説明

布接着装置、及び接着プログラム

【課題】細かい接着作業を行うことができる布接着装置、及び接着プログラムを提供する。
【解決手段】布接着装置は、作業者が足で操作するペダルと、作業者が手で操作する操作部47とを備えている。作業者は、ペダルを足で踏み込むか、又は、操作部47を押すことで、布の接着作業を行うことができる。作業者がペダルを足で踏み込んだ場合、ギアポンプ、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は、ペダルの踏み込み量に応じた回転速度で回転する。故に、踏み込み量に応じた速度で布は移動し、踏み込み量に応じた量の接着剤がノズルから布に吐出する。作業者が操作部47を押した場合、ギアポンプ、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は定速で回転する。布は定速で移動し、一定量の接着剤がノズルから吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布と布を接着する布接着装置、及び接着プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
布接着装置は、針と縫糸で布を縫製する代わりに、接着剤で布と布を接着するものである。縫糸で布と布とを縫製した場合、縫糸が布表面に現れ、凹凸が発生する。布接着装置は、布と布とを接着剤で接着することで、布表面に発生する凹凸を無くすことが可能である。布接着装置による加工後の布の表面は平滑である。故に布接着装置は、肌に触れて不快感のない衣服等を作製することが可能である。
【0003】
特許文献1に記載の布接着装置は、作業者がペダルを踏み込むと、液状の接着剤をノズルから吐出し、布に付着させる。作業者は、接着剤が付着した布に別の布を重ねる。布接着装置は、ローラによって双方の布を押圧し移送する。故に、布と布は接着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−180486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の装置は、接着作業を行う際、足でペダルを操作する必要がある。故に、操作に不慣れな作業者は、ペダルの微妙な操作を行うことができず、細かい接着作業を行うことができないという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、細かい接着作業を行うことができる布接着装置、及び接着プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る布接着装置は、接着剤を布に吐出するノズルと、前記ノズルに前記接着剤を供給する供給手段と、前記布を押圧して移送する移送手段と、作業者が足で操作を行う第一操作手段と、作業者が手で操作を行う第二操作手段と、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第一判断手段と、前記第一判断手段において、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行ったと判断した場合に、前記第一操作手段に対する操作の程度に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第一駆動手段と、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第二判断手段と、前記供給手段及び前記移送手段の駆動条件を、記憶手段から取得する取得手段と、
前記第一判断手段において、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていないと判断した場合であり、且つ前記第二判断手段において、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行ったと判断した場合に、前記取得手段によって取得した前記駆動条件に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第二駆動手段とを備えている。
【0008】
第一態様によれは、作業者は、第二操作手段を手で操作できるので、第二操作手段に対して微妙な操作を行うことができる。故に作業者は、供給手段及び移送手段の駆動を思い通りに制御することで、細かい接着作業を行うことができる。また布接着装置は、作業者が第二操作手段に対する操作を行った場合、記憶手段に記憶した駆動条件に基づいて供給手段及び移送手段を駆動する。供給手段及び移送手段の駆動は、第二操作手段に対する操作の程度に依存しない。故に、操作に不慣れな作業者であっても、細かい接着作業を確実に行うことができる。
【0009】
また、第一態様において、前記布を検出する検出手段と、前記検出手段が前記布を検出する状態から、前記検出手段が前記布を検出しない状態に変化した後、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を第一距離分移送する第三駆動手段と、前記第三駆動手段が前記移送手段を駆動して前記布を前記第一距離分移送した後、前記供給手段を駆動して前記ノズルに対する前記接着剤の供給を停止し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を第二距離分移送する第四駆動手段とを備えていてもよい。布接着装置は、検出手段が布を検出できる位置とノズルとの間が離れている場合でも、布の端部まで正確に接着剤を吐出できる。また布接着装置は、布を第一距離分移送した後、接着剤の吐出を禁止するので、接着剤が台座部に付着することを防止できる。更に布接着装置は、接着剤の吐出を禁止した状態で布を第二距離分移送するので、布の端部まで確実に押圧し、布と布とを接着することができる。
【0010】
また、第一態様において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っているか否かを判断する第三判断手段を備え、前記第三駆動手段及び前記第四駆動手段のうち少なくとも一方は、前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っていると判断している間、前記供給手段及び前記移送手段を駆動してもよい。布接着装置は、作業者が第一操作手段及び第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っている間、供給手段及び移送手段を駆動できる。故に作業者は、検出手段が布を検出しない状態に変化した後も、接着作業のタイミングを自在に調整できる。
【0011】
また、第一態様において、前記第三駆動手段は、前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っていると判断している間、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を前記第一距離分移送してもよい。検出手段が布を検出しない状態に変化した後、布が第一距離分移動するまでの間において、作業者は、ノズルから接着剤を吐出しながら布を移送する接着作業のタイミングを自在に調整できる。
【0012】
また、第一態様において、前記布を検出する検出手段と、前記検出手段が前記布を検出する状態から、前記検出手段が前記布を検出しない状態に変化した後、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を第一距離分移送する第三駆動手段を備えていてもよい。これによって布接着装置は、検出手段が布を検出できる位置とノズルとの間が離れている場合でも、布の端部まで接着剤を吐出できる。
【0013】
また、第一態様において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っているか否かを判断する第三判断手段を備え、前記第三駆動手段は、前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っていると判断している間、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を前記第一距離分移送してもよい。布接着装置は、作業者が第一操作手段及び第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っている間、供給手段及び移送手段を駆動できる。故に作業者は、検出手段が布を検出しない状態に変化した後も、接着作業のタイミングを自在に調整できる。なお、検出手段が布を検出しない状態に変化し、且つ布が第一距離分移動した後は、作業者は移送手段を自由に制御して思い通りに布を動かし、接着作業を行うことができる。
【0014】
また、第一態様において、前記第三駆動手段は、前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記第一操作手段に対する操作の程度に応じ、前記供給手段及び前記移送手段を駆動し、前記第三判断手段において、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記取得手段によって取得した前記駆動条件に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動してもよい。作業者は、第一操作手段を操作することで、所望の移送速度で布を移送し接着することができる。また作業者は、第二操作手段を操作することで、常に一定の移送速度で布を移送し接着することができる。故に作業者は、操作の習熟度に応じて操作方法を切り替えることができるので、操作に不慣れな作業者であっても、布の端部まで確実に接着することができる。
【0015】
本発明の第二態様に係る接着プログラムは、接着剤を吐出するノズルと、前記ノズルに前記接着剤を供給する供給手段と、布を移送する移送手段と、作業者が足で操作を行う第一操作手段とを備えた布接着装置のコンピュータに実行させる接着プログラムであって、前記コンピュータに、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記第一操作手段に対する操作の程度に応じ、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第一駆動ステップと、作業者が手で操作を行う第二操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第二判断ステップと、記憶手段に記憶した駆動条件を取得する取得ステップと、前記第一判断ステップにおいて、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていないと判断した場合であり、且つ前記第二判断ステップが、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記取得ステップにおいて取得した前記駆動条件に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第二駆動ステップとを実行させる。
【0016】
第二態様によれは、作業者は、第二操作手段を手で操作できるので、供給手段及び移送手段の駆動を思い通りに制御できる。故に作業者は、第二操作手段に対して微妙な操作を行うことができるので、細かい接着作業を行うことができる。また布接着装置は、作業者が第二操作手段に対する操作を行った場合、記憶手段に記憶した駆動条件に基づいて供給手段及び移送手段を駆動する。供給手段及び移送手段の駆動は、第二操作手段に対する操作の程度に依存しない。故に、操作に不慣れな作業者であっても、細かい接着作業を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】布接着装置1全体を前方斜め上から見た斜視図である。
【図2】接着機2を前方斜め上から見た斜視図である。
【図3】接着機2の左側面図である。
【図4】接着機2の内部構造の透視図である。
【図5】図2におけるI−I線矢視方向屈曲断面図である。
【図6】布接着装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】接着作業時のノズル45近傍の斜視図である。
【図8】パラメータテーブル991を示す図である。
【図9】通常接着処理を示すフローチャートである。
【図10】終端接着処理を示すフローチャートである。
【図11】自動処理を示すフローチャートである。
【図12】半自動処理を示すフローチャートである。
【図13】手動処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の布接着装置1について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下、図2に示す接着機2のうち紙面上側、下側、右斜め上側、左斜め下側、右斜め下側、左斜め上側を、夫々、接着機2の上側、下側、右側、左側、前側、後側と定義して説明する。
【0019】
図1を参照し、布接着装置1の構成について説明する。布接着装置1は、接着機2、及びテーブル220を備えている。テーブル220は、接着機2を固定する。接着機2は、対向配置した二層の布の間に接着剤を付着し、布を押圧し移送する。二層の布は、接着機2の前述した動作により互いに接着する。接着機2の構成の詳細については後述する。
【0020】
テーブル220は、接着機2右側に操作パネル210を備える。操作パネル210は、液晶表示部208、及び複数のキー209を備える。液晶表示部208は、各種情報を表示する。キー209は、各種入力をするものである。作業者は、液晶表示部208を見ながらキー209を操作することで、布接着装置1の各種動作を設定する。テーブル220は、下端にペダル206を回動可能に支持している。作業者は、ペダル206の踏み込み量を調節することで、布の移送速度を調節することができる。テーブル220は、接着機2と対向する位置に制御ボックス3を備えている。制御ボックス3は、CPU201(図6参照)等を実装した制御基板を格納する。制御ボックス3は、接着機2、操作パネル210、及びペダル206と電気的に接続する。
【0021】
図2及び図3を参照し、接着機2の構成について説明する。接着機2は、台座部11、脚柱部12、及びアーム部13を備えている。台座部11は、左右方向を長手方向とする略直方体状である。脚柱部12は、台座部11右端から鉛直方向に延びている。アーム部13は、脚柱部12上端に接続し、脚柱部12左側面の左方に突出している。台座部11は、脚柱部12を支持する土台として機能する。脚柱部12は、アーム部13を支持する。アーム部13左端部は、前方から順に、ポンプケース31、貯蔵室26、梁部14を支持している。
【0022】
ポンプケース31は、第一ポンプケース32、及び第二ポンプケース33を備えている。第一ポンプケース32は、アーム部13左側面に固定している。第一ポンプケース32は、内部にギアポンプ35(図4、図5参照)を備える。ギアポンプ35は、適量の接着剤を高精度でノズル45に供給する。第二ポンプケース33は、第一ポンプケース32左下端面から下方に延びている。第二ポンプケース33は、左側に軸部を備えている。該軸部は、支持部40上端部右側に接続し、支持部40を揺動可能に支持する。ポンプケース31は、後述する第一流路51、第二流路52(図5参照)を備えている。第一流路51は、接着剤を貯蔵室26からギアポンプ35へ導く。第二流路52は、接着剤をギアポンプ35から支持部40へ導く。
【0023】
支持部40の形状は、上下方向を長手方向とする略直方体状である。支持部40下端と台座部11の間に僅かな隙間が存在する。支持部40は、下端にノズル45を備えている。ノズル45は、支持部40から左側に延びている。支持部40は、上端に駆動伝達部43を備えている。駆動伝達部43は、エアシリンダ41の可動部42を支持する。支持部40は、エアシリンダ41の可動部42が前後に移動すると、上端の軸部を中心軸として前後方向(図3の矢印A方向)に揺動する。ノズル45は、支持部40の揺動に伴って、布の接着作業を行う場合の位置と保守を行う場合の位置に移動する。
【0024】
ノズル45は円筒形状である。ノズル45は、接着剤を吐き出す吐き出し口を備えている。作業者が布の接着作業を行う場合、吐き出し口は台座部11と対向する。作業者は、接着作業を行う場合、対向配置した2層の布の間にノズル45を挿入する。ギアポンプ35は、支持部40内の第三流路53(図5参照)を介して、接着剤をノズル45に供給する。ノズル45は、吐き出し口から布に接着剤を吐き出す。接着剤は、ノズル45の下方に位置する布の表面に付着する。
【0025】
支持部40は、上下方向略中央に操作部47を備えている。操作部47は、ボタン式スイッチである。作業者は、操作部47を押すことで接着作業を行うことができる。操作部47は、制御ボックス3に電気的に接続している。支持部40は、前側にバルブ開閉シリンダ49を備えている。バルブ開閉シリンダ49は、第三流路53(図5参照)を遮断する為のバルブ55(図5参照)を操作する。
【0026】
貯蔵室26は、上下方向を長手方向とする略直方体状である。貯蔵室26は、アーム部13左側、且つポンプケース31後方部分から上方に延びている。貯蔵室26は、本体部27、蓋部28、及び蓋軸部29を備える。本体部27の形状は、上部が開口した有底筒状である。蓋部28は、本体部27上部開口を覆う。本体部27は、上端に蓋軸部29を有する。蓋軸部29は、蓋部28を開閉可能に支持する。貯蔵室26は、接着剤を本体部27内部に貯蔵する。貯蔵室26は貯蔵した接着剤を必要に応じてノズル45に供給する。
【0027】
梁部14は、本体部15、ばね支持部16、及び柱部17を備えている。本体部15は、アーム部13の左側後端部から左方へ水平方向に延びる部材である。ばね支持部16は板状であり、本体部15の左後端部から前方へ水平方向に延びる。柱部17は、水平面に対して約45度の角度で、本体部15から前方斜め下方へ延びている。柱部17下端部は台座部11と離れている。
【0028】
ばね支持部16は、前方端部に穴を有する。ばね支持部16は、軸部19を上下動可能に支持する。軸部19は、ばね18に挿通してある。軸部19上端部分は、ばね支持部16の穴に挿入してある。ばね支持部16前端に、固定治具63が設けてある。固定治具63は板状である。固定治具63は、後端部がばね支持部16左側端部に接続している。固定治具63は前方に延び、その前端において右方に曲折して右方に延び、その右端において前方に曲折して前方に延びている。固定治具63前端部分に、センサ61が設けてある。センサ61は、光放射部と光検出部を備えている。反射板62は、ノズル45前方近傍の台座部11に設けてある。センサ61の光放射部は、反射板62の前後方向略中央位置に向けて光(例えば、レーザー光)を放射する。反射板62は、センサ61から放射した光を反射する。センサ61の光検出部は、反射板62で反射した光を検出する。接着機2は、センサ61によって、反射板62の上方に布があるか否かを判断する。
【0029】
柱部17は、下端部分の左側に、左右方向に延びる軸部を有している。該軸部は、ローラ保持部20後端部21を支持している。ローラ保持部20は、該軸部を揺動中心として、その前端部22を上下方向に揺動する。本体部15は、ばね支持部16右側にエアシリンダ41を備えている。エアシリンダ41は、支持部40の位置を切り替えるものである。
【0030】
ローラ保持部20前端部22は、円柱状の上移送ローラ24を回転可能に支持している。上移送ローラ24は、ノズル45後方近傍にある。ローラ保持部20は、前方上面に軸支持部23を有する。軸支持部23は、軸部19を支持している。ばね18は、ばね支持部16と軸部19の下部の間に介在する。ばね18は、軸部19を下方へ付勢することで、軸部19が接続するローラ保持部20を下方へ付勢する。
【0031】
図4を参照し、接着機2の内部構造について説明する。接着機2は、内部にモータ91、92、93等を備える。モータ91は、回転軸121を介して回転駆動力をギアポンプ35に伝達することで、ギアポンプ35を駆動する。ギアポンプ35は、駆動ギア36、及び従動ギア37を備えている。駆動ギア36は、回転軸121と共に回転する。従動ギア37は、駆動ギア36と噛合する。駆動ギア36と従動ギア37は、適量の接着剤をノズル45に供給する。
【0032】
モータ92は、回転軸126、127、128、及びベルト129、130を介して、回転駆動力を上移送ローラ24に伝達することで、上移送ローラ24を駆動する。上移送ローラ24は、モータ92が回転することで回転する。モータ93は、回転軸141、及びベルト142を介して、回転駆動力を下移送ローラ25に伝達することで、下移送ローラ25を駆動する。下移送ローラ25は円柱形状であり、回転軸141に固定している。下移送ローラ25は、上移送ローラ24下方、且つ台座部11内に位置する。下移送ローラ25は、モータ93が回転することで回転する。
【0033】
図5を参照し、接着剤の流路について説明する。貯蔵室26の本体部27は、周壁と底壁を有する。本体部27は、周壁と底壁が囲む空間に接着剤を貯蔵する。第一流路51は、貯蔵室26側の周壁からポンプケース31側へ延びる貫通穴である。第一流路51は、本体部27が貯蔵する接着剤をギアポンプ35に導く通路である。第一流路51は、貯蔵室26からポンプケース31の第一ポンプケース32内の中央に至る。第一流路51は、第一ポンプケース32の中央部分で右方に直角に曲折し、駆動ギア36と従動ギア37とが噛み合う部分の上側に至る。
【0034】
第二流路52は、ギアポンプ35を通過した接着剤を支持部40の第三流路53に導く通路である。第二流路52は、駆動ギア36と従動ギア37が噛み合う部分の下端から左方に延びる。左方に延びた第二流路52はその左端において下方へ曲折し、その下端において左方へ曲折し、支持部40の上端部の内部へ至る。第三流路53は、第二流路52を流れる接着剤をノズル45に導く通路である。第三流路53は、支持部40内で上端部から下端部まで延び、ノズル45に接続する。バルブ55は、第三流路53下端に設けてある。バルブ開閉シリンダ49は、バルブ55を開閉することで、第三流路53を開放又は閉塞する。
【0035】
図6を参照し、布接着装置1の電気的構成について説明する。布接着装置1は、CPU201、ROM202、RAM203、記憶装置99を備えている。CPU201は、受信処理と制御処理とを実行する。受信処理は、キー209、ペダル206等からの入力情報を受信する処理である。制御処理は、モータ等を制御する処理である。ROM202は、OS、CPU201が実行するプログラム、及び各種初期設定パラメータ等を記憶する。RAM203は、タイマ値、カウンタ値、フラグ等を一時的に記憶する。記憶装置99は、後述するパラメータテーブル、モータ91、92、93の回転速度、及び動作モードを少なくとも記憶する。CPU201は、ROM202、RAM203、記憶装置99に夫々電気的に接続している。
【0036】
ペダル206はCPU201と電気的に接続している。作業者は、布の移送速度を調節する場合にペダル206を使用する。CPU201はペダル206の踏み込み量を認識することができる。操作部47はCPU201と電気的に接続している。作業者は、ペダル206及び操作部47を操作することで、接着作業を行うことができる。
【0037】
キー209はCPU201と電気的に接続している。作業者は、後述するパラメータテーブルに記憶するパラメータ、モータ91、92、93の回転速度、及び動作モードを入力する場合に、キー209を使用する。CPU201は、作業者によるキー209の押下状態を認識する。CPU201は、認識したキー209の押下状態に基づいて、入力された情報を記憶装置99に記憶する。
【0038】
センサ61はCPU201と電気的に接続している。CPU201は、センサ61が光検出部で反射光を検出した場合、反射板62の上方に布がないと判断する。CPU201は、センサ61が光検出部で反射光を検出しなかった場合、反射板62の上方に布があると判断する。
【0039】
表示駆動ドライバ205はCPU201と電気的に接続している。表示駆動ドライバ205は液晶表示部208と電気的に接続している。CPU201は表示駆動ドライバ205を介して所望の情報を液晶表示部208に表示する。
【0040】
エア駆動ドライバ204はCPU201と電気的に接続している。エアシリンダ41とバルブ開閉シリンダ49は、夫々エア駆動ドライバ204に電気的に接続している。CPU201は、エア駆動ドライバ204を介して、エアシリンダ41とバルブ開閉シリンダ49へ送り込む空気の圧力を制御する。
【0041】
モータ駆動ドライバ207はCPU201と電気的に接続している。モータ91、92、93は、夫々モータ駆動ドライバ207に電気的に接続している。CPU201は、モータ駆動ドライバ207を介してモータ91、92、93を制御する。
【0042】
図7を参照し、上布151と下布152を接着する接着作業時における接着機2の動作について説明する。接着作業を行う場合、接着機2は、エアシリンダ41(図2参照)の可動部42を前方に移動して、支持部40を使用位置に移動する。作業者は、上布151と下布152を重ねて配置する。作業者は、布の接着部分にノズル45を配置する。上移送ローラ24と下移送ローラ25は、ノズル45の後方で上布151と下布152を挟持する。
【0043】
作業者は、ペダル206(図1参照)又は操作部47を操作することで、接着作業を行う。作業者がペダル206を踏み込むか、又は操作部47を押すと、ギアポンプ35(図4、図5参照)は回転する。接着剤は、流路51〜53(図5参照)を経由してノズル45の吐き出し口から下方へ吐出し、下布152に付着する。上移送ローラ24と下移送ローラ25は、上布151と下布152とを前方から後方へ移送する方向に回転する。ばね18は、上移送ローラ24を下方へ付勢している。故に、上移送ローラ24と下移送ローラ25は、接着剤が付着した下布152に上布151を押し付けて接着する。
【0044】
作業者がペダル206を踏み込んだ場合、布の移送速度はペダル206の踏み込み量に応じて変化する。作業者が操作部47を押した場合、布の移送速度は一定である。故に作業者は、接着作業の内容に応じてペダル206及び操作部47を使い分けることで、布を思い通りに移送して接着作業を行うことができる。
【0045】
接着作業が進行し、上布151及び下布152の移送方向上流側端部(以下、単に「布端」という。)153は後方に移動する。布端153が反射板62の上方を通り過ぎると、センサ61(図2参照)が布を検出する状態から、センサ61が布を検出しない状態に変化する。布接着装置1は、センサ61が布を検出する状態から布を検出しない状態に変化した場合、布端153を検出したと判断する。布接着装置1は、布端153を検出した場合、上布151及び下布152を布端153まで確実に接着するために、以下のように駆動する。
【0046】
反射板62のセンサ61からの光が照射される位置である前後方向略中央位置とノズル45とは、距離94だけ離れている。布接着装置1は、布端153を検出した後も、上移送ローラ24及び下移送ローラ25を回転し、上布151及び下布152を距離94分移送する。布端153は、反射板62の前後方向略中央位置の上方からノズル45下方まで移動する。布接着装置1は継続してノズル45から接着剤を吐出するので、接着剤は、下布152の布端153まで付着する。以下、反射板62の前後方向略中央位置の上方からノズル45下方まで布端153が移動する期間を「第一期間」ともいう。
【0047】
布接着装置1は、上布151及び下布152を距離94分移送した後、ノズル45からの接着剤の吐出を停止する。上移送ローラ24が上布151に接する部分とノズル45とは、距離95だけ離れている。布接着装置1は、上移送ローラ24及び下移送ローラ25を回転し、上布151及び下布152を距離95分移送する。布端153は、ノズル45下方から上移送ローラ24下方まで移動する。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は、上布151及び下布152を布端153まで押圧する。ノズル45の下方には既に下布152がないが、ノズル45からの接着剤の吐出は停止しているので、接着剤は台座部11に付着しない。故に布接着装置1は、台座部11に接着剤が付着することを防止しつつ、且つ上布151と下布152とを布端153まで確実に押圧して接着することができる。以下、ノズル45下方から上移送ローラ24下方まで布端153が移動する期間を「第二期間」ともいう。
【0048】
図8を参照し、記憶装置99に記憶したパラメータテーブルの一例であるパラメータテーブル991について説明する。パラメータテーブル991は、第一距離、第二距離、第一期間及び第二期間に対応するモータ91、92、93の回転速度、及び停止時間を格納する。第一距離は、距離94(図7参照)に相当する。第二距離は、距離95(図7参照)に相当する。第一期間に対応する回転速度は、第一期間中に回転するモータ91、92、93の其々の回転速度である。以下、第一期間中に回転するモータ91、92、93の回転速度を総称して「第一回転速度」ともいう。第二期間に対応する回転速度は、第二期間中に回転するモータ92、93の回転速度である。以下、第二期間中に回転するモータ92、93の回転速度を総称して「第二回転速度」ともいう。停止時間については後述する。作業者は、キー209を操作することで、パラメータテーブル991に格納するパラメータの入力や、パラメータの変更を行うことができる。布接着装置1は、キー209を介して作業者が入力したパラメータを、パラメータテーブル991に記憶する。
【0049】
図9から図13を参照し、布接着装置1の通常接着処理及び終端接着処理について説明する。通常接着処理は、通常の接着作業を行うための処理である。終端接着処理は、布端付近の接着作業を行うための処理である。CPU201は、作業者が接着作業を開始する操作をキー209を介して行った場合に、通常接着処理及び終端接着処理を起動し実行する。CPU201は、通常接着処理及び終端接着処理を並列して実行する。
【0050】
図9を参照し、通常接着処理について説明する。CPU201は、作業者が足でペダル206を踏み込んだか否かを判断する(S11)。CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んだと判断した場合(S11:YES)、ペダル206の踏み込み量を特定する(S13)。CPU201は、ペダル206の踏み込み量に基づいて、布の移送速度を特定する。ペダル206の踏み込み量が大きい場合、移送速度は速くなる。ペダル206の踏み込み量が小さい場合、移送速度は遅くなる。CPU201は、ペダル206の踏み込み量に基づいて、接着剤の単位時間当たりの吐出量を特定する。ペダル206の踏み込み量が大きい場合、接着剤の単位時間当たりの吐出量は多くなる。ペダル206の踏み込み量が小さい場合、接着剤の単位時間当たりの吐出量は少なくなる。CPU201は、特定した移送速度で布を移送する場合のモータ92、93の回転速度を特定する(S15)。CPU201は、特定した単位時間当たりの吐出量で接着剤をノズル45から吐出する場合のモータ91の回転速度を特定する(S15)。
【0051】
CPU201は、特定した回転速度でモータ91を回転することで、ギアポンプ35を駆動する。CPU201は、決定した回転速度でモータ92、93を回転することで、上移送ローラ24及び下移送ローラ25を駆動する(S17)。上布151及び下布152は、ペダル206の踏み込み量に応じた速度で移動する。接着剤は、ペダルの踏み込み量に応じた吐出量でノズル45から吐出する。処理はS11に戻る。
【0052】
CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいないと判断した場合(S11:NO)、作業者が手で操作部47を押したか否かを判断する(S19)。CPU201は、作業者が操作部47を押したと判断した場合(S19:YES)、モータ91、92、93の回転速度を記憶装置99から読み出して取得する(S21)。CPU201は、取得した回転速度でモータ91を回転し、ギアポンプ35を駆動する。CPU201は、取得した回転速度でモータ92、93を回転し、上移送ローラ24及び下移送ローラ25を駆動する(S23)。上布151及び下布152は、定速で移動する。接着剤は、一定の吐出量でノズル45から吐出する。処理はS11に戻る。
【0053】
CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいないと判断した場合(S19:NO)、モータ91の回転を停止し、ギアポンプ35の駆動を停止する(S25)。CPU201は、モータ92、93の回転を停止し、上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を停止する(S25)。上布151及び下布152は停止し、接着剤はノズル45から吐出しない。処理はS11に戻る。
【0054】
以上のように作業者は、操作部47を手で操作できるので、操作部47に対して微妙な操作を行うことができる。故に作業者は、ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25を思い通りに駆動することができるので、細かい接着作業を行うことができる。また、作業者が操作部47に対する操作を行った場合、ギアポンプ、上移送ローラ24及び下移送ローラ25は一定速度で駆動するので、操作に不慣れな作業者であっても、細かい接着作業を確実に行うことができる。
【0055】
図10から図13を参照し、終端接着処理について説明する。作業者は、接着作業を開始する前に、自動モード、半自動モード、及び手動モードのいずれかの動作モードを、キー209を介して入力する。自動モードでは、布接着装置1は、第一期間中及び第二期間中の接着作業を、ペダル206及び操作部47の操作に依らず自動的に行う。半自動モードでは、布接着装置1は、第一期間中の接着作業をペダル206及び操作部47の操作に基づいて行い、第一期間中の接着作業をペダル206及び操作部47の操作に依らず自動的に行う。手動モードでは、布接着装置1は、第一期間中及び第二期間中の接着作業を、ペダル206及び操作部47の操作に基づいて行う。
【0056】
図10に示すように、CPU201は、記憶装置99に記憶した動作モードを読み出して取得する(S111)。CPU201は、取得した動作モードが自動モードである場合(S113:YES)、自動処理(図11参照)を実行する(S115)。自動処理の終了後、終端接着処理は終了する。CPU201は、取得した動作モードが半自動モードである場合(S113:NO、S117:YES)、半自動処理(図12参照)を実行する(S119)。半自動処理の終了後、終端接着処理は終了する。CPU201は、取得した動作モードが手動モードである場合(S117:NO、S121:YES)、手動処理(図13参照)を実行する(S123)。手動処理の終了後、終端接着処理は終了する。CPU201は、取得した動作モードが前述したいずれの動作モードにも該当しない場合(S121:NO)、終端接着処理は終了する。
【0057】
図11を参照し、自動処理について説明する。CPU201は、記憶装置99に記憶したパラメータテーブル991を読み出し、第一距離、第二距離、第一回転速度、第二回転速度、及び停止時間を取得する。CPU201は、センサ61が布を検出しているか否かを判断する(S31)。センサ61が布を検出していると判断した場合(S31:YES)、処理はS31に戻る。通常接着処理(図9参照)によってギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は駆動しているので(S17、S23、図9参照)、布は後方に移動する。布端は反射板62の前後方向略中央位置の上方を通り過ぎ、CPU201は、センサ61が布を検出していないと判断する(S31:NO)。CPU201は、第一回転速度でモータ91、92、93を回転する。ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は、定速で駆動する(S33)。接着剤は、一定量ずつノズル45から吐出して布に付着する。上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は布を定速で移送し、押圧して接着する。
【0058】
CPU201は、センサ61が布を検出していないと判断した時点から、上移送ローラ24及び下移送ローラ25が布を第一距離分移送したか否かを判断する(S35)。センサ61が布を検出していないと判断した時点からの布の移動距離が第一距離未満である場合(S35:NO)、処理はS33に戻る。センサ61が布を検出していないと判断した時点からの布の移動距離が第一距離以上となった場合(S35:YES)、CPU201は、モータ91、92、93の回転を停止する。ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は停止する(S37)。ノズル45からの接着剤の吐出は停止し、布は、布端がちょうどノズル45の下方に位置する状態で停止する。このように、布端が反射板62の前後方向略中央位置の上方を通過してから第一距離分布を移送し、且つ接着剤をノズル45から吐出することで、接着剤は布端まで確実に付着する。
【0059】
CPU201は、モータ91、92、93の回転を停止した時点からの経過時間を監視する(S39)。経過時間が停止時間未満である場合(S39:NO)、処理はS39に戻る。経過時間が停止時間以上となった場合(S39:YES)、CPU201は、第二回転速度でモータ92、93を回転する。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は、定速で駆動する(S41)。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は、布を定速で移送し、布端まで押圧して接着する。布端はノズル45の下方を既に通り過ぎており、ノズル45の下方に布が無い状態であるが、接着剤の吐出は停止しているので、接着剤は台座部11に付着しない。
【0060】
CPU201は、S41で上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点から、上移送ローラ24及び下移送ローラ25が布を第二距離分移送したか否かを判断する(S43)。上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点からの布の移動距離が第二距離未満である場合(S43:NO)、処理はS43に戻る。上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点からの布の移動距離が第二距離以上となった場合(S43:YES)、CPU201は、モータ92、93の回転を停止する。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は停止する(S45)。布は、布端がちょうど上移送ローラ24の下方に位置する状態で停止する。このように、布端がノズル45の下方を通過してから第二距離分布を移送することで、上移送ローラ24及び下移送ローラ25は布端まで確実に押圧する。自動処理は終了し、処理は終端接着処理(図10参照)に戻る。
【0061】
以上のように自動モードでは、布接着装置1は、反射板62とノズル45との間が離れている場合でも、布の端部まで確実に接着剤を吐出し、押圧して接着することができる。また布接着装置1は、ノズル45下方に布がない状態となった後は、接着剤の吐出を禁止できる。故に布接着装置1は、接着剤が台座部11に付着することを防止できる。さらに、第一期間中及び第二期間中の接着作業は布接着装置1が自動的に行うので、布接着装置1は、作業者の操作を要することなく布端を確実に接着することができる。
【0062】
図12を参照し、半自動処理について説明する。前出の自動処理と同一の処理は、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。CPU201は、センサ61が布を検出しているか否かを判断する(S51)。センサ61が布を検出していると判断した場合(S51:YES)、処理はS51に戻る。通常接着処理(図9参照)によってギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は駆動しているので、(S17、S23、図9参照)、布は後方に移動する。布端は反射板62の前後方向略中央位置の上方を通り過ぎ、CPU201は、センサ61が布を検出していないと判断する(S51:NO)。
【0063】
CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいるか否かを判断する(S53)。作業者がペダル206を踏み込んでいると判断した場合(S53:YES)、CPU201はペダル206の踏み込み量を特定する。CPU201は、ペダル206の踏み込み量に基づいて、モータ91、92、93の回転速度を特定する。CPU201は、特定した回転速度でモータ91、92、93を回転し、ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25を駆動する(S55)。ペダル206の踏み込み量に応じた量の接着剤がノズルから吐出して布に付着する。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は、ペダル206の踏み込み量に応じた速度で布を移送して押圧する。
【0064】
CPU201は、センサ61が布を検出していないと判断した時点から、上移送ローラ24及び下移送ローラ25が布を第一距離分移送したか否かを判断する(S59)。センサ61が布を検出していないと判断した時点からの布の移動距離が第一距離未満である場合(S59:NO)、処理はS53に戻る。CPU201は、布の移動距離が第一距離未満であって、且つ作業者がペダル206を踏み込んでいないと判断した場合(S53:NO)、モータ91、92、93の回転を停止する。ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は停止する(S57)。処理はS53に戻る。センサ61が布を検出していないと判断した時点からの布の移動距離が第一距離以上となった場合(S59:YES)、処理はS61に進む。このように布接着装置1は、第一期間中の接着作業を、作業者がペダル206を踏み込んだタイミングで実行することができる。また布接着装置1は、ペダル206の踏み込み量に応じて、接着剤の吐出量、及び布の移送速度を調節することができる。
【0065】
布の移動距離が第一距離以上となった場合、CPU201は、モータ91、92、93の回転を停止する。ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は停止する(S61)。布は、布端がちょうどノズル45の下方に位置する状態で停止する。作業者はペダル206を踏み込んでいるので、CPU201は、作業者がペダル206の踏み込みを解除したか否かを判断する(S63)。作業者がペダル206を踏み込んでいると判断した場合(S63:NO)、処理はS63に戻る。CPU201は、作業者がペダル206の踏み込みを解除したと判断した場合(S63:YES)、作業者が再度ペダル206を踏み込んだか否かを判断する(S65)。CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいないと判断した場合(S65:NO)、処理はS65に戻る。CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいると判断した場合(S65:YES)、第二回転速度でモータ92、93を回転する。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は、定速で駆動する(S41)。モータ91は回転しないので、ギアポンプ35は駆動せず、接着剤はノズル45から吐出しない。
【0066】
CPU201は、S41で上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点から、上移送ローラ24及び下移送ローラ25が布を第二移送距離分移送したか否かを判断する(S43)。上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点からの布の移動距離が第二距離以上となった場合(S43:YES)、CPU201は、モータ92、93の回転を停止し、上移送ローラ24及び下移送ローラ25は停止する(S45)。布は、布端がちょうど上移送ローラ24の下方に位置する状態で停止するので、上移送ローラ24及び下移送ローラ25は、布端まで確実に押圧する。自動処理は終了し、処理は終端接着処理(図10参照)に戻る。
【0067】
以上のように半自動モードでは、作業者は、ペダル206を踏み込んだタイミングで第一期間中の接着作業を実行することができる。また第一期間中における布の移送速度はペダル206によって調節することができる。故に作業者は、思い通りのタイミング及び移送速度で接着作業を行うことができる。布端がノズル45に近づいた場合、上布と下布とがずれ易くなる。しかしながら作業者は、所望するタイミング及び移送速度で布を移送することができるので、上布と下布とがずれないように手で押さえながら確実に接着作業を行うことができる。これによって作業者は、接着した後の布の仕上がりを良くできる。また、第二期間中の接着作業は布接着装置1が自動的に行うので、布接着装置1は、作業者の操作を要することなく布端を確実に接着することができる。
【0068】
図13を参照し、手動処理について説明する。前述の半自動処理と同一の処理は、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。CPU201は、センサ61が布を検出しているか否かを判断する(S51)。CPU201は、センサ61が布を検出していないと判断した場合(S51:NO)、作業者がペダル206を踏み込んでいるか否かを判断する(S53)。作業者がペダル206を踏み込んでいると判断した場合(S53:YES)、CPU201は、ペダル206の踏み込み量に応じた回転速度で、モータ91、92、93を回転する。ペダル206の踏み込み量に応じた量の接着剤がノズルから吐出して布に付着する。上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は、ペダル206の踏み込み量に応じた速度で布を移送して押圧する(S55)。
【0069】
CPU201は、センサ61が布を検出していないと判断した時点から、上移送ローラ24及び下移送ローラ25が布を第一距離分移送したか否かを判断する(S59)。布の移動距離が第一距離以上となった場合(S59:YES)、CPU201は、モータ91、92、93の回転を停止し、ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は停止する(S61)。CPU201は、作業者がペダル206の踏み込みを解除するまで待機する(S63)。CPU201は、作業者がペダル206の踏み込みを解除したと判断した場合(S63:YES)、作業者が再度ペダル206を踏み込んだか否かを判断する(S81)。CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいると判断した場合(S81:YES)、ペダル206の踏み込み量に基づいて、モータ92、93の回転速度を特定する。CPU201は、特定した回転速度でモータ92、93を回転し、上移送ローラ24及び下移送ローラ25を駆動する(S83)。上移送ローラ24、及び下移送ローラ25は、ペダル206の踏み込み量に応じた速度で布を移送して押圧する。モータ91は回転しないので、ギアポンプ35は駆動せず、接着剤はノズル45から吐出しない。布端はノズル45の下方を既に通り過ぎており、ノズル45の下方に布が無い状態であるが、接着剤の吐出は停止しているので、接着剤は台座部11に付着しない。処理はS81に戻る。
【0070】
CPU201は、作業者がペダル206を踏み込んでいないと判断した場合(S81:NO)、モータ92、93の回転を停止する。上移送ローラ24及び下移送ローラ25は停止する(S85)。CPU201は、S83で上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点から、上移送ローラ24及び下移送ローラ25が布を第二距離分移送したか否かを判断する(S87)。上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点からの布の移動距離が第二距離未満である場合(S87:NO)、処理はS81に戻る。上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を再開した時点からの布の移動距離が第二距離以上となった場合(S87:YES)、手動処理は終了し、処理は終端接着処理(図10参照)に戻る。
【0071】
以上のように手動モードでは、作業者は、第一期間中及び第二期間中の接着作業を、ペダル206を踏み込んだタイミングで実行することができる。また作業者は、ペダル206の踏み込み量に応じて、接着剤の吐出量、及び布の移送速度を調節することができる。故に作業者は、布を自在に移送しながら、接着作業を思い通りに実行できる。布端がノズル45下方を通り過ぎると、ノズル45が布を押さえる力がなくなってしまうので、布と下布とがずれ易くなる。しかしながら作業者は、所望するタイミング及び移送速度で布を移送することができるので、上布と下布とがずれないように押さえながら接着作業を行うことができる。これによって作業者は、接着した後の布の仕上がりを更に良くできる。
【0072】
なお本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。上述の実施形態では、操作部47を支持部40に設けていたが、操作部47を設ける位置はこれに限定されない。複数の操作部47を設けて、其々の操作部47に異なる回転速度を割り当ててもよい。ギアポンプ35を停止する場合、同時にバルブ55によって第三流路53を閉塞してもよい。
【0073】
上述の実施形態では、半自動モード及び手動モードにて動作する場合、第一期間中はペダル206が踏み込まれている間、モータ91、92、93を回転し、ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25を駆動した。本発明はこれに限定されない。例えば作業者が操作部47を押している間も、モータ91、92、93を回転し、ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25を駆動してもよい。また作業者が操作部47を押している間、記憶装置99に記憶した回転速度でモータ91、92、93を回転することで、ギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25を定速で駆動してもよい。これによって作業者は、操作の習熟度に応じて操作方法を切り替えることができるので、操作に不慣れな作業者であっても、布の端部まで確実に接着することができる。
【0074】
上述の半自動モードでは、第二期間中における上移送ローラ24及び下移送ローラ25の駆動を自動化した。本発明はこれに限定されない。布接着装置1は、第一期間中におけるギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25の駆動を自動化し、第二期間中におけるギアポンプ35、上移送ローラ24、及び下移送ローラ25を、ペダル206の踏み込み量に基づいて駆動してもよい。
【0075】
操作部47は、LEDを備えていてもよい。LEDは、例えば、第一期間中は消灯し、第二期間中は点灯してもよい。これによって布接着装置1は、作業状態を作業者に通知することができるので、作業者は、作業状態を容易に把握しつつ、接着作業を行うことができる。
【0076】
また、布接着装置1は、接着剤の供給の許可及び禁止を指令する操作部材(例えばボタン式スイッチ)を更に備えてもよい。操作部材によって接着剤の供給を禁止した場合、作業者によるペダル206の踏み込みに応じて上移送ローラ24及び下移送ローラ25のみ駆動し、接着剤の供給は停止してもよい。操作部材は、操作部47の近傍に配置されるのが望ましい。そして、この操作部材にもLEDを設けてもよい。例えば、接着剤の供給を禁止している状態のときにはLEDを点灯させてもよい。この場合、作業者は、手動で通常の接着作業を行う際、接着剤の供給の許可及び禁止を適宜切替えることができる。更に、作業者は、LEDの点灯又は消灯を視認することで、作業状態を容易に把握しつつ、接着作業を行うことができる。
【0077】
操作部47のLED及び操作部材のLEDの発光様態は、点灯又は消灯に限定されない。例えば、点滅するようにしてもよい。また、複数色を発光可能なLEDを用いて、作業状態に応じて異なる色を発光させるようにしてもよい。また、LED以外の発光手段を用いてもよいことは言うまでもない。
【0078】
なお、図4及び図5のギアポンプ35が本発明の「供給手段」に相当する。図4の上移送ローラ24及び下移送ローラ25が本発明の「移送手段」に相当する。図1のペダル206が本発明の「第一操作手段」に相当し、操作部47が本発明の「第二操作手段」に相当する。図9のS11の処理を行うCPU201が本発明の「第一判断手段」に相当し、S17の処理を行うCPU201が本発明の「第一駆動手段」に相当し、S19の処理を行うCPU201が本発明の「第二判断手段」に相当し、S21の処理を行うCPU201が本発明の「取得手段」に相当し、S23の処理を行うCPU201が本発明の「第二駆動手段」に相当する。図2のセンサ61が本発明の「検出手段」に相当する。図11のS33、図12及び図13のS55の処理を行うCPU201が本発明の「第三駆動手段」に相当する。図11及び図12のS41の処理を行うCPU201が本発明の「第四駆動手段」に相当する。図12及び図13のS53の処理を行うCPU201が本発明の「第三判断手段」に相当する。図9のS11の処理が本発明の「第一判断ステップ」に相当し、S17の処理が本発明の「第一駆動ステップ」に相当し、S19の処理が本発明の「第二判断ステップ」に相当し、S21の処理が本発明の「取得ステップ」に相当し、S23の処理が本発明の「第二駆動ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0079】
1 布接着装置
2 接着機
24 上移送ローラ
25 下移送ローラ
35 ギアポンプ
36 駆動ギア
37 従動ギア
45 ノズル
47 操作部
61 センサ
62 反射板
99 記憶装置
206 ペダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を布に吐出するノズルと、
前記ノズルに前記接着剤を供給する供給手段と、
前記布を押圧して移送する移送手段と、
作業者が足で操作を行う第一操作手段と、
作業者が手で操作を行う第二操作手段と、
作業者が前記第一操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第一判断手段と、
前記第一判断手段において、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行ったと判断した場合に、前記第一操作手段に対する操作の程度に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第一駆動手段と、
作業者が前記第二操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第二判断手段と、
前記供給手段及び前記移送手段の駆動条件を、記憶手段から取得する取得手段と、
前記第一判断手段において、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていないと判断した場合であり、且つ前記第二判断手段において、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行ったと判断した場合に、前記取得手段によって取得した前記駆動条件に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第二駆動手段と
を備えたことを特徴とする布接着装置。
【請求項2】
前記布を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記布を検出する状態から、前記検出手段が前記布を検出しない状態に変化した後、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を第一距離分移送する第三駆動手段と、
前記第三駆動手段が前記移送手段を駆動して前記布を前記第一距離分移送した後、前記供給手段を駆動して前記ノズルに対する前記接着剤の供給を停止し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を第二距離分移送する第四駆動手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の布接着装置。
【請求項3】
作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っているか否かを判断する第三判断手段を備え、
前記第三駆動手段及び前記第四駆動手段のうち少なくとも一方は、
前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っていると判断している間、前記供給手段及び前記移送手段を駆動することを特徴とする請求項2に記載の布接着装置。
【請求項4】
前記第三駆動手段は、
前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っていると判断している間、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を前記第一距離分移送することを特徴とする請求項3に記載の布接着装置。
【請求項5】
前記布を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記布を検出する状態から、前記検出手段が前記布を検出しない状態に変化した後、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を第一距離分移送する第三駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の布接着装置。
【請求項6】
作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っているか否かを判断する第三判断手段を備え、
前記第三駆動手段は、
前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段及び前記第二操作手段のうち少なくともいずれかに対する操作を行っていると判断している間、前記供給手段を駆動して前記ノズルに前記接着剤を供給し、且つ、前記移送手段を駆動して前記布を前記第一距離分移送することを特徴とする請求項5に記載の布接着装置。
【請求項7】
前記第三駆動手段は、
前記第三判断手段において、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記第一操作手段に対する操作の程度に応じ、前記供給手段及び前記移送手段を駆動し、前記第三判断手段において、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記取得手段によって取得した前記駆動条件に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動することを特徴とする請求項3、4、6のいずれかに記載の布接着装置。
【請求項8】
接着剤を吐出するノズルと、前記ノズルに前記接着剤を供給する供給手段と、布を移送する移送手段と、作業者が足で操作を行う第一操作手段とを備えた布接着装置のコンピュータに実行させる接着プログラムであって、
前記コンピュータに、
作業者が前記第一操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記第一操作手段に対する操作の程度に応じ、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第一駆動ステップと、
作業者が手で操作を行う第二操作手段に対する操作を行ったか否かを判断する第二判断ステップと、
記憶手段に記憶した駆動条件を取得する取得ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、作業者が前記第一操作手段に対する操作を行っていないと判断した場合であり、且つ前記第二判断ステップが、作業者が前記第二操作手段に対する操作を行っていると判断した場合に、前記取得ステップにおいて取得した前記駆動条件に基づいて、前記供給手段及び前記移送手段を駆動する第二駆動ステップと
を実行させることを特徴とする接着プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−112068(P2012−112068A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261909(P2010−261909)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)