床振動式運動装置
【課題】高低差のある複数の振動面を備え、足の踏み出し運動を実施できるようにし、身体に過度な負担を生じることなく、高齢者、障害者等にとって、実際の歩行訓練に近い効率的、継続的なトレーニングが容易に行える装置を提供する。
【解決手段】上段ステップ2及び下段ステップ3を備えた基台1と、各ステップ2、3を振動させる振動発生装置5と、を備える。基台1は、各ステップ2、3に振動面の振動の強さを互いに相違させるための振動緩衝材8を有し、振動緩衝材8は振動発生装置5から伝達される振動を吸収し弱める。振動発生装置5を上段ステップ2側に配置し、かつ、下段ステップ3側に設置された振動緩衝材8を上段ステップ2側のそれよりも多数設置することで、下段ステップ3の振動は上段ステップ2の振動よりも弱くなる。
【解決手段】上段ステップ2及び下段ステップ3を備えた基台1と、各ステップ2、3を振動させる振動発生装置5と、を備える。基台1は、各ステップ2、3に振動面の振動の強さを互いに相違させるための振動緩衝材8を有し、振動緩衝材8は振動発生装置5から伝達される振動を吸収し弱める。振動発生装置5を上段ステップ2側に配置し、かつ、下段ステップ3側に設置された振動緩衝材8を上段ステップ2側のそれよりも多数設置することで、下段ステップ3の振動は上段ステップ2の振動よりも弱くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者、障害者、怪我をした人などのリハビリテーション(以下、リハビリ)や筋力トレーニングなどで、筋力を鍛え、なおかつ、使用者の足裏等から身体に振動刺激を与えることで身体全体のバランス感覚を向上させるための床振動式運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
短時間であっても振動刺激を人体に与えることにより、筋機能が向上することが明らかになっている。そのため、筋力の低下防止や維持増強、肥満解消等を目的として振動刺激を身体に与える装置が提供されている。
【0003】
基本的に、筋肉は使わないとその機能が短期間で低下するので、少しでも身体を動かすことによって下肢筋力の低下防止や維持増強に努めることが重要である。
【0004】
一方、運動を継続するための環境づくりは重要であり、そのような環境が整わないと身体のトレーニングを継続することは難しい。また、運動中の負担が大きすぎる場合も継続は困難である。
【0005】
このような装置では、使用者の足裏から振動刺激を与えることで、筋力・筋パワーの強化・運動不足の解消及びバランス感覚の向上などを目的として、様々なタイプの装置が提案されている。
【特許文献1】特表2005-514126号公報
【特許文献2】特表2005-519697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような従来装置は、単に振動を足裏から身体に伝えることを主目的とするものであって、振動に変化が少なく、かつ振動が比較的強いため、健常者の筋力向上を目的とすることは可能であっても、高齢者や、怪我等による足腰等の筋力回復やバランス感覚の向上のために使用するのに適したものではなかった。
特に、歩行機能の回復やバランス感覚の向上のためには、振動による筋力向上だけでなく、実際の足の踏み出し運動を実施することと、足裏だけでなく手のひらにも振動刺激を与えることがきわめて重要である。
【0007】
本発明者は、上記のような点に着目して本発明を完成させたものであり、高低差のある複数の振動面を備えるようにしたことで、振動の強弱に加えて足の踏み出し運動を実施可能とし、また、身体に過度な負担を生じることなく、高齢者、障害者等、あるいは運動不足者にとって、実際の歩行訓練に近い形で、効率的及び継続的なトレーニングを容易に行うことができる装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の床振動式運動装置は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわち、使用者が昇降動作をするために高低差のある複数の振動面を備えるように形成された基台と、前記振動面を振動させる振動発生装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1に、使用者が載る基台が段状であるので、いわゆる踏み台昇降運動が可能となる。また第2に、振動発生装置によって足裏から振動が使用者の身体に伝達
される。このため踏み台昇降運動と足裏への振動とが相俟って、本装置を使用者の脚の筋力を鍛え、なおかつ体全体のバランス感覚の向上が効果的に図られる。その結果、踏み台昇降運動、又は足裏への振動刺激の伝達のいずれか一方のみの場合に比べ、短時間で脚の筋力を鍛え、なおかつ体全体のバランス感覚を向上させることができる。特に、実際の歩行に準じたステップの上り下りである踏み台昇降運動は、高齢者等の歩行訓練を安全、効率的に行うことを実現する。また、手のひらへの振動刺激に関しては、下肢のみでなく、四肢に位置覚、振動覚などの深部知覚刺激を与えることにより、体全体のバランス感覚の向上につながる。また、比較的穏やかな運動で十分な運動量が得られるので、運動の継続が容易である。
【0010】
前記基台は、それぞれ振動面を備えた上段ステップ及び下段ステップを含み、これら上段ステップ及び下段ステップは、ステップごとに振動面の振動の強さを相違させるための振動強弱変更手段を有し、この振動強弱変更手段は、振動発生装置から伝達される振動を吸収して弱める複数の振動緩衝材を含み、上段ステップ側に設置された振動緩衝材の数が下段ステップ側のそれよりも少なくすることができる。
その結果、上段ステップと下段ステップとが同時に振動しても、振動緩衝材の設置数の多い下段ステップの振動が上段ステップに比較して多く抑制されるため、前記上段ステップの振動は下段ステップの振動よりも強くなる。
【0011】
一般的に、人が歩行をする場合に踏み出す足には、踏み残す足よりも大きな負荷が掛かので、本装置の使用者が踏み台昇降運動をすれば、平面上での歩行よりも強い刺激が踏み出した側(上段ステップ側)の脚に与えられ、実際に歩行時に近い状態で足裏へ振動が加わる。
【0012】
また、上段ステップに脚を踏み入れる前に、踏み出した脚は下段ステップで予め振動による刺激を受けているので、上段ステップに踏み入れた足は、突然振動を受けるのではなく、弱い振動を経て強い振動刺激を受けることになる。そのため、高齢者、障害者等にとっても無理のないものである。
前記振動発生装置は、回転軸に対し偏心した状態で取り付けられた回転部材を有し、当該回転部材が回転することでモータ自体が振動する一対の振動モータであって、これら一対の振動モータは、前記ケース体内部に並列状態で配列されると共に、相互に他方に対して回転方向が逆向きになるように前記上段ステップ側に取り付けられ、水平方向の振動を互いに打ち消し合うように設置することが望ましい。
【0013】
一対の振動モータを相互に他方に対して方向が逆向きになるように回転させることで、振動モータは全方向に遠心力を発生させるが、この遠心力を上下左右(XYの2軸)方向のベクトルに分解して考えると、上下(Y軸)方向の力は2倍に加算され、左右(X軸)方向
の力は相殺されてほぼ0になる。これにより上下の振動だけが生み出される。
【0014】
この振動刺激が使用者の足裏から体内における深部知覚神経を刺激する結果、体全体のバランス感覚の向上につながる。
また、上段ステップと下段ステップとは上面に形成されているので、上段ステップに取り付けられている一対の振動モータが駆動すると、上段ステップのうち一対の振動モータが設置されている箇所を振動源とし、当該振動源から下段ステップに向けて振動が伝達される。振動源からの距離がある程、振動は減衰する。
【0015】
なお、使用者にとって心地のよい特定の振動域があるため、使用者は、前記下段ステップの心地よい場所に足を置き、これを基本領域とし、それを基点にした踏み台昇降運動を実行することができる。
【0016】
前記底面には上方に延びる棒状体が接続され、この棒状体は、使用者が把持する把持部とすることができる。この把持部は、前記振動発生装置からの振動が伝達されて振動する。
【0017】
すなわち、振動発生装置の振動が基台の底面に伝達され、この底面の振動が把持部に伝達される。この把持部が振動すると、把持部を把持している人の手のひらに振動が伝わる。このような足裏に加えて手のひらへの振動刺激により、下肢のみでなく、四肢に、位置覚、振動覚などの深部知覚刺激を与えることができ、体全体のバランス感覚の向上を図ることができる。
【0018】
前記基台は、段状の上面、底面、及び側面を有し、前記振動緩衝材は、前記上面及び側面のうちの少なくとも一方と前記底面とを連結した状態で、前記ケース体内に取り付けることができる。
【0019】
天井面の上段ステップに取り付けられた一対の振動モータが回転することで、上面のうち一対の振動モータが設置されている箇所を振動源とし、上面及び側面のうちの少なくとも一方の面、次に振動緩衝材、そして底面の順で振動が伝わる。
【0020】
なお、使用者が上段ステップに位置する場合には、手のひらへの振動は弱くなり、下段ステップに位置する場合は、手のひらへの振動は強くなる。これは、振動発生装置が配置されているのは上段ステップであるため、使用者が上段ステップ上にいる場合には、足裏を通じて体全体で振動のエネルギーを吸収し、その結果、把持部への振動のエネルギー伝達率が減少するからである。これに対し、使用者が下段ステップに位置するときは、把持部に伝達される振動のエネルギーが増加する。
したがって、踏み台昇降運動を行っている間に、足裏と手のひらとで振動の強弱が交互に変化して伝達される。
【0021】
前記基台の底面の外部には、接地して当該底面の振動を抑制する防振材が設けられ、当該防振材と前記振動緩衝材とが相俟って、上段ステップ及び下段ステップの各振動の強さを所定の範囲内に設定することができる。
【0022】
このようにすると、底面の下面に設けられた防振材と、上面の上段ステップ及び下段ステップに設けられた振動緩衝材との組み合わせ(設置する場所や設置する個数の違い)によっては、振動態様を変更することができる。すなわち、振動についてバリエーションを拡げられるようになり、本装置の適用範囲を拡大することができる。
【0023】
前記振動強弱変更手段は、前記一対の振動モータの設置位置を変更する位置変更手段を有し、この位置変更手段は、前記上段ステップの踏み板部分の裏面に設けられたガイドと、
このガイドに案内されて前記一対の振動モータを前後方向に移動する振動モータ移動体と、この振動モータ移動体を駆動する駆動手段と、を有するようにしてもよい。
【0024】
このような構成にすることで、振動モータの上段ステップにおける設置位置が変更可能になる結果、上段及び下段ステップの振動態様も変化する。すなわち、振動伝達が変化することで、振動部に伝わる振動の強さや、上段ステップと下段ステップの振動の強弱差が変化する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の床振動式運動装置によれば、高齢者、障害者、怪我をした人など、運動不足による筋力低下が著しい状態にある人や、効率的な運動効果を期待する場合に有効な振動を発生させることができ、特に、高低差のある複数の振動面を備えるので、歩行訓練に適し
たトレーニングを効果的及び継続的に行い易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る床振動式運動装置の全体斜視図であり、図2はその右側面図、図3はその正面図、図4はその背面図である。この実施の形態1に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
床振動式運動装置の基台1の上面には高低差のある二つの振動面、すなわち上段ステップ2及び下段ステップ3が設けられている。基台1は、金属板を中空の箱型に形成したものである。また、上段ステップ2の端部には逆U字形の把持部6が設けられている。この把持部6は伸縮可能な高さ調整機構4を備え、かつ、操作パネルを備えたコントロールボックス7を支持している。
【0027】
図1〜図5等に示すように、前記上段ステップ2及び下段ステップ3を同時に振動させる振動発生装置5が、基台1内の上段ステップ2側に内蔵されている。この振動発生装置5は、図6、図8に示すように、上段ステップ2の内面に接合する鋼板12に取り付けた2基の振動モータ5a、5bからなる。これらの二つの振動モータ5a、5bは互いに逆向きに設置され、かつ、それぞれ同一遠心力を発生させる振り子(図示せず)を備えている。これらに同一交流電源(同一周波数)を並列に供給すると互いに反対の方向、つまり正逆方向に同時に回転して振動が発生する。このとき、左右方向(水平方向)の振動はそれぞれの正逆方向の回転によって互いに打ち消される一方、垂直方向の振動は2倍に増幅されて発生するものである。
【0028】
これらの振動モータ5a、5bは、図示するように基台1の上段ステップ2の内側面に取り付けられているので、振動は最初に上段ステップ2(上面13及び側面14)に伝達される。また、図1、図6及び図8等に示すように、上段ステップの側面14と、基台1の底面を形成するベースプレート9の間(基台1内)には、左右両側に振動強弱変更手段としての振動緩衝材8が設置されている。
基台1は、上段ステップ2と下段ステップの上面13及び側面14は、一体に連続しているが、そのベースプレート9は、図6〜図8に示すように分離されて振動緩衝材8を介して接合され、上段ステップ2の振動が直接伝達されないようになっている。
【0029】
この振動緩衝材8は、図18に示すように、上下の金属盤10の間にゴム製の振動吸収体11を挟んで構成されている。その中心にはネジ孔13が形成され、ベースプレート9等の所定位置にボルトにより固定される。目的とする振動の減衰の程度に応じて、金属盤10を介して所定の数の振動吸収体11を配置する。なお、この振動緩衝材8は一例であり、勿論、他の形態のものを用いても良い。
【0030】
前記振動発生装置5により発生した振動は、図6に示すように、上段ステップ2及び振動緩衝材8を介してベースプレート9に伝達されるので、ベースプレート9の振動は上段ステップ2に比べて緩やかなものとなる。図7、図9に示すように、このベースプレート9の後端部には、把持部6の下端部が固定されているので、把持部6全体にベースプレート9の振動が伝達される。また、図7のようにベースプレート9の底面外側には、防振材18が4箇所に配され、ベースプレート9の振動が接地面に伝達しないように吸収されるようになっている。この防振材18は、前記振動緩衝材8と同様に、金属板の間に振動吸収体を挟んだものである。
【0031】
一方、図1、図5に示すように、基台1の下段ステップ3側の内部には、合計6個の振動
緩衝材8が設けられている。これらの振動緩衝材8は、基台1の前端側(下段ステップ3側)の左右両側に沿って3個ずつ配され、これらの振動緩衝材8は下段ステップ3の振動をバランスよく減衰させる。したがって、下段ステップ3は、上段ステップ2から伝わった振動を前記振動緩衝材8の作用によって、さらに減衰された程度で振動する。
【0032】
以上のように構成した結果、振動発生装置5の振動が直接伝達される上段ステップ2の振動が大きく、把持部6及び下段ステップ3の振動は上段ステップ2よりも小さくなる。ここで振動の大小は、振動周波数と振動振幅によってあらわすことができ、振動モータ5a、5bの回転周波数と同一の振動周波数(通常は20〜30Hz)で上段ステップ2と下段ステップ3が上下方向に振動するが、常に上段ステップ2の振動振幅が、下段ステップ4より大きくなる。
【0033】
【表1】
表1に振動周波数(Hz)別に、上段ステップ2の振動振幅(mm)及び振動加速度(m/s2)、及び下段ステップ3の振動振幅及び振動加速度の例を示す。この例によれば、振動周波数が上昇すれば、上段ステップ2及び下段ステップ3の振動振幅と振動加速度は共に大きくなるが、常に上段ステップ2の振動の大きさは下段ステップ3の振動の大きさを上回るようになっている。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を説明する。この例では、実施の形態1における振動発生装置5を可動式にした装置について説明する。他の構成部分は、実施の形態1と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。
図19は、可動式振動発生機構20の全体を示す斜視図である。
【0035】
振動モータ5a、5bは、振動モータ固定プレート22に取り付けられ、この振動モータ固定プレート22は、上段プレート2に上面全体が接している。この振動モータ固定プレート22は、ガイドレール21、21に案内され前後方向(矢印Y方向)に移動可能である。ガイドレール21、21は基台1の左右内側面に支持され、振動モータ固定プレート22の幅に合致する間隔をもって設けられている。前記振動モータ固定プレート22には、振動モータ5a、5bの間に移動方向に沿ってスライド用ラックギア23が取り付けられ、このスライド用ラックギア23には、移動用モータ25が、ギア26を介して接続されている。したがって、移動用モータ25の所定範囲における正逆方向の駆動によってスライド用ラックギア23が矢印Y方向に移動し、これに伴い振動モータ固定プレート22と共に振動モータ5a、5bが移動する。
【0036】
上記のように可動式振動発生機構20を採用することで、上段ステップ2への振動伝達の位置の変化に伴い、伝達される振動振幅を調整することが可能となる。上段ステップ2の
振動振幅の大きさは、主に、上段ステップ2及び下段ステップ3の振動緩衝材8と振動発生装置5との位置関係で決定され、例えば、この実施の形態の構造では、振動発生装置5が上段ステップ2の中央側に位置すれば上段ステップ2の振動振幅は比較的小さくなり、また、振動発生装置5が上段ステップ2の端部に位置すれば振動振幅は比較的大きくなる。この振動振幅の変化は一様のものでなく、上段ステップの構造や振動緩衝材8の数や位置によって異なるが、振動発生装置5の移動に伴って振動振幅の大きさが変化することは確かである。したがって、使用者は、振動発生装置5の位置を移動させて、所望の振動の程度となるように調整して本装置を使用することができる。このように振動発生装置5からの振動伝達が変化することで、伝達される振動の強さ、また、上段ステップ2と下段ステップ3の振動の強弱差が変化する。
【0037】
次に、図20に基づいて本発明の床振動式運動装置の振動モータ5a、5bの駆動について説明する。モータ駆動用電源部50は、AC200V三相交流を各振動モータ5a、5bに並列に供給する。モータ駆動用電源部50には、使用者がコントロールパネルから入力した信号に基づいて、コントロールボックス7に設けたモータコントロール回路を介して信号が送られる。モータコントロール回路51は、各振動モータ5a、5bに対してON/OFFの切換え、タイマによる駆動時間の設定、駆動周波数の設定が可能である。このモータコントロール回路51からの命令によって、所定の周波数で、所定時間内において各振動モータ5a、5bが駆動される。
【0038】
次に、本発明の床振動式運動装置の作動について説明する。
使用者は、下段ステップ3上に載り、把持部6に取り付けたコントローラ7の操作パネルを介し、モータコントロール回路51に駆動時間、周波数についての命令を送ると、モータ駆動用電源50から電源が供給されて各振動モータ5a、5bが駆動し、上段ステップ2、下段ステップ3及び把持部6が振動を開始する。
【0039】
なお、実施の形態2に示した装置では、コントロール回路51から移動用モータ25に信号が送られ、所定の範囲で正方向又は逆方向に移動用モータ25が回転することにより、振動発生装置5を移動させて振動の程度を調整することができる。
【0040】
上記の作動を、図21に示すフローチャートにしたがって詳細に説明する。
ステップS1で電源スイッチをONにするとステップS2に進み、ステップS2では作動準備がされた状態となる。次に、ステップS3では振動モータをスライドさせて振動の程度を調整する。ステップS4では、例えば、10〜40Hzの周波数範囲で任意の振動周波数を選択するか、または、予め設定された「強(30Hz)」、「中(20Hz)」、「弱(15Hz)」の中から選択可能にしてもよい。
【0041】
ステップS5では、例えば、1分のタイマ時間が設定され、振動発生装置5の駆動時間が決定される。ステップS6ではタイマスタートスイッチが押下されたか否かが判断される。押下されていないと判断されたときは、押下されたか否かの判断を繰り返す。押下されたと判断したときはステップS7に進みタイマの作動が開始されると同時に各振動モータ5a、5bが駆動し振動が発生する。
【0042】
次に、ステップS8では、タイマ時間(1分)が経過したか否かが判断され、経過していないと判断されたときは、継続的にタイマ時間が経過したか否かが判断される。タイマ時間が経過したと判断されたときは、ステップS2に戻り、振動が停止して再び作動スタンバイ状態に戻る。
なお、振動発生装置5をスライドさせる機構を備えていない実施の形態1に係る装置の場合のフローチャートでは、ステップS3の操作が除かれ、他は同一である。
【0043】
図12〜図17を参照して、床振動式運動装置の使用例を説明する。
使用者は、最初に図12に示すように下段ステップ3に載り、図13に示すように把持部6を両手で握れる体勢を保持する。次に操作パネルを操作して振動を発生させたら 図14に示すように把持部6を握りながら上段ステップに片足を載せ、続いて図15のように上段ステップに両足を移す。
次に、図16図に示すように、再び片足を下段ステップに移した後、図17図のように両足を下段ステップに置く。このような動作を繰り返す。
【0044】
本発明の床振動式運動装置は、互いに高さが異なる上段ステップ2及び下段ステップ3を設けたことで、実際の歩行動作に近い形での足踏み訓練を行うことができる。このとき、上段ステップ2と下段ステップ3との間に振動の強度差があり、上段ステップ2の振動が大きいことで、上段ステップ2に踏み出した足裏に実際の歩行時と同様に強い振動が伝わる。
【0045】
また、使用者は、上段ステップ2と下段ステップ3を上り下りすることを繰り返す動作をするので、筋力トレーニングや高齢者のリハビリ等の訓練に有効であり、かつ、振動刺激(振動による重力加速度)を下肢及び大腿部等、さらには手のひらに加えることで、的確かつ効果的な運動訓練が実現される。したがって、ステップ動作のみの運動に比べて短時間の使用で必要な運動量が得られる利点がある。
【0046】
振動が足裏と手のひらに加わることで、当該部位の深部知覚神経が刺激され、身体全体のバランス感覚の向上が期待できる。また、骨に刺激を与えることで、骨密度の向上によって骨粗鬆症の進行を抑制することも期待される。
【0047】
さらに、標準的な上段ステップ2と下段ステップ3の間の往復訓練では、使用者の足が上段に位置する場合には手のひらへ加えられる振動は弱くなるが、下段ステップ3に足が位置するときは、手のひらへ加えられる振動は強くなる。これは、上段ステップ2に足が位置するときは、上段ステップ2の強い振動エネルギーが身体に伝達され吸収されるので、把持部6へ伝達される振動が弱まるが、下段ステップ3に足が位置するときは、身体により吸収される振動エネルギーは減少する。したがって、この場合は把持部6の振動が強まる。
【0048】
このように、上段ステップ2と下段ステップ3の間を往復する運動に伴い、足裏と手のひらへ加えられる振動が変化することになる。したがって、単調な一定振動が持続する場合と異なり、使用者に変化を与えながら効果的な運動を提供できる。
【0049】
以下、本発明の床振動式運動装置による転倒予防効果の確認試験を実施した結果を述べる。
(1)試験目的
高齢者の転倒要因は、主に下肢の筋力及び平衡感覚の低下である。そこで、重力加速度による床振動式運動装置を使用した試験を若年健常者に対して行い、安全性と立位安定性の評価を行った。
(2)方法、対象
実施の形態1に示したものと同様な床振動式運動装置を使用し、被験者群31人(平均年齢38.3±9.9歳)、コントロール群14人(平均年齢38.2±3.8歳)を対象とした。
試験は、被験者群に対して振動周波数を30Hz、振動時間60秒で、1日1回、週4回とし、4週間実施した。そして、被験者群とコントロール群に対して、訓練開始前と4週間の試験後に重心動揺計で、開眼・開眼での総軌跡長、総面積、ベクトル、ロンベルク率等で各群平均値と標準偏差を求め、各々開眼・開眼での使用前後で優位差検定を実施し
た。なお、コントロール群とは振動訓練を実施しないグループで、被験者群に対する比較の群である。
【0050】
(3)重心動揺検査項目の説明
重心動揺検査は、日常の平衡機能検査の一つとして実施される検査であり、身体のふらつき、めまい、平衡機能について評価できる。この検査で用いる「重心動揺軌跡」とは、重心軌跡図(開眼及び閉眼)が動揺中心で描かれた図である。
【0051】
面積・軌跡長検査では、以下のようなデータが用いられる。
ア 総軌跡長(cm)
計測時間内で重心点が移動した全長をあらわし、身体の動揺の大きさが把握できる。
イ 単位軌跡長(cm/S)
単位時間軌跡長は、総軌跡長を記録時間(秒)で割った値である。身体の動揺の大きさの把握に用いられ、また、1秒間の移動距離は動揺速度を示す。
【0052】
ウ 外周面積(cm2)
X−Y記録図における動揺の外周を囲む線(包絡線)で囲まれる面積である。
エ X方向動揺平均中心変位(cm)
X軸(左右動揺)において、足底中心(台の基準点)と動揺平均中心の距離を測定したものである。
オ Y方向動揺平均中心変位(cm)
Y軸(前後動揺)において、足底中心(台の基準点)と動揺平均中心の距離を測定したものである。
カ ロンベルグ率(外周面積)
外周面積における開眼/開眼動揺の比である。
【0053】
(4)結果
結果を、表2及び表3に示す。
【0054】
【表2】
【表3】
被験者群において立位安定性の改善傾向がみられたが、コントロール群ではみられなかった。また両群共に安全性において特段の問題はみられなかった。
被験者群においては、総軌跡長、単位軌跡長、Y方向動揺平均中心変位の開眼及び開眼前後で優位差(p<0.05、0.01)がみられた。外周面積、X方向動揺平均中心変位、ロン
ベルグ率では、いずれも優位差は無かった。
【0055】
これに対して、コントロール群では、ロンベルグ率(外周面積)の前後で優位差(p<0.05)がみられたが、その他の総軌跡長、単位軌跡長、外周面積、X方向動揺平均中心変位、Y方向動揺平均中心変位の開眼及び開眼前後での優位差は無かった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の床振動式運動装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の床振動式運動装置の右側面図である。
【図3】本発明の床振動式運動装置の正面図である。
【図4】本発明の床振動式運動装置の背面図である。
【図5】本発明の床振動式運動装置の平面図である。
【図6】図2におけるVI-VI線断面図である。
【図7】図2におけるVII-VII線断面図である。
【図8】図2におけるV III-VIII線断面図である。
【図9】基台の断面図である。
【図10】図1におけるX-X線断面図である。
【図11】図1におけるXI-XI線断面図である。
【図12】床振動式運動装置の使用状態の側面図であって、下段ステップ上に使用者が立ち使用を開始する状態を示す。
【図13】図12に連続する図であって、使用者が把持部を両手で握った状態を示す図である。
【図14】図13に連続する図であって、使用者が上段ステップに一歩踏み出した状態を示す図である。
【図15】図14に連続する図であって、使用者が上段ステップに両足で立っている状態を示す図である。
【図16】図15に連続する図であって、使用者が上段ステップから下段ステップに一歩戻った状態を示す図である。
【図17】図16に連続する図であって、使用者が下段ステップに両足を戻した状態を示す図である。
【図18】振動緩衝材を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はそのXII−XII線の断面図である。
【図19】可動式の振動発生装置5の全体を示す斜視図である。
【図20】床振動式運動装置のブロック図である。
【図21】本発明の床振動式運動装置の作動を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0057】
1 基台
2 上部ステップ
3 下部ステップ
4 伸縮可能な高さ調整機構
5 振動発生装置
5a、5b 振動モータ
6 把持部
7 コントロールボックス
8 振動緩衝材
9 ベースプレート
20 可動式振動発生機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者、障害者、怪我をした人などのリハビリテーション(以下、リハビリ)や筋力トレーニングなどで、筋力を鍛え、なおかつ、使用者の足裏等から身体に振動刺激を与えることで身体全体のバランス感覚を向上させるための床振動式運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
短時間であっても振動刺激を人体に与えることにより、筋機能が向上することが明らかになっている。そのため、筋力の低下防止や維持増強、肥満解消等を目的として振動刺激を身体に与える装置が提供されている。
【0003】
基本的に、筋肉は使わないとその機能が短期間で低下するので、少しでも身体を動かすことによって下肢筋力の低下防止や維持増強に努めることが重要である。
【0004】
一方、運動を継続するための環境づくりは重要であり、そのような環境が整わないと身体のトレーニングを継続することは難しい。また、運動中の負担が大きすぎる場合も継続は困難である。
【0005】
このような装置では、使用者の足裏から振動刺激を与えることで、筋力・筋パワーの強化・運動不足の解消及びバランス感覚の向上などを目的として、様々なタイプの装置が提案されている。
【特許文献1】特表2005-514126号公報
【特許文献2】特表2005-519697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような従来装置は、単に振動を足裏から身体に伝えることを主目的とするものであって、振動に変化が少なく、かつ振動が比較的強いため、健常者の筋力向上を目的とすることは可能であっても、高齢者や、怪我等による足腰等の筋力回復やバランス感覚の向上のために使用するのに適したものではなかった。
特に、歩行機能の回復やバランス感覚の向上のためには、振動による筋力向上だけでなく、実際の足の踏み出し運動を実施することと、足裏だけでなく手のひらにも振動刺激を与えることがきわめて重要である。
【0007】
本発明者は、上記のような点に着目して本発明を完成させたものであり、高低差のある複数の振動面を備えるようにしたことで、振動の強弱に加えて足の踏み出し運動を実施可能とし、また、身体に過度な負担を生じることなく、高齢者、障害者等、あるいは運動不足者にとって、実際の歩行訓練に近い形で、効率的及び継続的なトレーニングを容易に行うことができる装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の床振動式運動装置は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわち、使用者が昇降動作をするために高低差のある複数の振動面を備えるように形成された基台と、前記振動面を振動させる振動発生装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1に、使用者が載る基台が段状であるので、いわゆる踏み台昇降運動が可能となる。また第2に、振動発生装置によって足裏から振動が使用者の身体に伝達
される。このため踏み台昇降運動と足裏への振動とが相俟って、本装置を使用者の脚の筋力を鍛え、なおかつ体全体のバランス感覚の向上が効果的に図られる。その結果、踏み台昇降運動、又は足裏への振動刺激の伝達のいずれか一方のみの場合に比べ、短時間で脚の筋力を鍛え、なおかつ体全体のバランス感覚を向上させることができる。特に、実際の歩行に準じたステップの上り下りである踏み台昇降運動は、高齢者等の歩行訓練を安全、効率的に行うことを実現する。また、手のひらへの振動刺激に関しては、下肢のみでなく、四肢に位置覚、振動覚などの深部知覚刺激を与えることにより、体全体のバランス感覚の向上につながる。また、比較的穏やかな運動で十分な運動量が得られるので、運動の継続が容易である。
【0010】
前記基台は、それぞれ振動面を備えた上段ステップ及び下段ステップを含み、これら上段ステップ及び下段ステップは、ステップごとに振動面の振動の強さを相違させるための振動強弱変更手段を有し、この振動強弱変更手段は、振動発生装置から伝達される振動を吸収して弱める複数の振動緩衝材を含み、上段ステップ側に設置された振動緩衝材の数が下段ステップ側のそれよりも少なくすることができる。
その結果、上段ステップと下段ステップとが同時に振動しても、振動緩衝材の設置数の多い下段ステップの振動が上段ステップに比較して多く抑制されるため、前記上段ステップの振動は下段ステップの振動よりも強くなる。
【0011】
一般的に、人が歩行をする場合に踏み出す足には、踏み残す足よりも大きな負荷が掛かので、本装置の使用者が踏み台昇降運動をすれば、平面上での歩行よりも強い刺激が踏み出した側(上段ステップ側)の脚に与えられ、実際に歩行時に近い状態で足裏へ振動が加わる。
【0012】
また、上段ステップに脚を踏み入れる前に、踏み出した脚は下段ステップで予め振動による刺激を受けているので、上段ステップに踏み入れた足は、突然振動を受けるのではなく、弱い振動を経て強い振動刺激を受けることになる。そのため、高齢者、障害者等にとっても無理のないものである。
前記振動発生装置は、回転軸に対し偏心した状態で取り付けられた回転部材を有し、当該回転部材が回転することでモータ自体が振動する一対の振動モータであって、これら一対の振動モータは、前記ケース体内部に並列状態で配列されると共に、相互に他方に対して回転方向が逆向きになるように前記上段ステップ側に取り付けられ、水平方向の振動を互いに打ち消し合うように設置することが望ましい。
【0013】
一対の振動モータを相互に他方に対して方向が逆向きになるように回転させることで、振動モータは全方向に遠心力を発生させるが、この遠心力を上下左右(XYの2軸)方向のベクトルに分解して考えると、上下(Y軸)方向の力は2倍に加算され、左右(X軸)方向
の力は相殺されてほぼ0になる。これにより上下の振動だけが生み出される。
【0014】
この振動刺激が使用者の足裏から体内における深部知覚神経を刺激する結果、体全体のバランス感覚の向上につながる。
また、上段ステップと下段ステップとは上面に形成されているので、上段ステップに取り付けられている一対の振動モータが駆動すると、上段ステップのうち一対の振動モータが設置されている箇所を振動源とし、当該振動源から下段ステップに向けて振動が伝達される。振動源からの距離がある程、振動は減衰する。
【0015】
なお、使用者にとって心地のよい特定の振動域があるため、使用者は、前記下段ステップの心地よい場所に足を置き、これを基本領域とし、それを基点にした踏み台昇降運動を実行することができる。
【0016】
前記底面には上方に延びる棒状体が接続され、この棒状体は、使用者が把持する把持部とすることができる。この把持部は、前記振動発生装置からの振動が伝達されて振動する。
【0017】
すなわち、振動発生装置の振動が基台の底面に伝達され、この底面の振動が把持部に伝達される。この把持部が振動すると、把持部を把持している人の手のひらに振動が伝わる。このような足裏に加えて手のひらへの振動刺激により、下肢のみでなく、四肢に、位置覚、振動覚などの深部知覚刺激を与えることができ、体全体のバランス感覚の向上を図ることができる。
【0018】
前記基台は、段状の上面、底面、及び側面を有し、前記振動緩衝材は、前記上面及び側面のうちの少なくとも一方と前記底面とを連結した状態で、前記ケース体内に取り付けることができる。
【0019】
天井面の上段ステップに取り付けられた一対の振動モータが回転することで、上面のうち一対の振動モータが設置されている箇所を振動源とし、上面及び側面のうちの少なくとも一方の面、次に振動緩衝材、そして底面の順で振動が伝わる。
【0020】
なお、使用者が上段ステップに位置する場合には、手のひらへの振動は弱くなり、下段ステップに位置する場合は、手のひらへの振動は強くなる。これは、振動発生装置が配置されているのは上段ステップであるため、使用者が上段ステップ上にいる場合には、足裏を通じて体全体で振動のエネルギーを吸収し、その結果、把持部への振動のエネルギー伝達率が減少するからである。これに対し、使用者が下段ステップに位置するときは、把持部に伝達される振動のエネルギーが増加する。
したがって、踏み台昇降運動を行っている間に、足裏と手のひらとで振動の強弱が交互に変化して伝達される。
【0021】
前記基台の底面の外部には、接地して当該底面の振動を抑制する防振材が設けられ、当該防振材と前記振動緩衝材とが相俟って、上段ステップ及び下段ステップの各振動の強さを所定の範囲内に設定することができる。
【0022】
このようにすると、底面の下面に設けられた防振材と、上面の上段ステップ及び下段ステップに設けられた振動緩衝材との組み合わせ(設置する場所や設置する個数の違い)によっては、振動態様を変更することができる。すなわち、振動についてバリエーションを拡げられるようになり、本装置の適用範囲を拡大することができる。
【0023】
前記振動強弱変更手段は、前記一対の振動モータの設置位置を変更する位置変更手段を有し、この位置変更手段は、前記上段ステップの踏み板部分の裏面に設けられたガイドと、
このガイドに案内されて前記一対の振動モータを前後方向に移動する振動モータ移動体と、この振動モータ移動体を駆動する駆動手段と、を有するようにしてもよい。
【0024】
このような構成にすることで、振動モータの上段ステップにおける設置位置が変更可能になる結果、上段及び下段ステップの振動態様も変化する。すなわち、振動伝達が変化することで、振動部に伝わる振動の強さや、上段ステップと下段ステップの振動の強弱差が変化する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の床振動式運動装置によれば、高齢者、障害者、怪我をした人など、運動不足による筋力低下が著しい状態にある人や、効率的な運動効果を期待する場合に有効な振動を発生させることができ、特に、高低差のある複数の振動面を備えるので、歩行訓練に適し
たトレーニングを効果的及び継続的に行い易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る床振動式運動装置の全体斜視図であり、図2はその右側面図、図3はその正面図、図4はその背面図である。この実施の形態1に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
床振動式運動装置の基台1の上面には高低差のある二つの振動面、すなわち上段ステップ2及び下段ステップ3が設けられている。基台1は、金属板を中空の箱型に形成したものである。また、上段ステップ2の端部には逆U字形の把持部6が設けられている。この把持部6は伸縮可能な高さ調整機構4を備え、かつ、操作パネルを備えたコントロールボックス7を支持している。
【0027】
図1〜図5等に示すように、前記上段ステップ2及び下段ステップ3を同時に振動させる振動発生装置5が、基台1内の上段ステップ2側に内蔵されている。この振動発生装置5は、図6、図8に示すように、上段ステップ2の内面に接合する鋼板12に取り付けた2基の振動モータ5a、5bからなる。これらの二つの振動モータ5a、5bは互いに逆向きに設置され、かつ、それぞれ同一遠心力を発生させる振り子(図示せず)を備えている。これらに同一交流電源(同一周波数)を並列に供給すると互いに反対の方向、つまり正逆方向に同時に回転して振動が発生する。このとき、左右方向(水平方向)の振動はそれぞれの正逆方向の回転によって互いに打ち消される一方、垂直方向の振動は2倍に増幅されて発生するものである。
【0028】
これらの振動モータ5a、5bは、図示するように基台1の上段ステップ2の内側面に取り付けられているので、振動は最初に上段ステップ2(上面13及び側面14)に伝達される。また、図1、図6及び図8等に示すように、上段ステップの側面14と、基台1の底面を形成するベースプレート9の間(基台1内)には、左右両側に振動強弱変更手段としての振動緩衝材8が設置されている。
基台1は、上段ステップ2と下段ステップの上面13及び側面14は、一体に連続しているが、そのベースプレート9は、図6〜図8に示すように分離されて振動緩衝材8を介して接合され、上段ステップ2の振動が直接伝達されないようになっている。
【0029】
この振動緩衝材8は、図18に示すように、上下の金属盤10の間にゴム製の振動吸収体11を挟んで構成されている。その中心にはネジ孔13が形成され、ベースプレート9等の所定位置にボルトにより固定される。目的とする振動の減衰の程度に応じて、金属盤10を介して所定の数の振動吸収体11を配置する。なお、この振動緩衝材8は一例であり、勿論、他の形態のものを用いても良い。
【0030】
前記振動発生装置5により発生した振動は、図6に示すように、上段ステップ2及び振動緩衝材8を介してベースプレート9に伝達されるので、ベースプレート9の振動は上段ステップ2に比べて緩やかなものとなる。図7、図9に示すように、このベースプレート9の後端部には、把持部6の下端部が固定されているので、把持部6全体にベースプレート9の振動が伝達される。また、図7のようにベースプレート9の底面外側には、防振材18が4箇所に配され、ベースプレート9の振動が接地面に伝達しないように吸収されるようになっている。この防振材18は、前記振動緩衝材8と同様に、金属板の間に振動吸収体を挟んだものである。
【0031】
一方、図1、図5に示すように、基台1の下段ステップ3側の内部には、合計6個の振動
緩衝材8が設けられている。これらの振動緩衝材8は、基台1の前端側(下段ステップ3側)の左右両側に沿って3個ずつ配され、これらの振動緩衝材8は下段ステップ3の振動をバランスよく減衰させる。したがって、下段ステップ3は、上段ステップ2から伝わった振動を前記振動緩衝材8の作用によって、さらに減衰された程度で振動する。
【0032】
以上のように構成した結果、振動発生装置5の振動が直接伝達される上段ステップ2の振動が大きく、把持部6及び下段ステップ3の振動は上段ステップ2よりも小さくなる。ここで振動の大小は、振動周波数と振動振幅によってあらわすことができ、振動モータ5a、5bの回転周波数と同一の振動周波数(通常は20〜30Hz)で上段ステップ2と下段ステップ3が上下方向に振動するが、常に上段ステップ2の振動振幅が、下段ステップ4より大きくなる。
【0033】
【表1】
表1に振動周波数(Hz)別に、上段ステップ2の振動振幅(mm)及び振動加速度(m/s2)、及び下段ステップ3の振動振幅及び振動加速度の例を示す。この例によれば、振動周波数が上昇すれば、上段ステップ2及び下段ステップ3の振動振幅と振動加速度は共に大きくなるが、常に上段ステップ2の振動の大きさは下段ステップ3の振動の大きさを上回るようになっている。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を説明する。この例では、実施の形態1における振動発生装置5を可動式にした装置について説明する。他の構成部分は、実施の形態1と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。
図19は、可動式振動発生機構20の全体を示す斜視図である。
【0035】
振動モータ5a、5bは、振動モータ固定プレート22に取り付けられ、この振動モータ固定プレート22は、上段プレート2に上面全体が接している。この振動モータ固定プレート22は、ガイドレール21、21に案内され前後方向(矢印Y方向)に移動可能である。ガイドレール21、21は基台1の左右内側面に支持され、振動モータ固定プレート22の幅に合致する間隔をもって設けられている。前記振動モータ固定プレート22には、振動モータ5a、5bの間に移動方向に沿ってスライド用ラックギア23が取り付けられ、このスライド用ラックギア23には、移動用モータ25が、ギア26を介して接続されている。したがって、移動用モータ25の所定範囲における正逆方向の駆動によってスライド用ラックギア23が矢印Y方向に移動し、これに伴い振動モータ固定プレート22と共に振動モータ5a、5bが移動する。
【0036】
上記のように可動式振動発生機構20を採用することで、上段ステップ2への振動伝達の位置の変化に伴い、伝達される振動振幅を調整することが可能となる。上段ステップ2の
振動振幅の大きさは、主に、上段ステップ2及び下段ステップ3の振動緩衝材8と振動発生装置5との位置関係で決定され、例えば、この実施の形態の構造では、振動発生装置5が上段ステップ2の中央側に位置すれば上段ステップ2の振動振幅は比較的小さくなり、また、振動発生装置5が上段ステップ2の端部に位置すれば振動振幅は比較的大きくなる。この振動振幅の変化は一様のものでなく、上段ステップの構造や振動緩衝材8の数や位置によって異なるが、振動発生装置5の移動に伴って振動振幅の大きさが変化することは確かである。したがって、使用者は、振動発生装置5の位置を移動させて、所望の振動の程度となるように調整して本装置を使用することができる。このように振動発生装置5からの振動伝達が変化することで、伝達される振動の強さ、また、上段ステップ2と下段ステップ3の振動の強弱差が変化する。
【0037】
次に、図20に基づいて本発明の床振動式運動装置の振動モータ5a、5bの駆動について説明する。モータ駆動用電源部50は、AC200V三相交流を各振動モータ5a、5bに並列に供給する。モータ駆動用電源部50には、使用者がコントロールパネルから入力した信号に基づいて、コントロールボックス7に設けたモータコントロール回路を介して信号が送られる。モータコントロール回路51は、各振動モータ5a、5bに対してON/OFFの切換え、タイマによる駆動時間の設定、駆動周波数の設定が可能である。このモータコントロール回路51からの命令によって、所定の周波数で、所定時間内において各振動モータ5a、5bが駆動される。
【0038】
次に、本発明の床振動式運動装置の作動について説明する。
使用者は、下段ステップ3上に載り、把持部6に取り付けたコントローラ7の操作パネルを介し、モータコントロール回路51に駆動時間、周波数についての命令を送ると、モータ駆動用電源50から電源が供給されて各振動モータ5a、5bが駆動し、上段ステップ2、下段ステップ3及び把持部6が振動を開始する。
【0039】
なお、実施の形態2に示した装置では、コントロール回路51から移動用モータ25に信号が送られ、所定の範囲で正方向又は逆方向に移動用モータ25が回転することにより、振動発生装置5を移動させて振動の程度を調整することができる。
【0040】
上記の作動を、図21に示すフローチャートにしたがって詳細に説明する。
ステップS1で電源スイッチをONにするとステップS2に進み、ステップS2では作動準備がされた状態となる。次に、ステップS3では振動モータをスライドさせて振動の程度を調整する。ステップS4では、例えば、10〜40Hzの周波数範囲で任意の振動周波数を選択するか、または、予め設定された「強(30Hz)」、「中(20Hz)」、「弱(15Hz)」の中から選択可能にしてもよい。
【0041】
ステップS5では、例えば、1分のタイマ時間が設定され、振動発生装置5の駆動時間が決定される。ステップS6ではタイマスタートスイッチが押下されたか否かが判断される。押下されていないと判断されたときは、押下されたか否かの判断を繰り返す。押下されたと判断したときはステップS7に進みタイマの作動が開始されると同時に各振動モータ5a、5bが駆動し振動が発生する。
【0042】
次に、ステップS8では、タイマ時間(1分)が経過したか否かが判断され、経過していないと判断されたときは、継続的にタイマ時間が経過したか否かが判断される。タイマ時間が経過したと判断されたときは、ステップS2に戻り、振動が停止して再び作動スタンバイ状態に戻る。
なお、振動発生装置5をスライドさせる機構を備えていない実施の形態1に係る装置の場合のフローチャートでは、ステップS3の操作が除かれ、他は同一である。
【0043】
図12〜図17を参照して、床振動式運動装置の使用例を説明する。
使用者は、最初に図12に示すように下段ステップ3に載り、図13に示すように把持部6を両手で握れる体勢を保持する。次に操作パネルを操作して振動を発生させたら 図14に示すように把持部6を握りながら上段ステップに片足を載せ、続いて図15のように上段ステップに両足を移す。
次に、図16図に示すように、再び片足を下段ステップに移した後、図17図のように両足を下段ステップに置く。このような動作を繰り返す。
【0044】
本発明の床振動式運動装置は、互いに高さが異なる上段ステップ2及び下段ステップ3を設けたことで、実際の歩行動作に近い形での足踏み訓練を行うことができる。このとき、上段ステップ2と下段ステップ3との間に振動の強度差があり、上段ステップ2の振動が大きいことで、上段ステップ2に踏み出した足裏に実際の歩行時と同様に強い振動が伝わる。
【0045】
また、使用者は、上段ステップ2と下段ステップ3を上り下りすることを繰り返す動作をするので、筋力トレーニングや高齢者のリハビリ等の訓練に有効であり、かつ、振動刺激(振動による重力加速度)を下肢及び大腿部等、さらには手のひらに加えることで、的確かつ効果的な運動訓練が実現される。したがって、ステップ動作のみの運動に比べて短時間の使用で必要な運動量が得られる利点がある。
【0046】
振動が足裏と手のひらに加わることで、当該部位の深部知覚神経が刺激され、身体全体のバランス感覚の向上が期待できる。また、骨に刺激を与えることで、骨密度の向上によって骨粗鬆症の進行を抑制することも期待される。
【0047】
さらに、標準的な上段ステップ2と下段ステップ3の間の往復訓練では、使用者の足が上段に位置する場合には手のひらへ加えられる振動は弱くなるが、下段ステップ3に足が位置するときは、手のひらへ加えられる振動は強くなる。これは、上段ステップ2に足が位置するときは、上段ステップ2の強い振動エネルギーが身体に伝達され吸収されるので、把持部6へ伝達される振動が弱まるが、下段ステップ3に足が位置するときは、身体により吸収される振動エネルギーは減少する。したがって、この場合は把持部6の振動が強まる。
【0048】
このように、上段ステップ2と下段ステップ3の間を往復する運動に伴い、足裏と手のひらへ加えられる振動が変化することになる。したがって、単調な一定振動が持続する場合と異なり、使用者に変化を与えながら効果的な運動を提供できる。
【0049】
以下、本発明の床振動式運動装置による転倒予防効果の確認試験を実施した結果を述べる。
(1)試験目的
高齢者の転倒要因は、主に下肢の筋力及び平衡感覚の低下である。そこで、重力加速度による床振動式運動装置を使用した試験を若年健常者に対して行い、安全性と立位安定性の評価を行った。
(2)方法、対象
実施の形態1に示したものと同様な床振動式運動装置を使用し、被験者群31人(平均年齢38.3±9.9歳)、コントロール群14人(平均年齢38.2±3.8歳)を対象とした。
試験は、被験者群に対して振動周波数を30Hz、振動時間60秒で、1日1回、週4回とし、4週間実施した。そして、被験者群とコントロール群に対して、訓練開始前と4週間の試験後に重心動揺計で、開眼・開眼での総軌跡長、総面積、ベクトル、ロンベルク率等で各群平均値と標準偏差を求め、各々開眼・開眼での使用前後で優位差検定を実施し
た。なお、コントロール群とは振動訓練を実施しないグループで、被験者群に対する比較の群である。
【0050】
(3)重心動揺検査項目の説明
重心動揺検査は、日常の平衡機能検査の一つとして実施される検査であり、身体のふらつき、めまい、平衡機能について評価できる。この検査で用いる「重心動揺軌跡」とは、重心軌跡図(開眼及び閉眼)が動揺中心で描かれた図である。
【0051】
面積・軌跡長検査では、以下のようなデータが用いられる。
ア 総軌跡長(cm)
計測時間内で重心点が移動した全長をあらわし、身体の動揺の大きさが把握できる。
イ 単位軌跡長(cm/S)
単位時間軌跡長は、総軌跡長を記録時間(秒)で割った値である。身体の動揺の大きさの把握に用いられ、また、1秒間の移動距離は動揺速度を示す。
【0052】
ウ 外周面積(cm2)
X−Y記録図における動揺の外周を囲む線(包絡線)で囲まれる面積である。
エ X方向動揺平均中心変位(cm)
X軸(左右動揺)において、足底中心(台の基準点)と動揺平均中心の距離を測定したものである。
オ Y方向動揺平均中心変位(cm)
Y軸(前後動揺)において、足底中心(台の基準点)と動揺平均中心の距離を測定したものである。
カ ロンベルグ率(外周面積)
外周面積における開眼/開眼動揺の比である。
【0053】
(4)結果
結果を、表2及び表3に示す。
【0054】
【表2】
【表3】
被験者群において立位安定性の改善傾向がみられたが、コントロール群ではみられなかった。また両群共に安全性において特段の問題はみられなかった。
被験者群においては、総軌跡長、単位軌跡長、Y方向動揺平均中心変位の開眼及び開眼前後で優位差(p<0.05、0.01)がみられた。外周面積、X方向動揺平均中心変位、ロン
ベルグ率では、いずれも優位差は無かった。
【0055】
これに対して、コントロール群では、ロンベルグ率(外周面積)の前後で優位差(p<0.05)がみられたが、その他の総軌跡長、単位軌跡長、外周面積、X方向動揺平均中心変位、Y方向動揺平均中心変位の開眼及び開眼前後での優位差は無かった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の床振動式運動装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の床振動式運動装置の右側面図である。
【図3】本発明の床振動式運動装置の正面図である。
【図4】本発明の床振動式運動装置の背面図である。
【図5】本発明の床振動式運動装置の平面図である。
【図6】図2におけるVI-VI線断面図である。
【図7】図2におけるVII-VII線断面図である。
【図8】図2におけるV III-VIII線断面図である。
【図9】基台の断面図である。
【図10】図1におけるX-X線断面図である。
【図11】図1におけるXI-XI線断面図である。
【図12】床振動式運動装置の使用状態の側面図であって、下段ステップ上に使用者が立ち使用を開始する状態を示す。
【図13】図12に連続する図であって、使用者が把持部を両手で握った状態を示す図である。
【図14】図13に連続する図であって、使用者が上段ステップに一歩踏み出した状態を示す図である。
【図15】図14に連続する図であって、使用者が上段ステップに両足で立っている状態を示す図である。
【図16】図15に連続する図であって、使用者が上段ステップから下段ステップに一歩戻った状態を示す図である。
【図17】図16に連続する図であって、使用者が下段ステップに両足を戻した状態を示す図である。
【図18】振動緩衝材を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はそのXII−XII線の断面図である。
【図19】可動式の振動発生装置5の全体を示す斜視図である。
【図20】床振動式運動装置のブロック図である。
【図21】本発明の床振動式運動装置の作動を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0057】
1 基台
2 上部ステップ
3 下部ステップ
4 伸縮可能な高さ調整機構
5 振動発生装置
5a、5b 振動モータ
6 把持部
7 コントロールボックス
8 振動緩衝材
9 ベースプレート
20 可動式振動発生機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の昇降動作を可能にするために、高低差のある複数の振動面を備えるように形成された基台と、前記各振動面を振動させる振動発生装置と、を備えることを特徴とする床振動式運動装置。
【請求項2】
前記基台は、それぞれ振動面を備えた上段ステップ及び下段ステップを含み、
これら上段ステップ及び下段ステップには、ステップごとに振動面の振動の強さを相違させるための振動強弱変更手段を有し、
この振動強弱変更手段は、振動発生装置から伝達される振動を吸収し弱めるための複数の振動緩衝材を含み、上段ステップ側に設置された振動緩衝材は、下段ステップ側のそれよりも振動吸収の程度が少ないことを特徴とする請求項1に記載の床振動式運動装置。
【請求項3】
前記振動発生装置を基台の上段ステップ側に偏って配置し、上段ステップの振動面には、下段ステップの振動面に比較して強い振動が伝達されるようにした請求項2に記載の床振動式運動装置。
【請求項4】
前記基台の底面には上方に延びる棒状体が接続され、この棒状体は使用者が把持する把持部であり、この把持部は、前記振動発生装置からの振動が伝達されて振動することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項5】
前記基台は、段状に形成した上面、底面、及び側面を有し、前記振動緩衝材は、前記上面及び側面のうちの少なくとも一方と前記底面とを連結する状態で、前記ケース体内に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項6】
前記基台の底面の外部には、接地して当該底面の振動を抑制する防振材が設けられ、当該防振材と前記振動緩衝材とが相俟って、上段ステップ及び下段ステップの各振動の強さを所定の範囲内に設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項7】
前記振動強弱変更手段は、振動モータの設置位置を変更する位置変更手段を有し、この位置変更手段は、前記上段ステップの踏み板部分の裏面に設けられたガイドと、
このガイドに案内されて前記振動モータを前後方向に移動させる振動モータ移動体と、この振動モータ移動体を駆動する駆動手段と、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項1】
使用者の昇降動作を可能にするために、高低差のある複数の振動面を備えるように形成された基台と、前記各振動面を振動させる振動発生装置と、を備えることを特徴とする床振動式運動装置。
【請求項2】
前記基台は、それぞれ振動面を備えた上段ステップ及び下段ステップを含み、
これら上段ステップ及び下段ステップには、ステップごとに振動面の振動の強さを相違させるための振動強弱変更手段を有し、
この振動強弱変更手段は、振動発生装置から伝達される振動を吸収し弱めるための複数の振動緩衝材を含み、上段ステップ側に設置された振動緩衝材は、下段ステップ側のそれよりも振動吸収の程度が少ないことを特徴とする請求項1に記載の床振動式運動装置。
【請求項3】
前記振動発生装置を基台の上段ステップ側に偏って配置し、上段ステップの振動面には、下段ステップの振動面に比較して強い振動が伝達されるようにした請求項2に記載の床振動式運動装置。
【請求項4】
前記基台の底面には上方に延びる棒状体が接続され、この棒状体は使用者が把持する把持部であり、この把持部は、前記振動発生装置からの振動が伝達されて振動することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項5】
前記基台は、段状に形成した上面、底面、及び側面を有し、前記振動緩衝材は、前記上面及び側面のうちの少なくとも一方と前記底面とを連結する状態で、前記ケース体内に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項6】
前記基台の底面の外部には、接地して当該底面の振動を抑制する防振材が設けられ、当該防振材と前記振動緩衝材とが相俟って、上段ステップ及び下段ステップの各振動の強さを所定の範囲内に設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【請求項7】
前記振動強弱変更手段は、振動モータの設置位置を変更する位置変更手段を有し、この位置変更手段は、前記上段ステップの踏み板部分の裏面に設けられたガイドと、
このガイドに案内されて前記振動モータを前後方向に移動させる振動モータ移動体と、この振動モータ移動体を駆動する駆動手段と、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の床振動式運動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−295745(P2008−295745A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145204(P2007−145204)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(593051205)日東金属工業株式会社 (2)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(593051205)日東金属工業株式会社 (2)
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