説明

床材

【課題】化粧シートの伸張を抑制可能な床材を提供することであり、面取り加工された基材の角部の形状を、強固に保持することが可能な床材を提供することである。
【解決手段】基材2の表面に化粧シート4が設けられた床材1において、化粧シート4は、基材2の天面10と側面11に跨って設けられており、天面10と側面11との間の角部12は、前記化粧シート4の上からの押圧による面取り加工が施されている。基材2の角部12には、接着剤20が含浸されている。基材2と化粧シート4との間には、樹脂層が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関し、さらに詳細には、化粧シートの伸張を抑制可能な床材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用の床材として、木質床材が利用されている。木質床材には、1枚の木で構成された単層フローリングと呼ばれるものや、合板等の基材に化粧板を貼付した複合フローリングと呼ばれるもの等がある。複合フローリングは、単層フローリングに比べて安価であり、高品質の製品を大量生産できるという優れた特徴を有している。特許文献1には、基材の上に化粧シートが貼付され、木質系フローリング材と同等の意匠性を有した床材(化粧材)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−200405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された床材は、床材の上面と側面との間の角部(稜部)に、硬質ロールで押圧した面取り加工が施されている。面取り加工済の床材は、床材のエッジ部分に靴下等が引っ掛かることを防止できる。
【0005】
ところが、特許文献1に開示された床材では、基材の上面にしか化粧シートが貼付されていない。このため、角部の面取り加工に伴って、化粧シートの端部が伸張することがある。伸張した化粧シートの端部は、フローリングの模様が歪み、見栄えが悪くなることが懸念される。
【0006】
そこで、本発明は、化粧シートの伸張を抑制可能な床材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基材の表面に化粧シートが設けられた床材において、化粧シートは、基材の天面と側面に跨って設けられており、天面と側面との間の角部は、前記化粧シートの上からの押圧による面取り加工が施されていることを特徴とする床材である。
【0008】
例えば、基材の角部を、押圧によって45度で面取り加工する場合、化粧シートが基材の天面と側面に跨って設けられていることにより、基材の角部の化粧シートは伸張することがない。これは、三角形において、斜辺の長さは、二つの辺を足した長さよりも短いからである。
【0009】
本発明の床材によれば、化粧シートの伸張を抑制できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記角部には、接着剤が含浸されていることを特徴とする請求項1に記載の床材である。
【0011】
基材の角部は、押圧による面取り加工で圧縮されている。圧縮された角部には、接着剤が含浸されている。接着剤が硬化することによって、角部が面取り加工前の状態に復元することを防止できる。
【0012】
本発明の床材によれば、面取り加工された角部の形状を、強固に保持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の床材によれば、化粧シートの伸張を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る床材を示す正面図および一部拡大図である。
【図2】本発明の実施形態に係る床材の製造方法を示す一部拡大図であり、(a)は樹脂含浸工程、(b)は化粧シート貼付工程、(c)は面取り工程、(d)は完成した床材である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の床材の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0016】
図1に示すように、床材1は、基材2と、図示しない樹脂層と、化粧シート4とを有している。
【0017】
基材2は、合板で形成されており、図示しない単板が複数積層されている。
【0018】
樹脂層は、接着剤から形成されている。樹脂層に用いられる接着剤は、酢酸ビニル系樹脂、変成ゴム系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を用いることや、混合することが好ましい。また、接着剤は、溶剤等で希釈したものであることが好ましい。
【0019】
化粧シート4は、フィルム状のシートである。化粧シート4は、塩化ビニル樹脂等で構成されることが好ましい。
【0020】
図1において、基材2の天面10と側面11に跨って、化粧シート4が設けられている。基材2と化粧シート4との間には、図示しない樹脂層が設けられている。なお、基材2と、化粧シート4との接合には、樹脂層を構成する接着剤と、同一の接着剤が用いられている。硬化後の接着剤は、樹脂層と一体化されるため、図1において、接着剤の図示も省略している。
【0021】
基材2の天面10と側面11の間の角部12は、化粧シート4の上からの押圧による面取り加工で圧縮されている。また、基材2の角部12には、接着剤20が含浸されている。角部12に含浸された接着剤20は、硬化している。
【0022】
接着剤20は、樹脂層を形成する樹脂と同等のものであることが好ましい。
【0023】
つぎに、本発明の実施形態に係る床材1の製造方法について、図2(a)〜(d)を用いて説明する。
【0024】
図2(a)の樹脂含浸工程において、基材2の角部12に、接着剤20を含浸させる。
【0025】
図2(b)の化粧シート貼付工程において、基材2の天面10と側面11に、接着剤を塗布し、その上に化粧シート4を貼付する。なお、基材2の天面10と側面11には、化粧シート4を貼付する前に、あらかじめ図示しない樹脂層が形成されていることとする。この場合、樹脂層を形成する樹脂を、前記接着剤20として基材2の角部12に含浸させてもよい。
【0026】
図2(c)の面取り工程において、圧縮ロール30で、基材2の角部12を押圧し、面取り加工を施す。ここで、圧縮ロール30により加熱することで、前記接着剤20を硬化させればよい。
【0027】
以上の図2(a)の樹脂含浸工と、図2(b)の化粧シート貼付工程と、図2(c)の面取り工程を経ることにより、図2(d)に示す床材1が完成する。
【0028】
本発明の実施形態に係る床材1では、化粧シート4が、基材2の天面10と側面11に跨って設けられている。このことにより、基材2の角部12が、押圧による面取り加工が施されているにも関わらず、基材2の角部12の化粧シート4は、伸張していない。
【0029】
また、基材2の角部12には、接着剤20が含浸されている。含浸された接着剤20は硬化している。このことにより、角部12は、面取り加工前(圧縮前)の状態に復元することを防止されている。
【0030】
前述のように本発明の実施形態に係る床材1では、化粧シートの伸張を抑制できる。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る床材1では、面取り加工された基材2の角部12の形状を、強固に保持することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 床材
2 基材
4 化粧シート
10 天面
11 側面
12 角部
20 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に化粧シートが設けられた床材において、化粧シートは、基材の天面と側面に跨って設けられており、天面と側面との間の角部は、前記化粧シートの上からの押圧による面取り加工が施されていることを特徴とする床材。
【請求項2】
前記角部には、接着剤が含浸されていることを特徴とする請求項1に記載の床材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−241620(P2011−241620A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115352(P2010−115352)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】