説明

広告表示制御のための情報処理ユニット、方法及びプログラム

【課題】ソフトウェアの実行に際して広告を強制的に確実に表示させることができるスキームを提供する。
【解決手段】実行時にディスプレイ等に広告を表示する機能を備えたアプリケーションソフトウェアの実行可否を制御する情報処理ユニットであって、前記アプリケーションソフトウェアの実行要求を受け付けた場合、前記アプリケーションソフトウェアが実行時に表示すべき広告(以下、「実行時表示広告」という)のデータを取得する取得手段と、前記アプリケーションソフトウェアについて実行時表示広告が視認可能な状態にあるか否かを判断する判断手段と、視認可能でないと判断した場合、前記アプリケーションソフトウェアの実行を停止させる停止手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子広告の表示技術に関し、特に、アプリケーションソフトウェアの実行に際して表示される広告の表示制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アプリケーションソフトウェア(以下、単に「ソフトウェア」という)の実行に際して広告を表示させるスキームが提案・開発されている。例えば、特許文献1に開示される構成では、暗号化されたソフトウェアと広告モジュールとを組み合わせて提供し、広告モジュールが最初に立ち上がって、暗号化されたソフトウェアを復号するように構成している。特許文献1によれば、かかる構成により、ソフトウェアは広告モジュールによって復号されて初めて実行可能な状態となるため、広告モジュールを経由させずにソフトウェアを実行すること、すなわち、広告を表示させずにソフトウェアを実行することが防止できるとしている。
【特許文献1】特表2002−510822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1記載の構成では、1)広告モジュールによっていったんソフトウェアが復号されてしまった後は、もはや広告モジュールはソフトウェアの実行可否(継続可否)について何ら関与しておらず、2)表示された広告が実際に視認可能な状態となっているかどうかについて何ら検証されていないため、上記スキームを必ずしも維持できない状況がおこり得る。
【0004】
例えば、特許文献1記載の構成では、ソフトウェア実行中に、広告モジュールを削除等して、その広告表示機能を停止させてしまったとしても、ソフトウェアの実行には何ら影響がないため、そのまま広告を表示させずにソフトウェアを実行し続けることが可能である。
【0005】
また例えば、特許文献1では、ユーザに強制的に広告を視認させる方法として、ソフトウェアの実行ウィンドウに対して前面に被さるように又は該実行ウィンドウの一部に広告を表示する方法について言及しているが、そのような方法を採用した場合でも、ユーザがソフトウェアの実行ウィンドウを広告よりも前面にしたり、広告が表示されている領域がディスプレイ等の画面外となるように実行ウィンドウを移動してしまうと、広告モジュールはそのような情況を検出できないので、広告が実質的に表示されない状態でソフトウェアの実行をし続けることが可能となってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ソフトウェアの実行に際して広告を強制的に確実に表示させることができるスキームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理ユニットは、実行時にディスプレイ等に広告を表示する機能を備えたアプリケーションソフトウェアの実行可否を制御する情報処理ユニットであって、前記アプリケーションソフトウェアの実行要求を受け付けた場合、前記アプリケーションソフトウェアが実行時に表示すべき広告(以下、「実行時表示広告」という)のデータを取得する取得手段と、前記アプリケーションソフトウェアについて実行時表示広告が視認可能な状態にあるか否かを判断する判断手段と、視認可能でないと判断した場合、前記アプリケーションソフトウェアの実行を停止させる停止手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
好適には、前記判断手段は、前記アプリケーションソフトウェアの広告表示領域の座標情報、前記ディスプレイ等に表示中の各ウィンドウの座標情報及び重なり順序情報に基づき、前記広告表示領域の全域が、前記ディスプレイ等の表示可能領域に含まれ、かつ、他のウィンドウの背面に隠れていない場合に、視認可能な状態にあると判断することを特徴とする。
【0009】
また好適には、更に、広告データに対応づけて、該広告データの使用条件を記憶する広告データ記憶手段を備え、前記取得手段は、前記広告データ記憶手段を参照し、使用条件を満たす広告データを実行時表示広告のデータとして取得することを特徴とする。
【0010】
本発明の情報処理方法は、実行時にディスプレイ等に広告を表示する機能を備えたアプリケーションソフトウェアの実行可否を制御するための情報処理方法であって、前記アプリケーションソフトウェアの実行要求を受け付けた場合、前記アプリケーションソフトウェアが実行時に表示すべき広告(以下、「実行時表示広告」という)のデータを取得する取得工程と、前記アプリケーションソフトウェアについて実行時表示広告が視認可能な状態にあるか否かを判断する判断工程と、視認可能でないと判断した場合、前記アプリケーションソフトウェアの実行を停止させる停止工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、本発明の情報処理方法の各工程をコンピュータ上で実行させることを特徴とする。本発明のプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストールまたはロードすることができる。
【0012】
なお、本明細書において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ソフトウェアの実行に際して広告を強制的に確実に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下に本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態である情報処理システムの構成をあらわすブロック図である。図1に示すように、情報処理システム1は、広告データ記憶手段10、広告視聴ログ記憶手段11、IF(インタフェース)手段12、制御手段13を含んで構成される。
【0015】
本発明による情報処理システムは、上記の各手段を備えていれば足り、物理的には専用化したシステム、あるいは汎用の情報処理装置のいずれでもよい。例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、外部記憶装置、ユーザインタフェース、ディスプレイ、プリンタ、および通信インタフェース等のハードウェアを備える汎用のコンピュータにおいて、本発明の情報処理方法における各処理を規定したソフトウェアを起動することにより、本発明の情報処理システムを実現することができる。
【0016】
広告データ記憶手段10は、広告データに割り当てた識別情報に対応づけて、広告データ、使用条件情報、電子署名情報などを記憶している。広告データ記憶手段10のデータ構造は、概念的には図2(a)に示すような表形式となる。
【0017】
広告データは、ディスプレイ等に表示できる情報を含む形態であればどのような情報でもよい。例えば、テキスト、画像(動画、静止画)、又はこれらを含むようなhtml(Hyper Text Markup Language)等により記述された情報など、種々の形態が考えられる。広告データによって特定される広告は、1種類(又は1社)の広告である必要はなく、複数種類(又は複数社)の広告をパッケージ化して広告データを構成してもよい。
【0018】
使用条件情報は、広告データの使用に関する条件を規定した情報であり、そのような条件としては、例えば、広告データの総使用時間に対する条件(トータル3時間まで視聴可能など)、広告データの使用可能期間に対する条件(○月○日まで視聴可能など)、広告データの使用回数に対する条件(○回まで視聴可能など)といったものが考えられる。
【0019】
電子署名情報は、広告データが真正であること(改ざんされていないこと)を保証するために利用される。
【0020】
これら広告データ等は、例えばDVD等の記録媒体に記録された状態でユーザに提供され、図示しない記録媒体読取手段により情報処理システム1に読み込まれ、広告データ記憶手段10に記憶される。又は、例えば、所定の広告データ配信サーバからインターネットや衛星通信等の通信ネットワークを介して提供され、図示しない通信モジュールを通じて情報処理システム1にダウンロードされ、広告データ記憶手段10に記憶される。複数の広告データ配信サーバからダウンロード可能な場合、図2(a)に示すように、広告データに対応づけて該広告データをダウンロードしたサーバの情報も広告データ記憶手段10に記憶しておくことが望ましい。
【0021】
なお、広告データ記憶手段10へ広告データ等を格納するタイミングは、例えば広告データを使用するタイミング(例えば、後述するようにソフトウェアを実行する際又は実行中)であってもよく、又は、広告データの使用に先立って予め格納しておくように構成してもよい。
【0022】
広告視聴ログ記憶手段11は、広告データに割り当てた識別情報に対応づけて、広告データの使用履歴情報を記憶している。広告視聴ログ記憶手段11のデータ構造は、概念的には図2(b)に示すような表形式となる。
【0023】
使用履歴情報は、例えば、広告データの総使用時間、使用回数、使用日時(使用開始日時、使用停止日時など)などの情報を含むことができる。使用履歴情報は、上述した広告データの使用条件の判断に用いられるほか、例えば、広告元からソフトウェア提供者に対して支払われる広告掲載料などを算出する基礎データとして用いることも可能である。
【0024】
なお、各記憶手段におけるデータの管理や検索には、リレーショナルデータベース等の従来のデータベース技術を用いることができる。また、図2(a)、(b)に示すテーブル構成、データ構造は一例であり、他の構成やデータ構造等を採用してもよい。例えば、各テーブルは、いずれも広告データの識別情報に対応づけて情報を記憶しておくデータ構造となっているため、該識別情報をキーとして検索可能な一つのテーブルに各情報を格納して記憶する構成としてもよい。
【0025】
IF手段12は、他のコンピュータシステムと接続・通信するための通信モジュール(例えば、インターネットを介して接続する場合であれば、PPPドライバ、TCP/IPドライバなど)を備えており、所定の広告データ配信サーバと通信可能に構成されている。
【0026】
またIF手段12は、情報処理システム1を利用するユーザからキーボード等を通じて入力を受け付けるとともに、該ユーザに対してディスプレイ等を通じて種々の情報を出力可能に構成される。
【0027】
制御手段13は、情報処理システム1全体の動作を制御するとともに、アプリケーションソフトウェア(以下、単に「ソフトウェア」という)実行処理、広告データ取得処理、ソフトウェア実行制御処理(実行可否判断処理、停止処理)などを実行する。図1では、制御手段13において実行される上記の各処理をそれぞれ機能手段(ソフトウェア実行手段、広告データ取得手段、ソフトウェア実行制御手段等)としてとらえて図示しており、このうち、広告データ取得手段及びソフトウェア実行制御手段の組み合わせは、広告表示制御のための情報処理ユニットとして把握することができる。
【0028】
以下、ソフトウェアの実行開始時、ソフトウェアの実行中に場合分けして、ソフトウェア実行手段、広告データ取得手段、ソフトウェア実行制御手段の動作について説明する。なお、各ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0029】
(ソフトウェアの実行開始時:図3)
まず、ユーザが所望のソフトウェア(以下、「対象ソフトウェア」という)の実行指示を情報処理システム1に入力する(S100)。対象ソフトウェアには、対象ソフトウェアによって本来的に実現される機能(ワープロ機能、表計算機能、映像等の再生プレーヤー機能、ゲーム機能など)の他、広告表示機能(実行時に、指定された広告をディスプレイ等に表示する機能)のためのプログラムが予め組込まれているものとする。
【0030】
制御手段13は、情報処理システム1に上記実行指示が入力されると、対象ソフトウェアを起動する(S101)。これにより、対象ソフトウェアに対応するソフトウェア実行手段20が生成される。
【0031】
ソフトウェア実行手段20は、ユーザに広告表示の可否を問い合わせる(S102)。そして、ユーザから「広告表示否」との入力を受け付けた場合、対象ソフトウェアの本来的な機能を実現することなく処理を終了する。なお、「広告表示否」との入力を受け付けた場合の対応として、対象ソフトウェアの本来的な機能のうち一部の機能のみ実現する機能制限モードで処理を実行する構成や、例えば有料で付与されるパスワード等の入力を受け付けた場合にのみ対象ソフトウェアの本来的な機能を実現する構成としてもよい。
【0032】
一方、「広告表示可」との入力を受け付けた場合、ソフトウェア実行手段20は、広告データ取得手段21に対して、対象ソフトウェアの実行に際して又は実行中に広告表示機能によって表示すべき広告(実行時表示広告)のデータを要求する(S103)。
【0033】
次に、広告データ取得手段21は、前記要求を受け付けると、広告データ記憶手段10を参照して所定の広告データを選択し、その使用条件情報及び電子署名情報を読み出す(S104)。
【0034】
広告データの選択方法としては、例えば所定の順番で選択する方法や、所定の確率に従ってランダムに選択する方法など、種々の方法を考えることができる。
【0035】
なお、広告データ取得手段21は、前記要求を受け付けた段階で、又は定期的に、広告データ配信サーバにアクセスして広告データをダウンロードし、広告データ記憶手段10に記憶するように構成してもよい。
【0036】
次に、広告データ取得手段21は、所定の公開鍵データベースから前記選択した広告データに関する公開鍵を取得し、前記読み出した電子署名情報に適用して、広告データが真正なものであるかどうかを判断する(S105)。なお、該判断については、広告データ記憶手段10に広告データを格納する時点で行うように構成してもよい。
【0037】
広告データ取得手段21は、真正なものでないと判断した場合、S104に再帰する。このとき、広告データ記憶手段11から該選択した広告データ(真正でない広告データ)の情報を削除する構成としてもよい。
【0038】
一方、真正なものであると判断した場合、広告データ取得手段21は、広告視聴ログ記憶手段11を参照して前記選択した広告データの使用履歴情報を読み出し、前記読み出した使用条件情報と照合して、当該広告データの使用履歴が使用条件を満たしているかどうかを判断する(S106)。
【0039】
広告データ取得手段21は、使用条件を満たしていない場合、S104に再帰する。このとき、広告データ記憶手段11から該選択した広告データ(使用条件を満たしていない広告データ)の情報を削除する構成としてもよい。なお、ソフトウェア実行手段20からの要求にかかわらずに定期的に使用条件をチェックして広告データの情報を削除する構成とすることも考えられる。
【0040】
一方、使用条件を満たしていると判断した場合は、広告データ取得手段21は、実行時表示広告のデータとして、前記選択した広告データを指定する(具体的には、例えば、前記選択した広告データの格納場所やファイル名などを通知する)とともに、前記選択した広告データの使用履歴を広告視聴ログ記憶手段11に記録する(例えば、ソフトウェアの実行開始時に対応づけて「使用開始」と記録する)(S107)。
【0041】
ソフトウェア実行手段20は、前記指定に基づき、前記選択した広告データを取得する(S108)。
【0042】
次に、ソフトウェア実行手段20は、広告データを取得すると、所定の広告表示領域を設定し、該広告データに基づいて該広告表示領域に広告を表示する(S109)。広告データに音声データ等が含まれている場合、広告の表示に併せて音声等も出力する。
【0043】
ソフトウェア実行手段20は、例えば対象ソフトウェアの実行ウィンドウ内に広告表示領域を設けてもよく(図4(a))、又は、対象ソフトウェアの実行ウィンドウとは別にポップアップウィンドウを作成し、該ウィンドウ内に広告表示領域を設ける構成としてもよい(図4(b))。
【0044】
次に、ソフトウェア実行手段20は、対象ソフトウェアの本来的な機能を実現するための処理を実行する(S110)。
【0045】
以上の工程により対象ソフトウェアの実行が開始され、以下のソフトウェア実行中の処理に移行する。
【0046】
(ソフトウェア実行中:図5)
ソフトウェア実行手段20は、対象ソフトウェアの本来的な機能を実現している間、定期的に、又は予め設定したタイミング(以下、これらを含めて「可否判断タイミング」という)で、対象ソフトウェアの実行可否(継続可否)をソフトウェア実行制御手段22に問い合わせる(S200)。
【0047】
ソフトウェア実行制御手段22は、前記問い合わせを受け付けると、ソフトウェア実行手段20に対して、広告表示領域の座標情報を要求する(S201)。
【0048】
ソフトウェア実行手段20は、前記要求を受け付けると、前記設定した広告表示領域の座標情報(対象ソフトウェアの実行中に広告表示領域の位置やサイズが変更された場合は、変更後の座標情報)を取得し、ソフトウェア実行制御手段22に通知する(S202)。なお、ソフトウェア実行手段20が、前記問い合わせを行う際に広告表示領域の情報を予めソフトウェア実行制御手段22に通知する構成としてもよい。
【0049】
ソフトウェア実行制御手段22は、広告表示領域の座標情報を受け付けると、広告表示領域が視認できる状態となっているかどうかをチェックする(S203)。
【0050】
例えば、対象ソフトウェアの実行ウィンドウやポップアップした広告表示用ウィンドウが画面外へはみだした状態で表示されている結果、該ウィンドウ内の広告表示領域の一部又は全部もまた画面外へはみだした状態となっている場合、広告表示領域を視認できないと判断することが考えられる。
【0051】
また例えば、情報処理システム1に実装されているOS等から、広告表示領域が含まれるウィンドウ以外のウィンドウの座標情報を取得し、広告表示領域の一部又は全部の前面に他のウィンドウ(ポップアップウィンドウに広告表示領域が設けられている場合、対象ソフトウェアの実行ウィンドウも他のウィンドウとなる)が重なっているかどうかを判断する。そして、前面に他のウィンドウが重なっている場合、広告表示領域を視認できないと判断することが考えられる。
【0052】
また例えば、広告表示領域が含まれるウィンドウが最小化されている場合、広告表示領域を視認できないと判断することが考えられる。
【0053】
ソフトウェア実行制御手段22は、広告表示領域を視認できると判断した場合は「実行可」(又は「継続可」)との回答結果をソフトウェア実行手段20に通知するとともに、対象ソフトウェアについて選択した広告データの使用履歴を広告視聴ログ記憶手段11に記録する(例えば、当該可否判断タイミングに対応づけて「使用中」と記録する)(S204)。
【0054】
一方、視認できないと判断した場合は「実行否」(又は「継続否」)との回答結果をソフトウェア実行手段20に通知するとともに、対象ソフトウェアについて選択した広告データの使用履歴を広告視聴ログ記憶手段11に記録する(例えば、該可否判断タイミングに対応づけて「使用停止」と記録するとともに、広告データの総使用時間、使用日時、使用回数などの情報を更新する)(S205)。
【0055】
ソフトウェア実行手段20は、「実行否」(又は「継続可」)との回答を受け付けた場合、又は、一定時間、回答がない場合、対象ソフトウェアの本来的な機能を実現するための処理を停止する(S206)。
【0056】
一方、「実行可」(又は「継続可」)との回答を受け付けた場合、ソフトウェア実行手段20は、そのまま対象ソフトウェアの本来的な機能を実現するための処理を継続する(S207)。
【0057】
かかる構成によれば、対象ソフトウェアの実行に際して及び実行中においても、広告データが実際に表示されているかどうかを判断して対象ソフトウェアの実行可否を決定しているため、いわば広告データを対象ソフトウェアの利用キーのように取り扱って、広告が表示されている期間に限定して対象ソフトウェアを実行させることが可能となる。その結果、対象ソフトウェアを使用するユーザに対して強制的に確実に広告を提示することができる。
【0058】
(その他)
本発明の他の実施形態として、情報処理プログラム、又は前記情報処理プログラムを記録した記録媒体が考えられる。記録媒体としてはCD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体を用いることができる。この場合、情報処理プログラムは、通信ネットワークを介して、又は記録媒体からデータ処理装置に読み込まれ、データ処理装置の動作を制御する。データ処理装置は情報処理プログラムの制御により、本発明の実施形態における制御手段13による処理と同一の処理を実行する。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、ソフトウェアの実行開始時に広告データの使用条件を判断する構成について説明しているが、本発明は、このようなタイミングでの使用条件の判断に必ずしも限定されるものではない。例えば、ソフトウェアの実行中の所定のタイミング(例えば可否判断タイミング)において、現在選択している広告データについて再び使用条件を判断し、使用条件を満たしていないと判断した場合に、使用条件を満たす他の広告データを再取得するように構成することも考えられる。
【0061】
また例えば、本発明は、情報処理システム1において複数種類の対象ソフトウェアが同時に実行される場合にも、適用可能である。この場合、そのうちいずれか1つについて広告が視認できる状態にあれば、残りの対象ソフトウェアも実行可と判断するように構成してもよい。また、それら実行中の複数の対象ソフトウェアを1つのグループと考え、該グループに対して1つの広告データを指定するように構成してもよい。この場合、該グループのうち、広告表示領域が視認可能な状態となっている少なくとも1つの対象ソフトウェアにおいて、前記指定された広告が表示されるように制御することが考えられる。
【0062】
また例えば、情報処理システム1内にユーザの趣味・嗜好等のパーソナル情報を記録しておき、広告データ取得手段21が広告データを取得する際、該パーソナル情報に基づいて広告データを選別して取得するように構成してもよい。又は、広告配信サーバにパーソナル情報を記録しておき、広告データ取得手段21が広告データをダウンロードする際に、広告配信サーバ側で選別して配信するように構成してもよい。
【0063】
更に、対象ソフトウェアの個別情報(販売会社など)に基づいて、広告データを選別して取得するように構成してもよい。例えば、対象ソフトウェアの販売会社がA社である場合、A社の競合会社であるB社の広告が該対象ソフトウェアの実行に際して又は実行中に表示されないように、広告データを選別することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】広告データ記憶手段10及び広告視聴ログ記憶手段11のデータ構造を説明するための図である。
【図3】ソフトウェア実行開始時における流れを示すフローチャートである。
【図4】広告表示領域を説明するための図である。
【図5】ソフトウェア実行中における流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理システム
10 広告データ記憶手段
11 広告視聴ログ記憶手段
12 IF手段
13 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行時にディスプレイ等に広告を表示する機能を備えたアプリケーションソフトウェアの実行可否を制御する情報処理ユニットであって、
前記アプリケーションソフトウェアの実行要求を受け付けた場合、前記アプリケーションソフトウェアが実行時に表示すべき広告(以下、「実行時表示広告」という)のデータを取得する取得手段と、
前記アプリケーションソフトウェアについて実行時表示広告が視認可能な状態にあるか否かを判断する判断手段と、
視認可能でないと判断した場合、前記アプリケーションソフトウェアの実行を停止させる停止手段と、を備えることを特徴とする情報処理ユニット。
【請求項2】
前記判断手段は、前記アプリケーションソフトウェアの広告表示領域の座標情報、前記ディスプレイ等に表示中の各ウィンドウの座標情報及び重なり順序情報に基づき、前記広告表示領域の全域が、前記ディスプレイ等の表示可能領域に含まれ、かつ、他のウィンドウの背面に隠れていない場合に、視認可能な状態にあると判断することを特徴とする請求項1記載の情報処理ユニット。
【請求項3】
更に、広告データに対応づけて、該広告データの使用条件を記憶する広告データ記憶手段を備え、
前記取得手段は、前記広告データ記憶手段を参照し、使用条件を満たす広告データを実行時表示広告のデータとして取得することを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理ユニット。
【請求項4】
実行時にディスプレイ等に広告を表示する機能を備えたアプリケーションソフトウェアの実行可否を制御するための情報処理方法であって、
前記アプリケーションソフトウェアの実行要求を受け付けた場合、前記アプリケーションソフトウェアが実行時に表示すべき広告(以下、「実行時表示広告」という)のデータを取得する取得工程と、
前記アプリケーションソフトウェアについて実行時表示広告が視認可能な状態にあるか否かを判断する判断工程と、
視認可能でないと判断した場合、前記アプリケーションソフトウェアの実行を停止させる停止工程と、を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
請求項4記載の情報処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−134173(P2006−134173A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324062(P2004−324062)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)