説明

店舗間における作業機の在庫管理システム

【課題】作業機を保管する保管場所における作業機の在庫管理を正確に行うことができるようにする。
【解決手段】店舗間における作業機2の在庫管理システム1は、作業機2の在庫管理を行う管理サーバ5と、作業機2の在庫状況を管理サーバ5に通知すると共に店舗4に設置された店舗用端末6と、各店舗4に配置された作業機2に設けられて当該作業機2の固有情報をネットワークを介して管理サーバ5に送信する作業機用無線端末7とを備え、管理サーバ5は、受信した作業機用無線端末7からの作業機2の固有情報に基づいて各店舗4における作業機2の在庫状況を求める在庫状況算出手段40と、各店舗4から通知された通知在庫状況と各店舗4における算出在庫状況とを保存する在庫状況保存手段41とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタやバックホー等の作業機の在庫を管理する在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トラクタやバックホー等の作業機は、製造会社(製造メーカ)で製造され、製造された作業機は製造会社から販売を委託された店舗(ディーラ)に納品されて、店舗にて顧客に販売されているのが一般的である。
作業機の在庫管理を行うものではないが、車両の販売管理を行うシステムとして特許文献1に示すものがある。
【0003】
特許文献1では、顧客の要望を受けて店舗から製造会社に車両の発注を行い、製造会社が店舗に車両を納品し、店舗は納入した車両を顧客に販売している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−91635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業機を販売するにあたっては、上述した特許文献1の車両の販売方法と同様に作業機を店舗に納品して当該店舗にて作業機を販売するという方法をとっているものの納品の仕方が異なっている。即ち、特許文献1では、店舗から製造会社に発注を掛けて車両を納品するというジャストインタイム方式であるのに対し、作業機を販売する場合は、作業機を一括して店舗に納品するという方式である。
【0006】
したがって、特許文献1に示すような販売管理システムでは、基本的に店舗は車両の在庫は持たず、店舗における車両の在庫管理を積極的に取り入れるということはしていないのが実情である。
一方、作業機を販売するにおいては、店舗に同じ機種の作業機を複数台置くという場合もあるため、在庫管理は必要である。加えて、店舗が在庫を持つという形態であるため、状況によっては店舗間同士で作業機の移動させて、別の店舗で作業機を販売するということもある。
【0007】
しかしながら、作業機のように一括して作業機を納品するような状況下において在庫管理を行うシステムは未だ確立されていないのが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、店舗における作業機の在庫管理を行うことができて且つ店舗間における作業機の移動も把握することができる店舗間における作業機の在庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、作業機の在庫管理を行う管理サーバと、作業機の在庫状況を前記管理サーバに通知すると共に各店舗に設置された店舗用端末と、各店舗に設置された作業機に設けられて当該作業機の固有情報をネットワークを介して管理サーバに送信する作業機用無線端末とを備え、前記管理サーバは、受信した前記作業機用無線端末からの作業機の固有情報に基づいて各店舗における作業機の在庫状況を求める在庫状況算出手段と、各店舗から通知された通知在庫状況と前記在庫状況算出手段によって求められた各店舗における算出在庫状況とを保存する在庫状況保存手段と、を備えている点にある。
【0009】
前記管理サーバには、各店舗における通知在庫状況と算出在庫状況とを表示する表示装置が接続されていることが好ましい。
前記管理サーバは、各店舗から通知された通知在庫状況と各店舗における前記算出在庫状況とを照合する在庫状況照合手段を備えていることが好ましい。前記管理サーバは、各店舗から送信された通知在庫状況と各店舗における前記算出在庫状況とに基づいて各店舗における作業機の増減を算出する増減算出手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1によれば、各店舗から通知された通知在庫状況と各店舗における算出在庫状況とを保存しておけば、各店舗における在庫状況の変化が把握できるようになるため、店舗間における作業機の移動を把握することができる。
請求項2によれば、各店舗から通知された通知在庫状況と各店舗における算出在庫状況とを簡単に見比べることができ、これらの在庫状況変化を見ることによって店舗間における作業機の移動を把握することができる。
【0011】
請求項3によれば、各店舗から通知された通知在庫状況と各店舗における算出在庫状況との照合を行うことによって、通知在庫状況と算出在庫状況との齟齬を容易に見つけることができ、齟齬が生じている場合は、作業機が他の店舗に移動していると推測することができる。
請求項4によれば、各店舗における作業機の増減を求めることによって作業機の移動が集中している店舗を簡単に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】店舗間における作業機の在庫管理システムの全体構成図である。
【図2】(a)管理サーバに保存された情報を示したものであり、(b)管理サーバの情報を更新する例を示したものであり、(c)店舗Aにおける店舗端末から通知在庫状況を作成した例をしめしたものである。
【図3】(a)店舗Aの在庫状況を求めるために管理サーバの情報と作業機用無線端末の情報との突き合わせを行った状態を示したものであり、(b)店舗Aの在庫状況を算出した結果を示したものであり、(c)店舗Bの在庫状況を求めるために管理サーバの情報と作業機用無線端末の情報との突き合わせを行った状態を示したものであり、(d)店舗Bの在庫状況を算出した結果を示したものである。
【図4】(a)店舗Aの通知在庫状況と算出在庫状況との照合を示したものであり、(b)店舗Aにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果を示したもので、(c)店舗Bの通知在庫状況と算出在庫状況との照合を示したものであり、(d)店舗Bにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果を示したものである。
【図5】各店舗におけるトラクタの状況を示したもので(a)移動したトラクタの固有情報等を示した例であり、(b)頻繁にトラクタの移動が多い店舗を地図上にしめした例である。
【図6】図3とは異なる方法によって店舗A及び店舗Bにおける在庫状況を算出した例を示していて、(a)店舗Aの在庫状況を求めるために管理サーバの情報と作業機用無線端末の情報との突き合わせを行った状態を示したものであり、(b)店舗Aの算出在庫状況を算出した結果を示したものであり、(c)店舗Bの在庫状況を求めるために管理サーバの情報と作業機用無線端末の情報との突き合わせを行った状態を示したものであり、(d)店舗Bの算出在庫状況を算出した結果を示したものである。
【図7】図4とは異なる方法によって通知在庫状況と算出在庫状況との照合を示したものであり、(a)店舗Aにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果を示したもので、(b)店舗Bにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果を示したものである。
【図8】トラクタの制御ブロック図である。
【図9】トラクタの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、店舗間における作業機の在庫管理システムの全体構成図を示したものである。本発明の店舗間における作業機の在庫管理システム1は、例えば、トラクタ、バックホー、コンバインなどの作業機2の在庫管理を行うためのものである。
【0014】
以下、店舗間における作業機の在庫管理システムについて、作業機を販売する場合を例にとり説明する。
作業機2は、製造会社から販売の委託を受けた複数の店舗4に納品され、店舗4にて作業機2が顧客(ユーザ)に販売されることになる。即ち、店舗4に設定された作業機2の作業機置き場(作業機展示エリア)Eに、複数台の作業機2が置かれ、この作業機展示エリアEに置かれた作業機2を顧客が買うことになる。販売が完了した(販売済)の作業機2はユーザに引き取られ、製造会社から納品された作業機2は店舗4から無くなることになる。
【0015】
店舗4から作業機2が無くなってしまうと、店舗4は製造会社に作業機2の発注を掛け、作業機2を取り寄せるのが一般的である。しかしながら、例えば、作業機2が売れた直後に新たな顧客が店舗4に来店して、作業機2の購入を希望するという場合がある。このような場合にも製造会社に作業機2の発注を掛けて作業機2の取り寄せを行えば良いが顧客が作業機2の購入を急ぐ場合がある。上述したように、各店舗4に複数台の作業機2を置いて販売するという方式であるため、店舗4側では、別の店舗4に問い合わせをして顧客が望むトラクタを別の店舗4から取り寄せることがある。
【0016】
作業機2の発注を製造会社に行わず別の店舗4から作業機2を取り寄せた場合、製造会社や作業機2の販売を統括する販売管理会社3では、店舗間での作業機2の流れを把握することができないのが実情である。
本発明は、店舗間における作業機2の流れ(出し入れ)を確実に行えるようにするために考えられたもので、作業機2の在庫管理を行う管理サーバ5と、店舗4に置かれている作業機2の在庫状況を管理サーバ5に通知する店舗用端末6と、作業機2に設けられた作業機用無線端末7とを備えている。
【0017】
まず、作業機2の構成について、トラクタを例にとり説明する。
図9に示すように、トラクタ2は、前後に車輪を有する走行車体10にエンジン(例えば、ディーゼルエンジン)11、変速装置12等が搭載されることにより構成されている。この走行車体10の後部には、3点リンク機構16が昇降可能に設けられている。この3点リンク機構16には、各種の作業装置(図例は耕耘装置)13が着脱自在となっている。この作業装置13には、PTO軸を介してエンジン11からの動力が伝達されるようになっている。また、エンジン11の後方には、独立搭載型のキャビン14が設けられており、キャビン14内に運転席15が設けられている。このトラクタ2は、走行や作業装置13による作業が行えるようになっている。
【0018】
図8は、トラクタ2において走行系や作業系の制御を行う制御装置を示したものである。
図8に示すように、トラクタ2における走行系及び作業系の制御は、例えば、3つの制御装置(第1制御装置20、第2制御装置21、第3制御装置22)によって行うものとなっている。
【0019】
第1制御装置20は、トラクタ2の全体を制御するものであって、他の制御装置、即ち、第2制御装置21、第3制御装置22とは車載ネットワーク(Controller Area Network)によって相互通信が行えるようになっている。
この第1制御装置20には、アクセルペダルを操作したときのアクセルペダルの操作量、変速用のシフトレバーを操作したときのシフトレバー位置などが入力されるようになっている。
【0020】
第1制御装置20は、アクセルペダルの操作量に基づいてエンジン11が所定の回転数になるように第2制御装置21に制御指令を出力すると共に、シフトレバー位置に基づいて変速装置12を制御(変速制御)することができるようになっている。
その他、第1制御装置20には、エンジン回転上限値が入力されると共に、アクセルレバー量が入力されるようになっている。エンジン回転上限値は、運転席15の近傍に設けられたボリュームにより設定できるようになっており、アクセルレバー量は運転席15の近傍に設けられたアクセルレバーにより設定できるようになっている。
【0021】
エンジン回転上限値が入力されている場合、第1制御装置20は、エンジン11の回転数がエンジン回転上限値を超えないように第2制御装置21に制御指令を出力する。また、アクセルレバー量が入力されている場合、第1制御装置20は、アクセルペダルの操作
量がアクセルレバー量以上となれば、アクセルペダルの操作量に応じた制御指令を第2制御装置21にするものの、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量未満であるときにはアクセルペダルの操作量に応じた制御指令を行わず、アクセルペダルの操作量に応じたエンジン11の回転数の制御は行わないようになっている。
【0022】
また、第1制御装置20は、エンジン回転数、変速段、油温など、トラクタ2の様々な情報を表示する第1表示装置24を制御すると共に第3制御装置22からの入力に基づいて3点リンク機構16の昇降を制御する(3P昇降制御)。
このような第1制御装置20の内部メモリ25には、トラクタ2(作業機)を特定するための固有情報が保存されている。ここで、トラクタ2の固有情報とは、トラクタ2を特定するための情報であり、例えば、トラクタ2の1台1台に割り当てられたID(identification)を固有情報としてもよいが、この実施形態では、トラクタ2の製造番号と機種と組み合わせることによってトラクタ2を特定できるため、固有情報は製造番号及び機種からなるものとされている。
【0023】
第1制御装置20には作業機用無線端末7が接続されている。この作業機用無線端末7は、外部の機器と無線通信を行うためのものであって、電波を発信するアクティブ系の無線端末(無線機)とされている。作業機用無線端末7は、例えば、トラクタ2の運転席15の周辺に設けられている。
また、作業機用無線端末7は、例えば、第1制御装置20に保存されたトラクタ2(作業機2)の固有情報を送信したり、固有情報の他に第1制御装置20から出力された様々なトラクタ2の情報をネットワーク26を介して管理サーバ5に送信するものである。
【0024】
第2制御装置21(エンジンコンピュータユニット)は、主にエンジン11を制御するものであって、第1制御装置20からのアクセルペダルの操作量、クランク位置、カム位置等の入力に基づいて、インジェクタ27、コモンレール28、サプライポンプ29等を制御するものである。なお、第2制御装置21におけるエンジン11制御は、一般的なディーゼルエンジン11制御と同じものであり、例えば、インジェクタ27の制御では燃料噴射量、噴射時期、燃料噴射率が設定され、サプライポンプ29やコモンレール28の制御では燃料噴射圧が設定される。
【0025】
第3制御装置22は、第1制御装置20や第2制御装置21に入力される操作系(スイッチ等)の入力に基づいて、所定の入力信号を第1制御装置20や第2制御装置21に出力ものである。
上述したように、トラクタ2は、各制御装置20,21,22によって制御されて走行や作業装置13による作業を行うことができる。また、トラクタ2には作業機用無線端末7が搭載されているため、トラクタ2内の各種情報を外部に送信したり、外部からの情報を受信することができるようになっている。
【0026】
なお、トラクタ2の走行系や作業系の制御を行う制御装置の個数は、上述したものに限定されない。例えば、第1制御装置20、第2制御装置21、第3制御装置22を一体化して1つの制御装置で構成してもよい。また、トラクタ2は、1以上の制御装置によって走行や作業装置13による作業が行えるものであればよく、走行や作業を行うための制御方法などは上述したものに限定されない。
【0027】
次に、店舗間における作業機の在庫管理システムについて詳しく説明する。
管理サーバ5は、例えば、製造会社から委託を受けてトラクタ2の販売を行う販売管理会社3に設置されている。この管理サーバ5は、例えば、トラクタ2を販売する各店舗4(ディーラ)で、どの機種のトラクタ2が何台売れたか、また、どの機種のトラクタ2が何台売れてないかといった在庫状況を把握するためのものである。なお、管理サーバ5は、トラクタ2の在庫管理を統括的に行うものであるため、販売管理会社3だけでなく、製造会社に設置されていてもよい。また、管理サーバ5は、その他の会社に設置されていてもよい。
【0028】
店舗用端末6は、店舗4に置かれている作業機2の在庫状況を管理サーバ5に通知するもので、各店舗4毎(例えば、店舗A,店舗B,店4C)にそれぞれ設置されている。店舗4を区別する場合は、上述したように店舗A、店舗B、店舗Cというように表記する。
各店舗用端末6と管理サーバ5とは、有線又は無線等のネットワーク26(電気通信網)を介して相互通信が行えるようになっている。
【0029】
図2(a)は、管理サーバ5に保存された情報(データ)を示したものである。
具体的には、図2(a)に示すように、管理サーバ5には、店舗4毎に納品したトラクタ2の固有情報(製造番号、機種)が保存されていると共に、トラクタ2の価格、管理在庫状況が保存されている。したがって、管理サーバ5に保存されている情報を見れば、どの店舗4でどのトラクタ2があるか分かるようになっている。
【0030】
したがって、管理サーバ5に保存されている管理在庫状況を見れば、どの店舗4でどのトラクタ2が売れたか否かが分かるようになっている。
なお、管理在庫状況は、後述する通知在庫状況や算出在庫状況とは異なるものであって、実際にトラクタ2の販売が完了しているか否かを確認できている場合に書換や更新等が行われるものである。この管理在庫状況は、販売管理会社3側で自在に書換や更新等を行うことができる。
【0031】
例えば、図2(a)に示すように、店舗4A,製造番号「10004」,機種「M135A」の管理在庫状況は、在庫無「×」となっているため、当該トラクタ2は店舗Aには無いことが分かる。
一方、店舗B,製造番号「10201」,機種「M135A」の管理在庫状況は、在庫有「○」となっているため、当該トラクタ2は製造会社等から納品されたときと同じであってトラクタ2は売れておらず店舗Bにあることになる。
【0032】
加えて、図2(a)に示すように、管理サーバ5には、後述するように、店舗用端末6を用いて通知された各店舗4における在庫状況(通知在庫状況)が管理サーバ5に保存されるようになっている。以降、店舗用端末6を用いて、店舗4から管理サーバ5(販売管理会社3)に通知されたトラクタ2の在庫状況を通知在庫状況と言う。
管理サーバ5内のデータを見てみると、例えば、店舗A,製造番号「10004」,機種「M135A」の通知在庫状況は、在庫無「×」となっているが、店舗4からは当該トラクタ2は在庫が無いということが管理サーバ5に通知され、この通知によって管理サーバ5の通知在庫状況が在庫無であると更新されたものである。
【0033】
また、店舗B,製造番号「10201」,機種「M135A」の通知在庫状況は、在庫有「○」となっているが、店舗4からは当該トラクタ2は在庫がであるということが通知され、この通知によって管理サーバ5の通知在庫状況が在庫有であると更新されたものである。なお、製造会社から販売管理会社3にトラクタ2の納品情報が通知されたときに、トラクタ2の管理在庫状況を予め在庫有としておき、管理在庫状況と同様に管理サーバ5に保存される通知在庫状況も予め在庫有としていてもよい。
【0034】
各店舗4に設置された店舗用端末6は、例えば、パーソナルコンピュータで構成され、ネットワーク26を介して管理サーバ5にアクセスすることができるようになっている。この店舗用端末6は、上述したように、管理サーバ5に店舗4におけるトラクタ2の在庫状況を通知するもので、管理サーバ5にアクセスし、管理サーバ5内の情報を書き換えることができる。なお、店舗用端末6は、トラクタ2の在庫状況を管理サーバ5に通知するものであれば何でもよく、例えば、モバイルコンピュータ等の無線端末であってもよい。
【0035】
例えば、図2(b)に示すように、管理サーバ5において、店舗A、製造番号「10004」,機種「M135A」の通知在庫状況は在庫有「○」となっているが、同じ店舗4(店舗A)の店舗用端末6にて管理サーバ5にアクセスすることによって、店舗A、製造番号「10004」,機種「M135A」の通知在庫状況を在庫無「×」に書き換えることができる。
【0036】
なお、この実施形態では、店舗Aの店舗用端末6から管理サーバ5にアクセスをして、当該店舗用端末6を用いて管理サーバ5内の通知在庫状況の書換を行うようにしているが、図2(c)に示すように、店舗Aの店舗用端末6を用いてトラクタ2が在庫有であるか在庫無であるかという通知在庫状況を予め作成しておき、この店舗用端末6から当該通知在庫状況を管理サーバ5にアップロードすることによって管理サーバ5内の通知在庫状況を書き換えてもよい。
【0037】
店舗間における作業機2の在庫管理システム1では、店舗間のトラクタ2の在庫を把握するに際し、店舗4に配置された作業機2の情報を取得し、この情報を用いて在庫管理を行うこととしている。
まず、トラクタ2に電波を発信する作業機用無線端末7を搭載すると共に、この作業機用無線端末7と送受信可能な無線用送受信器33を店舗4に設置しておく。そして、作業機用無線端末7と無線用送受信器33との無線通信を行い、作業機用無線端末7と無線用送受信器33との通信ができるとき(データのやり取りができるとき)は、当該作業機用無線端末7を搭載したトラクタ2は、店舗4(作業機展示エリアE)に存在しているとみなすことができる(在庫が有る)。
【0038】
一方、作業機用無線端末7と無線用送受信器33との無線通信を行った際、作業機用無線端末7と無線用送受信器33とが通信できなくなったとき(作業機用無線端末7からのデータが無線用受信にて受信できないとき)は、当該作業機用無線端末7を搭載したトラクタ2は、店舗4にはなく在庫が無いとみなすことができる。
つまり、トラクタ2が店舗4内(作業機展示エリアE)にあるときは、作業機用無線端末7からの電波が無線用送受信器33に届くため、この無線通信によってトラクタ2が有る(在庫有り)ことを確認することができる。一方で、トラクタ2が顧客に引き取られたり、他の店舗4に移動すると店舗4内(作業機展示エリアE)に存在しなくなる。そうすると、作業機用無線端末7の電波が無線用送受信器33に届かなくなるため、作業機用無線端末7と無線用送受信器33との通信は途絶える(通信が不可能)ことから、このようなときは、トラクタ2は店舗4の作業機展示エリアEから他の場所へ移動したとみなすことができる。
【0039】
トラクタ2の移動を把握するために、トラクタ2を店舗4に納品すると、まず、無線用送受信器33と当該トラクタ2に搭載した作業機用無線端末7とが無線通信できるようにトラクタ2を作業機展示エリアEに置く。
作業機用無線端末7と無線用送受信器33との無線通信範囲は限定されないが、作業機展示エリアEと略同じ大きさに設定することが好ましい。例えば、作業機展示エリアE内では、作業機用無線端末7を搭載したトラクタ2が何処にいても、当該作業機用無線端末7の電波が無線用送受信器33に届くように設定しておくことが好ましい。無線通信範囲は、例えば、500m以下に設定することが好ましい。
【0040】
そして、定期的(例えば、一日毎、一週間毎、一ヶ月毎)に作業機用無線端末7から無線用送受信器33にトラクタ2の固有情報(製造番号及び機種)を送信するように作業機用無線端末7を設定しておく。この実施形態では、同じ時間帯に同一店舗4にある全てのトラクタ2の作業機用無線端末7から固有情報を送信することが好ましい。なお、管理サーバ5からの要求に応じて略同一時間帯にトラクタ2(作業機用無線端末7)がトラクタ2の固有情報を送信してもよい。
【0041】
無線用送受信器33では、作業機用無線端末7からのトラクタ2の固有情報を受信すると、管理サーバ5に当該トラクタ2の固有情報を送信するようにしておく。例えば、同じ時間帯に店舗4に置かれている作業機用無線端末7からの固有情報を全て受信して、受信した固有情報を一括してネットワーク26に送信する。
したがって、作業機用無線端末7及び無線用送受信器33を介して、同一の店舗4に置かれたトラクタ2の固有情報が、管理サーバ5に定期的に送信されることとなっている。
【0042】
なお、無線用送受信器33は作業機用無線端末7から送られてきた固有情報(情報)を受信して当該固有情報(情報)を管理サーバ5に送信するものであれば、どのようなものであってもよい。
一方、管理サーバ5では、トラクタ2の固有情報に基づいて店舗4における在庫状況を算出する。管理サーバ5で算出した店舗4における在庫状況は管理サーバ5に保存される。以降、トラクタ2から送信された情報(例えば、固有情報)に基づいて求めたトラクタ2の在庫状況を算出在庫状況と言う。
【0043】
こうすることによって、予め保存されている通知在庫状況(店舗4から通知された在庫状況)と、この通知在庫状況とは別に求められた算出在庫状況とを見比べることができる

詳しくは、管理サーバ5は、在庫状況算出手段40と、在庫状況保存手段41を備えている。
【0044】
在庫状況算出手段40は、作業機用無線端末7から送信されたトラクタ2の情報に基づいて店舗4における実際の在庫状況を算出するもので、管理サーバ5に格納されたプログラム等から構成されている。
図3(a)に示すように、例えば、在庫状況算出手段40は、店舗Aに置かれている作業機用無線端末7からトラクタ2の固有情報が管理サーバ5に入力されると、管理サーバ5内に保存された固有情報と、作業機用無線端末7から送られてきた固有情報との突き合わせを行う。
【0045】
そして、図3(b)に示すように、在庫状況算出手段40は、管理サーバ5内に保存されている固有情報と同じ固有情報が管理サーバ5に入力される(作業機用無線端末7から送信される)と、管理サーバ5に入力された固有情報を有するトラクタ2は、在庫があるとする(算出、「○」)。
一方、在庫状況算出手段40は、管理サーバ5内に保存されている固有情報と同じ固有情報が入力されない(作業機用無線端末7から送信されない)場合は、管理サーバ5に入力されなかった固有情報を有するトラクタ2は、在庫無しとする(算出、「×」)。
【0046】
図3(a),(b)に示すように、管理サーバ5の情報を見ると、例えば、製造番号「10012」,機種「M115A」のトラクタ2は、店舗Aに置かれているとしているが、このトラクタ2に対応する固有情報が店舗A(作業機用無線端末7)から送信されているため、算出在庫状況は在庫有となる(算出、「○」)。
また、例えば、製造番号「10001」,機種「M135A」のトラクタ2は、店舗Aに置かれているとしているが、このトラクタ2に対応する固有情報が店舗A(作業機用無線端末7)から送信されなかったため、算出在庫状況は在庫無となる(算出、「×」)。
【0047】
在庫状況算出手段40は、店舗Aの無線用送受信器33(店舗Aに置かれたトラクタ2の作業機用無線端末7)から送られてきた固有情報を全て受信すると(受信完了)、算出在庫状況の算出を終了し、図3(b)に示すような算出在庫状況を、在庫状況保存手段41(例えば、ハードディスクなどの不揮発性記憶装置)に保存する。
また、図3(c)、(d)に示すように、在庫状況算出手段40は、店舗Bに置かれている作業機用無線端末7からトラクタ2の固有情報が管理サーバ5に入力されると、店舗Bにおける算出在庫状況を店舗Aと同じ方法で算出する。
【0048】
例えば、管理サーバ5において店舗Bの情報(データ)には存在しない固有情報を、店舗B(店舗Bの無線用送受信器33)から固有情報を受信した際、在庫状況算出手段40は、新たに受信した固有情報を有するトラクタ2は、店舗Bに存在するとし、新たな固有情報に対応するトラクタ2の算出在庫状況を在庫有とする(算出、「○」)。
図3(c)に示すように、管理サーバ5の店舗Bに対応するデータ内には、製造番号「10006」,機種「M135A」とからなる固有情報は存在しないが、この固有情報は店舗Bから送られてきたことは特定できるため、当該固有情報を有するトラクタ2は店舗Bにあるとする。
【0049】
そして、店舗Bの無線用送受信器33(店舗Bに置かれた作業機2の作業機用無線端末7)から送られてきた固有情報を全て受信すると(受信完了)、在庫状況の算出を終了し、図3(d)に示すような算出在庫状況を、在庫状況保存手段41に保存する。
このように、各店舗4に置かれたトラクタ2の作業機用無線端末7から固有情報が送信(管理サーバ5から見れば固有情報を受信)する毎に、各店舗4における在庫状況を算出して、算出した各店舗4における算出在庫状況を在庫状況保存手段41に保存する。
【0050】
各店舗4における算出在庫状況を在庫状況保存手段41に保存するときは、保存した時間も保存することが好ましい。また、各店舗4の作業機用無線端末7からネットワーク26等を介して管理サーバ5に固有情報を送信するタイミングを同じにすることによって、同じ時間帯における各店舗4での在庫状況を在庫状況保存手段41に保存することができる。
【0051】
さて、管理サーバ5には、店舗用端末6にて通知された通知在庫状況と在庫状況算出手段40によって算出した算出在庫状況との照合を行う在庫状況照合手段42を備えている。即ち、在庫状況照合手段42は、在庫状況保存手段41に保存された通知在庫状況と算出在庫状況とを呼び出して両者を比較するものである。
まず、図4(a)に示すように、在庫状況照合手段42は、例えば、店舗Aから通知された通知在庫状況を管理サーバ5から呼び出すと共に、在庫状況算出手段40によって算出した同一の店舗Aにおける算出在庫状況を呼び出す。在庫状況照合手段42は、店舗Aの通知在庫状況及び算出在庫状況を呼び出す場合には、両者の更新時間(管理サーバ5へのデータを入れた時間)が出来るだけ近いもの、例えば、最新のものを呼び出す。
【0052】
そして、例えば、図4(a)に示すように、在庫状況照合手段42は、通知在庫状況において通知内容と、算出在庫状況において算出内容とが一致しているか否かを検証する。
在庫状況照合手段42は、通知在庫状況における通知内容と、算出在庫状況の算出内容とが一致している場合は、同一の固有情報を有するトラクタ2に関しては、通知在庫状況と算出在庫状況とに齟齬がないとする。
【0053】
一方、在庫状況照合手段42は、通知在庫状況における通知内容と、算出在庫状況における算出内容とが不一致の場合は、同一の固有情報を有するトラクタ2に関して通知在庫状況と算出在庫状況とが異なり、実際の在庫状況が異なる可能性があるとする。
例えば、図4(b)に示すように、製造番号「10006」,機種「M135A」のトラクタ2は、店舗Aの店舗用端末6から通知された通知在庫状況では在庫有になっているのに対し、作業機用無線端末7によって求めた算出在庫状況では在庫無になっている。
【0054】
また、図4(c)、(d)に示すように、在庫状況照合手段42は、店舗Aと同じ方法で、店舗Bにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合を行う。例えば、図4(d)に示すように、製造番号「10006」,機種「M135A」のトラクタ2は、店舗Bには存在しないのに対し、作業機用無線端末7によって求めた算出在庫状況では在庫有になっている。
【0055】
ここで、店舗Aにおける照合結果と店舗Bにおける照合結果との両方を見比べてみる。店舗Aの通知在庫状況で在庫有りとされた製造番号「10006」,機種「M135A」のトラクタ2は、店舗Aの実通知在庫状況では在庫無しとなっている。一方、店舗Bの通知在庫状況で存在しないとされた製造番号「10006」,機種「M135A」のトラクタ2は、店舗Bの実通知在庫状況では在庫有りとなっている。
【0056】
これら店舗Aでの照合結果と店舗Bの照合結果とを見比べると、店舗Aに存在していたはずの製造番号「10006」,機種「M135A」のトラクタ2は、店舗Bに移動していることが分かる。
つまり、各店舗4における算出在庫状況と各店舗4における通知在庫状況とを保存して見比べられるようにすれば、店舗間でのトラクタ2の移動を把握することができる。
【0057】
さらに詳しくは、管理サーバ5には第2表示装置(モニタ)43を設けておく。そして、例えば、図4(a)に示したような店舗Aにおける通知在庫状況及び算出在庫状況を第2表示装置43に表示すると共に、図4(d)に示したような他の店舗4(例えば、店舗B)における通知在庫状況及び算出在庫状況を第2表示装置43に表示する。
こうすることによって、各店舗4における通知在庫状況及び算出在庫状況を第2表示装置43を通して見ることができ、その結果、各店舗4における作業機2の流れを把握することが可能となる。
【0058】
より好ましくは、各店舗4における通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果であって照合が異なる部分(不一致している部分)を第2表示装置43に表示することが好ましい。例えば、図4(b)に示したように、店舗Aにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果(不一致部分)を第2表示装置43に表示すると共に、図4(d)に示したように、店舗Bにおける通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果を第2表示装置43に表示する。
【0059】
また、図5に示すように、管理サーバ5に各店舗4を地図で示すことができる地図データを保存しておき、この地図データを読み込むことによって表示装置に各店舗4の位置を
地図上で示すことができるようにする。そのうえで、通知在庫状況と算出在庫状況との照合結果を地図上で表すことができるようにしてもよい。
例えば、図5(a)に示すように、照合結果によって、例えば、製造番号「10006」,機種「M135A」のトラクタ2が店舗Aから店舗Bに移動したことが分かるように、地図上に移動したトラクタ2の固有番号と移動先を表示する。或いは、図5(b)に示すように、頻繁にトラクタ2の移動が多い店舗4又は地域を地図上で分かるように表示する。
【0060】
なお、本発明の店舗間における作業機2の管理システムでは、略同じ時間帯に、各店舗4に置かれたトラクタ2の作業機用無線端末7から固有情報を取得して、各店舗4における算出在庫状況を求めることが好ましい。そうすることによって、同じ時間帯での各店舗4における算出在庫状況や通知在庫状況が分かるため、トラクタ2の移動が把握し易い。
特に、各店舗4が閉店してトラクタ2を販売していない時間帯(例えば、夜中)ときに、一連の動作(作業機用無線端末7から固有情報を取得、在庫状況の算出、算出在庫状況と通知在庫状況との保存又は照合又は表示)を行うことが好ましい。
【0061】
また、管理サーバ5は、各店舗4から送信された通知在庫状況と各店舗4における算出在庫状況とに基づいて各店舗4におけるトラクタ2の増減を算出する増減算出手段45を有していてもよい。増減算出手段45は、例えば、算出在庫状況におけるトラクタ2の在庫台数(トラクタ2の在庫有りの合計)から通知在庫状況におけるトラクタ2の在庫台数を引くことによって、トラクタ2の増減、つまり、在庫台数の増減を計算する。図4の店舗Aの例では、トラクタ2の増減は[−1]となり、店舗Bの例では、トラクタ2の増減は[+1]となる。増減算出手段45によって求めた各店舗4におけるトラクタ2の増減を、表示装置に表示してもよい。
【0062】
管理サーバ5は、増減算出手段45を備えているため簡単に店舗4から通知されたトラクタ2の在庫台数に対して、増減の有無や増減の台数を把握することができる。
この実施形態では、管理サーバ5は、在庫状況照合手段41と、増減算出手段45とを備えていることになっているが、いずれか一方を備えるものであってもよい。
以上、店舗間における作業機2の在庫管理システム1によれば、管理サーバ5と、店舗用端末6と、作業機用無線端末7とを備え、管理サーバ5は、受信した作業機用無線端末7からの作業機2の固有情報に基づいて各店舗4における作業機2の在庫状況を求める在庫状況算出手段40と、各店舗4から通知された通知在庫状況と各店舗4における算出在庫状況とを保存する在庫状況保存手段41とを備えている。
【0063】
これによれば、各店舗における在庫状況の変化が容易に把握できるようになる。例えば、店舗Aにおける通知在庫状況と算出在庫状況とが合っているか否か、或いは、店舗Bにおける通知在庫状況と算出在庫状況とが合っているか否かを店舗毎に見ることができる。その結果、例えば、店舗Aにおいて通知在庫状況と算出在庫状況とを見たときに両者の在庫状況の差(作業機の台数)の差が−1台であり、店舗Bにおいて通知在庫状況と算出在庫状況とを見たときに両者の在庫状況の差(作業機の台数)の差が+1台である場合、店舗Aの作業機が店舗Bに移動した可能性があると推測することができる。
【0064】
また、図4に示したように、各店舗において移動したと思われる作業機を特定することができれば、特定の作業機がどの店舗からどの店舗に移動したということも把握することができる。つまり、店舗間における作業機2の在庫管理システム1によれば、店舗間における作業機の移動を把握することができる。
なお、この実施形態では、管理サーバ5は、在庫状況照合手段42と、増減算出手段45とを備えていることになっているが、いずれか一方を備えるものであってもよい。
【0065】
[第2実施形態]
第1実施形態では、店舗4に納品したトラクタ2に対して1台毎に在庫があるかどうかかが分かるシステムとしていたが、第2実施形態では第1実施形態とは異なり、店舗4に納品したトラクタ2に対して何台が在庫有ありになっているかという台数が分かるシステムとなっている。なお、第1実施形態と同じ構成は、説明を省略する。
【0066】
在庫状況算出手段40は、作業機用無線端末7からトラクタ2の固有情報が管理サーバ
5に入力されると、作業機用無線端末7から送信された作業機2の固有情報を収集する。例えば、図6(a)に示すように、在庫状況算出手段40は、まず、店舗Aにおける管理サーバ5に入力された固有情報(製造番号、機種)を収集して、収集した固有情報のうち、店舗4毎に同じ機種の台数をカウントする。
【0067】
即ち、図6(b)に示すように、在庫状況算出手段40は、収集した固有情報を用いて店舗Aに置かれた同じ機種のトラクタ2の台数を求め、当該トラクタ2の台数を店舗Aにおける算出在庫有台数とする。このように、第2実施形態では、算出在庫有台数を店舗Aにおける算出在庫状況としている。
図6(c)、(d)に示すように、実在庫算出手段は、店舗Aと同じように、収集した固有情報を用いて店舗Bに置かれた同じ機種のトラクタ2の台数を求め、当該トラクタ2の台数を店舗Bにおける算出在庫有台数とする。
【0068】
在庫状況照合手段42は、算出在庫状況と通知在庫状況とを照合する際、同一店舗4の店舗用端末6から通知された通知在庫状況に基づいて通知在庫有台数を求める。在庫状況照合手段42は、管理サーバ5に保存された通知在庫状況中から同一機種の在庫有の台数を集計して、この台数を通知在庫有台数とする。
そして、図7(a),(b)に示すように、在庫状況照合手段42は、在庫状況算出手段40によって算出した同一の店舗Aにおける算出在庫状況を読み出し、同一機種について算出在庫有台数と通知在庫有台数との照合を行う。
【0069】
図7(a)に示すように、店舗Aの機種「M135A」に着目すると、店舗Aの店舗用端末6から通知された通知在庫状況では、通知在庫有台数が4台になっているのに対し、作業機用無線端末7からの情報に基づいて求めた算出在庫状況では、算出在庫有台数が3台になっている。このように、店舗Aにおける算出在庫状況では通知在庫状況に比べて、機種「M135A」のトラクタ2が1台減っていることが分かる。
【0070】
図7(b)に示すように、店舗Bの機種「M135A」に着目すると、店舗Bの店舗用端末6から通知された通知在庫状況では、通知在庫有台数が3台になっているのに対し、作業機用無線端末7からの情報に基づいて求めた算出在庫状況では、算出在庫有台数が4台になっている。このように、店舗Bにおける算出在庫状況では通知在庫状況に比べて、機種「M135A」のトラクタ2が1台増えていることが分かる。
【0071】
このように、トラクタ2の通知在庫状況と算出在庫状況とを、それぞれ機種毎にトラクタ2の台数として表しているため、各店舗4における機種毎の増減を把握することができるようになる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0072】
上述した実施形態では、作業機用無線端末7は、自ら電波を発信するアクティブ型の無線機であったが、自ら電波を発信せず無線用送受信器33からの電波によって情報を送信するパッシブ型の無線機であってもよい。上述したように、本発明は、バックホー、コンバインなどの作業機2の在庫を管理する際にも適用することができる。
上述した実施形態では、作業機2(トラクタ2)の固有情報が第1制御装置20(制御装置)に保存されていて作業機用無線端末7は、第1制御装置20に保存された固有情報を無線にて送信するようにしていたが、作業機2の固有情報は制御装置に保存されていなくてもよく、作業機用無線端末7が固有情報を有していて当該作業機用無線端末7が無線にて自ら有する固有情報を無線にて送信してもよい。
【0073】
上述した実施形態では、作業機用無線端末7から送信された作業機2の固有情報に基づいて店舗4における在庫状況を算出していたが、固有情報以外の情報を用いて店舗4における在庫状況を算出してもよい。例えば、作業機用無線端末7から機種又は製造番号のいずれかを店舗4に設置した無線用送受信器33に送信して、機種又は製造番号から店舗4の在庫有りの作業機2の台数を求めるようにしてもよい。また、管理サーバ5は、製造会社又は販売管理会社3の他に店舗4に設置してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 在庫管理システム
2 作業機(トラクタ)
3 販売管理会社
4 店舗
5 管理サーバ
6 店舗用端末
7 作業機用無線端末
10 走行車体
11 エンジン
12 変速装置
13 作業装置
14 キャビン
15 運転席
16 3点リンク機構
20 第1制御装置
21 第2制御装置
22 第3制御装置
24 第1表示装置
25 内部メモリ
26 ネットワーク
27 インジェクタ
28 コモンレール
29 サプライポンプ
33 無線用送受信器
40 在庫状況算出手段
41 在庫状況保存手段
42 在庫状況照合手段
43 第2表示装置
45 増減算出手段
E 作業機展示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の在庫管理を行う管理サーバと、
作業機の在庫状況を前記管理サーバに通知すると共に各店舗に設置された店舗用端末と、
各店舗に設置された作業機に設けられて当該作業機の固有情報をネットワークを介して管理サーバに送信する作業機用無線端末とを備え、
前記管理サーバは、
受信した前記作業機用無線端末からの作業機の固有情報に基づいて各店舗における作業機の在庫状況を求める在庫状況算出手段と、
各店舗から通知された通知在庫状況と前記在庫状況算出手段によって求められた各店舗における算出在庫状況とを保存する在庫状況保存手段と、
を備えていることを特徴とする店舗間における作業機の在庫管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバには、各店舗における通知在庫状況と算出在庫状況とを表示する表示装置が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の店舗間における作業機の在庫管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、各店舗から通知された通知在庫状況と各店舗における前記算出在庫状況とを照合する在庫状況照合手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の店舗間における作業機の在庫管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、各店舗から送信された通知在庫状況と各店舗における前記算出在庫状況とに基づいて各店舗における作業機の増減を算出する増減算出手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の店舗間における作業機の在庫管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−71969(P2012−71969A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219557(P2010−219557)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)