床用吸込具
【課題】壁際等を掃除する際の掃除作業性を向上し得る電気掃除機を提供することを課題とする。
【解決手段】吸込口17が下面から前面の少なくとも一部まで開口された本体ケース14と、本体ケース14の吸込口17の前側部分を閉塞するカバー体23とを備え、カバー体23は、吸込口17の前側部分を閉塞する下方回動位置と、吸込口17の前側部分を開放する上方回動位置との間を回動自在に形成され、カバー体23の壁面などへの当接により下方回動位置から上方回動位置に回動させるよう構成すると共に、カバー体23は、上部が断面形状略円弧状に形成され、円弧状部分の下部に壁面などとの当接部分となる膨出部25がカバー体23の幅方向略全幅に亘って前方に突出形成されると共に、膨出部25より下方位置に、下方になるに従って本体ケース側に向かう平面上の傾斜面27を形成し、傾斜面27の下方位置に、床面に対して略垂直な延設部28をカバー体23の幅方向略全幅に亘って形成する。
【解決手段】吸込口17が下面から前面の少なくとも一部まで開口された本体ケース14と、本体ケース14の吸込口17の前側部分を閉塞するカバー体23とを備え、カバー体23は、吸込口17の前側部分を閉塞する下方回動位置と、吸込口17の前側部分を開放する上方回動位置との間を回動自在に形成され、カバー体23の壁面などへの当接により下方回動位置から上方回動位置に回動させるよう構成すると共に、カバー体23は、上部が断面形状略円弧状に形成され、円弧状部分の下部に壁面などとの当接部分となる膨出部25がカバー体23の幅方向略全幅に亘って前方に突出形成されると共に、膨出部25より下方位置に、下方になるに従って本体ケース側に向かう平面上の傾斜面27を形成し、傾斜面27の下方位置に、床面に対して略垂直な延設部28をカバー体23の幅方向略全幅に亘って形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の床用吸込具に係わり、特に壁際などに溜まった塵埃を効率良く吸い込むことができる床用吸込具に関する。
【背景技術】
【0002】
壁際などの掃除が可能な床用吸込具として、特開2005−131159(特許文献1)が知られている。この床用吸込具は、吸込口が吸込具本体ケースの下面から前面の少なくとも一部まで開口されており、吸込具本体ケースの前壁を構成するカバーが吸込具本体ケースに上下方向に回動自在に取り付けられ、カバーが下方回動位置で吸込口の前面部分を閉塞し、且つ壁面などに当接して回動する上方回動位置で吸込口の前面部分を開放するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−131159
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の床用吸込具は、カバーに膨出部を形成し、カバーの膨出部が壁面などに当接してカバーが上方に回動し、吸込口の前面部分を開放することで、壁際の塵埃を効率よく吸い込むことができるように構成されている。
【0005】
しかしながら、床面上に部分的にカーペットが敷かれていたり、雑誌が置かれていた場合など、被掃除面上に物体が存在していた際には、その物体にカバーが当接してカバーが上方に回動して回転ブラシが物体に接触するため、物体を回転ブラシで傷つける虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、被掃除面上に物体が存在した場合等に、物体にカバーが当接してもカバーの上方への回動を阻止し得る床用吸込具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の床用吸込具は、吸込口が下面から前面の少なくとも一部まで開口された本体ケースと、該本体ケースの吸込口の前側部分を閉塞するカバー体とを備え、前記カバー体は、吸込口の前側部分を閉塞する下方回動位置と、吸込口の前側部分を開放する上方回動位置との間を回動自在に形成され、前記カバー体の壁面などへの当接により下方回動位置から上方回動位置に回動させるよう構成すると共に、前記カバー体は、上部が断面形状略円弧状に形成され、該円弧状部分の下部に壁面などとの当接部分となる膨出部がカバー体の幅方向略全幅に亘って前方に突出形成されると共に、前記膨出部より下方位置に、カバー体の上方回動位置で壁面等と略平行となる平面上の傾斜面を形成し、該傾斜面の下方位置に、床面に対して略垂直な延設部をカバー体の幅方向略全幅に亘って形成することを特徴とする。
【0008】
前記傾斜面は、前記カバーの上方回動位置で壁面などと略平行になるように形成することが好ましい。
【0009】
前記カバー体の壁面との当接部分に柔らかくて滑りやすい部材を配設することが好ましい。
【0010】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー体の下端から裏面側に亘って貼着することが好ましい。
【0011】
前記カバー体の裏面に、前記柔らかくて滑りやすい部材を貼着する貼着部を凹設することが好ましい。
【0012】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー部材の幅方向略中央部でカバー体の裏面側に亘って貼着することが好ましい。
【0013】
前記本体ケース内に回転ブラシを回転自在に枢支すると共に、前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記回転ブラシの略両端に対応する位置でカバー体の裏面側に亘って貼着することが好ましい。
【0014】
本発明の電気掃除機は、上記床用吸込具を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カバー体の膨出部の下方位置に、カバー体の上方回動位置で壁面などと略平行となる傾斜面を形成しているので、吸込口の前面側を壁面などに近接させることができ、壁際の掃除を効率よく行うことができる。また、雑誌等の物体が被掃除面に置かれていた際に、物体にカバー体の傾斜面が当接することによるカバー体の回動を、延設部に物体が当接することにより阻止することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の電気掃除機の側面図である。
【図2】同壁際等の掃除状態を示す側面図である。
【図3】同壁面と家具の隙間等の掃除状態である床用吸込具の直立状態を示す側面図である。
【図4】通常の掃除状態から床用吸込具の直立状態への移行途上を示す側面図である。
【図5】ホースの手元側接続管の側面図である。
【図6】床用吸込具の断面図である。
【図7】カバー体の開放状態を示す床用吸込具の断面図である。
【図8】直立状態を示す床用吸込具の平面図である。
【図9】同床用吸込具の側面図である。
【図10】同床用吸込具の正面図である。
【図11】カバー体の裏面から見た斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態を示す床用吸込具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図11を参照しながら本発明の実施形態を以下に詳述する。
【0018】
図1において、1は掃除機本体で、図示しないが、前方に集塵室、後方に電動送風機を内蔵する電動送風機室が形成されている。2は可撓性を有するホースで、一端側に前記掃除機本体1の接続口に着脱自在に接続される本体側接続管3を有すると共に、他端側に手元側接続管4を有している。5は前記ホース2の手元側接続管4に着脱自在に装着される延長管、6は前記延長管5に着脱自在に装着される床用吸込具である。
【0019】
次に、前記手元側接続管4を、図5に基づいて詳述する。前記手元側接続管4の上面側には、把持部7が一体的に形成されている。前記把持部7は、手元側接続管4と一体形成される下部材8と、下部材8の上面開口を覆い、下部材8にねじ等により固定されるカバー部材9とから構成され、下部材8とカバー部材9とで囲まれる空間に図示しない基板が収納されている。前記把持部7の前方位置には、基板に設けられたスイッチを操作する操作部10が形成され、把持部7を把持したまま操作部10によってスイッチを操作することにより、吸込力等を制御できるようになっている。
【0020】
11は、前記手元側接続管4の下面側に配置された取っ手部で、前記把持部7と180°隔たる位置にねじ等により固定されている。前記取っ手部11は、延長管5を外して手元側接続管4によって掃除を行う際に取っ手部11が掃除の邪魔になるのを防止するように、延長管5側の下方部分の延長管5側への突出を極力小さくした形状に形成されている。
【0021】
前記手元側接続管4は、ホース2に対して回転可能に形成されており、掃除に伴って手元側接続管4をひねるなどの操作を行った際に、ホース2がねじれにくいように形成されている。
【0022】
次に、図6から図11に基づいて床用吸込具6について詳述する。床用吸込具6は、上ケース12と下ケース13から構成される本体ケース14と、本体ケース14後部の長手方向中央部に本体ケース14に対して左右方向に回動自在に支持される第1回動管15と、第1回動管15に枢支され、本体ケース14に対して上下方向に回動する第2回動管16とを有しており、第2回動管16が延長管5に着脱自在に接続されるようになっている。前記第1回動管15は、本体ケース14に対して左右方向に約90°回動させた状態で、回動した状態を所定の保持力で維持する機構(図示せず)が設けられており、前記保持力以上の力で回動することにより、第1回動管15を回動することができるようになっている。
【0023】
前記本体ケース14には、底面から前面にわたって吸込口17が形成されている。前記本体ケース14内部には、前記吸込口17に臨ませた回転ブラシ18が回転自在に枢支されており、該回転ブラシ18は電動機19により回動するようになっている。20は前記本体ケース14両側面に配設されるバンパーで、前記上ケース12と下ケース13の間に挟持固定されている。
【0024】
前記本体ケース14底面には、後方位置に後車輪21が回動自在に軸支されると共に、前部両側位置に、底面から前面にわたって起毛布22が貼着されており、床用吸込具6は、後車輪21と起毛布22により被掃除面上を移動するようになっている。尚、本実施形態では、起毛布22を用いたが、前車輪を用いてもよく、他の滑動手段を用いても良い。
【0025】
23は前記吸込口17の前側部分を開閉するカバー体で、前記本体ケース14の前壁を構成している。前記カバー体23は、本体ケース14の両側に上下方向に回動可能に枢支されており、上方に回動した状態で、本体ケース14に形成された収納部24に収納されるようになっている。前記カバー体23は、図示しないバネなどの付勢手段により、前記吸込口17の前側部分を閉塞する方向に常時付勢されている。
【0026】
前記カバー体23は、図6及び図7に示すごとく、上部が断面形状略円弧状に形成され、上部の略円弧状部分が前記収納部24に収納されるようになっている。また、前記カバー体23には、上部の略円弧状部分の下部に斜め前上方に突出する膨出部25が本体ケース14の幅方向全幅に亘って形成されている。
【0027】
26は前記膨出部25の略延長線上の床用吸込具6幅方向両側位置に、カバー体23に回動自在に支持されるローラで、カバー体23が上方に回動した状態で、ローラ26の回転軸がほぼ垂直になり、カバー体23の閉塞状態では、ローラ26の回転軸が傾斜するように支持されている。前記ローラ26先端は半球状に形成されており、カバー体23の閉塞状態では、ローラ26先端より膨出部25が前方に位置し、カバー体23が上方に回動した状態で、外周部が前記膨出部25よりも前方に位置するように構成されている。
【0028】
前記カバー体23は、前記膨出部25より下方位置に、下方になるに従って本体ケース14側に向かう平面上の傾斜面27が形成されており、該傾斜面27は、カバー体23が上方に回動した状態で、壁面と略平行になるように形成されている。前記カバー体23の上方回動位置で傾斜面27が壁面と略平行になるので、回転ブラシ18を壁面に近接或いは接触させることができ、壁際の掃除効率を向上することができる。
【0029】
前記カバー体23の前面側下端には、前記傾斜面27に連続してカバー体23の幅方向全幅に亘って延設部28が突出形成されており、該延設部28は、カバー体23の下方回動状態で、被掃除面に対して略垂直になるように形成されている。前記膨出部25より低い物体、例えば、雑誌等が被掃除面に置かれていた際には、物体にカバー体23の傾斜面27が当接し、床用吸込具6の移動と共にカバー体23が上方に回動するが、延設部28に物体が当接することによりカバー体23の回動が阻止される。前記カバー体23は、前方からの比較的大きなゴミの吸引を妨げない程度に可能な限り下方に延設部28を延設することにより、下端と床面との隙間を小さくし、カバー体23の閉塞状態では子供の手指等が入らないようにしている。延設部28は、カバー体23の下方回動状態で略垂直方向に形成しているので、被掃除面との隙間が小さくなるように延設形成しても、傾斜面27の延設方向に延長する場合と比較して、回転ブラシ18との間隔が狭くなるのを防止することができる。尚、本実施形態では、前記カバー体23下端と床面との間隔を約4mmに設定している。
【0030】
29は前記カバー体23前面の壁面と当接する部分に貼着される起毛布で、前記カバー体23の幅方向両端側から中央になるに従って下方に向かうように形成され、中央部分がカバー体23下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着されている。前記起毛布29は、カバー体23前面側から下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着することにより、床用吸込具6の後方側が浮き上がった状態となった際等に、カバー体23下端部分が被掃除面に当接して被掃除面を傷つけるのを防止している。
【0031】
前記カバー体23の裏面側には、図13に示すように、前記起毛布29が貼着される貼着部30を凹設し、該貼着部30は貼着部30に貼着された起毛布29の上端部分が回転ブラシ18に配設されたブラシが接触しない位置まで上方に延設されているので、起毛布29の上端が回転ブラシ18のブラシによって剥がされるのを防止することができる。前記起毛布29は、先端がローラ26より前方に位置しており、起毛布29が壁面に当接して変形した状態で、ローラ26が壁面に当接するようになっている。
【0032】
而して、通常の掃除状態では、図1及び図6に示すごとく、カバー体23は付勢手段により下方へ回動した状態となり、吸込口17の前側部分はカバー体23により閉塞され、吸込口17の下側部分のみが開口している。従って、風量の損失が生じないので、吸込口17の下側部分では所望の風量が得られ、且つ回転ブラシ18の掻き取り効果も加わるため、被清掃面400の掃除を効率よく行うことができる。取っ手部11は手元側接続管4の下面側に配設されているため、把持部7を把持して押し引き操作しても、取っ手部11が操作の邪魔になることはなく、使用勝手を損なうことはない。
【0033】
一方、壁際を掃除する際には、図2及び図7に示すごとく、壁面Wに床用吸込具6の前面を押し当てる。そうすると、まず、カバー体23の膨出部25が壁面Wに当接し、カバー体23が図7中時計方向に回転しながら上方に持ち上げられ、図7に示すごとく、吸込口17の前側部分が開放され、ローラ26が壁面Wに当接して、膨出部25と壁面Wとの間に間隔が保持される。この状態では、回転ブラシ18を壁面Wに近接させることができ、壁際の塵埃を壁面Wの近傍まで除去することができる。
【0034】
そして、壁面Wに床用吸込具6の前面を押し当てた状態で、床用吸込具6を横方向に移動させて壁際を掃除する。その際、起毛布22、29とローラ26が壁面Wに当接するため、床用吸込具6を横方向へ操作性よく移動させることができる。
【0035】
壁面Wに床用吸込具6前面を押し当てた状態で、床用吸込具6を横方向へ移動させる際には、ホース2先端の手元側接続管4に形成された把持部7と取っ手部11とをそれぞれ手で把持して両手で横方向に移動させることができ、横方向への移動操作性を一層向上させることができる。
【0036】
次に、壁面と家具、或いは家具と家具等との隙間を掃除する場合の操作を説明する。手元側接続管4の把持部7及び取っ手部11をそれぞれ手で把持し、取っ手部11が上方に位置するように上下反転するように回転させる。
【0037】
図1、図3及び図4に示すごとく、手元側接続管4を使用者からみて左方向(反時計方向)に回転させる場合を例にとり説明する。図4に示すごとく、手元側接続管4を左方向(反時計方向)に約90°回転させると、手元側接続管4の回転に伴い、延長管5も回転し、第1回動管15が左側に約90°回転する。第1回動管15が回転すると、第2回動管16が回転し、それに伴って、図4に示すごとく、本体ケース14が平面視で反時計方向に回転する。
【0038】
この状態から、手元側接続管4をさらに左方向(反時計方向)に回転させると、本体ケース14の後部が前端部(カバー体23側)を支点として上方へ持ち上げられていく。そして、手元側接続管4を180°回転させた状態では、図3及び図7から図9に示すごとく、カバー体23が開放し、本体ケース14の吸込口17前側部分を床面に対向させて直立した姿勢(直立姿勢)となる。この状態では、図9に示すごとく、第2回動管16の延長方向に本体ケース14の長手方向が沿った状態となり、第1回動管15は、保持手段により本体ケース14に対してこの回動位置を保持するようになっている。
【0039】
この状態で、床用吸込具6を壁面と家具との隙間等に挿入し、取っ手部11を把持して床用吸込具6を前後方向に移動させることにより壁面と家具との隙間等を掃除する。第1回動管15は保持手段により本体ケース14に対して本体ケース14の長手方向に沿った状態に保持されるので、床用吸込具6を前後方向に移動させても第1回動管15に対して本体ケース14が回動することがなく、操作性が損なわれることがない。
【0040】
この状態では、起毛布22、29及びローラ26が床面に接し、床用吸込具6の移動性を向上させると共に、床面の傷付きを防止する。カバー体23が回動し、床面に対向する床用吸込具6の前方側に吸気口17が開口するので、壁面と家具との隙間のゴミ等を効率よく吸引することができる。また、ホース2に対して手元側接続管4を回動可能に形成しているので、通常の使用状態から手元側接続管4を約180°回転させてもホース2のよじれが防止され、使用勝手を損なうことがない。
【0041】
また、起毛布29は、図10に示すごとく、カバー体23の幅方向両端側から中央になるに従って下方になるように形成し、中央部分がカバー体23下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着しているので、直立した姿勢で壁面と家具との隙間等を掃除する際、床用吸込具6の移動に伴って、起毛布29によって塵埃が吸込口17に向かって誘導され、壁面と家具との隙間等に溜まった塵埃を効率よく吸引することができる。
【0042】
本実施形態の電気掃除機は、床用吸込具6の回転ブラシ18の周面にウェットシートを巻き付けて、拭き掃除を可能としており、以下にその構成及び制御動作について説明する。
【0043】
「ウェットシート」は、昨今、主として個人住宅のフローリング等を清掃するのに利用されている清掃用シートで、一般に、不織布に水分およびアルコール分が含浸された清掃用のシートである。たとえば「クイックルワイパ」(登録商標)がよく知られている。ウェットシートは、専用の器具(棒の先に長方形の装着板が設けられたもの)に取り付け、フローリング等の床面を拭くのに利用されている。
【0044】
本出願人は、かかるウェットシートを、電気掃除機に装着できるようにして、電気掃除機によって、ウェットシートによる拭き掃除も行えるようにすることを考え、かかる構成を既に提案している(特開2005−304954等)。
【0045】
この実施形態は、既提案とは異なり、電気掃除機の床用吸込具6に設けられた回転ブラシ18にウェットシートを巻き付けることによって、ウェットシートを利用した拭き掃除を行うものである。
【0046】
まず、床面にウェットシートを拡げて置き、ウェットシートの先端寄りの位置に回転ブラシ18が対向するように、ウェットシート上に床用吸込具6を載せる。その状態で、操作部10のスイッチを操作する。
【0047】
この操作に応じて回転ブラシ18及び電動送風機が駆動されて、回転ブラシ18の周面にウェットシートが巻き付けられる。より具体的には、操作部10のスイッチ操作に応じて回転ブラシ18が所定の回転速度で正回転される。これにより、ウェットシートは、その先端側から回転する回転ブラシ18の周面に巻き付けられる。この状態で、回転ブラシ18の回転により、電動送風機の吸引力により塵埃を吸引しながら、ウェットシートによって床面の拭き掃除を行うことができる。
【0048】
拭き掃除が終了したときには、操作部10のスイッチを操作すると、その操作に応じて、回転ブラシ18が正回転/逆回転を交互にするように駆動制御され、かつ、吸引力が強になるように電動送風機が駆動される。回転ブラシ18に巻き付いたウェットシートは、回転ブラシ18が正回転/逆回転を交互に繰り返すことによりほどけて外れ、回転ブラシ18から離れて電動送風機の吸引力により電気掃除機に吸引される。従って、使用者が汚れたウェットシートを把持することなく、自動的に回転ブラシ18からウェットシートを外すことができ、使用勝手を向上することができる。
【0049】
上記実施形態において、起毛布29は、カバー体23の幅方向両端側から中央になるに従って下方になるように形成し、中央部分がカバー体23下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着している。回転ブラシ18に巻き付いたウェットシートを外す際、回転ブラシ18を交互に正回転/逆回転させ、かつ、電動送風機の吸引力を強になるように制御しているが、ウェットシートは、遠心力で外周側に拡開すると共に、電動送風機の吸引力により床用吸込具6の中央部側に引き寄せられるため、ウェットシートが起毛布29に接触して、振動が発生したり、ウェットシートが外れない場合が生じる。
【0050】
上記問題が発生する場合には、図12に示す如く、回転ブラシ18の両端近傍に対応する位置に配設することが好ましい。この構成においては、回転ブラシ18に巻き付いたウェットシートを外す際、ウェットシートが起毛布29に接触しにくくなり、ウェットシートを自動的に外す操作を損なうことがない。
【0051】
本実施形態の床用吸込具6は、回転ブラシ18を有しているが、回転ブラシを具備しなくても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 掃除機本体
2 ホース
4 手元側接続管
5 延長管
6 床用吸込具
7 把持部
11 取っ手部
14 本体ケース
15 第1回動管
16 第2回動管
17 吸込口
18 回転ブラシ
22 起毛布
23 カバー体
25 膨出部
26 ローラ
27 傾斜面
28 延設部
29 起毛布
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の床用吸込具に係わり、特に壁際などに溜まった塵埃を効率良く吸い込むことができる床用吸込具に関する。
【背景技術】
【0002】
壁際などの掃除が可能な床用吸込具として、特開2005−131159(特許文献1)が知られている。この床用吸込具は、吸込口が吸込具本体ケースの下面から前面の少なくとも一部まで開口されており、吸込具本体ケースの前壁を構成するカバーが吸込具本体ケースに上下方向に回動自在に取り付けられ、カバーが下方回動位置で吸込口の前面部分を閉塞し、且つ壁面などに当接して回動する上方回動位置で吸込口の前面部分を開放するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−131159
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の床用吸込具は、カバーに膨出部を形成し、カバーの膨出部が壁面などに当接してカバーが上方に回動し、吸込口の前面部分を開放することで、壁際の塵埃を効率よく吸い込むことができるように構成されている。
【0005】
しかしながら、床面上に部分的にカーペットが敷かれていたり、雑誌が置かれていた場合など、被掃除面上に物体が存在していた際には、その物体にカバーが当接してカバーが上方に回動して回転ブラシが物体に接触するため、物体を回転ブラシで傷つける虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、被掃除面上に物体が存在した場合等に、物体にカバーが当接してもカバーの上方への回動を阻止し得る床用吸込具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の床用吸込具は、吸込口が下面から前面の少なくとも一部まで開口された本体ケースと、該本体ケースの吸込口の前側部分を閉塞するカバー体とを備え、前記カバー体は、吸込口の前側部分を閉塞する下方回動位置と、吸込口の前側部分を開放する上方回動位置との間を回動自在に形成され、前記カバー体の壁面などへの当接により下方回動位置から上方回動位置に回動させるよう構成すると共に、前記カバー体は、上部が断面形状略円弧状に形成され、該円弧状部分の下部に壁面などとの当接部分となる膨出部がカバー体の幅方向略全幅に亘って前方に突出形成されると共に、前記膨出部より下方位置に、カバー体の上方回動位置で壁面等と略平行となる平面上の傾斜面を形成し、該傾斜面の下方位置に、床面に対して略垂直な延設部をカバー体の幅方向略全幅に亘って形成することを特徴とする。
【0008】
前記傾斜面は、前記カバーの上方回動位置で壁面などと略平行になるように形成することが好ましい。
【0009】
前記カバー体の壁面との当接部分に柔らかくて滑りやすい部材を配設することが好ましい。
【0010】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー体の下端から裏面側に亘って貼着することが好ましい。
【0011】
前記カバー体の裏面に、前記柔らかくて滑りやすい部材を貼着する貼着部を凹設することが好ましい。
【0012】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー部材の幅方向略中央部でカバー体の裏面側に亘って貼着することが好ましい。
【0013】
前記本体ケース内に回転ブラシを回転自在に枢支すると共に、前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記回転ブラシの略両端に対応する位置でカバー体の裏面側に亘って貼着することが好ましい。
【0014】
本発明の電気掃除機は、上記床用吸込具を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カバー体の膨出部の下方位置に、カバー体の上方回動位置で壁面などと略平行となる傾斜面を形成しているので、吸込口の前面側を壁面などに近接させることができ、壁際の掃除を効率よく行うことができる。また、雑誌等の物体が被掃除面に置かれていた際に、物体にカバー体の傾斜面が当接することによるカバー体の回動を、延設部に物体が当接することにより阻止することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の電気掃除機の側面図である。
【図2】同壁際等の掃除状態を示す側面図である。
【図3】同壁面と家具の隙間等の掃除状態である床用吸込具の直立状態を示す側面図である。
【図4】通常の掃除状態から床用吸込具の直立状態への移行途上を示す側面図である。
【図5】ホースの手元側接続管の側面図である。
【図6】床用吸込具の断面図である。
【図7】カバー体の開放状態を示す床用吸込具の断面図である。
【図8】直立状態を示す床用吸込具の平面図である。
【図9】同床用吸込具の側面図である。
【図10】同床用吸込具の正面図である。
【図11】カバー体の裏面から見た斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態を示す床用吸込具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図11を参照しながら本発明の実施形態を以下に詳述する。
【0018】
図1において、1は掃除機本体で、図示しないが、前方に集塵室、後方に電動送風機を内蔵する電動送風機室が形成されている。2は可撓性を有するホースで、一端側に前記掃除機本体1の接続口に着脱自在に接続される本体側接続管3を有すると共に、他端側に手元側接続管4を有している。5は前記ホース2の手元側接続管4に着脱自在に装着される延長管、6は前記延長管5に着脱自在に装着される床用吸込具である。
【0019】
次に、前記手元側接続管4を、図5に基づいて詳述する。前記手元側接続管4の上面側には、把持部7が一体的に形成されている。前記把持部7は、手元側接続管4と一体形成される下部材8と、下部材8の上面開口を覆い、下部材8にねじ等により固定されるカバー部材9とから構成され、下部材8とカバー部材9とで囲まれる空間に図示しない基板が収納されている。前記把持部7の前方位置には、基板に設けられたスイッチを操作する操作部10が形成され、把持部7を把持したまま操作部10によってスイッチを操作することにより、吸込力等を制御できるようになっている。
【0020】
11は、前記手元側接続管4の下面側に配置された取っ手部で、前記把持部7と180°隔たる位置にねじ等により固定されている。前記取っ手部11は、延長管5を外して手元側接続管4によって掃除を行う際に取っ手部11が掃除の邪魔になるのを防止するように、延長管5側の下方部分の延長管5側への突出を極力小さくした形状に形成されている。
【0021】
前記手元側接続管4は、ホース2に対して回転可能に形成されており、掃除に伴って手元側接続管4をひねるなどの操作を行った際に、ホース2がねじれにくいように形成されている。
【0022】
次に、図6から図11に基づいて床用吸込具6について詳述する。床用吸込具6は、上ケース12と下ケース13から構成される本体ケース14と、本体ケース14後部の長手方向中央部に本体ケース14に対して左右方向に回動自在に支持される第1回動管15と、第1回動管15に枢支され、本体ケース14に対して上下方向に回動する第2回動管16とを有しており、第2回動管16が延長管5に着脱自在に接続されるようになっている。前記第1回動管15は、本体ケース14に対して左右方向に約90°回動させた状態で、回動した状態を所定の保持力で維持する機構(図示せず)が設けられており、前記保持力以上の力で回動することにより、第1回動管15を回動することができるようになっている。
【0023】
前記本体ケース14には、底面から前面にわたって吸込口17が形成されている。前記本体ケース14内部には、前記吸込口17に臨ませた回転ブラシ18が回転自在に枢支されており、該回転ブラシ18は電動機19により回動するようになっている。20は前記本体ケース14両側面に配設されるバンパーで、前記上ケース12と下ケース13の間に挟持固定されている。
【0024】
前記本体ケース14底面には、後方位置に後車輪21が回動自在に軸支されると共に、前部両側位置に、底面から前面にわたって起毛布22が貼着されており、床用吸込具6は、後車輪21と起毛布22により被掃除面上を移動するようになっている。尚、本実施形態では、起毛布22を用いたが、前車輪を用いてもよく、他の滑動手段を用いても良い。
【0025】
23は前記吸込口17の前側部分を開閉するカバー体で、前記本体ケース14の前壁を構成している。前記カバー体23は、本体ケース14の両側に上下方向に回動可能に枢支されており、上方に回動した状態で、本体ケース14に形成された収納部24に収納されるようになっている。前記カバー体23は、図示しないバネなどの付勢手段により、前記吸込口17の前側部分を閉塞する方向に常時付勢されている。
【0026】
前記カバー体23は、図6及び図7に示すごとく、上部が断面形状略円弧状に形成され、上部の略円弧状部分が前記収納部24に収納されるようになっている。また、前記カバー体23には、上部の略円弧状部分の下部に斜め前上方に突出する膨出部25が本体ケース14の幅方向全幅に亘って形成されている。
【0027】
26は前記膨出部25の略延長線上の床用吸込具6幅方向両側位置に、カバー体23に回動自在に支持されるローラで、カバー体23が上方に回動した状態で、ローラ26の回転軸がほぼ垂直になり、カバー体23の閉塞状態では、ローラ26の回転軸が傾斜するように支持されている。前記ローラ26先端は半球状に形成されており、カバー体23の閉塞状態では、ローラ26先端より膨出部25が前方に位置し、カバー体23が上方に回動した状態で、外周部が前記膨出部25よりも前方に位置するように構成されている。
【0028】
前記カバー体23は、前記膨出部25より下方位置に、下方になるに従って本体ケース14側に向かう平面上の傾斜面27が形成されており、該傾斜面27は、カバー体23が上方に回動した状態で、壁面と略平行になるように形成されている。前記カバー体23の上方回動位置で傾斜面27が壁面と略平行になるので、回転ブラシ18を壁面に近接或いは接触させることができ、壁際の掃除効率を向上することができる。
【0029】
前記カバー体23の前面側下端には、前記傾斜面27に連続してカバー体23の幅方向全幅に亘って延設部28が突出形成されており、該延設部28は、カバー体23の下方回動状態で、被掃除面に対して略垂直になるように形成されている。前記膨出部25より低い物体、例えば、雑誌等が被掃除面に置かれていた際には、物体にカバー体23の傾斜面27が当接し、床用吸込具6の移動と共にカバー体23が上方に回動するが、延設部28に物体が当接することによりカバー体23の回動が阻止される。前記カバー体23は、前方からの比較的大きなゴミの吸引を妨げない程度に可能な限り下方に延設部28を延設することにより、下端と床面との隙間を小さくし、カバー体23の閉塞状態では子供の手指等が入らないようにしている。延設部28は、カバー体23の下方回動状態で略垂直方向に形成しているので、被掃除面との隙間が小さくなるように延設形成しても、傾斜面27の延設方向に延長する場合と比較して、回転ブラシ18との間隔が狭くなるのを防止することができる。尚、本実施形態では、前記カバー体23下端と床面との間隔を約4mmに設定している。
【0030】
29は前記カバー体23前面の壁面と当接する部分に貼着される起毛布で、前記カバー体23の幅方向両端側から中央になるに従って下方に向かうように形成され、中央部分がカバー体23下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着されている。前記起毛布29は、カバー体23前面側から下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着することにより、床用吸込具6の後方側が浮き上がった状態となった際等に、カバー体23下端部分が被掃除面に当接して被掃除面を傷つけるのを防止している。
【0031】
前記カバー体23の裏面側には、図13に示すように、前記起毛布29が貼着される貼着部30を凹設し、該貼着部30は貼着部30に貼着された起毛布29の上端部分が回転ブラシ18に配設されたブラシが接触しない位置まで上方に延設されているので、起毛布29の上端が回転ブラシ18のブラシによって剥がされるのを防止することができる。前記起毛布29は、先端がローラ26より前方に位置しており、起毛布29が壁面に当接して変形した状態で、ローラ26が壁面に当接するようになっている。
【0032】
而して、通常の掃除状態では、図1及び図6に示すごとく、カバー体23は付勢手段により下方へ回動した状態となり、吸込口17の前側部分はカバー体23により閉塞され、吸込口17の下側部分のみが開口している。従って、風量の損失が生じないので、吸込口17の下側部分では所望の風量が得られ、且つ回転ブラシ18の掻き取り効果も加わるため、被清掃面400の掃除を効率よく行うことができる。取っ手部11は手元側接続管4の下面側に配設されているため、把持部7を把持して押し引き操作しても、取っ手部11が操作の邪魔になることはなく、使用勝手を損なうことはない。
【0033】
一方、壁際を掃除する際には、図2及び図7に示すごとく、壁面Wに床用吸込具6の前面を押し当てる。そうすると、まず、カバー体23の膨出部25が壁面Wに当接し、カバー体23が図7中時計方向に回転しながら上方に持ち上げられ、図7に示すごとく、吸込口17の前側部分が開放され、ローラ26が壁面Wに当接して、膨出部25と壁面Wとの間に間隔が保持される。この状態では、回転ブラシ18を壁面Wに近接させることができ、壁際の塵埃を壁面Wの近傍まで除去することができる。
【0034】
そして、壁面Wに床用吸込具6の前面を押し当てた状態で、床用吸込具6を横方向に移動させて壁際を掃除する。その際、起毛布22、29とローラ26が壁面Wに当接するため、床用吸込具6を横方向へ操作性よく移動させることができる。
【0035】
壁面Wに床用吸込具6前面を押し当てた状態で、床用吸込具6を横方向へ移動させる際には、ホース2先端の手元側接続管4に形成された把持部7と取っ手部11とをそれぞれ手で把持して両手で横方向に移動させることができ、横方向への移動操作性を一層向上させることができる。
【0036】
次に、壁面と家具、或いは家具と家具等との隙間を掃除する場合の操作を説明する。手元側接続管4の把持部7及び取っ手部11をそれぞれ手で把持し、取っ手部11が上方に位置するように上下反転するように回転させる。
【0037】
図1、図3及び図4に示すごとく、手元側接続管4を使用者からみて左方向(反時計方向)に回転させる場合を例にとり説明する。図4に示すごとく、手元側接続管4を左方向(反時計方向)に約90°回転させると、手元側接続管4の回転に伴い、延長管5も回転し、第1回動管15が左側に約90°回転する。第1回動管15が回転すると、第2回動管16が回転し、それに伴って、図4に示すごとく、本体ケース14が平面視で反時計方向に回転する。
【0038】
この状態から、手元側接続管4をさらに左方向(反時計方向)に回転させると、本体ケース14の後部が前端部(カバー体23側)を支点として上方へ持ち上げられていく。そして、手元側接続管4を180°回転させた状態では、図3及び図7から図9に示すごとく、カバー体23が開放し、本体ケース14の吸込口17前側部分を床面に対向させて直立した姿勢(直立姿勢)となる。この状態では、図9に示すごとく、第2回動管16の延長方向に本体ケース14の長手方向が沿った状態となり、第1回動管15は、保持手段により本体ケース14に対してこの回動位置を保持するようになっている。
【0039】
この状態で、床用吸込具6を壁面と家具との隙間等に挿入し、取っ手部11を把持して床用吸込具6を前後方向に移動させることにより壁面と家具との隙間等を掃除する。第1回動管15は保持手段により本体ケース14に対して本体ケース14の長手方向に沿った状態に保持されるので、床用吸込具6を前後方向に移動させても第1回動管15に対して本体ケース14が回動することがなく、操作性が損なわれることがない。
【0040】
この状態では、起毛布22、29及びローラ26が床面に接し、床用吸込具6の移動性を向上させると共に、床面の傷付きを防止する。カバー体23が回動し、床面に対向する床用吸込具6の前方側に吸気口17が開口するので、壁面と家具との隙間のゴミ等を効率よく吸引することができる。また、ホース2に対して手元側接続管4を回動可能に形成しているので、通常の使用状態から手元側接続管4を約180°回転させてもホース2のよじれが防止され、使用勝手を損なうことがない。
【0041】
また、起毛布29は、図10に示すごとく、カバー体23の幅方向両端側から中央になるに従って下方になるように形成し、中央部分がカバー体23下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着しているので、直立した姿勢で壁面と家具との隙間等を掃除する際、床用吸込具6の移動に伴って、起毛布29によって塵埃が吸込口17に向かって誘導され、壁面と家具との隙間等に溜まった塵埃を効率よく吸引することができる。
【0042】
本実施形態の電気掃除機は、床用吸込具6の回転ブラシ18の周面にウェットシートを巻き付けて、拭き掃除を可能としており、以下にその構成及び制御動作について説明する。
【0043】
「ウェットシート」は、昨今、主として個人住宅のフローリング等を清掃するのに利用されている清掃用シートで、一般に、不織布に水分およびアルコール分が含浸された清掃用のシートである。たとえば「クイックルワイパ」(登録商標)がよく知られている。ウェットシートは、専用の器具(棒の先に長方形の装着板が設けられたもの)に取り付け、フローリング等の床面を拭くのに利用されている。
【0044】
本出願人は、かかるウェットシートを、電気掃除機に装着できるようにして、電気掃除機によって、ウェットシートによる拭き掃除も行えるようにすることを考え、かかる構成を既に提案している(特開2005−304954等)。
【0045】
この実施形態は、既提案とは異なり、電気掃除機の床用吸込具6に設けられた回転ブラシ18にウェットシートを巻き付けることによって、ウェットシートを利用した拭き掃除を行うものである。
【0046】
まず、床面にウェットシートを拡げて置き、ウェットシートの先端寄りの位置に回転ブラシ18が対向するように、ウェットシート上に床用吸込具6を載せる。その状態で、操作部10のスイッチを操作する。
【0047】
この操作に応じて回転ブラシ18及び電動送風機が駆動されて、回転ブラシ18の周面にウェットシートが巻き付けられる。より具体的には、操作部10のスイッチ操作に応じて回転ブラシ18が所定の回転速度で正回転される。これにより、ウェットシートは、その先端側から回転する回転ブラシ18の周面に巻き付けられる。この状態で、回転ブラシ18の回転により、電動送風機の吸引力により塵埃を吸引しながら、ウェットシートによって床面の拭き掃除を行うことができる。
【0048】
拭き掃除が終了したときには、操作部10のスイッチを操作すると、その操作に応じて、回転ブラシ18が正回転/逆回転を交互にするように駆動制御され、かつ、吸引力が強になるように電動送風機が駆動される。回転ブラシ18に巻き付いたウェットシートは、回転ブラシ18が正回転/逆回転を交互に繰り返すことによりほどけて外れ、回転ブラシ18から離れて電動送風機の吸引力により電気掃除機に吸引される。従って、使用者が汚れたウェットシートを把持することなく、自動的に回転ブラシ18からウェットシートを外すことができ、使用勝手を向上することができる。
【0049】
上記実施形態において、起毛布29は、カバー体23の幅方向両端側から中央になるに従って下方になるように形成し、中央部分がカバー体23下端を巻き込んで裏面側に亘って貼着している。回転ブラシ18に巻き付いたウェットシートを外す際、回転ブラシ18を交互に正回転/逆回転させ、かつ、電動送風機の吸引力を強になるように制御しているが、ウェットシートは、遠心力で外周側に拡開すると共に、電動送風機の吸引力により床用吸込具6の中央部側に引き寄せられるため、ウェットシートが起毛布29に接触して、振動が発生したり、ウェットシートが外れない場合が生じる。
【0050】
上記問題が発生する場合には、図12に示す如く、回転ブラシ18の両端近傍に対応する位置に配設することが好ましい。この構成においては、回転ブラシ18に巻き付いたウェットシートを外す際、ウェットシートが起毛布29に接触しにくくなり、ウェットシートを自動的に外す操作を損なうことがない。
【0051】
本実施形態の床用吸込具6は、回転ブラシ18を有しているが、回転ブラシを具備しなくても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 掃除機本体
2 ホース
4 手元側接続管
5 延長管
6 床用吸込具
7 把持部
11 取っ手部
14 本体ケース
15 第1回動管
16 第2回動管
17 吸込口
18 回転ブラシ
22 起毛布
23 カバー体
25 膨出部
26 ローラ
27 傾斜面
28 延設部
29 起毛布
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口が下面から前面の少なくとも一部まで開口された本体ケースと、該本体ケースの吸込口の前側部分を閉塞するカバー体とを備え、
前記カバー体は、吸込口の前側部分を閉塞する下方回動位置と、吸込口の前側部分を開放する上方回動位置との間を回動自在に形成され、前記カバー体の壁面などへの当接により下方回動位置から上方回動位置に回動させるよう構成すると共に、
前記カバー体は、上部が断面形状略円弧状に形成され、該円弧状部分の下部に壁面などとの当接部分となる膨出部がカバー体の幅方向略全幅に亘って前方に突出形成されると共に、前記膨出部より下方位置に、下方になるに従って本体ケース側に向かう平面上の傾斜面を形成し、該傾斜面の下方位置に、床面に対して略垂直な延設部をカバー体の幅方向略全幅に亘って形成することを特徴とする床用吸込具。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記カバーの上方回動位置で壁面などと略平行になるように形成することを特徴とする請求項1記載の床用吸込具。
【請求項3】
前記カバー体の壁面との当接部分に柔らかくて滑りやすい部材を配設することを特徴とする請求項1記載の床用吸込具。
【請求項4】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー体の下端から裏面側に亘って貼着することを特徴とする請求項3記載の床用吸込具。
【請求項5】
前記カバー体の裏面に、前記柔らかくて滑りやすい部材を貼着する貼着部を凹設することを特徴とする請求項4記載の床用吸込具。
【請求項6】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー部材の幅方向略中央部でカバー体の裏面側に亘って貼着することを特徴とする請求項4記載の床用吸込具。
【請求項7】
前記本体ケース内に回転ブラシを回転自在に枢支すると共に、前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記回転ブラシの略両端に対応する位置でカバー体の裏面側に亘って貼着することを特徴とする請求項4記載の床用吸込具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の床用吸込具を用いることを特徴とする電気掃除機。
【請求項1】
吸込口が下面から前面の少なくとも一部まで開口された本体ケースと、該本体ケースの吸込口の前側部分を閉塞するカバー体とを備え、
前記カバー体は、吸込口の前側部分を閉塞する下方回動位置と、吸込口の前側部分を開放する上方回動位置との間を回動自在に形成され、前記カバー体の壁面などへの当接により下方回動位置から上方回動位置に回動させるよう構成すると共に、
前記カバー体は、上部が断面形状略円弧状に形成され、該円弧状部分の下部に壁面などとの当接部分となる膨出部がカバー体の幅方向略全幅に亘って前方に突出形成されると共に、前記膨出部より下方位置に、下方になるに従って本体ケース側に向かう平面上の傾斜面を形成し、該傾斜面の下方位置に、床面に対して略垂直な延設部をカバー体の幅方向略全幅に亘って形成することを特徴とする床用吸込具。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記カバーの上方回動位置で壁面などと略平行になるように形成することを特徴とする請求項1記載の床用吸込具。
【請求項3】
前記カバー体の壁面との当接部分に柔らかくて滑りやすい部材を配設することを特徴とする請求項1記載の床用吸込具。
【請求項4】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー体の下端から裏面側に亘って貼着することを特徴とする請求項3記載の床用吸込具。
【請求項5】
前記カバー体の裏面に、前記柔らかくて滑りやすい部材を貼着する貼着部を凹設することを特徴とする請求項4記載の床用吸込具。
【請求項6】
前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記カバー部材の幅方向略中央部でカバー体の裏面側に亘って貼着することを特徴とする請求項4記載の床用吸込具。
【請求項7】
前記本体ケース内に回転ブラシを回転自在に枢支すると共に、前記柔らかくて滑りやすい部材を、前記回転ブラシの略両端に対応する位置でカバー体の裏面側に亘って貼着することを特徴とする請求項4記載の床用吸込具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の床用吸込具を用いることを特徴とする電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−213539(P2012−213539A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81399(P2011−81399)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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