説明

広告スケジューリング装置、方法及びコンピュータプログラム

【課題】複数の設置者事業者あるいは広告代理店などの媒体主が提供する広告枠の特性と広告主が所望する条件とに基づいて、媒体主及び広告主の双方が満足するように広告枠をマッチングさせる。
【解決手段】広告スケジューリング装置1は、複数の広告表示装置のそれぞれの設置場所及び時間帯により定まる、複数の広告枠のそれぞれの特性を示す広告枠特性データを含む販売条件データ21と、複数の広告主について、各広告主の広告を広告表示装置に表示させるための表示条件を示す広告表示条件データを含む購入条件データ23と、広告表示条件データ及び広告枠特性データに基づいて、複数の広告枠と複数の広告主とをマッチングさせる売買処理部13と、マッチング結果に従って、広告の表示スケジュールデータを生成する広告表示スケジュール生成部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルサイネージのための広告スケジューリングを行う技術に関し、特に、複数の表示装置に複数の広告主の広告映像を割り当てて、広告表示のスケジューリングを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置に通信回線などを介してデータを送って、広告映像を表示させるデジタルサイネージがある。このデジタルサイネージでは、表示装置ごとに時間帯を区切った広告枠単位で広告主に販売されている。
【0003】
この広告枠の販売方法として、例えば以下の二通りが一般的である。第一の販売方法は、広告枠の販売主である表示装置の設置事業者、あるいは広告代理店が単価を提示し、広告枠の購入希望者である広告主が広告枠を提示されている単価で購入する、いわゆる設定価格による売買である。第二の販売方法は、販売主から提示された広告枠に対して、購入希望者である広告主が期間中に応札し、もっとも高い価格をつけた広告主が落札する、いわゆるオークションによる売買である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような売買方法では、販売主である設置事業者あるいは広告代理店などの媒体主が個別に広告枠の販売を行っていた。しかし、広告主から見れば、広告効果という観点から見れば、媒体主が誰であるかということよりも、各広告枠の特性がより重要となる。一方、媒体主から見れば、広告主の希望する条件と合わない広告枠については、大量に売れ残りを出してしまうリスクもある。
【0005】
また、従来の販売方法では、広告主が広告効果を目論見ながら、広告費用を段階的に利用して媒体枠を選択することや、広告予算の範囲内で最適な広告枠を媒体主に跨って細かく購入することも難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数の設置者事業者あるいは広告代理店などの媒体主が提供する広告枠の特性と広告主が所望する条件とに基づいて、さらにその条件を緩和しながら媒体主及び広告主の双方が満足するように広告枠をマッチングさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施態様に従う広告スケジューリング装置は、複数の広告表示装置のそれぞれの設置場所及び時間帯により定まる、複数の広告枠のそれぞれの特性を示す広告枠特性データを記憶する第1の記憶手段と、複数の広告主について、各広告主の広告を広告表示装置に表示させるための表示条件を示す広告表示条件データを記憶する第2の記憶手段と、前記広告表示条件データ及び前記広告枠特性データに基づいて、前記複数の広告枠と前記複数の広告主とをマッチングさせるマッチング手段と、前記マッチング手段によるマッチング結果に従って、広告の表示スケジュールを示すスケジュールデータを生成するスケジュール生成手段と、を備える。
【0008】
好適な実施態様では、前記広告表示条件データには、広告主が所望する広告枠の特性及び希望する広告枠数を示す情報を含み、前記広告スケジューリング装置は、前記広告枠特性データにおいて第一の特性を有する広告枠の総数よりも、前記広告枠特性データにおいて前記複数の広告主が所望する第一の特性を有する広告枠の総数が多いときは、各広告主が希望している第一の特性を有する広告枠の枠数に応じて分配する分配手段を、さらに備えてもよい。
【0009】
好適な実施態様では、前記広告枠の特性は、各表示装置の設置場所でそれぞれの広告表示装置を視聴する視聴者の属性または視聴者数を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る広告スケジューリングシステムの全体構成図を示す図である。
【図2】販売条件データ21のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】購入条件データ23のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】広告枠及び各広告枠の視聴者特性を示す図である。
【図5】一次処理部131の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】重複枠の分配処理の過程の説明図である。
【図7】三次処理部135の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図8】広告スケジューリングシステム全体の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る広告スケジューリングシステムについて、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る広告スケジューリングシステムの全体構成図を示す。本システムは、広告媒体となる表示装置を管理・運営している設置業者または広告代理店などの媒体主の希望する条件(販売条件)と、広告を出したい広告主の希望する条件(購入条件)とをマッチングさせて、広告枠の売買を成立させるとともに、広告表示のスケジューリングを行う。
【0013】
本システムは、同図に示すように、広告スケジューリング装置1と、広告主端末3と、媒体主端末5とを有し、それらが互いにネットワーク9を介して接続されている。
【0014】
広告主端末3及び媒体主端末5は、通信機能を有する端末装置であればよく、例えば、携帯電話機、携帯情報端末、あるいは汎用的なパーソナルコンピュータなどでもよい。広告主端末3及び媒体主端末5は、液晶パネルなどの表示装置、及びプッシュボタンあるいはポインティングデバイスなどの入力装置を有する。
【0015】
広告スケジューリング装置1は、例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する広告スケジューリング装置1の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。このコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納可能である。
【0016】
広告スケジューリング装置1は、登録条件記憶部11と、広告枠の売買処理部13と、売買データ記憶部15と、広告表示スケジュール生成部17と、を備える。
【0017】
登録条件記憶部11は、媒体主が提示する広告枠の販売条件データ21と、広告主が提示する広告枠の購入条件データ23と、共通データ25とを記憶する。
【0018】
販売条件データ21は、媒体主が提示した広告枠の販売条件を示すデータである。販売条件データ21には、例えば、複数の広告表示装置のそれぞれの設置場所及び時間帯により定まる、複数の広告枠のそれぞれの特性を示す広告枠特性データが含まれる。販売条件データ21は、例えば、媒体主が自らの媒体主端末5から入力することにより登録される。
【0019】
図2は、販売条件データ21のデータ構造の一例を示す。同図に示すように、販売条件データ21は、データ項目として、表示装置の管理・運営を行う媒体主ID211と、表示装置の識別情報である機器ID212と、表示装置の設置場所213と、広告枠の利用期間214と、広告枠の時間帯215と、広告枠の売値単価216と、各広告枠の時間長217と、販売終了日を示す販売期限218と、広告枠特性219とを有する。
【0020】
広告枠特性219は広告枠ごとの視聴者の特性を示す。広告枠特性219は、さらに、各広告枠内での予想視聴者数219aと、視聴者の特性の分布状況を示す視聴者特性219bとをデータ項目として有する。本実施形態では、視聴者特性219bは特性項目として以下の4つの特性A−Dを用いる。
特性A 性別分布特性(男:女)
特性B 年齢分布特性(若者:中年:老年)
特性C 家族構成特性(家族有:独身)
特性D 趣味構成特性(車:旅行:音楽)
【0021】
各特性の特性値は、それぞれの項目の分布比を示す。例えば、特性Aの特性値が“11”であれば、男女比が(男:女)=(1:1)であることを示し、特性Bの特性値が“121”で有れば、年齢の分布比率が(若者:中年:老年)=(1:2:1)であることを示す。特性C,Dについても同様である。
【0022】
視聴者特性としては、上記のA−D以外にも、国勢調査の結果、広告主が独自に行ったサービス・商品に対する調査、あるいは趣味や嗜好に関する調査の結果に基づく構成分布などを用いてもよい。
【0023】
購入条件データ23は、複数の広告主の広告コンテンツについて、各広告コンテンツを広告表示装置に表示させるための表示条件を示す広告表示条件データを含む。購入条件データ23は、例えば、広告主が自らの広告主端末3から入力することにより登録される。
【0024】
図3は、購入条件データ23のデータ構造の一例を示す。購入条件データ23は、例えば、同図に示すように、購入者ID231、広告コンテンツ情報232と、掲載希望期間233と、予算234と、広告表示条件235とをデータ項目として有する。
【0025】
広告主ID231は、広告枠の購入希望者である広告主の識別情報である。広告コンテンツ情報232は、広告コンテンツの分類及びデータ形式に関する情報である。掲載希望期間233は、広告主が広告掲載を希望する期間である。予算234は、広告枠の購入にあてる予算額の上限金額234a及び下限金額234bを含む。
【0026】
広告表示条件235は、視聴者特性に関して、広告主が所望する広告の表示条件である。ここでは、広告表示条件235は、さらに、希望視聴者数235aと、視聴者特性235bとをデータ項目として含む。視聴者特性235bは、販売条件データ21の視聴者特性219bと同じ特性項目を有する。
【0027】
共通データ25は、視聴者特性の特性A−Dに関する共通データを含む。例えば、共通データ25は、特性A−Dの内容を示す説明文及び各特性のデフォルト値を含む。媒体主及び広告主は、販売条件データ21及び購入条件データ23において、特性A−Dを選択し構成比率(特性値)を指定する。構成比率が指定されていない視聴者特性219bまたは235bの場合、このデフォルト値が適用される。
【0028】
図1に戻ると、広告枠の売買処理部13は、販売条件データ21と購入条件データ23をマッチングさせて、媒体主が広告主に販売する広告枠を決定する。例えば、売買処理部13は、広告表示条件データ235と広告枠特性データ219とに基づいて、複数の広告枠と複数の広告主とをマッチングさせる。
【0029】
売買処理部13は、一次処理部131と、二次処理部133と、三次処理部135とを有する。
【0030】
一次処理部131は、広告主別に、販売条件データ21の視聴者特性219bと購入条件データ23の視聴者特性235bとがマッチする広告枠を抽出する。一次処理部131は、すべての広告主の購入条件データ23について、上記のマッチングを行う。
【0031】
例えば、図4は、広告枠及び各広告枠の視聴者特性を示す。すなわち、同図に示す表は、媒体主ごとの表示装置(機器)が、視聴者特性A−Dのそれぞれについて、時間帯ごとにどのような特性値を有するかを示す一覧表である。一次処理部131は、広告主が所望する視聴者特性235bと完全に一致する視聴者特性219bを有する広告枠を抽出する。そして、この表では、視聴者特性219b、235bが一致する広告枠に、AA社、BB社、CC社及びDD社別に異なるハッチングが施してある。
【0032】
この表から、A鉄道1号機の時間帯1に合致する特性を希望しているのはAA社のみであることがわかる。このように、一の広告主のみが単独で希望している枠を「単独枠」と呼ぶ。これに対して、A鉄道1号機の時間帯2に合致する特性を希望しているのは、AA社、CC社及びDD社であることがわかる。このように、複数の会社の希望が重複している枠を「重複枠」と呼ぶ。同じ特性で重複する場合もこれに含まれる。また、Bスーパーの店舗1の時間帯2のように、広告主が希望しているいずれの視聴者特性ともマッチしない枠を「オープン枠」と呼ぶ。
【0033】
なお、以下の説明では広告主が希望する広告枠数を用いるが、本実施形態では、広告主の予算の上限金額234aと、視聴者特性219b、235bが一致する広告枠の単価216とから広告枠数を算出するようにしてもよい。
【0034】
以下、一次処理部131の詳細な処理手順について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0035】
一次処理部131は、販売条件データ21及び購入条件データ23を参照して、上述のマッチング処理を行う(S101)。一次処理部131は、このマッチング処理により、すべての広告枠が「単独枠」、「重複枠」及び「オープン枠」のいずれであるかを決定する。一次処理部131は、このマッチング結果を一時データ153として売買データ記憶部15に保存する(S103)。一次処理部131は、これらの処理をすべての広告主の購入条件データ23について行う(S105)。
【0036】
一次処理部131は、保存した一時データを参照して、単独枠については、その枠にマッチした唯一の広告主へその単独枠を割り当てる。これにより、その単独枠の販売先が確定する(S107)。ここで、すべての広告主が単独枠によってすべての希望枠数を確保できたときは、ステップS114へスキップする(S109)。単独枠の数が希望する広告枠数以上である広告主は、単独枠のみですべての枠を確保することができる。
【0037】
一方で、単独枠のみでは希望する広告枠をすべて確保できない広告主については、以下に説明する調停を行って重複枠の分配を行う。分配は媒体主の意向に沿った方法で行われる。好適な実施形態では希望する広告枠の枠数に応じて分配してもよい。つまり、一次処理部131は、広告枠特性219において第一の特性を有する広告枠の総数よりも、広告表示条件235において複数の広告主が所望する第一の特性を有する広告枠の総数が多いときは、各広告主が希望している第一の特性を有する広告枠の枠数に応じて分配する。
【0038】
図6は、重複枠の分配処理の過程の説明図である。以下、同図を参照してフローチャートの説明を続ける。
【0039】
一次処理部131は、希望枠数を確保できていない広告主の上限金額234aに応じて、重複枠を分配するための比率を決定する(S111)。例えば、図6では、AA、BB、CC及びDD社の上限金額234aについて、それらの合計金額に対する比率303を算出する。この比率303が、各社の希望枠数301に対して割り当てられる比率となる。つまり、例えば、同図のAA社は、上限金額が700万円であり、AA、BB、CC及びDD社の合計金額が4300万円である。従って、合計金額4300万円に対するAA社の700万円の比率は16%となる。
【0040】
次に、一次処理部131は、希望枠数を確保できていない広告主に対して、上で求めた比率に従って重複枠を分配する(S113)。例えば、図6では、AA社の希望枠数が“17”であるから、ステップS111で算出した比率に従うと、AA社に割り当てられる枠数305は17×16%≒3により“3”となる。従って、AA社は、単独枠307が“2”で、分配枠305が“3”であるから、一次処理において購入できる枠数が“5”となる。他の広告主についても、上記と同様にして一次処理によって購入可能な枠数が定まる。
【0041】
一次処理部131は、上記の処理結果を最終売買データ151として売買データ記憶部15に保存する(S114)。後述するように、二次処理及び三次処理により最終売買データ151は更新される。
【0042】
一次処理部131は、上記処理の結果を各広告主端末3へ通知する(S115)。このとき、一次処理の結果を示すデータとともに、後述する三次処理で抽出する購入推奨枠を各広告主端末3へあわせて通知するようにしても良い。
【0043】
広告主はこの通知により、一次処理によって確保した広告枠のみでよいか、または、さらに追加購入を行うかの判断ができる。
【0044】
上記のように、一次処理部131では、広告主が所望する視聴者特性と広告枠の視聴者特性とが完全に合致することを条件として購入枠を決定する。しかし、このように視聴者特性が完全に合致することを条件とすると、確保できる広告枠が希望枠数を下回ってしまうことがある。そこで、そのような広告主については、二次処理部133及び三次処理部135が以下の処理を行って、さらに多くの広告枠を割り当てる。
【0045】
一次処理部131の処理で重複枠の分配を行っても、広告主が希望する視聴者特性に完全に合致する視聴者特性を有する広告枠が残っている場合がある。そのときは、二次処理部133が所定の方法を用いて、視聴者特性が完全に合致する広告枠を各広告主に割り当てる。二次処理部133は、例えば、オークション、入札あるいは抽選などによって、視聴者特性が完全に合致する残枠の割り当てを行っても良い。二次処理部133は、この処理で割り当てられた広告枠を、各広告主端末3へ通知する。広告主は、この通知により、一次処理によって確保した広告枠のみでよいか、または、さらに購入を行うかの判断ができる。
【0046】
二次処理部133は、最終売買データ151を更新して、上述の二次処理の結果を保存する。二次処理部133は、上記処理の結果を各広告主端末3へ通知するようにしてもよい。このとき、二次処理の結果を示すデータとともに、後述する三次処理で抽出する購入推奨枠を各広告主端末3へあわせて通知するようにしても良い。
【0047】
三次処理部135は、広告主が希望する条件と完全には一致しないが、希望条件と近い広告枠を割り当てて、広告予算の上限金額234a近くまで使い切らせるようにする。二次処理部133による割り当てを行っても、上限金額234aを使い切るまでの広告枠を購入できない広告主がでてくる。そこで、三次処理部135は、広告枠の視聴者特性が完全には一致していないが、所望の視聴者特性に近似する広告枠を購入できる仕組みを提供する。
【0048】
所望の視聴者特性に近似する広告枠とは、例えば、所望の視聴者特性を有する広告枠の前後の時間帯の広告枠であっても良いし、視聴者特性の特性値が、所望の視聴者特性の特性値と類似する広告枠であってもよい。
【0049】
以下、三次処理部135の詳細な処理手順について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0050】
三次処理部135は、広告主ごとに、所望の視聴者特性に近似する広告枠を購入推奨枠として抽出する(S201)。例えば、三次処理部135は、上述のように、広告主が購入条件として指定した視聴者特性と一致する広告枠の前後の時間帯の広告枠、及び広告主が購入条件として指定した視聴者特性の特性値と類似する特性値を有する広告枠を、購入推奨枠として抽出しても良い。
【0051】
三次処理部135は、ここで抽出された、広告主別の購入推奨枠を示すデータを一時データ153として保存する(S203)。三次処理部135は、これらの処理をすべての広告主の購入条件データ23について行う(S205)。
【0052】
三次処理部135は、ステップS203で保存された一時データ153を参照して、各広告主端末3へそれぞれの購入推奨枠に関する情報を通知する(S207)。ここで広告主端末3へ通知する情報には、例えば、購入推奨枠の視聴者属性の特性値及びその時間帯などを含んでも良い。
【0053】
ステップS207において、購入推奨枠の通知を受けた広告主から購入申し込みがあれば、三次処理部135は、その購入申し込みに係る購入推奨枠をその申し込みをした広告主に割り当てる。これにより、その購入推奨枠の販売先が確定する(S209)。
【0054】
三次処理部135は、最終売買データ151を更新して、上述の三次処理の結果を保存する。(S211)。
【0055】
三次処理では、広告主は所望の条件に近い条件の広告枠を確保することができ、予算の上限額に近い金額まで広告枠を確保することができる。また、媒体主にとっては、三次処理をおこなうことにより広告枠の販売を促進することができる。
【0056】
図1に戻ると、広告表示スケジュール生成部17は、売買データ記憶部15の最終売買データ151を参照して、各表示装置の広告表示スケジュールを生成する。例えば、広告表示スケジュール生成部17は、機器ID212ごと、枠利用期間214内の枠利用時間帯215ごとに広告主ID231を割り当てた広告表示スケジュールを生成する。広告表示スケジュール生成部17は、生成した広告表示スケジュールのデータを広告主端末3及び媒体主端末5へ送信する。また、広告表示スケジュール生成部17は、広告表示スケジュールのデータを、表示装置へ広告コンテンツの配信を行う配信サーバ(図示しない)へ送信しても良い。
【0057】
次に、上記のような構成を有する広告スケジューリングシステム全体の処理手順について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
まず、広告主は購入条件データ23を広告主端末3から登録し、媒体主は販売条件データ21を媒体主端末5から登録する(S301)。
【0059】
販売条件データ21及び購入条件データ23が登録された後、一次処理部131が上述した一次処理を行う(S303)。これにより、広告主が所望する視聴者特性と一致する広告枠が各広告主へ割り当てられる。
【0060】
売買処理部13は、この一次処理により、すべての広告主が希望する広告枠をすべて確保できたか否かを判定する(S305)。すべての広告主がそれぞれの希望する広告枠数をすべて確保できていれば、ステップS313へスキップする(S305:Yes)。
【0061】
一方、すべての広告主がそれぞれの希望する広告枠数をすべて確保できていないときは(S305:No)、二次処理部133が上述した二次処理を行う(S303)。これにより、広告主が所望する視聴者特性と一致する広告枠が各広告主へ追加で割り当てられる。
【0062】
売買処理部13は、この二次処理により、すべての広告主が希望する広告枠数をすべて確保できたか否かを判定する(S309)。すべての広告主がそれぞれの希望する広告枠数をすべて確保できていれば、ステップS313へスキップする(S309:Yes)。
【0063】
すべての広告主がそれぞれの希望する広告枠をすべて確保できていないときは(S309:No)、三次処理部135が上述した三次処理を行う(S311)。これにより、広告主が所望する視聴者特性と完全には一致しないが、所望する視聴者特性と近似する特性の広告枠が各広告主へ追加で割り当てられる。
【0064】
上記処理を行った後に、広告表示スケジュール生成部17が最終売買データ151を参照して、広告表示スケジュールを生成する(S313)。
【0065】
本実施形態によれば、複数の設置者事業者あるいは広告代理店などの媒体主が提供する広告枠の特性と広告主が所望する条件とに基づいて、媒体主及び広告主の双方が満足するように広告枠をマッチングさせることができる。
【0066】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、一次処理及び三次処理で広告枠を抽出する際に、購入条件データ及び販売条件データの視聴者特性が合致することを条件としているが、視聴者特性以外にも、表示装置の台数、予想視聴者数、表示装置の設置場所などを条件としても良い。このときに、例えば、広告主が所望する予想視聴者数との差が所定数以内であれば、予想視聴者数が近似するとしてもよいし、広告主が所望する表示装置の設置場所が「駅」であれば、「バス停」あるいは「列車内」のように、公共交通機関に関連する場所が近似する場所としても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 広告スケジューリング装置
11 登録条件記憶部
13 売買処理部
15 売買データ記憶部
17 広告表示スケジュール生成部
21 販売条件データ
23 購入条件データ
131 一次処理部
133 二次処理部
135 三次処理部
151 最終売買データ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広告表示装置のそれぞれの設置場所及び時間帯により定まる、複数の広告枠のそれぞれの特性を示す広告枠特性データを記憶する第1の記憶手段と、
複数の広告主について、各広告主の広告を広告表示装置に表示させるための表示条件を示す広告表示条件データを記憶する第2の記憶手段と、
前記広告表示条件データ及び前記広告枠特性データに基づいて、前記複数の広告枠と前記複数の広告主とをマッチングさせるマッチング手段と、
前記マッチング手段によるマッチング結果に従って、広告の表示スケジュールを示すスケジュールデータを生成するスケジュール生成手段と、を備える広告スケジューリング装置。
【請求項2】
前記広告表示条件データには、広告主が所望する広告枠の特性及び希望する広告枠数を示す情報を含み、
前記広告スケジューリング装置は、
前記広告枠特性データにおいて第一の特性を有する広告枠の総数よりも、前記広告枠特性データにおいて前記複数の広告主が所望する第一の特性を有する広告枠の総数が多いときは、各広告主が希望している第一の特性を有する広告枠の枠数に応じて分配する分配手段を、さらに備える請求項1記載の広告スケジューリング装置。
【請求項3】
前記広告枠の特性は、各表示装置の設置場所でそれぞれの広告表示装置を視聴する視聴者の属性または視聴者数を含む、請求項1または2に記載の広告スケジューリング装置。
【請求項4】
広告スケジューリング装置がおこなう方法であって、
複数の広告表示装置のそれぞれの設置場所及び時間帯により定まる、広告を表示するための複数の広告枠のそれぞれの特性を示す広告枠特性データを第1の記憶手段に記憶するステップと、
複数の広告主の広告コンテンツについて、各広告コンテンツを広告表示装置に表示させるための表示条件を示す広告表示条件データを第2の記憶手段に記憶するステップと、
前記広告表示条件データ及び前記広告枠特性データに基づいて、前記複数の広告枠と前記複数の広告コンテンツとをマッチングさせるステップと、
前記マッチングによるマッチング結果に従って、広告の表示スケジュールを示すスケジュールデータを生成するステップと、を行う方法。
【請求項5】
広告スケジューリング装置がおこなう方法であって、
複数の広告表示装置のそれぞれの設置場所及び時間帯により定まる、広告を表示するための複数の広告枠のそれぞれの特性を示す広告枠特性データを第1の記憶手段に記憶するステップと、
複数の広告主の広告コンテンツについて、各広告コンテンツを広告表示装置に表示させるための表示条件を示す広告表示条件データを第2の記憶手段に記憶するステップと、
前記広告表示条件データ及び前記広告枠特性データに基づいて、前記複数の広告枠と前記複数の広告コンテンツとをマッチングさせるステップと、
前記マッチングによるマッチング結果に従って、広告の表示スケジュールを示すスケジュールデータを生成するステップと、を行う方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257893(P2011−257893A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130593(P2010−130593)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)