説明

床置き式空気調和機

【課題】 電気部品等に水が掛からないようにして安全性を確保することができ、また収容箱をシールするシール材が不要で製造コストを抑制できる床置き式空気調和機を提供する。
【解決手段】 熱交換器2と、該熱交換器2の下部に設けられ、熱交換器2から発生したドレインを収容するドレインパン3と、熱交換器2から発生した冷風又は温風を送風するための送風ファン5と、該送風ファン5を収容するファンケーシング6とを備え、ドレインパン3が、切り欠き状の溢流口3bを有し、ファンケーシング6が、溢流口3bから溢れ出た水を流下させる水路6aを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床置き式空気調和機に関し、特に熱交換器から出たドレイン(排水)が電気部品等に掛かることがなく、また製造コストの低い床置き式空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
床置き式空気調和機では、ドレインパン(排水の受け皿)の排水口がつまった場合等に、ドレインパンより水が溢れ出してしまうことがある。従来の床置き式空気調和機では、このような場合に、ドレインパンの下方に配置された電気部品等に水が掛からないように、安全性確保のためのシールを電気部品収納箱の外郭に設けて水の浸入を防止する対策を施していた。
【0003】
また従来の空気調和機の室内機では、熱交換器の下部の吹出口の天板を兼用する露受皿を設け、露受皿のリブの上端中央に設けられた凹部から溢水を流下させる一方、この凹部の下方に位置する露受皿先端部の低位置に設けられた通水孔から溢水を吹出口の前方に滴下させていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−72568号公報(図1、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来の床置き式空気調和機では、一般的にドレインパンの縁が同じ高さであるため、水が溢れ出す位置が本体ユニットの据え付け状態による傾きや、製品の組立バラツキ等によって変化してしまい、水がどこから溢れ出すか予測ができなかった。このため電気部品収納箱の外郭は、どこから水が溢れ出ても水分が浸入しないように厳重にシールする必要が有り、このシール材が製造コストを増加させる原因となっていた。
【0005】
また従来の空気調和機の室内機では(例えば、特許文献1参照)、露受皿先端部の低位置に設けられた通水孔から溢水を吹出口の前方に滴下させて、使用者が溢水を早期に発見できるようにしているものの、溢水は空気調和機の外部に滴下するため、衛生的に問題があり、また滴下した溢水を清掃しなければならない等の問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題がなく、電気部品等に水が掛からないようにして安全性を確保することができ、また収容箱をシールするシール材が不要で製造コストを抑制できる床置き式空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る床置き式空気調和機は、熱交換器と、該熱交換器の下部に設けられ、熱交換器から発生したドレインを収容するドレインパンと、熱交換器から発生した冷風又は温風を送風するための送風ファンと、該送風ファンを収容するファンケーシングとを備え、ドレインパンが、切り欠き状の溢流口を有し、ファンケーシングが、溢流口から溢れ出た水を流下させる水路を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る床置き式空気調和機は、ドレインパンが切り欠き状の溢流口を有し、ファンケーシングが溢流口から溢れ出た水を流下させる水路を有するため、ドレインパンの下部に設けられた電気部品や送風ファンへの水着を防止することができ、水に対する安全性が確保できる。また水の浸入を防止するための電気部品収容箱に貼付されたシール材を省略することができるため、コストが抑えられ安価な床置き式空気調和機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る床置き式空気調和機の内部構成を示す斜視図である。また図2は、図1に示す床置き式空気調和機のドレインパンに設けられた溢流口の周辺部を示す拡大斜視図である。なお図1及び図2では、床置き式空気調和機の内部が見えるように一部を透明にしており、また溢流口の周辺部が見えるように一部を点線で示している。
図1に示す床置き式空気調和機は、床置き式空気調和機本体1の内部上方に熱交換器2を備え、その下方に熱交換器2から発生したドレイン(排水)を収容するドレインパン3が設けられている。また本実施形態1では、ドレインパン3の直下に電気部品を収容する電気部品収容箱4が備えられている。なおこの電気部品は、熱交換器2や以下に示す送風ファン5等を制御するためのものである。
【0010】
さらにドレインパン3の下部には、熱交換器2から発生した冷風又は温風を送風するための送風ファン5を収容するファンケーシング6が備えられている。なお本実施形態1では、図1に示すように、電気部品収容箱4が床置き式空気調和機本体1内部の前面側に設けられ、ファンケーシング6が床置き式空気調和機本体1内部の背面側に設けられているものとする。また、床置き式空気調和機本体1の最下部には、底面を形成するベース7が設けられている。なお送風ファン5は、例えば電動モータにより回転して熱交換器2から発生した冷風又は温風を送風するようになっている。
【0011】
図1に示す床置き式空気調和機は、床置き式空気調和機本体1の前面上方に設けられた吸込口(符号なし)から送風ファン5によって空気を吸引し、その空気が熱交換器2を通過する。この際、熱交換器2は空気を冷却又は加熱することにより冷風又は温風を発生する。熱交換器2で発生した冷風又は温風は、送風ファン5によって床置き式空気調和機本体1の前面下方に設けられた吹出口(符号なし)から送風される。
【0012】
図2に示すように、本実施形態1に係る床置き式空気調和機のドレインパン3の底面には、排水口3aが設けられており、この排水口3aにはドレインホース8が接続されている。またドレインパン3の側壁の上方には、切り欠き状の溢水口3bが設けられている。なお本実施形態1では、溢水口3bは床置き式空気調和機本体1の背面側に設けられているものとする。また溢水口3bの切り欠きの形状は、任意の形状でよい。
またファンケーシング6の側面には、ファンケーシング6を凹状に加工した水路6aが形成されており、この水路6aはドレインパン3に設けられた溢水口3bと繋がるように配置されている。なお従来の一般的な床置き式空気調和機では、溢水口3b及び水路6aに相当するものは設けられていない。
【0013】
本実施形態1に係る床置き式空気調和機では、床置き式空気調和機本体1の内部上方に備えられた熱交換器2から発生したドレインが、熱交換器2の下部に設けられたドレインパン3に流下する。通常の場合、ドレインパン3に流下したドレインは、排水口3aからドレインホース8を通って床置き式空気調和機本体1の外部に排出される。
しかし、排水口3aやドレインホース8に詰まりが発生した場合には、ドレインパン3に水(ドレイン)が溜まり、この水がドレインパン3に設けられた溢水口3bから流出する。流出した水は、ファンケーシンング6の側面に凹状に形成された水路6aに沿って流下し、床置き式空気調和機本体1の最下部を形成するベース7に流れ落ちる。
【0014】
なお本実施形態1では、電気部品を収容する電気部品収容箱4が床置き式空気調和機本体1の前面側に設けられ、溢水口3bが床置き式空気調和機本体1の背面側に設けられているが、電気部品を収容する電気部品収容箱4を床置き式空気調和機本体1の背面側に設け、溢水口3bを床置き式空気調和機本体1の前面側に設けるようにしてもよい。このように、溢水口3bと電気部品を収容する電気部品収容箱4を離れた位置に配置することで、電気部品への水着を確実に防止することができる。
【0015】
本実施形態1では、ドレインパン3が切り欠き状の溢流口3bを有し、ファンケーシング6が溢流口3bから溢れ出た水を流下させる水路6aを有するため、ドレインパン3の下部に設けられた電気部品や送風ファン6への水着を防止することができ、水に対する安全性が確保できる。また水の浸入を防止するための電気部品収容箱4に貼付されたシール材を省略することができるため、コストが抑えられ安価な床置き式空気調和機を提供することが可能となる。
また、溢水口3bから溢れ出た水を流下させる水路6aがファンケーシング6の側面に凹状に形成されているため、溢水口3bから溢れ出た水がファンケーシング6の側面に沿って流下し、水が送風ファン5に掛かるのを防止することができる。
さらに電気部品収容箱4がドレインパン3の直下に設けられているため、溢水口3bから溢れ出た水が電気部品に掛かる危険性を低減することができる。
【0016】
なお本発明に係る床置き式空気調和機は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において変更することが可能である。例えば、ファンケーシング6に設けられた水路6aは、ホース状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る床置き式空気調和機の内部構成を示す斜視図。
【図2】図1に示す床置き式空気調和機のドレインパンに設けられた溢流口の周辺部を示す拡大斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1 床置き式空気調和機本体、2 熱交換器、3 ドレインパン、3a 排水口、3b 溢水口、4 電気部品収容箱、5 送風ファン、6 ファンケーシング、6a 水路、7 ベース、8 ドレインホース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、該熱交換器の下部に設けられ、前記熱交換器から発生したドレインを収容するドレインパンと、前記熱交換器から発生した冷風又は温風を送風するための送風ファンと、該送風ファンを収容するファンケーシングとを備え、
前記ドレインパンは、切り欠き状の溢流口を有し、前記ファンケーシングは、前記溢流口から溢れ出た水を流下させる水路を有することを特徴とする床置き式空気調和機。
【請求項2】
前記熱交換器及び前記送風ファンを制御する電気部品を備え、該電気部品は、前記ドレインパンの直下に設けられていることを特徴とする請求項1記載の床置き式空気調和機。
【請求項3】
前記溢流口は、床置き式空気調和機本体の背面側に形成され、前記電気部品は、床置き式空気調和機の前面側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の床置き式空気調和機。
【請求項4】
前記溢流口は、床置き式空気調和機本体の前面側に形成され、前記電気部品は、床置き式空気調和機の背面側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の床置き式空気調和機。
【請求項5】
前記水路は、前記ファンケーシングの側面に形成され、前記溢流口から溢れ出た水は、前記ファンケーシングの側面を流下することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床置き式空気調和機。
【請求項6】
前記水路は、前記ファンケーシングの側面を凹状に加工して形成されていることを特徴とする請求項5記載の床置き式空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−258405(P2006−258405A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80112(P2005−80112)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】