説明

平型画像表示モジュール

【課題】スピーカ装置を備えるにも拘わらず小型薄型化が促進され、且つ、良好な音質の音声を安定して聴取できる平型画像表示モジュールを提供する。
【解決手段】液晶表示パネル14と面発光照明パネル15とを収納ケース11内に収納し、フレーム13により保持されてなる液晶表示ユニット1の背面に、一対のスピーカユニットが配置されている。これらスピーカユニットは、それぞれ、収納ケース11の背面に設置された音源ユニット2と、音源ユニット2を取り囲み、且つ前記収納ケースの側板11との間で、前記音源ユニット2から発せられた音波を液晶表示ユニット1の表示面側に導くための導音路4を形成するガイド板3とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカ装置を備える平型画像表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等のモバイル機器のディスプレイとして、液晶表示パネルや有機ELディスプレイ等の小型薄型化に適した平型画像表示パネル(以下、FPD(Flat Panel Display)という)が用いられている。
【0003】
一方、携帯電話機は単なる電話機からテレビやPDA(Personal Data Assistants )等の機能を備えた複合機として進化しつつあり、そのようなモバイル機器に用いられるディスプレイとしては、単に映像を表示するだけでなく音声を発するスピーカ装置も必要とされる。
【0004】
スピーカ装置を備えたモバイル機器のFPDの一例として、特許文献1に示されるような車載用液晶表示パネルが知られている。
【特許文献1】特開昭62−231847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の車載用液晶表示パネルでは、映像表示ディスプレイとスピーカ装置が機器の前面に並設されている。このようにスピーカ装置を機器前面の映像表示ディスプレイに並設すると、その分だけ機器全体の面積が大きくなり、小型薄型化が最重要課題とされる携帯電話機のようなモバイル機器のディスプレイとして用いることができない。
【0006】
面積を小さくするためにはスピーカ装置を映像表示ディスプレイの背面側に配置すればよいが、その代わりに厚さが増してしまう。また、スピーカ装置を背面側に配置した場合、表示を観察する前面側では、発せられた音波が前面側へ円滑に伝播されないために音質が低下し音声を明瞭に聴取できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、スピーカ装置を備えるにも拘わらず小型薄型化が可能であり、且つ、表示を観察する前面側で音質を低下させずにその音声を明瞭に聴取できるスピーカ付き平型画像表示モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の平型画像表示モジュールは、平型画像表示パネルと、底板とその縁辺に立設された側板とからなり、前記平型画像表示パネルを表示面とは反対側の背面を前記底板に対向させて表示面が開放された配置で収容する外装ケースと、前記外装ケースの前記底板の外側に設置された音源素子と、前記音源素子を取り囲み、且つ前記外装ケースとの間で前記音源素子から発せられる音波を前記平型画像表示パネルの表示面の観察側に導く導音路を形成するガイド板とを、備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の平型画像表示モジュールによれば、スピーカ装置のうちの音源素子だけを画像表示パネルの背面側に設置し、音源素子により発生させた音波を表示の観察側となる前面側へ導く導音路を設けたから、音源素子を含むスピーカ装置全体をディスプレイに並設する場合に比べてモジュール全体の面積を小さく抑えることができるとともに、音源素子だけを背面側に配置するからモジュールの厚さの増加も最小限に抑えることができ、且つ、導音路を囲繞形成する外装ケースとガイド板の材質を実質的に同一とし路壁全体を均質化したから導音路を介することによる音質の低下を防止でき、その結果、音質を低下させることなく音声を明瞭に聴取できると共に携帯電話機等の適用機器の小型薄型化に有利なスピーカ付き平型画像表示モジュールを提供することが可能となる。
【0010】
本発明の平型画像表示モジュールにおいては、前記外装ケース及び前記ガイド板が共にステンレス板を加工して形成されていることが好ましく、これにより、良好な音質の音声を明瞭に聴取できる平型画像表示モジュールを少ない工数で容易に製作することが可能となる。
【0011】
また、本発明の平型画像表示モジュールにおいては、音源素子がその周縁部の両側をそれぞれ弾性を備えたスペーサを介し前記外装ケース外面と前記ガイド板とで挟持された状態で設置されていることが好ましく、この場合、音源素子はその周縁部の一方の面をスペーサを介して前記ガイド板に固定されていることがより好ましく、これにより、音源素子の振動が画像表示パネルに伝播し表示不良を引き起こす虞が確実に解消される。
【0012】
さらに、本発明の平型画像表示モジュールにおいて、ガイド板は、前記外装ケースの底板の外側に位置し、前記音源素子をスペーサを介して固定する音源素子収容部と、前記外装ケースの側板との間に導音路を形成する導音路形成部とからなることが好ましく、これにより、発振された音波が導音路内において効率良く音圧が増幅されつつ円滑に伝播し、クリアでダイナミックな音声が得られる。
【0013】
またさらに、本発明の平型画像表示モジュールにおいては、ガイド板と、このガイド板に固定された前記音源素子とによりスピーカユニットを形成し、このスピーカユニットが、前記外装ケースの対向する側板にそれぞれ配置されていることが好ましく、これにより左右一対のスピーカユニットから共にクリアでダイナミックな音声がばらつき無く得られる。
【0014】
加えて、本発明の平型画像表示モジュールは一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示パネルに有効に適用され、その場合の音源素子として印加電圧に応じて振動する圧電フィルムの両面に一対の電極を導通設置してなる圧電スピーカを備えることが好ましく、これにより、小型薄型化が一段と促進され且つ良好な音質の音声を明瞭に聴取できるスピーカ付き液晶表示モジュールが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一実施形態としての液晶表示モジュールを示す斜視図で、図2はそのII−II線断面図、図3はその分解斜視図である。
【0016】
本実施形態のスピーカ付き液晶表示モジュールは、図3に示されるように、大略、液晶表示ユニット1、音源ユニット2、及びガイド板3とで構成されている。
【0017】
図2に示されるように、液晶表示ユニット1の筐体は、扁平な直方体をなす箱の天板を除去した上部開放型の収納ケース11にカバーパネル12が嵌装されてなる。これら収納ケース11及びカバーパネル12は、共にステンレス板を加工して形成されている。カバーパネル12には、表示を観察するための表示窓121が穿設されている。また、収納ケース11の底板111には、その中央部に外部との連通窓1111が穿設されている。
【0018】
上記筐体内には、フレーム13が配置されている。本実施形態のフレーム13は、共に扁平な直方体の空間からなる前室13aと後室13bとが2段に重設されてなる。すなわち、直方体の空間を囲む枠体をなす側板131の所定高さ位置に、その内面全周にわたって仕切り棚132が突設され、この仕切り棚132を境界として、前室13aと後室13bとが2段に重設され、これら前室13aと後室13bは、仕切り棚132で囲まれた空間13cにより連通されている。
【0019】
フレーム13の前室13aには、液晶表示パネル14が収納されている。液晶表示パネル14は、電極(不図示)が形成された一対のガラス基板141、142を、それぞれの電極形成面を対向させて枠状シール材(不図示)により所定の間隙を保って接合し、枠状シール材で囲まれたガラス基板141、142間に液晶(不図示)を封入して、構成されている。ガラス基板141、142の液晶封入側とは反対側の各外面には、一対の前、後偏光板143、144がそれぞれ貼着されている。
【0020】
本例の液晶表示パネル14における一対のガラス基板141、142の面積は、表示面側となる前側ガラス基板141よりも後側ガラス基板142の方が大きく、これら大きさの異なるガラス基板141、142は後側ガラス基板142の一縁辺が前側ガラス基板141の対応する縁辺から突出する配置で接合されている。後側ガラス基板142の突出縁辺1421には、各電極から引き出された配線とその各端部の接続端子(不図示)が配設されて駆動回路部が形成されており、これら駆動回路部には駆動回路素子としてのドライバLSI145がCOG(Chip On Glass)搭載されている。そして、この駆動回路部の入力端子エリアには、フレキシブル配線基板146(FPC:Flexible Printed Circuit)が導通接合されている。なお、このフレキシブル配線基板146は、その表裏両面に導電パターンが形成されている両面配線基板で、本液晶表示モジュールの各部位に駆動制御信号を配信するためのメイン配線基板である。
【0021】
フレーム13の後室13b内には、サイドライト型の面発光照明パネル15が収容されている。本実施形態のサイドライト型面発光照明パネル15は、照射対象の液晶表示パネル14に大略対応した矩形をなす透明な導光板151の長手方向における一方の端部に、点光源としての発光ダイオード(以下、LED(Light-Emitting Diode)という)152が設置され、導光板151の液晶表示パネル14に対向させる前面1511とは反対側の後面1512に光反射シート153が設置されてなる。
【0022】
本実施形態では、LED152が2個設置され、導光板151の光反射シート153が設置された後面1512には、LED152から射出され導光板151内に入射した光を前面1511に向けて均一に反射させるための同心円状の凹凸パターン(不図示)が形成されている。LED152における光が射出される面とは反対側の背面には、フック部1521が凸設されている。
【0023】
導光板151のLED152が設置される端部には、一対の装着孔1513が所定位置に穿設されている。各々の装着孔1513は、大略、直方体状をなし、LED152の光射出面を密接させる面(光入射面)とは反対側の壁面には、係合突起1514が凸設されている。
【0024】
上述のような一対の装着孔1513を備えた導光板151は、例えば、ポリカーボネイト等の透明樹脂材料を用い、インジェクション成形法等で一括成形することにより、容易に製造することができる。この場合、係合突起1514は、透明樹脂材料で一体成形されているから、樹脂材料の弾性を備えた係合突起である。
【0025】
導光板151の前面1511には、光拡散シート16とプリズムシート17の2枚の光学シートが重畳設置されている。光拡散シート16は導光板15から面状に出射される照射光の輝度分布を均一化するために、プリズムシート17は照射光の出射方向を正面方向に揃えるために、それぞれ設置されている。
【0026】
そして、2枚の光学シート16、17が重畳設置された面発光照明パネル15は、後室13b内の所定位置に、背面パネル18に支持された状態で収納されている。背面パネル18は、フレーム後室13bの底面を閉じる配置で嵌合装着されている。
【0027】
前述した液晶表示パネル14のガラス基板142端部に導通接合されているフレキシブル配線基板146が、フレーム後室13b側に折り返され、その折り返し部が上記背面パネル18と収納ケース11の底板111との間に、配置されている。
【0028】
そして、そのフレキシブル配線基板146の折り返し部には、前述したLED152がCOF方式により直接搭載されている。この場合、背面パネル18に貫通孔181が穿設され、この貫通孔181に導光板151の装着孔1513に挿着されたLED152の足部を挿通させ、LED152の底面に凸設されている端子電極(不図示)がフレキシブル配線基板146上に形成されているLED通電用端子パッド(不図示)に半田接続されている。
【0029】
ここで、フレキシブル配線基板146はベースシートとしてポリイミド樹脂シート等の弾性を備えるシート材が用いられているため、それが後室13b側に折り返されることにより元の形状に復帰しようとする弾性復元力が発生する。この弾性復元力に基づき、フレキシブル配線基板146に搭載され装着孔1513に挿着されているLED152に対して脱装させる方向(LED足部を引っ張る方向)に弾性付勢力が作用し、LED152のフック1521が装着孔1513の係合突起1514に係合する。この弾性付勢力により、LED152がその光射出面を装着孔1513の光入射面に密接させた適正装着状態に保持される。
【0030】
上述のように構成された液晶表示ユニット1の背面には、一対の音源ユニット2、2が設置されている。各音源ユニット2は、図3に示されるように、圧電セラミックからなる圧電素子が設けられた円板状の圧電フィルム21と、その両面にそれぞれ前記圧電素子に導通貼着された一対の短冊状薄膜電極22a、22b、圧電フィルム21と液晶表示ユニット1における収納ケース底板111の外面との間に介装される切り欠きを設けた欠円形スペーサ23、圧電フィルム21とガイド板3との間に介装される円形スペーサ24、及び圧電フィルム21に薄膜電極22a、22bを介して音源信号電圧を印加するためのリード配線25a、25bからなる。なお、リード配線25a、25bと対応する薄膜電極22a、22bとは、それぞれ半田付けにより導通接続されている。
【0031】
ここで、欠円形スペーサ23は、ウレタンフォーム等の緩衝材料で形成され、圧電フィルム21の周縁部に弾性当接させてあり、円形スペーサ24は、ウレタンフォーム等の緩衝材料、或いは、硬質のゴム等で形成され、圧電フィルム21を前記ガイド板3に接着固定している。
【0032】
欠円形スペーサ23と円形スペーサ24は、それぞれ、圧電フィルム21が振動する際の振幅よりも大きい間隙を充分に確保するためのスペーサとして作用し、それぞれ圧電フィルム21の周縁部をその振動の節で支持することによって、前記圧電フィルム21に大きな振幅の振動を発生させることができる。
【0033】
また、前記欠円形スペーサ23と円形スペーサ24は、圧電フィルム21の振動を他の部材に伝えないためのクッションとして作用し、特に、本実施形態のような液晶表示モジュールの場合、液晶表示パネル14に振動が伝わるのを防止している。
【0034】
さらに、前記欠円形スペーサ23と円形スペーサ24は、圧電フィルム21が振動することによりその両面から発生する各音波間の干渉を防止するセパレータとして作用し、この場合、圧電フィルム21の後面とガイド板3との間に設置された円形スペーサ24は、圧電フィルム21の後面から発生する音波の前面(収納ケース底板111との対向面)側への伝播を防止するために円形に形成されて後面を全周にわたり囲繞している。これに対して、圧電フィルム21の前面側に設置された欠円形スペーサ23は、円形リングの一部を切欠いて開口部231を設けた欠円形に形成され、前面から発生する音波を伝播させるべき方向にその開口部231を位置させて設置されている。すなわち、欠円形スペーサ23の開口部231は、圧電フィルム21と収納ケース底板111間の欠円形スペーサ23によって囲まれた空間を後述する導音路に連通させており、これにより、圧電フィルム2121の前面から発生する音波が後面から発生する音波と干渉することなく開口部231から導音路に伝播され、クリアな音声が得られる。
【0035】
上述のように構成された一対の音源ユニット2、2は、それぞれ、液晶表示ユニット1を収納する収納ケース11の底板111と一対のガイド板3、3により囲繞されている。各ガイド板3は、図3に示されるように、音源素子収容部31と導音路形成部32とからなり、収納ケース11の板金材料と同じ材料で同じ板厚のステンレス板を板金加工して形成されている。
【0036】
音源素子収容部31は、平面形状が略正方形の扁平な音源素子収容空間を囲繞形成しており、略正方形をなす底板311とその3方の辺にそれぞれ立設された3枚の側板312、及び各側板312から外側に向けて直角方向にそれぞれ延出された3枚の取付け板313からなる。これら各側板312の高さ3hは、円形スペーサ24、欠円形スペーサ23を適度に圧縮して圧電セラミック板21を弾性挟持できる寸法に設定されている。なお、各取付け板313の端部が隣り合うコーナー部には、取付け板313が延出されていない隙間314が設けられている。
【0037】
底板311には、5個の細孔3111が十字の配置で穿設されている。これら細孔3111は、収容する音源ユニット2の圧電フィルム21に対向するエリアに穿設されており、圧電フィルム21の後面から発せられる不要な音波をガイド板3外に速やかに逸散させるために設けられている。これにより、不要な音波をガイド板3外の空間(適用機器内における本モジュール設置スペースの余剰空間)に速やかに逃がして吸収消滅させることができ、その結果、音源ユニット2から発せられる音声がよりクリアなものとなる。
【0038】
導音路形成部32は、音源素子収容部31における底板311の側板が立設されていない縁辺を所定幅wだけ延出させ、その延出部の3辺に路壁板321をそれぞれ垂直に立設させて形成されている。図2示すように、これら各路壁板321の高さH3 は、音源素子収容部31の高さh3 に液晶表示ユニット1の高さh1 を加えた寸法に設定されている。
【0039】
上述のように構成された一対のガイド板3、3は、それぞれ、音源ユニット2を音源素子収容部31に収容した状態で、各取付け板313を図示しない両面粘着テープ等の粘着部材により収納ケース底板111の外面の所定位置に貼り付けて装着されている。これにより、図1に示されるように、液晶表示パネル14の表示面の左右両サイド(表示面の長手方向を観察者に対する左右方向とした場合の)にガイド板3と音源ユニット2からなる一対のスピーカユニットの各導音路4が開口した液晶表示モジュールが完成する。なお、フレキシブル配線基板146は、収納ケース側板112に設けられた開口1121からモジュール外部に引き出され、適用される例えば携帯電話機における画像信号や音声信号を出力する駆動制御部に接続される。
【0040】
このスピーカ付液晶表示モジュールにおいては、図2に示されるように、各音源ユニット2がガイド板3の底板311と収納ケース底板111とで円形スペーサ24と欠円形スペーサ23を介して弾性挟持されるとともに、各ガイド板3の路壁板321と対応する収納ケース側板112とで一対の導音路4、4が囲繞形成されている。これら一対の導音路4、4は、それぞれ、一対の音源ユニット2、2の各収容空間に連通され、圧電セラミック板21が振動することによりその前面から発せられる有用な音波を欠円形スペーサ23の開口部231(図3参照)から液晶表示パネル14の前面(表示面)側に導くために設けられている。なお、各音源ユニット2のリード配線25a、25bは、各ガイド板3の隣り合う取付け板313間に設けられている隙間314(図3参照)から外部に引き出され、収納ケース底板111の中央部に穿設されている連通窓1111を通し、その内部に設置されているフレキシブル基板146の音源信号入力配線端子(不図示)に半田付けで導通接続されている。
【0041】
上述したスピーカユニットによれば、圧電フィルム21が入力される音源信号電圧に応じて振動することによりその前面から発せられる音波が、欠円形スペーサ23の開口部231から導音路4内に進行し、この導音路4内を伝播する間に或る程度音圧(音量)が増幅されてつまり拡声されて液晶表示パネル14の表示面(前面)側に放出される。ここで、本実施形態の導音路4は、同じ材料で且つ同じ厚さのステンレス板からなる収納ケース11とガイド板3で囲繞形成されているから、発振された音波が導音路4内において効率良く音圧が増幅されつつ円滑に伝播し、左右一対のスピーカユニットからばらつきの無い音声が得られる。これにより、本液晶表示モジュールの視聴者は、液晶表示パネル14に表示される映像を観察する際に、それに付随するクリアでダイナミックな音声を両スピーカユニットから均等に聴取できる。
【0042】
以上のように、本実施形態の液晶表示モジュールは、スピーカユニットの音源ユニット2だけを液晶表示ユニット1の背面(後面)側に重ねて設置し、この音源ユニット2から発せられる音波を液晶表示ユニット1の前面側に導く導音路4をモジュール側面に形成したから、音声発生手段つまりスピーカユニットを設けることに起因する液晶表示モジュール全体の面積と厚さの増加を可及的に小さく抑えることができる。その結果、スピーカユニット付き液晶表示モジュールを備える例えば携帯電話機等の適用製品機器の小型薄型化が促進される。
【0043】
そして、スピーカユニットの導音路4を液晶表示ユニット1の収納ケース11とガイド板3とで囲繞形成し、それら収納ケース11とガイド板3とを同一材料で同じ板厚のステンレス板を加工して形成したから、一対の音源ユニット2からそれぞれ発振された音波が各導音路4内を効率良く音圧が増幅されつつ円滑に伝播し、左右一対のスピーカユニットからばらつきの無い音声が得られる。
【0044】
また、音源ユニット2においては、圧電セラミック板21の両面に緩衝材で形成した欠円形スペーサ23と円形スペーサ24をそれぞれ設置し、圧電セラミック板21の両面から発せられる各音波の干渉を防止するとともに、欠円形スペーサ23を設置した面から発せられる有用な音波だけを選択的にスペーサ開口部231から導音路4を介してモジュール前面側へ放出させる構成としたから、よりクリアな音声が得られる。
【0045】
さらに、ガイド板3に細孔3111を穿設し、圧電セラミック板21の円形スペーサ24を設置した面から発せられる不用な音波を、前記細孔3111からモジュール外の空間に逃がして吸収消滅させる構成としたから、より一層クリアな音声が得られる。
【0046】
これにより、本液晶表示モジュールの視聴者は、液晶表示パネル14に表示される映像を観察する際に、それに付随するクリアでダイナミックな音声を両スピーカユニットから均等に聴取できる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、導音路を囲繞形成する液晶表示ユニット1の収納ケース11とガイド板3とを同一材料で同じ厚さのステンレス板で形成したが、これに限らず、音波の伝播特性が実質的に等しい材料であれば同一材料でなくてもよく、また厚さも、同一厚さに限定されるものではなく、最適な音声が得られる板厚比に設定されることが好ましい。
【0048】
また、本発明は、一対のスピーカユニットを設けた画像表示モジュールに限らず、1個或いは3個以上のスピーカユニットを設けた画像表示モジュールにも、有効に適用される。
【0049】
加えて、本発明は、バックライト付きの液晶表示モジュールに限らず、反射式液晶表示モジュール或いは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイ等の他の種々の平面型画像表示モジュールに広く適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態としてのスピーカ付き液晶表示モジュールを示す斜視図である。
【図2】上記液晶表示モジュールを図1のII−II線で切断して示す模式的断面図である。
【図3】上記液晶表示モジュールの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 液晶表示ユニット
11 収納ケース
111 底板
12 カバーパネル
13 フレーム
14 液晶表示パネル
141、142 ガラス基板
146 フレキシブル配線基板
15 面発光照明パネル
151 導光板
152 LED
153 光反射シート
16 光拡散シート
17 プリズムシート
18 背面パネル
2 音源ユニット
21 圧電セラミック板
22a、22b 短冊状薄膜電極
23 欠円形スペーサ
24 円形スペーサ
25a、25b リード配線
3 ガイド板
31 音源素子収容部
311 底板
3111 細孔
312 側板
313 取付け板
32 導音路形成部
321 路壁板
4 導音路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平型画像表示パネルと、
底板とその縁辺に立設された側板とからなり、前記平型画像表示パネルを表示面とは反対側の背面を前記底板に対向させて表示面が開放された配置で収容する外装ケースと、
前記外装ケースの前記底板の外側に設置された音源素子と、前記音源素子を取り囲み、且つ前記外装ケースとの間で前記音源素子から発せられる音波を前記平型画像表示パネルの表示面の観察側に導く導音路を形成するガイド板とを、
備えることを特徴とする平型画像表示モジュール。
【請求項2】
前記外装ケース及び前記ガイド板は、共に、ステンレス板を加工して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平型画像表示モジュール。
【請求項3】
前記音源素子は、その周縁部の両側をそれぞれ弾性を備えたスペーサを介し前記外装ケースと前記ガイド板とで挟持された状態で設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平型画像表示モジュール。
【請求項4】
前記音源素子は、その周縁部の一方の面をスペーサを介して前記ガイド板に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の平型画像表示モジュール。
【請求項5】
前記ガイド板は、前記外装ケースの底板の外側に位置し、前記音源素子をスペーサを介して固定する音源素子収容部と、前記外装ケースの側板との間に導音路を形成する導音路形成部とからなることを特徴とする請求項1に記載の平型画像表示モジュール。
【請求項6】
前記ガイド板と、このガイド板に固定された前記音源素子とによりスピーカユニットを形成し、このスピーカユニットが、前記外装ケースの対向する側板にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項4に記載の平型画像表示モジュール。
【請求項7】
前記平型画像表示パネルは、一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示パネルであり、前記音源素子は印加電圧に応じて振動する圧電フィルムの両面に一対の電極を導通設置してなる圧電スピーカであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちの何れかの請求項に記載の平型画像表示モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−11294(P2008−11294A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180762(P2006−180762)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】