説明

平面型放電ランプおよび平面型放電ランプを用いたバックライトユニット

【課題】 フリットフリーでも溶着することが可能である、平面型放電ランプを提供する。
【解決手段】 端部に枠部112が形成された樹脂製の基板11を少なくとも一含み、樹脂製の基板11の枠部112に他の基板12が溶着され、内部が気密に保たれている放電容器1と、前記放電容器1内部に封入された放電媒体と、前記放電容器に設けられた電極3a、3bと、を具備する。樹脂製の基板11の材料はガスを透過しにくければどのようなものを用いてもよく、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ポリフッ化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコールなどがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶用バックライト光源や、照明に用いるための放電ランプと、放電ランプを用いたバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビなどの光源として用いられる平面型放電ランプの中で、平面型蛍光ランプ(FFL)は特許文献1などにより既に知られている。このFFLの放電容器は、2枚のガラス基板に接合部材を塗布することにより構成されている。なお、接合部材としては、ガラス基板の熱膨張係数と近似する酸化鉛や酸化ビスマスなどのガラスフリットと呼ばれる接合部材が使用される。
【0003】
しかし近年、酸化鉛や酸化ビスマスなどは環境負荷が高い物質として認識され始めている。そのため、これらを使用しないのが望ましい。そこで、特許文献2のように、2枚のガラス基板を加熱溶融することにより、フリットフリーの放電容器を実現する試みがなされた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−340199公報
【特許文献2】特開2005−243515公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2枚のガラス基板同士を加熱溶融する方法では、ガラス基板をうまく接合することができないことが判明した。これは、加熱溶融時の熱により、ガラスが破損してしまうことが原因である。よって、ガラス基板を直接加熱溶融し接合する方法は困難であることが判明した。
【0006】
したがって、本発明の目的は、フリットフリーでも溶着することが可能な、平面型放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る平面型放電ランプは、端部に枠部が形成された樹脂製の基板を少なくとも一含み、前記樹脂製の基板の前記枠部に他の基板が溶着され、内部が気密に保たれている放電容器と、前記放電容器内部に封入された放電媒体と、前記放電容器に設けられた電極と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フリットフリーでも溶着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
【0010】
本発明に関係する平面型放電ランプ、および、この平面型放電ランプを有するバックライトユニットを実施するための最良の形態の具体例を、図面を参照しながら説明する。
【0011】
本発明の第1の実施形態を図1〜3に示す。
【0012】
図1(a)は第1基板側からみた平面型放電ランプの斜視図を、図1(b)は第2基板側からみた平面型放電ランプの斜視図を示す。また、図2は、図1に示すポイントAとA’の断面を矢印方向から見た図を、図3は、図1に示すポイントBとB’の断面を矢印から見た図を示す。
【0013】
本実施の形態の平面型放電ランプは、主要部として放電容器1を有している。
【0014】
放電容器1は、第1基板11と、第2基板12とで構成され、内部が気密に保たれている。
【0015】
第1基板11は、本実施の形態において前面側となる基板であり、発光部111と、枠部112が一体的に形成されている。放電空間の大きさは、要求される平面型放電ランプの始動電圧、管電圧および光量に応じて設定されている。例えば、放電空間の幅が0.5〜30mmの範囲で、放電空間の高さが0.5〜6mmの範囲で設定されている。
【0016】
発光部111は、放電容器1の外部に光線を取り出すことができるように構成されている。また、枠部112は、発光部111の周縁に設けられており、第2基板12と接触している。
【0017】
第2基板12は、本実施の形態において背面側となる基板である。
【0018】
放電容器1の内部には放電媒体が封入され、蒸気またはガス状態で放電を生起する媒体として作用する。また、放電媒体は発光と、ランプ電圧を形成するのに寄与する。発光は光線として放電容器1の外部に放出されるものであればその形態によらず、紫外線、可視光線、赤外線など、いかなる波長の光線も許容される。また、放電媒体は、水銀、キセノン、クリプトン、アルゴン、ネオン、ヘリウムの内、単独、または、2種類以上を混合して封入する構成をとることができる。また、放電媒体の封入圧力は大気圧以下である。
【0019】
放電容器1の内面、すなわち、第1基板11と第2基板12の放電空間側の面には、蛍光体層2が塗布されている。蛍光体層2は、外部から投入されたエネルギーで発生した光線を可視光に変換する。また、蛍光体層2は、一般照明、冷陰極蛍光ランプ、プラズマディスプレイパネルなどに使用される蛍光体が用いられ、単体で、または、発光色の異なる数種類の蛍光体が混合して塗布されている。なお、蛍光体層2は塗布されていなくとも許容される。例えば、放電媒体がネオンのみの構成の場合、前記の蛍光体層2を塗布せずに、ネオンが発する赤色の可視光を直接利用する構成をとることができる。
【0020】
電極3a、3bは、導電性の金属、例えば、タングステンや銅を主成分とする導体や、銅や錫を主成分とする半田を用いて形成される。また、電極3a、3bは、放電容器1の長手方向に対して垂直方向に配置されている。
【0021】
ここで、放電容器1と、放電容器1を形成する第1基板11、第2基板12について、更に詳しく説明する。
【0022】
第1基板11と第2基板12は樹脂材料で形成されている。この樹脂材料としては、放電空間に封入したガスを透過しにくい材料であるのが望ましい。例えば、ポリ塩化ビニリデンである。また、この樹脂は、透過率が60%以上であるものが望ましい。
【0023】
放電容器1は、第1基板11と第2基板12を溶着して形成される。具体的には、放電容器1は、第1基板11の枠部112と、第2基板12を合わせ、ヒーターなどの加熱手段により溶融させた後、機械的圧力で直接接合させ、溶融した樹脂が互いになじむように溶着することで形成している。ここで、溶着とは、基板を溶融し、接着することである。具体的には、基板を直接加熱し、基板同士を機械的圧力で直接接合させ、溶融した樹脂が互いになじむようにし接着することである。
【0024】
なお、蛍光体層2は、放電容器1が形成される際に、溶着性を高めるために、溶着部分から少なくとも1mmの範囲に塗布されていないのが望ましい。
【0025】
ここで、特許文献2には、フリットガラスを用いずに、ガラス基板を加熱溶融して接合する方法が記載されているが、この方法では加熱溶融時の熱により、溶着する部分以外も溶融して形状が変化し、ガラスが破損してしまう。よって、ガラス基板同士を接合することは困難である。
【0026】
しかしながら、本実施の形態によれば、樹脂で構成された第1基板11と第2基板12とを溶着することで、放電容器1を形成することができ、フリットガラスが不要となる。
【0027】
したがって、本実施の形態では、フリットフリーでも溶着可能である、平面型放電ランプを得ることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図4、5は、本発明の第2の実施の形態の平面型放電ランプについて説明するための図である。この第2の実施の形態の各部について、図1〜3の第1の実施の形態の平面型放電ランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0029】
この実施の形態では、第1基板11は、光線を取り出すための発光部111と、枠部112と、スペーサ部113からなる。
【0030】
放電容器1は、第1の実施の形態と同様の方法により、スペーサ部113と第2基板12とを特段溶着しなくても、得ることができる。これは、放電空間に封入される放電媒体の圧力は大気圧以下であるため、放電容器1の内部は、放電容器1の外部よりも圧力が小さくなる。このため、スペーサ部113には、放電容器1の外部から大気圧がかかり、スペーサ部113は第2基板12と接触するからである。
【0031】
したがって、本実施の形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図6〜8は、本発明の第3の実施の形態の平面型放電ランプについて説明するための図である。この第2の実施の形態の各部について、図1〜3の第1の実施の形態の平面型放電ランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0033】
この実施の形態では、放電容器1の内部に、スペーサ4が配置されている。
【0034】
放電容器1は、第1の実施形態と同様の方法により、得ることができる。なお、蛍光体層2は、スペーサ4が接触する部分の周囲1mmには、塗布されていないのが望ましい。これは、放電容器1の内面と、スペーサ4が接触する部分に蛍光体層2が塗布されていると、スペーサ4と放電容器1の内面との接触が悪くなり、スペーサ4が放電容器1自体を支えきれなくなる。このため、放電容器1の外部と内部の圧力差に第1基板11、第2基板12が耐えられなくなり、亀裂が生じ、破損に至る。このため、蛍光体層2は、放電容器1の内面と、スペーサ4が接触する部分の周囲1mmには、塗布されないことが望ましい。
【0035】
したがって、本実施の形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施の形態の液晶テレビ用バックライトユニットについて説明するための図である。
【0037】
この実施の形態では、第3の実施の形態で得られた平面型放電ランプLを用いた、バックライトユニットBLUの一例である、液晶バックライトを示す。
【0038】
バックライトユニットBLUは、主要部として筐体FLを有している。
【0039】
筐体FL内には光源として平面型放電ランプLが配置され、平面型放電ランプLの発光面側には光学部材OSが配設されている。光学部材OSは、平面型放電ランプLより得られる光を均質化し、バックライトユニットBLUのどの部分でも変色、輝度変化がないようにすることができるもので、例えば、プリズムシートや拡散板のことである。
【0040】
筐体FLは、開口部OMを有しており、OMより光をバックライトユニットBLU外部に放出する。
【0041】
筐体FLの内部には、ランプ点灯装置PS、ランプ点灯用電源線LWが配置されている。このランプ点灯装置PSは、ランプ点灯用電源線LWを介して、平面型放電ランプLの電極3a、3bと電気的に接続されている。この接続は、例えば、電極3aを高圧側、電極3bを低圧側としており、それらの電極に管電力5.0W、点灯周波数50kHzの交流正弦波を連続的にまたは断続的に印加することで、平面型放電ランプLを点灯する。
【0042】
したがって、本実施の形態では、フリットフリーでも溶着可能である、平面型放電ランプLを用いたバックライトユニットBLUを得ることができる。
【0043】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更しても良い。
【0044】
放電容器1を形成する第1基板11、第2基板12は、少なくとも一つが樹脂であればよい。また、放電容器1は複数の基板から構成される場合、少なくとも基板の一つが樹脂であれば、他の基板の材質を問わない。例えば、他の基板は、ガラスやセラミックスで構成されても良いし、樹脂製であっても良い。また、樹脂材料はポリ塩化ビニリデンに限らず、ガスを透過しにくければどのようなものを用いてもよく、例えば、ナイロン6、ポリ フッ化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコールでもよい。
【0045】
放電容器1の断面形状は、波型形状、方形形状、半楕円形状、台形形状や、複数の図形を組み合わせた形状など、いかなる形状も許容される。また、放電容器1は、完全に分離されていたり、複数の放電容器を連結することが許容される。
【0046】
放電容器1の枠部は、発光部の周縁に設けられていれば形態を問わず、例えば第2基板12のみに設けられても良いし、第1基板11と第2基板12の両方に設けられても良い。
【0047】
放電容器1を構成する第1基板11と第2基板12の溶着する部分の接触面積を増やすため、図10(a)に示すように、第2基板12の、第1基板11の枠部112と接触する部分をブラスト加工して表面を荒らしても良いし、図10(b)に示すように、第2基板12の、第1基板11の枠部112と接触する部分に凹みを持たせても良い。
【0048】
電極3a、3bは、放電容器1の内部や、放電容器1の外面に設けることができる。また、電極3a、3bは、外部電極を一方の基板にのみ形成したり、両方の基板に形成したりしても良い。
【0049】
スペーサ4の形状や材質は特に限定されない。スペーサ4は、第1基板11や第2基板12とそれぞれ異なる材質を用いることもできる。また、スペーサ4の形状としては、ラグビーボール状、方形状、回転体、多角柱状や、それらを複数組み合わせた形状でもよい。また、スペーサ4は放電容器1内に直接配置されても良いし、放電容器1内に溶着されても良い。
【0050】
バックライトユニットBLUは、いかなる筐体の構成も許容される。例えば、バックライトユニットBLUを構成する筐体が一体で構成されてもよく、複数の部材から構成されてもよい。また、バックライトユニットBLUには、いかなる灯数の平面型放電ランプLを用いてもよい。
【0051】
光学部材OSの種類、枚数は、複数用いてもよい。
【0052】
平面型放電ランプ点灯装置PSは、交流正弦波、交流矩形波、交流三角波、直流や、それらを複数組み合わせた任意の波形で動作することができる。
【0053】
また、平面型放電ランプLを得るための製造手順は上記に限定されない。即ち、製造手順は適宜選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態による平面型放電ランプの斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態による平面型放電ランプの内、図1のポイントA−A’の間の断面を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態による平面型放電ランプの内、図1のポイントB−B’の間の断面を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態による平面型放電ランプを第1基板側から見た斜視図
【図5】本発明の第2の実施形態による平面型放電ランプの内、図5のポイントC−C’の間の断面を示す図
【図6】本発明の第3の実施形態による平面型放電ランプを第1基板側から見た斜視図
【図7】本発明の第3の実施形態による平面型放電ランプの内、図8のポイントD−D’の間の断面を示す図
【図8】本発明の第3の実施形態による平面型放電ランプの内、図8のポイントE−E’の間の断面を示す図
【図9】本発明の第4の実施形態によるバックライトユニットを、開口部を有する筐体側から見た斜視図
【図10】他の変形例について説明するための図
【符号の説明】
【0055】
1 放電容器
11 第1基板
111 発光部
112 枠部
113 スペーサ部
12 第2基板
2 蛍光体層
3 電極
4 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に枠部が形成された樹脂製の基板を少なくとも一含み、前記樹脂製の基板の前記枠部に他の基板が溶着され、内部が気密に保たれている放電容器と、前記放電容器内部に封入された放電媒体と、前記放電容器に設けられた電極と、を具備することを特徴とする平面型放電ランプ。
【請求項2】
開口部を有する筐体と、前記筐体内に、前記開口部から光を取り出し可能とするように配置された請求項1記載の平面型放電ランプと、を具備することを特徴とするバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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