説明

広告提示装置、システム、及びプログラム

【課題】広告の波及効果を高めると共に、広告効果を適切に評価する。
【解決手段】配信制御部14で、車外に向けて広告を表示する表示装置58を搭載した提示車両から位置情報を取得し、広告対象の店舗Xの所定範囲内に提示車両が存在する場合には、提示車両に店舗Xの広告を示す情報を配信する。視聴判定部16で、提示車両と提示車両の視聴車両との相対位置関係に基づいて、視聴車両の乗員が広告を視聴したか否かを判定する。移動先推定部18で、視聴車両で設定された経路情報等に基づいて、視聴車両の移動先を推定する。視聴車両の乗員が広告を視聴したと判定され、かつ視聴車両の移動先が店舗X周辺であると推定された場合に、ポイント付与部20で、提示車両にポイントを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告提示装置、システム、及びプログラムに係り、特に、車両に搭載された提示装置に広告を提示する広告提示装置、システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信手段によって地域毎の広告表示規制情報を得ることにより、車両の外面に設置する広告表示手段に表示される広告の内容を変更する広告車両用制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、通信手段によって、ドライバ向けに広告を配信するシステムにおいて、広告を視聴した際にインセンティブを与えることにより、その広告効果を高める広告配信システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、車載用広告手段において、広告を提示した端末がPOI(Point of Interest)にたどり着いた場合に広告主に課金することにより、実際に購買行動に結びついた広告を行うナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、車載用広告手段において、広告を参照してから一定時間内に購買行動を起こした場合に広告主に課金することにより、実際の購買行動に結びついた広告を行うナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−54673号公報
【特許文献2】特開2009−86154号公報
【特許文献3】特開2008−197930号公報
【特許文献4】特開2008−242976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、車両の外面に設置した広告手段に提示された広告を、第三者が視聴したか否かを把握することができず、広告効果を適切に評価することができない、という問題がある。
【0008】
また、特許文献2〜4の技術では、広告が配信された車両のドライバ以外への広告の波及効果がない、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、広告の波及効果を高めると共に、広告効果を適切に評価することができる広告提示装置、システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明の広告提示装置は、車外に向けて広告を提示するための提示手段を搭載した提示車両が、広告対象から所定範囲内に存在する場合に、前記提示車両に搭載された提示手段に前記広告対象の広告が提示されるように該広告を示す情報を前記提示車両に配信する配信手段と、前記提示車両と該提示車両周辺に存在する他車両との相対位置関係に基づいて、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する視聴判定手段と、前記他車両における経路検索で設定された経路、過去の移動履歴から推定される移動先、及び該他車両の現在位置から前記広告対象までの経路コストの少なくとも1つに基づいて、前記他車両が前記広告対象周辺へ移動するか否かを推定する推定手段と、前記視聴判定手段による判定結果、及び前記推定手段による推定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する評価手段と、を含んで構成されている。
【0011】
第1の発明の広告提示装置によれば、配信手段が、車外に向けて広告を提示するための提示手段を搭載した提示車両が、広告対象から所定範囲内に存在する場合に、提示車両に搭載された提示手段に広告対象の広告が提示されるように広告を示す情報を提示車両に配信する。そして、視聴判定手段が、提示車両と提示車両周辺に存在する他車両との相対位置関係に基づいて、他車両の乗員が提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する。また、推定手段が、他車両における経路検索で設定された経路、過去の移動履歴から推定される移動先、及び該他車両の現在位置から広告対象までの経路コストの少なくとも1つに基づいて、他車両が広告対象周辺へ移動するか否かを推定する。そして、評価手段が、視聴判定手段による判定結果、及び推定手段による推定結果に基づいて、提示車両による広告効果を評価する。
【0012】
このように、提示車両が車外に向けて広告を提示し、他車両の乗員が提示車両に提示された広告を視聴したか否かの判定結果、及び他車両が広告対象周辺に移動するか否かの推定結果に基づいて、提示車両による広告効果を評価するため、広告の波及効果を高めると共に、広告効果を適切に評価することができる。
【0013】
また、第1の発明において、前記評価手段は、前記視聴判定手段により前記他車両の乗員が広告を視聴したと判定され、かつ前記推定手段により前記他車両が前記広告対象周辺へ移動すると推定された場合に、前記広告効果が高いと評価することができる。
【0014】
また、第1の発明の広告提示装置は、前記評価手段による評価結果に基づいて、前記提示車両に対してポイントを付与する付与手段を含んで構成することができる。これにより、適切な評価に基づいて、適切にポイントを付与することができる。
【0015】
また、第1の発明において、前記視聴判定手段は、前記提示車両と前記他車両との距離が所定範囲内で、かつ前記他車両の乗員の視覚範囲内に前記提示手段が存在する場合に、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したと判定することができる。提示車両と他車両との相対位置関係が、このような関係にある場合には、他車両の乗員は提示車両を目視する可能性が高く、他車両の乗員が広告を視聴したと判定することができる。
【0016】
また、第1の発明において、前記視聴判定手段は、前記他車両に搭載された前方車両検出手段の検出結果、前記提示車両に搭載された後続車両検出手段の検出結果、及び前記提示車両または前記他車両において検出された前記他車両の乗員の視線方向の少なくとも1つに基づいて、前記他車両の乗員の視覚範囲内に前記提示手段が存在するか否かを判定することができる。これにより、より正確に提示車両と他車両との相対位置関係を把握して、他車両の乗員が広告を視聴したと判定することができる。
【0017】
また、第1の発明において、前記視聴判定手段は、前記提示車両の後部に該提示車両の後続車両に向けて前記提示手段が搭載されている場合に、前記提示車両が前記他車両の前方の所定範囲内に存在し、かつ前記提示車両の移動方向と前記他車両の移動方向との差が所定範囲内の場合に、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したと判定することができる。提示車両と他車両との相対位置関係が、このような関係にある場合には、他車両は提示車両の後続車両であり、他車両の乗員は提示車両を目視する可能性が高く、他車両の乗員が広告を視聴したと判定することができる。
【0018】
また、第1の発明の広告提示装置は、前記視聴判定手段による判定結果、及び前記広告対象への入店または購買を示す該広告対象の利用履歴に基づいて、前記他車両の乗員が、前記広告を視聴した後に前記広告対象を利用したか否かを判定する利用判定手段と、を含んで構成することができ、前記評価手段は、さらに、前記利用判定手段の判定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価することができる。これにより、広告の視聴に基づく広告効果の評価に加えて、広告対象への入店または購買に基づく広告効果の評価を行うことができる。
【0019】
また、第2の発明の広告提示装置は、車外に向けて広告を提示するための提示手段を搭載した提示車両が、広告対象から所定範囲内に駐車した場合に、前記提示車両に搭載された提示手段に前記広告対象の広告が提示されるように該広告を示す情報を前記提示車両に配信する配信手段と、前記所定範囲内に存在する他者の位置情報、または前記広告対象への入店または購買を示す該広告対象の同時間帯における利用履歴に基づいて、前記他者が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する視聴判定手段と、前記他者の前記利用履歴に基づいて、前記他者が前記広告対象へ入店するか否かを推定する推定手段と、前記視聴判定手段による判定結果、及び前記推定手段による推定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する評価手段と、を含んで構成されている。
【0020】
第2の発明の広告提示装置によれば、配信手段が、車外に向けて広告を提示するための提示手段を搭載した提示車両が、広告対象から所定範囲内に駐車した場合に、提示車両に搭載された提示手段に広告対象の広告が提示されるように広告を示す情報を提示車両に配信する。そして、視聴判定手段が、所定範囲内に存在する他者の位置情報、または広告対象への入店または購買を示す広告対象の同時間帯における利用履歴に基づいて、他者が提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する。また、推定手段が、他者の利用履歴に基づいて、他者が広告対象へ入店するか否かを推定する。そして、評価手段が、視聴判定手段による判定結果、及び推定手段による推定結果に基づいて、提示車両による広告効果を評価する。
【0021】
このように、提示車両が車外に向けて広告を提示し、他者が提示車両に提示された広告を視聴したか否かの判定結果、及びその他者が広告対象へ入店するか否かの推定結果に基づいて、提示車両による広告効果を評価するため、広告の波及効果を高めると共に、広告効果を適切に評価することができる。
【0022】
また、第2の発明において、前記配信手段は、前記所定範囲内に複数の提示車両が駐車された場合には、該複数の提示車両に搭載された提示手段各々を用いて、1つの広告が提示されるように該広告を示す情報を前記提示車両各々に配信することができる。これにより、興味を引き易い形態で広告を提示することができ、広告の波及効果をより高めることができる。
【0023】
また、第3の発明の広告提示システムは、車外に向けて広告を提示するための提示手段と、位置情報を含む提示車両である自車両の情報を送信する第1送信手段と、配信された広告を前記提示手段に提示するように制御する提示制御手段と、を含む提示車両側に搭載される提示側装置と、前記提示車両と該提示車両に対して他車両となる自車両との相対位置関係に基づいて、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する視聴判定手段と、前記他車両における経路検索で設定された経路、過去の移動履歴から推定される移動先、及び該他車両の現在位置から前記広告対象までの経路コストの少なくとも1つに基づいて、前記他車両が前記広告対象周辺へ移動するか否かを推定する推定手段と、前記視聴判定手段の判定結果、及び前記推定手段の推定結果を送信する第2送信手段と、を含む他車両側に搭載される他車両側装置と、前記提示車両から取得した該提示車両の情報に基づいて、該提示車両が広告対象から所定範囲内に存在すると判定した場合に、前記提示車両に前記広告対象の広告を示す情報を配信する配信手段と、前記他車両から取得した前記視聴判定手段による判定結果、及び前記推定手段による推定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する評価手段と、を含む広告提示装置と、を含んで構成することができる。
【0024】
また、第4の発明の広告提示プログラムは、コンピュータを、第1の発明または第2の発明の広告提示装置を構成する各手段として機能させるためのプログラムである。
【0025】
なお、本発明のプログラムを記憶する記憶媒体は、特に限定されず、ハードディスクであってもよいし、ROMであってもよい。また、CD−ROMやDVDディスク、光磁気ディスクやICカードであってもよい。更にまた、該プログラムを、ネットワークに接続されたサーバ等からダウンロードするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の広告提示装置、システム、及びプログラムによれば、提示車両が車外に向けて広告を提示し、他車両の乗員が提示車両に提示された広告を視聴したか否かの判定結果、及び他車両が広告対象周辺に移動するか否かの推定結果に基づいて、提示車両による広告効果を評価するため、広告の波及効果を高めると共に、広告効果を適切に評価することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態の概要を説明するための概略図である。
【図2】第1の実施の形態の広告提示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】提示車両に搭載される表示装置の一例を示す図である。
【図4】経路コストに基づく視聴車両の移動先推定を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態の広告提示装置における広告配信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態の広告提示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態の広告提示装置における後ポイント付与処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態の広告提示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図9】複数台の提示車両による広告の表示の一例を示す図である。
【図10】第3の実施の形態の広告提示装置における広告配信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
本実施の形態の概要について、図1を参照して説明する。まず、広告対象となる店舗(広告主)が、広告提供サービス会社と広告提示に関する契約を行う。また、広告の提示を請け負う提示車両(A)が広告提供サービス会社に登録する。そして、広告提供サービス会社において、提示車両と店舗との位置関係に基づいて、提示車両に店舗の広告を配信する。そして、提示車両周辺の他者(B)に対して提示車両が提示した広告の効果を判定した上で、広告提供サービス会社を介して、店舗から提示車両にポイントが付与される。本実施の形態では、特に、周辺他者に対して提示車両が提示した広告の効果を判定する点に特徴がある。以下、各実施の形態について、詳細に説明する。
【0030】
図2に示すように、第1の実施の形態の広告提示システム1は、広告提供サービス会社等に設置される広告提示装置10と、広告を提示する提示車両(車両A)側に搭載される提示車両側装置50と、広告を視聴する視聴車両(車両B)側に搭載される視聴車両側装置70とを含んで構成されている。なお、視聴車両が本発明の他車両に相当する。
【0031】
提示車両側装置50は、提示車両側装置50全体の制御を司るCPU、各種プログラム等を記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されたコンピュータと、配信された広告を表示する表示装置58とで構成することができる。このコンピュータは、機能的には、車両A情報取得部52と、表示制御部54とを含んだ構成で表すことができる。
【0032】
車両A情報取得部52は、車両Aを識別するための識別情報、車両Aの位置情報、及び車両Aの進行方向ベクトル等の情報を取得して、広告提示装置10へ送信する。
【0033】
表示制御部54は、広告提示装置10から配信された広告を示す情報を受信して、受信した広告を示す情報に基づく広告を表示装置58に表示するように制御する。
【0034】
表示装置58は、液晶パネル等で構成されており、提示車両の後部に提示車両の後続車両に向けて設置さる。表示装置58には、広告提示装置10から配信された広告を示す情報に基づいた広告が表示される。図3に、提示車両後部に設置された表示装置58の一例を示す。
【0035】
視聴車両側装置70は、視聴車両側装置70全体の制御を司るCPU、各種プログラム等を記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、及びこれらを接続するバスを含むコンピュータで構成することができる。このコンピュータは、機能的には、車両B情報取得部72と、経路記憶部74と、視線認識部76とを含んだ構成で表すことができる。
【0036】
車両B情報取得部52は、車両Bを識別するための識別情報、車両Bの位置情報、車両Bの進行方向ベクトル、経路記憶部74に記憶された経路、視線認識部76で認識された視線方向の情報等を取得して、広告提示装置10へ送信する。
【0037】
経路記憶部74には、車両Bに搭載されたカーナビゲーション装置等で設定された経路、及び車両Bが実際に走行した経路等の情報が記憶される。
【0038】
視線認識部76は、車両Bの乗員の顔を含む領域を撮像する内向きカメラ、及び車両Bの前方を撮像する外向きカメラで各々撮像された画像に基づいて、車両Bの乗員の視線方向が、車両Aの表示装置58の方向を向いているか否かを認識する。
【0039】
広告提示装置10は、広告提示装置10全体の制御を司るCPU、後述する広告配信処理ルーチンを含む広告提示プログラム等の各種プログラムを記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、及びこれらを接続するバスを含むコンピュータで構成することができる。このコンピュータは、機能的には、広告情報記憶部12と、配信制御部14と、視聴判定部16と、移動先推定部18と、ポイント付与部20と、ポイント記憶部22とを含んだ構成で表すことができる。なお、ポイント付与部20が、本発明の評価手段及び付与手段の一例である。
【0040】
広告情報記憶部12には、広告主の店舗の位置、及び提示する広告の内容が記憶されている。また、別に、広告を提示する提示車両の識別情報が事前に登録されている。
【0041】
配信制御部14は、車両Aから送信された車両Aの位置情報を取得し、広告対象の店舗から所定範囲内に車両Aが存在するか否かを判定する。具体的には、車両Aの現在位置(x,y)と、広告情報記憶部12に記憶された各店舗の位置(x,y)との距離dを、下記(1)式により算出する。
【0042】
【数1】

【0043】
そして、距離dが予め設定された閾値thr1より小さい店舗を抽出する。閾値thr1は、車両Aが店舗から所定範囲内に存在するか否かを判定するための値である。条件を満たす店舗が複数ある場合には、全ての店舗を抽出してもよいし、距離dが最も小さい店舗を抽出するようにしてもよい。抽出された店舗について、広告情報記憶部12に記憶された広告を示す情報を、車両Aに配信する。複数の店舗の広告を配信する場合には、複数の広告が、車両Aの表示装置58に分割して表示されるか、所定時間毎に順番に表示されるように配信する。また、広告の提示期間も定めておく。提示期間は、提示開始から所定時間でもよいし、車両Aが広告対象の店舗から所定範囲内に存在する期間としてもよい。
【0044】
視聴判定部16は、車両Aから送信された車両Aの情報、及び車両Bから送信された車両Bの情報に基づいて、車両Bの乗員が車両Aの表示装置58に表示された広告を視聴したか否かを判定する。具体的には、車両Aの現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)と、車両Aの周辺に存在する周辺車両の現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)とを取得し、下記(2)〜(4)式の条件を満たす周辺車両を、視聴車両(車両B)として抽出する。
【0045】
【数2】

【0046】
ここで、thr2〜4は、予め設定された閾値であり、車両Bが車両Aの後続車両であり、車両Aと車両Bとが同一方向に、かつ一定の距離以内で走行している場合に、上記の条件は成立する。すなわち、車両Bの乗員の視界に車両Aが入るような、車両Aの直近後方を車両Bが走行している場合に成立するものである。上記条件が成立する場合には、車両Bの乗員は、直近前方の車両Aの後部を目視すると考えられるため、車両Bの乗員が広告を視聴したと判定することができる。
【0047】
さらに、車両Bの情報に含まれる視線方向の情報に基づいて、車両Bの乗員の視線方向が車両Aの表示装置58の方向を向いていると判定された場合には、車両Bの乗員が広告を視聴したと判定する。車両Aと車両Bとの相対位置関係に加えて、車両Bの乗員の視線方向を用いることで、より正確に車両Bの乗員が広告を視聴したか否かを判定することができる。
【0048】
移動先推定部18は、車両Bから取得した車両Bの位置情報または経路情報に基づいて、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺か否かを判定する。ここで、店舗周辺とは、広告対象の店舗自体を含む。具体的には、車両Bにおいて設定された経路を経路情報として取得した場合には、設定した経路の目的地が店舗周辺である場合、または設定された経路上に店舗が存在する場合には、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺であると判定することができる。また、車両Bの過去の走行経路を経路情報として取得した場合には、車両Bが現在の位置または経路を過去に走行した際の目的地が広告対象の店舗周辺である場合、または過去に走行した経路上に広告対象の店舗周辺である場合には、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺であると判定することができる。
【0049】
また、取得した車両Bの現在位置から広告対象の店舗までの経路コストに基づいて、車両Bの移動先を推定してもよい。具体的には、経路コストが予め定めた閾値thr5より小さい場合には、その経路が選択され易いことを表しているため、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺であると判定することができる。一方、経路コストが閾値thr5以上の場合には、その経路が選択され難いことを表しているため、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺ではないと判定することができる。例えば、図4に示すように、経路リンクに付与された、ある道路の通過し易さに対応する重み、交通分岐量等から経路コストを計算する。同図の場合、地点P(車両Bの現在位置)から地点X1のリンク平均最大経路コストは、0.72(=(0.3+0.5+1.0+0.8+1.0)/5)、地点X2への同コストは、0.475(=(03.+0.1+1.0+0.5)/4)となる。例えば閾値thr5=0.5とすると、広告対象の店舗が地点X1の場合には、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺ではない判定し、広告対象の店舗が地点X2の場合には、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺であると判定することができる。
【0050】
ポイント付与手段は、視聴判定部16の判定結果、及び移動先推定部18の推定結果に基づいて、提示車両による広告効果を評価し、評価結果に基づいて、提示車両に対してポイントを付与する。具体的には、視聴判定部16により、車両Bの乗員が車両Aに提示された広告を視聴したと判定され、かつ移動先推定部18により、車両Bの移動先が広告対象の店舗周辺であると判定された場合に、車両Aに提示された広告の効果により、車両Bが広告対象の店舗周辺へ移動した、すなわち、車両Aによる広告効果が高いと判定する。そして、この場合に、車両Bの乗員による広告視聴に対するポイントを車両Aに付与する。付与されたポイントは、車両Aの識別情報と対応付けて、ポイント記憶部22に記憶する。
【0051】
次に、第1の実施の形態の広告提示システム1の作用について説明する。広告提示装置10において、提示車両側装置50及び視聴車両側装置70からの情報を所定間隔で取得しながら、図5に示す広告配信処理ルーチンが実行される。
【0052】
まず、ステップ100で、車両Aから、車両Aの識別情報、車両Aの現在位置情報、及び車両Aの進行方向ベクトル等の情報を含む車両Aの情報を取得する。
【0053】
次に、ステップ102で、広告対象の店舗から所定範囲内、すなわち店舗周辺に車両Aが存在するか否かを判定する。具体的には、上記ステップ100で取得された車両Aの現在位置(x,y)と、広告情報記憶部12に記憶された各店舗の位置(x,y)との距離dを算出する。そして、距離dが予め設定された閾値thr1より小さい店舗が抽出された場合には、広告対象の店舗周辺に車両Aが存在すると判定する。店舗周辺に車両Aが存在すると判定された場合には、抽出された店舗を店舗Xとして、ステップ104へ移行し、店舗周辺に車両Aが存在しないと判定された場合には、ステップ100へ戻る。
【0054】
ステップ104では、上記ステップ102で抽出された店舗Xの広告を示す情報を、広告情報記憶部12から取得して、車両Aに配信する。
【0055】
次に、ステップ106で、車両Aの周辺車両から、周辺車両の識別情報、位置情報、進行方向ベクトル、経路記憶部74に記憶された経路、周辺車両の乗員の視線方向を含む情報を取得する。
【0056】
次に、ステップ108で、車両Bの乗員が車両Aの表示装置58に表示された広告を視聴したか否かを判定する。具体的には、上記ステップ100で取得した車両Aの現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)と、上記ステップ106で取得した車両Aの周辺車両の現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)とに基づいて、(2)〜(4)式の条件を満たす周辺車両を、視聴車両(車両B)として抽出する。抽出された車両Bの情報に含まれる視線方向の情報に基づいて、車両Bの乗員の視線方向が車両Aの表示装置58の方向を向いていると判定される場合には、車両Bの乗員が広告を視聴したと判定する。車両Bの乗員が広告を視聴したと判定された場合には、ステップ110へ移行し、条件を満たす車両Bが抽出されなかった場合、または車両Bの乗員の視線方向が車両Aの表示装置58の方向を向いていないと判定された場合には、ステップ112へ移行する。
【0057】
ステップ110では、上記ステップ108で抽出された車両Bの位置情報または経路情報に基づいて、車両Bの移動先が店舗X周辺か否かを判定する。例えば、車両Bにおいて設定された経路上に店舗Xが存在する、過去の車両Bの走行経路に店舗Xが存在する、車両Bから店舗Xまでの経路コストが閾値thr5より小さい等の場合には、車両Bの移動先が店舗X周辺であると判定する。車両Bの移動先が店舗X周辺であると判定された場合には、ステップ114へ移行し、店舗X周辺ではないと判定された場合には、ステップ112へ移行する。
【0058】
ステップ112では、車両Aに配信した広告の提示期間が終了したか否かを判定する。例えば、広告の配信から予め定めた所定時間を経過した場合や、車両Aと店舗Xとの距離dが閾値thr1を越えた場合には、広告の提示期間が終了したと判定して処理を終了し、提示期間が終了していないと判定された場合には、ステップ106へ戻る。
【0059】
ステップ114では、車両Aに対してポイントを付与し、付与したポイントと車両Aを識別するための情報とを対応付けて、ポイント記憶部22に記憶して、処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、第1の実施の形態の広告提示システムによれば、提示車両が車外に向けて広告を提示し、視聴車両の乗員が提示車両に提示された広告を視聴したと判定された場合、及び視聴車両が広告対象周辺に移動すると推定された場合に、提示車両に対してポイントが付与されるため、広告の波及効果を高めると共に、提示車両による広告効果を適切に評価したポイントを提示車両側に付与することができる。
【0061】
なお、第1の実施の形態では、車両Bの乗員の視線を認識する視線認識部を、車両B側に設ける場合について説明したが、車両A側に設けてもよい。この場合、車両A側に後続車両を含む領域を撮像するカメラを設けて、撮像された画像に基づいて、後続車両(車両B)の乗員の視線方向を認識する。また、周辺車両を検出するレーザレーダ等の検出手段を車両Aまたは車両Bに設け、車両Bの乗員の視覚範囲内に車両Aが検出された場合に、車両Bの乗員の視線方向が表示装置の方向を向いているとみなすようにしてもよい。車両Bの乗員の視覚範囲は予め定めておくことができる。
【0062】
また、第1の実施の形態では、乗員Bが広告を視聴したか否かの判定において、車両A及び車両Bの位置情報及び進行方向ベクトルに基づく車両Aと車両Bとの相対位置関係を用いる場合について説明したが、上記のレーザレーダ等の検出手段の検出結果を用いて判定してもよい。具体的には、検出手段により、車両Aと車両Bとの距離が所定範囲内で、かつ車両Bの乗員の視覚範囲内に車両Aが検出された場合に、車両Bの乗員が広告を視聴したと判定してもよい。
【0063】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態の広告提示システムと同様の構成については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0064】
図6に示すように、第2の実施の形態の広告提示システム2は、広告提供サービス会社等に設置される広告提示装置210と、広告を提示する提示車両(車両A)側に搭載される提示車両側装置50と、広告を視聴する視聴車両(車両B)側に搭載される視聴車両側装置270とを含んで構成されている。
【0065】
視聴車両側装置270を構成するコンピュータは、機能的には、車両B情報取得部272と、経路記憶部74と、視聴判定部78と、移動先推定部80とを含んだ構成で表すことができる。
【0066】
車両B情報取得部272は、車両Bの識別情報、車両Bの位置情報、車両Bの進行方向ベクトル、経路記憶部74に記憶された経路、視聴判定部78での判定結果、及び移動先推定部80での推定結果を取得して、広告提示装置10へ送信する。
【0067】
視聴判定部78は、第1の実施の形態の広告提示装置10の視聴判定部16と同様の処理を、視聴車両側装置270で行うものである。具体的には、車両Aの現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)を車車間通信等で取得し、車両Aの現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)と自車両の現在位置(x,y)及び進行方向ベクトル(vx,vy)とに基づいて、車両Aに対する自車両の相対位置関係が、(2)〜(4)式の条件を満たすか否かを判定する。自車両(車両B)がこの条件を満たす場合には、車両Bの乗員が広告を視聴したと判定することができる。
【0068】
移動先推定部80は、第1の実施の形態の広告提示装置10の移動先推定部18と同様の処理を、視聴車両側装置270で行うものである。
【0069】
広告提示装置210を構成するコンピュータは、機能的には、広告情報記憶部12と、配信制御部214と、視聴情報記憶部24と、購買判定部26と、ポイント付与部220と、ポイント記憶部22とを含んだ構成で表すことができる。なお、購買判定部26が、本発明の利用判定手段の一例である。
【0070】
配信制御部214は、第1の実施の形態の広告提示装置10の配信制御部14と同様に、車両Aと広告対象の店舗との位置関係に基づいて、車両Aに広告を配信すると共に、車両Aの識別情報、配信した広告及び店舗の情報、提示期間(配信時刻〜提示終了時刻)の情報を含む広告提示情報を視聴情報記憶部24に記憶する。
【0071】
視聴情報記憶部24には、車両Bから取得した車両Bの情報に含まれる、視聴判定部78による判定結果(以下、視聴情報ともいう)が、既に記憶されている広告提示情報と対応付けて記憶される。なお、視聴情報には、車両Bの乗員が視聴したと判定された広告を提示した車両Aの識別情報、広告を視聴した時刻も含まれている。この車両Aの識別情報及び広告を視聴した時刻と、既に記憶されている広告提示情報の車両Aの識別情報及び提示期間とに基づいて、視聴情報と広告提示情報とが対応付けられる。
【0072】
購買判定部26は、視聴情報記憶部24に記憶された視聴情報及び広告情報と、広告対象の店舗から取得した購買データとに基づいて、車両Bの乗員が、車両Aが提示した広告を視聴した後に、その店舗で商品を購買したか否かを判定する。購買データは、商品を購入した乗員が乗車する車両Bの識別情報、購入した商品、購買時刻等の情報を含む。具体的には、購買判定部26は、購買時刻が視聴時刻より後であって、車両Aが提示した広告の対象となった店舗で商品を購入した、またはその店舗において、広告の対象となった商品を購入したか否かを判定する。
【0073】
ポイント付与部220は、車両Bから取得した視聴判定部78の判定結果及び移動先推定部80の推定結果に基づいて、第1の実施の形態の広告提示装置10のポイント付与部20と同様に、車両Bの視聴に基づくポイントを、車両Aに付与する。また、購買判定部26の判定結果に基づいて、車両Aに提示された広告の効果により、車両Bの乗員が広告対象の店舗で購買行動を起こしたと判定される場合に、さらにポイントを付与する。付与されたポイントは、車両Aを識別するための情報と対応付けて、ポイント記憶部22に記憶する。
【0074】
次に、第2の実施の形態の広告提示システム2の作用について説明する。広告提示装置210において実行される広告配信処理ルーチンは、視聴車両側装置270で行われた視聴判定及び移動先推定の結果を取得して、ステップ108及び110の処理を行う点、及び配信した広告に関する広告情報を視聴情報記憶部24に記憶する点が、第1の実施の形態における広告配信処理ルーチンと異なるだけであるので、説明を省略する。
【0075】
次に、広告提示装置210により配信した広告の提示期間が終了してから所定時間後に、広告提示装置210において、図7に示す後ポイント付与処理ルーチンが実行される。
【0076】
ステップ200で、配信された広告の対象となった店舗Xの、商品を購入した乗員が乗車する車両Bの識別情報、購入した商品、購買時刻等の情報を含む購買データを、店舗Xから取得する。
【0077】
次に、ステップ202で、視聴情報記憶部24に記憶された視聴情報及び広告情報と、上記ステップ200で取得した店舗Xの購買データとに基づいて、車両Bの乗員が、車両Aが提示した広告を視聴した後に、店舗Xで商品を購買したか、または店舗Xで広告の対象となった商品を購入したか否かを判定する。車両Bの乗員が、車両Aの広告を視聴して購買行動を起こしたと判定される場合には、ステップ204へ移行し、車両Bの乗員による商品購入に対するポイントを付与して、処理を終了する。一方、車両Bの乗員による、車両Aの広告視聴に基づく購買行動が確認されなかった場合には、ステップ204をスキップして、そのまま終了する。
【0078】
以上説明したように、第2の実施の形態の広告提示システムによれば、提示車両に提示された広告を視聴したと判定された視聴車両の乗員の実際の購買行動に基づいて広告効果を評価するため、より適切に広告効果を評価することができる。
【0079】
なお、第2の実施の形態においても、視線認識部を視聴車両側装置または提示車両側装置に設けて、車両Bの乗員の視線方向を認識し、その認識結果も合わせて、車両Bの乗員が広告を視聴したか否かを判定するようにしてもよい。
【0080】
また、第2の実施の形態では、乗員Bが広告を視聴したか否かの判定において、車両A及び車両Bの位置情報及び進行方向ベクトルに基づく車両Aと車両Bとの相対位置関係を用いる場合について説明したが、レーザレーダ等の検出手段の検出結果を用いて判定してもよい。具体的には、検出手段により、車両Aと車両Bとの距離が所定範囲内で、かつ車両Bの乗員の視覚範囲内に車両Aが検出された場合に、車両Bの乗員が広告を視聴したと判定してもよい。
【0081】
また、第2の実施の形態では、購買データを用いて、車両Bの乗員の実際の購買行動に基づくポイントを、車両Aに付与する場合について説明したが、広告対象の店舗での商品の購入の有無に関わらず、車両Bの乗員が車両Aの提示した広告を視聴した後に、その店舗へ入店した場合にも、ポイントを付与するようにしてもよい。この場合、車両Bの乗員が店舗へ入店した際に、車両Bの識別情報及び入店時刻を含む入店データを記録しておき、店舗から入店データを取得して、車両Bの乗員が車両Aの提示した広告を視聴後に、その店舗へ入店したか否かを判定するようにするとよい。
【0082】
また、第1及び第2の実施の形態では、提示車両側装置と視聴車両側装置とを別々に構成する場合について説明したが、両装置の各部の機能を1つのコンピュータで実現するような装置として構成してもよい。
【0083】
また、第1及び第2の実施の形態では、車両Aが広告対象の店舗から所定範囲内に存在する場合に、車両Aにその店舗の広告を示す情報を配信する場合について説明したが、移動先推定部と同様の処理により、車両Aについても移動先を推定し、車両Aの移動先が広告対象の店舗である場合に、その店舗の広告を示す情報を配信するようにしてもよい。
【0084】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態の広告提示システムと同様の構成については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0085】
図8に示すように、第3の実施の形態の広告提示システム3は、広告提供サービス会社等に設置される広告提示装置310と、広告を提示する提示車両(車両A)側に搭載される提示車両側装置350とを含んで構成されている。
【0086】
提示車両側装置350を構成するコンピュータは、機能的には、車両A情報取得部352と、表示制御部54とを含んだ構成で表すことができる。
【0087】
車両A情報取得部352は、第1の実施の形態の提示車両側装置50の車両A情報取得部52と同様に、車両Aの識別情報、車両Aの位置情報、及び車両Aの進行方向ベクトル等の情報を取得して、広告提示装置10へ送信する。また、ここでの位置情報には、車両AがEV車(電気自動車)で、広告対象の店舗の駐車場等に駐車して充電をしている場合には、駐車場に設置された充電装置から取得されるより詳細な位置情報を含むことができる。より詳細な位置情報とは、例えば、店舗のどのフロアに続く駐車場かを示す情報などである。
【0088】
広告提示装置310を構成するコンピュータは、機能的には、広告情報記憶部12と、配信制御部314と、入店履歴記憶部28と、視聴判定部316と、移動先推定部318と、視聴情報記憶部24と、購買判定部26と、ポイント付与部220と、ポイント記憶部22とを含んだ構成で表すことができる。
【0089】
配信制御部314は、第2の実施の形態の広告提示装置10の配信制御部14と同様に、車両Aと広告対象の店舗との位置関係に基づいて、車両Aに広告を配信すると共に、車両Aの識別情報、配信した広告及び店舗の情報、提示期間(配信時刻〜提示終了時刻)の情報を含む広告提示情報を視聴情報記憶部24に記憶する。
【0090】
また、車両Aから駐車中の駐車場に設置された充電装置の位置情報を取得した場合には、その駐車場に対応する店舗の広告を示す情報を配信する。この際、同一の駐車場に、広告を提示する提示車両として登録されている他の提示車両が駐車されているか否かを判定し、同一の駐車場に複数台の提示車両が駐車されている場合には、その複数台の提示車両に搭載された表示装置58各々を用いて、その店舗についての1つの広告が表示されるように、広告を示す情報を配信する。例えば、3台の提示車両の表示装置58を用いて、図9に示すように広告を表示することができる。また、詳細な位置情報に基づいて、店舗のフロア毎に対応した広告を示す情報を配信する。例えば、詳細な位置情報が衣料品売り場フロアに続く駐車場を示している場合には、衣料品、食料品売り場の場合には食料品、シネマフロアの場合には、映画情報の広告を示す情報を配信する。
【0091】
入店履歴記憶部28には、各広告対象の店舗毎の時間帯別の入店者数、及びその店舗の駐車場の利用台数を示す入店履歴が記憶されている。
【0092】
視聴判定部316は、入店履歴記憶部28に記憶された、車両Aにおける広告の提示期間と同一の時間帯の入店履歴に基づいて、車両A周辺の他者が車両Aの表示装置58に表示された広告を視聴したか否かを判定する。具体的には、広告の提示期間と同一の時間帯における入店者数または利用台数が予め定めた閾値thr6以上の場合には、車両A周辺の他者が車両Aの表示装置58に表示された広告を視聴したと判定する。また、視聴判定部316による判定結果を、視聴情報として視聴情報記憶部24に記憶し、第2の実施の形態と同様に、実際の購買行動に対するポイント付与の際に使用する。
【0093】
移動先推定部318は、入店履歴記憶部28に記憶された、車両Aにおける広告の提示期間と同一の時間帯の入店履歴に基づいて、車両A周辺の他者が広告対象の店舗へ移動するか否かを推定する。具体的には、広告の提示期間と同一の時間帯における駐車場の利用台数に対する店舗への入店者数の割合が予め定めた閾値thr7以上の場合には、車両A周辺の他者が広告対象の店舗へ移動すると推定する。
【0094】
次に、第3の実施の形態の広告提示システム3の作用について説明する。広告提示装置310において、提示車両側装置350からの情報を所定間隔で取得しながら、図10に示す広告配信処理ルーチンが実行される。なお、第1の実施の形態の広告配信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0095】
まず、ステップ300で、車両Aから、車両Aの識別情報、及び車両Aの現在位置情報を含む車両Aの情報を取得する。
【0096】
次に、ステップ302で、上記ステップ300で取得した車両Aの位置情報が、広告対象の店舗の駐車場に設置された充電装置の位置情報から取得された詳細な位置情報か否かを判定する。詳細な位置情報の場合には、その位置情報に対応する店舗を店舗Xとして抽出して、ステップ304へ移行する。詳細な位置情報ではない場合には、ステップ300へ戻る。なお、本ステップで否定判定される場合には、第1の実施の形態の広告配信処理を実行するようにしてもよい。
【0097】
次に、ステップ304で、上記ステップ302で抽出された店舗Xの駐車場に、提示車両が複数台駐車されているか否かを判定する。店舗Xのフロア毎に駐車場が異なる場合には、フロア毎に判定する。複数台駐車されている場合には、ステップ306へ移行し、複数台の提示車両に搭載された表示装置58各々を用いて、店舗Xのその駐車場に対応するフロアについての1つの広告を示す情報を、車両Aを含む複数台の提示車両に配信する。一方、複数台駐車されていない場合には、ステップ308へ移行して、その駐車場に対応するフロアについての広告を示す情報を、車両Aに配信する。
【0098】
次に、ステップ309で、入店履歴記憶部28に記憶された、車両Aにおける広告の提示期間と同一の時間帯の入店履歴に基づいて、車両A周辺の他者が車両Aの表示装置58に表示された広告を視聴したか否かを判定する。例えば、広告の提示期間と同一の時間帯における入店者数または利用台数が予め定めた閾値thr6以上の場合には、車両A周辺の他者が車両Aの表示装置58に表示された広告を視聴したと判定されて、ステップ312へ移行する。一方、入店者数または利用台数が閾値thr6未満の場合には、ステップ112へ移行する。
【0099】
ステップ312では、入店履歴記憶部28に記憶された、車両Aにおける広告の提示期間と同一の時間帯の入店履歴に基づいて、車両A周辺の他者が広告対象の店舗へ移動するか否かを推定する。例えば、広告の提示期間と同一の時間帯における駐車場の利用台数に対する店舗への入店者数の割合が予め定めた閾値thr7以上の場合には、車両A周辺の他者が広告対象の店舗へ移動すると推定して、ステップ114へ移行する。一方、割合が閾値thr7未満の場合には、ステップ112へ移行する。
【0100】
ステップ112では、車両Aに配信した広告の提示期間が終了したか否かを判定し、終了した場合には、処理を終了し、終了していない場合には、ステップ309へ戻る。
【0101】
ステップ114では、車両Aに対してポイントを付与し、付与したポイントと車両Aを識別するための情報とを対応付けて、ポイント記憶部22に記憶して、処理を終了する。
【0102】
また、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、広告提示装置310において後ポイント付与処理ルーチンが実行される。
【0103】
以上説明したように、第3の実施の形態の広告提示システムによれば、広告対象の店舗の駐車場に駐車した提示車両が車外に向けて広告を提示し、提示車両周辺の他者が提示車両に提示された広告を視聴したと判定された場合、及びその他者が店舗へ入店すると推定された場合に、提示車両に対してポイントが付与されるため、広告の波及効果を高めると共に、提示車両による広告効果を適切に評価したポイントを提示車両側に付与することができる。
【0104】
なお、第3の実施の形態では、入店履歴情報に基づいて、提示車両周辺の他者が車両Aに提示された広告を視聴したか否かを判定する場合について説明したが、他者の位置情報を取得して判定するようにしてもよい。この場合、他者が周辺車両の乗員の場合には、その車両の位置情報を取得し、また、他者が歩行者の場合には、歩行者が携帯する携帯端末等から位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、周辺他者が同一の駐車場内に存在すると判定された場合に、その他者が広告を視聴したと判定することができる。
【0105】
また、上記第1〜第3の実施の形態では、提示車両後部に表示装置を設ける場合について説明したが、提示車両の側面や前面に表示装置を設けてもよい。この場合、視聴車両の乗員が広告を視聴したか否かを判定する際には、(2)〜(4)式の閾値を適切に設定するなどして、視聴車両の乗員が提示車両を目視する可能性が高い提示車両と視聴車両との相対位置関係となっているかを判定するようにするとよい。
【符号の説明】
【0106】
1、2、3 広告提示システム
10、210、310 広告提示装置
12 広告情報記憶部
14、214、314 配信制御部
16、316 広告提示装置の視聴判定部
18、318 広告提示装置の移動先推定部
20、220 ポイント付与部
22 ポイント記憶部
24 視聴情報記憶部
26 購買判定部
28 入店履歴記憶部
50、350 提示車両側装置
52、352 車両A情報取得部
54 表示制御部
58 表示装置
70、270 視聴車両側装置
72、272 車両B情報取得部
74 経路記憶部
76 視線認識部
78 視聴車両側装置の視聴判定部
80 視聴車両側装置の移動先推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外に向けて広告を提示するための提示手段を搭載した提示車両が、広告対象から所定範囲内に存在する場合に、前記提示車両に搭載された提示手段に前記広告対象の広告が提示されるように該広告を示す情報を前記提示車両に配信する配信手段と、
前記提示車両と該提示車両周辺に存在する他車両との相対位置関係に基づいて、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する視聴判定手段と、
前記他車両における経路検索で設定された経路、過去の移動履歴から推定される移動先、及び該他車両の現在位置から前記広告対象までの経路コストの少なくとも1つに基づいて、前記他車両が前記広告対象周辺へ移動するか否かを推定する推定手段と、
前記視聴判定手段による判定結果、及び前記推定手段による推定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する評価手段と、
を含む広告提示装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記視聴判定手段により前記他車両の乗員が広告を視聴したと判定され、かつ前記推定手段により前記他車両が前記広告対象周辺へ移動すると推定された場合に、前記広告効果が高いと評価する請求項1記載の広告提示装置。
【請求項3】
前記評価手段による評価結果に基づいて、前記提示車両に対してポイントを付与する付与手段を含む請求項1または請求項2記載の広告提示装置。
【請求項4】
前記視聴判定手段は、前記提示車両と前記他車両との距離が所定範囲内で、かつ前記他車両の乗員の視覚範囲内に前記提示手段が存在する場合に、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したと判定する請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の広告提示装置。
【請求項5】
前記視聴判定手段は、前記他車両に搭載された前方車両検出手段の検出結果、前記提示車両に搭載された後続車両検出手段の検出結果、及び前記提示車両または前記他車両において検出された前記他車両の乗員の視線方向の少なくとも1つに基づいて、前記他車両の乗員の視覚範囲内に前記提示手段が存在するか否かを判定する請求項4記載の広告提示装置。
【請求項6】
前記視聴判定手段は、前記提示車両の後部に該提示車両の後続車両に向けて前記提示手段が搭載されている場合に、前記提示車両が前記他車両の前方の所定範囲内に存在し、かつ前記提示車両の移動方向と前記他車両の移動方向との差が所定範囲内の場合に、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したと判定する請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の広告提示装置。
【請求項7】
前記視聴判定手段による判定結果、及び前記広告対象への入店または購買を示す該広告対象の利用履歴に基づいて、前記他車両の乗員が、前記広告を視聴した後に前記広告対象を利用したか否かを判定する利用判定手段と、を含み、
前記評価手段は、さらに、前記利用判定手段の判定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の広告提示装置。
【請求項8】
車外に向けて広告を提示するための提示手段を搭載した提示車両が、広告対象から所定範囲内に駐車した場合に、前記提示車両に搭載された提示手段に前記広告対象の広告が提示されるように該広告を示す情報を前記提示車両に配信する配信手段と、
前記所定範囲内に存在する他者の位置情報、または前記広告対象への入店または購買を示す該広告対象の同時間帯における利用履歴に基づいて、前記他者が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する視聴判定手段と、
前記他者の前記利用履歴に基づいて、前記他者が前記広告対象へ入店するか否かを推定する推定手段と、
前記視聴判定手段による判定結果、及び前記推定手段による推定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する評価手段と、
を含む広告提示装置。
【請求項9】
前記配信手段は、前記所定範囲内に複数の提示車両が駐車された場合には、該複数の提示車両に搭載された提示手段各々を用いて、1つの広告が提示されるように該広告を示す情報を前記提示車両各々に配信する請求項8記載の広告提示装置。
【請求項10】
車外に向けて広告を提示するための提示手段と、位置情報を含む提示車両である自車両の情報を送信する第1送信手段と、配信された広告を前記提示手段に提示するように制御する提示制御手段と、を含む提示車両側に搭載される提示側装置と、
前記提示車両と該提示車両に対して他車両となる自車両との相対位置関係に基づいて、前記他車両の乗員が前記提示車両に搭載された提示手段に提示された広告を視聴したか否かを判定する視聴判定手段と、前記他車両における経路検索で設定された経路、過去の移動履歴から推定される移動先、及び該他車両の現在位置から前記広告対象までの経路コストの少なくとも1つに基づいて、前記他車両が前記広告対象周辺へ移動するか否かを推定する推定手段と、前記視聴判定手段の判定結果、及び前記推定手段の推定結果を送信する第2送信手段と、を含む他車両側に搭載される他車両側装置と、
前記提示車両から取得した該提示車両の情報に基づいて、該提示車両が広告対象から所定範囲内に存在すると判定した場合に、前記提示車両に前記広告対象の広告を示す情報を配信する配信手段と、前記他車両から取得した前記視聴判定手段による判定結果、及び前記推定手段による推定結果に基づいて、前記提示車両による広告効果を評価する評価手段と、を含む広告提示装置と、
を含む広告提示システム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の広告提示装置を構成する各手段として機能させるための広告提示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate