説明

帯電性が改良されたトナー

【課題】低コストで色が濃いブラックトナーなどを実現するために、Aゾーンでの帯電性を高めたトナープロセスおよびトナーを提供する。
【解決手段】トナー乳化/凝集プロセスにおいて、粒子作成中に着色剤を何回かに分けて加えることを利用してトナー粒子内の着色剤の分布を制御することにより、高湿条件でトナーの帯電性および操作性が向上し、Aゾーンでの帯電性が向上した、色が濃いトナー粒子が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の別々の部分に着色剤を加えることにより製造され、Aゾーンでの帯電性が向上している現像剤用のトナー、該トナーを含む現像剤、該トナーおよび現像剤を含むデバイス、該トナーおよび現像剤を含む撮像デバイス成分、該現像剤を含む撮像デバイス等が記載される。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックは、色濃度(単位重量あたりの色合い)が大きく、黒度が大きく、光堅牢度が大きな一般的に使用されるブラック着色剤である。カーボンブラックを用いてトナー顔料の保持量を高めようとする中で、このような色が濃いブラックトナーは、帯電性が低く、誘電損失が大きいことが示されており、これらの性質は、いずれも移動効率を下げ、画質を悪化させることがわかった。ブラック顔料は、他の顔料よりも導電性が高いことが知られているが、このようなカーボンブラック顔料は、トナー粒子の中に導電性経路を形成し、その結果、上述の欠陥または制限が生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、例えば、低コストで色が濃いトナー、ブラックトナーなどを実現するために帯電性を維持するか、または高めることによって、トナーの特性に悪影響を及ぼすことなく、顔料保持量を高めることが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、着色剤を何回かに分けて加えることを利用してトナー粒子内の着色剤の分布を制御するトナープロセスを記載している。トナー乳化/凝集プロセスにおいて、着色剤を例えば2回に分けて加えることによって、例えば、高湿条件でトナーの帯電性および操作性が向上し、これはおそらくトナー内の導電性経路生成が最小限に抑えられることによるものである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
いくつかの実施形態では、トナーを製造する方法は、アモルファス樹脂(例えば、低分子量(LMW)アモルファス樹脂または高分子量(HMW)アモルファス樹脂または両者)、任意要素の結晶性樹脂、任意要素のワックス、第1の着色剤、場合により、第2の着色剤を組み合わせて混合物を作成することと、この混合物にフロック生成剤を加えることと、第3の着色剤、場合により第4の着色剤を加えてコア粒子を作成することと、このコア粒子をもっと大きな粒径になるまで凝集させることと、場合により、シェル樹脂を加えてコア−シェル粒子を作成することと、コア粒子またはコア−シェル粒子の反応を止め、融着させることと、コア粒子またはコア−シェル粒子を得て、トナーを作成することとを含み、得られたトナーは、第1の粒子を得る前に第1の着色剤と第3の着色剤を同時に加えることによって調製されたトナーと比較して、例えば、高湿下で帯電性が高く、性能の向上を示す。いくつかの実施形態では、第1の着色剤と第3の着色剤は同じ色である。いくつかの実施形態では、第2の着色剤と第4の着色剤は同じ色である。いくつかの実施形態では、第1の着色剤と第3の着色剤は同じ顔料である。いくつかの実施形態では、第2の着色剤と第4の着色剤は同じ顔料である。いくつかの実施形態では、さらなる時間点で着色剤を加え、このとき、着色剤は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、着色剤を連続して加えるか、または反応混合物に秤量して加える。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の着色剤はブラックである。いくつかの実施形態では、第2の着色剤を使用する。いくつかの実施形態では、第2の着色剤はシアンである。いくつかの実施形態では、第3の着色剤はブラックである。着色剤が同じ実施形態では、粒子成長中に着色剤を何回かにわけて加える。設計上の選択として、着色剤を2回以上にわけて加えてもよい。着色剤を連続的に加えてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、粒子を作成した後に組成物にさらに加えられる着色剤の量は、初期の混合物から粒子を作成する前に加えられるブラック着色剤の量よりも多い。いくつかの実施形態では、着色剤の量は全部同じである。いくつかの実施形態では、ブラック着色剤と、さらなるブラック着色剤は、同じブラック顔料である。いくつかの実施形態では、ブラック顔料は、ファーネスブラックを含み、BET表面積が約65m/g、油吸着量(OAN)が約42ml/100g、または950℃での揮発性物質が約0.5%のうち、1つ以上の性質を示す。
【0008】
カーボンブラックは、気体状または液状の炭化水素を不完全燃焼または熱分解することによって作られる、粒子の形状をした実質的に純粋な原子状炭素である。物理的外観は、ブラックの微粉化したペレットまたは粉末である。粒子は、当該技術分野で知られるような比表面積、粒径、ストラクチャ、導電性および色を有していてもよい。
【0009】
カーボンブラックの導電性は、表面積およびストラクチャを含む多くの特性に依存する。一般的に、表面積が大きく、ストラクチャが大きいほど、カーボンブラックの導電性が大きい。表面積は、BET(Brunauer Emmett Teller)法によって測定することができ、単位重量のカーボンブラックあたりの窒素吸収表面積は、一次粒子径の指標である。ストラクチャは、カーボンブラックの一次凝集物の形状に関連する複合特性である。ストラクチャは、一次凝集物を含む一次粒子の数と、粒子同士が融合する様式との指標である。高構造カーボンブラックは、多数の架橋や連鎖を有する多くの一次粒子で構成された凝集物であることを特徴とし、一方、低構造カーボンブラックは、少ない一次粒子で構成された密な凝集物であることを特徴とする。
【0010】
カーボンブラックは、調製方法を指定することによって特定されることが多い(例えば、チャンネルブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、オイルブラック、サーマルブラック)。いくつかの実施形態では、本開示で有用なカーボンブラックは、ファーネスブラックであってもよく、例えば、限定されないが、NIPex(登録商標)35である。NIPex(登録商標)35は、平均一次粒子径が約31nmであり、BET表面積が約65m/gのファーネスブラックである。NIPex(登録商標)35は、ニュートラルから青色のアンダートーンを示してもよく、世界中で販売されている。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「色が濃い」は、単位面積当たりのトナー重量(TMA)が少ないときに顔料保持量が多い、例えば、基材の上に印刷し、融合させたときに、画像反射光学密度が1.4を超えて十分であるトナーを意味し、このような顔料の保持量は、単色層で測定されたTMA(単位mg/cm)をトナー粒子の体積径(単位ミクロン)で割った比が約0.075より小さく、必要な画像密度を満たすように選択される。
【0012】
目的のトナー粒子は、樹脂、例えば、アクリレート樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂などを含む。
【0013】
組成物は、1種類より多い形態または分類のポリマー、例えば、2種類以上の異なるポリマー、例えば、異なるモノマーで構成された2種類以上の異なるポリエステルポリマーを含んでいてもよい。ポリマーは、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、分岐したコポリマー、架橋したコポリマーなどであってもよい。
【0014】
トナー粒子にとって望ましい特定のポリエステルポリマーに依存して、任意の多官能モノマーを使用してもよい。したがって、二官能試薬、三官能試薬などを使用してもよい。分岐、さらなる分岐および/または架橋を実現するために、少なくとも3個の官能基を含む1種類以上の試薬をポリマーまたは分岐に組み込んでもよい。
【0015】
トナーまたはトナー粒子を作成するときに、1種類、2種類またはそれ以上のポリマーを使用してもよい。2種類以上のポリマーを使用する実施形態では、ポリマーは、任意の適切な比率(例えば、重量比)であってもよく、例えば、設計上の選択として、2種類の異なるポリマーが、約1%(第1のポリマー)/99%(第2のポリマー)〜約99%(第1のポリマー)/1%(第2のポリマー)、いくつかの実施形態では、約10%(第1のポリマー)/90%(第2のポリマー)〜約90%(第1のポリマー)/10%(第2のポリマー)などである。
【0016】
ポリマーは、固形物基準でトナー粒子の約65〜約95重量%、約70〜約90重量%、約75〜約85重量%の量で存在していてもよい。
【0017】
適切なポリエステル樹脂としては、例えば、スルホン酸化したもの、スルホン酸化していないもの、結晶性、アモルファス、これらの組み合わせなどの樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、直鎖、分枝鎖、高分子量、低分子量、架橋したもの、これらの組み合わせなどであってもよい。ポリエステル樹脂は、例えば、低融点を必要とする用途で使用することができる。
【0018】
混合物、例えば、アモルファス樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を使用する場合、結晶性ポリエステル樹脂とアモルファスポリエステル樹脂との比率は、約1:99〜約30:70、約3:97〜約25:75、いくつかの実施形態では、約5:95〜約15:95の範囲であってもよく、または、これよりも結晶性ポリエステル樹脂が多くてもよい。
【0019】
ポリエステル樹脂は、合成、例えば、カルボン酸またはエステル基を含む試薬と、アルコールを含む別の試薬とが関与するエステル化反応によって得られてもよい。いくつかの実施形態では、アルコール試薬は、2個以上のヒドロキシル基、いくつかの実施形態では、3個以上のヒドロキシル基を含む。いくつかの実施形態では、酸は、2個以上のカルボン酸基を含み、いくつかの実施形態では、3個以上のカルボン酸基を含む。3個以上の官能基を含む試薬は、ポリマーの分岐および架橋を可能にするか、または促進するか、または可能にし、促進する。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格またはポリマー分枝鎖は、少なくとも1個のペンダント基または側鎖を含む少なくとも1つのモノマー単位を含む。つまり、その単位が得られるモノマー反応剤は、少なくとも3個の官能基を含む。
【0020】
ポリ酸試薬またはポリエステル試薬は、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、約42〜約52モル%、いくつかの実施形態では、約45〜約50モル%の量で存在していてもよい。
【0021】
ポリオールの量は、さまざまであってもよく、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、約42〜約55モル%、いくつかの実施形態では、約45〜約53モル%の量で存在していてもよい。
【0022】
アモルファス(または結晶性)ポリエステルを作成する際に、重縮合触媒を利用してもよい。このような触媒を、例えば、ポリエステル樹脂を作成するために使用される出発原料のポリ酸試薬またはポリエステル試薬を基準として、約0.01mol%〜約5mol%の量で利用してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、樹脂は、架橋可能な樹脂であってもよい。架橋可能な樹脂は、架橋可能な1個以上の基(例えば、C=C結合またはペンダント基または側鎖、例えば、カルボン酸基)を含む樹脂である。樹脂は、例えば、開始剤を用いる遊離ラジカル重合によって架橋させることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、不飽和アモルファスポリエステル樹脂をラテックス樹脂として使用してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、樹脂は、複数種のアモルファス樹脂、例えば、1種類以上の高分子量アモルファス樹脂、1種類以上の低分子量アモルファス樹脂またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。異なる種類のアモルファス樹脂の相対量は、設計上の選択である。
【0026】
結晶性ポリエステル樹脂を作成するために、脂肪族ポリオールは、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、約42〜約55モル%、いくつかの実施形態では、約45〜約53モル%の量で選択されてもよい。第2のポリオールは、樹脂の約0.1〜約10モル%、いくつかの実施形態では、約1〜約4モル%の量で使用することができる。
【0027】
結晶性樹脂のためのポリ酸は、例えば、いくつかの実施形態では、樹脂の約40〜約60モル%、いくつかの実施形態では、約42〜約52モル%、いくつかの実施形態では、約45〜約50モル%の量になるように選択されてもよい。場合により、第2のポリ酸は、樹脂の約0.1〜約10モル%の量で使用することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、適切な結晶性樹脂としては、エチレングリコールと、ドデカン二酸およびフマル酸コモノマーの混合物とから作られる樹脂を挙げることができる。
【0029】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約1〜約85重量%、いくつかの実施形態では、約2〜約50重量%、いくつかの実施形態では、約5〜約15重量%の量で存在していてもよい。結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃〜約120℃、いくつかの実施形態では、約50℃〜約90℃、いくつかの実施形態では、約60℃〜約80℃の融点を有していてもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定される場合、例えば、約1,000〜約50,000、いくつかの実施形態では、約2,000〜約25,000であり、重量平均分子量(M)が、ポリスチレン標準を用いるGPCで測定した場合、例えば、約2,000〜約100,000、いくつかの実施形態では、約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2〜約6、いくつかの実施形態では、約3〜約4であってもよい。
【0030】
ポリエステル反応で使用可能な縮合触媒は、反応混合物中の出発物質のポリ酸、ポリオールまたはポリエステル試薬の量に依存して、例えば、約0.01モル%〜約5モル%の量で使用してもよい。
【0031】
分岐剤を使用してもよい。分岐剤は、樹脂の約0.01〜約10モル%、約0.05〜約8モル%、または約0.1〜約5モル%の量で使用することができる。
【0032】
ポリマーを架橋することが望ましい場合がある。架橋を生じる適切な樹脂は、反応基(例えば、C=C結合)を有するもの、またはペンダント基または側基(例えば、カルボン酸基)を有するものである。樹脂は、例えば、開始剤を用いる遊離ラジカル重合によって架橋させることができる。使用する開始剤の量は、望ましい架橋度に比例し、したがって、ポリエステル材料のゲル含有量に比例する。使用する開始剤の量は、例えば、ポリエステル樹脂の約0.01〜約10重量%、または約0.1〜約5重量%の範囲であってもよい。
【0033】
適切な着色剤としては、カーボンブラックを含むもの、例えば、REGAL 330(登録商標)およびNipex 35、マグネタイト、例えば、Mobayマグネタイト、MO8029(商標)およびMO8060(商標)、Columbianマグネタイト、MAPICO(登録商標)BLACK、表面処理されたマグネタイト、Pfizerマグネタイト、CB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)およびMCX6369(商標)、Bayerマグネタイト、BAYFERROX 8600(商標)および8610(商標)、Northern Pigmentマグネタイト、NP−604(商標)およびNP−608(商標)、Magnoxマグネタイト、TMB−100(商標)またはTMB−104(商標)などが挙げられる。
【0034】
着色した顔料、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、グリーン、ブラウン、ブルー、またはこれらの混合物を使用してもよい。さらなる1種類以上の顔料を水系顔料分散物として使用してもよい。
【0035】
着色剤、例えば、カーボンブラック、シアン、マゼンタおよび/またはイエロー着色剤を、トナーに望ましい色を付与するのに十分な量で組み込んでもよい。一般的に、顔料または染料(着色剤の合計量)は、固形物基準で、合計量でトナー粒子の約2重量%〜約60重量%、約3重量%〜約55重量%、約4重量%〜約45重量%、約4.5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約40重量%の量で存在していてもよい。本明細書で提示されているとおり、着色剤の合計量をn個に分け、ここで、nは、2、3、4、5またはそれ以上であり、分けた量は、同じ大きさまたは同じ量であってもよい。同じく本明細書で提示されているとおり、着色剤は、同じ色であっても異なる色であってもよく、同じ特定の顔料であってもよく、異なる特定の顔料であってもよい。いくつかの実施形態では、トナー粒子の反応混合物に1種類以上の着色剤を連続して加える。
【0036】
いくつかの実施形態では、1種類より多い着色剤がトナー粒子に存在していてもよい。例えば、2種類、3種類、またはそれ以上の着色剤が、トナー粒子に存在していてもよい(例えば、ブラックおよびシアン)。例えば、第1の着色剤である青色顔料が、固形物基準でトナー粒子の約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約8重量%、または約5重量%〜約10重量%の量で存在していてもよく、第2の着色剤である黄色顔料が、固形物基準でトナー粒子の約5重量%〜約20重量%、約6重量%〜約15重量%、または約10重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の着色剤と第2の着色剤との比率は、存在する場合には、固形物基準で約1:20〜1:2または1:1であってもよい。したがって、第1の着色剤は、第2の着色剤に対し、1:15、1:10、1:7、1:5、1:4などの重量比で存在していてもよい。他の実施形態では、第2の着色剤が存在する場合、第1の着色剤に対する第2の着色剤の比率は、重量基準で約1:20〜約1:2または1:1であってもよい。したがって、第2の着色剤は、第1の着色剤に対し、1:15、1:10、1:7、1:5、1:4などの重量比で存在していてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の着色剤と第3の着色剤との比率は、重量基準で約5:1〜1:1〜1:5であってもよい。したがって、第1の着色剤は、第3の着色剤に対し、4:1、3:1、1:2、1:4、1:5などの重量比で存在していてもよい。他の実施形態では、存在する場合、第4の着色剤に対する第2の着色剤の比率は、重量基準で約3:1〜約1:1〜1:3であってもよい。したがって、第2の着色剤は、第4の着色剤に対し、2:1、1.5:1、1:2、1:2.5などの重量比で存在していてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の着色剤と、存在する場合、第3の着色剤とを合わせた合計量と、第2の着色剤と、存在する場合、第4の着色剤とを合わせた合計量との比率は、約30:1〜約1:30、約25:1〜約1:5、約20:1〜約1:1、約15:1〜約2:1などであってもよい。しかし、設計上の選択肢として、目的の色を得るために本質的に任意の比率を使用してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の着色剤と第3の着色剤は同じであり、したがって、粒子反応混合物に着色剤を何回かにわけて加える。他の実施形態では、特定の色の異なる顔料を異なる一部にわけて加える。したがって、例えば、2種類の異なるブラック顔料を、粒子作成および凝集の間の異なる時間に加えてもよい。同様に、ある着色剤をプロセス中に1回だけ加えてもよく、または複数回にわけて加えてもよく、同じ着色剤または異なる着色剤を使用してもよく、それぞれの分けた量は、同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、トナー組成物は、界面活性剤を含む分散物であってもよい。ポリマーおよび他のトナー成分を組み合わせる乳化凝集方法は、乳化物を作成するために1種類以上の界面活性剤を使用してもよい。
【0042】
1種類、2種類またはそれ以上の界面活性剤を使用してもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性は、用語「イオン系界面活性剤」に包含される。
【0043】
いくつかの実施形態では、界面活性剤または複数の界面活性剤の合計量は、トナーを生成する組成物の約0.01重量%〜約5重量%、例えば、約0.75重量%〜約4重量%、いくつかの実施形態では、約1重量%〜約3重量%の量で使用されてもよい。
【0044】
本開示のトナーは、場合により、ワックスを含んでいてもよく、1種類のワックスであってもよく、2種類以上の異なるワックスの混合物であってもよい(以下、「ワックス」と定義する)。例えば、特定のトナーの特性、例えば、トナー粒子の形状、帯電特性、融合特性、光沢、ストリッピング、オフセット特性などを高めるために、トナー配合物または現像剤配合物にワックスを加えてもよい。または、トナー組成物または現像剤組成物に複数の特性を付与するために、ワックスの組み合わせを加えてもよい。ワックスは、例えば、定着器ロール剥離剤として含まれていてもよい。
【0045】
トナー粒子を作成するための樹脂を生成する組成物と、ワックスを組み合わせてもよい。ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量%〜約25重量%、いくつかの実施形態では、約5重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0046】
選択可能なワックスとしては、例えば、重量平均分子量が約500〜約20,000、いくつかの実施形態では、約1,000〜約10,000のワックスが挙げられる。
【0047】
凝集因子またはフロック生成剤を場合により使用してもよく、無機カチオン性凝固剤であってもよい。
【0048】
凝集因子は、乳化物の状態で、例えば、トナーの合計固形分を基準として、約0.01重量%〜約10重量%、約0.05〜約5重量%、約1〜約4重量%、約2〜約3重量%の量で存在していてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、金属錯化イオン(例えば、アルミニウム)を凝集プロセスから捕捉または抽出するために、凝集が終わった後に、封鎖剤またはキレート化剤を導入してもよい。したがって、凝集が終わった後に使用される封鎖剤、キレート化剤または錯化剤は、有機錯化成分、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、トナー粒子を、二酸化ケイ素またはシリカ(SiO)、チタニアまたは二酸化チタン(TiO)および/または酸化セリウムのうち、1つ以上と混合してもよい。シリカは、第1のシリカおよび第2のシリカであってもよい。第2のシリカは、第1のシリカよりも平均粒径(直径)が大きくてもよい。
【0051】
トナー粒子は、当業者の常識の範囲内にある任意の方法によって調製されてもよく、合計顔料が現像剤粒子に段階的な量で異なる時間に入れられ、つまり、合計顔料の一部が、トナー粒子の成長中に異なる時間に加えられる限り、任意の乳化/凝集方法を樹脂、例えば、ポリエステル樹脂とともに用いてもよい。
【0052】
したがって、トナー組成物は、樹脂乳化物、第1の着色剤または着色剤分散物、場合により、第2の着色剤または着色剤分散物、任意要素のワックス、またはワックス分散物および任意の他の望ましい試薬、場合により、上述の界面活性剤の混合物を調製することによって、トナー反応混合物を一般的に乳化物の形態で調製してもよい。酸、例えば、酢酸、硝酸などを用い、混合物のpHを調節してもよい。着色剤は、場合により、上述の混合物に何回かにわけて加えることができ、試薬の混合と初期粒子生成の間に連続的に加えてもよい。
【0053】
混合物の温度は、樹脂またはポリマーのTより低くてもよく、いくつかの実施形態では、約30℃〜約90℃、いくつかの実施形態では、約35℃〜約70℃であってもよい。凝集因子を加えた後の粒子の成長および成形は、任意の適切な条件下で行われてもよい。
【0054】
所定の望ましい前凝集トナー粒径が得られるまで粒子を凝集させ、粒径は、例えば、Coulter Counterを用いて決定される。次いで、第3の着色剤を、任意要素の第4の着色剤または着色剤分散物とともに、何回かにわけて、または連続的に混合物に加え、次いで、これをさらにインキュベートしてコア粒子を作成する。例えば、温度を上げることによって、または混合物を高温に維持することによって凝集させる。適切な粒径は、約4μm未満、約3.5μm未満、約3μm未満、約2.5μm未満であってもよく、例えば、このときに、第2の分けた着色剤を乳化物に加える。残りの着色剤を加えた後、さらに粒子を成長させるためにインキュベーションを続ける。
【0055】
いくつかの実施形態では、合計量の着色剤を、1回で、2回、3回、4回またはそれ以上に分けて入れるか、または、凝集中に着色剤を連続して入れてもよい。全ての分けた量は、同じ量の着色剤であってもよく、または、設計上の選択肢として、それぞれの分けた量が異なっていてもよい。したがって、着色剤の量は、凝集のときに量を増やしていってもよく、凝集のときに量を減らしていってもよく、最初の量が多く、他の量は等量であってもよく、最後に加える着色剤の量が多く、他の量は等量などであってもよい。例えば、着色剤を1回および2回で加える場合、1回目と2回目の量は、重量比として、例えば、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1または9:1であってもよい。設計上の選択肢として、他の比率も同様に使用することができる。第1の着色剤および第3の着色剤に対し、本質的に同じ比率を適用してもよい。第2の着色剤および第4の着色剤に対し、本質的に同じ比率を適用してもよい。いくつかの実施形態では、4種類よりも多い着色剤を使用してもよく、つまり、5種類の着色剤、6種類の着色剤、7種類の着色剤またはそれ以上の着色剤をトナー中で使用してもよい。
【0056】
実施形態では、凝集粒子は、粒径が約6μm未満、いくつかの実施形態では、約4μm〜約5.5μm、いくつかの実施形態では、約4.5μm〜約5μmであってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、凝集した後で融着する前に、樹脂コーティングを凝集粒子に塗布し、粒子の上にシェルを作成してもよい。本明細書に記載の任意の樹脂または当該技術分野で既知の樹脂をシェルとして利用してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載したようなアモルファスポリエステル樹脂ラテックスが、シェルに含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアモルファスポリエステル樹脂ラテックスを異なる樹脂と合わせてもよく、次いで、樹脂コーティングとして粒子に加え、シェルを作成してもよい。いくつかの実施形態では、シェルは、1種類以上の着色剤を含んでいてもよい。
【0058】
シェル樹脂を当業者の技術の範囲内にある任意の方法によって凝集粒子に塗布してもよい。
【0059】
凝集粒子の上にシェルを形成することは、約30℃〜約80℃、いくつかの実施形態では、約35℃〜約70℃の温度まで加熱しながら行ってもよい。シェルの形成は、約5分間〜約10時間、いくつかの実施形態では、約10分間〜約5時間行われてもよい。
【0060】
シェルは、トナー成分の約1重量%〜約80重量%、いくつかの実施形態では、約10重量%〜約40重量%、いくつかの実施形態では、約20重量%〜約35重量%の量で存在していてもよい。
【0061】
望ましい粒径になるまで凝集させ、任意要素の任意のシェルを塗布した後、次いで、粒子を望ましい最終形状(例えば、形状および粒径の不規則性を修正するための真円形状)になるまで融着させてもよく、融着は、例えば、混合物を、約45℃〜約100℃、いくつかの実施形態では、約55℃〜約99℃の温度(この温度は、トナー粒子を作成するために利用される樹脂のTであってもよく、Tより高い温度であってもよい)まで加熱し、および/または撹拌を例えば約1000rpm〜約100rpm、いくつかの実施形態では、約200rpm〜約800rpmまで遅くすることによって達成されてもよい。融着は、約5〜8、または約6〜7のpHで行われてもよい。融着は、約0.01〜約9時間、いくつかの実施形態では、約0.1〜約4時間行われてもよい。
【0062】
場合により、融着剤を使用してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、融着剤(または、融着する薬剤または融着助剤)は、乳化/凝集プロセスの後の段階(例えば、第2の加熱工程、すなわち、樹脂またはポリマーのTより高い温度の工程)中に蒸発する。
【0064】
融着工程または融合工程の前に、融着剤を任意の望ましい量または適切な量で加えてもよい。例えば、融着剤を、反応媒体中の固形分含有量を基準として、約0.01〜約10重量%、または約0.05重量%または約0.1重量%〜約0.5または約3.0重量%の量で加えてもよい。もちろん、所望な場合、これらの範囲からはずれた量を使用してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、融着剤を、凝集と融着の間の任意の時間に加えてもよいが、ある実施形態では、例えば、pHを調節することによって、例えば、塩基を加えることによって凝集を「凍結」させるか、または終了した後に、融着剤を加えることが望ましい場合がある。
【0066】
融着を進め、約0.1〜約9時間、いくつかの実施形態では、約0.5〜約4時間かけて達成してもよい。
【0067】
融着の後、混合物を室温(例えば、約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。所望な場合、すばやく冷却してもよく、ゆっくり冷却してもよい。適切な冷却方法は、反応器の周囲にあるジャケットに冷水を導入することを含んでいてもよい。冷却後に、トナー粒子を、場合により、水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。乾燥は、乾燥するための任意の適切な方法、例えば、凍結乾燥を含むによって行われてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、トナー粒子は、他の任意要素の添加剤も含有していてもよい。
【0069】
トナーは、任意の既知の電荷添加剤を、トナーの約0.1〜約10重量%、いくつかの実施形態では、約0.5〜約7重量%の量で含んでいてもよい。
【0070】
トナー粒子に正電荷または負電荷のいずれかを付与するために、電荷促進分子を使用してもよい。
【0071】
このような促進分子は、約0.1〜約10重量%、または約1〜約3重量%の量で存在していてもよい。
【0072】
本開示のトナー組成物に、例えば、洗浄または乾燥の後に、表面添加剤を加えてもよい。
【0073】
表面添加剤を、トナーの約0.1〜約10重量%、または約0.5〜約7重量%の量で使用してもよい。
【0074】
他の表面添加剤としては、潤滑剤、または長鎖アルコールが挙げられる。この添加剤は、トナーの約0.05〜約5%、いくつかの実施形態では、約0.1〜約2%の量で存在していてもよく、凝集中に添加剤を加えてもよく、作成したトナー製品にブレンドしてもよい。
【0075】
トナーの光沢は、粒子に保持されている金属イオン、例えば、Al3+の量によって影響を受けることがある。保持されている金蔵イオンの量を、キレート剤(例えば、EDTA)を加えることによってさらに調節してもよい。いくつかの実施形態では、本開示のトナー粒子に保持されている触媒、例えば、Al3+の量は、約0.1〜約1pph、いくつかの実施形態では、約0.25〜約0.8pph、いくつかの実施形態では、約0.5pphであってもよい。本開示のトナーの光沢度は、Gardner Gloss Units(ggu)によって測定した場合、約20〜約100ggu、いくつかの実施形態では、約50〜約95ggu、いくつかの実施形態では、約60〜約90gguであってもよい。
【0076】
このようにして作成したトナー粒子を、現像剤組成物に配合してもよい。例えば、トナー粒子を担体粒子と混合し、2成分現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナーの濃度は、現像剤の合計重量の約1重量%〜約25重量%、いくつかの実施形態では、約2重量%〜約15重量%であってもよく、現像剤組成物の残りは担体である。しかし、望ましい特徴をもつ現像剤組成物を得るために、異なる割合のトナーおよび担体を用いてもよい。
【0077】
トナー組成物と混合するための担体粒子の例としては、トナー粒子と反対の極性を有する電荷を摩擦電気から得ることが可能な粒子が挙げられる。適切な担体粒子の具体例としては、顆粒状ジルコン、顆粒状ケイ素、ガラス、鋼鉄、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化ケイ素、1種類以上のポリマーなどが挙げられる。
【0078】
いくつかの実施形態では、担体粒子は、コアと、その上にコーティングを備えていてもよく、コーティングは、帯電列に近い位置にはないポリマーまたはポリマー混合物(本明細書に教示されているもの、または当該技術分野で既知のもの)から作られてもよい。
【0079】
トナーまたは現像剤を、静電写真プロセスまたは電子写真プロセスで用いてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、磁気ブラシ現像、一成分系ジャンピング現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)などを含む任意の既知の種類の画像現像システムを画像現像デバイスで用いてもよい。これらの現像システムおよび同様の現像システムは、当業者の常識の範囲内にある。
【0080】
カラープリンタは、ブラックと標準的な印刷色(シアン、マゼンタ、イエロー)に基づいてフルカラー画像を作成するために異なる色を保有する4個の筺体を一般的に使用する。しかし、いくつかの実施形態では、5個の筺体、6個の筺体またはそれ以上を保有する画像形成デバイスを含め、さらなる筺体が望ましい場合もあり、それにより、拡張した範囲の色(拡張した色範囲)を印刷するためにさらなるトナー色を保有する能力を与える。
【0081】
以下の実施例は、本開示の実施形態を示すものである。実施例は、単なる具体例であることを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。部およびパーセントは、他の意味であるとしめされていない限り、重量基準である。本明細書で使用する場合、「室温」(RT)は、約20℃〜約30℃の温度を指す。
【0082】
(比較コントロール例)
2リットルのビュッヒ反応機にオーバーヘッドミキサーを取り付け、これに97.19gのポリエステルA(M=86,000、T開始=56℃、36.9重量%)、101.42gのポリエステルB(M=19,400、T開始=60℃、35.43重量%)、34.06gの結晶性ポリエステルC(M23,300、M=10,500、T=71℃、34.98重量%)、50.64gのポリメチレンワックス乳化物(T=90℃、31.88重量%、International Group,Inc.(IGI))、96.01gのカーボンブラック分散物(NIPex 35(登録商標)、17.00重量%、Evonik)、18.27gのシアン顔料PB15:3(17.00重量%)を加えた。0.3M HNO溶液を用いてトナー反応スラリーのpHを3.2に調節した後、均質化しながら、フロック生成剤として87.45gのAl(SO(1重量%)を加えた。凝集させるため、混合物を460rpmで41.9℃まで加熱した。Coulter Counterを用い、コア粒子の容積平均粒子径が4.83μmになり、GSD容積が1.21になるまで粒径をモニタリングした。次いで、それぞれ上述のポリエステル樹脂A 82.32gおよびポリエステル樹脂B 85.82gを含む乳化物の混合物を加えてシェルを作成し、平均粒子径が約5.48μmであり、GSD容積が1.17であるコア−シェル粒子が得られた。その後、4重量%のNaOHを用い、反応スラリーのpHを7.87まで上げ、6.73gのVersene 100 EDTA(39%)を加え、トナーの成長を凍結させた。凍結させた後、反応混合物を86.5℃まで加熱し、融着させるために、pHを85℃で6.50まで下げた。融着させた後、トナーの反応を止め、最終粒径は、約5.48μmであり、GSD容積は1.19であり、真円度は約0.977であった。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるい(25μm)および濾過によって分離した後、洗浄し、次いで、凍結乾燥した。コントロールトナーでは、樹脂試薬の混合を開始する前に全ての顔料を入れた。
【0083】
(実験例)
2リットルのガラス反応機にオーバーヘッドミキサーを取り付け、これに62.57gのポリエステルA(38.5重量%)、66.41gのポリエステルB(37重量%)、23.04gの結晶性ポリエステルC(35.6重量%)、36.45gのポリメチレンワックス乳化物(30.37重量%)、20.91gのカーボンブラック分散物(NIPex 35(登録商標)、16.61重量%)、3.42gのシアン顔料PB15:3(17.21重量%)を加えた。0.3M HNO溶液を用いてトナー反応スラリーのpHを3.2に調節した後、均質化しながら、59.84gのAl(SO(1重量%)を加えた。トナー粒子の平均粒径が2.72μmになったら、均質化しつつ、上の混合物に46.47gのさらなるNIPex 35(登録商標)分散物と、7.60gのさらなるPB15:3分散物を加えた。凝集させるため、混合物を250rpmで41.9℃まで加熱した。Coulter Counterを用い、コア粒子の容積平均粒子径が5.20μmになり、GSD容積が1.21になるまで粒径をモニタリングした。次いで、それぞれ上述のポリエステル樹脂B 56.24gおよびポリエステル樹脂A 52.99gを含む乳化物の混合物を加えてシェルを作成し、平均粒子径が約6.08μmであり、GSD容積が1.18であるコア−シェル粒子が得られた。その後、4重量%のNaOHを用い、反応スラリーのpHを8.5まで上げ、4.62gのVersene 100 EDTA(39%)を加え、トナーの成長を凍結させた。凍結させた後、反応混合物を85℃まで加熱し、融着させるために、pHを85℃で6.08まで下げた。融着させた後、トナーの反応を止め、最終粒径は、約6.10μmであり、GSD容積は1.21であり、真円度は約0.965であった。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるい(25μm)および濾過によって分離した後、洗浄し、次いで、凍結乾燥した。コントロールトナーでは、樹脂試薬の混合を開始する前に全ての顔料を入れた。
【0084】
両方の調製で得られた粒子は、狭い粒度分布を有していた。
【0085】
カーボンブラック顔料の高い導電率のために、従来の色が濃いブラックトナーは、帯電性が低く、誘電損失が大きく、これらの性質は、いずれも移動効率を下げ、画質を悪化させる。しかし、色が濃いトナー(ブラックトナーなど)では、着色剤は、非常に導電性であってもよく、または、低TMAを実現するために、着色剤の保持量を、例えば、45%まで上げて、シェルの保持率の増加は、必ずしも良好な帯電結果を与えるとは限らない。
【0086】
トナー凝集プロセス中に、カーボンブラック分散物を2回に分けて加えることによって(すなわち、顔料の一部分の添加を、凝集因子を導入した後まで遅らせ、トナー粒子は、例えば、約2〜約3μmまで凝集する)、得られた実験トナー粒子は、粒径および真円度がコントロールトナー粒子と構造的に同じであり、例えば、Aゾーンでの帯電性が向上していることが以下の表からわかるだろう。
【表1】

【0087】
さらに、理論によって束縛されないが、顔料の追加を分けることによって、顔料がトナーコアに良好に分散すると考えられ、顔料粒子の接触が減り、したがって、ブラック着色剤を使用するときに導電性経路の生成が減り、そのため、トナー粒子の帯電性が向上する。
【0088】
さらに、顔料を含まないシェル層を加えた後、トナーの帯電性も向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子を製造する方法であって、
(a)アモルファス樹脂、任意要素の結晶性樹脂、任意要素のワックス、第1の着色剤、任意要素の第2の着色剤を含む組成物を混合して乳化物を作成することと、
(b)前記乳化物に凝集剤を加えて前凝集粒子を作成することと、
(c)前記乳化物に第3の着色剤、場合により第4の着色剤を加えることと、
(d)前記粒子を凝集させることと、場合により、
(e)前記粒子の上にシェルを作成することと、を含む、トナー粒子が得られる、方法。
【請求項2】
前記第1の着色剤および前記第3の着色剤が、それぞれブラックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の着色剤と前記第3の着色剤が、同じであるか、または、前記第2の着色剤と前記第4の着色剤が同じであるか、またはその両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の着色剤と前記第3の着色剤が、重量比で1:9〜9:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記トナー粒子が、約4%〜約45%の着色剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トナー粒子を含む現像剤が、前記混合する工程の前に前記組成物に着色剤を加えることによって調製されたトナー粒子を含む現像剤と比較して、Aゾーンでの帯電性が向上している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1と前記第3の着色剤を合わせた合計と、前記第2と前記第4の着色剤を合わせた合計との比率が、20:1〜1:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブラックが、BET表面積が約65m/g、OANが約42ml/100g、または950℃での揮発性物質が約0.5%のうち、1つ以上の性質を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Aゾーンでの帯電性が向上した、色が濃いトナー粒子。
【請求項10】
ブラック着色剤を含む、請求項9に記載の色が濃いトナー粒子。

【公開番号】特開2013−80220(P2013−80220A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−206424(P2012−206424)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】