説明

広告、装飾体等の壁面保持装置

【課題】取り外したときに壁面に汚れが残らず、また一旦セットした後でも容易に取り外すことができる表示板を提供する。
【解決手段】固定支持部2と表示板7とで構成する。固定支持部2は、背面に永久磁石3を取着した垂直板4と、該垂直板4の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板5とからなる。該水平板5の先端における両端部に内向きのフック部6を設け、表示板の上端部にフック部と係合する凹部8を設けた構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広告、装飾体等の壁面保持装置に関し、更に詳細には、広告や装飾体を、鋼板や鉄板等の磁性体からなる垂直な壁面に磁石の磁力をもって保持するようになした装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
垂直な壁面に、商品広告や商品情報の表示体或いは装飾体等を保持しようとする場合、その壁面が鋼板や鉄板等の硬質の材料からなっているときには、鋲が使用できないことから、これらを接着剤や両面粘着テープ、セロハンテープ等で保持固定しなければならない。
【0003】
しかし、これらの接着剤や両面粘着テープ、セロハンテープ等を用いた場合には、剥がした後の壁面に接着剤や粘着剤の一部が滓として残る。そして、これは見苦しいことから落とさなければならないが、これには非常に手間と時間がかかる。
【0004】
また更に、これらの手段による場合には、一旦セットしてしまうと容易に剥がすことができない。そして、このため交換作業を迅速に行うことができず、また位置を簡単に変更することもできない。そしてまた、一度剥がしてしまうと接着剤や粘着剤の貼着力が弱まり、結局繰り返して使用することが難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、広告や装飾体等の鋼板や鉄板等の磁性体からなる垂直な壁面への保持を、磁石の磁力を利用して行うようになし、もって従来手段による問題点を悉く解消することができるようになした広告、装飾体等の壁面保持装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
而して、本発明は、以下の装置を要旨とするものである。
(1)背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の先端における両端部に内向きのフック部を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部におけるフック部と係合する凹部を設けた、適宜の弾性を有する表示板とからなる広告、装飾体等の壁面保持装置。
【0007】
(2)背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の基部に係合孔を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部における係合孔に係合するフック部を設けた、適宜の弾性を有する表示板とからなる広告、装飾体等の壁面保持装置。
【0008】
(3)背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の先端における両端部に内向きのフック部を設けると共に、該水平板の基部中央に係合孔を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部におけるフック部と係合する凹部を設けた、適宜の弾性を有する表示板と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部における係合孔に係合するフック部を設けた、適宜の弾性を有する表示板のいずれか一方又はこれらの両方とからなる広告、装飾体等の壁面保持装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記の如く、広告や装飾体等の鋼板や鉄板等の磁性体からなる垂直な壁面への保持を、磁石の磁力を利用して行うようになしたものであるから、取り外した後の壁面に何らの汚れも残らないものである。したがって、従来の手段の如き汚れを落とす手間と時間が不要である。また、一旦セットした後でも容易にこれを取り外すことができる。そしてまた、これにより交換作業を迅速に行うことができると共に位置の変更も容易に行うことができるものである。また、従来の接着剤や粘着剤の場合には、一度剥がしてしまうと粘着力が弱まり、繰り返して使用することは殆ど不可能であるが、本発明の場合には、磁石の磁力を利用するものであるから、何度でも繰り返して使用することが可能である。そしてまた、これにより資源の節約と廃棄物の削減に資するものである。更にまた、固定支持部はそのままにして、表示板だけを付け替えるようにしてもよく、この場合には、一層資源の節約と廃棄物の削減に資するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態は、背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の先端における両端部に内向きのフック部を設けると共に、該水平板の基部中央に係合孔を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部におけるフック部と係合する凹部を設けた、適宜の弾性を有する表示板と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部における係合孔に係合するフック部を設けた、適宜の弾性を有する表示板のいずれか一方又はこれらの両方とをもって構成することにある。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の第1実施例の斜視図である。
【0012】
図中、1は広告、装飾体等の壁面保持装置であり、後記固定支持部と表示板とからなるものである。2は固定支持部である。また、該固定支持部2は、背面に永久磁石3を取着した垂直板4と、該垂直板4の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板5とからなるものである。尚、これら垂直板4と水平板5は透明な樹脂からなっている。そしてまた、該水平板5には、その先端における両端部に内向きのフック6、6を設けている。
【0013】
7は透明な樹脂からなり、適宜の弾性を有する表示板である。また、該表示板7は、その表面に文字や図柄、彩色等を施し、それ自体を広告体や装飾体としても良いし、或いはそれの表面に、文字や図柄、彩色等を施したシート状の表示体を貼着する等して広告体や装飾体としてもよい。また、該表示板7は、本実施例では、垂直板4を、その高さ15mm、長さ30mmとし、また水平板5の張り出す長さを約20mmとしている。そしてまた、該表示板7には、その上端部に、前記固定支持部2におけるフック部6、6と係合する凹部8、8を設けている。
【0014】
而して、本実施例の場合には、先ず固定支持部2を、永久磁石3をもって図示しない磁性体からなる垂直な壁面の適所に固定する。そしてその後、表示板7を両側方から加圧して撓めた状態で固定支持部2に近づけ、その凹部8、8が固定支持部2におけるフック部6、6と一致したときに加圧を解いて復元させ、これらを係合させるものである。
【実施例2】
【0015】
次に、図2に示した本発明の第2実施例について説明する。
本実施例は、前記第1実施例における水平板5のフック部6、6と、表示板7の凹部8、8に代えて、水平板5の基部中央に係合孔9を設ける一方、表示板の上端部に、固定支持部2における係合孔9に係合するフック部10、10を設けた点において前記第1実施例と相違するものである。尚、その他の構成については前記第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0016】
而して、本実施例の場合には、先ず固定支持部2を、永久磁石3をもって図示しない磁性体からなる垂直な壁面の適所に固定する。そしてその後、表示板7を下側から押し上げ、そのフック部10、10を固定支持部2における水平板5の係合孔9にくぐり抜けさせるものである。
【実施例3】
【0017】
次に、図3乃至図9に示した本発明の第3実施例について説明する。
本実施例は、前記第1実施例と第2実施例とを合わせた構成である。したがって第1実施例と第2実施例におけるものと同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0018】
而して、本実施例の場合には、先ず固定支持部2を、永久磁石3をもって図示しない磁性体からなる垂直な壁面の適所に固定する。そしてその後、図7及び図8に示す如く、前記第1実施例及び第2実施例と同様の手順によって表示板7を固定支持部2に一体的に結合させるものである。
【0019】
また、表示板7は、第1実施例のものと第2実施例のものとで固定支持部への結合手段が異なるが、これらは夫々単独で用いるようにしてもよいし、或いは図9に示す如く組み合わせて同時に用いるようにしてもよい。この図9に示した如き用い方の場合には、奥行きがあり、立体感を持たせることができる。したがって、広告効果や装飾効果が一段と高まるものである。
【実施例4】
【0020】
次に、図10に示した本発明の第4実施例について説明する。
上記第1実施例乃至第3実施例においては、固定支持部2と表示板7とを一対一の関係で用いたが、本実施例では、表示板7の長さを適宜に延ばし、その両端部を別個の固定支持部2、2によって保持するようにして、1枚の表示板7に対して複数の固定支持部2、2を用いて保持するようにしている。そしてまた、本実施例の場合においても、図9におけると同様に、2枚の表示板7、7を同時に用いれば、奥行きと立体感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例の斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例の斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例における固定支持部の正面図である。
【図4】本発明の第3実施例における固定支持部の右側面図である。
【図5】本発明の第3実施例における固定支持部の平面図である。
【図6】本発明の第3実施例における固定支持部の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施例の第1の使用方法を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施例の第2の使用方法を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施例の第3の使用方法を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4実施例の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 広告、装飾体等の壁面保持装置
2 固定支持部
3 永久磁石
4 垂直板
5 水平板
6、6 フック
7 表示板
8、8 凹部
9 係合孔
10、10 フック部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の先端における両端部に内向きのフック部を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部におけるフック部と係合する凹部を設けた、適宜の弾性を有する表示板とからなる広告、装飾体等の壁面保持装置。
【請求項2】
背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の基部中央に係合孔を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部における係合孔に係合するフック部を設けた、適宜の弾性を有する表示板とからなる広告、装飾体等の壁面保持装置。
【請求項3】
背面に永久磁石を取着した垂直板と、該垂直板の上端部から直角に前方に向けて所要の長さに張り出した水平板とからなり、更に該水平板の先端における両端部に内向きのフック部を設けると共に、該水平板の基部に係合孔を設けてなる、磁性体からなる垂直な壁面に磁力によって吸着する固定支持部と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部におけるフック部と係合する凹部を設けた、適宜の弾性を有する表示板と、所要の大きさ及び形状をなし、上端部に前記固定支持部における係合孔に係合するフック部を設けた、適宜の弾性を有する表示板のいずれか一方又はこれらの両方とからなる広告、装飾体等の壁面保持装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−286335(P2007−286335A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113287(P2006−113287)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(391047411)土屋工業株式会社 (9)