説明

布地柔軟化組成物の製造方法

本発明は、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを用いながらも、従来の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション方法よりも低い動作圧を必要とする、布地柔軟化液体組成物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当該技術分野において既知の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション装置を用いる代替法で見られるものと同程度の混合性を得るために必要とされる動作圧がより低い、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成するための装置を用いて、布地柔軟化組成物を製造するための方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
布地柔軟化液体組成物を製造する1つの方法は、キャビテーションを用いて組成物の成分を混合することによる。キャビテーションは、液体中に蒸気の泡を形成する方法を指す。これは、迅速に移動する固形物の使用を通じて(インペラとして)、流体力学的に、又は高周波数の音波によるなどの数々の方式で行うことができる。泡は、形成した場所よりも更に下流で崩壊させた場合、化学的又は物理的変換を生み出すために利用することのできる一定量のエネルギーを放出する。
【0003】
流体力学的にキャビテーションを生成するためのある特定の方法は、液体ホイッスルとして既知の装置を用いる。液体ホイッスルは、Emulsions−Theory and Practice,3rd Ed.(Paul Becher,American Chemical Society and Oxford University Press,NY,NY,2001)と題された書籍のChapter 12「Techniques of Emulsification」に記載されている。液体ホイッスルの一例は、Stratford,CT,U.S.AのSonic Corp.により製造されたSONOLATOR(登録商標)高圧ホモジナイザーである。
【0004】
液体ホイッスルを用いる方法が、長年にわたって用いられてきた。かかる装置は、化学、パーソナルケア、製薬、並びに食品及び飲料産業において、微細な、均一の、及び安定したエマルション、分散液、及びブレンドを即座に作り出すために、単一又は多供給のインラインシステムとして使用されてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Emulsions−Theory and Practice,3rd Ed.(Paul Becher,American Chemical Society and Oxford University Press,NY,NY,2001)と題された書籍のChapter 12「Techniques of Emulsification」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような方法に対して改善が望ましいことが判明している。現在の液体ホイッスル装置を用いる方法は、場合によっては1000バール(100,000kPa)までに及ぶ非常に高い動作圧の下で液体ホイッスルに入るように混合されることが意図される液体を必要とする。動作圧とは、液体が液体ホイッスル装置に入る際の液体の圧力を意味するものと理解される。これは、液体ホイッスル装置内での液体の効率的な混合を確保する。しかし、そのような高圧を達成するには費用がかかり、エネルギー消費が高く、Sonolator(登録商標)高圧ホモジナイザーのような大型でかさばる装置の使用を必要とする。そのような高圧に伴う別の問題は、それらが混合デバイス内の構成要素の浸食を引き起こす場合があることである。これは、通常、高圧液によって引き起こされる機械的磨耗によるものであるが、混合されている液体の化学特性によって悪化する場合もある。
【0007】
当該技術分野には、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションの生成によって柔軟仕上げ剤組成物を製造するための方法を、より低い圧力が使用できるにもかかわらず代替の高圧装置で見られるのと同程度の混合をなお達成できるように改善する必要がある。
【0008】
また、当該技術分野では、高圧混合装置の内部構成要素の浸食を最低限にする必要もある。
【0009】
直列に配置された2つ以上のオリフィスを含む装置を用いて、液体形態の布地柔軟化活性物質を第2の液体組成物と混合することを含む、本発明の方法は、通常必要とされるよりも低い圧力を必要としたのにもかかわらず、既知の剪断及び/又はキャビテーション混合法で見られるものに匹敵するかあるいはより良好な程度の混合性を達成することが、驚くべきことに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、布地柔軟化活性物質を含む布地柔軟化液体組成物を製造するための方法に関し、方法は:
−装置100を用いる工程であって、装置100は少なくとも第1入口1A及び第2入口1Bと、予混合チャンバ2であって、上流端3及び下流端4を有し、予混合チャンバ2の上流端3が第1入口1A及び第2入口1Bと流体連通している、予混合チャンバ2と、オリフィス構成要素5であって、上流端6及び下流端7を有し、オリフィス構成要素の上流端6が予混合チャンバ2の下流端4と流体連通しており、ジェットで液体を噴霧し、かつ液体中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成するように構成される、オリフィス構成要素5と、オリフィス構成要素5の下流端7と流体連通している、二次混合チャンバ8と、液体中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成した後に液体を排出するために二次混合チャンバ8と流体連通している少なくとも1つの出口9であって、二次混合チャンバ8の下流端に位置づけられた、少なくとも1つの出口9と、を備え、オリフィス構成要素5は、互いに直列に配置された少なくとも2つのオリフィスユニット10及び11を備え、各オリフィスユニットは、少なくとも1つのオリフィス13を備えるオリフィスプレート12と、オリフィスプレート12より上流に位置づけられ、かつオリフィスプレート12と流体連通しているオリフィスチャンバ14と、を備え、近隣のオリフィスプレートは互いに分離されている、装置100を用いる工程と、
−1つ以上の好適な液体ポンピング装置を第1入口1A及び第2入口1Bに接続する工程と、
−布地柔軟化活性液体組成物を第1入口1Aにポンピングし、かつ第2の液体組成物を第2入口1Bにポンピングする工程であって、装置の動作圧が0.1バール(10kPa)〜50バール(5,000kPa)であり、動作圧は予混合チャンバ2で測定されるものとしての液体の圧力である、ポンピングする工程と、
−布地柔軟化活性液体と第2の液体組成物とに所望の流速で装置100を通過させる工程であって、これらの液体に装置100を通過させるにつれて、これらの液体が一方の液体から他方の液体に分散される、装置100を通過させる工程と、
−出口9から生成される、得られた布地柔軟化液体組成物を排出する工程と、を含む。
【0011】
本発明の他の態様は、本発明の第1の態様で詳述される方法により製造された布地柔軟化液体組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の方法で使用される装置100。
【図2】本発明の方法で使用される装置のオリフィス構成要素5。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の状況において、用語「a」及び「an」は、「少なくとも1つ」を意味する。
【0014】
本発明の「2つのオリフィス」又は「2つのオリフィスユニット」と言うとき、本明細書では、「少なくとも2つのオリフィス」又は「少なくとも2つのオリフィスユニット」を意味する。
【0015】
「剪断力」とは、本明細書では、ある物質の構造において、その層が互いに対して横に変位したときに圧力によって生成されるひずみを意味する。
【0016】
「乱流」とは、本明細書では、流体の不規則かつ無秩序な流れを意味する。
【0017】
「キャビテーション」とは、本明細書では、液体の流体力学によって液体中に気泡が形成されること、及び更なる下流にてそれらの気泡が崩壊することを意味する。
【0018】
本明細書において、我々は「動作圧」により、予混合チャンバ2内の液体(類)の圧力を意味する。
【0019】
本発明は、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成することで布地柔軟化液体組成物構成成分を混合するための装置を使用して、布地柔軟化組成物を製造するための方法を目的とする。特定の実施形態では、剪断力を誘起するための方法の能力は、混合に有用であり得るだけでなく、液体中の固体粒子の分散のため、液体中の液体の分散のため、及び固体粒子を離散させるためにも有用であり得ることを理解すべきである。特定の実施形態では、剪断力を誘起する及び/又はキャビテーションを生成するための方法の能力は、液滴及び/又は小胞の形成にも有用であり得る。
【0020】
装置
図1は、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションの生成によって液体を混合するための装置100の非限定的な一実施形態を示し、この装置は、少なくとも1つの入口1Aと予混合チャンバ2とを備える。予混合チャンバは、上流端3及び下流端4を有し、上流端4は少なくとも1つの入口1Aと流体連通している。装置100はまた、オリフィス構成要素5を備え、オリフィス構成要素5は上流端6及び下流端7を有する。オリフィス構成要素の上流端6は、予混合チャンバ2の下流端4と流体連通しており、オリフィス構成要素5は、ジェットの形態で液体を噴霧し、かつ液体中に剪断力又はキャビテーションを生成するように構成される。二次混合チャンバ8は、オリフィス構成要素5の下流端7と流体連通している。少なくとも1つの出口9は、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを液体に生成した後に液体を排出するために二次混合チャンバ8と連通しており、二次混合チャンバ8の下流端に位置づけられる。
【0021】
液体は、所望の動作圧で入口1Aに導入することができる。液体は、所望の動作圧で、標準的な液体ポンプ装置を使用して導入することができる。液体は入口から予混合チャンバ2に流入し、次いで、オリフィス構成要素5に流入する。次いで、液体は、オリフィス構成要素5から出て二次混合チャンバ8に流入し、その後出口9を通って装置100を出る。
【0022】
図2に示されているように、オリフィス構成要素は、互いに直列に配置された少なくとも2つのオリフィスユニット10及び11を備える。各オリフィスユニットは、少なくとも1つのオリフィス13を備えるオリフィスプレート12と、オリフィスプレートより上流に位置づけられ、かつオリフィスプレートと流体連通しているオリフィスチャンバ14と、を備える。一実施形態では、オリフィスユニット10は、オリフィスプレート12に隣接してその上流に位置づけられたオリフィスブラケット15を更に備え、オリフィスブラケット15の壁は、オリフィスチャンバ14を通る通路を画定する。
【0023】
別の実施形態では、装置100は、直列に配置された少なくとも5つのオリフィスユニットを備える。更に別の実施形態では、装置100は、直列に配置された少なくとも10のオリフィスユニットを備える。
【0024】
装置100は、オリフィス構成要素5に対向する二次混合チャンバ8内に配置されたナイフ様のブレードのようなブレード16を少なくとも1つ更に備えてもよいが、必要ではない。
【0025】
この装置100の構成要素は、噴射器構成要素、入口ハウジング24、予混合チャンバハウジング25、オリフィス構成要素ハウジング19、オリフィス構成要素5、二次混合チャンバハウジング26、ブレードホルダー17、及びブレード16の先端とオリフィス構成要素5の排出口との間の距離を調整するための調整構成要素31を含むことができる。また、二次混合チャンバ8内の圧力を変化させるために、二次混合チャンバ8の下流に位置づけられる絞り弁(装置100の外部にあってよい)があることが望ましい場合もある。入口ハウジング24、予混合チャンバハウジング25、及び二次混合チャンバハウジング26は、任意の好適な構成であってよい。好適な構成としては、楕円形又は他の適切な形の断面を有する円筒形の構成が挙げられるが、これらに限定されない。これらの構成要素のそれぞれの構成が同じである必要はない。一実施形態では、これらの構成要素は、概して、実質的に円筒形の内面とほぼ円筒形の外面とを有する円筒形要素を備える。
【0026】
これらの構成要素は、任意の好適な材料で作製することができ、ステンレススチール、AL6XN、Hastalloy、及びチタンが挙げられるが、これらに限定されない。ブレード16及びオリフィス構成要素5の少なくとも一部が、より高い表面硬度又はより高い硬度の材料で作製されることが好ましい場合がある。装置100の構成要素は、上述の材料の固形ブロックからそれを機械加工することによって(ただしこれに限定されない)、任意の適切なやり方で作製することができる。構成要素を任意の適切なやり方で接合又は共に保持することができる。
【0027】
本明細書に記載したような装置100の様々な要素は、共に接合される。本明細書で使用される用語「接合された」は、要素を他の要素に直接取付けることによって一方の要素が他方の要素に直接固定される構成、要素を中間体部材(単数又は複数)に取付け、次にそれを他の要素に取付けることによって、一方の要素が他方の要素に間接的に固定される構成、一方の要素が他方の要素によって保持される構成、及び一方の要素が他方の要素と一体である、すなわち、一方の要素が他方の要素の一部である構成を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている構成要素の少なくともいくつかに、ねじ、締結、又はプレスによる接続を提供して、それらを共に接合することが望ましい場合がある。本明細書に記載されている構成要素の1つ以上は、例えば、締結されること、ピンによって共に保持されること、又は別の構成要素内に嵌るように構成されることが可能である。
【0028】
装置100は、少なくとも1つの入口1Aを備え、典型的には、1つを超える材料を装置100に供給できるように、入口1A及び1Bのような2つ以上の入口を備える。装置100は、そのような任意の数の異なる材料を装置100に供給できるように、任意の適切な数の入口を備えることができる。別の実施形態では、2つの液体のプレミックスを装置100の1つの入口のみに導入することができる。このプレミックスを、次いで、それが装置100を通して供給される際に、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションにさらす。
【0029】
装置100はまた、少なくとも1つのドレン、又は少なくとも1つの、入口及びドレンの両方の役割を果たす二重目的の双方向流れ導管を備えることができる。入口及び任意のドレンは装置100の残りの部分に対して任意の好適な配向に配置することができる。入口及び任意のドレンは、例えば、装置100の残りの部分に対して軸方向に、径方向に、又は接線方向に配向することができる。それらは、装置100の長手方向軸に対して任意の好適な角度を形成することができる。入口及び任意のドレンは、装置の側部に配置することができる。入口及びドレンが装置の側部に配置される場合、それらは装置の残りの部分に対して任意の好適な配向を取ることができる。
【0030】
一実施形態では、装置100は、装置の残りの部分に対して軸方向に配向された射出器構成要素の形態の1つの入口1Aを備える。射出器構成要素は第1の材料のための入口を備える。
【0031】
予混合チャンバ2は、上流端3、下流端4、及び内壁を有する。特定の実施形態では、予混合チャンバ2の少なくとも一部分に、初期は軸方向に対称である先細の収縮ゾーン18が(射出器の下流端の位置より前に)設けられることによって、上流混合チャンバ2のサイズ(例えば、直径)が、予混合チャンバ2の下流端4に向かってオリフィス構成要素5に近づくにつれて小さくなることが更に望ましい場合がある。
【0032】
オリフィス構成要素5は、任意の好適な構成であってよい。一部の実施形態では、オリフィス構成要素5は単一の構成要素を備えることができる。他の実施形態では、オリフィス構成要素5は、オリフィス構成要素システムの1つ以上の構成要素を備えてよい。オリフィス構成要素5システムの1つの非限定的な実施形態を、図2により詳細に示す。
【0033】
この装置はオリフィス構成要素5を備え、このオリフィス構成要素は、少なくとも1つの第1のオリフィスユニット10及び1つの第2のオリフィスユニット11を備える。
【0034】
図2に示される実施形態では、オリフィス構成要素5はオリフィス構成要素ハウジング19を備える。第1のオリフィスユニット10は、第1のオリフィス13と第1のオリフィスチャンバ14とを備える第1のオリフィスプレート12を備える。一実施形態では、第1のオリフィスユニット10は、第1のオリフィスブラケット15を更に備える。第2のオリフィスユニット11もまた、第2のオリフィス21と、第2のオリフィスチャンバ23と、所望により第2のオリフィスブラケット22と、を備える、第2のオリフィスプレート20を備える。これらの構成要素をより詳細に見ると、オリフィス構成要素ハウジング19は、側壁と、開かれた上流端6と、(第2のオリフィス21のための開口部を除き)実質的に閉じた下流端7と、を有する、ほぼ円筒形の構成要素である。
【0035】
ここで第1のオリフィスユニット10を参照すると、オリフィスチャンバ14は、オリフィスプレート12より上流に位置づけられて、それと流体連通している。第1のオリフィスブラケット15は、第1のオリフィスプレート12に隣接しその上流にあるオリフィス構成要素ハウジング9の中に嵌るサイズ及び構成にされて、第1のオリフィスプレート12をオリフィス構成要素ハウジング9内の定位置に保持する。第1のオリフィスブラケット15は、第1のオリフィスチャンバ14を通る通路を画定する内壁を有する。
【0036】
第2のオリフィスユニット11は、第1のオリフィスユニット10と実質的に同じ構造である。
【0037】
オリフィスユニット10及び11は、オリフィス構成要素5内に直列に配置される。任意の数のオリフィスユニットをオリフィス構成要素5内に直列に配置することができる。各オリフィスプレートは、少なくとも1つのオリフィスを備えることができる。オリフィスは、装置100を通る液体の流れを可能にする限りは、オリフィスプレート上のどこに配列されてもよい。各オリフィスプレートは、次のオリフィスプレートと異なる配向で配列される少なくとも1つのオリフィスを備えることができる。一実施形態では、各オリフィスプレートは、近隣のオリフィスプレートのオリフィスと比較すると中央から外れるように配列された少なくとも1つのオリフィスを備える。一実施形態では、オリフィスプレート内のオリフィスのサイズは、その場で大きく又は小さくして、すなわち、オリフィスプレートを変更又は取り外しすることなく、調整することができる。
【0038】
第1のオリフィスブラケット15及び第2のオリフィスブラケット22は、それらが装置100の動作中に第1のオリフィスプレートを固定する限りは、任意の好適な形又はサイズであってよい。図1及び2は、オリフィスブラケット22の配向及びサイズの非限定的な例を示す。別の実施形態では、オリフィスブラケット22は、第2のオリフィスプレート20と第1のオリフィスプレート12との間の距離の半分のみ延在してもよい。更に別の実施形態では、第2のオリフィスブラケット22は、第2のオリフィスプレート20と第1のオリフィスプレート12との間の距離の4分の1のみ延在してもよい。
【0039】
一実施形態では、オリフィスプレート12は、自身の中央軸の周りを90°回転することができるように枢着される。中央軸は、装置100の長さに沿って走る中心線27に対して垂直であるという条件で、任意の中央軸であることができる。一実施形態では、中央軸は軸線28に沿うものであり得る。オリフィス12に自身の中央軸の周りを90°移動させることにより、第1オリフィスチャンバ14及び/又は第2オリフィスチャンバ23内に蓄積した過剰な材料をより容易に除去することができる。一実施形態では、第1オリフィスブラケット15の寸法及び/又は配向は、第1オリフィスプレート12を回転させるように調節することができる。例えば一実施形態では、第1オリフィスブラケット15は、固定を外し、オリフィスプレート12から予混合チャンバ2へと向かう上流方向に移動させることができる。次いでオリフィスプレート12の固定を外して90°回転させることができる。いったん装置100を洗浄したら、第1のオリフィスプレート12をその元の動作構成に戻し、次いで、第1のオリフィスブラケット15がある場合は、それをその元の動作位置に戻すことができる。第2のオリフィスプレート20及び存在する任意の追加のオリフィスプレートも枢着されていてよい。第2のオリフィスブラケット22及び存在する任意の他のオリフィスブラケットもまた、第1のオリフィスブラケット15で説明されたやり方で調整可能であってよい。
【0040】
どの2つのオリフィスプレートも、互いに分離されていなければならない。すなわち、近隣のオリフィスプレート同士が接触してはならない。「近隣の」とは、本明細書では、直列している隣のオリフィスプレートを意味する。近隣の2つのプレートが接触していると、オリフィス間での液体の混合が達成できない。一実施形態では、第1のオリフィスプレート12と第2のオリフィスプレート20との間の距離は1mm以上である。
【0041】
オリフィス構成要素5の要素は、実質的に連続した内面を有する壁によって画定されたチャネルを形成する。結果として、オリフィス構成要素5は、要素間に隙間があるとしてもほとんどなく、先行技術の装置より洗浄しやすくなることが可能である。隣接する要素間のどの接合部も、電気研磨法又はラッピングのような機械的な継ぎ目技法によって高度に機械加工されるので、液体はたとえ高圧下でもそのような要素間の継ぎ目に入ることができない。
【0042】
オリフィス要素5及びその構成要素は、任意の好適な材料(単数又は複数)から作製されることができる。好適な材料としては、ステンレススチール、工具鋼、チタン、焼結炭化タングステン、ダイアモンド(例えば、バルクダイアモンド)(天然及び人工)、及びダイアモンドコーティングされた材料(ただしこれに限定されない)を含む上記材料のいずれかによるコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
オリフィス構成要素5及びその要素は、任意の好適なやり方で形成することができる。オリフィス構成要素システム5の要素のいずれも、バルク形態で入手可能である上記の材料の固体片から形成され得る。要素はまた、上記指定の材料のうちの1つの固体片から形成されてもよく、これは、上記指定の1つ以上の異なる材料によってその表面の少なくとも一部分にわたってコーティングされてもされなくてもよい。装置100は、他の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション装置より低い動作圧を必要とするので、高圧での機械的な及び/又は化学的な磨耗によるその内部要素の浸食は起こりにくくなる。これは、その内部要素にダイアモンドコーティングのような高価なコーティングが必要ではなくなる可能性を意味する。
【0044】
他の実施形態では、中に第1のオリフィス13及び第2のオリフィス21を有するオリフィス構成要素5は、図2に示されるオリフィス構成要素の構成のような任意の好適な構成を有する単一の構成要素を備えることができる。そのような単一の構成要素は、ステンレススチールなどの任意の好適な材料で作製され得るが、これに限定されない。他の実施形態では、上述のオリフィス構成要素5の2つ以上の要素を単一の構成要素として形成することができる。
【0045】
第1のオリフィス13及び第2のオリフィス21は、単独で、又は何らかの他の構成要素との組み合わせで構成されて、流体を混合する、並びに/あるいは流体中に又は流体の混合物中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成する。第1のオリフィス13及び第2のオリフィス21は、それぞれ、任意の好適な構成であってよい。好適な構成には、スロット形、眼形、猫目形、楕円形、三角形、正方形、矩形、いずれかの他の多角形の形状、又は円形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ブレード16は、前縁部29を含む前方部分、及び後縁部30を含む後方部分を有する。ブレード16はまた、上面70、下面72、及び上面と下面との間で測定される厚さを有する。加えて、ブレード16は、一対の側縁部、及びこれらの側縁部間で測定される幅を有する。
【0047】
図1に示されるように、ブレード16が装置100の中に挿入されると、ブレード16の後方部分の一部分は装置内部に締結されるか、ないしは別の方法で、その部分が固定されるように接合される。ブレード16は、それが装置内部に接合されることができるように、任意の好適な方式で構成され得る。
【0048】
図1に示されるように、一部の実施形態では、装置16は、ブレードホルダー17を備えてもよい。
【0049】
装置100は、少なくとも1つの出口又は排出口9を備える。
【0050】
装置100は、1つ以上の追加の入口を備えてもよい。これらの追加の入口は、装置100のどこに位置づけられてもよく、更なる液体の追加を可能にすることができる。一実施形態では、第2のオリフィスユニットが追加の入口を備える。別の実施形態では、第2の混合チャンバが追加の入口を備える。これは、オリフィス構成要素5を出た液体に、追加される更なる液体を追加することを可能にする。
【0051】
使用と使用との合間に装置100をより容易に洗浄可能にするように、装置100の内部には隙間、引っ込んだ場所、及び割れ目が実質的に一切ないことも望ましい。本明細書に記載されている装置100の一実施形態では、オリフィス構成要素5は、一体式構造物に形成されるいくつかの要素を備える。この一体式オリフィス構成要素5の構造物は、予混合チャンバハウジングにユニットとして嵌るものであり、それを定位置に保持するための支持体ブロックを必要とせず、そのような隙間を排除する。
【0052】
装置100及びそのための構成要素の様々な他の実施形態もまた可能である。ブレードホルダー17は、1つを超えるブレード16を保持するように構成することができる。例えば、ブレードホルダー17は、2つ以上のブレードを保持するように構成することができる。
【0053】
布地柔軟化活性液体組成物
布地柔軟化活性液体組成物は、第1入口1Aを介して装置100へと導入される。布地柔軟化活性液体組成物は、布地柔軟化活性物質及び溶媒を含む。
【0054】
好ましい実施形態では、布地柔軟化活性物質は、布地柔軟化活性組成物の85重量%〜95重量%の濃度で存在する。
【0055】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は第四級アンモニウム化合物であり、好ましくはジエステル第四級アンモニウム化合物である。
【0056】
布地柔軟化活性組成物はまた溶媒を含み、好ましくは、エタノール及び/又はイソプロパノールを含む群から選択される。
【0057】
一実施形態では、布地柔軟化活性液体組成物は溶解形態で加えられる。好ましくは、溶解させるために布地柔軟化活性液体組成物は70℃〜90℃の温度に加熱する。
【0058】
本発明に使用するのに好適な布地柔軟化活性物質は以下に詳述する。
【0059】
一実施形態では、布地柔軟化活性物質は、主な活性物質として、次式の化合物を含む:
{R4−m−N−[(CH−Y−R}X (1)
(式中、各R置換基は、水素、短鎖C〜Cのいずれかであり、好ましくはC〜Cアルキル又はヒドロキシアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチルなど、ポリ(C2〜3アルコキシ)、好ましくはポリエトキシ、ベンジル、又はこれらの混合物のいずれかであり、各mは2又は3であり、各nは1〜約4、好ましくは2であり、各Yは−O−(O)C−、−C(O)−O−、−NR−C(O)−、又は−C(O)−NR−であり、各R中の炭素の合計数は(ただし、Yが−O−(O)C−又は−NR−C(O)−のときは+1)、C12〜C22であり、好ましくはC14〜C20であり、各Rは、ヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビル基であり、Xは、任意の柔軟剤適合性アニオン、好ましくは塩化物、臭化物、硫酸メチル、硫酸エチル、硫酸塩及び硝酸塩、より好ましくは塩化物又は硫酸メチルであり得る)。
【0060】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は次の一般式を有する:
[RCHCH(YR)(CHYR)]X
(式中、Y、R、R及びXはそれぞれ、上記と同じ意味を有する)。このような化合物には、次式を有するものが挙げられる:
[CH(+)[CHCH(CHO(O)CR)O(O)CR]C1(−) (2)
(式中、各Rはメチル又はエチル基であって、好ましくは各RはC15〜C19の範囲である)。本明細書で使用するとき、ジエステルが明記される場合、それは存在するモノエステルを包含することができる。
【0061】
これらの種類の剤及びこれらを製造する一般的方法は、米国特許番号第4,137,180号(Naikら、1979年1月30日発行)に開示され、該当案件は参照として本明細書に組み込まれる。好ましいDEQA(2)の例は、式1,2−ジ(アシルオキシ)−3−トリメチルアンモニオプロパンクロリドを有する「プロピル」エステル四級アンモニウム布地柔軟剤活性物質である。
【0062】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は次式を有する:
[R4−m−N−R]X (3)
(式中、R、R及びXはそれぞれ、上記と同じ意味を有する)。
【0063】
更に他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は次式を有する:
【化1】

(式中、各R、R、及びAは上記で与えられた定義を有し、各RはC1〜6アルキレン基、好ましくはエチレン基であり、及びGは酸素原子又は−NR−基である)。
【0064】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は次式を有する:
【化2】

(式中、R、R及びGは上記のように定義される)。
【0065】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は、脂肪酸とジアルキレントリアミンとの例えば分子量比約2:1の縮合反応生成物であり、この反応生成物は次式の化合物を含有する:
−C(O)−NH−R−NH−R−NH−C(O)−R (6)
(式中、R、Rは上記のように定義され、各RはC1〜6アルキレン基であり、好適にはエチレン基であり、反応生成物は所望により硫酸ジメチルなどのアルキル化剤の添加によって四級化されてもよい)。このような四級化反応生成物は、米国特許第5,296,622号(Uphuesら、1994年3月22日発行)に更に詳細に記載されており、該当案件は参照として本明細書に組み込まれる。
【0066】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は次式を有する:
[R−C(O)−NR−R−N(R)−R−NR−C(O)−R (7)
(式中、R、R、R、R及びAは上記のように定義される)。
【0067】
更に他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は、脂肪酸とヒドロキシアルキルアルキレンジアミンとの分子量比約2:1の反応生成物であり、この反応生成物は次式の化合物を含有する:
−C(O)−NH−R−N(ROH)−C(O)−R (8)
(式中、R、R及びRは、上記のように定義される)。
【0068】
他の実施形態では、布地柔軟化活性物質は次式を有する:
【化3】

(式中、R、R、R、及びAは、上記のように定義される)。
【0069】
化合物(1)の非限定的な例は、N,N−ビス(ステアロイル−オキシ−エチル)N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(タローイル−オキシ−エチル)N,Nジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ステアロイル−オキシ−エチル)N−(2ヒドロキシエチル)N−メチルアンモニウムメチルスルファートである。
【0070】
化合物(2)に非限定的な例は、1,2ジ(ステアロイル−オキシ)3トリメチルアンモニウムプロパンクロリドである。
【0071】
化合物(3)の非限定的な例は、ジカノーラジメチルアンモニウムクロリド(dicanoladimethylammonium chloride)、ジ(ハード)タロージメチルアンモニウムクロリド(di(hard)tallowdimethylammonium chloride)、ジカノーラジメチルアンモニウムメチルスルファート(dicanoladimethylammonium methylsulfate)などのジアルキレンジメチルアンモニウム塩である。本発明で使用可能な市販のジアルキレンジメチルアンモニウム塩の例は、Witco Corporationから商品名Adogen(登録商標)472として入手可能なジオレイルジメチルアンモニウムクロリド、及びAkzo Nobel Arquad 2HT75から市販のジハードタロージメチルアンモニウムクロリドである。
【0072】
化合物(4)の非限定的な例は、Witco社より商標名Varisoft(登録商標)として市販の1−メチル−1−ステアロイルアミドエチル−2−ステアロイルイミダゾリニウムメチルスルファート(式中、Rは非環式脂肪族C15〜C17炭化水素基であり、Rはエチレン基であり、GはNH基であり、Rはメチル基であり、Aはメチルスルファートアニオンである)である。
【0073】
化合物(5)の非限定的な例は、1−タローイルアミドエチル−2−タローイルイミダゾリン(式中、Rは、非環式脂肪族C15〜C17炭化水素基であり、Rはエチレン基であり、GはNH基である)である。
【0074】
化合物(6)の非限定的な例は、脂肪酸とジエチレントリアミンとのモル比約2:1での反応生成物であり、この反応生成物の混合物は次式のN,N”−ジアルキルジエチレントリアミンを含有する:
−C(O)−NH−CHCH−NH−CHCH−NH−C(O)−R
(式中、R−C(O)は、Henkel Corporationから入手可能なEmersol(登録商標)223LL又はEmersol(登録商標)7021などの、植物又は動物を供給源として得られた市販の脂肪酸のアルキル基であり、R及びRは二価のエチレン基である)。
【0075】
化合物(7)の非限定的な例は、次式を有するジ脂肪アミドアミン系柔軟仕上げ剤である:
[R−C(O)−NH−CHCH−N(CH)(CHCHOH)−CHCH−NH−C(O)−RCHSO
(式中、R−C(O)は、Witco Corporationから商標名Varisoft(登録商標)222LTとして市販されているアルキル基である)。
【0076】
化合物(8)の例は、脂肪酸とN−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミンとのモル比約2:1での反応生成物であり、この反応生成物の混合物は次式の化合物を含有する:
−C(O)−NH−CHCH−N(CHCHOH)−C(O)−R
(式中、R−C(O)は、Henkel Corporationから入手可能なEmersol(登録商標)223LL又はEmersol(登録商標)7021などの、植物又は動物を供給源として得られた市販の脂肪酸のアルキル基である)。
【0077】
化合物(9)の例は次式を有するジ四級化合物である:
【化4】

(式中、Rは脂肪酸から得られ、化合物はWitco Companyから入手可能である)。
【0078】
本明細書に開示される柔軟剤活性物質の組み合わせが、本明細書で使用するのに好適であることが理解されよう。
【0079】
本明細書のカチオン性窒素系塩において、アニオンAは、柔軟剤に相溶性のある任意のアニオンであり、電気的に中性である。ほとんどの場合、これらの塩において電気的中性をもたらすために使用されるアニオンは、強酸由来のものであり、特に、塩化物、臭化物、又はヨウ化物のようなハロゲン化物由来のものである。しかし、硫酸メチル、硫酸エチル、酢酸、ギ酸、硫酸、炭酸等の他のアニオンを使用してもよい。塩化物及び硫酸メチルが、アニオンAとして本明細書では好ましい。またアニオンは、Aが半基(half a group)を表す場合、二重電荷を有してもよいが、あまり好ましくない。
【0080】
一部の実施形態では、布地柔軟化活性液体組成物が2つ以上の異なる相、又は多数の相を含むことが望ましい場合がある。異なる相は、1つ以上の液相、気相、又は固相を含むことができる。液体の場合、液体がキャビテーションのために十分な溶解気体を含有することが望ましいことが多い。好適な液体には、水、油、溶媒、液化ガス、スラリー、及び室温では通常固体である溶融材料が挙げられるが、これらに限定されない。溶融固体材料には、ワックス、有機材料、無機材料、ポリマー、脂肪族アルコール、及び脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
布地柔軟化活性液体はまた、固体粒子を有することもできる。粒子は任意の好適な材料を含むことができる。粒子は、巨視的粒子及びナノ粒子を含む、いずれの好適なサイズであることもできる。これらの粒子は、布地柔軟化活性液体中に任意の適切な量で存在させてよい。
【0082】
第2の液体組成物
装置100は、第2入口1Bも備える。第2入口1Bは第2の液体組成物を導入するために使用される。第2の液体組成物は、当該技術分野において既知の布地柔軟化液体組成物中に見出される、布地柔軟化活性液体と共に記載される一般的な種類の材料のうちのいずれかを含み得る。それらを以下に例示する。第2の液体組成物は加熱しても加熱しなくてもよい。一実施形態では、第2の液体組成物の温度は40℃〜70℃である。
【0083】
第2の液体組成物は、以下のものを含む群から選択される構成成分を含み得る:シリコーン化合物、香料、カプセル化香料、分散剤、安定剤、pH調整剤、着色剤、増白剤、染料、臭気抑制剤、プロ香料、シクロデキストリン、溶媒、汚れ放出ポリマー、防腐剤、抗菌剤、塩素スカベンジャー、収縮防止剤、布地クリスピング剤、スポッティング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、増粘剤、ドレープ及びフォーム調整剤、平滑剤、静電気抑制剤、しわ抑制剤、殺菌剤、消毒剤、細菌抑制剤、白カビ抑制剤、カビ抑制剤、抗ウィルス剤、抗菌剤、乾燥剤、耐汚染剤、汚れ放出剤、悪臭抑制剤、布地リフレッシュ剤、塩素漂白臭気抑制剤、染料固定剤、染料移染阻害剤、色保持剤、色復元/再生剤、抗退色剤、白色増強剤、抗磨耗剤、耐磨耗剤、布地一体化剤、摩耗防止剤、抑泡剤及び消泡剤、濯ぎ助剤、UV保護剤、日褪せ阻害剤、防虫剤、抗アレルギー剤、酵素、難燃剤、防水剤、布地快適剤、活水剤、耐収縮剤、耐伸剤、増粘剤、キレート剤、電解質及びこれらの組み合わせ。
【0084】
一実施形態では、第2の液体組成物はシリコーン化合物、好ましくはポリジメチルシロキサン化合物を含む。
【0085】
第2の液体組成物のpHは、得られる最終的な布地柔軟化液体組成物のpHが、pH 2.5〜3.2を有するように調整されるべきである。このpH範囲は、布地柔軟化活性物質の安定性を増加させるものとして好ましい。
【0086】
布地柔軟剤液体組成物の製造方法
本発明は、布地柔軟化活性物質を含む布地柔軟化液体組成物を製造するための方法に関し、方法は:
−装置100を用いる工程であって、装置100は少なくとも第1入口1A及び第2入口1Bと、予混合チャンバ2であって、上流端3及び下流端4を有し、予混合チャンバ2の上流端3が第1入口1A及び第2入口1Bと流体連通している、予混合チャンバ2と、オリフィス構成要素5であって、上流端6及び下流端7を有し、オリフィス構成要素の上流端6が予混合チャンバ2の下流端4と流体連通しており、ジェットで液体を噴霧し、かつ液体中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成するように構成される、オリフィス構成要素5と、オリフィス構成要素5の下流端7と流体連通している、二次混合チャンバ8と、液体中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成した後に液体を排出するために二次混合チャンバ8と流体連通している少なくとも1つの出口9であって、二次混合チャンバ8の下流端に位置づけられた、少なくとも1つの出口9と、を備え、オリフィス構成要素5は、互いに直列に配置された少なくとも2つのオリフィスユニット10及び11を備え、各オリフィスユニットは、少なくとも1つのオリフィス13を備えるオリフィスプレート12と、オリフィスプレート12より上流に位置づけられ、かつオリフィスプレート12と流体連通しているオリフィスチャンバ14と、を備え、近隣のオリフィスプレートは互いに分離されている、装置100を用いる工程と、
−1つ以上の好適な液体ポンピング装置を第1入口1A及び第2入口1Bに接続する工程と、
−布地柔軟化活性液体組成物を第1入口1Aにポンピングし、かつ第2の液体組成物を第2入口1Bにポンピングする工程であって、装置の動作圧が0.1バール(10kPa)〜50バール(5,000kPa)であり、動作圧は予混合チャンバ2で測定されるものとしての液体の圧力である、ポンピングする工程と、
−布地柔軟化活性液体と第2の液体組成物とに所望の流速で装置100を通過させる工程であって、これらの液体に装置100を通過させるにつれて、これらの液体が一方の液体から他方の液体に分散される、装置100を通過させる工程と、
−出口9から生成される、得られた布地柔軟化液体組成物を排出する工程と、を含む。
【0087】
方法は、別個の流れの形態で、液体形態の布地柔軟化活性物質と、布地柔軟化組成物の他の構成成分を含む第2の液体組成物とを、液体がオリフィス構成要素5を通過するように予混合チャンバ2に導入する工程を含む。圧力下で液体形態の布地柔軟化活性物質と第2の液体組成物とにオリフィス構成要素5を通過させる。液体形態の布地柔軟化活性物質と第2の液体組成物とは同様の又は異なる動作圧であることができる。オリフィス構成要素5は、布地柔軟化活性液体と第2の液体組成物とを混合するために、並びに/又は剪断力、乱流、及び/若しくはキャビテーションを各液体若しくは液体の混合物に生成するために単独で、あるいは何らかの他の構成要素と組み合わせて構成される。
【0088】
液体は、ポンプ及びポンプに電力を供給するモーターの使用(ただしこれに限定されない)を含む、任意の好適な方式によって装置100に供給することができる。ポンプは、所望の動作圧下で液体を装置100に供給することができる。一実施形態では、「8枠ブロック式マニホールド(8 frame block-style manifold)」を781型Plunger pump(CAT pumpsから入手可能(1681 94th Lane NE,Minneapolis,MN 55449))と共に使用する。
【0089】
従来の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション装置の動作圧は約6.9バール(690kPa)〜690バール(69,000kPa)である。動作圧は、予混合チャンバ2内の液体の圧力である。動作圧はポンプによりもたらされる。
【0090】
本発明の動作圧は、RVS膜を装備したCerphant T PTP35圧力スイッチ(Endress Hauserにより製造(Endress+Hauser Instruments,International AG,Kaegenstrasse 2,CH−4153,Reinach))を用いて測定される。このスイッチを従来のねじ接続(雄ねじは予混合チャンバハウジング内、雌ねじはCerphant T PTP35圧力スイッチ上)を用いて予混合チャンバ2に接続する。
【0091】
本発明の好ましい動作圧は、従来の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション方法よりも低いにも関わらず、従来の装置を用いる方法に見られるものと同程度の液体混合が得られる。同様に、同じ動作圧においては、本発明の方法は、従来の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション方法に見られるものよりも良好な混合性をもたらす。一実施形態では、装置100は、0.1バール(10kPa)〜50バール(5,000kPa)の動作圧を有する。更に他の実施形態では、装置100の動作圧は、0.25バール(25kPa)〜20バール(2,000kPa)である。更に他の実施形態では、装置100の動作圧は、0.5バール(50kPa)〜10バール(1,000kPa)である。装置100が、所望により、従来の方法で見られるより高い圧力(最高690バール(69,000kPa))でも動作し得ることに注目すべきである。
【0092】
布地柔軟化活性物質と第2の液体組成物は、装置100を通って流れるにつれて、オリフィス構成要素5のオリフィス13及び21を通過する。通過する際これらの液体はオリフィス13及び/又は21から噴出される。この噴出が、布地柔軟化活性物質と第2の液体組成物に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションをもたらし、したがってこれらを他方の中へ分散して、均一で安定な分散液を形成する。
【0093】
従来の剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション方法では、液体に高圧力下でオリフィス13及び/又は21を通過させることによりこれらの液体は混合する。液体に直列に配置されたオリフィスを通過させた場合、これと同程度の混合を、高圧による方法と比較してより低い圧力で達成することができる。また等圧では、本発明の方法は、液体を、直列に配置されたオリフィスに通過させることにより、剪断力、乱流、及び/又はキャビテーション方法よりもより良好な液体混合を生じる。
【0094】
所与の体積の液体は、装置100内で任意の好適な滞留時間及び/又は滞留時間分布を有することができる。いくつかの好適な滞留時間には、約1ミリ秒〜約1秒、又はそれを超えるものが挙げられるが、これらに限定されない。液体は、任意の好適な流速で装置100を流れることができる。好適な流速は、約1〜約1,500L/分、若しくはそれを超える範囲であるか、又は約5〜約1,000L/分が挙げられるがこれに限定されない範囲内に入る流速の任意のより狭い範囲である。
【0095】
本方法は、限定するものではないが液体、エマルション、分散液、ゲル及びブレンドが挙げられる多くの異なる種類の布地柔軟化組成物製品を製造するために使用することができる。
【0096】
一実施形態では、得られる布地柔軟化組成物は、室温において液体である。他の実施形態では、得られる布地柔軟化組成物は非常に濃縮されている。本明細書において、我々は「非常に濃縮されている」により、布地柔軟化活性物質が布地柔軟化組成物の50重量%〜90重量%で存在することを意味する。更に他の実施形態では、得られる布地柔軟化組成物は非常に濃縮されており、かつ使用時温度において液体である。用語「液体」は非粘性の液体、粘性の液体、エマルション、分散液、ゲル又はブレンドを包含し得る。得られる布地柔軟化組成物は構造化された液体を包含し得、ここで構造化は、分散液中に存在する粒子によりもたらされる。これらの粒子は任意の形状及び寸法であり得る。
【0097】
当業者は、どの程度の濃度の構成成分を加えれば所望の組成物が得られるかを認識するであろう。
【0098】
本発明の他の態様は、本発明の方法を用いて製造される布地柔軟化液体組成物である。布地柔軟化液体組成物は、従来の自動洗濯機に使用することができ、あるいは手洗い用布地柔軟化組成物として使用することもできる。
【実施例】
【0099】
以下の実施例は、当該技術分野において既知の代替の高圧装置によるものと同程度の液体構成成分分散性を含むにもかかわらず、代替装置よりも低い動作圧を用いる本発明の方法が、布地柔軟化組成物を製造するためにどのように使用できるかを例示する。高い剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションの混合装置という状況では、分散又は乳化の度合いは平均粒径又は平均粒径分布の比較によって評価され得る。高い剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションの混合装置は、粒子を含む分散及び/又は乳化組成物を生成し、これらの粒子はある範囲の粒径を有する。特定の動作圧を要求する特定の平均粒径を達成することが望ましい。また、特定の粒径分布を達成することも望ましい。概して、より小さい粒子がより高いパーセンテージで要求されるほど、より高い動作圧が必要である。
【0100】
(実施例1)
2つの液体をそれぞれ別々の入口から装置100に供給した。第1の液体は、溶解(80℃)カチオン性界面活性剤(91%溶解ジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド、9%イソプロパノール)組成物であった。第2の液体は60℃の水であった。生成された最終組成物は、カチオン性界面活性剤6%、水94%であった。
【0101】
同じ組成物をSonolator(登録商標)高圧ホモジナイザーに、やはり2つの別々の供給物として供給した。Sonolator内のオリフィスは、1.1mmであった。
【0102】
どちらの装置も、4バール+/−0.2バール(400kPa+/−20kPa)の動作圧(RVS膜を備えるCerphant T PTP35圧力スイッチ(Endress Hauserにより製造(Endress+Hauser Instruments,International AG,Kaegenstrasse 2,CH−4153,Reinach))を用いて測定されるとき)で使用した。このスイッチを標準的なねじ接続(雄ネジは予混合チャンバハウジング内、雌ねじはCerphant T PTP35圧力スイッチ上)を用いて予混合チャンバに接続する。流速は、当該技術分野で既知の標準技術を用いたEndress & Hauser Promass M流速計を使用して測定した際に5kg/分+/−0.25kg/分に維持した。
【0103】
本発明の装置は、それぞれが近隣のプレートから12mm離間された4つのオリフィスプレートを有して調製された。各プレートは、直径1.9mmの円形オリフィスを1つ備えた。オリフィスは、装置100の中央線27に沿って互いに整列した。
【表1】

【0104】
表1に示されるように、4バール(400kPa)の圧力において、装置100は、標準的なMalvern Zeta Sizer測定セルを用いたMalvern Zeta Sizer Nano−ZS粒径分布分析器を使用して測定されるものとして、より小さい平均粒径を生成した(試料は測定前に100倍に希釈された)。得られたより小さい粒径は、液体がより効率的に混合されることを示す、より良好な液体−液体分散の指標になる。本発明の装置はまた、当該技術分野で既知の標準技術を用いる「ボブとカップ」の同心シリンダ測定システム(具体的には、Anton Paar CC27(直径27mm)ボブとAnton Paar CC27ステンレススチールカップ)を用いるAnton Paar Rheometerを21℃で用いて測定されたとき、より低い粘度を有する組成物を生成した。
【0105】
当業者であれば、実施例1で得られたような小胞性分散液の事例では、粒径が小さいほど分散液の粘度が低いことを理解するであろう。
【0106】
(実施例2)
2つの液体をそれぞれ別々の入口から装置100に供給した。第1の液体は、溶解(80℃)カチオン性界面活性剤(91%溶解ジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド、9%イソプロパノール)組成物であった。第2の液体は60℃の水であった。生成された最終組成物は、カチオン性界面活性剤10%、水90%であった。
【0107】
同じ組成物をSonolator(登録商標)高圧ホモジナイザーに、やはり2つの別々の供給物として供給した。Sonolator内のオリフィスは、0.65mmであった。
【0108】
粒子の95%が0.2μmを下回る寸法を有する粒径集団を含む組成物を製造するために必要とされる動作圧は、RVS膜を装備したCerphant T PTP35圧力スイッチ(Endress Hauserにより製造(Endress+Hauser Instruments,International AG,Kaegenstrasse 2,CH−4153,Reinach))を用いて測定された。このスイッチを標準的なねじ接続(雄ネジは予混合チャンバハウジング内、雌ねじはCerphant T PTP35圧力スイッチ上)を用いて予混合チャンバに接続する。
【0109】
これを、0.5μm未満、及び最終的には1.0μm未満の粒子を95%有する粒径母集団を有する組成物について繰り返した。
【0110】
本発明の装置は、それぞれが近隣のプレートから15mm離間した5つのオリフィスプレートを有して調製された。各プレートは、直径1.9mmの円形オリフィスを1つ備えた。オリフィスは、装置100の中央線27に沿って互いに整列した。
【表2】

【0111】
試料を100倍に希釈し、Horiba LA−920を用いて粒度分布を測定した。レーザー散乱式粒度分散分析計には当該技術分野において既知の標準技術を用いた。
【0112】
表2に見られるように、装置100は、Sonolator(登録商標)高圧ホモジナイザーより低い圧力を使用して所与の所望の粒度分布を達成する。
【0113】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0114】
明示的に除外されるか、あるいは限定されない限り、本願に引用するすべての文書は、相互参照する、又は関連するいかなる特許又は特許出願をも含めて、参照によってそれらのすべての内容が本願に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが、本願にて開示若しくは特許請求される発明に対する先行技術であること、又は、それが単独で、あるいは任意の他の参照文献との組み合わせで、そのようないかなる発明をも教示、暗示、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と対立する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0115】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地柔軟化活性物質を含む布地柔軟化液体組成物を製造するための方法であって、
−装置(100)を用いる工程であって、該装置(100)は少なくとも第1入口(1A)及び第2入口(1B)と、予混合チャンバ(2)であって、上流端(3)及び下流端(4)を有し、前記予混合チャンバ(2)の前記上流端(3)が前記第1入口(1A)及び前記第2入口(1B)と流体連通している、予混合チャンバ(2)と、オリフィス構成要素(5)であって、上流端(6)及び下流端(7)を有し、前記オリフィス構成要素の前記上流端(6)が前記予混合チャンバ(2)の前記下流端(4)と流体連通しており、ジェットで液体を噴霧し、かつ液体中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成するように構成される、オリフィス構成要素(5)と、前記オリフィス構成要素(5)の前記下流端(7)と流体連通している、二次混合チャンバ(8)と、液体中に剪断力、乱流、及び/又はキャビテーションを生成した後に液体を排出するために前記二次混合チャンバ(8)と流体連通している少なくとも1つの出口(9)であって、前記二次混合チャンバ(8)の前記下流端に位置づけられた、少なくとも1つの出口(9)と、を備え、前記オリフィス構成要素(5)は、互いに直列に配置された少なくとも2つのオリフィスユニット(10)及び(11)を備え、各オリフィスユニットは、少なくとも1つのオリフィス(13)を備えるオリフィスプレート(12)と、前記オリフィスプレート(12)より上流に位置づけられ、かつ前記オリフィスプレート(12)と流体連通しているオリフィスチャンバ(14)と、を備え、近隣のオリフィスプレートは互いに分離されている、装置(100)を用いる工程と、
−1つ以上の好適な液体ポンピング装置を前記第1入口(1A)及び前記第2入口(1B)に接続する工程と、
−布地柔軟化活性液体組成物を前記第1入口(1A)にポンピングし、かつ第2の液体組成物を前記第2入口(1B)にポンピングする工程であって、前記装置の動作圧が0.1バール(10kPa)〜50バール(5,000kPa)であり、前記動作圧は前記予混合チャンバ(2)で測定されるものとしての前記液体の圧力である、ポンピングする工程と、
−前記布地柔軟化活性液体と前記第2の液体組成物とに所望の流速で前記装置(100)を通過させる工程であって、これらの液体に前記装置(100)を通過させるにつれて、これらの液体が一方の液体から他方の液体に分散される、装置(100)を通過させる工程と、
−出口(9)から生成される、得られた布地柔軟化液体組成物を排出する工程と、
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記布地柔軟化活性組成物が布地柔軟化活性物質及び溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記布地柔軟化活性物質が第四級アンモニウム化合物、好ましくはジエステル第四級アンモニウム化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記布地柔軟化活性物質が、前記布地柔軟化活性組成物の85重量%〜95重量%で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が、エタノール若しくはイソプロパノール又はこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記装置100の動作圧が、0.25バール(25kPa)〜20バール(2,000kPa)、好ましくは0.5バール(50kPa)〜10バール(1,000kPa)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法により製造された布地柔軟化液体組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516952(P2012−516952A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550332(P2011−550332)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【特許番号】特許第4932977号(P4932977)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/020640
【国際公開番号】WO2011/087974
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】