側の脚部18では右側面)は、本体2において幅方向で同じ側にある外側面に対して面一となっている。また、各脚部18の幅方向内側面(右側の脚部18では左側面)の下端には、前後方向に延びる溝19が、脚部18の前後方向における全域に亘って形成されている。
【0022】
本体2(脚部18も含む)の右側面には、本体2内に連通する排気口20が形成されている。
レールユニット3は、幅方向に間隔を隔てて配置された一対のレール25と、一対のレール25の間に架設された梁部材26とを一体的に備えている。
一対のレール25の幅方向における間隔は、本体2の左右の脚部18の幅方向内側面の間隔とほぼ同じである。各レール25は、前後方向に細長い角柱形状である。各レール25の上面は、略水平方向に平坦であり、その幅方向内側部分には、ラックギヤ27が前後方向に沿って形成されている。ラックギヤ27は、前後方向におけるレール25の全域に亘って形成されている。そして、一対のレール25は、それらの間に梁部材26が架設されることで一体化されている。これにより、一対のレール25の間隔が一定に保たれ、かつ、一対のレール25の剛性が確保されている。
【0023】
この掃除機1で組布団(敷布団Sおよび掛布団K)を掃除する場合、組布団を、敷布団Sに掛布団Kが重ねられ、かつ、床面Xやベッドに敷かれた状態で掃除できる。
まず、敷かれた状態にある組布団(図1では敷布団Sのみが図示されている。)に対して掃除機1をセットする。詳しくは、敷かれた状態にある敷布団Sにレールユニット3をセットする。これにより、敷布団Sの幅方向両側に(換言すれば、敷かれた状態にある敷布団Sを挟むように)レール25が配置され、敷布団Sの下側に梁部材26が配置される。
【0024】
次いで、左右のレール25の後端部(図1における奥側の端部)に、上から架け渡されるように、本体2をセットする。この状態で、本体2の各脚部18の溝19に、幅方向で同じ側にあるレール25が下から嵌る。これにより、本体2は、幅方向において長手となった状態で、本体2の幅方向両側で前後方向(本体2の幅方向と直交方向)に延びる一対レール25に下から支持され、前後方向にスライド自在である。つまり、左右一対のレール25は、本体2の前後移動をガイドする。
【0025】
この状態で、本体2の底面17において左右の脚部18に挟まれた部分は、敷布団Sの上面に対して、僅かな隙間を隔てて上から対向している。また、左側の脚部18は、敷布団Sの左縁部に対して僅かな隙間を隔てて左側から対向しており、右側の脚部18は、敷布団Sの右縁部に対して僅かな隙間を隔てて右側から対向している。そして、左右の脚部18のそれぞれの底面18A(レール25に接触している部分は除く)は、僅かな隙間を隔てて、敷布団Sが敷かれた床面X(ベッド等において敷布団Sが敷かれる面も含む。以下同じ。)に対して上から対向している。
【0026】
また、この状態で、上述したように本体2において底面17の前端と前傾斜面5Aの前(下)端とが一致していることから、この状態で、底面17および前傾斜面5Aの各前端は、敷布団Sの上面の僅か上側に位置している。そして、このようにレール25の後端部にあるときの本体2の前後方向の位置を、後退位置という。
図2は、図1において、掛布団Kが追加された状態を示している。
【0027】
図2では、敷布団Sに加えて、掛布団Kも示されている。図1と同様に、図2においても本体2は後退位置にある。後退位置にある本体2は、掛布団Kよりも後側(図2における奥側であり、枕が配置される側)に位置している。上述したように、本体2において、底面17および前傾斜面5Aの各前端は、敷布団Sの上面の僅か上側に位置していることから、換言すれば、重ねられた状態にある敷布団Sと掛布団Kとの間の近傍に位置している。
【0028】
図3は、掃除状態における敷布団S、掛布団Kおよび掃除機1を右前から見た斜視図である。
組布団の掃除を開始する場合、後退位置にあった本体2が、運転されて前側(図3における手前側)へスライドする。ここで、上述したように、掃除開始前では(図2参照)、本体2において、底面17および前傾斜面5A(天面4)の各前端は、重ねられた状態にある敷布団Sと掛布団Kとの間の近傍に位置している。そのため、掃除開始によって前側へスライドした本体2は、底面17および前傾斜面5A(天面4)の各前端が敷布団Sと掛布団Kとの間に後側から進入することによって、図3に示すように、重ねて敷かれた状態にある敷布団Sと掛布団Kとの間に潜り込み(挿入され)、敷布団Sと掛布団Kとの間で前進する。
【0029】
本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間にある状態では、本体2では、底面17(図2も参照)が、敷布団Sの上面に対して上から幅方向全域に亘って対向しており、底面17の吸込口8(図示せず)が、敷布団Sの上面に対して上から対向している。これと同時に、本体2では、天面4が、掛布団Kの下面に下から幅方向全域に亘って対向しており、天面4の吸込口8(図2参照)が、掛布団Kの下面に下から対向している。この状態で、本体2の右側面は、敷布団Sと掛布団Kとの間から右側へ露出されている。
【0030】
本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間で移動している最中では、本体2内の上述した電動送風機(図示せず)が作動して吸引力を発生させている。この吸引力によって、敷布団Sに付着した塵埃(ダニの死骸等のハウスダストや、人から出た角質化した皮膚も含まれる。)が、本体2の底面17の吸込口8(図示せず)から、本体2内(詳しくは後述する風路41であり、図5参照)に吸い込まれ、同時に、掛布団Kに付着した塵埃が、本体2の天面4の吸込口8(図2参照)から、本体2内(図5に示す風路41)に吸い込まれる。各吸込口8から本体2内に塵埃とともに吸い込まれた空気は、本体2の右側面の排気口20から排出される。このように、この掃除機1を用いれば、組布団(敷布団Sおよび掛布団K)を、床面Xに重ねて敷いたままの状態で、一度に掃除することができる。これにより、布団掃除の効率化を図ることができる。特に、各布団では、就寝中の人に接する部分(敷布団Sでは上面であり、掛布団Kでは下面)が重点的に掃除されることとなる。
【0031】
そして、前側へスライドしていた本体2が、図示していないが、各レール25の前端(図1参照)まで前進すると(このときの本体2の位置を前進位置という。)、本体2の天面4の吸込口8(図2参照)は、掛布団Kの下面のほぼ全域に対向したことになる。同様に、本体2の底面17の吸込口8(図示せず)は、敷布団Sの上面のほぼ全域に対向したことになる。
【0032】
前進位置に到達した本体2は、後退位置(図2参照)へ向けて後進する。この際、本体2は、底面17および後傾斜面5B(天面4)の各後端が敷布団Sと掛布団Kとの間に前側から進入することによって、敷布団Sと掛布団Kとの間に引き続き潜り込み、敷布団Sと掛布団Kとの間で後進する。そして、本体2は、後退位置に到達すると、前進位置へ向けて、敷布団Sと掛布団Kとの間で再び前進する。
【0033】
このように、本体2は、所定時間の間、後退位置と前進位置との間での前後進を複数回繰り返す。これにより、敷布団Sおよび掛布団Kのそれぞれに付着した塵埃のほとんどが、本体2の天面4および底面17の各吸込口8(図2参照)から本体2内に吸い込まれ、敷布団Sおよび掛布団Kがほぼ完全に掃除される。
なお、本体2の進行速度(前後進の速度)は、低速(たとえば、1〜2cm/秒)に設定されており、一度の掃除で、少なくとも1時間以上、自動的に前後進を繰り返す。これにより、敷布団Sおよび掛布団Kのそれぞれが前後方向において満遍なく掃除される。掃除機1による布団の掃除は、たとえば、掃除機1の所有者が外出中のときに行われたり、介護施設や病院において患者が診察中にあるとき等に行われたりする。また、夫婦が共働きで子供が塵埃(ハウスダスト)に対してアレルギー症状を有している家庭において、両親が仕事中に、掃除機1で子供の布団を自動的に掃除することも、この掃除機1の使用形態として、想定されている。
【0034】
そして、このように本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間において後退位置と前進位置との間で前後進する際、左右の脚部18が、常に、敷布団Sを幅方向から挟んでいる(図2参照)。つまり、左右一対の脚部18は、幅方向(本体2の移動方向に対する直交方向)において敷布団Sを挟んでいることから、敷布団Sと掛布団Kとの間における、敷布団Sに沿った本体2の前後移動をガイドしている。そのため、本体2は、敷布団Sと掛布団Kとの間において、この間からはみ出ることなく、円滑に移動することができる。
【0035】
ここで、上述したように、左右の脚部18のそれぞれの底面18Aは、僅かな隙間を隔てて、床面X(詳しくは、敷布団Sに対して幅方向外側から隣接する部分)に対して上から対向している。そのため、本体2が後退位置と前進位置との間を一通り移動すると、左側の脚部18の底面18Aは、床面Xにおいて敷布団Sに対して左側から隣接する部分(左隣接面XLといい、後述する図6参照)の前後方向全域に対して対向することとなる。これと同時に、右側の脚部18の底面18Aは、床面Xにおいて敷布団Sに対して右側から隣接する部分(右隣接面XRといい、図6参照)の前後方向全域に対して対向することとなる。
【0036】
図4は、図1における要部右側断面図である。
図4を参照して、本体2について詳しく説明する。
まず、上述した前傾斜面5Aの水平面(本体2の移動方向(前後方向)に沿う面)に対する傾斜角度α、および、上述した後傾斜面5Bの水平面に対する傾斜角度βは、ともに、45°以下、好ましくは30°であるとよい。そうすれば、幅方向から見たときの本体2(脚部18を除く部分)の断面形状が、本体2を移動方向に沿うように上下方向に扁平な三角形状となる。
【0037】
これにより、本体2が前進する際には、本体2の底面17および前傾斜面5A(天面4)の各前端が敷布団Sと掛布団K(図3参照)との間に後側から円滑に進入できるので、本体2は、掛布団Kに引っ掛かって止まることなく、敷布団Sと掛布団Kとの間で円滑に前進できる。同様に、本体2が後進する際には、本体2の底面17および後傾斜面5B(天面4)の各後端が敷布団Sと掛布団Kとの間に前側から円滑に進入できるので、本体2は、掛布団Kに引っ掛かって止まることなく、敷布団Sと掛布団Kとの間で円滑に後進できる。なお、傾斜角度α、βが30°より小さすぎると、本体2(脚部18を除く部分)が上下に薄くなり過ぎてしまい、本体2内に、上述した電動送風機(図示せず)等の部品を配置できなくなってしまうので、傾斜角度α、βは、30°近傍の値であるとよい。
【0038】
また、本体2の左右のいずれかの脚部18の幅方内側面(図1参照)には、ピニオンギヤ28が回転自在に設けられている。ピニオンギヤ28の回転軸は、幅方向(図4では紙面に垂直な方向)に延びている。上述したように本体2が各レール25によって下から支持された状態において、脚部18のピニオンギヤ28が、幅方向で同じ側にあるレール25のラックギヤ27の上方に位置し、このラックギヤ27に噛み合っている。
【0039】
この状態で、本体2内に設けられたモータ(図示せず)が駆動されることでピニオンギヤ28が、図4における反時計回りの方向に回転すると、本体2は、レール25上を前側(図4における左側)へスライドする。一方、モータ(図示せず)が駆動されることでピニオンギヤ28が、図4における時計回りの方向に回転すると、本体2は、レール25上を後側(図4における右側)へスライドする。つまり、ピニオンギヤ28は、ラックギヤ27に噛み合った状態で回転することで、レール25に対して本体2を移動させる。ここで、一対のレール25と、ラックギヤ27と、ピニオンギヤ28とが、本体2を、敷布団Sと掛布団Kとの間で、予め定める方向へ予め定める速度で移動させる移動手段を構成している。
【0040】
このように、ラックギヤ27とピニオンギヤ28とを用いて本体2を前後にスライドさせる構成を用いれば、本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間で前後移動する場合(図3参照)、布団(特に上側の掛布団K)が本体2の移動の妨げとなっても、本体2は止まることなく、敷布団Sと掛布団Kとの間で確実に前後移動することができる。ここで、敷布団Sがレールユニット3の梁部材26に載置されていることから(図1参照)、敷布団Sがレールユニット3に対する錘となり、本体2が動かない代わりにレールユニット3が前後に動いてしまうことを防止できる。
【0041】
また、本体2内には、回転ブラシ29が配置されている。回転ブラシ29は、本体2によって回転自在に支持されており、その回転軸は、幅方向に延びている。回転ブラシ29は、底面17の吸込口8から、下方(敷布団S側)に臨んでおり、回転ブラシ29の下側の毛先は、吸込口8(底面17)から外方(敷布団S側であり、下側)へ、たとえば5mm以上はみ出ている。
【0042】
図5は、図3における要部右側断面図である。
図5では、本体2が、敷布団Sと掛布団Kとの間で前側(図5における左側)へスライドしている状態が示されている。
この状態で、本体2の前傾斜面5A(天面4の前側部分)の凹部13に嵌め込まれたずらしローラ14が、図5における時計回りの方向へ回転駆動されている。これにより、ずらしローラ14において前傾斜面5Aよりも前上側へ突出している凸部14Bが、掛布団Kに対して前下側から引っ掛かり、この状態で、ずらしローラ14の回転に伴って、掛布団Kを、本体2の移動方向における上流側、つまり後側(図5における右側)へずらす。これにより、本体2が、掛布団Kに対して移動方向下流側(前側)へ相対移動するので、本体2は、敷布団Sと掛布団Kとの間を円滑に前進できる。つまり、ずらしローラ14は、本体2の移動(ここでは前進)を補助している。なお、ずらしローラ14において掛布団Kに接触する凸部14Bは、上述したように弾性体で形成されているので、掛布団Kが凸部14Bに接触されることで傷付くことはない。
【0043】
一方、本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間で後進する場合には、ずらしローラ14は、図5における反時計回りの方向へ回転駆動される。これにより、ローラ14において前傾斜面5Aよりも前上側へ突出している凸部14Bが、掛布団Kに対して後下側から引っ掛かり、この状態で、ずらしローラ14の回転に伴って、掛布団Kを、本体2の移動方向における上流側、つまり前側へずらす。これにより、本体2が、掛布団Kに対して移動方向下流側(後側)へ相対移動するので、本体2は、敷布団Sと掛布団Kとの間を円滑に後進できる。
【0044】
また、本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間で移動(前後進)する際には、上述したように下側の毛先が底面17の吸込口8から下側へはみ出るように本体2内に配置された回転ブラシ29が回転駆動される。図5では、時計回りの方向へ回転ブラシ29が回転駆動されている。これにより、回転ブラシ29において吸込口8から下側へはみ出た毛先が、敷布団Sの上面に接触し、回転ブラシ29の回転に伴って、敷布団Sの塵埃を底面17の吸込口8へ掻き上げるので、敷布団Sの塵埃が、吸込口8から本体2内に円滑に吸い込まれる。
【0045】
掛布団Kの塵埃は、その自重によって天面4の吸込口8に落下するので、比較的容易に吸込口8に吸い込まれるが、逆に、敷布団Sの塵埃は、その自重によって、敷布団Sの上側にある底面17の吸込口8に到達しづらい。そこで、回転ブラシ29が回転することで、回転ブラシ29において底面17の吸込口8から敷布団S側へはみ出た毛先が、底面17の吸込口8より下方に位置する敷布団Sの塵埃を底面17の吸込口8へ向けて掻き上げるので、底面17の吸込口8では、敷布団Sの塵埃を効率的に本体2内に吸引することができる。また、上述したように、回転ブラシ29の下側の毛先は、吸込口8から下側へ、5mm以上はみ出ているので、敷布団Sに凹んだ部分があっても、回転ブラシ29のはみ出た毛先が、この凹みにある塵埃を確実に掻き上げることができる。なお、回転ブラシ29の回転速度は、低く設定されているので(たとえば、100rpm)、回転ブラシ29の毛先が敷布団Sを傷めることはない。
【0046】
また、本体2の天面4において、吸込口8(小吸込口10)が形成された各円筒体9に対して、円筒体9と相似した網状の円筒(図示せず)が外嵌されていてもよい。この網状の円筒は、円筒体9に対して相対回転自在であり、本体2が敷布団Sと掛布団Kとの間で移動する際には、掛布団Kに接触することで回転する。そして、この網状の円筒が、円筒体9と掛布団Kとの間に介在されることから、円筒体9の吸込口8(小吸込口10)が掛布団Kによって不意に塞がれてしまうことを防止できる。
【0047】
図6は、図5のA−A矢視断面図である。図7は、図6の要部拡大図である。
次に、図6を参照して、本体2内の構造についてさらに説明する。本体2内には、天面4および底面17の全ての小吸込口10と排気口20とを連通させる風路41が設けられている。
風路41において、排気口20の近傍には、上述した電動送風機(符号44を付した部品を参照)が配置されている。電動送風機44が作動すると、小吸込口10から風路41へ向かう空気の流れが生じる(太い実線矢印を参照)。つまり、風路41は、天面4および底面17の各小吸込口10(吸込口8)と電動送風機44とをつなぐ風路として機能する。
【0048】
上述したように、電動送風機44が作動することで、電動送風機44が発生する吸引力によって、太い実線矢印で示すように、各小吸込口10から風路41を通過して排気口20から本体2外へ排出される空気の流れが発生する。このとき、各小吸込口10が、対応する布団(敷布団Sまたは掛布団K)に対向していると、布団に付着した塵埃が、上述した空気の流れによって、太い実線矢印で示すように、各小吸込口10から本体2内に吸い込まれ、風路41において電動送風機44の手前の部分(貯留部42という。)に溜められる。なお、貯留部42と電動送風機44との間には、フィルタ43が設けられており、貯留部42の塵埃が電動送風機44まで到達することがフィルタ43によって阻止されている。
【0049】
ここで、左右の脚部18のそれぞれの底面18Aの幅方向内側端部(詳しくは、底面18Aにおいて、溝19に嵌ったレール25よりも幅方向内側の部分に相当し、敷布団Sに幅方向で隣接する位置)に、補助吸込口35(第3吸込口)が形成されている。
上述した風路41の一部は、左右の脚部18の補助吸込口35まで延びている。換言すれば、左右の脚部18の補助吸込口35は、風路41に連通している。よって、図7を参照して、上述した電動送風機44の吸引力が発生すると、各小吸込口10から風路41を経て排気口20へ向かう空気の流れ(太い実線矢印参照)の他に、各補助吸込口35から風路41を経て排気口20へ向かう空気の流れ(太い破線矢印参照)も発生する。
【0050】
上述したように、本体2が後退位置と前進位置との間を一通り移動すると、左側の脚部18の底面18Aは、床面Xの左隣接面XL(図7には図示されず、図6参照)の前後方向全域に対して対向することとなり、右側の脚部18の底面18Aは、床面Xの右隣接面XRの前後方向全域に対して対向することとなる。
ここで、左隣接面XLおよび右隣接面XRには、布団(特に敷布団Sの上面)からこぼれた塵埃が存在し得る。特に、左隣接面XLおよび右隣接面XRは、敷布団Sと対応するレール25とによって挟まれた部分なので、塵埃が溜まりやすい。図7では、右隣接面XRに溜まった塵埃に、符号Dが付されている。
【0051】
しかし、上述した布団の掃除に伴って本体2が後退位置と前進位置との間で移動すると、左側の脚部18の底面18Aに形成された補助吸込口35(図6参照)が、左隣接面XL(図6参照)の前後方向全域に対して対向し、その際に、左隣接面XLの前後方向全域に溜まった塵埃Dは、電動送風機44の吸引力によって、この補助吸込口35から風路41に吸い込まれる。
【0052】
同様に、右側の脚部18の底面18Aに形成された補助吸込口35が、右隣接面XRの前後方向全域に対して対向し、その際に、右隣接面XRの前後方向全域に溜まった塵埃Dは、電動送風機44の吸引力によって、補助吸込口35から風路41に吸い込まれる。
風路41に吸い込まれた塵埃Dは、上述した貯留部42に溜められる。
このように、敷布団Sから左隣接面XL(図6参照)および右隣接面XRにこぼれた塵埃Dは、掃除機1が布団を掃除する際に、電動送風機44が発生した吸引力によって、対応する補助吸込口35から本体2内の風路41に吸引される。つまり、この掃除機1は、布団を掃除するのと同時に、床面Xにおいて掛布団Kからこぼれた塵埃Dが存在する部分を掃除することもできる。換言すれば、布団を掃除した後に、本発明の布団用電気掃除機1とは別の通常の床掃除用の掃除機を持ち出してきて床面X(左隣接面XLおよび右隣接面XR)を掃除せずに済む。これにより、布団掃除の効率化を図ることができる。
【0053】
ここで、各脚部18の底面18Aにおいて、補助吸込口35を縁取る部分(詳しくは、底面18Aの幅方向内側端縁と幅方向においてほぼ一致する部分)には、床面Xへ向かって下方に延びるブラシ45が植立されている。本体2が後退位置と前進位置との間で移動する際に、ブラシ45が床面Xに摺動する。
これにより、敷布団Sからこぼれて床面X(左隣接面XLおよび右隣接面XR)にこびりついた塵埃D(塵埃Dが、角質化した皮膚であると、特に床面Xにこびりつきやすい。)がブラシ45によってこすられることで床面Xから剥がれる。そして、床面Xから剥がれた塵埃Dは、上述したように、補助吸込口35から風路41に吸い込まれる。つまり、この掃除機1では、掛布団Kから床面Xにこぼれた塵埃Dを、床面Xに付着した塵埃であっても、補助吸込口35から本体2内の風路41に確実に吸引することができる。
【0054】
また、ブラシ45と、幅方向で同じ側にあるレール25とによって、左隣接面XLおよび右隣接面XRのそれぞれ(図7では右隣接面XR)が幅方向から挟まれる。これにより、塵埃Dが配置されて補助吸込口35に連通する狭い空間46を区画することができる。その結果、補助吸込口35から風路41へ向かう空気の流れ(太い破線矢印参照)の勢い、換言すれば、補助吸込口35における吸引力が強くなり、この空間46の塵埃Dは、効果的に補助吸込口35から風路41に吸い込まれる。
【0055】
そして、図6に示すように、本体2に、弁47を設けてもよい。弁47は、風路41と天面4の各小吸込口10とを連通させる部分を開閉する第1弁47Aと、風路41と底面17の各小吸込口10とを連通させる部分を開閉する第2弁47Bと、風路41と各補助吸込口35とを連通させる部分を開閉する第3弁47Cとを含んでいる。なお、図6では、全ての弁47が閉じた状態が示されている。ただし、上述したように布団の掃除と床面Xの掃除とを同時に行う場合には、全ての弁47は、開かれている。
【0056】
各弁47の開閉は、本体2に内蔵され、マイクロコンピュータなどで構成された制御手段(図示せず)によって制御される。ここで、各弁47および制御手段(図示せず)が切換手段として機能している。
制御手段(図示せず)の制御により各弁47が開閉することによって、天面4および底面17の各小吸込口10、ならびに、各補助吸込口35における任意の吸込口のみから吸込が行われるように風路41が切換わる。
【0057】
詳しくは、第2弁47Bおよび第3弁47Cが閉じている一方で、第1弁47Aだけが開いていると、天面4の各小吸込口10のみから吸込が行われるように風路41が切換わる。また、第1弁47Aおよび第3弁47Cが閉じている一方で、第2弁47Bだけが開いていると、底面17の各小吸込口10のみから吸込が行われるように風路41が切換わる。そして、第1弁47Aおよび第2弁47Bが閉じている一方で、第3弁47Cだけが開いていると、補助吸込口35のみから吸込が行われるように風路41が切換わる。
【0058】
これにより、天面4および底面17の各小吸込口10、ならびに、各補助吸込口35のそれぞれにおける空気の流れ(塵埃の吸引力)を選択的に強くすることができる。そのため、必要に応じて風路41を切換えることで、敷布団S、掛布団K、床面X(厳密には左隣接面XLおよび右隣接面XR)のうちのいずれかを重点的に掃除することができ、使い勝手が良い。
【0059】
図8は、変形例1に係る掃除機1の要部右側面図である。図9は、変形例2に係る掃除機1の要部右側面図である。
図8に示すように、掃除機1は、付属部品としてスタンド61を備えている。スタンド61は、上面に窪み62が形成されたトレイ形状である。
布団の掃除を行う場合には、スタンド61は、図8に示すように、レールユニット3の後端部(図8における右端部)に配置されている。
【0060】
布団の掃除を行わない場合には、図示しないが、まず、本体2が、レールユニット3(図1参照)から取り外され、レールユニット3が折り畳まれる。そして、折り畳まれたレールユニット3が、スタンド61の窪み62の後側(図8における右側)部分に上から差し込まれるとともに、本体2が、窪み62の前側(図8における左側)部分に上から差し込まれる。このとき、本体2では、天面4が前側を向き、底面17が後側を向く。
【0061】
このようにレールユニット3および本体2がセットされたスタンド61は、たとえば、部屋の隅(壁際)等に配置される。
そして、スタンド61には、コードリール63が内蔵されている。コードリール63は、ドラム形状であり、その外周面において、上述したコード16を巻き取ることができる。
【0062】
詳しくは、コード16は、スタンド61と上述した電源(図示せず)とをつなぐ第1コード16Aと、コードリール63を介して第1コード16Aに対して電気的に接続されてスタンド61と本体2とをつなぐ第2コード16Bとを含んでおり、第2コード16Bがコードリール63によって巻き取られる。
そして、布団の掃除の際に、本体2が上述した後退位置から前進することでスタンド61から離れると、第2コード16Bがコードリール63から引き出される。この際、コードリール63は、第2コード16Bを巻き取るように巻きばね等(図示せず)によって常に付勢されているので、引き出された第2コード16Bは、所定の張力が付与されることにより、弛んでいない。そのため、本体2が後退位置へ戻るためにスタンド61へ接近するときに、コードリール63から引き出されていた第2コード16Bが絡まることで本体2が動けなくなるような不具合を防止できる。
【0063】
そして、このような第2コード16Bが絡まる不具合をなくすために、図9に示すように第2コード16B自体を省くことが考えられる。
この場合、図9に示すように本体2が後退位置にある状態で、本体2は、スタンド61に接触している。
ここで、本体2およびスタンド61のそれぞれにおいて、互いに接触する箇所には、電極64が設けられている。本体2の電極64を本体電極64Aとし、スタンド61の電極64をスタンド電極64Bという。
【0064】
この場合、本体2には、本体2内の電気部品(上述した電動送風機44(図6参照)や制御手段(図示せず)等)に対して電気的に接続された充電池(図示せず)が内蔵されており、本体電極64Aは、この充電池(図示せず)に対して電気的に接続されている。スタンド電極64Bは、第1コード16Aに対して電気的に接続されている。
本体2が後退位置にある状態では、本体電極64Aとスタンド電極64Bとが互いに接触しており、上述した電源(図示せず)からの電力が、第1コード16A、スタンド電極64Bおよび本体電極64Aを順に介して本体2の充電池(図示せず)に供給されることで、この充電池(図示せず)が充電される。つまり、スタンド61が、本体2の充電池(図示せず)に対する充電器をなしている。
【0065】
そのため、布団の掃除の際には、上記変形例1(図8参照)とは異なり、第2コード16B(図8参照)で本体2に常時電力を供給しなくても、本体2は、充電池(図示せず)に蓄えられた電力によって作動することができる。
この発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 布団用電気掃除機
2 本体
4 天面
8 吸込口
17 底面
18 脚部
18A 底面
25 レール
27 ラックギヤ
28 ピニオンギヤ
35 補助吸込口
41 風路
44 電動送風機
45 ブラシ
47 弁
S 敷布団
K 掛布団

【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷布団に対し、幅方向に対向し得る第1面と、掛布団に対し、幅方向に対向し得る第2面とを有する本体と、
前記第1面および前記第2面のそれぞれに形成された第1吸込口および第2吸込口と、
前記本体に設けられ、吸引力を発生する電動送風機と、
前記第1吸込口および前記第2吸込口と前記電動送風機とをつなぐ風路と、
前記本体を、予め定める方向へ予め定める速度で移動させるための移動手段と、
前記本体に設けられ、敷布団と掛布団との間での前記本体の移動方向に対する直交方向において敷布団を挟み、敷布団と掛布団との間における、敷布団に沿った前記本体の移動をガイドするための一対のガイド部と、
各前記ガイド部の底面において敷布団に隣接する位置に形成され、前記風路に連通する第3吸込口と、
を含むことを特徴とする、布団用電気掃除機。
【請求項2】
各前記ガイド部の底面において前記第3吸込口を縁取る部分に植立されたブラシを含むことを特徴とする、請求項1記載の布団用電気掃除機。
【請求項3】
前記第1吸込口、前記第2吸込口および前記第3吸込口における任意の吸込口のみから吸込が行われるように、前記風路を切換えることのできる切換手段を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の布団用電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−194122(P2010−194122A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42818(P2009−42818)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】