説明

希釈冷凍機の運転方法、及び希釈冷凍機

【課題】希釈冷凍装置のスタート時に要する時間を大幅に短縮し、機械式冷凍機を用いた場合の振動及び騒音による問題を充分に回避し得る、実用性にも優れる希釈冷凍装置を提供する。
【解決手段】希釈冷凍装置において3He凝縮のために用いる機械式冷凍機を、希釈冷凍機の本体部分から構造的に分離し、かつ希釈冷凍機の起動時に3He循環経路における3He凝縮に補助冷却用Heベッセルからの液体Heを用いて3Heを迅速に冷却できる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ヘリウム(He、He)を用いて1〜10−3Kの超低温を連続的に得るための希釈冷凍装置の運転方法、及び希釈冷凍装置に関するものである。尚、該希釈冷凍装置の主要部を構成する希釈冷凍機は4ヘリウム(He)の同位体である3ヘリウム(He)が液体4Heに溶け込む(希釈する)ときの溶解熱を冷凍能力として使用し100mk以下の低温を得ることが可能な冷凍機である。本明細書及び特許請求の範囲において、Heを3Heと、Heを4Heと記載する。
【背景技術】
【0002】
極低温技術に携わる者には良く知られているように、3He液相と4He液相の混合液は、0.8K(800mK)以下の極低温において、相対的に3Heが少ない3He希薄相と、相対的に3Heを多く含む3He濃厚相とに分離する。ここで、3He希薄相と3He濃厚相のそれぞれにおける3Heの含有率は、温度によって決定されるが、0.1K以下の温度では、3Heを6.4%含み残部が4Heからなる3He希薄相と、100%の3Heからなる3He濃厚相とに分離される。またここで、3He液相よりも4He液相の方が密度が大きいため、上述のように3He−4He混合液が3He希薄相と3He濃厚相とに2相分離した状態では、密度の大きい3He希薄相が下側に、密度の小さい3He濃厚相が上側に位置することになる。したがって例えば0.1K程度以下の極低温の室内(従来の一般的な希釈冷凍機における混合室内)では、6.4%3He−残部4Heの3He希薄相が下部に、100%3Heからなる3He濃厚相が上部に位置するように2相分離した平衡状態となる。そしてまたこのような平衡状態にある混合室内において、なんらかの手段により3He希薄相から3He分子を抜き去って、3He希薄相における3He濃度を低下させれば、両相は平衡状態に戻ろうとするため、3He濃厚相中の3Heが3He希薄相中へ溶け込む(3Heが4Heに希釈される)ことになる。
【0003】
ここで、同一温度での各相中の3He分子のエントロピーを比較すれば、濃厚相中の3He分子のエントロピーは希薄相中の3He分子のエントロピーより小さいため、断熱状態であれば前述のように2相分離した混合室内において3Heが濃厚相中から希薄相中へ希釈されることにより吸熱が生じることになる。このような吸熱を利用した冷凍機が希釈冷凍機と称されるものであり、1〜10−3K程度の超低温を得ることが可能となる。
【0004】
希釈冷凍機の原理ついては、非特許文献1、非特許文献2などにおいて説明されているが、その原理的な構成を図3に示す。
図3において、第1の真空ポンプ101Aは3Heガスを強制循環させるためのものであり、この第1の真空ポンプ101Aから送り出された300K程度の温度の3Heガスは、第2の真空ポンプ101Bにより液体4Heを排気減圧して1.3K程度に保った1Kポット102に熱的に接触する凝縮器(コンデンサ)103において液化し、さらにインピーダンス104を介して分留器105内の熱交換器106に送られる。この分留器5は、後述するように3Heと4Heとの飽和蒸気圧の差を利用して4He−3Heの混合液中から3Heを選択的に排出させるためのものであるが、凝縮器103から送られて来た3Heはこの分留器105に熱接触する熱交換器106において熱交換されて、0.5〜0.7K程度まで冷却される。さらにその3Heは、インピーダンス107を経て熱交換器108において100mK程度まで冷却され、混合室109に送り込まれる。混合室109では、前述のような100%3Heの濃厚相と、3Heが4Heに溶け込んだ4He−6.4%3Heの希薄相とに2相分離しており、密度差により下層が希薄相(4He−6.4%3He)、上層が濃厚相(3He相)となる。そして濃厚相に送り込まれた3Heが希薄相に溶け込む際に、既に述べたように熱吸収が生じ、50mK以下の超低温に冷却される。すなわちこの混合室109が冷凍機としてのコールドヘッドとなるから、この部分に冷却対象物(試料)を保持しておけば、その試料を50mK以下に冷却することができる。
【0005】
混合室109の希薄相における3He濃度は6.4%を保ち、一方前記分留器105内の4He−3He混合液中からは4Heと3Heとの飽和蒸気圧の差によって3Heのみがガス化して排出されて行くから、分留器105内の3He濃度は0.5〜0.7Kで1%程度となり、そのため混合室109の希薄相と分留器105内の混合液とで3Heの濃度差が生じ、そのため両者間の濃度勾配によって混合室109内の希薄相中から3Heが分留器105側へ引込まれ、それに伴なって混合室109においては100%3Heの濃厚相から希薄相への3Heの溶け込みが連続的に生じることになる。そして混合室109から3Heが分留器105へ引込まれる間においてその3Heは熱交換器108を通過し、インピーダンス107を経て混合室109に送られる前述の3Heを冷却する。
【0006】
分留器105においては、既に述べたように飽和蒸気圧の差によって4He−3He混合液中から3Heのみが気化し、前述の第1の真空ポンプ101Aによって排気される。第1の真空ポンプ101Aに吸引された3Heは、再び凝縮器103へ送られて同様な過程を繰返す。
以上のようにして、希釈冷凍機では、50mK以下の超低温を得ることができる。
【0007】
ところで図3に原理的に示した希釈冷凍機では、1Kポット102内の液体ヘリウムは徐々に消費されてその量が減ることになり随時液体ヘリウムの補給を行なう必要があるので、長時間連続して運転することが困難であった。
【0008】
そこで、例えば特許文献1に示しているように前述のような液体ヘリウムを用いた1Kポットに代え、GM冷凍機(ギフォード−マクマホン冷凍機)で代表される小型機械式極低温冷凍機を用いて凝縮器を冷却するように構成した希釈冷凍機を本発明者が提案している。
【0009】
具体的には、小型機械式冷凍機の冷却ヘッドから延長された良熱伝導材料からなる伝熱ブロックに熱的に接触した主熱交換器において、真空ポンプから送り出された3Heガスが所定の低温に冷却され、さらにJT膨張器を通過して凝縮液化され、その液化された液体3Heが熱交換器を通って混合室に送り込まれるように構成したものである。
【0010】
このような特許文献1において提案している希釈冷凍機では、GM冷凍機などの小型機械式冷凍機を用いて数K程度まで3Heガスを冷却し、さらに断熱膨張により凝縮温度以下まで冷却して液化させており、3Heの凝縮のための予冷用冷媒として液体ヘリウムを用いる必要がないので、長時間の連続運転が可能となった。しかしながら、機械的冷凍機を備えている為、小型化には制約があった。
【0011】
さらに特許文献1に示される希釈冷凍機の場合、機械式冷凍機による振動の問題を逃れ得ないという、根本的な問題があった。すなわちGM冷凍機で代表される機械式冷凍機は、機械的に圧縮−膨張させる行程を周期的に繰返すところから、必然的に振動が発生し、この振動が希釈冷凍機本体の全体に伝達されるため、希釈冷凍機を用いた各種分析機器において分析精度が損なわれてしまうおそれがあった。又、騒音源である機械式冷凍機、真空ポンプなどを防音措置の施された別室に設置するなどの騒音対策が要求されていた。
【0012】
そこで、本発明者は特許文献2に示すように、小型機械式冷凍機を使用して希釈冷凍機の本体部分から構造的に分離した希釈冷凍機を提案した。すなわち、機械式冷凍機の振動が希釈冷凍機本体に直接伝達されないようにするとともに、希釈冷凍機の本体部分の小型化を図って、希釈冷凍機の取扱い性と運搬性を向上させ、更に機械式冷凍機で発生した冷熱を希釈冷凍機の本体部分へ伝えるための予冷用冷媒を圧送循環させるようにした。
【0013】
特許文献2に開示された希釈冷凍機の具体例を図4に示す。図4において、本発明の希釈冷凍機と共通する要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
第1の真空ポンプ115により送り出された3Heを凝縮器114において冷却した後、インピーダンス18で凝縮させ、第1の熱交換器113において更に冷却して、混合室13の3He濃厚相中に導くようにした希釈冷凍機において、凝縮器114、インピーダンス18、第1の熱交換器113、混合室13及び分留器19を断熱容器112内に収容して、これらを全体として一体化された希釈冷凍機本体111とする。一方、第1の真空ポンプ115、オイルトラップ116及び液体窒素トラップ117を希釈冷凍機本体111の断熱容器112に対して離隔させて配設する。さらに第1の真空ポンプ115とは別の第2の真空ポンプ125と機械式小型極低温冷凍機123とを備えた予冷用冷却装置121を、希釈冷凍機本体111の断熱容器112から離隔させてその断熱容器とは別体に設ける。予冷用冷却装置121において、予冷用冷媒を機械式小型低温冷凍機123により冷却するとともに、その予冷用冷媒を第2の真空ポンプ125により循環圧送させて、希釈冷凍機本体111内の凝縮器114に導き、その凝縮器において予冷用冷媒の冷熱によって第1の真空ポンプ115により送り出された3Heを冷却するように構成し、かつ予冷用冷却装置121内から希釈冷凍機本体111内へ予冷用冷媒を導きかつ希釈冷凍機本体111内から予冷用冷却装置121内へ予冷用冷媒を戻すための管路を、可撓性を有する管体によって構成している。
【0014】
特許文献2の希釈冷凍機において、いくつかの改良効果は認められるものの、スタート時において機械式冷凍機のみにより凝縮器114の予冷を行うとインピーダンス18を経て3Heの液化が始まる温度までに相当の長時間を要するという問題点があった。
又、機械式冷凍機で発生した振動や騒音が希釈冷凍機本体、特に冷却部(コールドヘッド)の混合室の部分に伝達されるのを防止するために、予冷用冷却装置と希釈冷凍機本体とを結ぶ予冷用の循環Heの流路が、真空断熱可撓性管体内に配設されているが、該可撓性管体内を真空断熱手段のみにより保冷する場合には該可撓性管体の長さをあまり長くすることはできず振動伝達や騒音が十分に防止できないので、更なる振動及び騒音の抑制対策が求められていた。
【0015】
尚、半導体表面検査や材料開発における微量元素分析には、X線分光分析計が頻繁に用いられており、このX線分光分析計のX線検出器には半導体検出器が搭載されているが、従来の半導体検出器では分光性能が理論的限界に近付いており、微量元素についてのこれ以上の高精度分析性能の向上は困難となりつつある。そこで近年、従来の半導体検出器よりも優れた分析性能を有する超伝導相転移端温度計(TES)型マイクロカロリーメーターを検出器とするX線分光分析計の開発が進められている。このTES型マイクロカロリーメーターが常に高性能で動作するためには、約100〜300mKの極低温で温度変動幅10μK程度の温度安定度を保持する必要があり、そこで冷却装置として希釈冷凍機が不可欠となる。
しかしながら、例えばTES型マイクロカロリーメーターを用いたX線分光分析計に、循環3Heの予冷に機械式冷凍機を配設した希釈冷凍機を用いた場合、実際には機械式冷凍機の発する振動のために、10μK程度の温度安定度が保持できないことや、電磁気的ノイズが発生すること等に起因して、高精度の分析が困難とならざるを得なかった。
又、TES型マイクロカロリーメーターと電子顕微鏡とを組み合わせたナノスケールでのX線分光分析では、振動とともに騒音が電子顕微鏡に悪影響を与えるため、機械式冷凍機本体の振動・騒音対策に加えて、他の振動及び騒音源である真空ポンプやコンプレッサーに対しても対策が要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2001−304709号公報
【特許文献2】特開2007−333273号号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】“3He−4He希釈冷凍機の原理と設計上の問題点I”、「日本物理学会誌」、第37巻第5号(1982)、p409−418
【非特許文献2】“3He−4He希釈冷凍機の原理と設計上の問題点II”、「日本物理学会誌」、第37巻第7号(1982)、p595−600
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は以上のような事情を背景としてなされたもので、基本的には長時間連続運転可能としながらも、希釈冷凍機の本体部分(極低温容器の部分)の小型化を図り、これにより取扱い性、運搬性の向上を図ると同時に、希釈冷凍装置のスタート時に要する時間を大幅に短縮し、又、冷却He循環ラインを真空断熱可撓性管体内に収納して、機械式冷凍機を用いた場合の振動及び騒音による問題を充分に回避し得るようにした、実用性にも優れる希釈冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、
希釈冷凍装置に3He循環経路における往路の3He、及び真空断熱管体内を冷却するための液体Heベッセル、並びに3He循環経路における往路の3He冷却用に2段式機械式冷凍機を使用することにより、
希釈冷凍装置の起動時に要する時間を大幅に短縮し、3He循環圧送する第一コンプレッサー系と機械式冷凍機が配設された冷却He循環系を、希釈冷凍機系から隔離して配置し、且つ冷却He循環ラインを液体Heの補助冷却により従来よりも長くすることが可能な真空断熱可撓性管体内に収納することにより、振動源と騒音源である機械式冷凍機、真空ポンプ及びコンプレッサーを防音措置の施された別室に設置できたので、混合室近傍の振動や騒音を顕著に減少させることが可能となり上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]ないし[7]に記載の発明を要旨とする。
尚、下記[1]ないし[3]に記載の発明(それぞれ請求項1〜請求項3に相当する)では、希釈冷凍装置の運転方法を規定し、又、下記[4]ないし[7]に記載の発明(それぞれ請求項4〜請求項7に相当する)では、希釈冷凍装置について規定している。
【0020】
[1](i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、3Heガスが第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相(上相)と3He希薄相(下相)とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路と復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路1の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路1Aにより下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、又は下記補助冷却He(sub)経路1Bにより下記真空断熱可撓性管体内を補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第一熱交換器、第二熱交換器、第一流量調節弁(V1a)をこの順に経由して放出する分岐経路1a(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1aを併せて「補助冷却He(sub)経路1A」という)、
及び、該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第二流量調節弁(V1b)を経由して放出する分岐経路1b(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1bを併せて「補助冷却He(sub)経路1B」という)、が形成可能な補助冷却He(sub)経路からなる、補助冷却系(C1)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路1の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E1)の運転方法であって、
少なくとも下記(1)〜(5)の操作で希釈冷凍装置を起動し、その後の運転を継続することを特徴とする希釈冷凍装置(E1)の運転方法(以下、第1の態様ということがある)。
(1)2段式機械式冷凍機を起動すると共に、液体Heベッセルから補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路1Aに流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び第二熱交換器を補助冷却し、その後第一流量調節弁(V1a)から放出させながら、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部の温度が100K以下になるように冷却する。
(2)前記補助冷却He(sub)経路1Aによる冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器の冷却用He(cool)温度が20K以下になるように冷却する。
(3)補助冷却He(sub)経路1Aの第一流量調節弁(V1a)を閉とし、補助冷却He(sub)経路1Bの第二流量調節弁(V1b)を開として、前記真空断熱可撓性管体出口の補助冷却用He(sub)温度が80K以下になるように該第二流量調節弁(V1b)により補助冷却He(sub)経路1Bにおける補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(4)第一コンプレッサー系を起動して、混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行う。
(5)前記(1)〜(4)の操作により混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)、その状態で運転を継続する。
[2](i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相と3He希薄相とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路及び復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、
第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路2の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路2により下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセル、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体内、第三流量調節弁(V2)をこの順に経由して放出される補助冷却He(sub)経路2からなる、補助冷却系(C2)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路2の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E2)の運転方法であって、
少なくとも下記(1)〜(4)の操作手順で希釈冷凍装置を起動し、その後の運転を継続することを特徴とする希釈冷凍装置(E2)の運転方法(以下、第2の態様ということがある)。
(1)2段式機械式冷凍機を起動すると共に、液体Heベッセルから補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路2に流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び第二熱交換器を補助冷却後、更に前記真空断熱可撓性管体内を補助冷却して第三流量調節弁(V2)から放出させながら、
2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部の温度が100K以下になるように冷却する。
(2)前記補助冷却用He(sub)による冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器の冷却用He(cool)温度が20K以下になるように冷却する。
(3)第一コンプレッサー系を起動して、混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行うと共に、第二熱交換器の補助冷却用He(sub)温度が5K以下になるように第三流量調節弁(V2)により補助冷却He(sub)経路2における補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(4)前記(1)〜(3)の操作により混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)、その状態で運転を継続する。
[3]前記冷却He循環系(B)において、第二コンプレッサー系の出口側と2段式機械式冷凍機の第1段冷却部との間の冷却He循環経路に配設された入側熱交換器で該第二コンプレッサー系出口側の冷却用He(cool)が第二コンプレッサー系入口側の冷却用He(cool)との間で熱交換により冷却され、
2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部との間の該冷却He循環経路に配設された出側熱交換器で2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由した冷却用He(cool)が、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部で冷却された後真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由して入側熱交換器流入前の冷却用He(cool)と熱交換により冷却されることを特徴とする、前記[1]に記載の希釈冷凍装置(E1)又は前記[2]に記載の希釈冷凍装置(E2)の運転方法。
【0021】
[4](i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相と3He希薄相とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路と復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路1の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路1Aにより下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、又は下記補助冷却He(sub)経路1Bにより下記真空断熱可撓性管体内を補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第一熱交換器、第二熱交換器、第一流量調節弁(V1a)をこの順に経由して放出する分岐経路1a(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1aを併せて「補助冷却He(sub)経路1A」という)、
及び、該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第二流量調節弁(V1b)を経由して放出する分岐経路1b(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1bを併せて「補助冷却He(sub)経路1B」という)、が形成可能な補助冷却He(sub)経路からなる、補助冷却系(C1)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路1の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E1)(以下、第3の態様ということがある)。
[5](i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相と3He希薄相とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路及び復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路2の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路2により下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセル、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体内、第三流量調節弁(V2)をこの順に経由して放出される補助冷却He(sub)経路2からなる、補助冷却系(C2)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路2の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E2)(以下、第4の態様ということがある)。
[6]前記冷却He循環系(B)において、第二コンプレッサー系の出口側と2段式機械式冷凍機の第1段冷却部との間の冷却He循環経路に、該第二コンプレッサー系出口側の冷却用He(cool)が第二コンプレッサー系入口側の冷却用He(cool)との間で熱交換により冷却される、入側熱交換器が配設され、
2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部との間の該冷却He循環経路に、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由した冷却用He(cool)が、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部で冷却された後真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由して入側熱交換器流入前の冷却用He(cool)と熱交換により冷却される、出側熱交換器が配設されている、ことを特徴とする、前記[4]に記載の希釈冷凍装置(E1)又は前記[5]に記載の希釈冷凍装置(E2)。
[7]前記2段式機械式冷凍機がGM冷凍機あるいはパルス管式冷凍機であることを特徴とする、前記[4]に記載の希釈冷凍装置(E1)又は前記[5]に記載の希釈冷凍装置(E2)。
【発明の効果】
【0022】
上記[1]及び[2]に記載する「希釈冷凍装置(E1)、及び希釈冷凍装置(E2)の運転方法」の発明において、液体Heベッセルと2段式機械式冷凍機の使用により、希釈冷凍機の第一熱交換器、第二熱交換器及び3He循環経路における往路の冷却を迅速に行なうことが可能になったので希釈冷凍装置の起動時間が大幅に短縮された。更に、[1]に記載の希釈冷凍装置の定常運転において、2段式機械式冷凍機を使用することにより、液体Heベッセル中の補助冷却He(sub)は主に真空断熱管体内の冷却に使用されるので液体Heの消費量を大幅に削減できて長期間の連続運転が可能になった。
又、[2]に記載の希釈冷凍装置の定常運転において、液体Heベッセルからの液体Heを3He循環経路の冷却の用いることにより、冷却負荷変動への対応が可能となる。
【0023】
上記[4]及び[5]に記載の希釈冷凍装置においては、振動の発生源となる2段式機械式冷凍機と3Heを循環圧送する第一コンプレッサー系が、その希釈冷凍機本体が収納されている断熱容器とは離隔されて配置し別体に設けられており、かつ2段式機械式冷凍機と希釈冷凍機間の冷却He(cool)循環経路の一部が収納される真空断熱管体の長さが補助冷却He(sub)経路による冷却でより延長することが可能になったので、振動源と騒音源である機械式冷凍機、真空ポンプ及びコンプレッサーを防音措置の施された別室に設置でき、混合室近傍の振動と騒音を大幅に減少することが可能となった。
その結果、機械式小型極低温冷凍機で発生した振動が希釈冷凍機本体、特にコールドヘッドに相当する混合室の部分に伝達されることが有効に防止され、そのため各種分析を高精度で行うことが可能になった。補助冷却He(sub)の使用量は従来よりも削減され、且つ液体Heベッセルは第一真空断熱容器とは隔離して配設されるので、希釈冷凍機本体の断熱容器を従来よりも格段に小型化することができ、そのため取扱い性、運搬性に優れ、電子顕微鏡などの種々の装置への取り付けが容易となるとともに、実験室での卓上冷却実験にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1、3の態様に対応する希釈冷凍装置を概略的に示すブロック図である。
【図2】第2、4の態様に対応する希釈冷凍装置を概略的に示すブロック図である。
【図3】従来の希釈冷凍機の一例を概略的に示すブロック図である。
【図4】特許文献2の発明に示された希釈冷凍機を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、〔1〕「希釈冷凍装置(E1)」(第3の態様)、〔2〕「希釈冷凍装置(E1)の運転方法」(第1の態様)、〔3〕「希釈冷凍装置(E2)」(第4の態様)、及び〔4〕「希釈冷凍装置(E2)の運転方法」(第2の態様)について説明する。
〔1〕「希釈冷凍装置(E1)」(第3の態様)について
図1は、第3の態様における「希釈冷凍装置(E1)」を説明するための概略的なブロック図である。希釈冷凍装置(E1)は、少なくとも希釈冷凍機系(A)、冷却He循環系(B)、補助冷却系(C1)、及び真空断熱可撓性管体(D)から構成される。
図1に示すように、希釈冷凍機系(A)11の3He循環経路を構成する主要機器は第一真空断熱容器12内に配設され、稼働時に振動の発生源となる第一コンプレッサー系14と冷却He循環系(B)31は、第一真空断熱容器12から隔離されて配設される。
【0026】
(1)希釈冷凍機系(A)
(i)希釈冷凍機系(A)の構成
希釈冷凍機系(A)11は、3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系14の出口側から、第一熱交換器15及び第二熱交換器16の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンス18で液化された3He液が、分留器19、及び第三熱交換器17の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相(上相)と3He希薄相(下相)とに2相分離した状態で収容される混合室13の入口までの経路を往路とし、
該混合室13の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器12を経由して分留器19で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器16、及び第一熱交換器15の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系14の入口側に至る経路を復路として、これらの往路と復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室13と共に、第一真空断熱容器12内に配設された系である。
混合室13は、超伝導相転移端温度計(TES)等の超低温に冷却が必要な低温検出器などの種々の装置が取り付可能で、所望の温度レベルへの冷却が可能な構造とすることができる。
【0027】
(ii)3He循環経路
第一熱交換器15及び第二熱交換器16における熱交換器の構造は特に制限されるものではないが、例えば、3Heの循環経路の往路を内管側、復路を外管側とするチューブインチューブ型熱交換器とすることができる。又、例えば、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却された冷却用He(cool)を熱伝導性の高い配管内に流通させて、該配管を第一熱交換器15において外管の該表面をスパイラル上に沿わせて該表面側から往路の3Heを冷却することができる。
同様に、例えば、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部で冷却された冷却用He(cool)を熱伝導性の高い配管内に流通させて、該配管を第二熱交換器16において外管の該表面をスパイラル上に沿わせて該表面側から往路の3Heを冷却することが可能である。
【0028】
第二熱交換器16で冷却された往路の3Heは、インピーダンス18におけるJT効果(ジュール・トムソン効果)で液化される。この場合の圧力降下(△P)は500kPa未満程度となる条件を選択することが望ましい。
インピーダンス18で液化された3Heは第三熱交換器17で復路の3Heと熱交換により冷却されて、100mK以下の所望の温度に冷却されて混合室13内に流入する。第三熱交換器17の型式も特に制限されるものではないが、3Heの循環経路の往路を内管側、復路を外管側とするチューブインチューブ型熱交換器とすることができる。
混合室13においては、前述したように、0.1K以下の温度で3Heを6.4%含み残部が4Heからなる3He希薄相が下層を形成し、100%の3Heからなる3He濃厚相が上層を形成して、2相分離した状態で平衡状態が存在する。
【0029】
混合室13で下層を形成している3He希薄相は前記第三熱交換器17で熱交換されて、分留器19に流入する。該分留器19の気相から第一熱交換器15に至る系は第一コンプレッサーを構成する真空ポンプにより減圧状態に維持されているので、前述した通り3Heが気化して、第一コンプレッサー系経由で往路の3Heの循環経路にいたる。
尚、分留器19における液相組成は、1%程度の3Heを含む4He溶液である。
(iii)第一コンプレッサー系
第一コンプレッサー系は、真空ポンプとその下流側のコンプレッサーからなり、該コンプレッサーの吸入側にはオイルトラップと液体窒素トラップが設けられることが望ましい。
(iv)第一真空断熱容器
図1に示すとおり、第一真空断熱容器12内には第一熱交換器15、第二熱交換器16、インピーダンス18、分留器19、混合室13、補助冷却He(sub)経路の一部、及び冷却He(cool)循環経路の一部が収納されている。第一真空断熱容器12は、その全体が周囲を真空断熱した極低温容器(通常クライオスタットと称されるもの)である。
【0030】
(2)冷却He循環系(B)
(i)冷却He循環系(B)の構成
冷却He循環系(B)31は、前記第一熱交換器15と第二熱交換器16を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機33、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系34、及び、第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部(33B1)で冷却され、真空断熱可撓性管体51内、第一熱交換器15、及び真空断熱可撓性管体51内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の該第1段冷却部(33B1)と次に第2段冷却部(33B2)とで冷却、又は2段式機械式冷凍機の第1段冷却部をバイパスして(破線37で示す)第2段冷却部(33B2)で冷却され、真空断熱可撓性管体51内、第二熱交換器16、及び真空断熱可撓性管体51内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系34の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、が備えられ、
2段式機械式冷凍機33の1段及び2段冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路の一部が、第二真空断熱容器に配設された系である。
【0031】
(ii)2段式機械式冷凍機、第二コンプレッサー系
2段式機械式冷凍機33は、冷却部(冷却ヘッドともいわれる)33Bが第1段冷却部(33B1)(相対的に高温側)と第2段冷却部(33B2)(相対的に低温側)からなる。
冷却He循環系(B)31で使用可能な2段式機械式冷凍機33として、GM冷凍機、及びパルス管式冷凍機が挙げられる。2段式を採用する理由は、現在市販されている小型冷凍機で4.2K以下に冷却可能で必要な冷凍能力を持つものが2段式のみであることと、機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部の到達温度が希釈冷凍機の第一熱交換器15と第二熱交換器16を必要な温度まで冷却するのに適しているためである。
該GM冷凍機は、現在MRIの装置など広く使用されており、冷却温度及び冷凍能力は、例えば第1段冷却部において50Kで40W、第2段冷却部において4.2Kで1.5W程度である。
該パルス管式冷凍機は、GM冷凍機に比較し、駆動部が無く低振動であり、冷却温度及び冷凍能力はGM冷凍機とほぼ同じである。
第二コンプレッサー系で使用可能なコンプレッサーとしては、4Heガスが使用でき、所定の圧力(0.3〜2MPa)と循環量(20SLM(Standard Liter per Minute))を確保できることと、4He以外の不純物の混入がないように組み立てられた密閉型のコンプレッサーであれば特に制限はない。
【0032】
(iii)冷却He(cool)循環経路
冷却He(cool)循環経路は、第二コンプレッサー系34の出口側から、2段式機械式冷凍機33の第1段冷却部(33B1)で冷却され、真空断熱可撓性管体51内、第一熱交換器15、及び真空断熱可撓性管体51内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の該第1段冷却部(33B1)と次に第2段冷却部(33B2)とで冷却、又は2段式機械式冷凍機の第1段冷却部をバイパスして(破線37で示す)第2段冷却部(33B2)で冷却され、真空断熱可撓性管体51内、第二熱交換器16、及び真空断熱可撓性管体51内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系34の入口側に至る冷却He(cool)の循環経路である。
(iv)第二真空断熱容器
図1に示す通り、第二真空断熱容器32内には2段式機械式冷凍機33の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び補助冷却He(sub)経路1(22)の一部が収納されている。
又、冷却He(cool)循環経路に後述する入側熱交換器35、及び出側熱交換器36が配設される場合にはこれらの機器も同様に収納することができる。第二真空断熱容器32は、第一真空断熱容器12と同様に、その全体が周囲を真空断熱した極低温容器(クライオスタット)である。
(v)入側熱交換器、及び出側熱交換器
前記冷却He循環系(B)31において、第二コンプレッサー系34の出口側と2段式機械式冷凍機33の第1段冷却部(33B1)との間の冷却He循環経路に配設された入側熱交換器35で該第二コンプレッサー系出口側の冷却用He(cool)が第二コンプレッサー系入口側の冷却用He(cool)との間で熱交換により冷却され、
2段式機械式冷凍機33の第1段冷却部(33B1)と第2段冷却部(33B2)との間の該冷却He循環経路に配設された出側熱交換器36で2段式機械式冷凍機の第1段冷却部(33B1)で冷却され真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由した冷却用He(cool)が、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部(33B2)で冷却された後真空断熱可撓性管体51内、第二熱交換器16、真空断熱可撓性管体51内をこの順で経由して入側熱交換器35流入前の冷却用He(cool)と熱交換により冷却されることが好ましい。
【0033】
(3)補助冷却系(C1)
補助冷却系(C1)は、下記真空断熱可撓性管体51内、及び第一熱交換器15と第二熱交換器16とを補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセル41と、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセル41から真空断熱可撓性管体51出口側までの補助冷却He(sub)経路1 22と、その後分岐して第一熱交換器15におけるHEX1 20、第二熱交換器16におけるHEX2 21、第一流量調節弁(V1a)23aをこの順に経由して放出する分岐経路1a 22a(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1aを併せて「補助冷却He(sub)経路1A」ということがある)、
及び、該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1 22と、その後分岐して第二流量調節弁(V1b)23bを経由して放出する分岐経路1b 22b(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1bを併せて「補助冷却He(sub)経路1B」ということがある)、からなる。
【0034】
(4)真空断熱可撓性管体(D)
真空断熱可撓性管体(D)51は、第一真空断熱容器12と第二真空断熱容器32との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路1の一部が収納される、外側部材及び内側部材が可撓性を有する管体(いわゆる、フレキシブル配管)により構成され、その内層側には、輻射シールド、保冷材等が使用されている。
第3の態様においては、真空断熱可撓性管体(D)内を補助冷却He(sub)により冷却しているために、該真空断熱可撓性管体(D)内を従来と比較してより低温を維持することが可能になったことに伴い、真空断熱可撓性管体(D)51を従来より延長してより長くできるのが特徴である。
【0035】
〔2〕「希釈冷凍装置(E1)の運転方法」(第1の態様)について
第1の態様における「希釈冷凍装置(E1)の運転方法」は、前記希釈冷凍装置(E1)の運転方法であって、少なくとも下記(1)〜(5)の操作で希釈冷凍装置を起動し、定常状態に至ったらその状態で運転を継続することを特徴とする。
(1)2段式機械式冷凍機33を起動すると共に、液体Heベッセル41から補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路1Aに流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体51内、第一熱交換器15、及び第二熱交換器16を補助冷却し、その後第一流量調節弁(V1a)から放出させながら、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部(33B1)及び第2段冷却部(33B2)の温度が100K以下になるように冷却する。
この場合、「2段式機械式冷凍機の起動」と、「液体Heベッセルから補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路1Aに流通」させる操作は、その操作手順を前後させてもよい。
(2)前記補助冷却He(sub)経路1Aによる冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系34を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器16の冷却用He(cool)出口温度が20K以下、好ましくは10K以下になるように冷却する。
(3)補助冷却He(sub)経路1Aの第一流量調節弁(V1a)を閉とし、補助冷却He(sub)経路1Bの第二流量調節弁(V1b)を開として、前記真空断熱可撓性管体51出口の補助冷却用He(sub)温度が80K以下、好ましくは70K以下になるように該第二流量調節弁(V1b)により、補助冷却He(sub)経路1Bにおける補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(4)第一コンプレッサー系14を起動して、混合室13及び分留器19内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行う。
この操作により、3He循環経路に3Heの循環が開始されて、混合室13内の3Heと4Heは徐々に冷却されていく。
(5)前記(1)〜(4)の操作により混合室13及び分留器19内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室13内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)、その状態で運転を継続する。尚、該2相分離は、混合室13内の温度により確認することが可能である。
【0036】
上記定常運転状態で、3He循環経路における3Heガスは第一熱交換器15と第二熱交換器16で5K程度まで冷却され、インピーダンスで液化された後に、分留器19と第三熱交換器17の往路側で更に100mK程度に冷却され、最終的に混合室13内において、3He濃厚相中の3Heが3He希薄相中へ溶け込む(3Heが4Heに希釈される)ことにより、50mK以下の極低温を得ることができる。
一方、冷却He循環系(B)においては、2段式機械式冷凍機第1段冷却部(33B1)で冷却された温度40K程度の冷却He(cool)により、第一熱交換器15で往路3Heを冷却し、更に2段式機械式冷凍機の該第1段冷却部(33B1)と次に第2段冷却部(33B2)とで冷却、又は2段式機械式冷凍機の第1段冷却部をバイパスして(破線37で示す)第2段冷却部(33B2)で冷却された温度4〜5K程度の冷却He(cool)により、第二熱交換器で往路3Heを冷却する。
【0037】
第1の態様において、実用的な見地からは、下記(イ)ないし(ニ)の条件での運転を行なうことがより好ましい。
(イ)2段式機械式冷凍機33を起動すると共に、液体Heベッセル41から補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路1Aに流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体51内、第一熱交換器15、及び第二熱交換器16を補助冷却し、その後第一流量調節弁(V1a)から放出させながら、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部(33B1)と第2段冷却部(3B2)の温度が100K以下になるように冷却する。
(ロ)前記補助冷却He(sub)経路1Aによる冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系34を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器の冷却用He(cool)出口温度が10K以下になるように冷却する。
(ハ)補助冷却He(sub)経路1Aの第一流量調節弁(V1a)を閉とし、補助冷却He(sub)経路1Bの第二流量調節弁(V1b)を開として、前記真空断熱可撓性管体51出口の補助冷却用He(sub)温度が70K以下になるように該第二流量調節弁(V1b)により、補助冷却He(sub)経路1Bにおける補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(ニ)第一コンプレッサー系14を稼働して、混合室13及び分留器19内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行う。
(ホ)前記(イ)〜(ニ)の操作により混合室13及び分留器19内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室13内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)その状態で運転を継続する。
【0038】
第1の態様において、2段式機械式冷凍機33として好ましいGM冷凍機を使用する場合にはかなりの振動を発生するのが通常であるが、前述のように2段式機械式冷凍機33を含む冷却He循環系(B)31は、第一真空断熱容器12から離隔して設けられていて、その間を結ぶ冷却He(cool)循環経路は真空断熱可撓性管体51内を補助冷却He(sub)により冷却しているので従来と比較して十分に長く配設することができるため、振動源と騒音源である機械式冷凍機、真空ポンプ及びコンプレッサーを防音措置の施された別室に設置でき、2段式機械式冷凍機33の振動及び騒音が混合室13を含む希釈冷凍基系(A)11の第一真空断熱容器12に伝達されるのが防止され、その結果高精度での分析等が可能となる。
【0039】
〔3〕「希釈冷凍装置(E2)」(第4の態様)について
図2は、第4の態様における「希釈冷凍装置(E2)」を説明するための概略的なブロック図である。希釈冷凍装置(E2)は、少なくとも希釈冷凍機系(A)、冷却He循環系(B)、補助冷却系(C2)、及び真空断熱可撓性管体(D)から構成される。
図2に示すように、希釈冷凍機系(A)の3He循環経路を構成する主要機器は第一真空断熱容器内に配設され、稼働時に振動及び騒音の発生源となる第一コンプレッサー系と冷却He循環系(B)は、第一真空断熱容器から隔離されて配置される。
(1)希釈冷凍機系(A)
3He循環経路において、第一熱交換器15及び第二熱交換器16の構造は特に制限されるものではないが、例えば、3Heの循環経路の往路を内管側、復路を外管側とするチューブインチューブ型熱交換器とすることができ、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却された冷却用He(cool)、及び、補助冷却He(sub)経路の冷却He(sub)をそれぞれ熱伝導性の高い配管内に流通させて、該配管を第一熱交換器15において外管の該表面をスパイラル上に沿わせて該表面側から往路の3Heを冷却することができる点と、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部で冷却された冷却用He(cool)、及び、補助冷却He(sub)経路の冷却He(sub)をそれぞれ熱伝導性の高い配管内に流通させて、該配管を第二熱交換器16において外管の該表面をスパイラル上に沿わせて該表面側から往路の3Heを冷却することが可能である点を除いて、実施態様3における希釈冷凍機系(A)と同様である。
(2)冷却He循環系(B)
補助冷却He(sub)経路1の一部の代わりに、補助冷却He(sub)経路2(24)の一部が、第二真空断熱容器に配設されている点を除いて、実施態様3における冷却He循環系(B)と同様である。
【0040】
(3)補助冷却系(C2)
補助冷却系(C2)は、補助冷却He(sub)経路2により真空断熱可撓性管体51内と第一熱交換器15と第二熱交換器16とを補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセル41と、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセル41、真空断熱可撓性管体51内、第一熱交換器15、第二熱交換器16、真空断熱可撓性管体51内、第三流量調節弁(V2)25をこの順に経由して放出される補助冷却He(sub)経路2からなる。
補助冷却用He(sub)を第一熱交換器15と第二熱交換器16を冷却後、更に真空断熱可撓性管体51内を冷却して、補助冷却用He(sub)の冷熱を有効に利用しているので、真空断熱可撓性管体51内をより有効に冷却できる。
尚、補助冷却用He(sub)は、第二熱交換器16を冷却後にはガス化された状態で真空断熱可撓性管体51内を通過するので、補助冷却用He(sub)を移送する配管径が液状の場合と比較して広径とする必要がある。
【0041】
(4)真空断熱可撓性管体(D)
補助冷却He(sub)経路2が第二熱交換器と第一熱交換器を冷却後、真空断熱可撓性管体51内を経由して第三流量調節弁(V2)から補助冷却He(sub)が放出されている点を除いて実施態様3における真空断熱可撓性管体(D)と同様である。
(5)その他
第4の態様である「希釈冷凍装置(E2)」の特徴は、第3の態様である「希釈冷凍装置(E1)」と大部分が共通しているので、第4の態様である「希釈冷凍装置(E2)」で得られる効果も第3の態様である「希釈冷凍装置(E1)」と同様である。
【0042】
〔4〕「希釈冷凍機(E2)の運転方法」(第2の態様)について
第2の態様における「希釈冷凍装置(E2)の運転方法」は、前記「希釈冷凍装置(E2)」の運転方法であって、少なくとも下記(イ)〜(ニ)の操作手順で希釈冷凍装置を起動し、定常状態に至ったらその状態で運転を継続することを特徴とする。
(イ)2段式機械式冷凍機を起動すると共に、液体Heベッセルから補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路2に流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び第二熱交換器を補助冷却後、更に前記真空断熱可撓性管体内を補助冷却して第三流量調節弁(V2)から放出させながら、
2段式機械式冷凍機の第1段及び第2段の冷却部の温度が100K以下になるように冷却する。
(ロ)前記補助冷却用He(sub)による冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系34を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器の冷却用He(cool)温度が20K以下、好ましくは10K以下になるように冷却する。
(ハ)第一コンプレッサー系14を起動して、混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行うと共に、第二熱交換器の補助冷却用He(sub)温度が5K以下になるように第三流量調節弁(V2)により補助冷却He(sub)経路2における補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(ニ)前記(イ)〜(ハ)の操作により混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)、その状態で運転を継続する。
(ホ)その他
第2の態様である「希釈冷凍装置(E2)の運転方法」の特徴は、第1の態様である「希釈冷凍装置(E1)の運転方法」と大部分が共通しているので、第2の態様である「希釈冷凍装置(E2)の運転方法」で得られる効果も第1の態様である「希釈冷凍装置(E1)の運転方法」と同様である。
【符号の説明】
【0043】
11 希釈冷凍機系(A)
12 第一真空断熱容器
13 混合室
14 第一コンプレッサー系
15 第一熱交換器
16 第二熱交換器
17 第三熱交換器
18 インピーダンス
19 分留器
20 HEX1
21 HEX2
22 補助冷却He(sub)経路1
22a 分岐経路1a
22b 分岐経路1b
23a 第一流量調節弁(V1a)
23b 第二流量調節弁(V1b)
24 補助冷却He(sub)経路2
25 第三流量調節弁(V2)
31 冷却He循環系(B)
32 第二真空断熱容器
33 2段式機械式冷凍機
33B 冷却部
33B1 第1段冷却部
33B2 第2段冷却部
34 第二コンプレッサー系
35 入側熱交換器
36 出側熱交換器
37 第1段冷却部のバイパス経路
41 液体Heベッセル
51 真空断熱可撓性管体
101A 第1の真空ポンプ
101B 第2の真空ポンプ
102 1Kポット
103 凝縮器
104 インピーダンス
105 分留器
106 熱交換器
107 インピーダンス
108 熱交換器
109 混合室
111 希釈冷凍機本体
112 断熱容器
113 第1の熱交換器
114 凝縮器
115 第1の真空ポンプ
116 オイルトラップ
117 液体窒素トラップ
121 予冷用冷却装置
122 断熱容器
123 機械式小型極低温冷凍機
124 JT膨張弁
125 第2の真空ポンプ
126 オイルトラップ
127 液体窒素トラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、3Heガスが第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相(上相)と3He希薄相(下相)とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の3He液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路と復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、
第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路1の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路1Aにより下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、又は下記補助冷却He(sub)経路1Bにより下記真空断熱可撓性管体内を補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第一熱交換器、第二熱交換器、第一流量調節弁(V1a)をこの順に経由して放出する分岐経路1a(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1aを併せて「補助冷却He(sub)経路1A」という)、
及び、該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第二流量調節弁(V1b)を経由して放出する分岐経路1b(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1bを併せて「補助冷却He(sub)経路1B」という)、が形成可能な補助冷却He(sub)経路からなる、補助冷却系(C1)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路1の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E1)の運転方法であって、
少なくとも下記(1)〜(5)の操作で希釈冷凍装置を起動し、その後の運転を継続することを特徴とする希釈冷凍装置(E1)の運転方法。
(1)2段式機械式冷凍機を起動すると共に、液体Heベッセルから補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路1Aに流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び第二熱交換器を補助冷却し、その後第一流量調節弁(V1a)から放出させながら、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部の温度が100K以下になるように冷却する。
(2)前記補助冷却He(sub)経路1Aによる冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器の冷却用He(cool)温度が20K以下になるように冷却する。
(3)補助冷却He(sub)経路1Aの第一流量調節弁(V1a)を閉とし、補助冷却He(sub)経路1Bの第二流量調節弁(V1b)を開として、前記真空断熱可撓性管体出口の補助冷却用He(sub)温度が80K以下になるように該第二流量調節弁(V1b)により補助冷却He(sub)経路1Bにおける補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(4)第一コンプレッサー系を起動して、混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行う。
(5)前記(1)〜(4)の操作により混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)、その状態で運転を継続する。
【請求項2】
(i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相と3He希薄相とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路及び復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路2の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路2により下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセル、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体内、第三流量調節弁(V2)をこの順に経由して放出される補助冷却He(sub)経路2からなる、補助冷却系(C2)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路2の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E2)の運転方法であって、
少なくとも下記(1)〜(4)の操作手順で希釈冷凍装置を起動し、その後の運転を継続することを特徴とする希釈冷凍装置(E2)の運転方法。
(1)2段式機械式冷凍機を起動すると共に、液体Heベッセルから補助冷却用He(sub)を補助冷却He(sub)経路2に流通させて、該補助冷却用He(sub)により真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び第二熱交換器を補助冷却後、更に前記真空断熱可撓性管体内を補助冷却して第三流量調節弁(V2)から放出させながら、
2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部の温度が100K以下になるように冷却する。
(2)前記補助冷却用He(sub)による冷却を継続するとともに、第二コンプレッサー系を起動して、冷却He(cool)循環経路に冷却用He(cool)の循環を開始し、第二熱交換器の冷却用He(cool)温度が20K以下になるように冷却する。
(3)第一コンプレッサー系を起動して、混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まるまで3He循環経路に3He及び4Heの循環と補充を行うと共に、第二熱交換器の補助冷却用He(sub)温度が5K以下になるように第三流量調節弁(V2)により補助冷却He(sub)経路2における補助冷却用He(sub)の流量を調節する。
(4)前記(1)〜(3)の操作により混合室及び分留器内に安定運転が可能となる量の液化4Heと液化3Heが溜まり、混合室内で3He濃厚相と3He希薄相とが2相分離したら(定常運転状態)、その状態で運転を継続する。
【請求項3】
前記冷却He循環系(B)において、第二コンプレッサー系の出口側と2段式機械式冷凍機の第1段冷却部との間の冷却He循環経路に配設された入側熱交換器で該第二コンプレッサー系出口側の冷却用He(cool)が第二コンプレッサー系入口側の冷却用He(cool)との間で熱交換により冷却され、
2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部との間の該冷却He循環経路に配設された出側熱交換器で2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由した冷却用He(cool)が、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部で冷却された後真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由して入側熱交換器流入前の冷却用He(cool)と熱交換により冷却されることを特徴とする、請求項1に記載の希釈冷凍装置(E1)又は請求項2に記載の希釈冷凍装置(E2)の運転方法。
【請求項4】
(i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相と3He希薄相とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路と復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、
第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路1の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路1Aにより下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、又は下記補助冷却He(sub)経路1Bにより下記真空断熱可撓性管体内を補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第一熱交換器、第二熱交換器、第一流量調節弁(V1a)をこの順に経由して放出する分岐経路1a(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1aを併せて「補助冷却He(sub)経路1A」という)、
及び、該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセルから真空断熱可撓性管体出口側までの補助冷却He(sub)経路1と、その後分岐して第二流量調節弁(V1b)を経由して放出する分岐経路1b(以下、補助冷却He(sub)経路1と分岐経路1bを併せて「補助冷却He(sub)経路1B」という)、が形成可能な補助冷却He(sub)経路からなる、補助冷却系(C1)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路1の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E1)。
【請求項5】
(i)3Heガスを循環圧送するための、真空ポンプとその吐出側のコンプレッサーからなる第一コンプレッサー系の出口側から、第一熱交換器及び第二熱交換器の順で下記復路の3Heガスと熱交換で冷却された後にインピーダンスで液化された3He液が、分留器、及び第三熱交換器の順で下記復路の3Heとの熱交換により冷却されて、3He濃厚相と3He希薄相とに2相分離した状態で収容される混合室の入口までの経路を往路とし、
該混合室の出口から3He希薄相(下相)の液体が第三熱交換器を経由して分留器で気化し、該気化した3Heガスが、第二熱交換器、及び第一熱交換器の順で上記往路の3Heと熱交換されて第一コンプレッサー系の入口側に至る経路を復路として、
これらの往路及び復路によって3Heを循環させるための3He循環経路が混合室と共に、第一真空断熱容器内に配設された希釈冷凍機系(A)、
(ii)前記第一熱交換器と第二熱交換器を冷却する冷却用He(cool)を冷却するための2段式機械式冷凍機、該冷却用He(cool)を循環圧送するためのコンプレッサーからなる第二コンプレッサー系、及び、第二コンプレッサー系の出口側から、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由し、更に2段式機械式冷凍機の第2段冷却部、又は第1段冷却部と次に第2段冷却部とで冷却され、真空断熱可撓性管体内、第二熱交換器、及び真空断熱可撓性管体内をこの順で経由して、第二コンプレッサー系の入口側に至る冷却He(cool)循環経路、を備え、
2段式機械式冷凍機の冷却部、冷却He(cool)循環経路の一部、及び下記補助冷却He(sub)経路2の一部が、第二真空断熱容器に配設された冷却He循環系(B)、
(iii)下記補助冷却He(sub)経路2により下記真空断熱可撓性管体内と第一熱交換器と第二熱交換器とを補助冷却するための、補助冷却用He(sub)が貯蔵された液体Heベッセルと、
該補助冷却用He(sub)を、液体Heベッセル、真空断熱可撓性管体内、第一熱交換器、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体内、第三流量調節弁(V2)をこの順に経由して放出される補助冷却He(sub)経路2からなる、補助冷却系(C2)、並びに
(iv)第一真空断熱容器と第二真空断熱容器との間に配設され、冷却He(cool)循環経路、及び補助冷却He(sub)経路2の一部が収納される真空断熱可撓性管体(D)、
を含む希釈冷凍装置(E2)。
【請求項6】
前記冷却He循環系(B)において、第二コンプレッサー系の出口側と2段式機械式冷凍機の第1段冷却部との間の冷却He循環経路に、該第二コンプレッサー系出口側の冷却用He(cool)が第二コンプレッサー系入口側の冷却用He(cool)との間で熱交換により冷却される、入側熱交換器が配設され、
2段式機械式冷凍機の第1段冷却部と第2段冷却部との間の該冷却He循環経路に、2段式機械式冷凍機の第1段冷却部で冷却され真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由した冷却用He(cool)が、2段式機械式冷凍機の第2段冷却部で冷却された後真空断熱可撓性管体、第二熱交換器、真空断熱可撓性管体をこの順で経由して入側熱交換器流入前の冷却用He(cool)と熱交換により冷却される、出側熱交換器が配設されている、ことを特徴とする、請求項4に記載の希釈冷凍装置(E1)又は請求項5に記載の希釈冷凍装置(E2)。
【請求項7】
前記2段式機械式冷凍機がGM冷凍機あるいはパルス管式冷凍機であることを特徴とする、請求項4に記載の希釈冷凍装置(E1)又は請求項5に記載の希釈冷凍装置(E2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−210195(P2010−210195A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58940(P2009−58940)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)