説明

平面ハンドル装置の取り付け部構造

【課題】取り付けるためのねじを紛失に注意しておく必要がなく、且つ扉に対する取り付けが簡単に行なえるようにした平面ハンドルの取り付け部構造を提供する。
【解決手段】平面ハンドル装置の前面部2の裏面には本体部1の他に、本体部1の一端側に隣接するように固定台座11が一体に設けられ、この固定台座11に隣接して本体部1の一端側において前面部2の裏面から突出する台形状の突出部12が設けられ、固定台座11には裏面側より雌ねじ孔11aが形成されており、固定台座11に前面部2の裏面側で扉10の裏面に門形の固定金具13を圧接するために雌ねじ孔11aに螺入する雄ねじ部材14を備え、固定台座11に固定金具13を仮止めした状態で本体部1、固定台座11、突出部12を扉10に形成した取り付け孔10aに嵌め込むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば配電ボックス、ガスチャンバー、トランクルームなどのボックスを開閉する扉に取り付けられる平面ハンドル装置の取り付け部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種扉用平面ハンドル装置としては例えば特許文献1に開示されているものが一例として知られている。この特許文献1に開示されている扉開閉用取手は取手本体の上下の鍔部の裏面に取手本体取付用のねじ座が設けられており、取手本体を扉の取り付け孔に前方から嵌め込むとともにねじ座を扉の孔部に嵌め込み、扉の裏面側より上下のねじ座の位置で扉開閉用取手を扉に対しねじ止めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−50041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような扉開閉用取手の取り付け構造では、上下のねじ座の位置で扉開閉用取手を扉に対しねじ止めして取り付けているのであるが、扉開閉用取手を扉に対し取り付けるためのねじを紛失に注意して別に2本用意しておかなければならず、面倒であり、ねじ止め箇所が2箇所であり、扉開閉用取手の取り付け作業に手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、取り付けるためのねじを紛失に注意しておく必要がなく、且つ扉に対する取り付けが簡単に行なえるようにした平面ハンドルの取り付け部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の平面ハンドル装置の取り付け部構造は、平面ハンドル装置の本体部の前面に一体に形成され本体部より外側に大きく張り出す鍔状の前面部を備え、配電ボックスなどの扉に対する平面ハンドル装置の取り付け部構造であって、平面ハンドル装置の前面部の裏面には前記本体部の他に、本体部の一端側に隣接するように固定台座が一体に設けられ、この固定台座に隣接して本体部の一端側において前面部の裏面から突出する台形状の突出部が設けられ、前記固定台座には裏面側より雌ねじ孔が形成されており、固定台座に前面部の裏面側で扉の裏面に門形の固定金具を圧接するために前記雌ねじ孔に螺入する雄ねじ部材を備え、固定台座に固定金具を仮止めした状態で本体部、固定台座、突出部を扉に形成した取り付け孔に嵌め込み、前記鍔状の前面部の裏面を扉の前面に当接させ、かかる状態で前記雄ねじ部材を締め付けることにより雄ねじ部材の締め付け力が固定金具に伝達され、固定金具の両先端は前記突出部のテーパー面に当接した状態で徐々に両先端間が広がり、最終的に固定金具の両先端が扉の裏面に当接して平面ハンドル装置が固定されるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の平面ハンドル装置の取り付け部構造は、雄ねじ部材の頭部と固定金具の中央部との間に押さえ板が介在され、雄ねじ部材の締め付け力が押さえ板を介して固定金具に伝達されるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の平面ハンドル装置の取り付け部構造は、前面部の裏面に本体部の一端側に隣接するように設けられた固定台座に門形の固定金具を雄ねじ部材により仮止め状態で本体部、固定台座、固定金具を扉に形成した取り付け孔に嵌め込み、鍔状の前面部の裏面を扉の前面に当接させ、かかる状態で雄ねじ部材を締め付けるという簡単な作業で扉に対する平面ハンドル装置の取り付けが行なえ、しかも平面ハンドル装置を取り付けるための雄ねじ部材や押さえ板、固定金具の紛失の心配をなくすことができる。また、雄ねじ部材の頭部と固定金具の中央部との間に押さえ板を介在することにより、雄ねじ部材の締め付け力を押さえ板を介して固定金具に有効に伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態における平面ハンドル装置を前方から見た要部分解斜視図である。
【図2】同平面ハンドル装置を後方から見た要部分解斜視図である。
【図3】同平面ハンドル装置を後方から見た斜視図である。
【図4】同平面ハンドル装置を扉の取り付け孔に嵌め込んだ状態を示す斜視図である。
【図5】同平面ハンドル装置を扉の取り付け孔に嵌め込んだ状態を示す要部断面図である。
【図6】同平面ハンドル装置を扉の取り付け孔に固定した状態を示す斜視図である。
【図7】同平面ハンドル装置を扉の取り付け孔に固定した状態を示す要部断面図である。
【図8】同平面ハンドル装置が取り付けられた扉が開いた状態を示す斜視図である。
【図9】同平面ハンドル装置が取り付けられた扉が開いた状態を示す断面図である。
【図10】同平面ハンドル装置が取り付けられた扉が閉じた状態を示す斜視図である。
【図11】同平面ハンドル装置が取り付けられた扉が閉じた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図11を用いて具体的に説明する。
図において、1は平面ハンドル装置の本体部で、横向きに長く形成され、この本体部1の前面には本体部1より外側に大きく張り出す鍔状の前面部2が一体に形成されている。この前面部2には横長の開口部3が形成され、この開口部3を開閉するようにハンドル4が鉛直軸芯5により支持されている。6はハンドル4を開く方向と閉じる方向にそれぞれクリック動作させるために本体部1内に設けたばねである。前記ハンドル4には本体部1の後面側に形成された開口部1aより後方に突出する突出部4aを一体に備え、この突出部4aはハンドル4の開閉動作により左右に動作するようになっている。つまり、ハンドル4を手前に引いて突出させ開くことにより、突出部4aは本体部1の一端側に動き、ハンドル4を閉じることにより、突出部4aは本体部1の他端側に動くように構成されている。7は前記突出部4aの動作により左右に往復動作を行なうように本体部1の後面に重なって取り付けられた板状のロック部材で、このロック部材7には本体部1の後面に重なる部分において左右方向に長孔8が形成されており、前記長孔8より本体部1の後面の雌ねじ孔1bに螺入する雄ねじ部材9をガイドとして左右に往復動作を行なえるように構成されている。なお、本体部1に対するロック部材7の取り付け状態においてロック部材7は先端が本体部1の他端側から突出している。7aはロック部材7の先端のロック片である。
【0011】
以上のように構成された平面ハンドル装置は例えば配電ボックスの扉10に取り付けられるものであって、次にその取り付け部について説明する。
平面ハンドル装置の前面部2の裏面には前記本体部1の他に、本体部1の一端側に隣接するように固定台座11が一体に設けられ、この固定台座11は本体部1の一端側において前面部2の裏面から突設し固定台座11に隣接するように固定台座11よりも高さの低い2つの台形状の突出部12との間で挟まれるように構成されている。そして、前記固定台座11には裏面側より雌ねじ孔11aが形成されており、固定台座11に前面部2の裏面側で扉10の裏面に門形の固定金具13を圧接するために前記雌ねじ孔11aに螺入する雄ねじ部材14を備え、この雄ねじ部材14の頭部14aと固定金具13の中央部13aとの間に2つの座金15,16と、固定金具13の中央部13aに当接する押さえ板17が介在され、平面ハンドル装置を扉10に取り付けるまでは雄ねじ部材14は締め付けずに座金15,16、押さえ板17、固定金具13は固定台座11に仮止めされた状態となっている。
【0012】
平面ハンドル装置を扉10に取り付ける場合は平面ハンドル装置の本体部1、固定台座11、突出部12を扉10に横長に形成した取り付け孔10aに嵌め込み、前記鍔状の前面部2の裏面を扉10の前面に当接させ、かかる状態で前記雄ねじ部材14を締め付けることにより雄ねじ部材14の締め付け力が押さえ板17を介して固定金具13に伝達され、固定金具13の両先端13b,13bは前記突出部12のテーパー面12aに当接した状態で徐々に両先端13b,13b間が広がり、最終的に固定金具13の両先端13b,13bが扉10の裏面に当接して平面ハンドル装置の一端側が固定されることになる。なお、平面ハンドル装置の他端側においては平面ハンドル装置の本体部1、固定台座11、突出部12を扉10の取り付け孔10aに嵌め込んだ際に本体部1のテーパー状の切り欠き部1cと前面部2との間で扉10の取り付け孔10aの縁部に係止することになり、前記平面ハンドル装置の一端側を雄ねじ部材14の締め付けにより固定金具13で固定することで平面ハンドル装置は扉10に取り付けられることになる。
【0013】
以上のように平面ハンドル装置が取り付けられた扉10は閉じた状態においてハンドル4も閉じていてロック部材7のロック片7aは配電ボックスの前面縦枠部18の内側折れ曲がり板部18aに形成された係止孔18bに嵌入係止して扉10は閉じた状態が保持される。扉10を開くときはハンドル4に指を掛けて手前に引いて突出させることにより、前記ロック部材7のロック片7aは前記係止孔18bから抜け外れ、手前に突出したハンドル4を掴んで扉10を開くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の平面ハンドル装置の取り付け部構造は、例えば配電ボックス、ガスチャンバー、トランクルームなどのボックスを開閉する扉に簡単に取り付けられる平面ハンドル装置の取り付け部構造である。
【符号の説明】
【0015】
1 本体部
1a 開口部
1b 雌ねじ孔
1c 切り欠き部
2 前面部
3 開口部
4 ハンドル
4a 突出部
5 鉛直軸芯
6 ばね
7 ロック部材
7a ロック片
8 長孔
9 雄ねじ部材
10 扉
10a 取り付け孔
11 固定台座
11a 雌ねじ孔
12 突出部
12a テーパー面
13 固定金具
13a 中央部
13b 先端
14 雄ねじ部材
14a 頭部
17 押さえ板
18 縦枠部
18a 内側折れ曲がり板部
18b 係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面ハンドル装置の本体部の前面に一体に形成され本体部より外側に大きく張り出す鍔状の前面部を備え、配電ボックスなどの扉に対する平面ハンドル装置の取り付け部構造であって、平面ハンドル装置の前面部の裏面には前記本体部の他に、本体部の一端側に隣接するように固定台座が一体に設けられ、この固定台座に隣接して本体部の一端側において前面部の裏面から突出する台形状の突出部が設けられ、前記固定台座には裏面側より雌ねじ孔が形成されており、固定台座に前面部の裏面側で扉の裏面に門形の固定金具を圧接するために前記雌ねじ孔に螺入する雄ねじ部材を備え、固定台座に固定金具を仮止めした状態で本体部、固定台座、突出部を扉に形成した取り付け孔に嵌め込み、前記鍔状の前面部の裏面を扉の前面に当接させ、かかる状態で前記雄ねじ部材を締め付けることにより雄ねじ部材の締め付け力が固定金具に伝達され、固定金具の両先端は前記突出部のテーパー面に当接した状態で徐々に両先端間が広がり、最終的に固定金具の両先端が扉の裏面に当接して平面ハンドル装置が固定されるようにしたことを特徴とする平面ハンドル装置の取り付け部構造。
【請求項2】
雄ねじ部材の頭部と固定金具の中央部との間に押さえ板が介在され、雄ねじ部材の締め付け力が押さえ板を介して固定金具に伝達されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の平面ハンドル装置の取り付け部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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