説明

布片シワ伸ばし装置

【課題】布片を連続して供給することができ処理速度が速い布片シワ伸ばし装置を提供する。
【解決手段】第1コンベア11、第2コンベア12、第3コンベア13と、擦り部材20と、押えローラ31,・・・,35とを備えており、第1コンベア11に比べて第2コンベア12の方が速度が速く、第2コンベア12に比べて第3コンベア13の方が速度が速く、擦り板20は第2コンベア12の後端と第3コンベア13の前端とを結ぶ線より突出している。布片Tに縦方向に引っ張る力が加わりシワを伸ばすことができる。布片Tを連続して供給することができるので処理速度が速い。布片Tを引っ張りながら擦り板20で擦ることによりシワを伸ばすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布片シワ伸ばし装置に関する。さらに詳しくは、洗濯・乾燥済みのタオル等の布片のシワを伸ばし、次工程の処理装置に供給するための布片シワ伸ばし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院等では大量にタオル等の布片が使用され、その使用済みの布片はランドリー工場で洗濯・乾燥され、再度ホテルや病院などで使用されることが一般的である。
ランドリー工場においては布片を洗濯後、熱風乾燥させ、折畳み機で折畳む作業が行なわれる。洗濯・乾燥後の布片は全体に丸まったり、シワが寄ったりした状態であるので、折畳み機に布片を供給するには布片を予め展開させ、シワを伸ばす必要がある。
布片のシワを伸ばす作業を作業員が行う場合、作業に多大な時間と労力が必要であるため、近年ではこの作業は布片シワ伸ばし装置によって行われている。
【0003】
布片シワ伸ばし装置の一例として、特許文献1の装置がある。
図6に示すように、本装置は布片130の一辺を把持する電動クランプ101と、布片130を把持した電動クランプ101を所定の角度で上昇するように搬送するレール111と、布片130の後方部分を支持する板状部材113と、側面部表面がゴムによって形成されたローラ103とを備えている。
布片130を電動クランプ101に把持させると、布片130を把持した状態の電動クランプ101が図中右側方向へと搬送される。搬送開始と同時に、ローラ103が図中反時計方向に回転を開始する。このため、布片130の把持された一辺は電動クランプ101によって図中右側に引っ張られるのに対し、ローラ103の側面に接した、布片130の裏面は図中左側に引っ張られるので、布片130に図中左右方向の張力を与え、シワを延ばす効果を得ることができる。
【0004】
しかるに、従来の布片シワ伸ばし装置は布片130を一枚ずつ電動クランプ101に把持させ、電動クランプ101がレール111上を往復動作しなければならないため、処理速度が遅いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−11764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、布片を連続して供給することができ処理速度が速い布片シワ伸ばし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の布片シワ伸ばし装置は、布片が供給される第1コンベアと、該第1コンベアに接続する第2コンベアとを備え、前記第1コンベアに比べて前記第2コンベアの方が速度が速いことを特徴とする。
第2発明の布片シワ伸ばし装置は、第1発明において、前記第1コンベアと前記第2コンベアに布片を押える押え機構を備えることを特徴とする。
第3発明の布片シワ伸ばし装置は、第1または第2発明において、前記第1コンベアと前記第2コンベアとの間に位置する擦り部材を備えており、前記擦り部材は、前記第1コンベアの後端と前記第2コンベアの前端とを結ぶ線より突出していることを特徴とする。
第4発明の布片シワ伸ばし装置は、第3発明において、前記擦り部材は板状であり、該擦り部材の第2コンベア側の縁部が、前記第1コンベアの後端と前記第2コンベアの前端とを結ぶ線より突出していることを特徴とする。
第5発明の布片シワ伸ばし装置は、布片が供給される第1コンベアと、該第1コンベアに接続する第2コンベアと、該第2コンベアに接続する第3コンベアと、前記第2コンベアと前記第3コンベアとの間に位置する擦り部材と、前記第2コンベアと前記第3コンベアに布片を押える押え機構とを備えており、前記第1コンベアに比べて前記第2コンベアの方が速度が速く、前記第2コンベアに比べて前記第3コンベアの方が速度が速く、前記擦り部材は、前記第2コンベアの後端と前記第3コンベアの前端とを結ぶ線より突出していることを特徴とする。
第6発明の布片シワ伸ばし装置は、第5発明において、前記擦り部材は板状であり、該擦り部材の第3コンベア側の縁部が、前記第2コンベアの後端と前記第3コンベアの前端とを結ぶ線より突出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、第1コンベアに比べて第2コンベアの方が速度が速いので、布片に縦方向に引っ張る力が加わり、布片のシワを伸ばすことができる。また、第1コンベアに布片を連続して供給することができるので、処理速度が速い。
第2発明によれば、布片を押える押え機構を備えるので、布片と第1コンベア、第2コンベアとの摩擦が増し、布片が第1コンベア、第2コンベアの速度に従って移動するので、確実に布片のシワを伸ばすことができる。
第3発明によれば、擦り部材が突出しているので、布片は第1コンベアと第2コンベアとの間を通過する際に擦り部材で擦られる。布片を第1コンベアと第2コンベアで引っ張りながら擦り部材で擦ることにより、さらに布片のシワを伸ばすことができる。
第4発明によれば、擦り部材が板状であるので、布片が第1コンベアから第2コンベアへスムーズに流れることができる。また、擦り部材の縁部が突出しているので、布片を第1コンベアと第2コンベアで引っ張りながら擦り部材で擦ることにより、さらに布片のシワを伸ばすことができる。
第5発明によれば、第1コンベアに比べて第2コンベアの方が速度が速いので、布片に縦方向に引っ張る力が加わり、布片のシワを伸ばすことができる。また、第2コンベアに比べて第3コンベアの方が速度が速いので、布片に縦方向に引っ張る力が加わり、さらに布片のシワを伸ばすことができる。また、第1コンベアに布片を連続して供給することができるので、処理速度が速い。さらに、擦り部材が突出しているので、布片は第2コンベアと第3コンベアとの間を通過する際に擦り部材で擦られる。布片を第2コンベアと第3コンベアで引っ張りながら擦り部材で擦ることにより、さらに布片のシワを伸ばすことができる。
第6発明によれば、擦り部材が板状であるので、布片が第2コンベアから第3コンベアへスムーズに流れることができる。また、擦り部材の縁部が突出しているので、布片を第2コンベアと第3コンベアで引っ張りながら擦り部材で擦ることにより、さらに布片のシワを伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係る布片シワ伸ばし装置の側面図である。
【図2】同布片シワ伸ばし装置の平面図である。
【図3】同布片シワ伸ばし装置の動作説明図である。
【図4】他の実施形態に係る布片シワ伸ばし装置の(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図5】他の実施形態に係る布片シワ伸ばし装置の(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図6】従来の布片シワ伸ばし装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態に係る布片シワ伸ばし装置は、第1コンベア11、第2コンベア12、第3コンベア13を備えており、それぞれ図示しないフレームに固定されている。
第1コンベア11は、作業員が洗濯・乾燥済みのタオル等の布片Tを積載するコンベアであり、作業員が布片Tを載せやすいように前端(図1における右端)が腰程度の高さとなっており、傾斜を有すことにより積載面が作業員に対面するようになっている。第1コンベア11の後端(図1における左端)には第2コンベア12が接続されており、第2コンベア12の後端には第3コンベア13が接続されている。そして、第3コンベア13の後端には次工程の処理装置、例えば折畳み装置のコンベアCに接続されている。
これら第1,第2,第3コンベア11,12,13の横幅は、布片Tの横幅が十分に収まるような寸法になっている。
【0011】
また、第1コンベア11に比べて第2コンベア12の方が速度が速く、第2コンベア12に比べて第3コンベア13の方が速度が速く設定されている。例えば、第1コンベア11の速度が15m/分、第2コンベア12の速度が25〜30m/分、第3コンベア13の速度が50m/分に設定される。
【0012】
第2コンベア12の後端と第3コンベア13の前端との間には擦り板20が固定されている。擦り板20は第1,第2,第3コンベア11,12,13と同寸法の幅を有する平面視長方形の板である。擦り板20の前縁部(第2コンベア12側の縁部)は第2コンベア12の後端と同程度の高さとなっており、布片Tが第2コンベア12から擦り部材20にスムーズに流れるようになっている。また、擦り板20の後縁部(第3コンベア13側の縁部)は第3コンベア13の前端よりも高く設定されている。すなわち、擦り板20の後縁部は第2コンベア12の後端と第3コンベア13の前端とを結ぶ線より突出している。
【0013】
第1,第2,第3コンベア11,12,13の上方には布片Tをコンベア11,12,13の積載面に押える押えローラ31,・・・,35が設けられている。第1押えローラ31は第1コンベア11の前方(図1における右方)に位置しており、作業員が積載した布片Tが落下しないように押えるようになっている。第2押えローラ32は第1コンベア11の後端に位置し、第3押えローラ33は第2コンベア12の中央付近に位置しており、それぞれ布片Tが第1コンベア11、第2コンベア12の速度に従って移動するように押えるようになっている。第4押えローラ34は第2コンベア12の後端に位置し、第5押えローラ35は第3コンベア13の前端に位置しており、それぞれ布片Tが第2コンベア12、第3コンベア13の速度に従って移動するように押え、かつ布片Tが擦り板20に擦れるように押えるようになっている。
なお、押えローラ31,・・・,35は特許請求の範囲に記載の押え機構に相当する。
【0014】
つぎに、本実施形態に係る布片シワ伸ばし装置の動作について説明する。
まず、作業員が洗濯・乾燥済みの布片Tの一辺を辺出し、その一辺を横に伸ばして第1コンベア11に積載する(図1,図2)。そうすると、第1コンベア11の動作により布片Tが図1における矢印方向に移動し、布片Tの進行方向前部分が第1コンベア11と第1押えローラ31に挟まれ、落下しないようになる。このとき、布片Tの進行方向後部分は第1コンベア11の前端から下方に垂れ下るようになり、布片Tが縦方向に展開される。
【0015】
つぎに、第1コンベア11の動作により、布片Tの前部分が第2コンベア12に渡る(図3(A))。そうすると、第1コンベア11に比べて第2コンベア12の方が速度が速いので、布片Tに縦方向(図3における左右方向)に引っ張る力が加わり、布片Tのシワを伸ばすことができる。このとき、布片Tの前部分は第2コンベア12と第3押えローラ33で挟まれ、後部分は第1コンベア11と第2押えローラ32で挟まれているので、布片Tと第1、第2コンベア11,12との摩擦が増し、確実に布片Tを縦方向に引っ張ることができる。
【0016】
つぎに、布片Tの前部分が擦り板20の上を流れ、第3コンベア13に渡る(図3(B))。ここでも、第2コンベア12に比べて第3コンベア13の方が速度が速いので、布片Tに縦方向(図3における左右方向)に引っ張る力が加わり、再度布片Tのシワを伸ばすことができる。このとき、布片Tの前部分は第3コンベア13と第5押えローラ35で挟まれ、後部分は第2コンベア12と第4押えローラ34で挟まれているので、布片Tと第2,第3コンベア12,13との摩擦が増し、確実に布片Tを縦方向に引っ張ることができる。
【0017】
また、擦り板20の後縁部が突出しており、布片Tは第4,第5押えローラ34,35で押えられるので、布片Tは擦り板20の後縁部から第5押えローラ35に向かって斜め下向きに引っ張られ、擦り板20の後縁部で擦られるようになる。布片Tを第2コンベア12と第3コンベア13で引っ張りながら擦り板20で擦ることにより、布片Tのシワを完全に伸ばすことができる。
【0018】
最後に、布片Tが第3コンベア13から次工程の処理装置のコンベアCに渡ることにより布片Tのシワ伸ばしが完了する(図3(C))。
【0019】
上記の説明では、布片Tを一枚処理する工程を説明したが、布片Tの後部分が第1押えローラ31を通過すれば(図3(A))、次の布片Tを積載し、シワ伸ばし処理を開始することができる。すなわち、第1コンベア11に布片Tを連続して供給することができるので、処理速度が速い。
【0020】
(他の実施形態)
前記実施形態では布片Tを第1,第2,第3コンベア11,12,13の積載面に押えるために押えローラ31,・・・,35を設けたが、これに代えてコンベア11,12,13の下方にバキュームボックス40を設ける実施形態としてもよい(図4参照)。
布片Tをバキュームボックス40で吸引することにより、コンベア11,12,13に押さえることができるので、布片Tとコンベア11,12,13との摩擦が増す。そうするとこで、布片Tがコンベア11,12,13の速度に従って移動するので、確実に布片Tのシワを伸ばすことができる。
なお、図4は、押えローラ35と第1,第2コンベア11,12の下方に設けたバキュームボックス40とを組み合わせた実施形態を示す。
【0021】
また、押えローラ31,・・・,35に代えてコンベア11,12,13の積載面に対面し接触する圧迫コンベア51,52を設ける実施形態としてもよい(図5参照)。
布片Tをコンベア11,12,13と圧迫コンベア51,52で挾持することにより、布片Tとコンベア11,12,13との摩擦が増す。そうすることで、布片Tがコンベア11,12,13の速度に従って移動するので、確実に布片Tのシワを伸ばすことができる。
なお、図5は、押えローラ35と第1,第2コンベア11,12上に設けた圧迫コンベア51,52とを組み合わせた実施形態を示す。
このように、布片Tをコンベア11,12,13の積載面に押えることができるものであれば、他の押え機構を用いることができる。
【0022】
前記本実施形態では擦り板20を板状としたが、これに変えて他の形状、例えば棒状の擦り部材としてもよい。この場合、擦り部材を第2コンベアの後端と第3コンベアの前端とを結ぶ線より突出させて、布片Tを擦ることができればよい。
ただし、板状とすれば、布片Tを第2コンベア12からスムーズに流すことができるので好適である。
【0023】
また、コンベアの数は3つに限られず2つでもよいし、4つ以上でもよい。擦り板も2つ以上設けてもよく、その位置も任意のコンベア間に配置することができる。
例えば、コンベアを2つとし、その2つのコンベアの間に擦り板を設ける実施形態としてもよい。この場合でも、布片Tのシワを伸ばすことができ、かつ装置全体の寸法を短くすることができる。より多くのコンベアと擦り板を用いれば、確実に布片Tのシワを伸ばすことができる。
特許請求の範囲に記載の第1コンベア、第2コンベア、第3コンベアは便宜的に採番したものであり、その前後にさらに別のコンベアが付加されてもよく、第1コンベアは作業員が布片Tを供給するコンベアに限られず、他のコンベアから布片が供給されるコンベアも含む概念である。
【符号の説明】
【0024】
11 第1コンベア
12 第2コンベア
13 第3コンベア
20 擦り部材
31 第1押えローラ
32 第2押えローラ
33 第3押えローラ
34 第4押えローラ
35 第5押えローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布片が供給される第1コンベアと、該第1コンベアに接続する第2コンベアとを備え、
前記第1コンベアに比べて前記第2コンベアの方が速度が速い
ことを特徴とする布片シワ伸ばし装置。
【請求項2】
前記第1コンベアと前記第2コンベアに布片を押える押え機構を備える
ことを特徴とする請求項1記載の布片シワ伸ばし装置。
【請求項3】
前記第1コンベアと前記第2コンベアとの間に位置する擦り部材を備えており、
前記擦り部材は、前記第1コンベアの後端と前記第2コンベアの前端とを結ぶ線より突出している
ことを特徴とする請求項1または2記載の布片シワ伸ばし装置。
【請求項4】
前記擦り部材は板状であり、
該擦り部材の第2コンベア側の縁部が、前記第1コンベアの後端と前記第2コンベアの前端とを結ぶ線より突出している
ことを特徴とする請求項3記載の布片シワ伸ばし装置。
【請求項5】
布片が供給される第1コンベアと、該第1コンベアに接続する第2コンベアと、該第2コンベアに接続する第3コンベアと、前記第2コンベアと前記第3コンベアとの間に位置する擦り部材と、前記第2コンベアと前記第3コンベアに布片を押える押え機構とを備えており、
前記第1コンベアに比べて前記第2コンベアの方が速度が速く、
前記第2コンベアに比べて前記第3コンベアの方が速度が速く、
前記擦り部材は、前記第2コンベアの後端と前記第3コンベアの前端とを結ぶ線より突出している
ことを特徴とする布片シワ伸ばし装置。
【請求項6】
前記擦り部材は板状であり、
該擦り部材の第3コンベア側の縁部が、前記第2コンベアの後端と前記第3コンベアの前端とを結ぶ線より突出している
ことを特徴とする請求項5記載の布片シワ伸ばし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−234768(P2011−234768A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106170(P2010−106170)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)