説明

床用ツール

【課題】スキップ動作の問題を解決した表面処理用電気器具の床用ツールを提供する。
【解決手段】本発明は、表面処理用電気器具のための床用ツール(1)であって、前方床接触エッジ(44)及び後方床接触エッジ(46)を備えた床係合面(36)並びに吸引開口部(4)を有するソールプレート(26)と、前方位置と後方位置との間で関節連結軸線回りにソールプレートに対して枢動可能であり、前側ソールプレート係合エッジ(31)及び後側ソールプレート係合エッジ(33)を備えたヘッド(25)と、吸引開口部と連通状態にある出口を備えた連結アーム(28)とを有する、床用ツールにおいて、ソールプレートの床係合面の少なくとも一部分は、ヘッドが後方位置にあるとき、ヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びることを特徴とする床用ツールに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理用電気器具のための床用ツールに関する。本発明は、特に、真空掃除機のための床用ツール(これだけではない)に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な真空掃除機が市場で入手でき、かかる真空掃除機としては、直立型掃除機、スティック型真空掃除機、筒型掃除機、手持ち型掃除機が挙げられる。筒型真空掃除機は、通常、空気流を本体内に吸い込むためのモータとファンの組立体を収容した本体と、汚れ及びほこりを空気流から分離する分離装置とを有する。分離装置は、例えば、サイクロン式分離器、袋又はフィルタの形態をしていることがある。ホースとワンドの組立体が、本体に連結され、床用ツールが本体から見て遠くに位置するワンドの端部に取り付けられていて、床用ツールを掃除されるべき表面上でこれに沿って操縦することができるようになっている。一揃いの床用ツールが提供される場合が多く、したがって、ユーザは、自分の作業としての掃除に適したツール、例えば隙間用ツール又はブラシツールを選択することができるようになっている。
【0003】
多くの直立型真空掃除機は、これらが筒型機械のように動作することができるよう解除可能なホース又はワンドを備えている。かくして、床用ツールも又、直立型機械と共に提供される場合が多い。
【0004】
手持ち型真空掃除機は、剛性である場合があり又は可撓性である場合があるノズルを備えている。一揃いの床用ツールが提供されるのが良く、その結果、ユーザは、自分の掃除作業に適したツールを選択することができるようになっている。
【0005】
床用ツールは、一般に、ソールプレートと通称される下面を備えたヘッドを有する。吸引開口部がソールプレートに形成され、使用にあたり、汚れ及びほこりが床面から吸引開口部を通って床用ツール内に吸い込まれるようになっている。ヘッドをソールプレートに枢動可能に連結して、床用ツールを床面上でこれに沿って押したり引いたりしたときにヘッド又はソールプレートが前後に揺動することができるようにするのが有用である。揺動運動により、吸引開口部は、床用ツールを床面上にこれに沿って押し又は引いたときでも床面に密接して位置したままであることができる。揺動運動は、カーペット敷き表面上で特に有利である。というのは、かかる揺動運動により、ソールプレートは部分的に、カーペットを攪拌することができるからである。
【0006】
大抵の場合に攪拌が行われることが望ましいが、かかる床用ツールに関して問題が生じる場合があり、即ち、床用ツールを床面に沿って後方に引いているときに、ソールプレートの後方床接触エッジが床に対してピボット(枢動)点として働く場合があるという問題が生じることがある。状況によっては、掃除機ヘッドは、この後方床接触エッジ周りに枢動し、掃除機ヘッドが後方に「スキップ」する。この問題は、パイルが長いカーペット上で一層顕著である場合がある。というのは、床用ツールがピボット点を中心として枢動し始めると、ソールプレートの後方床接触エッジは、カーペットパイル中に食い込む場合があり、それによりスキップ動作が一層強く生じるようになる。したがって、この問題の解決策を提供することが望ましい。
【0007】
この問題を解決しようとした床用ツールを示す既存の構成例が、欧州特許第0353546号明細書、同第0304609号明細書及び国際公開第03/039315号パンフレットに示されている。
【0008】
欧州特許第0353546号明細書は、1組の床係合車輪及びソールプレートを備えた床用ツールを開示している。ヘッドをワンドに連結するダクトは、車輪の軸線の真上に位置するピボット(枢動)点を有し、その結果、ユーザがワンドを前方に押したときに、車輪の軸線回りの下方に作用するモーメントがソールプレートを床面上に押すようになっている。欧州特許第0304609号明細書は、床用ツールのヘッドが床用ツールを床面上でこれに沿って前後に押したときに前後に揺動するようにするピボットの複雑な配置形態を備えた床用ツールを開示している。国際公開第03/039315号パンフレットは、ソールプレートに対して2つの場所で枢動する連結ダクトを備えた床用ツールを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0353546号明細書
【特許文献2】欧州特許第0304609号明細書
【特許文献3】国際公開第03/039315号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
効果的に作動させるためには、上述の構成は、全て、複雑で、したがって高価なピボット構成を必要とする。したがって、スキップ動作の問題に対する単純な解決策を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、表面処理用電気器具のための床用ツールであって、
前方床接触エッジ及び後方床接触エッジを備えた床係合面並びに吸引開口部を有するソールプレートと、
前方位置と後方位置との間で関節連結軸線回りにソールプレートに対して枢動可能であり、前側ソールプレート係合エッジ及び後側ソールプレート係合エッジを備えたヘッドと、
吸引開口部と連通状態にある出口を備えた連結アームとを有する、床用ツールにおいて、
ソールプレートの床係合面の少なくとも一部分は、ヘッドが後方位置にあるとき、ヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びることを特徴とする床用ツールを提供する。
【0012】
本発明では、床用ツールが枢動を行う場合があり、かくして、床面に対して「スキップ」する場合のある中心としてのピボット点は、ソールプレートの上述の部分の後側エッジ及び/又は後方床接触エッジである。本発明は、床用ツールが関節連結軸線と床用ツールのピボット点との間の距離にわたって延びるので有利である。ソールプレートの床係合面の少なくとも一部分がヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びるようにすることにより関節連結軸線とピボット点との間の距離を増大させることは、通常の使用中、床用ツールを枢動させるのが非常に困難であり、かくしてスキップ動作を減少させるのに役立つことが判明した。
【0013】
好ましい実施形態では、上述の部分は、前記ソールプレートの全長又は実質的に全長に沿って前記ヘッドの前記後側ソールプレート係合エッジを越えて延びている。この実施形態では、この部分は、本質的に、ソールプレートの床係合面の延長部であり、したがって、後方床接触エッジは、ヘッドの後側ソールプレート係合位置を越えて位置するようになる。この実施形態では、ピボット点は、ソールプレートの後方床接触エッジである。かかる部分は、これがヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びて床係合面の長さを増大させ、かくして関節連結軸線とピボット点との間の距離を増大させる限り、任意適当な長さ又は形状のものであって良い。
【0014】
変形例として、床用ツールは、複数の上述した部分を有しても良い。この場合も又、これら部分は、少なくとも一部分がヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びて床係合面の少なくとも一部分の長さを増大させ、かくして関節連結軸線とピボット点との間の距離を増大させる限り、任意適当な長さ又は形状のものであって良い。一例を挙げると、1つ又は2つ以上の部分は、形状が断面で見て、涙滴形、正方形、長方形又は三角形であるのが良い。これら部分の床係合面も又、任意適当な形状のものであって良く、例えば、正方形、長方形又は三角形である。
【0015】
好ましい実施形態では、床用ツールは、ソールプレートの側縁部から間隔を置いて位置した場所でヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びる単一の部分を有するのが良い。例えば、この部分は、中央に又は実質的に中央に位置するのが良い。好ましい実施形態では、この部分は、床用ツールの出口と一線をなして配置されるのが良い。
【0016】
この部分は、ヘッドの後側ソールプレート係合エッジ及び/又はソールプレートの後方床接触エッジを越えて少なくとも10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mm又は26mmにわたって延びるのが良い。この部分は、できるだけ長いことが望ましい。
【0017】
好ましい実施形態では、この部分又はこの部分のピボット点は、関節連接軸線から30mm、35mm、40mm、45mm又は50mmから55mm、60mm、65mm、70mm又は100mmにわたって延びるのが良い。特に好ましい実施形態では、この部分は、関節連結軸線から50mm〜55mm、例えば53.4mmにわたって延びるのが良い。
【0018】
この部分は、任意的な幅及び深さのものであって良い。深さは、2mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm又は45mmから50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm又はソールプレートの全長までであるのが良い。
【0019】
深さは、1mm、2mm、3mm、4mm又は5mmであるのが良い。特定の実施形態では、この部分は、ソールプレートの残部と同一の深さのものであるのが良い。
【0020】
ソールプレートは、ソールプレートの前方床接触エッジの少なくとも一部から延びる前側リップを更に有するのが良い。理想的には、前側リップは、ソールプレートの前方床接触エッジの全長又は実質的に全長にわたって延びるのが良い。好ましい実施形態では、前側リップは、上方に湾曲しているのが良く、例えば、ソールプレートの前方床接触エッジから上方に且つこれから遠ざかって湾曲しているのが良い。
【0021】
ソールプレートは、ソールプレートの後方床接触エッジの少なくとも一部から延びる後方リップを更に有するのが良い。理想的には、後側リップは、ソールプレートの全長又は実質的に全長にわたって延びるのが良い。実施形態によっては、後側リップは、別々の区分に分割されるのが良い。というのは、1つの又は複数の部分が後方床接触エッジを分割する場合があるからである。
【0022】
好ましい実施形態では、後側リップ又は後側リップの1つ又は2つ以上の区分は、上方に湾曲しているのが良く、例えば、ソールプレートの後側床接触エッジから上方に且つこれから遠ざかって湾曲しているのが良い。また、後側リップの少なくとも1つの区分を後側リップの少なくとも別の区分及び/前側リップの一区分よりも大きくすることが可能である。例えば、この部分がソールプレートの床係合面の延長部であり、即ち、ソールプレートの床係合面がヘッドの後側ソールプレート係合エッジを越えて延びる実施形態では、比較的大きな後側リップが、ソールプレートの後方床接触エッジを越えて延びると共に比較的小さなリップがソールプレートの前方床接触エッジから延びるのが良い。かかるリップは、掃除用電気器具の使用中、ソールプレートがカーペットに「食い込む」のを阻止するのに役立つ場合がある。
【0023】
特定の実施形態では、後側リップは、その長さの一部又はその長さの全体に沿って上述の部分と関連しているのが良く、例えば、この部分のピボット点は、何らかの仕方でリップに連結されるのが良い。かくして、かかる部分は、この部分の少なくとも一部と後側リップの少なくとも一部を例えば、ピボット点と後側リップの後側エッジを互いに連結することができるようループの形態又は中実の形状をしているのが良い。
【0024】
本発明の第2の観点によれば、上述の床用ツールを有する表面処理用電気器具が提供される。好ましい実施形態では、表面処理用電気器具は、サイクロン式真空掃除機の形態をしているのが良い。表面処理用電気器具は、手持ち型真空掃除機であるのが良い。第2の観点の他の特徴は、第1の観点に関して説明した特徴であるのが良い。
【0025】
「表面処理用電気器具」という用語は、広い意味を有するものであり、表面を何らかの仕方で掃除し又は処理するために表面上を走行するヘッドを備えた多種多様な機械を含む。かかる表面処理用電気器具は、とりわけ、吸引力を表面に及ぼして表面から物質を引き込む機械、例えば真空掃除機(乾式、湿式及び湿式/乾式)並びに物質を表面に塗布する機械、例えば研磨/ワックス掛け機械及び特殊洗浄機械を含む。
【0026】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】手持ち型真空掃除機に取り付けられた本発明の床用ツールの図である。
【図2】本発明の床用ツールの第1の実施形態の前側斜視図である。
【図3】図2に示されている床用ツールの後側斜視図である。
【図4】図2及び図3に示されている床用ツールの後側斜視図である。
【図5】図2〜図4に示されている床用ツールの側面図である。
【図6】図2〜図4に示されている床用ツールの側面図である。
【図7】図2〜図6に示されている床用ツールの底面図である。
【図8】本発明の床用ツールの第2の実施形態の前側斜視図である。
【図9】図8に示されている床用ツールの後側斜視図である。
【図10】図8及び図9に示されている床用ツールの後側斜視図である。
【図11】本発明の床用ツールの第3の実施形態の前側斜視図である。
【図12】図11に示されている床用ツールの後側斜視図である。
【図13】図10及び図11に示されている床用ツールの後側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、手持ち型真空掃除機100を示している。手持ち型真空掃除機100は、取り付けられている床用ツール1に設けられた吸引開口部4を備えた吸引導管2を有している。真空掃除機100は、吸引開口部4を通って吸い込まれた空気流から汚れ及びほこりを分離するサイクロン式分離装置6を更に有している。サイクロン式分離装置6は、吸引導管2及び吸引開口部4と連通状態にある。サイクロン式分離装置6は、上流側サイクロン8及び複数の下流側サイクロン10を有している。
【0029】
真空掃除機100は、モータハウジング12及び複数の排気ベント16が形成された取り外し可能なケーシング14を更に有している。空気流路が、吸引開口部4から吸引導管2、サイクロン式分離装置6及びモータハウジング12を通って排気ベント16まで延びている。手持ち型真空掃除機100を使用中に操作するための握り18が、モータハウジング12の下に配置されている。握り18は、サイクロン式分離装置6が握り18と吸引開口部4との間に位置するよう配置されている。握り18は、トリガスイッチ20を有し、このトリガスイッチは、トリガスイッチ20をユーザの人差し指で操作することができるよう吸引開口部4の最も近くに位置する握り18の側部に設けられている。リチウムイオンバッテリパックの形態をした電源22が、取り付け部分24を介して握り18に連結されている。
【0030】
空気流発生器(図示せず)が、動作時、汚れ及びほこり含有空気の流れを床用ツール1の吸引開口部4中に吸い込み、吸引導管2を通ってサイクロン式分離装置6中に引き込む。清浄になった空気は、サイクロン式分離装置6から出てモータ前置フィルタ(設けられている場合)及び空気流発生器を次々に通過し、その後、排気ベント16を通って排気される。
【0031】
床を掃除するため、ユーザは、握り18を握って床用ツール1を床面全体にわたって操る。
【0032】
図2〜図7は、床用ツール1の第1の実施形態を詳細に示している。床用ツール1は、ヘッド25、ソールプレート26及び連結アーム28を有していることが理解できる。連結アーム28は、ヘッド25にしっかりと取り付けられている。ただし、連結アームを所望ならばヘッド25に枢動可能に連結しても良い。ソールプレート26は、関節連結軸線A(図3及び図6に示されている)回りに枢動可能にヘッド25に連結されている。
【0033】
ヘッド25は、ブラシバー30が収納された樽(バレル)形本体29を有している。ブラシバー30は、ソールプレート26の回転の中心である同一の軸線A回りに回転可能である。ブラシバー30は、任意適当な構成のものであって良く、モータ駆動式であっても良く又はタービン駆動式であっても良い。
【0034】
ソールプレート26は、使用中床面に向き、このソールプレートは、吸引開口部4を有している。吸引開口部4は、ソールプレート26の床係合面36に設けられた複数個の孔34の形態をしている。また、ソールプレート26は、ヘッド25の樽形本体29の内面に形状が位置した直立前側及び後側壁(前側壁38だけが見える)を更に有していることが理解できる。これらの壁38は、ヘッド25が関節連結軸線A回りに回転しているときに、実質的に気密の経路が吸引開口部4と連結アーム28の出口42との間に常時作られるようにする。
【0035】
ヘッド25は、前側ソールプレート係合エッジ31及び後側ソールプレート係合エッジ33を更に有している。前側ソールプレート係合エッジ31は、ヘッド25がその前方位置にあるとき、ソールプレート26に接触する。後側ソールプレート係合エッジ33は、ヘッド25がその後方位置にあるとき、ソールプレート26に接触する。この後方位置は、図2〜図16で理解できる。
【0036】
ソールプレート26の床係合面36は、前方床接触エッジ44及び後方床接触エッジ46を有している。また、ソールプレート26は、前側リップ48及び後側リップ50を更に有している。前側リップ48及び後側リップ50は、それぞれ、前側エッジ52及び後側エッジ54を有している。前側リップ48は、ソールプレート26の前方床接触エッジ44から上方に湾曲し、後側リップ50は、ソールプレート26の後方床接触エッジ46から上方に湾曲していることが理解できる。
【0037】
図3及び図4には、ヘッド25が後方位置にあるとき、ヘッド25の後側ソールプレート係合エッジ33を越えてソールプレート26の後方床接触エッジ46から延びる部分56が示されている。この部分は、関節連結軸線Aと部分56の後側エッジのところに位置するピボット点47との間の距離にわたって延びている。この距離を増大させることは、通常の使用中、床用ツール1全体を枢動させるのが非常に困難であり、かくしてスキップ動作を減少させるのに役立つ。部分56が設けられていなければ、床用ツール1は、ソールプレート26の後方床接触エッジ46周りに枢動し、これは、真空掃除機100の通常の使用中、極めて容易に起こる。
【0038】
図2〜図7に示されている実施形態では、単一の部分56が設けられていることが理解できる。当然のことながら、複数個のかかる部分56を設けることが可能である。かかる部分56又は複数の部分は、ソールプレート26の後方床接触エッジ46の長さに沿って任意適当な位置に配置できる。図3〜図6では、この部分56は、ループ58を形成するよう上方に湾曲していることが理解できる。図3及び図4では、ループ58は、後側エッジ54の一部分を部分56の後側エッジのところのピボット点47に連結していることが理解できる。
【0039】
部分56の形状は、重要ではなく、重要な特徴は、床用ツール1のピボット点47と軸線Aとの間の距離ができるだけ長いということである。したがって、ループ58は、中実であっても良く、エッジは、湾曲しているのではなく傾斜しているのが良い。ただし、ソールプレート26の床係合面36と同一の平面内に位置し、ヘッド25が後方位置にあるとき、ヘッド25の後側ソールプレート係合エッジ33を越えて後方に延びる平らな表面が設けられていることを条件とする。例えば、部分56は、平板状、立方体状、ピラミッド状又は任意他の適当な形状のものであって良い。
【0040】
図8〜図10に示されている第2の実施形態では、単一の部分56が設けられているが、他の実施形態では、部分56は、自由端部を有している。換言すると、部分56は、第1の実施形態の場合のように後側リップ50の後側エッジ54の一部分に連結されているわけではない。この第2の実施形態では、部分56は、ヘッド25が後方位置にあるとき、ヘッド25の後側ソールプレート係合エッジ33を越えて所与の距離にわたりソールプレート26の床接触面36と同一の平面内において後方に延びている。この場合、部分56は、上方に湾曲している。図示の実施形態では、部分56の湾曲部分49は、部分56の各側でソールプレート26の後方床接触エッジ46から延びる後側リップ50よりも大きい。この場合も又、部分56の正確な形状は、重要ではなく、重要な特徴は、床用ツール1のピボット点47と軸線Aとの間の距離ができるだけ長いということである。
【0041】
図11〜図13に示されている第3の実施形態では、部分56は、ソールプレート26のその全長に沿う床係合面36の延長部である。この場合も又、この部分は、ヘッド25の後側ソールプレート係合エッジ33を越えて所与の距離にわたりソールプレート26の床接触面36と同一の平面内において後方に延び、この場合、後側リップ50は、上方に湾曲している。
【0042】
図11〜図13では、後側リップ50は、前側リップ48よりも大きいことが理解できる。変形実施形態では、後側リップ50は、前側リップ48と同一サイズのもの又はこれよりも小さなサイズのものであって良い。別の変形実施形態では、リップ48,50を1つしか設けなくても良く又はリップを全く設けなくても良い。この場合も又、部分56の正確な形状は重要ではなく、重要な特徴は、床用ツール1のピボット点47と軸線Aとの間の距離ができるだけ長いということである。この実施形態では、ピボット点47は、ソールプレート26の後方床接触エッジ46でもある。
【符号の説明】
【0043】
1 床用ツール
2 吸引導管
4 吸引開口部
6 サイクロン式分離装置
8 上流側サイクロン
10 下流側サイクロン
11 12 モータハウジング
18 握り
20 トリガスイッチ
22 電源
25 ヘッド
26 ソールプレート
28 連結アーム
29 樽形本体
31 前方ソールプレート係合エッジ
33 後側ソールプレート係合エッジ
36 床係合面
38 前側壁
44 前方床接触エッジ
46 後方床接触エッジ
47 ピボット点
48 前側リップ
50 後側リップ
52 前側エッジ
54 後側エッジ
100 手持ち型真空掃除機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理用電気器具のための床用ツールであって、前方床接触エッジ及び後方床接触エッジを備えた床係合面並びに吸引開口部を有するソールプレートと、前方位置と後方位置との間で関節連結軸線回りに前記ソールプレートに対して枢動可能であり、前側ソールプレート係合エッジ及び後側ソールプレート係合エッジを備えたヘッドと、前記吸引開口部と連通状態にある出口を備えた連結アームとを有する、床用ツールにおいて、前記ソールプレートの前記床係合面の少なくとも一部分は、前記ヘッドが前記後方位置にあるとき、前記ヘッドの前記後側ソールプレート係合エッジを越えて延びる、床用ツール。
【請求項2】
前記部分は、前記ソールプレートの全長又は実質的に全長に沿って前記ヘッドの前記後側ソールプレート係合エッジを越えて延びている、請求項1記載の床用ツール。
【請求項3】
複数の前記部分を有する、請求項1記載の床用ツール。
【請求項4】
前記ソールプレートの側縁部から間隔を置いて位置した場所で前記ヘッドの前記後側ソールプレート係合エッジを越えて延びる単一の部分を有する、請求項1記載の床用ツール。
【請求項5】
前記部分は、前記関節連結軸線から50mm〜55mmにわたって延びる、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の床用ツール。
【請求項6】
前記ソールプレートは、前記ソールプレートの前記前方床接触エッジの少なくとも一部から延びる前側リップを更に有する、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の床用ツール。
【請求項7】
前記ソールプレートは、前記ソールプレートの前記後方床接触エッジの少なくとも一部から延びる後方リップを更に有する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の床用ツール。
【請求項8】
前記リップの少なくとも一部は、上方に湾曲している、請求項6又は7記載の床用ツール。
【請求項9】
前記後側リップの少なくとも一部は、前記前側リップの少なくとも一部より大きい、請求項7又は8記載の床用ツール。
【請求項10】
前記後側リップの少なくとも一部は、ループを形成するよう前記ヘッドの前記後側ソールプレート係合エッジを越えて延びる前記部分と関連している、請求項7〜9のうちいずれか一に記載の床用ツール。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一に記載の床用ツールを有する表面処理用電気器具。
【請求項12】
サイクロン式真空掃除機の形態をした請求項11記載の表面処理用電気器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−201170(P2010−201170A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39762(P2010−39762)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】