説明

帳票

【課題】 ガス、水道、電気などの使用量の検針時に印字した帳票の情報を、その場で、簡単に隠すことができる帳票を提供することである。また、帳票に印字した情報を、他人に盗みみられた場合には、そのことがわかるようにすることである。
【解決手段】 表面1aを印字面とした四角形の帳票本体1と、この帳票本体1内に切り込み6を入れることによって形成した舌片7と、この舌片7と帳票本体1との間に、帳票本体1の一端10を挟んで表面1a同士を対抗させて折り返すための折り線9とを備えるとともに、上記折り線9を介して帳票本体1を折り返したときに上記舌片7の裏面に対抗する位置および上記舌片7の裏面に、それぞれ粘着材を有する接着面11,12を形成し、これら両接着面11,12を構成する粘着材が自着性を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス、水道、電気などの使用量の検針時に、その場で使用量などを印字して顧客宅の郵便受けなどに入れる帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス、水道、電気などの使用量の検針時に、検針作業員は、検針結果である使用量や、料金などをハンディターミナルに内蔵したプリンタあるいはそのハンディターミナルに接続したプリンタで印字した帳票を作成し、それを各戸の郵便受けなどに入れる。
この帳票には、その月の使用量や請求金額のほか、顧客の氏名、銀行口座からの料金引き落とし日、住所などが印字されている。
【0003】
上記のような帳票は、1枚のシートなので、それに印字された個人情報は郵便受けを覗くことによって簡単に、他人の目に触れるという問題がある。
そのため、他人の個人情報を盗み見て、それを悪用する者が出てくる。
そこで、帳票に印字された情報を他人から簡単に見ることができないようにした帳票として、特許文献1に記載のものがある。この帳票は、複数の帳票をそれぞれ折り返して表示内容を隠すとともに、それらを重ねて両側縁部を接着して、折り返しが簡単に開かないようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第3098776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の方法では、隠蔽すべき情報を印字した帳票を、折り返してから複数重ね、重ねた両側端部に接着剤を塗布して、各帳票の折り返しが開かないようにしている。予め、情報が印字された帳票に対しての処理であって、1件ずつの検針時に、検針結果を印字した帳票をその場で開かないようにすることはできなかった。
この発明の目的は、ガス、水道、電気などの使用量の検針時に印字した帳票の情報を、その場で、簡単に隠すことができる帳票を提供することである。また、帳票に印字した情報を、他人に盗みみられた場合には、そのことがわかるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、表面を印字面とした四角形の帳票本体と、この帳票本体内に切り込みを入れることによって形成した舌片と、この舌片と帳票本体との間に、帳票本体の一端を挟んで表面同士を対抗させて折り返すための折り線とを備えるとともに、上記折り線を介して帳票本体を折り返したときに上記舌片の裏面に対抗する位置および上記舌片の裏面に、それぞれ粘着材を有する接着面を形成し、これら両接着面を構成する粘着材が自着性を有する構成にした点に特徴を有する。
なお、上記自着性とは、自身と同一の材質との間で粘着力を発揮して接着する性質のことであり、粘着材同士では接着するが、粘着材以外の材質、例えば、紙面などと粘着材との間では、接着しないという性質である。
【0006】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、上記舌片と帳票本体との連続部に、ミシン目などからなる切り取り線を備えた点に特徴を有する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明を前提とし、帳票本体の裏面には予め印字したお知らせ欄を備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
第1〜第3の発明によれば、検針票などの帳票に記載された個人情報などを、帳票本体を折り返すことによって簡単に隠すことができる。しかも、折り返した端部を接着しているので、折り返しが開いて隠していた情報が見えてしまうこともない。
また、折り返しを強引に開こうとすると、舌片がちぎれて、元通りに折り返すことができなくなるので、正規の顧客が見る前に、誰かが情報を見た場合、そのことがわかる。
そのため、他人に自分の情報を見られたことを知って、用心することができる。
【0008】
特に、第2の発明によれば、帳票を開く場合に、接着面の部分をミシン目に沿って、簡単にきれいに切り取ることができる。従って、特別な注意を払わなくても、重要な情報が印字された部分を破ってしまうようなことがない。
また、第3の発明によれば、帳票本体を折り返した状態で、裏面が外側になるので、裏面に印刷した情報が、顧客の目につきやすくなる。例えば、帳票の内容とは関係のない宣伝広告などを印刷した場合にも、帳票本体を折り返しておけば、折り返さない帳票の裏面に印刷された広告よりも、高い宣伝効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図6を用いてこの発明の実施例を説明する。
図1は、この発明の帳票を構成する帳票本体1の印字面である表面1aを示しているが、この帳票1は、例えば、ガス使用量に関するものである。そして、表面1aには、顧客の氏名や顧客番号などを印字する顧客名欄2、検針結果である当月の使用量を印字する使用量欄3、この使用量に基づいて口座から振替られる金額を印字する振替金額欄4と、先月分の領収金額を印字する領収証欄5などを備えている。
そして、各欄において、検針月や、顧客によって変わらない部分、つまり共通な枠や、文字などは、予め印刷しておくことができる。一方、顧客ごとに変わる情報、すなわち個人情報は、検針作業員が携帯している上述のプリンタを用いて、上記表面1aに印字するようにしている。
【0010】
なお、上記プリンタは、どのようなタイプのプリンタでもかまわないが、サーマルヘッドを備えた感熱式プリンタが、小型で便利である。その場合、帳票本体1の表面1aには、感熱発色層を備えておく必要がある。
そして、プリンタには、図1に示す帳票を1シートずつセットするのではなく、帳票本体1を長手方向に連続させたロール紙をセットして、印字後、1件分ごとにカットするようにしている。
従って、顧客宅のメーターを検針して、プリントを完了した帳票は、図1に示す1枚のシートとなっている。
【0011】
また、上記帳票本体1には、顧客名欄2と使用量欄3との間に、円弧からなる切り込み6を入れて、舌片7を形成している。この舌片7と帳票本体1との連続部には、ミシン目8を設け、この発明の切り取り線を構成している。
さらに、振替金額欄4と領収証欄5との間には、一点鎖線で示した折り線9を形成している。この折り線9は、帳票本体1の端部10を上記舌片7の下に挟み込むように折り返し、帳票本体1の二重になった部分をぴったりと折り畳んだときに、折り線となるところに形成している。従って、図1の矢印Aのように、端部10側を折り返そうとすると、帳票本体1は、上記折り線9によって簡単に畳まれ、上記端部10を舌片7の下に入り込ませたとき、端部10と切り取り線8とがほぼ一致するようにしている。
【0012】
一方、帳票本体1の裏面1bは、図2に示すように、上記舌片7の裏面には、粘着材を塗布して第1接着面11を形成するとともに、端部10側にも、舌片7と同形状に粘着材を塗布した第2接着面12を形成している。これら第1、第2接着面の粘着材は、どちらも、自着性を有する同一材料である。つまり、第1接着面11は、第2接着面12と接触したときに接着し、帳票本体1の他の部分には接着しない。そして、上記第1接着面11と第2接着面12とは、折り線9を中心に線対称の位置に形成されている。
上記自着性を有する粘着材として、例えば天然ゴム系のラテックスなどが考えられるが、粘着材の材質は、上記のものに限定されない。
【0013】
ただし、帳票本体1として、感熱紙を用いる場合には、感熱発色層に影響を与える可塑剤を含む材料は使用できない。感熱発色層の種類によっては、可塑剤によって化学変化を起こし、発色が妨害されたり、不要な発色をしてしまったりするものが有るので、注意が必要である。
また、裏面1bには、宣伝広告などを印刷した第1お知らせ欄13と、第2お知らせ欄14とを設けている。ここでは、折り線9を介して、2つのお知らせ欄13,14を設けているが、これらは一体であってもかまわない。
【0014】
以下に、この発明の帳票を、顧客のところで印字して置いてくる時の手順を説明する。
検針作業員は、メーターの検針をしたら、その結果をハンディターミナルに入力して、必要事項を上記ハンディターミナルに内蔵したプリンタあるいはそのハンディターミナルに接続したプリンタで印字し、帳票を作成する。顧客の個人情報などがプリントされた帳票は、図1に示すように1枚のシートを広げた状態である。
この状態から、作業員は、端部10を図1の矢印Aの方向に折り曲げて、図3に示すように、表面1a同士を接触させる。次に、帳票本体1の二重になった部分で、上側の部分を矢印Bの方向に滑らせて、舌片7帳票本体1との間に入り込ませる。この作業は、片手でもできる。
【0015】
端部10を、上記舌片7と帳票本体1との間に完全に入り込ませると、図4の平面図および図5に示す側面図のようになる。この状態になったら、検針作業員は、舌片7の部分を指で挟んで、上記舌片7を端部10に押しつける。
また、図6は、図5の舌片7付近の拡大断面図であるが、この図6に示すように、上記舌片7の裏面の第1接着面11と、端部10側の第2接着面12とが接触している。そのため、自着性を有する両接着面11,12は、しっかり接着する。
【0016】
つまり、帳票は、図4に示すように、表面1に印字された利用料や、振替金額などの個人情報を折り返した帳票本体の内部に隠すことができる。しかも、舌片7の部分で折り返した端部10と舌片7とが接着されているので、帳票本体1の折り返しが自然に戻って、印字内容が見えてしまうことがない。従って、この状態で、顧客宅の郵便受けなどに入れておいても、外部から印字された情報を盗み見ることはできない。
ただし、顧客名欄2だけは、折り返しの中に隠れないようにしている。これは、誰の帳票なのかがわかるようにするためである。個人の郵便受けであっても、入れ間違いがあったときなどにも、他人のものを見ないようにできる。
また、どの欄をかくして、どの欄を隠さないかは、各欄の配置と、舌片7の位置によって調整することができる。
【0017】
このような帳票を郵便受けから取り出した顧客は、図4に示すような帳票の、端部10の接着されていない角をつまみ、矢印Cのように引っ張る。これにより、舌片7が、接着面11,12を介して矢印C方向へ引っ張られ、舌片7は、切り取り線8で切断される。その結果、折り返しを開くことができる。
なお、折り返しを開くためには、上記切り取り線8が無くても、舌片7を帳票本体1から切り離してしまえばよい。ただし、上記のように切り取り線8が形成されていると、切り離しが簡単にできるとともに、切断線がきれいになるので、例えば、切断線が曲がってしまって、必要な情報の表示欄を破いてしまうようなことがない。
【0018】
上記のように、舌片7の部分で接着して折り返しが開かないようにした帳票を開くと、舌片7が、裏面1b側に付着したままちぎれてしまうので、開いた帳票本体1には、ちぎれた舌片7に対応した穴が開く。そのため、二度と、舌片7を利用して折り返しを接着できなくなるともに、開いたことがわかってしまう。
もしも、郵便受けから取り出した帳票が、折り返されていなくて、舌片7の部分に穴が開いていた場合には、個人情報を盗み見られた可能性が有ると考えて、用心することができる。
【0019】
また、図4に示す状態で、郵便受けなどに入れておくので、裏面のお知らせ欄14が、顧客名欄2と同じ面に現れることになる。そのため、従来なら顧客の目に入らなかったような裏面の広告などが、有効に機能する。
【0020】
上記のように、この発明の帳票は、粘着材を有する接着面11,12を帳票本体1の裏面に形成しているため、表面に印字をする際に、プリンタヘッドが、接着面に接触することがない。粘着材が、プリンタヘッドに付着してしまうなど、粘着材のヘッドに対する影響を心配する必要がない。
さらに、帳票本体1を連続させたロール紙を用いる場合でも、上記接着面11,12が、全て帳票本体1の裏面1b、すなわち、ロール紙の裏面にあるので、ロール状態で接着面11,12同士が接触して、くっついてしまうことがない。
また、プリンタ用紙としては、ロール紙に限らないが、例えば、蛇腹状に折り畳んだ用紙を利用する場合には、裏面同士が対抗する部分があるので、各接着面11,12の位置を工夫する必要がある。
【0021】
なお、上記実施例では、舌片7を帳票本体1に一つだけ形成するようにしているが、この舌片7は、帳票本体1に複数個形成してもかまわない。
また、上記舌片7は形状を円弧にしているが、円弧だけでなく三角形や四角形など、その形状はどのようなものであってもかまわない。つまり、この舌片7は、帳票本体1の端部10を折り返したときに、この端部10を挟み込めればよい。
さらに、上記舌片7はその大きさも問わない。例えば、舌片7は、切り取り線8方向の長さを長くしてもかまわない。このように舌片7の大きさを大きくすれば、舌片7に端部10をよりしっかりと止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の帳票の表面を示した平面図である。
【図2】帳票の裏面を示した平面図である。
【図3】帳票本体を折り返して接着する手順を説明するための側面図である。
【図4】折り返しと接着が完了した状態の平面図である。
【図5】図4の状態の側面図である。
【図6】図4の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 帳票本体
6 切り込み
7 舌片
8 切り取り線
9 折り線
10 端部
11 (第1)接着面
12 (第2)接着面
13,14 お知らせ欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を印字面とした四角形の帳票本体と、この帳票本体内に切り込みを入れることによって形成した舌片と、この舌片と帳票本体との間に、帳票本体の一端を挟んで表面同士を対抗させて折り返すための折り線とを備えるとともに、上記折り線を介して帳票本体を折り返したときに上記舌片の裏面に対抗する位置および上記舌片の裏面に、それぞれ粘着材を有する接着面を形成し、これら両接着面を構成する粘着材が自着性を有する構成にした帳票。
【請求項2】
上記舌片と帳票本体との連続部に、ミシン目などからなる切り取り線を備えたことを特徴とする請求項1に記載の帳票。
【請求項3】
帳票本体の裏面には予め印刷したお知らせ欄を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の帳票。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−35619(P2006−35619A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218328(P2004−218328)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(391022382)日本通信紙株式会社 (9)