説明

床反力計測装置及び接地検知装置

【課題】人の足が受ける床反力を精度よく計測する床反力計測装置を提供する。
【解決手段】床反力計測装置10は、第1荷重センサ14と第2荷重センサ16を備える。第1荷重センサ14は、ユーザが履く靴90の中であってユーザの足裏に対応する領域に配置される。第2荷重センサ16は、靴90の中であってユーザの足の甲に対応する領域に配置される。第1荷重センサ14によって計測された荷重から第2荷重センサ16によって計測された荷重を減じることによって、第1荷重センサに加わっているオフセット荷重をキャンセルすることができ、床反力を正確に計測することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの足が床から受ける床反力を計測する装置と、足が接地したか否かを検知する接地検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの脚の動きを補助する脚装具が知られている。ギプスのような短下肢装具や長下肢装具が古くから知られており、近年ではアクチュエータによって脚の動きを積極的に補助する支援装置が研究されている。脚の動きに応じてアクチュエータを制御する装置の場合、足が接地しているか否かの相違に基づいて、或いは、足が床から受ける床反力の大きさに基づいてアクチュエータの制御量を決定するアルゴリズムが採用されることがある。足が接地しているか否かを検知するため、或いは、床反力を検知するために、例えば特許文献1に開示された支援装置は、荷重センサを組み込んだ靴を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−11429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットと異なり人間の体は柔らかい。また、ロボットは予め決められたアルゴリズムに基づいて動くのに対して人間は不測の動きを行うことがある。そのため、単に足の裏に荷重センサを配置しただけでは、床反力の計測、あるいは、接地したか否かの検知が正確に行われない可能性がある。例えば、荷重センサは人間が履く靴に組み込まれるが、靴自体が剛体ではなく、また、ユーザの足との間で力を及ぼしあうため、正確に床反力を計測できない虞がある。本明細書が開示する一つの技術は、人間(ユーザ)の足が受ける床反力を精度よく計測する装置を提供することを目的とする。本明細書が開示する他の技術は、人間(ユーザ)の足が接地したか否かを正確に検知する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術の一態様は、ユーザが床から受ける床反力を計測する床反力計測装置に具現化される。その床反力計測装置は、第1荷重センサと第2荷重センサを備える。第1荷重センサは、ユーザが履く靴であってユーザの足裏に対応する領域に配置される。第2荷重センサは、ユーザが履く靴の中であってユーザの足の甲に対応する領域に配置される。典型的には、第1荷重センサは、靴底とユーザの足裏の間に配置される。複数の第2荷重センサは、靴の中であって足の甲に対応する領域内の複数個所に配置される。この床反力計測装置は、第1荷重センサによって計測された荷重から第2荷重センサによって計測された荷重を減じた値を床反力として出力する。
【0006】
一般に靴を足に固定するには、靴紐或いは面ファスナで足の甲を締め付ける。足の甲を締め付けると、靴が足全体を締め付けることになり、靴底に配置した荷重センサにオフセット荷重が生じる。或いは、ユーザが靴の中の足を動かした場合も、足と靴の接触状態が変化し、オフセット荷重が変化する。ここでは、靴が直接に足裏の荷重センサに及ぼす荷重であり、靴が床に付いてなくとも計測されてしまう荷重値を「オフセット荷重」と称している。第1荷重センサによって計測された荷重から第2荷重センサによって計測された荷重を減じることによって、そのオフセット荷重をキャンセルすることができ、床反力を正確に計測することが可能となる。なお、第1荷重センサによって計測された荷重から第2荷重センサによって計測された荷重を減じる演算を行う演算ユニットは、荷重センサとともに靴に備えられてもよいし、脚の動きを支援する支援装置など、床反力計測装置を利用する上位の装置に組み込まれていてもよい。
【0007】
足の甲は3次元的に湾曲しているので、加わる荷重が場所によって多少異なる。そのため、上記の床反力計測装置は、足の甲に対応する領域内の複数個所の夫々に配置された複数の第2荷重センサを備えており、その複数の荷重センサによって計測された複数の荷重値の平均を第1荷重センサによって計測された荷重から減算した結果を、床反力として出力する構成を有していることが好適である。足の甲の複数位置に加わる荷重、即ち、荷重分布の平均を採用することによって、上記の床反力計測装置は、床反力を一層正確に計測することができる。なお、床反力計測装置は、「荷重の平均」として、足の甲の場所に依存する重みを付加した平均(加重平均)を採用してもよい。
【0008】
上記の床反力計測装置は、同時に計測を行う第1荷重センサと第2荷重センサの値を使うので、いわゆるキャリブレーション(あるいはゼロ点合わせと呼ばれる)が不要であるという利点も有する。通常、一つの荷重センサだけを用いる場合、理想的な状態における出力を基準の値に合わせる。床反力計測装置の場合は、足を床から浮かせた状態における荷重センサの出力をゼロに合わせる。そのようなキャリブレーションを要する場合は、ユーザが靴を履く毎にキャリブレーションが必要となり、煩わしい。本明細書が開示する床反力計測装置は、同時に計測を行う第1荷重センサと第2荷重センサの値を使うことによって、キャリブレーションを頻繁に行う煩わしさからユーザを解放する。
【0009】
本明細書が開示する床反力計測装置の他の態様は、ユーザが履く靴の底に配置される荷重センサと、その靴に設けられており上から足の甲に加わる荷重が第1荷重センサに加わらないようにユーザの足の甲の少なくとも一部を覆う甲カバーを備える。この床反力計測装置は、足の甲を他人に踏まれたときであっても、そのことによって荷重センサに及ぶ影響を低減することができる。
【0010】
本明細書が開示する技術の他の態様は、ユーザの足が接地したか否かを検知する接地検知装置に具現化される。この検知装置は、二重底を有する靴と、靴に設けられた接触センサとガイド機構を備える。二重底の対向する2つの面(板)は、弾性体を挟んで対向しており、鉛直方向と水平方向(せん断方向)に相対的に移動可能に構成されている。接触センサは、二重底の対向する面(板)のいずれか一方に配置されており、他方の面との接触を検知する。ガイド機構は、二重底の間に配置されており、横方向の相対移動量に応じて二重底の対向面間の距離を接近させる。この検知装置は、二重底の下側の板が上側の板に対してせん断方向にずれると、ガイド機構が両方の板を接近させ、接触センサが接触を検知する。この検知装置は、靴の縁だけが接地した場合であっても靴の接地を確実に検知することができる。なお、「鉛直方向」、「水平方向」とは、靴の形状を有した接地検知装置をユーザが履いたときの「鉛直方向」と「水平方向」を意味する。靴底面に平行な方向を「横方向」と称し、靴底面に垂直な方向を「上下方向」と称すると、上記の「鉛直方向」は「上下方向」に相当し、「水平方向」は「横方向」に相当する。
【0011】
ガイド機構の好ましい一態様は次の通りである。ガイド機構は、第1ガイドプレートと第2ガイドプレートを備える。第1ガイドプレートは、二重底の対向面のうちの上面に固定されており、対向面のうちの下面に向かって斜め方向に伸びている。第2ガイドプレートは、下面に固定されており、上面と第1ガイドプレートの間に向かって第1ガイドプレートとすれちがうように平行に伸びている。二重底の上面と下面がせん断方向にずれると、第1、第2ガイドプレートが相互に摺動し、上下の面を近づけ、接触センサが他方の面との接触(即ち「接地」)を検知する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例の床反力計測装置の模式的断面図を示す。
【図2】第2実施例の床反力計測装置の模式的断面図を示す。
【図3】第2実施例の床反力計測装置の模式的斜視図を示す。
【図4】接地検知装置の模式的断面図を示す(1)。
【図5】接地検知装置の模式的断面図を示す(2)。
【実施例】
【0013】
(第1実施例)図1は、床反力計測装置10の模式的断面図である。床反力計測装置10は、靴90の中に入れるインソール12と、インソール12に埋設された複数の荷重センサで構成される。インソール12は、柔軟な素材で作られており、ユーザの足Hの動きに応じて変形する。インソール12は、足裏に面するだけでなく、つま先側で折れ曲がり、足Hの甲にまで達する。
【0014】
荷重センサは、第1荷重センサ14(14a、14b、14c)と、第2荷重センサ16(16a、16b、16c)の2つのグループに分かれる。第1荷重センサ14は、インソール12の足裏に面する領域に配置されている。即ち、第1荷重センサ14は、ユーザが履く靴の底とユーザの足裏との間に配置される。詳しくは、第1荷重センサ14aは拇指球に対応する位置に配置され、第1荷重センサ14bは土踏まずに対応する位置に配置され、第3荷重センサ14cは踵に対応する位置に配置される。
【0015】
第2荷重センサ16は、インソール12において、足甲に面している領域に配置されている。即ち、第2荷重センサ16は、ユーザの足Hの甲と、靴90の裏側(足の甲に対応する領域)の間に配置される。
【0016】
各荷重センサの出力は、図示しない演算ユニットに送られる。演算ユニットでは、3個の第2荷重センサ16a、16b、及び、16cの出力の平均を求め、第1荷重センサ14aの出力から平均値を減算する。演算ユニットは、減算結果を、第1荷重センサ14b、14cの出力と合計し、その結果を床反力として上位のコンピュータへ出力する。上位のコンピュータとは、例えば、ユーザに装着される動力付きの歩行補助装置の制御ユニットである。
【0017】
床反力計測装置10の利点を説明する。まず、床反力計測装置10は、インソールタイプであるので、普通の靴に容易に取り付けることができる。また、床反力計測装置10は、次のとおり、足と靴の状態が変化しても安定して正確な床反力を出力する。例えば、靴紐を締めたとき、或いは、足の指を靴の中で動かしたとき、足裏と靴底の間に力が加わり、第1荷重センサの出力が変化する。この変化分は、本来の床反力に基づく荷重ではなく、足と靴の間の相互作用により生じたものである。この変化分が前述したオフセット荷重に相当する。足裏と靴底の間に生じたオフセット荷重とほぼ同じ荷重が、足の甲と靴の間で発生する。第2荷重センサ16は、足の甲の側で発生するオフセット荷重を計測する。床反力計測装置10は、第1荷重センサ14が計測した荷重値から第2荷重センサ16が計測した荷重値を減じるので、上記したオフセット荷重をキャンセルした結果を出力する。即ち、床反力計測装置10は、オフセット荷重をキャンセルし、正確な床反力を出力する。足の甲を他人に踏まれた場合であっても同様の効果が得られる。
【0018】
なお、床反力計測装置10の手法とは別に、オフセット荷重をキャンセルする手法として、床反力を計測するのに先立って、足を浮かせた状態で足裏に配置された荷重センサの値を計測し、その値をオフセット値として保持する手法がある。そのような手法は、いわゆる計測前のキャリブレーションと呼ばれる手法である。しかしながらそのようなキャリブレーションは、ユーザにとって煩わしい。例えば、靴紐を結び直す毎にキャリブレーションを行わなければならない。床反力計測装置10は、第2荷重センサ16がリアルタイムにオフセット荷重を計測するので、事前に、あるいは、靴紐を結び直す毎にキャリブレーションを行う必要がない。
【0019】
床反力計測装置10の留意点について述べる。床反力計測装置10は、3個の第1荷重センサ14a、14b、及び、14cを備えている。第1荷重センサ14は、靴90の中であってユーザの足裏に対応する領域に配置されている。それら第1荷重センサ14のうち、第2荷重センサ16の出力値を減じる対象は、拇指球に相当する位置に配置されている第1荷重センサ14aだけでよい。土踏まずに相当する位置に配置されている第1荷重センサ14b、踵に相当する位置に配置されている第1荷重センサ14cは、足Hの甲に加わるオフセット荷重の影響を顕著には受けないからである。別言すると、床反力計測装置10は、ユーザの足Hの拇指球に相当する範囲(あるいは、足裏の土踏まずよりも前方)に配置された第1荷重センサ14aによって計測された荷重値から第2荷重センサ16によって計測された荷重値(足の甲に加わる荷重)を減じる。なお、第2書荷重センサ16は、靴90の中であって足の甲に対応する領域に配置される。
【0020】
床反力計測装置10は、3個の第2荷重センサ16a、16b、及び、16cの平均を算出する際、荷重センサの位置に応じた重みを加えた平均(加重平均)を算出し、その値を第1荷重センサによって計測された荷重値から減じてもよい。
【0021】
なお、床反力計測装置10は、後述する第2実施例の床反力計測装置20と同様に、スリッパのような形状をなしていてもよい。
【0022】
(第2実施例)図2は、第2実施例の床反力計測装置20の模式的側面図を示しており、図3は床反力計測装置20の模式的斜視図を示す。床反力計測装置20は、スリッパのような形状を有している。床反力計測装置20は、主として、荷重センサ24(24a、24b、24c)が埋設されたソール22と、ソール22の前方に取り付けられている甲カバー26で構成されている。甲カバー26は、炭素繊維強化プラスチック製であり、他人に踏まれても潰れない強度を有している。甲カバー26は、ソール22の縁22aに取り付けられている。他方、荷重センサ24(24a、24b、及び、24c)は、縁22a以外の範囲に埋設されている。従って、甲カバー26の上から荷重が加わっても、加わった荷重が荷重センサ24に影響を及ぼさない。
【0023】
床反力計測装置20は、一般的な普通の靴90の中に入れて用いられる。例えば他人に靴90を踏まれた場合、甲カバー26が他人から加わえられる荷重を支え、加えられた荷重は足裏に配置された荷重センサ24に影響を及ぼさない。また、同様に、靴紐を締め直した場合、靴紐から加わる荷重は甲カバーが受けるので荷重センサ24に影響を及ぼさない。床反力計測装置20も、床反力(荷重センサ24が計測する荷重)を正確に計測することができる。なお、床反力計測装置20は、3個の荷重センサ24a、24b、及び、24cを備えており、それぞれ、拇指球に相当する位置、土踏まずに相当する位置、踵に相当する位置に配置されている。
【0024】
(第3実施例)第3実施例は、ユーザの足が接地したか否かを検知する接地検知装置である。図4に、接地検知装置30の模式的断面図を示す。接地検知装置30は、靴31の形をしている。靴の底は、上ソール板32と下ソール板33によって二重底になっている。上ソール板32と下ソール板33は、ゴム34(弾性体)を挟んで対向しており、それら間に空隙が確保されている。上ソール板32と下ソール板33はゴム34によって相互に連結されており、上下方向(鉛直方向)と横方向(せん断方向、あるいは、水平方向)に相対的に移動可能になっている。なお、別言すれば、上ソール板32と下ソール板33は、3次元的に相対的に移動可能である。下ソール板33の中央には、接触センサ38が配置されている。接触センサ38は、その上部に上ソール板32が接触すると、信号(接地検知信号)を上位のコントローラ(不図示)へ出力する。なお、図4、図5の符号39が示す部材は、接触センサ38の上部空隙の高さ(接触センサから上ソール板32までの距離)を調整するためのスペーサである。また、説明の便宜上、二重底以外の部分を単に靴31と称する。
【0025】
上ソール板32には第1ガイドプレート35が固定されており、下ソール板33には第2ガイドプレート36が固定されている。第1ガイドプレート35は、下ソール板33に向かって斜め方向に伸びており、第2ガイドプレート36は上ソール板32に向かって斜め方向に伸びている。「斜め方向」とは、夫々のプレートの対向面の法線に対して斜めの方向という意味である。第1ガイドプレート35は、下ソール板33と第2ガイドプレート36の間に向かってのびている。逆にいうと、第2ガイドプレート36は、上ソール板32と第1ガイドプレート35の間に向かって伸びている。さらに詳しくは、第1ガイドプレート35は、下ソール板33と第2ガイドプレート36が構成する角度が鋭角である側の間へ向かって伸びており、第2ガイドプレート36は、上ソール板32と第1ガイドプレート35が構成する角度が鋭角である側の間に向かって伸びている。別言すれば、第1ガイドプレート35の先端は第2ガイドプレート36の下側に潜り込むように伸びている。さらに、第2ガイドプレート36は第1ガイドプレート35にすれちがうように伸びており、両者は平行である。なお、図4、図5では、接触センサ38の前後両側に第1ガイドプレート35a、35bと第2ガイドプレート36a、36bが夫々描かれているが、第1ガイドプレート35と第2ガイドプレート36はともに、円錐台形状の筒であり、両者とも接触センサ38を囲んで配置されている。即ち、図4、図5で2個描かれている第1ガイドプレート35aと35bはともに一つの円錐台形状の筒の断面を示しており、第2ガイドプレート36a、36bもともに一つの円錐台形状の筒の断面を示している。図4、図5では、説明の便宜上、左側(つま先側)のガイドプレートには添え字「a」(35a、36a)を付しており、右側(踵側)のガイドプレートには添え字「b」(35b、36b)を付して区別することにする。ただし、左右のガイドプレートを区別せずに説明する場合は英字の添え字を付さず、「第1ガイドプレート35」、「第2ガイドプレート36」と称することにする。
【0026】
図4に示すように、第1ガイドプレート35と第2ガイドプレート36は、(側方から観測すると)上下方向で一部が重なっており、両者は接しているか、あるいは僅かな空隙を有して対向している。別言すれば、第1ガイドプレート35の上面に第2ガイドプレート36の下面が対向している。第1ガイドプレート35と第2ガイドプレート36は、上ソール板32と下ソール板33で形成される一対の対向面の横方向の相対移動量に応じて対向面間の距離を接近させるガイド機構を構成する。具体的には、下ソール板33が横方向に移動すると、第1ガイドプレート35と第2ガイドプレート36が接触し、相互に摺動する。このとき、第1ガイドプレート35は下に向かって、第2ガイドプレート36は上に向かって移動する。その結果、上ソール板32と下ソール板33の間の距離が縮まり、上ソール板32の下面(スペーサ39の下面)が接触センサ38に接触する。
【0027】
図4に示すように、接地検知装置30が接地していないときの対向面間の距離はD1である。図5に、靴の踵が地面Gに接したときの様子を示す。地面との接触によって下ソール板33は前方へ移動する。踵側で第1ガイドプレート35bと第2ガイドプレート36bが接触・摺動し、下ソール板33が上ソール板32に接近し、上ソール板32が接触センサ38に接触する。なお、このときの対向面間の距離はD2であり、D2はD1よりも小さい。上ソール板32が接触センサ38に接触すると、接触センサ38が接地検知信号を出力する。なお、このとき、接触センサ38よりもつま先側では第1ガイドプレート35aと第2ガイドプレート35bは相互に離れる方向に移動する。
【0028】
前述したように、第1ガイドプレート35、第2ガイドプレート36は、接触センサ38を囲むように配置された円錐台形筒型形状であるので、靴の周囲のどこが地面と接触しても、図5で示した状態と同様の変形が生じ、接触センサ38が接地検知信号を出力する。なお、当然、地面Gに平行な状態で下ソール板33が接地した場合も、上ソール板32が接触センサ38に接触し、接地検知信号が出力される。以上説明したように、接地検知装置30は、靴の周囲の縁がどこで接地してもその接地を検知することができる。
【0029】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0030】
10、20:床反力計測装置
12:インソール
14:第1荷重センサ
16:第2荷重センサ
22:ソール
24:荷重センサ
26:甲カバー
30:接地検知装置
32:上ソール板
33:下ソール板
34:ゴム
35:第1ガイドプレート
36:第2ガイドプレート
38:接触センサ
39:スペーサ
90:靴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが床から受ける床反力を計測する床反力計測装置であり、
ユーザが履く靴の中であってユーザの足裏に対応する領域に配置される第1荷重センサと、
前記靴の中であってユーザの足の甲に対応する領域に配置される第2荷重センサと、
を備えており、
第1荷重センサによって計測された荷重から第2荷重センサによって計測された荷重を減じた値を床反力として出力することを特徴とする床反力計測装置。
【請求項2】
足の甲に対応する領域内の複数個所の夫々に配置された複数の第2荷重センサを備えており、
複数の第2荷重センサによって計測された荷重の平均を第1荷重センサによって計測された荷重から減算した値を床反力として出力することを特徴とする請求項1に記載の床反力計測装置。
【請求項3】
ユーザの足が接地したか否かを検知する接地検知装置であって、
弾性体を挟んで対向しており、鉛直方向と水平方向に相対的に移動可能な二重底を備える靴と、
二重底の対向する面のいずれか一方に配置されており、他方の面との接触を検知する接触センサと、
対向する面の間に配置されており、対向する面の横方向の相対移動量に応じて対向する面の間の距離を接近させるガイド機構と、
を備えることを特徴とする接地検知装置。
【請求項4】
ガイド機構は、
対向面のうちの上面に固定されており、対向面のうちの下面に向かって斜め方向に伸びている第1ガイドプレートと、
下面に固定されており、上面と第1プレートが構成する鋭角の間に向かって第1ガイドプレートとすれちがうように平行に伸びている第2ガイドプレートと、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の接地検知装置。
【請求項5】
ユーザが床から受ける床反力を計測する床反力計測装置であり、
ユーザが履く靴の底に配置される荷重センサと、
前記靴に設けられており、上から足の甲に加わる荷重が第1荷重センサに加わらないようにユーザの足の甲の少なくとも一部を覆う甲カバーと、
を備えることを特徴とする床反力計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−125326(P2012−125326A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277786(P2010−277786)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)