説明

帳票発行システム

【課題】無駄な帳票が生じるのを防止することができる帳票システムを提供する。
【解決手段】来店した顧客の受付処理を行う受付手段2と、複数種の帳票の中から選択された帳票を発行する発行手段3と、複数種の帳票の印刷に係る帳票基本情報を記憶する記憶手段14とを備え、発行手段3は、記憶手段14の帳票基本情報に基づいてブランク用紙への印刷制御を行うとともに、複写可能領域と複写不可能領域を有する2枚綴り以上の帳票の用紙を一枚ずつ発行する発行制御を行う制御手段19を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、業務種別や商品種別ごとに異なる帳票を発行する帳票発行システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノーカーボン紙からなる複数枚綴りの帳票に対して、コンピュータの演算機能に関係のないデータについては顧客に記入させた手書きの文字をそのまま複写させることで、コンピュータによる入力項目を抑えて契約証発行までの顧客の待ち時間を減少させる帳票システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−239060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した帳票システムにあっては、業務種別や商品種別に応じた複数の様式の帳票を予め作成して在庫として保有しているので、例えば法改正や約款の変更などにより帳票を改訂する必要が生じた場合、改訂前の帳票が全て使用できなくなり在庫の帳票が全て無駄になってしまう虞があるという課題がある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、無駄な帳票が生じるのを防止することができる帳票システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、来店した顧客の受付処理を行う受付手段(例えば、実施形態における受付手段2)と、複数種の帳票の中から選択された帳票を発行する発行手段(例えば、実施形態における発行手段3)とを備えた帳票発行システムであって、前記複数種の帳票の印刷に係る複数の帳票基本情報を記憶する記憶手段(例えば、実施形態における記憶手段14)を備え、前記発行手段は、前記記憶手段の帳票基本情報に基づいてブランク用紙への印刷制御を行うとともに、複写可能領域と複写不可能領域を有する2枚綴り以上の帳票の用紙を一枚ずつ発行する発行制御を行う制御手段(例えば、実施形態における制御手段19)を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記記憶手段には、予め複数の顧客情報が記憶され、前記受付手段は、顧客IDを入力操作する認証手段(例えば、実施形態におけるカードリーダ11)と、該認証手段より入力された顧客IDに基づき、前記顧客情報の照会を行う顧客情報照会手段(例えば、実施形態における顧客情報照会手段13)とを備え、前記発行手段は、前記顧客情報照会手段により照会された顧客情報を前記帳票に印字して発行することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記ブランク用紙はノーカーボン紙であり、前記複写可能領域には、少なくとも顧客情報記入欄が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の発明において、前記複写不可能領域は、前記ブランク用紙の裏面への印刷により形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の発明において、前記受付手段は、業務種別又は商品種別を少なくとも選択可能な種別選択手段(例えば、実施形態におけるタッチパネルディスプレイDおよび種別選択制御手段12)を備え、前記記憶手段は、前記帳票基本情報と前記業務種別又は商品種別とを関連付けて記憶し、前記発行手段は、前記種別選択手段により選択された種別に対応する前記帳票基本情報に基づき前記ブランク用紙への印刷を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載の発明において、前記受付手段、前記発行手段、前記認証手段、および、前記種別選択手段は、互いに隣接配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明は、請求項2乃至6の何れか一項に記載の発明において、顧客情報が印字された帳票が発行されたことを報知する報知手段(例えば、実施形態における報知手段20)を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載した発明は、請求項7に記載の発明において、前記帳票基本情報は、帳票毎の綴り枚数の情報を含んでおり、前記報知手段は、前記帳票基本情報に基づいて、発行される一の帳票の綴り枚数を報知することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載した発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の発明において、前記受付手段および前記発行手段の少なくとも何れか一方の近傍に人が居ることを検出する顧客検出手段(例えば、実施形態における顧客検出手段4)と、前記発行手段によって発行された帳票が残留していることを検出する帳票残留検出手段(例えば、実施形態における帳票残留検出手段16)と、発行した帳票の取り忘れを警告する警告手段(例えば、実施形態における警告手段21)とを備え、前記制御手段は、前記帳票残留検出手段により帳票の残留が検出されているときに、前記顧客検出手段により人が検出されない場合、帳票の取り忘れ状態であると判定して、前記警告手段による警告を行わせることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載した発明は、請求項9に記載の発明において、前記発行手段によって発行された帳票を回収する回収手段(例えば、実施形態における回収手段17)を備え、前記制御手段は、前記警告手段による警告開始後、所定時間継続して前記帳票残留検出手段による帳票の残留が検出された場合、発行された帳票を前記回収手段により回収させることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載した発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の発明において、前記受付手段および前記発行手段の少なくとも何れか一方の近傍に居る人を検出する顧客検出手段と、前記発行手段によって発行された帳票が残留していることを検出する帳票残留検出手段と、前記発行手段によって発行された帳票を回収する回収手段とを備え、該回収手段は、該帳票残留検出手段により帳票の残留が検出され、且つ、前記顧客検出手段により人が検出されない場合に、残留している帳票を回収することを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載した発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記回収手段は、回収した前記帳票を裁断する裁断手段(例えば、実施形態における裁断手段18)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載した発明によれば、顧客が受付手段により受付を行い、複数種の帳票の中から所望の帳票を選択することで、記憶手段に記憶されている帳票の印刷に係る帳票基本情報に基づき、ブランク用紙に印刷が行われて、複写可能領域と複写不可能領域とを有する2枚綴り以上の帳票がオンデマンドで発行されるため、従来と同様の帳票、すなわち2枚綴り以上の帳票のうち複写可能領域に必要事項を記入した一枚目を店舗側管理の申込書にし、二枚目を顧客用の控え書とすることが可能な帳票を作成でき、また、帳票の改訂が実施された場合であっても改訂前の帳票の在庫が生じないので、誤って改訂前の帳票を使用してしまうのを防止しつつ帳票の無駄を防止することができる効果がある。
【0019】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、顧客が顧客IDを入力することで、記憶手段に記憶されている顧客IDに対応した顧客情報が印字された状態で帳票が発行手段より発行されるので、帳票が発行された後に顧客が顧客情報を全て記入する場合と比較して記入にかかる時間を短縮できると共に顧客の負担を軽減することができる効果がある。
【0020】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、ノーカーボン紙を用いることで、ブランク用紙に印刷された顧客情報記入欄への記入による2枚目以降の複写を可能にしつつブランク用紙の取扱いを容易にすることができる効果がある。
【0021】
請求項4に記載した発明によれば、請求項1乃至3の何れか一項の効果に加え、ブランク用紙の裏面に印刷するだけで複写不可能領域を形成することができるので、ブランク用紙に予め複写不可能領域を設定しておく場合と比較して、帳票の様式に応じて容易に複写不可能領域を設定することができると共に、帳票が改訂された場合であっても複写不可能領域の配置を自由に変更することができる効果がある。
【0022】
請求項5に記載した発明によれば、請求項1乃至4の何れか一項の効果に加え、種別選択手段により業務種別を選択したり商品種別を選択することで、これら種別に関連付けられて記憶手段に記憶されている帳票基本情報に基づきブランク用紙への印刷が行われて帳票が発行されるため、適正な帳票の発行を容易に行うことができる効果がある。
【0023】
請求項6に記載した発明によれば、請求項5の効果に加え、受付手段、発行手段、認証手段、および、種別選択手段が隣接配置されることで、受付から帳票の発行までの工程を略同じ場所で行うことができるため、顧客の負担軽減を図ることができる効果がある。
【0024】
請求項7に記載した発明によれば、請求項2乃至6の何れか一項の効果に加え、報知手段により顧客情報が印字された帳票の発行が報知されるので、顧客情報が印字された帳票の取り忘れを抑制して、顧客情報の漏洩を防止することができる効果がある。
【0025】
請求項8に記載した発明によれば、請求項7の効果に加え、帳票基本情報に含まれる発行する帳票の綴り枚数の情報に基づき、発行手段により発行される帳票の綴り枚数が報知されるので、帳票の取り忘れの更なる防止を図ることができる効果がある。
【0026】
請求項9に記載した発明によれば、請求項1乃至8の何れか一項の効果に加え、顧客検出手段により人が検出されない場合には、受付手段および発行手段の何れの近傍にも顧客が居ないので、帳票残留検出手段により帳票の残留が検出されている場合に警告手段により警告制御を行い、帳票の残留が生じていることを顧客や店員などに知らせることができるため、顧客情報の更なる漏洩防止を図ることができる効果がある。
【0027】
請求項10に記載した発明によれば、請求項9の効果に加え、警告手段による警告開始後、所定時間経過しても帳票の残留が解消されない場合には当該帳票が回収手段により回収されるので、顧客情報の更なる漏洩防止を図ることができる効果がある。
【0028】
請求項11に記載した発明によれば、請求項1乃至8の何れか一項の効果に加え、顧客検出手段により人が検出されない場合には受付手段および発行手段の何れの近傍にも顧客が居ないので、帳票残留検出手段により帳票の残留が検出されている場合に当該帳票を回収することで、顧客情報の更なる漏洩防止を図ることができる効果がある。
【0029】
請求項12に記載した発明によれば、請求項10又は11の効果に加え、回収手段によって回収された帳票を裁断手段により裁断するので、無用な帳票を安全かつ迅速に廃棄処分することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態における帳票発行システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における帳票発行システムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、この発明の実施形態における帳票発行システムについて図面を参照しながら説明する。この実施形態の帳票発行システムは、銀行等の金融機関の店舗に設置され、来店した顧客による操作入力に基づき受付処理を行い、入金や振込みなどの業務種別や投資信託や保険等の商品種別で分類される複数種の帳票の中から適切な帳票を特定してオンデマンドで発行するシステムである。この帳票発行システム1は、図1,2に示すように、受付手段2、発行手段3、および、顧客検出手段4を備えて構成される。受付手段2は発行手段3の上に載置されて、互いに隣接配置されている。
【0032】
受付手段2は、番号札などを印字して発行するとともに、この受付番号の情報を図示しない窓口担当者用の端末へ送信するなどの受付処理を行う装置であり、カードリーダ11、種別選択制御手段12、顧客情報照会手段13、タッチパネルディスプレイD、および、スピーカSを備えている。タッチパネルディスプレイDは、タッチパネル機能を備える液晶等のディスプレイであり、スピーカSは、操作手順や報知、警告などの様々な音声出力を行う。また、受付手段2には番号札を発行する番号札発行部6(図2参照)が設けられている。
【0033】
カードリーダ11は、予め顧客に配布された顧客カードのICチップ等に記録されている顧客ごとに付与された顧客IDを読み取る装置であり、読み取った顧客IDを顧客情報照会手段13へ出力する。なお、このカードリーダ11は受付手段2に設けられているため、結果として、このカードリーダ11も発行手段3に対して隣接配置される。
【0034】
種別選択制御手段12は、タッチパネルディスプレイDの画面上に業務種別や商品種別等を表示させ、タッチパネルディスプレイDへのタッチ操作が検知されると、その接触位置から画面上の業務種別または商品種別を特定して、この業務種別または商品種別の特定結果を発行手段3に出力する。ここで上述した帳票は、例えば、当該金融機関における業務種別毎または商品種別毎に異なる様式が設定されており、業務種別または商品種別が決まると対応する帳票の様式が特定されることとなる。なお、種別選択制御手段12とタッチパネルディスプレイDとにより種別選択手段が構成される。
【0035】
顧客情報照会手段13は、顧客IDに基づき発行手段3の記憶手段14に記憶されている顧客情報の照会を行う。より具体的には、記憶手段14に予め記憶されている複数の顧客情報の中から、カードリーダ11により読み取った顧客IDに関連付けられている顧客情報を特定し、この特定した顧客情報を発行手段3へ出力する。ここで、上述した顧客情報には、顧客の氏名、住所、電話番号などの個人情報が含まれている。
【0036】
発行手段3は、受付手段2により選択された帳票を印刷して発行する装置であって、記憶手段14、プリンタ部15、帳票残留検出手段16、回収手段17、制御手段19、報知手段20、および、警告手段21をそれぞれ備えている。また発行手段3の正面側には帳票を排出する帳票取出口7(図2参照)が形成されている。
【0037】
記憶手段14は、書き換え可能なフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成されており、複数の帳票基本情報が上述した業務種別や商品種別の情報に関連付けられて予め記憶される。帳票基本情報は、帳票を印刷する際に用いる情報(帳票の印刷に係る情報)であり、帳票を構成する用紙の綴り枚数の情報や、一の帳票を構成する各用紙に印刷する枠線、印字内容、および、これら枠線や印字部分のレイアウト等の様式に係る情報や、複写したくない複写不可能領域の位置情報等を含んでいる。ここでいう帳票には顧客が顧客情報等を記入する顧客情報記入欄が必ず設けられている。そして、帳票の改訂等が行われる際には、該当する帳票基本情報が上書き等により更新される。
【0038】
プリンタ部15は、感光体にレーザ光でトナーを付着させて熱と圧力により紙面に転写して印刷を行ういわゆるレーザプリンタであり、制御手段19の制御指令に基づき予め用紙トレイ(不図示)等にセットされたノーカーボン紙のブランク用紙を一枚ずつ分離給紙して、上述した帳票基本情報に基づいた印刷を行い、この印刷された2枚以上の用紙を一組の帳票として帳票取出口7へ排出する。またプリンタ部15はノーカーボン紙の両面印刷が可能となっており、部分的にノーカーボン紙の裏面をトナーによりベタで塗りつぶすことで複写不可能領域を形成する。なお、複写不可能領域以外の領域は、全て複写可能領域となる。
【0039】
ここで、上述したノーカーボン紙は、表面に顕色剤が塗布される一方、裏面に無色染料入りのマイクロカプセル層を有したいわゆる中用紙として利用されるものであって、複数枚を重ねて一枚目の表面にボールペン等により記入することで、筆圧によりその裏面のマイクロカプセルが壊れて無色染料が流出して対向する2枚目の表面の顕色剤と化学反応を起こして瞬時に発色する。また上述したブランク用紙とは、表裏面に何も印刷されていない状態の用紙を意味している。なお、一般的にノーカーボン紙は、表面の顕色剤がない上用紙、上述した中用紙、および、裏面にマイクロカプセル層がない下用紙を組み合わせて利用するが、中用紙のみでの運用も可能であるため、本実施形態では上述した2枚以上の一組の用紙はすべて中用紙のみを用いている。
【0040】
帳票残留検出手段16は、プリンタ部15から帳票取出口7へ排出された帳票が、帳票取出口7へ残留していることを、例えば光学センサやCCDカメラ等により検出して、この検出結果を制御手段19へ出力する。帳票残留検出手段16に光学センサを用いる場合は光軸の遮断により残留を検出することができる一方、CCDカメラを用いる場合には残留していないときの画像データとの比較により残留を検出することができる。
【0041】
回収手段17は、制御手段19の制御指令に基づき帳票取出口7へ排出された帳票を、例えば、プリンタ部15から帳票取出口7へ帳票の用紙を搬送する機構の搬送方向を逆転させる等により回収する。回収手段17は、回収した帳票を裁断する裁断手段18を備えており、この裁断手段18によって回収された帳票が、当該帳票に印刷されている内容が読み取れない程度に細かく裁断される。
【0042】
制御手段19は、記憶手段14に記憶された複数の帳票基本情報の中から、受付手段2で選択された業務種別または商品種別に対応した帳票基本情報を特定し、この帳票基本情報の内容に従ってプリンタ部15による帳票の印刷制御を行う。
また制御手段19は、帳票を発行するべくプリンタ部15によってノーカーボン紙に印刷を行う際に、顧客情報照会手段13により照会された顧客情報に含まれる例えば、氏名、住所、電話番号などの情報を、上述した顧客情報記入欄に含まれる氏名記入欄、住所記入欄、電話番号記入欄等へそれぞれ印字させる。
【0043】
さらに制御手段19は、報知手段20および警告手段21を制御して、顧客への報知や警告を行わせる。具体的には、プリンタ部15により一の帳票の印刷を開始すると、一の帳票を発行している旨を報知手段20により報知させ、さらに一の帳票を発行している間に、帳票基本情報に基づきその綴り枚数を報知手段20により報知させる。
【0044】
制御手段19は、帳票残留検出手段16の検出結果に基づき、例えば、一の帳票が帳票取出口7に発行されているにも関わらず、予め設定された所定時間帳票の残留状態が継続している場合に、顧客による帳票の取り忘れが発生していると判定する。また制御手段19は、顧客検出手段4の検出結果に基づき、受付手段2および発行手段3の少なくとも何れか一方の近傍に人が居るか否かを判定し、この判定の結果、受付手段2および発行手段3の何れの近傍にも人が居ないと判定された場合には、帳票の取り忘れが発生していると判定する。
【0045】
制御手段19は、帳票残留検出手段16および顧客検出手段4の検出結果に基づき帳票の取り忘れが発生していると判定した場合、警告手段21により取り忘れの警告を開始させる。そして警告手段21による警告開始後、所定時間継続して帳票の残留が検出された場合に、回収手段17により帳票取出口7に残留している一の帳票を回収する制御を行い、さらに回収手段17の裁断手段18を駆動制御して、回収された一の帳票を裁断して廃棄する制御を行う。なお、回収手段17により帳票を回収するタイミングで警告手段21による警告を停止させる。
【0046】
報知手段20は、タッチパネルディスプレイDの表示制御およびスピーカSの出力制御を行うことで、顧客情報が予め印字された帳票が発行中である旨の報知を行う。また報知手段20は帳票の発行中に、当該帳票の綴り枚数の報知を行う。具体例としては、タッチパネルディスプレイDに「帳票発行中」、「3枚」などの文字を表示させるとともに、スピーカSから「帳票発行中」、「3枚」などの音声を出力させる。
【0047】
警告手段21は、タッチパネルディスプレイDの表示制御およびスピーカSの出力制御を行うことで、制御手段19により帳票の取り忘れが発生していると判定された場合に、帳票の取り忘れ警告を行う。具体例としては、タッチパネルディスプレイDに「帳票を取り忘れています」という文字を表示させるとともに、スピーカSから「帳票を取り忘れています」という音声を出力させる。なお、タッチパネルディスプレイDの表示とスピーカSの音声出力の両方で報知および警告を行う場合について説明したが、タッチパネルディスプレイDの表示とスピーカSの音声出力との何れか一方のみを用いるようにしてもよい。
【0048】
顧客検出手段4は、例えば、CCDカメラや赤外線センサなどにより構成され、受付手段2および発行手段3の少なくとも何れか一方の近傍に居る人を画像処理等により検出する。この顧客検出手段4の検知結果は、上述したように発行手段3の制御手段19へ入力されて帳票の取り忘れ判定に供される。
【0049】
この実施形態の帳票発行システム1は上述した構成を備えており、次にこの帳票発行システムの動作について説明する。
まず、来店した顧客は受付を行うために店舗のフロア担当者などにより受付手段2へ案内される。
【0050】
帳票発行システム1は、受付手段2または発行手段3の近傍に顧客がいることを顧客検出手段4によって検知すると、種別選択制御手段12により受付手段2のタッチパネルディスプレイDの画面上に業務種別や商品種別の一覧表示からなる用件選択画面を表示する。
この用件選択画面の一覧表示のうち一の業務種別または一の商品種別がタッチパネルを介して選択されると、この選択結果を発行手段3へ出力する。そして、業務種別および商品種別毎の受付番号が印字された番号札を番号札発行部6から発行し、顧客に対して番号札の受取りを音声や画面表示により促す。
【0051】
次いで、顧客カードのカードリーダ11への挿通を促すメッセージをタッチパネルディスプレイDに表示するとともにスピーカSから音声出力する。顧客カードがカードリーダ11へ挿通されると顧客IDを読み取り、記憶手段14に記憶されている顧客情報の中からカードリーダ11で読み取った顧客IDに関連付けられている顧客情報を顧客情報照会手段13により特定し、この特定した顧客情報を発行手段3へ出力する。ここで、受付手段2は、新規顧客など顧客カードを所持していない顧客により顧客カードの挿通がキャンセルされるか、またはカード挿通を促した後に所定時間経過した場合に、顧客IDの入力がキャンセルされたと判断して、顧客IDの入力キャンセル情報を発行手段3へ出力する。
【0052】
一方、発行手段3では、受付手段2より入力された選択結果に基づき、記憶手段14に記憶されている複数の帳票基本情報から所定の帳票基本情報を特定して、プリンタ部15による帳票の印刷を開始する。この帳票の発行が開始されると直ぐに報知手段20によって帳票が発行中である旨の報知および発行する帳票の綴り枚数の報知をタッチパネルディスプレイDおよびスピーカSを介して行う。なお、複数の帳票が連続して発行される場合には、連続して発行される帳票の組数も報知する。
【0053】
発行手段3に顧客IDに基づき特定された顧客情報が入力された場合には、帳票の用紙を一枚ずつ印刷する際に、帳票の各用紙の顧客情報記入欄に顧客情報を印字する。一方、顧客IDの入力キャンセル情報が入力された場合には顧客情報の印字を省略して帳票を発行する。
【0054】
一の帳票の発行が完了して一の帳票を構成する複数枚の用紙が帳票取出口7へ排出されると、帳票残留検出手段16の検出結果および、顧客検出手段4の検知結果に基づいて、帳票の取り忘れがないか判定を行い、帳票の取り忘れが生じていると判定した場合には、警告手段21により帳票の取り忘れが生じている旨をタッチパネルディスプレイDおよびスピーカSにより警告する。
【0055】
上述した警告手段21により警告が開始され、帳票残留検出手段16により帳票の残留が検出された状態が所定時間継続すると、回収手段17により帳票取出口7に排出した帳票を回収すなわち発行手段3の機内に取り込んで裁断手段18によって裁断する。ここで、回収した帳票を裁断する場合について説明したが、例えば、顧客情報が顧客情報記入欄に予め印字された状態で発行される帳票のみを裁断するようにしてもよい。
【0056】
ここで、顧客は、通常、複数枚の用紙からなる帳票が帳票取出口7に排出されると、帳票取出口7から帳票の用紙を全て取り出して、所定の記入台などに移動し、用紙に記載されている番号順に用紙を重ねて揃え、この状態で顧客情報記入欄等に必要事項を追加記入して、店舗の窓口担当者による呼び出しを待つこととなる。
【0057】
したがって、上述した実施形態の帳票発行システム1によれば、顧客が受付手段2により受付を行い、複数種の帳票の中から帳票を選択することで、記憶手段14に記憶されている帳票の印刷に係る帳票基本情報に基づき、ブランク用紙に印刷が行われて、複写可能領域と複写不可能領域とを有する2枚綴り以上の帳票がオンデマンドで発行されるため、従来と同様の帳票、すなわち複写可能領域に必要事項を記入した2枚綴り以上の帳票のうち、一枚目を店舗側管理の申込書にし、二枚目を顧客用の控え書とすることが可能な帳票を作成でき、さらに帳票の改訂が実施された場合であっても改訂前の帳票の在庫が生じないので、誤って改訂前の帳票を使用してしまうのを防止しつつ帳票の無駄を防止することができる。
【0058】
また、顧客がカードリーダ11を介して顧客IDを入力することで、記憶手段14に記憶されている顧客IDに対応した顧客情報が帳票に印字された状態で帳票が発行手段3より発行されるので、帳票が発行された後に顧客が顧客情報を全て記入する場合と比較して、時間短縮を図ると共に顧客の負担を軽減することができる。
さらに、ブランク用紙としてノーカーボン紙を用いることで、ブランク用紙に印刷された顧客情報記入欄への記入による2枚目以降の複写を可能にしつつブランク用紙の取扱いを容易にすることができる。
【0059】
そして、ブランク用紙の裏面に印刷するだけで複写不可能領域を形成することができるので、ブランク用紙に予め複写不可能領域を設定しておく場合と比較して、帳票の様式に応じて容易に複写不可能領域を設定することができると共に、帳票が改訂された場合であっても複写不可能領域の配置を自由に変更することができる。
【0060】
さらにタッチパネルディスプレイDを介して業務種別を選択したり商品種別を選択することで、これら業務種別や商品種別の情報に関連付けられて記憶手段14に記憶されている帳票基本情報に基づきブランク用紙への印刷が行われて帳票が発行されるため、適正な帳票の発行を容易に行うことができる。
【0061】
また受付手段2、発行手段3、カードリーダ11、および、タッチパネルディスプレイDが隣接配置されていることで、受付から帳票の発行までの工程を略同じ場所で行うことができるため、顧客の負担軽減を図ることができる。
そして、報知手段20により顧客情報が印字された帳票の発行が報知されるので、顧客情報が印字された帳票の取り忘れを防止して、顧客情報の漏洩を防止することができる。
【0062】
また、発行する一の帳票の綴り枚数の情報に基づき、発行手段3により発行される帳票の綴り枚数が報知されるので、帳票の取り忘れの更なる防止を図ることができる。
【0063】
さらに、顧客検出手段4により人が検出されない場合には、受付手段2および発行手段3の何れの近傍にも顧客が居ないので、帳票残留検出手段16により帳票の残留が検出されている場合に警告手段21による警告制御を行い、帳票の残留が生じていることを顧客や店員などに知らせることができるため、顧客情報の更なる漏洩防止を図ることができる。
【0064】
そして、警告手段21による警告開始後、所定時間経過しても帳票の残留が解消されない場合には当該帳票が回収されるので、顧客情報の更なる漏洩防止を図ることができる。
さらに、回収手段17により回収された帳票を裁断手段18によって裁断するので、無用な帳票を安全かつ迅速に廃棄処分することができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、顧客情報を帳票に予め印字してから発行する場合について説明したが、顧客情報の印字の要・不要を選択できるようにしてもよい。
また、上述した実施形態の帳票発行システム1においては、帳票の取り忘れが生じた場合に、回収手段17により回収された帳票を全て裁断手段18により廃棄する場合について説明したが、顧客情報が予め印字されない場合には、回収ならびに裁断を行わないように設定したり、また、回収のみを行うように設定してもよい。
【0066】
また、顧客カードに記録された顧客IDをカードリーダ11によって読み取る場合について説明したが、預金通帳を読み取る装置を設けて預金通帳に記録された顧客IDを読み取るようにしてもよい。また、カードリーダ11を受付手段2に設ける場合について説明したが、カードリーダ11を受付手段2と別体で設け、このカードリーダ11を受付手段2および発行手段3の近傍に配置するようにしてもよい。
また、受付手段2を発行手段3上に配置する場合ついて説明したが、受付手段2の配置は発行手段3に隣接していればよく発行手段3上に限られるものではない。さらに、受付手段2と発行手段3とを別体で形成した場合について説明したが、受付手段2と発行手段3とを一体的に形成することで隣接配置するようにしてもよい。
【0067】
さらに、上述した実施形態ではタッチパネルディスプレイDを介して顧客が種別の選択などの操作入力する場合について説明したが、タッチパネルを介しての操作入力に限られるものではなく、キーボード等、他のユーザインターフェースを用いて操作入力するようにしてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、発行手段3の記憶手段14に顧客IDに関連付けられた顧客情報を記憶させる場合について説明したが、受付手段2側に図示せぬ顧客情報記憶手段を設け、この顧客情報記憶手段に顧客情報を記憶させるようにしてもよい。さらには、これら記憶手段14及び顧客情報記憶手段は、発行手段3内部及び受付手段2内部のみに限らず、例えば店舗内の図示せぬ管理サーバ内あるいは当該店舗が属する金融機関のオンライン顧客データベース内等に設けられる構成としても良い。加えて、上述した実施形態では、発行手段3の記憶手段14に複数の帳票基本情報が業務種別や商品種別の情報に関連付けられて予め記憶されると説明したが、これに限るものではなく、例えば、店舗内の図示せぬ管理サーバ内あるいは当該店舗が属する金融機関のオンライン帳票データベース内等に設けられる構成としても良い。そして上述した実施形態では、帳票の種別を選択した後に顧客IDの入力を行う場合について説明したが、顧客IDの入力操作を先に行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
2 受付手段
3 発行手段
4 顧客検出手段
11 カードリーダ(認証手段)
12 種別選択制御手段(種別選択手段)
13 顧客情報照会手段
14 記憶手段
16 帳票残留検出手段
17 回収手段
18 裁断手段
19 制御手段
20 報知手段
21 警告手段
D タッチパネルディスプレイ(種別選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来店した顧客の受付処理を行う受付手段と、
複数種の帳票の中から選択された帳票を発行する発行手段とを備えた帳票発行システムであって、
前記複数種の帳票の印刷に係る複数の帳票基本情報を記憶する記憶手段を備え、
前記発行手段は、
前記記憶手段の帳票基本情報に基づいてブランク用紙への印刷制御を行うとともに、複写可能領域と複写不可能領域を有する2枚綴り以上の帳票の用紙を一枚ずつ発行する発行制御を行う制御手段を備えることを特徴とする帳票発行システム。
【請求項2】
前記記憶手段には、予め複数の顧客情報が記憶され、
前記受付手段は、顧客IDを入力操作する認証手段と、
該認証手段より入力された顧客IDに基づき、前記顧客情報の照会を行う顧客情報照会手段とを備え、
前記発行手段は、前記顧客情報照会手段により照会された顧客情報を前記帳票に印字して発行することを特徴とする請求項1に記載の帳票発行システム。
【請求項3】
前記ブランク用紙はノーカーボン紙であり、
前記複写可能領域には、少なくとも顧客情報記入欄が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の帳票発行システム。
【請求項4】
前記複写不可能領域は、前記ブランク用紙の裏面への印刷により形成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の帳票発行システム。
【請求項5】
前記受付手段は、業務種別又は商品種別を少なくとも選択可能な種別選択手段を備え、
前記記憶手段は、前記帳票基本情報と前記業務種別又は商品種別とを関連付けて記憶し、
前記発行手段は、前記種別選択手段により選択された種別に対応する前記帳票基本情報に基づき前記ブランク用紙への印刷を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の帳票発行システム。
【請求項6】
前記受付手段、前記発行手段、前記認証手段、および、前記種別選択手段は、互いに隣接配置されることを特徴とする請求項5に記載の帳票発行システム。
【請求項7】
顧客情報が印字された帳票が発行されたことを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項2乃至6の何れか一項に記載の帳票発行システム。
【請求項8】
前記帳票基本情報は、帳票毎の綴り枚数の情報を含んでおり、
前記報知手段は、前記帳票基本情報に基づいて、発行される一の帳票の綴り枚数の枚数を報知することを特徴とする請求項7に記載の帳票発行システム。
【請求項9】
前記受付手段および前記発行手段の少なくとも何れか一方の近傍に人が居ることを検出する顧客検出手段と、
前記発行手段によって発行された帳票が残留していることを検出する帳票残留検出手段と、
発行した帳票の取り忘れを警告する警告手段とを備え、
前記制御手段は、
前記帳票残留検出手段により帳票の残留が検出されているときに、前記顧客検出手段により人が検出されない場合、帳票の取り忘れ状態であると判定して、前記警告手段による警告を行わせることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の帳票発行システム。
【請求項10】
前記発行手段によって発行された帳票を回収する回収手段を備え、
前記制御手段は、
前記警告手段による警告開始後、所定時間継続して前記帳票残留検出手段による帳票の残留が検出された場合、発行された帳票を前記回収手段により回収させることを特徴とする請求項9に記載の帳票発行システム。
【請求項11】
前記受付手段および前記発行手段の少なくとも何れか一方の近傍に居る人を検出する顧客検出手段と、
前記発行手段によって発行された帳票が残留していることを検出する帳票残留検出手段と、
前記発行手段によって発行された帳票を回収する回収手段とを備え、
該回収手段は、
該帳票残留検出手段により帳票の残留が検出され、且つ、前記顧客検出手段により人が検出されない場合に、残留している帳票を回収することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の帳票発行システム。
【請求項12】
前記回収手段は、回収した前記帳票を裁断する裁断手段を備えることを特徴とする請求項10又は11に記載の帳票発行システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate