平版印刷版の搬送構造体
【課題】平版印刷版の位置ズレを防止することのできる平版印刷版の搬送構造体を提供する。
【解決手段】搬送構造体10は、脚部26を有する架台22の載置面にPS版14の積層体を載置して成る構造体である。架台22には、横揺れを抑制する横揺れ抑制手段として、ストッパー30が取り付けられる。
【解決手段】搬送構造体10は、脚部26を有する架台22の載置面にPS版14の積層体を載置して成る構造体である。架台22には、横揺れを抑制する横揺れ抑制手段として、ストッパー30が取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版の搬送構造体に係り、特に、輸送時や荷役時の振動や衝撃で平版印刷版に品質故障を生じさせることのない平版印刷版の搬送構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の製版法(電子写真製版法を含む)では、製版工程の自動化を容易にすべく、感光性印刷版や感熱性印刷版等の平版印刷版が広く用いられている。平版印刷版は、一般にシート状又はコイル状のアルミニウム板等の支持体に、例えば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光層又は感熱層の塗布、乾燥処理を行った後に所望のサイズに切断されることにより製造される。製造後の平版印刷版は、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされる。そして、印刷機にセットされた平版印刷版にインクが塗布され、これが転写されることにより紙面に文字、画像等が印刷される。
【0003】
ところで、平版印刷版を荷扱いする際、多数枚の平版印刷版を厚さ方向に積層して平版印刷版束を構成し、その平版印刷版束を必要に応じてアルミクラフト紙などの遮光梱包材で梱包してパレットやスキッドなどの積載部材に積載し、梱包することが一般的に行なわれている。このような搬送構造体を採用することによって、荷扱いの回数を減らして運搬や保管を低コストで行うことができるとともに、運搬や保管中の平版印刷版の変形や損傷を防止することができる。
【0004】
特許文献1には、図15(a)、図15(b)に示すように、脚部付きの架台(スキッド)1に平版印刷版の包装体2を積層した搬送構造体が示されている。この搬送構造体によれば、フォークリフトなどでスキッドごと平版印刷版を運搬することができる。
【特許文献1】特開2005−29174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の搬送構造体は、トラック等で運搬した際、主に縦揺れの影響によってスキッド1が図15(a)、図15(b)に示す如く揺り籠状に横揺れするため、その衝撃によって数枚の平版印刷版が横に位置ズレするという問題があった。平版印刷版が位置ズレを起こした場合には、自動製版機にセットした際の自動送り出しが正常に作動しないという問題や、位置ズレ時に平版印刷版の表面(感光面や感熱面)が損傷するおそれがある。特に近年広く使用されるレーザ露光型の平版印刷版の場合は、それまでの平版印刷版に比較して製版面が弱いので、輸送時や荷役時の振動や衝撃で製版面が損傷を受けやすく、改善が求められていた。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、平版印刷版の位置ズレを防止することのできる平版印刷版の搬送構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、脚部を有する架台の載置面に平版印刷版の積層体を載置して成る平版印刷版の搬送構造体において、前記架台には、横揺れを抑制する横揺れ抑制手段が設けられることを特徴とする。請求項1の発明によれば、横揺れ抑制手段が設けられているので、運搬時に平版印刷版が位置ズレすることを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記横揺れ抑制手段は、前記脚部に着脱自在に取り付けられたストッパーであり、該ストッパーは床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする。請求項2の発明によれば、ストッパーの接地部分の最外側位置が載置面よりも外側に配置されるので、架台を安定させることができ、平版印刷版の横揺れを抑制することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、前記ストッパーは、前記脚部が挿入される溝が上面に形成されたブロック体であることを特徴とする。請求項3の発明によれば、ストッパーの溝に架台の脚部を挿入するだけで、ストッパーを装着することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は請求項1の発明において、前記横揺れ抑制手段は、前記架台の載置面よりも広い面積を有するベース部材であり、該ベース部材の上に前記架台が固定されることを特徴とする。請求項4の発明によれば、積載面よりも広い面積のベース部材に架台を固定するので、横揺れを抑制することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれか1の発明において、前記横揺れ抑制手段は、前記脚部の下方に敷設される振動吸収材であることを特徴とする。請求項5の発明によれば、脚部の下方に振動吸収材が設けられるので、横揺れを減少させることができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は請求項1の発明において、前記脚部は、床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする。請求項6の発明によれば、脚部の接地部分の最外側位置が載置面よりも外側に配置されるので、架台を安定させることができ、架台の横揺れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、架台に横揺れ抑制手段が設けられているので、運搬時に平版印刷版が位置ズレすることを防止することができる。したがって、自動製版機にセットした際に平版印刷版の自動供給を確実に行うことができるとともに、位置ズレによる平版印刷版の品質低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明に係る平版印刷版の搬送構造体の好ましい実施の形態について説明する。
【0015】
図1は本実施の形態における搬送構造体10の構成を示す斜視図であり、スキッド(脚部を有する架台に相当)22からストッパー30、30を外した状態を示している。図2は、図1の包装体12の内部構成を示す斜視図である。図3、図4は図1の搬送構造体10の正面図、側面図を示しており、ストッパー30、30を点線で示している。
【0016】
これらの図に示す搬送構造体10は、多数枚の平版印刷版14(以下、PS版という)を包装体12として搬送する搬送形態である。包装体12は、図2に示すように、積載板16の上に載置されたPS版14の積層束を内装材18で包装することによって製造される。積載板16は塩化ビニル製、若しくは塩化ビニル製架台に保護用厚紙を接着手段により一体化したものであり、後述のスキッド板24よりも小さい矩形状に形成されている。また、積載板16は、PS版14よりも大きいものが使用され、PS版14を積層する際には、PS版14の一つのコーナ部が、積載板16の一つのコーナ部に合わされることが好ましい。
【0017】
PS版14の積層束は、PS版14と合紙(不図示)とを交互に厚み方向に重ね合わせて積層したものであり、積層方向の両端面またはPS版14の所定枚数ごとに保護用厚紙(不図示)が挿入されている。PS版14は、長方形の板状に形成された薄いアルミニウム製の支持体上に、塗布膜(感光性印刷版の場合には感光層、感熱性印刷版の場合には感熱層、さらに必要に応じてオーバーコート層やマット層等)を塗布して製造されたものである。この塗布膜に、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされ、インクが塗布されることで、紙面に文字、画像等が印刷される。なお、本実施の形態のPS版14は、印刷に必要な処理(露光や現像等)が施される前段階のものである。また、1つの積層束を構成するPS版14の枚数は、特に限定するものではないが、運搬や保管の効率化の観点等から例えば10枚〜500枚とすることもできる。PS版14を10枚以上とすることで、荷扱いの効率化を図ることができ、500枚以下とすることで、積層束自体の重量が制限され、荷扱いにおける作業負荷が軽減される。さらに多数枚のPS版によって積層束を構成し、より効率的(少ない荷扱いの回数で)に運搬や保管ができるようにすることも可能である。例えば、PS版14の枚数を500枚〜3000枚程度としても構わない。また、PS版14の種類によっては、合紙及び保護用厚紙のいずれか一方若しくは双方を省略して積層束を構成してもよい。
【0018】
PS版14の積層束の上には、天面部材20が積層される。天面部材20は、厚紙若しくは厚紙の両面にポリエチレンをラミネートした素材で作製されるとともに、その表面形状はPS版14と同形で同じ大きさに形成されており、PS版14の積層束上に少なくとも一枚以上載置される。
【0019】
積載板16、PS版14の積層束、及び、天面部材20は、内装紙18によって包装される。内装紙18は、遮光性及び防湿性を有する紙によって構成されており、この内装紙18を使用して、PS版14が外部から完全に遮断されるように包装される。内装紙18の材質は、PS版14の積層束を完全に外部から遮断可能であれば特に限定されないが、例えば1枚の長方形状のクラフト紙を用いることができる。また、このクラフト紙に、所定の厚さの金属薄膜を貼着し、場合によってはこの金属薄膜上に所定の厚さの樹脂層を貼り合わせて構成されたものを使用してもよい。さらに金属薄膜に10〜70μmの低密度ポリエチレン層を貼着したり、その低密度ポリエチレン層に70μm程度の黒ポリエチレンフィルムを貼り合わせたりして、遮光性及び防湿性を高めた物を使用することもできる。一般に、感光性印刷版は感光性が高く、僅かな可視光波長帯域の光によって露光されても感光層に変化が生じるため、遮光する必要がある。また、感熱性印刷板も、当たる光の熱エネルギーによって感熱層が変質したり、反応進行によって感度変化が起こったりする場合があるため、適度な遮光を行うことが好ましい。さらに、急激な湿度変化や温度変化を受けると、いずれの印刷板も、感光層又は感熱層に結露が発生して変質したり、合紙と接着したりする等の不都合があるため、防湿する必要が生じる。内装紙18は上記したように構成されることで一定の遮光性及び防湿性を有するため、PS版14の感光層又は感熱層の変質が防止され、PS版14は一定の品質に維持される。
【0020】
内装紙18の形状及び内装構造(内装紙18の折り方)等は、PS版14の積層束を防湿及び遮光可能であれば特に限定されるものではないが、積載板16の側面に接着手段により内装紙18を接着しながら積層束の周囲を囲み、積層束を包囲した短辺部の内装紙18を天面部材20に向けて先に折り込み、この後、長辺部の内装紙18を天面部材20に向けて折り込むことによって、うまく内装紙18を折り込むことができる。内装後は、粘着テープ等の固定手段によって内装紙18の折込部を貼り付けることが好ましい。
【0021】
なお、包装体12の内部構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば所定枚数のPS版14ごとに包装し、その包装体を複数積層するようにしてもよい。
【0022】
上記の様に包装体12は、スキッド22で構成される。スキッド22は、長方形状のスキッド板(載置面に相当)24と、スキッド板24の下面に取り付けられた脚部26、26とで構成される。脚部26は、一本のパイプを屈曲することによって略U状に形成されている(図4参照)。すなわち、脚部26は、二つの垂直部分を水平部分で連結し、さらにその垂直部分と水平部分との連結部を円弧状にした形状に形成されている。この二本の脚部26、26によって、スキッド板24は床面から離れた位置に支持されており、スキッド板24の下側にフォークリフトのフォーク(不図示)を挿入することによって、スキッド22全体を持ち上げられるようになっている。
【0023】
前述した包装体12は、スキッド22のスキッド板24の上に載置され、その包装体23の上に天板32が載置される。天板32は、スキッド板24と略同形の板状、すなわち長方形状に形成される。天板32が包装体12上に載置された後、天板32とスキッド板24には固定用バンド34が巻き付けられる。これにより、包装体12が天板32とスキッド板24との間に固定される。なお、天板32を使用せずに、包装体12をスキッド板24に固定するようにしてもよい。
【0024】
次に本発明の特徴部分であるストッパー30について説明する。図1に示すように、ストッパー30は、直方体状のブロックによって構成される。ストッパー30の材質は特に限定するものではないが、たとえば、樹脂や木材などのほか、発泡スチロールや硬質ゴムなどの緩衝材を用いることもできる。
【0025】
ストッパー30の上面には、スキッド22の脚部26が挿入される有底状の溝36が形成されている。この溝36に脚部26を挿入することによって、スキッド板24がストッパー30の上面に係合されて支持される。
【0026】
ストッパー30の幅W1(図4参照)は、スキッド板24の幅W2よりも大きく形成されており、ストッパー30をスキッド22に装着した際に、ストッパー30の両端部がスキッド板24の両側に突出するようになっている。その際、片側の突出量aは、大きいほどスキッド22を安定させることができる反面、輸送効率が悪くなるので、0〜200mmが好ましく、0〜50mmがより好ましく、2〜20mmがさらに好ましい。なお、突出量aを0としても(すなわち、W1とW2を等しくしても)よい。
【0027】
次に上記の如く構成された搬送構造体10の作用について説明する。
【0028】
ストッパー30を用いずに搬送を行った場合(すなわち従来の場合)、脚部26が床面に対して接地する範囲は、スキッド板24よりも内側になる。すなわち、脚部26が床面に対して最も外側で接地する点Q(図4参照:以下、最外側接地点という)は、スキッド板24の幅方向の端面よりも内側となる。この場合、包装体12を載置したスキッド22は、横揺れを起こしやすいという問題が発生する。特にスキッド22の脚部26は通常、円弧状に屈曲しているため、振動により横揺れを起こしやすいという問題が発生する。スキッド22が横揺れを起こした場合、包装体12内のPS版14が位置ズレを起こしやすくなり、自動製版機での送り出し不良が発生する。
【0029】
そこで、本実施の形態では、スキッド22の脚部26、26にストッパー30、30を装着している。ストッパー30、30は、スキッド板24よりも広い幅で形成されており、ストッパー30、30を脚部26、26に装着した際に、ストッパー30の両端部はスキッド板24よりも突出して配置される。すなわち、ストッパー30、30の最外側接地点P、Pは、スキッド板24の外側に配置される。このような搬送形態とすることによって、スキッド22を安定させることができ、スキッド22の横揺れを抑制することができる。これにより、包装体12内のPS版14が横揺れによって位置ズレを起こすことを防止することができる。
【0030】
このように本実施の形態によれば、ストッパー30をスキッド22に取り付けて横揺れを防止したので、PS版14の位置ズレを防止することができる。特に本実施の形態では、ストッパー30がスキッド22に着脱自在に装着されるので、従来のスキッド22を用いることができ、コストを大幅に増加させることなく、PS版14の位置ズレを防止することができる。
【0031】
なお、ストッパー30の形状は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば溝36の代わりに、上下に貫通される孔を形成し、この孔にスキッド22の脚部26を挿入するようにしてもよい。また、図5に示すように、断面U状のストッパー40を用いてもよい。この場合にも、中央の溝42にスキッド22の脚部26を挿入することによって、ストッパー40をスキッド22に装着することができる。
【0032】
図6に示すストッパー44は、図1、図4に示したストッパー30に対して、スキッド板24の横側から上面側に延びる弾性係合部46を備えている。このストッパー44によれば、弾性係合部46がスキッド板24に係合するので、ストッパー44をより確実にスキッド22に取り付けることができる。
【0033】
図7には、小型のストッパー50、50が示されている。このストッパー50は、脚部26の垂直部分に嵌合されるC状嵌合部52と、このC状嵌合部52を支持する垂直の支柱部54と、支柱部54の下部が連結されるとともにC状嵌合部52の反対側に延設された接地部56とで構成される。このストッパー50によれば、C状嵌合部52を脚部26の垂直部分に嵌合させることによって接地部56が外側に配置されるので、床面との接地範囲が広くなり、スキッド22を安定させることができる。なお、ストッパー50の場合にも、床面との最外側接地点がスキッド板24の外側となることが好ましい。また、ストッパー50は、C状嵌合部52や接地部56が支柱部54に対して折り畳み可能または分離可能となることが好ましい。
【0034】
次に第2の実施形態の搬送構造体について図8、図9に基づいて説明する。
【0035】
これらの図に示すように、第2の搬送構造体60は、スキッド22、22、22がパレット(ベース部材に相当)62の上に固定されている。パレット62全体は、スキッド板24よりも広い面積を有する矩形の板状に形成されている。また、パレット62には、フォークリフトのフォーク(不図示)を挿入可能な孔64、64…が形成されている。
【0036】
スキッド22は図9に示すようにパレット62の上に載置された後、結束バンド66によって固定される。結束バンド66は、特に限定するものではないが、パレット62の孔64に挿入してスキッド22に巻き付けることが好ましい。
【0037】
上記の如く構成された第2の実施形態によれば、スキッド板24よりも面積の大きいパレット62上にスキッド22を固定するようにしたので、より安定した状態で搬送を行うことができる。
【0038】
なお、上述した第2の実施形態では、パレット62に三個のスキッド22を固定するようにしたが、固定するスキッド22の個数は二個以下でも四個以上であってもよい。
【0039】
また、上述した第2の実施形態では、各スキッド22をパレット62に固定するために結束バンド66を用いたが、固定手段はこれに限定するものではなく、たとえば、図10に示すように、伸縮性を有するストレッチフィルム68であってもよい。ストレッチフィルム68としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の単層フイルム、またはこれらを組み合わせた多層フイルムを適用することができ、その厚みは15〜50μmで、120〜200%伸長できるものが好適である。さらに、ストレッチフィルム68は、120〜200%伸長させて使用することが好ましく、これによって、ストレッチフィルム68が縮もうとする復元力によって、スキッド22及び包装体12を強固に固定することができる。なお、ストレッチフィルム68の代わりに熱収縮性のフイルムを使用した場合には、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の単層フイルム、又はこれらの組み合わせた多層フイルムを適用することができ、その厚みは100〜200μmのものが好適である。
【0040】
また、上述した第2の実施形態では、パレット62を用いて複数のスキッド22、22…を固定するようにしたが、これに限定するものではなく、たとえば、図11、図12に示すブロック70、70を用いて固定するようにしてもよい。ブロック70は、細長い直方体状に形成されており、その長さはスキッド板24三個分の幅W2×3よりも長く形成されている。したがって、二つのブロック70、70に跨がるようにして三個のスキッド22、22…を載置することができる。各スキッド22はバンド72によってブロック70に固定される。このように構成された搬送構造体によれば、スキッド板24よりも接地幅の広いブロック70によって各スキッド22が支持されるので、横揺れを防止することができる。
【0041】
図13は、第3の実施形態の搬送構造体80を示す側面図である。同図に示す搬送構造体80は、スキッド22の下側に振動吸収部材82が敷設されている。振動吸収部材82は、振動を吸収可能なものであればよく、たとえば防振ゴム、エアクッション、発泡緩衝材などが使用される。振動吸収部材82は、脚部26に固定してもよいし、脚部26を載置するだけでもよい。また、振動吸収部材82の上面に、脚部26を位置決めするための断面円弧状の溝を形成してもよい。
【0042】
上記の如く構成された第3の実施形態によれば、床面からスキッド22に伝わる振動を振動吸収部材82によって吸収することができるので、スキッド22の振動を抑制することができ、スキッド22の横揺れを防止することができる。
【0043】
なお、第3の実施形態を上述した第1、2の実施形態に組み合わせてもよい。すなわち、ストッパー30、40、44の下側や、架台62の下側に振動吸収部材82を敷設してもよい。
【0044】
図14は、第4の実施形態の搬送構造体を示す側面図である。同図に示す搬送構造体90は、スキッド22の脚部92がスキッド板24の外側に突出するように屈曲されており、脚部92の最外側接地点R、Rは、平面視でスキッド板24の端面と同じ位置またはその外側に配置されている。これにより、スキッド22を安定させることができ、包装体12内のPS版14の位置ズレを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態の搬送構造体の構造を示す斜視図
【図2】包装体の内部構成を示す斜視図
【図3】図1の搬送構造体の正面図
【図4】図1の搬送構造体の側面図
【図5】図1と異なる形状のストッパーを示す斜視図
【図6】図4と異なる形状のストッパーを示す側面図
【図7】図1と異なる構成のストッパーを示す斜視図
【図8】第2の実施形態の搬送構造体の構造を示す側面図
【図9】図8の搬送構造体の構成を示す正面図
【図10】図8と異なる固定手段を有する搬送構造体を示す側面図
【図11】図8と異なる構成の搬送構造体を示す側面図
【図12】図11の搬送構造体の正面図
【図13】第3の実施形態の搬送構造体の構造を示す側面図
【図14】第4の実施形態の搬送構造体の構造を示す側面図
【図15】従来の搬送構造体の説明図
【符号の説明】
【0046】
10…搬送構造体、12…包装体、14…PS版、16…積載板、18…内装紙、20…天面部材、22…スキッド、24…スキッド板、26…脚部、30…ストッパー、32…天板、34…固定用バンド、36…溝、40…ストッパー、42…溝、44…ストッパー、46…弾性係合部、50…ストッパー、52…C状嵌合部、54…支柱部、56…接地部、60…搬送構造体、62…パレット、64…孔、66…結束バンド、68…ストレッチフィルム、70…ブロック、72…バンド、80…搬送構造体、82…振動吸収部材、90…搬送構造体、92…脚部
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版の搬送構造体に係り、特に、輸送時や荷役時の振動や衝撃で平版印刷版に品質故障を生じさせることのない平版印刷版の搬送構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の製版法(電子写真製版法を含む)では、製版工程の自動化を容易にすべく、感光性印刷版や感熱性印刷版等の平版印刷版が広く用いられている。平版印刷版は、一般にシート状又はコイル状のアルミニウム板等の支持体に、例えば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光層又は感熱層の塗布、乾燥処理を行った後に所望のサイズに切断されることにより製造される。製造後の平版印刷版は、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされる。そして、印刷機にセットされた平版印刷版にインクが塗布され、これが転写されることにより紙面に文字、画像等が印刷される。
【0003】
ところで、平版印刷版を荷扱いする際、多数枚の平版印刷版を厚さ方向に積層して平版印刷版束を構成し、その平版印刷版束を必要に応じてアルミクラフト紙などの遮光梱包材で梱包してパレットやスキッドなどの積載部材に積載し、梱包することが一般的に行なわれている。このような搬送構造体を採用することによって、荷扱いの回数を減らして運搬や保管を低コストで行うことができるとともに、運搬や保管中の平版印刷版の変形や損傷を防止することができる。
【0004】
特許文献1には、図15(a)、図15(b)に示すように、脚部付きの架台(スキッド)1に平版印刷版の包装体2を積層した搬送構造体が示されている。この搬送構造体によれば、フォークリフトなどでスキッドごと平版印刷版を運搬することができる。
【特許文献1】特開2005−29174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の搬送構造体は、トラック等で運搬した際、主に縦揺れの影響によってスキッド1が図15(a)、図15(b)に示す如く揺り籠状に横揺れするため、その衝撃によって数枚の平版印刷版が横に位置ズレするという問題があった。平版印刷版が位置ズレを起こした場合には、自動製版機にセットした際の自動送り出しが正常に作動しないという問題や、位置ズレ時に平版印刷版の表面(感光面や感熱面)が損傷するおそれがある。特に近年広く使用されるレーザ露光型の平版印刷版の場合は、それまでの平版印刷版に比較して製版面が弱いので、輸送時や荷役時の振動や衝撃で製版面が損傷を受けやすく、改善が求められていた。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、平版印刷版の位置ズレを防止することのできる平版印刷版の搬送構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、脚部を有する架台の載置面に平版印刷版の積層体を載置して成る平版印刷版の搬送構造体において、前記架台には、横揺れを抑制する横揺れ抑制手段が設けられることを特徴とする。請求項1の発明によれば、横揺れ抑制手段が設けられているので、運搬時に平版印刷版が位置ズレすることを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記横揺れ抑制手段は、前記脚部に着脱自在に取り付けられたストッパーであり、該ストッパーは床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする。請求項2の発明によれば、ストッパーの接地部分の最外側位置が載置面よりも外側に配置されるので、架台を安定させることができ、平版印刷版の横揺れを抑制することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、前記ストッパーは、前記脚部が挿入される溝が上面に形成されたブロック体であることを特徴とする。請求項3の発明によれば、ストッパーの溝に架台の脚部を挿入するだけで、ストッパーを装着することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は請求項1の発明において、前記横揺れ抑制手段は、前記架台の載置面よりも広い面積を有するベース部材であり、該ベース部材の上に前記架台が固定されることを特徴とする。請求項4の発明によれば、積載面よりも広い面積のベース部材に架台を固定するので、横揺れを抑制することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれか1の発明において、前記横揺れ抑制手段は、前記脚部の下方に敷設される振動吸収材であることを特徴とする。請求項5の発明によれば、脚部の下方に振動吸収材が設けられるので、横揺れを減少させることができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は請求項1の発明において、前記脚部は、床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする。請求項6の発明によれば、脚部の接地部分の最外側位置が載置面よりも外側に配置されるので、架台を安定させることができ、架台の横揺れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、架台に横揺れ抑制手段が設けられているので、運搬時に平版印刷版が位置ズレすることを防止することができる。したがって、自動製版機にセットした際に平版印刷版の自動供給を確実に行うことができるとともに、位置ズレによる平版印刷版の品質低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明に係る平版印刷版の搬送構造体の好ましい実施の形態について説明する。
【0015】
図1は本実施の形態における搬送構造体10の構成を示す斜視図であり、スキッド(脚部を有する架台に相当)22からストッパー30、30を外した状態を示している。図2は、図1の包装体12の内部構成を示す斜視図である。図3、図4は図1の搬送構造体10の正面図、側面図を示しており、ストッパー30、30を点線で示している。
【0016】
これらの図に示す搬送構造体10は、多数枚の平版印刷版14(以下、PS版という)を包装体12として搬送する搬送形態である。包装体12は、図2に示すように、積載板16の上に載置されたPS版14の積層束を内装材18で包装することによって製造される。積載板16は塩化ビニル製、若しくは塩化ビニル製架台に保護用厚紙を接着手段により一体化したものであり、後述のスキッド板24よりも小さい矩形状に形成されている。また、積載板16は、PS版14よりも大きいものが使用され、PS版14を積層する際には、PS版14の一つのコーナ部が、積載板16の一つのコーナ部に合わされることが好ましい。
【0017】
PS版14の積層束は、PS版14と合紙(不図示)とを交互に厚み方向に重ね合わせて積層したものであり、積層方向の両端面またはPS版14の所定枚数ごとに保護用厚紙(不図示)が挿入されている。PS版14は、長方形の板状に形成された薄いアルミニウム製の支持体上に、塗布膜(感光性印刷版の場合には感光層、感熱性印刷版の場合には感熱層、さらに必要に応じてオーバーコート層やマット層等)を塗布して製造されたものである。この塗布膜に、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされ、インクが塗布されることで、紙面に文字、画像等が印刷される。なお、本実施の形態のPS版14は、印刷に必要な処理(露光や現像等)が施される前段階のものである。また、1つの積層束を構成するPS版14の枚数は、特に限定するものではないが、運搬や保管の効率化の観点等から例えば10枚〜500枚とすることもできる。PS版14を10枚以上とすることで、荷扱いの効率化を図ることができ、500枚以下とすることで、積層束自体の重量が制限され、荷扱いにおける作業負荷が軽減される。さらに多数枚のPS版によって積層束を構成し、より効率的(少ない荷扱いの回数で)に運搬や保管ができるようにすることも可能である。例えば、PS版14の枚数を500枚〜3000枚程度としても構わない。また、PS版14の種類によっては、合紙及び保護用厚紙のいずれか一方若しくは双方を省略して積層束を構成してもよい。
【0018】
PS版14の積層束の上には、天面部材20が積層される。天面部材20は、厚紙若しくは厚紙の両面にポリエチレンをラミネートした素材で作製されるとともに、その表面形状はPS版14と同形で同じ大きさに形成されており、PS版14の積層束上に少なくとも一枚以上載置される。
【0019】
積載板16、PS版14の積層束、及び、天面部材20は、内装紙18によって包装される。内装紙18は、遮光性及び防湿性を有する紙によって構成されており、この内装紙18を使用して、PS版14が外部から完全に遮断されるように包装される。内装紙18の材質は、PS版14の積層束を完全に外部から遮断可能であれば特に限定されないが、例えば1枚の長方形状のクラフト紙を用いることができる。また、このクラフト紙に、所定の厚さの金属薄膜を貼着し、場合によってはこの金属薄膜上に所定の厚さの樹脂層を貼り合わせて構成されたものを使用してもよい。さらに金属薄膜に10〜70μmの低密度ポリエチレン層を貼着したり、その低密度ポリエチレン層に70μm程度の黒ポリエチレンフィルムを貼り合わせたりして、遮光性及び防湿性を高めた物を使用することもできる。一般に、感光性印刷版は感光性が高く、僅かな可視光波長帯域の光によって露光されても感光層に変化が生じるため、遮光する必要がある。また、感熱性印刷板も、当たる光の熱エネルギーによって感熱層が変質したり、反応進行によって感度変化が起こったりする場合があるため、適度な遮光を行うことが好ましい。さらに、急激な湿度変化や温度変化を受けると、いずれの印刷板も、感光層又は感熱層に結露が発生して変質したり、合紙と接着したりする等の不都合があるため、防湿する必要が生じる。内装紙18は上記したように構成されることで一定の遮光性及び防湿性を有するため、PS版14の感光層又は感熱層の変質が防止され、PS版14は一定の品質に維持される。
【0020】
内装紙18の形状及び内装構造(内装紙18の折り方)等は、PS版14の積層束を防湿及び遮光可能であれば特に限定されるものではないが、積載板16の側面に接着手段により内装紙18を接着しながら積層束の周囲を囲み、積層束を包囲した短辺部の内装紙18を天面部材20に向けて先に折り込み、この後、長辺部の内装紙18を天面部材20に向けて折り込むことによって、うまく内装紙18を折り込むことができる。内装後は、粘着テープ等の固定手段によって内装紙18の折込部を貼り付けることが好ましい。
【0021】
なお、包装体12の内部構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば所定枚数のPS版14ごとに包装し、その包装体を複数積層するようにしてもよい。
【0022】
上記の様に包装体12は、スキッド22で構成される。スキッド22は、長方形状のスキッド板(載置面に相当)24と、スキッド板24の下面に取り付けられた脚部26、26とで構成される。脚部26は、一本のパイプを屈曲することによって略U状に形成されている(図4参照)。すなわち、脚部26は、二つの垂直部分を水平部分で連結し、さらにその垂直部分と水平部分との連結部を円弧状にした形状に形成されている。この二本の脚部26、26によって、スキッド板24は床面から離れた位置に支持されており、スキッド板24の下側にフォークリフトのフォーク(不図示)を挿入することによって、スキッド22全体を持ち上げられるようになっている。
【0023】
前述した包装体12は、スキッド22のスキッド板24の上に載置され、その包装体23の上に天板32が載置される。天板32は、スキッド板24と略同形の板状、すなわち長方形状に形成される。天板32が包装体12上に載置された後、天板32とスキッド板24には固定用バンド34が巻き付けられる。これにより、包装体12が天板32とスキッド板24との間に固定される。なお、天板32を使用せずに、包装体12をスキッド板24に固定するようにしてもよい。
【0024】
次に本発明の特徴部分であるストッパー30について説明する。図1に示すように、ストッパー30は、直方体状のブロックによって構成される。ストッパー30の材質は特に限定するものではないが、たとえば、樹脂や木材などのほか、発泡スチロールや硬質ゴムなどの緩衝材を用いることもできる。
【0025】
ストッパー30の上面には、スキッド22の脚部26が挿入される有底状の溝36が形成されている。この溝36に脚部26を挿入することによって、スキッド板24がストッパー30の上面に係合されて支持される。
【0026】
ストッパー30の幅W1(図4参照)は、スキッド板24の幅W2よりも大きく形成されており、ストッパー30をスキッド22に装着した際に、ストッパー30の両端部がスキッド板24の両側に突出するようになっている。その際、片側の突出量aは、大きいほどスキッド22を安定させることができる反面、輸送効率が悪くなるので、0〜200mmが好ましく、0〜50mmがより好ましく、2〜20mmがさらに好ましい。なお、突出量aを0としても(すなわち、W1とW2を等しくしても)よい。
【0027】
次に上記の如く構成された搬送構造体10の作用について説明する。
【0028】
ストッパー30を用いずに搬送を行った場合(すなわち従来の場合)、脚部26が床面に対して接地する範囲は、スキッド板24よりも内側になる。すなわち、脚部26が床面に対して最も外側で接地する点Q(図4参照:以下、最外側接地点という)は、スキッド板24の幅方向の端面よりも内側となる。この場合、包装体12を載置したスキッド22は、横揺れを起こしやすいという問題が発生する。特にスキッド22の脚部26は通常、円弧状に屈曲しているため、振動により横揺れを起こしやすいという問題が発生する。スキッド22が横揺れを起こした場合、包装体12内のPS版14が位置ズレを起こしやすくなり、自動製版機での送り出し不良が発生する。
【0029】
そこで、本実施の形態では、スキッド22の脚部26、26にストッパー30、30を装着している。ストッパー30、30は、スキッド板24よりも広い幅で形成されており、ストッパー30、30を脚部26、26に装着した際に、ストッパー30の両端部はスキッド板24よりも突出して配置される。すなわち、ストッパー30、30の最外側接地点P、Pは、スキッド板24の外側に配置される。このような搬送形態とすることによって、スキッド22を安定させることができ、スキッド22の横揺れを抑制することができる。これにより、包装体12内のPS版14が横揺れによって位置ズレを起こすことを防止することができる。
【0030】
このように本実施の形態によれば、ストッパー30をスキッド22に取り付けて横揺れを防止したので、PS版14の位置ズレを防止することができる。特に本実施の形態では、ストッパー30がスキッド22に着脱自在に装着されるので、従来のスキッド22を用いることができ、コストを大幅に増加させることなく、PS版14の位置ズレを防止することができる。
【0031】
なお、ストッパー30の形状は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば溝36の代わりに、上下に貫通される孔を形成し、この孔にスキッド22の脚部26を挿入するようにしてもよい。また、図5に示すように、断面U状のストッパー40を用いてもよい。この場合にも、中央の溝42にスキッド22の脚部26を挿入することによって、ストッパー40をスキッド22に装着することができる。
【0032】
図6に示すストッパー44は、図1、図4に示したストッパー30に対して、スキッド板24の横側から上面側に延びる弾性係合部46を備えている。このストッパー44によれば、弾性係合部46がスキッド板24に係合するので、ストッパー44をより確実にスキッド22に取り付けることができる。
【0033】
図7には、小型のストッパー50、50が示されている。このストッパー50は、脚部26の垂直部分に嵌合されるC状嵌合部52と、このC状嵌合部52を支持する垂直の支柱部54と、支柱部54の下部が連結されるとともにC状嵌合部52の反対側に延設された接地部56とで構成される。このストッパー50によれば、C状嵌合部52を脚部26の垂直部分に嵌合させることによって接地部56が外側に配置されるので、床面との接地範囲が広くなり、スキッド22を安定させることができる。なお、ストッパー50の場合にも、床面との最外側接地点がスキッド板24の外側となることが好ましい。また、ストッパー50は、C状嵌合部52や接地部56が支柱部54に対して折り畳み可能または分離可能となることが好ましい。
【0034】
次に第2の実施形態の搬送構造体について図8、図9に基づいて説明する。
【0035】
これらの図に示すように、第2の搬送構造体60は、スキッド22、22、22がパレット(ベース部材に相当)62の上に固定されている。パレット62全体は、スキッド板24よりも広い面積を有する矩形の板状に形成されている。また、パレット62には、フォークリフトのフォーク(不図示)を挿入可能な孔64、64…が形成されている。
【0036】
スキッド22は図9に示すようにパレット62の上に載置された後、結束バンド66によって固定される。結束バンド66は、特に限定するものではないが、パレット62の孔64に挿入してスキッド22に巻き付けることが好ましい。
【0037】
上記の如く構成された第2の実施形態によれば、スキッド板24よりも面積の大きいパレット62上にスキッド22を固定するようにしたので、より安定した状態で搬送を行うことができる。
【0038】
なお、上述した第2の実施形態では、パレット62に三個のスキッド22を固定するようにしたが、固定するスキッド22の個数は二個以下でも四個以上であってもよい。
【0039】
また、上述した第2の実施形態では、各スキッド22をパレット62に固定するために結束バンド66を用いたが、固定手段はこれに限定するものではなく、たとえば、図10に示すように、伸縮性を有するストレッチフィルム68であってもよい。ストレッチフィルム68としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状ポリエチレン(LLDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の単層フイルム、またはこれらを組み合わせた多層フイルムを適用することができ、その厚みは15〜50μmで、120〜200%伸長できるものが好適である。さらに、ストレッチフィルム68は、120〜200%伸長させて使用することが好ましく、これによって、ストレッチフィルム68が縮もうとする復元力によって、スキッド22及び包装体12を強固に固定することができる。なお、ストレッチフィルム68の代わりに熱収縮性のフイルムを使用した場合には、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の単層フイルム、又はこれらの組み合わせた多層フイルムを適用することができ、その厚みは100〜200μmのものが好適である。
【0040】
また、上述した第2の実施形態では、パレット62を用いて複数のスキッド22、22…を固定するようにしたが、これに限定するものではなく、たとえば、図11、図12に示すブロック70、70を用いて固定するようにしてもよい。ブロック70は、細長い直方体状に形成されており、その長さはスキッド板24三個分の幅W2×3よりも長く形成されている。したがって、二つのブロック70、70に跨がるようにして三個のスキッド22、22…を載置することができる。各スキッド22はバンド72によってブロック70に固定される。このように構成された搬送構造体によれば、スキッド板24よりも接地幅の広いブロック70によって各スキッド22が支持されるので、横揺れを防止することができる。
【0041】
図13は、第3の実施形態の搬送構造体80を示す側面図である。同図に示す搬送構造体80は、スキッド22の下側に振動吸収部材82が敷設されている。振動吸収部材82は、振動を吸収可能なものであればよく、たとえば防振ゴム、エアクッション、発泡緩衝材などが使用される。振動吸収部材82は、脚部26に固定してもよいし、脚部26を載置するだけでもよい。また、振動吸収部材82の上面に、脚部26を位置決めするための断面円弧状の溝を形成してもよい。
【0042】
上記の如く構成された第3の実施形態によれば、床面からスキッド22に伝わる振動を振動吸収部材82によって吸収することができるので、スキッド22の振動を抑制することができ、スキッド22の横揺れを防止することができる。
【0043】
なお、第3の実施形態を上述した第1、2の実施形態に組み合わせてもよい。すなわち、ストッパー30、40、44の下側や、架台62の下側に振動吸収部材82を敷設してもよい。
【0044】
図14は、第4の実施形態の搬送構造体を示す側面図である。同図に示す搬送構造体90は、スキッド22の脚部92がスキッド板24の外側に突出するように屈曲されており、脚部92の最外側接地点R、Rは、平面視でスキッド板24の端面と同じ位置またはその外側に配置されている。これにより、スキッド22を安定させることができ、包装体12内のPS版14の位置ズレを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態の搬送構造体の構造を示す斜視図
【図2】包装体の内部構成を示す斜視図
【図3】図1の搬送構造体の正面図
【図4】図1の搬送構造体の側面図
【図5】図1と異なる形状のストッパーを示す斜視図
【図6】図4と異なる形状のストッパーを示す側面図
【図7】図1と異なる構成のストッパーを示す斜視図
【図8】第2の実施形態の搬送構造体の構造を示す側面図
【図9】図8の搬送構造体の構成を示す正面図
【図10】図8と異なる固定手段を有する搬送構造体を示す側面図
【図11】図8と異なる構成の搬送構造体を示す側面図
【図12】図11の搬送構造体の正面図
【図13】第3の実施形態の搬送構造体の構造を示す側面図
【図14】第4の実施形態の搬送構造体の構造を示す側面図
【図15】従来の搬送構造体の説明図
【符号の説明】
【0046】
10…搬送構造体、12…包装体、14…PS版、16…積載板、18…内装紙、20…天面部材、22…スキッド、24…スキッド板、26…脚部、30…ストッパー、32…天板、34…固定用バンド、36…溝、40…ストッパー、42…溝、44…ストッパー、46…弾性係合部、50…ストッパー、52…C状嵌合部、54…支柱部、56…接地部、60…搬送構造体、62…パレット、64…孔、66…結束バンド、68…ストレッチフィルム、70…ブロック、72…バンド、80…搬送構造体、82…振動吸収部材、90…搬送構造体、92…脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部を有する架台の載置面に平版印刷版の積層体を載置して成る平版印刷版の搬送構造体において、
前記架台には、横揺れを抑制する横揺れ抑制手段が設けられることを特徴とする平版印刷版の搬送構造体。
【請求項2】
前記横揺れ抑制手段は、前記脚部に着脱自在に取り付けられたストッパーであり、該ストッパーは床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記脚部が挿入される溝が上面に形成されたブロック体であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項4】
前記横揺れ抑制手段は、前記架台の載置面よりも広い面積を有するベース部材であり、該ベース部材の上に前記架台が固定されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項5】
前記横揺れ抑制手段は、前記脚部の下方に敷設される振動吸収材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項6】
前記脚部は、床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項1】
脚部を有する架台の載置面に平版印刷版の積層体を載置して成る平版印刷版の搬送構造体において、
前記架台には、横揺れを抑制する横揺れ抑制手段が設けられることを特徴とする平版印刷版の搬送構造体。
【請求項2】
前記横揺れ抑制手段は、前記脚部に着脱自在に取り付けられたストッパーであり、該ストッパーは床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記脚部が挿入される溝が上面に形成されたブロック体であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項4】
前記横揺れ抑制手段は、前記架台の載置面よりも広い面積を有するベース部材であり、該ベース部材の上に前記架台が固定されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項5】
前記横揺れ抑制手段は、前記脚部の下方に敷設される振動吸収材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【請求項6】
前記脚部は、床面に接地する部分の最外側位置が前記架台の載置面よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の搬送構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−222284(P2008−222284A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65645(P2007−65645)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]