説明

布類投入機における布類の乱れ除去装置

【課題】包布やシーツのようなリネン製品その他の布類に発生している皺やめくれなどの乱れを確実に除去できるようにする。
【解決手段】布類を工程に投入するために、正面に布類を吊下げて左右方向へ展開する展開機構を有する布類投入機において、布類に生じている乱れを除去する装置として、布類Wを上部にて挟持し、かつ、布類の左方向への展開を担当する展開クランプ16Lと右方向への展開を担当する展開クランプ16Rとを有する展開機構15と、上記の展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させるために、上記展開クランプに設けた展開クランプ揺動手段21とを具備して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類を工程に投入するために、その正面に布類を吊下げて左右方向へ展開する展開機構を有する布類投入機において、布類に生じている乱れを除去する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるリネンサプライ業では、例えば、包布やシーツのようなリネン製品その他の布類を顧客先から回収し、洗濯、アイロン掛け、折り畳み等の処理工程を経た後、商品として配送するサービスが繰り返される。処理工程には投入機から布類を投入するが、投入される布類に皺(しわ)やめくれなどの乱れの存在しないことが望まれる。乱れの存在する布類が折り畳み機に投入されると、乱れたまま折り畳まれるのでサービス品質の低下につながるとともに、乱れの状態や個所によっては折り畳みの障害にもなるなど、様々な不都合を生じることになる。特に包布など2重の品物は、張り付いて乱れを生じやすい。
【0003】
このため、布類を工程に投入する際には、布類に生じている乱れを除去する作業を十分に慎重に行なう必要がある。投入される布類の乱れを整形する作業は、従来、専ら人手に頼っており、熟練した作業者であれば、乱れの状態や箇所等を瞬時に判断して対応することができる。しかし、熟練者ばかりとは限らず、未熟練者には負担の大きい作業者であるので、疲労が重なると様々な問題も発生して来る。例えば、注意力の低下により不十分な作業が増え、見逃しが起こり、或いは作業者の行なった行為により、却って皺やめくれなどが誘発されるという問題も起こり得る。
【0004】
これに対し、先行技術には例えば特開2005−58414号があり、1辺が開口部になった包布類を、その開口部を振ることによってずれやしわを修正する発明を開示している。同号の発明は、表裏の布が張り付くという包布に特有の問題を解決することを目的とするが、布類一般に生じているしわや乱れの除去を目的とするものではない。また、特開2005−312478号は額縁包布を対象として、その額縁構造特有の乱れを確実かつ容易に整姿状態とすることを目的としたものである。従って、これも布類一般に生じているしわや乱れの除去を保証するものではない。なお、上記の先行技術は本件発明の出願人によるもので、他に類似の発明を見出すことはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−58414号
【特許文献2】特開2005−312478号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、例えば、包布やシーツのようなリネン製品その他の布類に発生している皺やめくれなどの乱れを確実に除去できるようにすることである。また、本発明の他の課題は、現在使用されている布類投入機を基礎とし、そこに備わっている展開機構を利用して、布類に生じている乱れを除去することが可能な布類投入機における布類の乱れ除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は、布類を工程に投入するために、その正面に布類を吊下げて左右方向へ展開する展開機構を有する布類投入機において、布類に生じている乱れを除去する装置として、布類を上部にて挟持し、かつ、布類の左方向への展開を担当する展開クランプと右方向への展開を担当する展開クランプとを有する展開機構と、上記展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させるために、上記展開クランプに設けた展開クランプ揺動手段とを具備して構成するという手段を講じたものである。
【0008】
本発明の乱れ除去装置は、布類投入機に付属して設けるものである。現行の布類投入機は、正面に布類を吊下げて左右方向へ展開する展開機構を有し、投入すべき布類を作業者が取り付ける投入クランプと、上記投入クランプから展開クランプに受け渡されて吊り下げた状態にある布類を、投入コンベアの正面に移送し、左右方向へ展開する展開機構を備えている。作業者が投入クランプに取り付けた布類を投入コンベアの正面に移送して投入する方式には幾つかの種類があるが、投入コンベアに投入する際、布類を広げるために展開機構を具備し、かつ、展開機構は布類を挟持する展開クランプを備えている点において共通している。
【0009】
そこで、本発明の装置は、まず、布類を上部にて挟持し、かつ、布類の左方向への展開を担当する展開クランプと右方向への展開を担当する展開クランプとを有する展開機構を具備するものである。このような展開機構の動作は、例えば、左方向への移動と右方向への移動を個別的に行なう機構によって可能であり、また例えば、両端の回転輪に掛け回した1個のベルト類により同時的に行なうことも可能である。さらに、シリンダー装置その他各種のアクチュエーターを用いても、左方向への展開を担当する展開クランプと右方向への展開を担当する展開クランプを、布類の展開のために動作させることができる。
【0010】
本発明の乱れ除去装置は、上記展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させるために、上記展開クランプに設けた展開クランプ揺動手段を、上記展開機構と共に具備するものである。展開クランプを用いて布類を揺らせ、それによって乱れを除去するという思想及び構成はこれまでに明らかにされていない。従って、展開クランプ自体を揺動させることによって布類を揺らせ、乱れを除去する点に本発明の一つの特徴があるということができる。
【0011】
上記展開機構は、布類を左方向へ展開する展開クランプと右方向へ展開する展開クランプと、これらの展開クランプを夫々左右方向へ移動させる展開クランプ移動手段と、上記展開クランプ移動手段の動作を制御する移動手段制御部とを具備して構成するものとし、上記移動手段制御部は展開クランプを左右方向へ揺動させる展開クランプ揺動手段を兼ねる構成とすることができる。この展開クランプ移動手段は、前述の如く、左方向への移動と右方向への移動を別々に行なう機構によって可能であり、また例えば、両端の回転輪に掛け回した1個のベルト類により同時的に行なうことも可能である。
【0012】
また、展開クランプは布類を挟持するために下部に設けた前後一対の挟持片を有し、上記展開クランプの取り付け軸を左右方向の横軸として前後方向へ揺動可能であり、かつ、上記開閉軸よりも上位にて展開クランプに接続した展開クランプ揺動手段とを具備した構成としても良い。この構成を取る場合には、展開クランプの形状と展開クランプ揺動手段の接続位置を変更することで、布類を前後方向にも又上下方向にも揺することができる。
【0013】
展開クランプは布類を挟持するために下部に設けた前後一対の挟持片を有し、展開機構の下部に突き出した支持部に配置され、上記支持部は展開機構の正面に設置された展開クランプ揺動手段に上下動のみ可能に設けることができる。また、展開クランプは展開機構の正面に前後方向の支軸によって軸支され、上記支軸を中心として左右方向と上下方向へ回転可能に設けることも可能である。
さらに布類投入機は、展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺する作用を受けた布類に対して下方への吸引力を作用させるために、投入コンベアの下方に吸引機構を有している構成を取ることができる。この構成は、揺すられることによって乱れが除去されている布類をさらに下方へ吸引し、引き延ばすことで、布類の乱れが最終的に除去された状態にする効果がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、布類を少なくとも1方向へ揺することで、例えば、包布やシーツのようなリネン製品その他の布類に発生している皺やめくれなどの乱れを確実に除去することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、現在使用されている布類投入機を基礎とし、そこに備わっている展開機構を利用して布類に生じている乱れを合理的に除去することができ、より小さな設備投資で布類投入機における布類の乱れ除去装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は本発明に係る布類の乱れ除去装置を適用した布類投入機10の一例を示すもので、正面には左右及び中央の3箇所に投入クランプ11を有する投入機構12が設置されており、投入クランプ11は、布類Wの左右端部を保持するために、夫々が左右一対より成っている。つまり、この布類投入機10には3箇所の投入機構12があり、上記布類投入機10の操作のために、各々の投入機構12に操作盤12aが設置されている。
【0016】
投入機構12には周回式移送装置13が設けられており、 投入クランプ11は周回式移送装置13によって、作業者Pに近い下部から、展開機構15に近い上部まで移送される。周回式移送装置13は、下部回転輪13aと上部回転輪13b及びこれらに掛け回した周回索13cから成り、投入クランプ11は上記周回索13cに複数個ずつ取り付けられている(図2等参照)。投入クランプ11は保持レバー11aを有し、そのカム輪11bが、後述する固定側のガイド片19bと係合することで、保持している布類Wが離されるように構成される。
【0017】
周回式移送装置13によって上方へ移送される布類Wを受け取るために、布類Wを吊下げて左右方向へ展開する展開機構15が投入コンベア14の正面上部に設置されている。展開機構15は、布類Wを左方向へ展開する展開クランプ16Lと、右方向へ展開する展開クランプ16Rとを具備し、展開クランプ16L、16Rは、周回式移送装置13によって移送されて来た、布類Wを投入クランプ11から受け取るように構成されている。即ち、投入クランプ11は周回軌道を有しているが、展開クランプ16L、16Rは左右方向の展開軌道を有し、周回軌道と展開軌道の交差点付近にて布類の授受が行なわれる。
【0018】
上記布類Wの授受構成については図3、図4に詳細に記載されており、図中、20はモノレール式の展開機構20を示している。この展開機構20は、上下の転輪17、17を有する車台を備えており、転輪17、17が投入コンベア14の正面上部に、左右方向に設置されている展開レール18の上下端部を移動するように構成されている。展開クランプ16L、16Rは、この車台の前部に取り付けられ、下向きに開閉可能な前後一対の挟持片19、19′から成り、一対の挟持片19、19′は開閉軸19aによって開閉可能に結合されている。図示の場合は一方の挟持片19のみが開閉し、他方の挟持片19′は固定の構造である。かくして、展開クランプ16L、16Rは開いた状態で待機し、周回軌道を上昇して来る投入クランプ11から、布類Wを受け取りその後閉じて展開のために移動するという動作を繰り返す。
【0019】
布類投入機10は、上記の如き構成によって、その正面に展開機構20を用いて布類Wを吊り下げ、左右方向へ展開することができるが、本発明に係る布類の乱れ除去装置は、上記展開機構20を利用して、布類Wの左方向への展開を担当する展開クランプと右方向への展開を担当する展開クランプとを制御する。ここでは便宜上、展開クランプ16Lが布類Wの左方向への展開を担当し、展開クランプ16Rが布類Wの右方向への展開を担当する。なお、展開クランプ16L、16Rに渡された布類Wは広げられながら投入コンベア14と中心を合わせられ、上辺がほぼ水平になる位置に配置したセンサーSを用いて布類投入機10の正面に展開される(図5、図6参照)。
【0020】
そして、本発明に係る布類の乱れ除去装置では、展開クランプ16L、16Rを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させるために、各展開クランプ16L、16Rに展開クランプ揺動手段を具備している。展開クランプ揺動手段としては様々な実施形態を取り得る。実施形態の第1の例は、展開クランプ16L、16Rを夫々左右方向へ移動させる展開クランプ移動手段21と、上記展開クランプ移動手段21の動作を制御する移動手段制御部22とを具備して構成され、上記移動手段制御部22が、展開クランプを左右方向へ揺動させる展開クランプ揺動手段を兼ねているというものである。
【0021】
実施形態の第1の例は図8に示されており、展開クランプ移動手段21は、左展開クランプ16Lを取り付けた移動索23aとそれを掛け回した駆動輪23b、従動輪23cから成る移動機構23及び駆動源24Lのモーター、並びに右展開クランプ16Rを取り付けた移動索25aとそれを掛け回した駆動輪25b、従動輪25cから成る移動機構25及び駆動源24Rのモーターから成る。上記移動手段制御部22は駆動源24L、24Rのモーターに接続されており、モーターの回転方向と回転速度を制御する所定の動作プログラムによって構成される。動作プログラムは、例えば、緊張力と弛緩力、それらの力を加えるべき周期とストローク、回数(動作時間)等、布類Wに加える力に関する幾つかのパラメーターを選択して構成する。
【0022】
実施形態の第1の例の場合、布類Wの最終広げ完了後、センサーSの信号により、所定のシーケンスにしたがって、布類Wの左右両端部を挟持している展開クランプ16L、16Rが夫々左右外方に移動すると緊張力が加わり、展開クランプ16L、16Rが夫々左右内方に移動すると弛緩力が加わるので、布類Wは左右に揺さぶられることになる。展開クランプ16L、16Rの揺さぶりの動作については、上記のパラメーターの実行パターンをプログラム制御することによって、任意に選択することができ、従って、布類Wに生じている皺やめくれ等の乱れを除去することができる。
【0023】
図9は図8に示した第1の例の変形例であり、展開クランプ移動手段21が、ループ状の一条の移動索26aとそれを掛け回した一組の駆動輪26b及び従動輪26cを有する移動機構26から成るものである。その移動索26aの平行する部分に、左右の展開クランプ16L、16Rが夫々取り付けられ、移動手段制御部22は駆動源24のモーターに接続されている。モーターの回転方向と回転速度を制御する所定の動作プログラムによって構成され、動作プログラムは、上記緊張力と弛緩力、それらの力を加えるべき周期とストローク、回数(動作時間)等、布類Wに加える力等をパラメーターとして構成することができる。
【0024】
変形例の場合、モーターを或る方向に回転させると、左右の展開クランプ16L、16Rが外方へ移動して布類Wに緊張力が加わり、モーターを上記と逆方向に回転させると、左右の展開クランプ16L、16Rが内方へ移動して布類Wに弛緩力が加わり、布類Wは左右に揺さぶられることになる。この場合も上記のパラメーターの実行パターンをプログラム制御することによって、任意に選択可能であり、布類Wに生じている皺やめくれ等の乱れを除去することができる。なお、この変形例の装置では、布類Wの動きが広げるか閉じるかになるため、布類Wは中央の投入機構12から投入される。
【0025】
本発明の乱れ除去装置の実施形態の例2は図10〜図12に示してあり、布類Wを前後方向及び上下方向に揺さぶるものである。展開クランプ16L、16Rは、布類Wを挟持するために下部に設けた前後一対の挟持片19、19′を有し、上記挟持片19、19′は、直動シリンダーより成る開閉手段27によって開閉可能に設けられている。また、クランプ16L、16Rは、左右方向の横軸に相当する取付け軸19aによって前後方向へ揺動可能に設けられ、上記取付け軸19aの上位にて、支軸19bによって展開クランプ16L、16Rに接続され、かつ、支軸19cによって展開機構15に接続しており、展開クランプ揺動手段28を構成している。
【0026】
実施形態の第2の例の場合、布類Wの最終広げ完了後、センサーSの信号により、所定のシーケンスにしたがって、展開クランプ揺動手段28のアクチュエーター28aが作動し、布類Wの左右両端部を挟持している展開クランプ16L、16Rが、取付け軸19aを中心として数十度余りの範囲で往復回転運動を繰り返す。つまり、展開クランプ16L、16Rの横軸周りの回転は前後方向と上下方向の移動を含むので、布類Wは前後方向のみならず上下方向にも揺さぶられることになる。従って、例2は布類Wを前後方向と上下方向に揺さぶることで、布類Wの乱れを除去する例である。
【0027】
本発明の乱れ除去装置の実施形態の例3を示す図13は、布類Wを上下方向にのみ揺さぶる例である。展開クランプ16L、16Rは布類Wを挟持するために下部に設けた前後一対の挟持片19、19′を有し、上記と同様に直動シリンダーより成る開閉手段27によって開閉可能に設けられている。また、クランプ16L、16Rは、展開機構15の車台下部に突き出した支持部15bに配置されている。展開機構15の正面には、展開クランプ揺動手段29が取付け部材29bを介して設置されており、そのアクチュエーター29aは上下動可能に設けられている。例3の場合も、布類Wの最終広げ完了後、センサーSにより、所定のシーケンスにしたがって、展開クランプ揺動手段29が上下方向へ移動する。よって、布類Wを上下方向に揺さぶることで布類Wの乱れを除去することができる(図10、図13A〜C)。
【0028】
さらに、本発明の乱れ除去装置の実施形態の例4を示す(図14)。例4の場合、左右の展開クランプ16L、16Rは展開機構15の正面に前後方向の支軸30aによって軸支されており、挟持片19、19′は上記と同様に直動シリンダーより成る開閉手段27によって開閉可能に設けられている。また、展開クランプ16L、16Rは逆L字型のアーム30の下部に設けられ、角部にて展開機構15に軸支され、上端部は展開クランプ揺動手段31のアクチュエーター31aに接続されている。このため、布類Wの最終広げ完了後、センサーSにより、所定のシーケンスにしたがって、展開クランプ揺動手段31が作動すると、左右の展開クランプ16L、16Rは、アクチュエーターの作動により支軸30aを中心として左右方向と上下方向へ回転し、布類Wを上記2方向へ揺さぶり、布類Wの乱れを除去することができる(図14B、C)。
【0029】
上記例1ないし例4に説明したように、本発明の乱れ除去装置は、展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させ、それによって、布類Wに生じている乱れを除去することができるものである。しかし、それのみならず、例2のように布類Wを前後方向と上下方向に揺さぶることで、布類Wの乱れを除去することができ、また、例4のように布類Wを左右方向と上下方向へ揺さぶり、布類Wの乱れを除去することができるものである。故に、展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の3方向全ての方向へ揺動させ、それによって、布類Wに生じている乱れを除去可能であることも各実施形態から自明であろう(図15、図16参照)。
【0030】
このようにして乱れの除去された布類Wは、次の段階において、投入コンベア14への投入の準備に移る(図5参照)。そのために、左右の展開クランプ16L、16Rによる布類Wの挟持位置の外方直下に受け部32が設けてあり、また、内方には受け部32に対して前進後退可能に設けた受け渡し機構33が設置されている。その前端部34と受け部32との間で布類Wを挟持すると、展開クランプ16L、16Rが布類Wを放し、それと同時に、エアノズルから成る付勢手段35によって、布類Wは受け渡し機構33に吹き付けられ、受け渡し機構上に落された布類Wは吸引機構36によって吸引されつつ、挟持部材37によってその上面に固定される。
【0031】
布類Wが受け渡し機構上に固定された後、展開クランプ16L、16Rを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも一方向へ揺する作用を受けた布類Wに対して下方への吸引力を作用させるために、布類投入機には投入コンベアの下方に吸引手段40が設けられている(図2参照)。吸引手段40は、投入コンベア14の前端部下方に開口した吸引ボックス38と吸引ブロワ39とを有し、吸引力を受けると布類Wは下部から可動壁38aを乗り越えて吸引ボックス38の内部に吸い込まれ、吸引力を受ける。この吸引力による作用は、布類Wを平坦なシート形状にしようとする作用であり、直前の工程において実行した乱れ除去作用をより確実にする。
【0032】
即ち、本発明の乱れ除去装置は、展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させ、それによって、布類Wに生じている乱れを除去するものである。そのような乱れの除去が最初の作用であるとするとき、上記吸引による布類Wを平坦なシート形状にしようとする作用を続けて行うことは、乱れの除去をさらに確実にするもので、布類に生じている乱れを除去する本発明の課題に適うものである。包布などの2重構造を有する布類は、特に、しわその他の乱れを生じ易いが、本発明の装置によればそれらの乱れに対する除去に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る布類の乱れ除去装置を適用した布類投入機の一例を示す正面説明図である。
【図2】同上の装置の側面断面説明図である。
【図3】同上における布類を展開クランプに受渡す前の状態を示す側面図である。
【図4】同じく布類を展開クランプに受渡した後の状態を示す側面図である。
【図5】同じく布類を投入コンベアに受渡した後の状態を示す側面図である。
【図6】同じく展開クランプを左右方向へ揺動させる実施形態の例1に関する正面図である。
【図7】同じく例1に関する側面断面図である。
【図8】同じく例1に関する構成と作用を示す正面図である。
【図9】同じく例1の変形例の構成と作用を示す正面図である。
【図10】同じく展開クランプを前後方向及び上下方向へ揺動させる実施形態の例2に関する正面図である。
【図11】同じく図10に対応する側面図である。
【図12】同じく例2の要部を示すもので、A、Bは展開クランプの前後方向及び上下方向への揺動に関する説明図である。
【図13】同じく展開クランプを上下方向へのみ揺動させる実施形態の例3を示すもので、Aは側面図、Bは下降時の正面図、Cは上昇時の正面図である。
【図14】同じく展開クランプを左右方向及び上下方向へ移動させる実施形態の例4を示すもので、Aは中立時の、Bは右方移動時の、Cは左方移動時の正面図である。
【図15】展開クランプを前後方向、左右方向及び上下方向へ揺動させる例を示す説明図である。
【図16】同じく図15に対応する側面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 布類投入機
11 取付けクランプ
12 投入機構
13 周回式移送装置
14 投入コンベア
15 展開機構
16L、16R 展開クランプ
17 転輪
18 展開レール
19、19′ 挟持片
20 展開機構
21、28、29、31 展開クランプ揺動手段(展開クランプ移動手段)
22 移動手段制御部
23、25、26 移動機構
24L、24R 駆動源
27 開閉手段
30 アーム
32 受け部
33 受け渡し機構
40 吸引手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類を工程に投入するために、正面に布類を吊下げて左右方向へ展開する展開機構を有する布類投入機において、布類に生じている乱れを除去する装置であって、
布類を上部にて挟持し、かつ、布類の左方向への展開を担当する展開クランプと右方向への展開を担当する展開クランプとを有する展開機構と、
上記の展開クランプを前後方向、左右方向又は上下方向の少なくとも1方向へ揺動させるために、上記展開クランプに設けた展開クランプ揺動手段とを具備して構成された
布類投入機における布類の乱れ除去装置。
【請求項2】
展開機構は、布類を左方向へ展開する展開クランプと右方向へ展開する展開クランプと、これらの展開クランプを夫々左右方向へ移動させる展開クランプ移動手段と、上記展開クランプ移動手段の動作を制御する移動手段制御部とを具備して構成され、
上記移動手段制御部が、展開クランプを左右方向へ揺動させる展開クランプ揺動手段を兼ねている
請求項1記載の布類投入機における布類の乱れ除去装置。
【請求項3】
展開クランプは布類を挟持するために下部に設けた前後一対の挟持片を有し、上記展開クランプの取り付け軸を左右方向の横軸として前後方向へ揺動可能であり、かつ、上記開閉軸よりも上位にて展開クランプに接続した展開クランプ揺動手段とを具備している
請求項1記載の布類投入機における布類の乱れ除去装置。
【請求項4】
展開クランプは布類を挟持するために下部に設けた前後一対の挟持片を有し、展開機構の下部に突き出した支持部に配置され、上記支持部は展開機構の正面に設置された展開クランプ揺動手段に上下動のみ可能に設けられている
請求項1記載の布類投入機における布類の乱れ除去装置。
【請求項5】
展開クランプは展開機構の正面に前後方向の支軸によって軸支され、上記支軸を中心として左右方向と上下方向へ回転可能に設けられている
請求項1記載の布類投入機における布類の乱れ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−85712(P2013−85712A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229101(P2011−229101)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000201548)