説明

広告情報表示システム

【課題】バス、トラック、配送車、タクシー、一般乗用車などの移動体のボディの一部に液晶ディスプレイ等から構成される表示装置を設け、その表示装置にネットワーク経由で各種の広告情報を送って表示させる広告情報表示システムを提供する。
【解決手段】本発明の広告情報表示システム(1000)は、ボディの表面の一部に表示手段(2000)を備える移動体(10、20、30)と、広告情報を格納するサーバ(40、60)と、前記移動体と前記サーバとを接続するネットワーク(70)と、を備え、前記表示手段は、前記サーバから前記ネットワークを介して前記広告情報を受け取り、その広告情報を表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広告情報表示システムに関し、より詳細には、バス、トラック、配送車、タクシーなどの移動体のボディに液晶ディスプレイ等から構成される表示装置を設け、その表示装置にネットワーク経由で所定の広告情報を送って表示させる広告情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
街頭には多くの広告看板が設置されている。これらの広告は所定の商品を宣伝する目的で設けられているため、不特定多数の人々に観察されることが好ましい。しかし、実際にはその設置場所に依存して観察者の人数、性別、年代、職業などが限定されてしまう。
【0003】
解決策としては、広告を特許文献1のように自動車や電車などの移動体の本体の一部に取り付ければよい。自動車や電車は広範なエリアを移動するため、より多くの人に広告が観測されることを期待できる。
【特許文献1】特開2004−258254
【特許文献2】特開2006−053187
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、移動体に取り付けられた広告を他の広告に交換する際には、広告を作成および交換する手間と費用が発生してしまう。
【0005】
一方、特許文献2は、CRT、LCD、PDPなどのディスプレイ装置からなる表示装置を移動体に取り付け、所定の広告情報を該表示装置に表示させる移動体広告システムを開示している。これにより、広告を交換する手間は省け、簡単迅速かつ安価に広告を製作することができる。
【0006】
特許文献2では、広告情報を各移動体にDVD−RWなどの記録媒体を介して供給している。したがって、移動体の数が多くなるとこの記録媒体に広告情報をコピーする手間や、記録媒体の費用も無視できなくなる。
【0007】
さらに、移動体に設置する広告を決定するに当り、その広告を観察する人の数、あるいは観察する人の性別、年代、職業などの情報が必要である。しかし、上記特許文献1および2は、この情報を取得する方法について教示も示唆もしていない。
【0008】
本発明は上記の不都合を考慮して創案されたものであり、本発明の目的は、バス、トラック、配送車、タクシーなどの移動体のボディの一部に液晶ディスプレイ等から構成される表示装置を設け、その表示装置にネットワーク経由で各種の広告情報を送って表示させる広告情報表示システムを提供することである。本発明の別の目的は、移動体が表示する広告情報を観察した観察者に関する情報を収集し、その情報に統計的処理を施すことが可能な広告情報表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために創案された請求項1の発明は、
(a)ボディの表面の一部に表示手段を備える移動体と、
(b)広告情報を格納するサーバと、
(c)前記移動体と前記サーバとを接続するネットワークと、
を備え、
前記表示手段は、前記サーバから前記ネットワークを介して前記広告情報を受け取り、その広告情報を表示することを特徴とする広告情報表示システムである。
【0010】
前記課題を解決するために創案された請求項2の発明は、請求項1に記載の広告情報表示システムが、
(d)前記ネットワークに接続された1つまたは複数の端末
をさらに備え、その端末から前記サーバへ前記広告情報の観察者に関する情報を送ることが可能なことを特徴とする。
【0011】
前記課題を解決するために創案された請求項3の発明は、請求項2に記載の広告情報表示システムにおいて、
前記サーバが、
(e)前記端末から受け取った前記観察者に関する情報を格納するデータベース手段と、
(f)前記受け取った観察者に関する情報に統計的処理を施す統計分析手段と、
(g)前記統計的処理を施した情報を表示するディスプレイ手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するために創案された請求項4の発明は、請求項1ないし3の何れか一項に記載の広告情報表示システムにおいて、
前記表示手段は前記移動体のボディの背面に設置され、
前記表示手段は、
(h)前記移動体の前方に設置された撮像手段と、
(i)前記広告情報と、前記撮像手段が撮影した風景画像と、予め用意した所定の画像との中から何れかを選択的に表示する選択手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
前記課題を解決するために創案された請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れか一項に記載の広告情報表示システムにおいて、
(j)前記表示装置は、
(k)前記移動体の現在位置を提供する現在位置提供手段と、
(l)現在時刻を提供する時刻提供手段と、
(m)前記移動体の現行の速度を提供する車速提供手段と、を備え、
前記選択手段は、前記現在位置、前記現在時刻、前記現行の速度のうちの少なくとも1つに基づいて前記広告情報と前記風景画像との何れかを選択することを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために創案された請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れか一項に記載の広告情報表示システムにおいて、
前記広告情報は、カラーまたは白黒の文字、記号、静止画、動画のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するために創案された請求項7の発明は、請求項4に記載の広告情報表示システムにおいて、
前記移動体は複数の移動体を含み、該複数の移動体の表示手段はそれぞれ通信手段を有し、それにより前記移動体の間で前記ネットワークを介して前記広告情報と前記風景画像と前記所定の画像とを転送可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項1において、「移動体」とは、例えばトラック、バス、配送車、タクシー等の商用車や自家用車等などの自動車全般を示す。また、「広告情報」とは、その広告主である団体が自身の商品や興行物等を宣伝するための情報である。
【0017】
請求項1のシステムでは、移動体の表示手段が表示する広告情報は、サーバからネットワーク経由で送られる。そのため、表示する広告情報を容易に、かつ迅速に変更することが可能である。
【0018】
請求項2のシステムにより、端末から広告情報の観察者に関する情報を入手することができる。この情報を参考にして、広告情報の広告主、広告情報の内容、広告料金などを決定することができる。
【0019】
請求項3のシステムにより、観察者に関する情報を統計的手法で分析し、グラフ等でビジュアル化して表示させることが可能である。
【0020】
請求項4のシステムにより、移動体の後ろを走行する自動車の運転手に、該移動体の前方の風景画像を提供することができる。移動体がバス、トラック、配送車など高い車高を有する場合、その後ろを走行する自動車の運転手は前方の交通状況が分からずストレスを感じてしまう。しかし、本発明のシステムにより、当該運転手のストレスは大きく緩和され、交通安全に寄与することができる。さらに、移動体の管理者や運転手等が予め撮影または作成した画像等を適宜表示させることもできる。
【0021】
請求項5のシステムにより、移動体の現在位置およびその速度、現在時刻などの周囲環境に応じて広告情報と風景画像のうちの最適な方を選択することができる。
【0022】
請求項6のシステムにより、TVや雑誌等で紹介される広告と同レベルの広告情報を提供することができる。
【0023】
請求項7のシステムにより、移動体同士で前記広告情報および風景画像などの情報をやり取りすることが可能となる。そのため、例えば、ある移動体がその前方を走行する他の移動体が作成した風景画像を取得して、自身の表示手段に表示させるなど、よりフレキシブルな適応が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、移動体のボディの一部に表示装置を設け、その表示装置にネットワーク経由で各種の広告情報を送って表示させる広告情報表示システムを提供することが可能となる。さらに、当該移動体が表示する広告情報を観察した観察者に関する情報を収集し、その情報に統計的処理を施すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
添付の図面を参照して、以下に本発明の一実施形態に係る広告情報表示システムについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る広告情報表示システム1000の概略図である。このシステムは、表示機能を有する移動体に所定の広告情報をネットワーク経由で送り、該移動体にその広告情報を表示させることを目的とし、表示機能を有する移動体10、20、30と、この移動体にそれぞれ対応する基地局10a、20a、30aと、コンテンツサーバ40と、端末50と、その端末50に対応する端末用基地局50aと、グローバルマネージャ60と、これらの構成部材をデータ通信可能に相互接続するネットワーク70と、を備える。
【0026】
なお、本実施形態において、「移動体」とはバス、トラック、配送車、タクシー、自家用車を含む自動車全般に該当し、「広告情報」は広告主である団体が提供する商品等を宣伝するための情報であり、静止画像、動画像、文字等から構成される。また、その広告主から移動体の所有者へ契約に基づいた広告料が支払われているものとする。
当該広告情報を観察した人を「観察者」と称し、その観察者に関する情報(人数、性別、年代、職業、趣味など)を「観察者情報」とする。さらに、移動車に設置した撮像部で撮影した画像情報を「風景画像」と称する。
【0027】
また、本実施形態では、広告情報と風景画像には白黒画像を用いる。これは、現行の法規制に準拠するためであり、カラー画像を用いると移動体10の後ろを走行する自動車の運転手がブレーキランプやハザードランプと混同して危険である。しかし、法規制および安全性に問題がなければカラー画像を用いてもよい。
【0028】
以下、図1の広告情報表示システム1000の構成要素について説明する。
[移動体]
移動体10、20、30は広告情報を表示するための画像表示装置2000(図2および図3参照)を備え、基地局10a、20a、30aからそれぞれ無線で広告情報を受信する。なお、本実施形態では3台の移動体が使用されているが、移動体の数は限定されるものではなく任意でよい。
【0029】
[基地局]
基地局10a、20a、30aは、コンテンツサーバ40からネットワーク70経由で受け取った広告情報を該当する移動体に送るための通信装置であり、この送信には携帯電話回線、PHS回線、あるいはIEEE802.11規格に準拠したWLAN等を用いてよい。また、基地局10a、20a、30aはそれぞれ割り当てられた担当エリア内に存在する移動体と通信を行う。例えば、移動体10が基地局10aの担当エリア内にある場合には、基地局10aが移動体10に広告情報を送る。しかし、移動体10が基地局20aの担当エリアに移動した場合には基地局20aが移動体10に広告情報を送る。さらに、基地局10aの担当エリア内に2つの移動体10、20がある場合には、基地局10aが2つの移動体10、20にそれぞれ広告情報を送る。
【0030】
[コンテンツサーバ]
コンテンツサーバ40は、既存のコンピュータ、サーバなどの情報処理装置から構成され、移動体10、20、30に表示させるための広告情報を格納し、グローバルマネージャ60からのコマンドに応じてこの広告情報を該当する移動体にネットワーク70経由で送付する。
【0031】
[端末]
端末50は、移動体10、20、30を所有する団体が管理するWebサイトにアクセスするための通信装置である。主に、広告情報の観察者が会員登録する目的で使用される。なお、会員登録の詳細については後述する。
また、図1では、端末50は携帯電話で示されているが、端末50は携帯電話装置に限定されるものではない。代わりに通信機能を有するPDA、コンピュータなどを用いてもよい。
【0032】
[グローバルマネージャ]
グローバルマネージャ60は、広告情報表示システム1000全体を制御する機能を有し、既存のサーバ、コンピュータなどの情報処理装置で実装される。グローバルマネージャ60はデータベース機能を備え、どの広告情報をどの移動体に表示させるかを決定する権限を有する。さらに、詳細は後述するが、移動体10、20、30を所有する団体が管理するWebサイトを格納し、そのサイトを通じて端末50から観察者情報を受け取り、その情報に統計的処理を施し、ビジュアル化する機能も有する。
なお、このグローバルマネージャ60の機能は、コンテンツサーバ40によって実行されてもよい。その場合、コンテンツサーバ40とグローバルマネージャ60とは、単一の構成要素となる。
【0033】
[ネットワーク]
上記の構成要素を通信可能に相互接続するためのネット網であり、インターネット、イーサネット(登録商標)、広域イーサネットなどを用いてよい。
【0034】
次に、図2および図3を参照して、図1の移動体10およびその移動体10が備える画像表示装置2000の構成について詳細を説明する。なお、移動体10、20、30はすべて同一の構成を有しているため、移動体10の構成のみを説明し、移動体20、30の構成についての説明は省略する。
図2は、移動体10の外観を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は背面図である。この図に示す移動体10は、宅配便業者などが使用する配送車に該当するが、本発明はそれに限定するものではなく、移動体10には任意の自動車を用いてよい。ただし、後述する画像表示装置2000のディスプレイ部200を設置可能なスペースがボディの一部に確保されている必要がある。
【0035】
図3は、移動体10が有する画像表示装置2000の構成を示す。図3において一点鎖線は移動体10のボディを示す。したがって、部材100、130、140、200は移動体10のボディの外部に露出していることを意味する。
部材100は無線アンテナ部であり、移動体10のルーフの所定の箇所に取り付けられている。部材130は撮像部であり、移動体10のルーフの前方に取り付けられている。部材200はディスプレイ部であり、移動体10のボディ背面の所定の箇所に取り付けられている。部材140はGPSアンテナ部であり、移動体10のルーフまたは背面に設置されている。また、移動体10の背面のディプレイ部200の横には識別番号プレート3000が取り付けられている。これは、移動体を識別するためのものであり、このプレートには数桁の文字や数字が記載されている。これはすべての移動体に一意に付与されねばならない。なお、識別番号プレート3000を用いる代わりに、識別番号を移動体10の背面に直接記載してもよい。
【0036】
続いて、画像表示装置2000の構成を説明する。この装置は、無線アンテナ部100と、広告情報復調部110と、広告情報バッファ部120と、撮像部130と、GPSアンテナ部140と、現在位置検出部150と、タイマ部160と、車速パルス取得部170と、画像選択部180と、画像決定部190と、ディスプレイ部200と、プログラム記憶部210と、を備える。
【0037】
[無線アンテナ部]
無線アンテナ部100は、基地局10a、20a、30aから送られる無線信号を受信するためのアンテナである。ここで受信する信号は、コンテンツサーバ40からネットワーク70経由で送られる広告情報である。なお、無線アンテナ部100は、広告情報復調部110に接続されており、受信した電波は電流に変換され、広告情報復調部110に送られる。
【0038】
[広告情報復調部]
広告情報復調部110は無線アンテナ部100から送られた電流を電圧に変換し、さらに後段とインターフェース可能な所定の形式を有する電気信号に復調する。
【0039】
[広告情報バッファ部]
広告情報バッファ部120は、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスク等から構成され、広告情報復調部110が復調した信号を格納する。
【0040】
[撮像部]
撮像部130は、移動体10の前方の風景を所定のデジタル形式の動画像として取り込むためのものであり、市販のデジタル式ムービーカメラ等を用いてよい。
【0041】
[GPSアンテナ部]
GPSアンテナ部140は、移動体10の現在位置を測定する目的でGPS衛星からの電波を受信するためのアンテナである。GPSアンテナ部140は現在位置検出部150に接続されており、受信した電波は電気信号に変換され、現在位置検出部150に送られる。
【0042】
[現在位置検出部]
現在位置検出部150は、GPSアンテナ部140から送られた電気信号を基に移動体10の現在位置を求め、その現在位置を示す信号を接続されている画像決定部190に送る。
【0043】
[タイマ部]
タイマ部160は現在時刻を取得する機能を有し、取得した現在時刻を接続されている画像決定部190に送る。
【0044】
[車速パルス取得部]
車速パルス取得部170は、移動体10のエンジンコンピュータと接続されており、このコンピュータから車速パルスを取り出して移動体10の現行の速度を求め、その速度を示す信号を画像決定部190に送る。
【0045】
[画像選択部]
画像選択部180は、広告情報バッファ部120に格納されている広告情報と、撮像部130からリアルタイムで送られる風景画像との何れかを選択して、ディスプレイ部200に送る機能を有する。この画像選択は画像決定部190からのコマンドに従って行われる。
【0046】
[画像決定部]
画像決定部190は、画像切換部180に上述のコマンドを送って、ディスプレイ部200に表示される画像を決定する機能を有する。なお、決定に際しては、以下の条件を考慮することができる。
1)現在位置検出部150から受け取る移動体10の現在位置を基に、移動体10が配送ルート内のどのエリアを走行しているかを求める。そして、そのエリアが例えば、渋滞する場所ならば広告情報を選択するコマンドを生成し、交通がスムーズな場所ならば風景画像を選択するコマンドを生成する。
2)タイマ部160から受け取る現在時刻を基に表示する画像を決定する。例えば、午前中は風景画像を、そして午後は広告情報を選択する。あるいは、風景画像を5分間選択した後に広告情報を1分間選択するサイクルを繰り返す。
3)車速パルス取得部170から受け取る移動体10の現行の速度に応じて表示する画像を決定する。例えば、移動体10が時速10km/hr以上で走行している場合には風景画像を選択し、時速10km/hr未満になったら広告情報を選択する。
4)上記1)〜3)の条件の任意の組み合わせ。
【0047】
[ディスプレイ部]
画像選択部180が選択した画像を表示するためのものであり、図2(b)に示すように移動体10の背面に取り付けられる。ディスプレイ部200には、特に限定するものではないが、その取り付け性、視認性、価格などを考慮すると、液晶ディスプレイを用いることが好ましい。また、車の走行による振動や背面のドアを開閉に伴う衝撃によってディスプレイ部200が取り外れないよう所定構造のアタッチメントを用いてしっかりと固定する必要がある。また、破損の防止や排気ガスからの保護のため、透明のプラスチック等で形成された保護カバーで表面を覆うことが好ましい。
【0048】
[プログラム記憶部]
プログラム記憶部210は、画像決定部190を制御するためのプログラムを格納したものであり、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスク等で構成される。画像を選択する条件はこのプログラムによって決定される。
【0049】
図4は、移動体10の後ろを走行する自動車の運転手から該移動体10の画像表示装置2000を見た場合の視界を示す。
図4(a)は広告情報を表示した場合であり、(b)は風景画像を表示した場合である。図4(a)のように画像表示装置2000のディスプレイ部200に広告を表示すれば、後ろを走行する自動車の運転手および助手席の同乗者に好適に観察される。また、図示のような配送車は車高が高いため、後ろを走行する自動車の運転手は、前方の視界が制限され、前方の状況がわからずにストレスを感じてしまう。しかし、図4(b)のように画像表示装置2000のディスプレイ部200に、移動体10の前方の風景を示す風景画像を表示させることで、そのストレスが緩和される。
【0050】
次に、上記の画像表示装置2000を有する広告情報表示システム1000に所定の画像を表示させる手順を図5のフロー図を参照して説明する。画像を表示させる手順は、コンテンツサーバ40が広告情報を移動体10に送付する手順と、移動体10の画像表示装置2000が広告情報と風景画像との何れかを選択する手順とに大別される。前者の手順を図5(a)に、後者の手順を図5(b)に示す。
【0051】
最初に図5(a)を参照して、広告情報を移動体10に送付する手順を説明する。
まず、グローバルマネージャ60が移動体10、20、30に何れの広告情報を表示させるかを決定する(ステップS10)。そして、この決定に従い、所定の広告情報を該当する移動体に送るためのコマンドをコンテンツサーバ40に送る。コンテンツサーバ40は、そのコマンドに従い、自身が格納する広告情報から該当のものを取り出して、ネットワーク70経由で移動体10、20、30に送付する(ステップS11)。
【0052】
広告情報は基地局10a、20a、30aで電波信号に変換され、移動体10、20、30が備える画像表示装置2000の無線アンテナ部100で受信され(ステップS12)、広告情報復調部110で電気信号に復調される。次いで、復調された広告情報は広告情報バッファ部120に格納される(ステップS13)。
以降、広告情報が変更される毎に上記ステップS10〜ステップS13の手順が行われる。
【0053】
以上が広告情報を移動体10に送付する手順である。次に、図5(b)を参照して広告情報と風景画像との何れかを選択する手順を説明する。
【0054】
移動体10の画像表示装置2000内の画像決定部190が、現在位置検出部150、タイマ部160、車速パルス取得部170からそれぞれ現在位置、現在時刻、現行の車速を取得する(ステップS20)。次いで、画像決定部190は、これらの取得した情報を基に、広告情報バッファ部120に格納された広告情報を表示させるかどうかを判断する(ステップS21)。なお、この判断は、プログラム記憶部210に格納されたプログラムで設定された各種の条件に従って行われる。
【0055】
広告情報を表示すべきと判断した場合には(ステップS21で「YES」)、画像決定部190は画像選択部180に広告情報を選択するコマンドを送る。画像選択部180はそのコマンドに応じて広告情報バッファ部120に格納された広告情報を取得し、ディスプレイ部200に送る。その結果、広告情報がディスプレイ部200に表示される(ステップS22)。
【0056】
一方、広告情報を表示すべきではないと判断した場合には(ステップS21で「NO」)、画像決定部190は画像選択部180に風景画像を選択するコマンドを送る。画像選択部180はそのコマンドに応じて撮像部130から常時送られる風景画像をディスプレイ部200に転送する。その結果、風景画像がディスプレイ部200に表示される(ステップS23)。以下、ステップS20からステップS22またはS23の手順が繰り返される。
なお、上述した図5(a)の手順と、(b)の手順とは相互に独立して行われてよい。
【0057】
以上、本発明の一実施形態に係る広告情報表示システム1000が所定の画像を表示する機能および手順について説明した。さらに、広告情報表示システム1000は、これらの機能に加え、さらに表示した広告情報を観察した観察者から様々な情報を取得し、かつその情報を分析する機能も有している。以下、この機能について説明する。
【0058】
まず、前提条件として、図6に示すように、ディスプレイ部200に表示された広告情報が所定の文字およびURL情報を含む必要がある。このURLのサイトは、移動体10を所有する配送会社等の団体が管理するものであり、グローバルマネージャ60内に格納されている。「右の番号」とは、移動体10の識別番号である(図4(a)(b)参照)。プレゼントする商品はこの広告情報の広告主である企業等の団体が提供する商品でよい。
【0059】
広告情報内のこの文字情報を観察した観察者は、商品を目当てに上記URLのサイトにアクセスする。そして、当該サイトは観察者に移動体10の識別番号の入力と、会員登録を要求する。観察者はその要求に従い識別暗号の入力と会員登録に必要な事項の入力を行う。代替として、会員登録を要求せず匿名のアンケート形式で必要な事項の入力を要求してもよい。
なお、この手続きは図1に示す端末50から行われる。また、上記会員登録のために入力される事項が「観察者情報」である。
【0060】
また、図示しないが、広告情報にQRコードを付与してもよい。端末50がカメラを搭載している場合、観察者がこのカメラで当該QRコードを撮影することにより該当のサイトに接続することが可能となる。
さらに、撮影した広告情報の画像を接続したサイトに送付し、グローバルマネージャ60がテンプレートマッチング等の周知の画像処理技術でその画像を識別し、該当する移動体を特定するように構成することもできる。この場合には識別番号プレート3000に記載された識別番号を入力する手順が省略されるため、観察者はより容易に、かつ迅速に所定の事項を入力することができる。
【0061】
図7は、図1のグローバルマネージャ60の機能要素を示したブロック図である。図示のように、グローバルマネージャ60は、観察者情報入力部610と、観察者情報記憶部620と、観察者情報分析部630と、モニタ部640とを有する。以下これらの機能要素について説明する。
【0062】
[観察者情報入力部]
観察者情報入力部610は、端末50からネットワーク70経由で送られる観察者情報を受け取る機能を有する。具体的には、上記のURLのサイトに提供される会員登録フォームの形態で実装され、観察者が端末50を用いてこのフォームに所定の項目を入力する。この受け取った情報は観察者情報記憶部620に書き込まれる。ここで、入力される情報は、移動体の識別番号、並びに観察者の性別、年齢(または年代)、職業、趣味、メールアドレスなどが挙げられる。
【0063】
[観察者情報記憶部]
観察者情報記憶部620は、観察者情報入力部610が受け取った観察者情報を格納する機能を有し、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクなどで実装される。
【0064】
[観察者情報分析部]
観察者情報分析部630は、観察者情報記憶部620に格納された観察者情報に対して各種の統計的処理を施し、さらにグラフ化する機能を有する。
図8は、観察者情報分析部630によって作成された表の例である。図8(a)は各移動体と、その移動体の広告情報を観察した観察者数との関係をそれぞれ示したデータであり、(b)〜(d)については移動体ごとに個別に作成されるデータであり、この例は識別番号A001の移動体の広告情報を観察した観察者に対しての詳細を示している。
図9は、図8の各表のデータを円グラフで示したものである。
【0065】
[モニタ部]
モニタ部640は、観察者情報分析部630が作成した表やグラフを表示する機能を有し、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどで実装される。
【0066】
以上の機能によって、広告情報表示システム1000における移動体10、20、30の画像表示装置2000に表示させた広告情報に対する観察者の情報を取得することが可能となる。これらの情報は、各移動体の広告情報の広告主を検討する上で、あるいはその広告料金を決定する上で有益な資料となる。
【0067】
以上に渡って、本発明の一実施形態に係る広告情報表示システム1000の機能について説明したが、本発明の内容はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、移動体が単一の広告情報を取り扱っているが、複数の広告情報を同時に扱ってもよい。この場合には、画像決定部190と画像選択部180は、所定の条件に従って複数の広告情報と風景画像から所望のものを選択して、ディスプレイ部200に表示させる。さらに、広告情報や風景画像に加えて、移動体を所有する団体等が撮影または作成した任意の画像等をディスプレイ部200に表示させることも可能である。
【0068】
さらに、本実施形態において広告情報を表示するための画像表示装置2000のディスプレイ部200は、移動体10、20、30のボディの背面に設置しているが、本発明においるディスプレイ部の設置箇所は移動体ボディの背面に限定されるものではなく、当該ボディの一部に設置されていればよい。代替例としてはボディの左側面に設置してもよい。この場合、広告観察者は移動体の左側の歩道にいる歩行者となる。この場合、風景画像は不要となり、画像表示装置2000の撮像部130は削除してよい。画像選択部180は、ディスプレイ部200に広告情報のみを表示させるか、あるいは広告情報と任意の画像等とを選択的に表示させればよい。
【0069】
上記に実施形態に加えて、移動体10、20、30の間で情報のやり取りが可能な構成としてもよい。この場合、移動体10、20、30と基地局10a、20a、30aとは双方向で通信が可能である。
例えば、移動体10が所定のエリアを走行中に、移動体10の運転手が前方を走行中の移動体20を発見したと仮定する。そのときに移動体10の運転手は画像表示装置2000を用いて移動体20が取得した風景画像を転送するようリクエストをする。そのリクエストはネットワーク70経由でグローバルマネージャ60に送られ、グローバルマネージャ60が受け取ったリクエストに応じて、移動体20の風景画像を入手し、移動体10に転送する。移動体10の画像表示装置2000は移動体20の風景画像を広告情報バッファ部120に格納し、画像決定部190の決定に基づいて選択的にディスプレイ部200に表示される。その結果、移動体10の後方を走行する自動車の運転手は、2種の異なる前方風景を観察することができ、より詳細に前方の交通情報を把握することが可能となる。
【0070】
なお、本発明の一実施形態に係る広告情報表示システム1000が提供する機能は、特定のハードウェア資源またはソフトウェア処理に限定されないことに留意されたい。すなわち、本発明の一実施形態に係る画像表示装置2000およびグローバルマネージャ60はその機能を実現できる限り、如何なるハードウェア(電子回路等)、ソフトウェア(プログラム)、あるいはそれらの組み合わせ等を用いてよい。
【0071】
以上、本発明を図面に示した実施形態を用いて説明したが、これらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者ならば、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない範囲で多様な変更および変形が可能なことは理解できるであろう。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって定められず、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨により定められねばならない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る広告情報表示システム1000の構成を示す図である。
【図2】広告情報表示システム1000の移動体10、20、30の外観を示す図であり、(a)はその側面図で、(b)は背面図である。
【図3】広告情報表示システム1000の画像表示装置2000の構成を示す図である。
【図4】移動体10、20、30の画像表示装置2000を後方の自動車の運転席から見た図であり、(a)は画像表示装置2000が広告情報を表示した場合であって、(b)は風景画像を表示した場合である。
【図5】広告情報表示システム1000が画像情報を表示する手順を示すフロー図であって、(a)は広告情報を移動体10に送付する手順であって、(b)は広告情報と風景画像との何れかを選択する手順である。
【図6】所定の文字情報を含む広告情報の例を示す図である。
【図7】広告情報表示システム1000のグローバルマネージャ60の構成を示す図である。
【図8】グローバルマネージャ60が作成した観察者情報の表であり、(a)は移動体に関する情報と観察者情報との関係を示したデータであり、(b)ないし(d)については移動体ごとに作成されるデータでる。
【図9】グローバルマネージャ60が作成した観察者情報の円グラフであり、(a)ないし(d)はそれぞれ図7(a)ないし(d)に対応している。
【符号の説明】
【0073】
10 移動体
20 移動体
30 移動体
10a 基地局
20a 基地局
30a 基地局
40 コンテンツサーバ
50 端末
50a 端末用基地局
60 グローバルマネージャ
70 ネットワーク
100 無線アンテナ部
110 広告情報復調部
120 広告情報バッファ部
130 撮像部
140 GPSアンテナ部
150 現在位置検出部
160 タイマ部
170 車速パルス取得部
180 画像選択部
190 画像決定部
200 ディスプレイ部
210 プログラム記憶部
610 観察者情報入力部
620 観察者情報記憶部
630 観察者情報分析部
640 モニタ部
1000 広告情報表示システム
2000 画像表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディの表面の一部に表示手段を備える移動体と、
広告情報を格納するサーバと、
前記移動体と前記サーバとを接続するネットワークと、
を備え、
前記表示手段は、前記サーバから前記ネットワークを介して前記広告情報を受け取り、その広告情報を表示することを特徴とする広告情報表示システム。
【請求項2】
前記ネットワークに接続された1つまたは複数の端末をさらに備え、その端末から前記サーバへ前記広告情報の観察者に関する情報を送ることが可能なことを特徴とする請求項1に記載の広告情報表示システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記端末から受け取った前記観察者に関する情報を格納するデータベース手段と、
前記受け取った観察者に関する情報に統計的処理を施す統計分析手段と、
前記統計的処理を施した情報を表示するディスプレイ手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の広告情報表示システム。
【請求項4】
前記表示手段は前記移動体のボディの背面に設置され、
前記表示手段は前記移動体の前方に設置された撮像手段と、前記広告情報と、前記撮像手段が撮影した風景画像と、予め用意した所定の画像との中から何れかを選択的に表示する選択手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の広告情報表示システム。
【請求項5】
前記表示手段は、
前記移動体の現在位置を提供する現在位置提供手段と、
現在時刻を提供する時刻提供手段と、
前記移動体の現行の速度を提供する車速提供手段と、を備え、
前記選択手段は、前記現在位置、前記現在時刻、前記現行の速度のうちの少なくとも1つに基づいて前記広告情報と前記風景画像との何れかを選択することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の広告情報表示システム。
【請求項6】
前記広告情報は、カラーまたは白黒の文字、記号、静止画、動画のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の広告情報表示システム。
【請求項7】
前記移動体は複数の移動体を含み、該複数の移動体の表示手段はそれぞれ通信手段を有し、それにより前記移動体の間で前記ネットワークを介して前記広告情報と前記風景画像と前記所定の画像とを転送可能であることを特徴とする請求項4に記載の広告情報表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−134143(P2010−134143A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309371(P2008−309371)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(397061312)株式会社マックス・ヴァルト研究所 (1)