説明

帯状包装体の加熱冷却処理装置

【課題】
帯状包装体を連続的に加熱冷却処理するに際して、適度の張力を保持して搬送することでよじれや絡みつきによる支障をなくした帯状包装体の加熱冷却装置を提供する。
【解決手段】
液状物質を封入した連続帯状包装体4の加熱処理と冷却処理とをするための処理媒体を夫々収納する処理装置2,3と、該夫々の処理装置2,3内において前記連続帯状包装体4を張架状態で、かつ上下方向に複数回に亘って螺旋状又は8の字状に搬送しながら圧扁作用を付与するガイド部材5,5を備えた圧扁装置6,6を内設してある帯状包装体の加熱冷却装置であって、前記加熱処理装置2から冷却処理装置3へ搬送される前記帯状包装体4の橋絡部に該橋絡部の弛張により昇降される摺動ロール7を跨乗してあり、該摺動ロール7の昇降に合せて前記圧扁装置6,6のいずれか1の搬送速度を増減する帯状包装体の加熱冷却装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯状包装体の加熱冷却処理装置に関し、詳しくは、ドレッシング、果汁、飲料、その他適宜の液状物質等を内容物として封入し、所要量及び所要大きさ毎に区分して熱シールした連続帯状包装体を自動包装直後に所要温度に加熱(殺菌)処理し、引き続き連続冷却処理するに際して、包装体のフイルムの伸縮により生じる処理装置の様々な支障(トラブル)を無くした帯状包装体の加熱冷却処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドレッシングや果汁、その他の液状物質を内容物として封入した包装体には、内容物を封入後に加熱殺菌しこれを冷却処理してから箱詰めし、商品化されるものがある。
これらの加熱と冷却を要する包装体は、例えば帯状に複数連なったものを加熱処理後にカッター等によりその熱シール部を切断した個包装体として山積状に堆積して自然冷却したり、あるいは個包装体としたものをネットコンベア上に載架して冷却水槽内を通して冷却していた。
【0003】
ところが、前者の個包装体を山積状に堆積して自然冷却する手段は、冷却に長時間要するばかりでなく、冷却が徐々に行われるため冷却途中で内容物に菌の発育が促進され包装体が日持ちしないものになるという欠点がある。また、冷却水槽内を通して冷却する手段は、包装体がネット状コンベア上に載置されたまま圧扁作用を受けることなく移送されるため、放熱効果が促進されることがなく、また、包装体の種類によっては水面に浮んでしまうものもあり冷却不十分のものが発生する。さらには水中より取り出した包装体の表面に付着している水滴を包装体毎に拭きとらねばならないという非能率的な作業を要するものであった。
【0004】
そこで、本発明者は従来から公知である特許文献1及び2記載の帯状包装体の処理装置を2台用いて、一側の処理装置に熱媒体を、他側の処理装置に冷却媒体を夫々収納し、帯状の包装体を一側の処理装置から他側の処理装置へ順次連続して搬送することで、上記の問題を一挙に解決できるのではないかと考え、実際に試し製造を行った。
【0005】
【特許文献1】特公平5−49537
【特許文献2】特公平5−79572
【0006】
ところが、実際に処理してみると前記の問題は解決できるものの当初の考えどおりに帯状包装体を長時間連続して加熱冷却することを不能とする新たな問題が生ずることが判明した。その理由は帯状包装体が加熱時には伸長し、冷却時には、縮むために、処理開始時に前記一側と他側の処理装置の搬送速度とを同速になるように調整してあっても、一側から他側の処理装置への橋絡部に想定外の弛みや張りが生じ適度な張りを保持した状態での搬送ができなくなるからである。本発明者はこのことを包装体の材質、内容物の種類、加熱・冷却媒体の温度等により微妙に変化するものであり、また処理時間が長くなれば一層顕著な弛張状態となって、やがては帯状包装体が処理中に千切れたり、弛みにより機械に巻きこまれたりして搬送不能になり、連続処理できなくなる原因となるものであることを理解した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、上記知見事項に基づき、帯状包装体の搬送中の過度の弛張をなくし、所定の張力を保持する状態とするために、当初、前記橋絡部に重錘の役目を果たすフリーの摺動ロールを載せて連続処理を試みたが、帯状包装体に弛みが生じた時に摺動ロールが下降して一定の張りが得られるものの、摺動ロールが一定の長さ以上下がりすぎると装置の底面に接触し、やがては重鐘の役目を果たさずに連続処理が不能となることを理解した。その結果、帯状包装体の過度の弛みや張りを防止するには、加熱処理装置側の圧偏装置の搬送速度と冷却処理装置側の圧偏装置の搬送速度を随時増減し調整しなけれは連続処理中の帯状包装体の張力を常時一定に保持できないことを知得した。
【0008】
本発明は、上記知見及び知得事項を参考にし、さらに創意工夫を加えた点を具現化することで完成したもので、帯状包装体を加熱処理装置と冷却処理装置へ連続的に搬送処理しても、包装体に適度の張力を与えて搬送できると共に連続処理中に包装体のよじれや圧偏装置への絡みによる支障等が生じない、帯状包装体の加熱・冷却処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明帯状包装体の加熱冷却処理装置は、液状物質を封入した連続帯状包装体の加熱処理と冷却処理とをするための処理媒体を夫々収納する処理装置と、該夫々の処理装置内において前記連続帯状包装体を張架状態で、かつ上下方向に複数回に亘って螺旋状又は8の字状に搬送しながら圧扁作用を付与するガイド部材を備えた圧扁装置を内設してある帯状包装体の加熱冷却処理装置であって、前記熱処理装置から冷却処理装置へ搬送される前記帯状包装体の橋絡部に該橋絡部の弛張により昇降される摺動ロールを跨乗してあり、該摺動ロールの昇降位置に合せて前記圧扁装置のいずれか1の搬送速度を増減するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
このような構造の帯状包装体の加熱冷却処理装置とすることで、加熱処理装置と冷却処理装置との間で帯状包装体が弛んで、摺動ロールが下降しても冷却処理装置の搬送速度を増すか又は加熱処理装置の速度を減速することにより、包装体の弛みが解消され一定の張力を保持しつつ摺動ロールは元の位置に上昇させることができる。
【0011】
また、摺動ロールが帯状包装体に張架状態で跨乗された姿勢を保持するときは、張力が強すぎるため冷却処理装置の搬送速度を減ずることにより帯状包装体の張力を弛めて摺動ロールの位置を下げることで、その重量による張力を保った状態で搬送できる。すなわち、帯状包装体の弛張を常に摺動ロールの重量による一定の張力に調整しつつ搬送できる。
【0012】
また、この際前記摺動ロールは支点を前記処理装置に支承されたシーソー構造の槓捍の一側に支承しておき、該槓捍の傾き角度により前記圧扁装置の搬送速度を増減することにより、いち早く帯状包装体の弛張を察知し冷却処理装置の搬送速度が増減され帯状包装体の搬送中の張力を一定に矯正できるのでよい。なお、本発明では弛張の調整を冷却処理装置の搬送速度で説明したが、加熱装置側で行うこともできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明帯状包装体の加熱冷却処理装置は上述した構成としてあるので、帯状包装体の橋絡部に過度の弛張が生じることなく常時一定の張力で包装体の搬送が可能となる。従って、搬送中の弛みによる機械への巻込みや過度の張力による千切れる等の発生を無くして帯状包装体を連続的に加熱冷却処理できる。
【0014】
また、前記摺動ロールは、支点を前記処理装置に支承されたシーソー構造の槓捍の一側に軸承し、該槓捍の傾き度により前記圧扁装置の搬送速度を増減するようにしてあるので、加熱・冷却処理による帯状包装体の伸縮に対して、即刻反応して搬送中の前記橋絡部の過度の弛張を是正することで過度の張力を維持した状態で搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明帯状包装体の加熱冷却処理装置を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明帯状包装体の加熱冷却処理装置の一実施例の概観を示す斜視説明図であり、図2は図1の要部を拡大した斜視説明図である。
図1において、帯状包装体の加熱冷却処理装置1(以下、単に「加熱冷却装置」ともいう)は加熱処理装置2と冷却処理装置3を備え、夫々の処理装置2,3内には帯状包装体4を張架状態で、かつ上下方向に複数回に亘って螺旋状又は8の字状に搬送しながら、これに圧扁作用を付与するガイド部材5,5を具備した圧扁装置6(螺施ドラムともいう)を内設してある。
【0017】
また、この加熱冷却装置1には加熱処理装置2から冷却処理装置3へ搬送される帯状包装体4の橋絡部に摺動ロール7(以下、テンションロールともいう)を跨乗させてあり、図2に示すようにこの摺動ロール7は熱処理装置2の壁面10に貫通支持された軸桿8を支点とした梃棒9の一端に回動自在に着装されている。また、本実施例においては、前記軸桿8の他端側を一端側よりも太径に形成してあり、摺動ロール7の昇降による軸桿8の円周回動距離を増幅し、検知容易な構造としてある。
【0018】
また、本実施例においては、軸桿8の他端側は、図示しない太径部と連結されており、その連結された太径部は軸桿よりも径が大きい構造としてある。さらに、図示しない検知用電極端子を軸桿8の前記太径部の外周に摺接してあり、この摺接位置が変ることによって圧偏装置6の駆動源の回動速度を増減するように電気的に自動調整できるようにしてある。なお、このような電気指示回路を使って駆動源を操作することは公知技術である為、その詳細な説明は省略する。
【0019】
また、本実施例では、摺動ロール7の昇降を加熱処理装置2内の圧偏装置6の駆動源の回動速度の増減を調整することによって適正な張力状態に保つようにしてあるが、これに限らず、摺動ロール7を同様に適正に保つために冷却処理装置3内の圧扁装置6の回動速度を増減するようにして調整することもできる。いずれにしても、摺動ロール7が帯状包装体4上で水平よりも若干下がった位置で常時跨乗され得るように調整すればよく、これにより適正な張力を得られるようにする。次に、本発明の作用を実施例に基づき説明する。
【0020】
本実施例の帯状包装体の加熱冷却装置1は、上記の構造としてあるので、帯状包装体4は加熱処理装置2内を圧扁装置6で螺旋状に搬送された後、冷却処理装置3内へ送られる。冷却処理装置3内には加熱処理装置2から送られた帯状包装体4を受取り冷却処理装置3内を螺旋状に搬送する圧偏装置6が配設してあるので、帯状包装体4は冷却処理装置3内を搬送される間に所望の冷却処理をされる。
【0021】
本実施例では、梃棒9の一端に着装した摺動ロール7を帯状包装体4の橋絡部に跨乗させてあるので、たとえば加熱処理装置2側の圧扁装置の搬送速度が速過ぎると帯状包装体4が弛んでたるむため摺動ロール7は自重で降下する。摺動ロール7の降下と共に梃棒9は傾動し、その支点である軸桿8は梃棒9の傾斜角に相応して回動する。その際、軸桿8の他端側は、図示しない太径部と連結されており、その連結された太径部は軸桿よりも径が大きいことから、前記太径部の外周はより大きく回動する。これにより太径部と摺接する図示しない電極端子との接触位置が大きくずれる。この位置ずれを電気的に信号処理することで加熱処理装置2側の圧扁装置6の駆動源へ搬送速度を下げるよう電気的に指示される。この指示により、帯状包装体4の弛みが解消され摺動ロール7は再び所望の位置(水平より若干下った位置)に戻る。このようにして、搬送中の包装体4は常時適正な張力を維持される。
【0022】
なお、摺動ロール7が帯状包装体4の水平姿勢で跨乗されている場合は、過度の張力が働いている場合と考えられるので、適正な張力に戻すために加熱処理装置2側の圧扁装置6の搬送速度を上げて、帯状包装体4を弛めることで解消される。
【0023】
本実施例では帯状包装体4を連続加熱処理する間は上記の処理が繰り返し行われる。また、加熱冷却処理された帯状包装体4は必要に応じて乾燥装置11で乾燥され、個別の包装体として截断処理するために次工程(矢印B)へ搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明帯状包装体の加熱冷却処理装置が一実施例の概観を示す斜視説明図。
【図2】図1の要部を拡大した斜視説明図。
【符号の説明】
【0025】
1.
帯状包装体の加熱冷却処理装置
2.
加熱処理装置
3.
冷却処理装置
4.
帯状包装体
5.
ガイド部材
6.
圧偏装置
7.
摺動ロール
8.
軸桿
9.
梃棒
10.壁面
11.乾燥装置
A.
搬入方向を示す矢印
B.
取出方向を示す矢印





【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物質を封入した連続帯状包装体の加熱処理と冷却処理とをするための処理媒体を夫々収納する処理装置と、該夫々の処理装置内において前記連続帯状包装体を張架状態で、かつ上下方向に複数回に亘って螺旋状又は8の字状に搬送しながら圧扁作用を付与するガイド部材を備えた圧扁装置を内設してある帯状包装体の加熱冷却装置であって、前記加熱処理装置から冷却処理装置へ搬送される前記帯状包装体の橋絡部に該橋絡部の弛張により昇降される摺動ロールを跨乗してあり、該摺動ロールの昇降位置に合せて前記圧扁装置のいずれか1の搬送速度を増減するようにしてあることを特徴とする帯状包装体の加熱冷却処理装置。
【請求項2】
前記摺動ロールは支点を前記処理装置に支承されたシーソー構造の槓捍の一側に軸承してあり、該槓捍の傾き角度により前記圧扁装置の搬送速度を増減するようにしてある請求項1記載の帯状包装体の加熱冷却処理装置。




【図1】
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【図2】
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