説明

床 材

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、住宅、文教施設、その他の建造物に用いられる床材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、定尺の床材を施工する上で、長手方向の継ぎ目を目立たなくするために、床材の張り始めにおいて、床材を切断して床材の長さを一定とせず、無秩序に配列することで、仕上がりの時に継ぎ目位置をばらばらにする〔ランダム張り〕の方法がとられる場合があった。
【0003】この施工に際して、例えば以下の複数種類の床材が用いられた。
〔A〕 幅60mm〜90mm程度、長さ900mm程度の小幅の床材(A)〔図3参照〕。
〔B〕 一般に〔1×6〕と称される幅303mm、長さ1818mmの大型の床材(B)〔図4参照〕。
〔C〕 60mm〜76mm程度の小幅の床材を長手方向の継ぎ目が階段状にずれるように幅方向に4枚〜5枚接着一体化してなる、一般に〔雁行タイプ〕と称される床材(C)〔図5参照〕。
〔D〕 幅150mm、長さ900mm程度の中幅の床材(D)〔図6参照〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の(A)〜(D)の床材を使用して上記〔ランダム張り〕の方法で施工した場合、以下の問題点があった。
〔A〕 上記(A)の床材を使用すると、長手方向の継ぎ目が適度に分散して床材として自然な感じに仕上がり、歩留りも良いという長所はあるが、施工に際し、小幅な床材1枚ずつ張りつけるので、施工手間がかかり、施工速度が著しく遅い欠点があった。
〔B〕 上記(B)の床材を使用すると、床材1枚の面積が大であり、施工速度が向上する長所はあるが、幅303mmにもわたり継ぎ目が生じ、不自然な感じに仕上がる欠点があった。また、部屋のサイズや形状により、小幅の不足部分が生じた時、材の一部を使用するだけで残りの大半を廃棄せざるを得ず、歩留りが低下する欠点があった。さらに、コンクリートスラブ上に接着剤を使用して接着施工する直貼りタイプの床材の場合、塗布された接着剤上に一旦床材を置いてから、ゴムハンマー等で叩いて実を嵌合させるため、床材1枚の面積が大であることは、抵抗が大であることにつながり、必ずしも面積比に比例して施工速度が早くなるとも限らなかった。
【0005】〔C〕 上記(C)の床材を使用すると、上記(B)の床材と同様に、集合住宅に多い4.5畳〜6畳程度の個室では歩留りが悪く、施工速度もそれほど向上しないという欠点があった。また、製造や梱包上の理由から、階段状の継ぎ目間隔をむやみに大きくするわけにいかないので、どうしても継ぎ目の分散が不十分で、継ぎ目が集中する傾向が生じる欠点があった。
〔D〕 上記(D)の床材を使用すると、幅150mm程度の継ぎ目が並ぶことにより、やや不自然な感じを生じさせる欠点が残っていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するために、本発明は、幅の合計が120mm〜180mmの一定幅になる等しい長さの2枚の床材を、互いに長手方向に100mm〜300mmの一定間隔ずらして接着させることとしている。こうして、〔ランダム張り〕にしたときの継ぎ目を無秩序に分散させ易く、仕上がり感を向上させ、集合住宅等の個室程度の広さの部屋において、施工速度、歩留りを向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係わる床材は、等しい長さの2枚の床材を設け、この2枚の床材の幅の合計を120mm〜180mmの一定幅とし、継ぎ目を分散させるために、この2枚の床材を互いに長手方向に100mm〜300mmの一定間隔ずらして長辺同志を接着した床材である。また、上記長辺同志の接着にあたり、硬質のホットメルト、エポキシ樹脂接着剤、ウレタン樹脂接着剤のいずれかを使用して接着した床材である。また、上記長辺同志の接着にあたり、自動の釘打ち装置〔タッカーと呼ぶ〕を使用して、釘またはステープルで接着した床材である。
【0008】
【実施例】以下この発明を例示図面を参照して詳細説明する。図1は、この発明の一実施例を示す平面図である。幅76mm、長さ900mmの等幅、等尺の小幅床材(1a)を2枚、互いに長手方向に200mmずらしてエポキシ樹脂接着剤で互いの当接する長辺を接着固定してなる床材(1)である。
【0009】この実施例は、幅76mmの等幅の小幅床材を2枚接着したものであるが、幅の合計が120mm〜180mmの一定幅になるものなら、異なる幅の小幅床材を2枚接着したものでもよい。幅の合計が120mmよりも小さい幅であると、施工速度が遅くなり、しかも見た目にも密になりすぎる。180mmよりも大きい幅であると、その分継ぎ目の幅も大きくなり不自然になるとともに、部屋の凹凸に対応しにくく、歩留りが悪くなる。幅の合計は施工後の外観上最も好ましくは140mm〜160mmである。
【0010】また、長手方向に200mmずらして接着しているが、このずらす程度は100mm〜300mmの範囲の一定間隔ならばいくらずらしても良い。ずらす程度が100mmに満たない、あるいは、300mmより大きい場合、施工後に継ぎ目が1か所に集中するように見えて不自然である。また、300mmよりも大きい場合、接着後の床材全体の長さがあまり大きくなりすぎ、製造や梱包が困難になる。ずらす程度は施工後の外観上最も好ましくは100mm〜200mmである。
【0011】また、エポキシ樹脂接着剤で接着固定しているが、他に硬質のホットメルト、ウレタン樹脂接着剤、タッカーを使用しても良い。これらによる接着は、当然、施工後に見た目に不自然にならないために、床材の裏面側から行うものである。さらに、接着の方法として、当接する長辺全体を接着する完全固定でも良いし、張り仕舞い時に分割して一枚ずつを使用できるようにするために、部分的な接着を行ってもよいい。このように分割可能にしておくと、歩留りがさらに向上する。
【0012】床を張るときの方法を以下に述べる。図2は、本実施例の床材(1)を複数張った状態を示す説明平面図である。先ず、1列目を張り、つぎに2列目を1列目とは400mm程度ずらして張り、以下順々に張って行く。このようにすると、継ぎ目(2)が均一に分散し、仕上がった状態が自然である。
【0013】
【発明の効果】この発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0014】幅の合計が120mm〜180mm程度になる等しい長さの2枚の床材をずらして接着しているために、集合住宅等の個室程度の広さの部屋において、〔ランダム張り〕の方法で施工した場合、継ぎ目が無秩序に分散し、仕上がり感を小幅の床材の持つ自然な仕上がりにできる。
【0015】施工速度が速く、歩留りが良い。その程度は、集合住宅等の個室程度の広さの部屋に施工する上で、施工速度が、上述した従来例の中で最速のものに近いか匹敵する程度であり、歩留りが、上述した従来例の中で最良のものに近いか匹敵する程度である。
【0016】従って、この床材を使用することで、集合住宅の床材施工が極めて簡略化され、能率良く施工できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の床材の一実施例を示す平面図である。
【図2】同じく、使用状態を示す説明平面図である。
【図3】従来の小幅の床材の例を示す平面図である。
【図4】従来の大型の床材の例を示す平面図である。
【図5】従来の一般に〔雁行タイプ〕と称される床材の例を示す平面図である。
【図6】従来の中幅の床材の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 床材
1a 小幅床材
A 小幅の床材
B 大型の床材
C 一般に〔雁行タイプ〕と称される床材
D 中幅の床材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 等しい長さの2枚の床材を設け、該2枚の床材の幅の合計を120mm〜180mmの一定幅とし、該2枚の床材を互いに長手方向に100mm〜300mmの一定間隔ずらして長辺同志を接着したことを特徴とする床材。
【請求項2】 長辺同志を硬質のホットメルト、エポキシ樹脂接着剤、ウレタン樹脂接着剤のいずれかを使用して接着した請求項1記載の床材。
【請求項3】 長辺同志を自動の釘打ち装置を使用して、釘またはステープルで接着した請求項1記載の床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【特許番号】第2814219号
【登録日】平成10年(1998)8月14日
【発行日】平成10年(1998)10月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−71442
【出願日】平成8年(1996)3月1日
【公開番号】特開平9−235859
【公開日】平成9年(1997)9月9日
【審査請求日】平成8年(1996)6月12日
【出願人】(000145437)株式会社住建産業 (70)
【参考文献】
【文献】特開 昭59−85067(JP,A)
【文献】実公 平6−49738(JP,Y2)
【文献】実公 平4−23148(JP,Y2)