説明

座席シートおよびその製造方法

【課題】凹凸面を有するクッション体を表皮で覆った構成の座席シートにおいて、表皮にシワ等が生じにくい座席シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】表皮14によって覆われたクッション体11を備えた座席シート1であって、クッション体11には、平面部12aと、平面部12aの縁部よりも表皮14側に隆起した傾斜部12b,土手部13等と、が形成され、クッション体11は、平面部12aにおいて表皮14と接着固定されない領域を有すると共に、平面部12aの縁部において表皮14と接着固定された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は座席シートおよびその製造方法に係り、特に、表皮によって覆われたクッション体を有する座席シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステル繊維等からなる繊維構造体をクッション体として用い、このクッション体を表皮で覆った構成の座席シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の座席シートは、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体からなるマトリックス繊維中に、熱接着性複合短繊維が接着成分として分散・混入されたウェブを、その長さ方向に沿って林立状態で順次折畳んだ状態として繊維構造体を形成し、この繊維構造体を厚さ方向に複数積層して、その表面を表皮で覆うことにより形成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−318066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような座席シートでは、クッション体と表皮とは通常、全面接着される。しかしながら、着座者による長時間の着座や、繰り返し使用によって、形状変化や表皮の伸び等の劣化が生じるおそれがある。このような劣化が生じると、表皮にシワ等が生じたり浮きが生じたりして、外観形状が不良となってしまうという問題があった。
【0005】
また、クッション体と表皮とを接着固定すると、座席シートの製造時においても表皮にシワ等が生じて外観不良となってしまい、その修正が利かないという問題があった。
このような問題は、座席シートのクッション体が凹凸面を有する場合に顕著となる。
【0006】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、凹凸面を有するクッション体を表皮で覆った構成の座席シートにおいて、表皮にシワ等が生じにくい座席シートおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表皮によって覆われたクッション体を備えた座席シートであって、前記クッション体には、平面部または凸面部と、該平面部または凸面部の縁部よりも前記表皮側に隆起した隆起部と、が形成され、前記クッション体は、前記平面部または凸面部において前記表皮と接着固定されない領域を有すると共に、前記平面部または凸面部の縁部において前記表皮と接着固定されたことを特徴とする。
【0008】
このように本発明の座席シートでは、クッション体の平面部または凸面部の縁部でクッション体を覆う表皮が接着固定されているので、平面部または凸面部で表皮が浮き上がったり、シワが生じたりすることを防止することができる。また、平面部または凸面部の縁部よりも表皮側に隆起した隆起部では、平面部または凸面部の縁部が接着固定されているので、隆起部の全面で表皮が接着固定されていなくても、表皮の浮きやシワ等が生じにくくなる。このように本発明の座席シートでは、表皮にシワ等を生じにくくして製品の外観品質を向上させることができる。
【0009】
また、前記隆起部には、溝部が形成され、前記表皮は、前記溝部において前記クッション体と接着固定されると好適である。このように構成すると、溝部において確実に表皮をクッション体に密着させることができ、外観形状を良好に維持することが可能である。
【0010】
また、上記座席シートは、繊維構造体を所定形状に形成し表皮で覆ったクッション体と、該クッション体を支持する支持フレームと、を備えた座席シートの製造方法であって、前記クッション体に平面部または凸面部と、該平面部または凸面部の縁部よりも前記表皮側に隆起した隆起部と、を形成可能なキャビティを有する成形型に、前記繊維構造体と前記表皮とを積層して配置すると共に、前記平面部または凸面部において前記表皮と接着固定されない領域を形成すると共に前記平面部または凸面部の縁部と前記表皮とを接着するように、前記繊維構造体と前記表皮との間に熱接着性シートを配置して、前記成形型を型締めする繊維構造体配置工程と、前記成形型を加熱して前記クッション体を形成する成形工程と、前記支持フレームに前記クッション体を取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする座席シートの製造方法によって製造することができる。
【0011】
また、前記成形型は、前記隆起部に溝部を形成する溝形成部を有し、前記配置工程では、前記溝部と前記表皮とを接着するように、前記繊維構造体と前記表皮との間に熱接着性シートを配置すると好適である。
【0012】
また、上記座席シートは、表皮で覆われたクッション体と、該クッション体を支持する支持フレームと、を備えた座席シートの製造方法であって、前記クッション体に平面部または凸面部と、該平面部または凸面部の縁部よりも前記表皮側に隆起した隆起部と、を形成可能なキャビティを有する成形型によって前記クッション体を形成する成形工程と、前記クッション体の平面部または凸面部において前記表皮と接着固定されない領域を形成すると共に前記平面部または凸面部の縁部と前記表皮とを接着固定して、該表皮にて前記クッション体を覆う接着工程と、前記支持フレームに前記クッション体を取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする座席シートの製造方法によって製造することができる。
【0013】
また、前記成形型は、前記隆起部に溝部を形成する溝形成部を有し、前記接着工程では、前記溝部と前記表皮とを接着固定すると好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凹凸面を有するクッション体を表皮で覆った構成の座席シートにおいて、クッション体の平面部または凸面部の縁部においてクッション体と表皮とを接着固定するように構成しているので、使用等によってクッション体の形状変化や表皮の伸び等の劣化が生じた場合であっても、平面部や凸面部において表皮にシワ等を生じにくくして、外観品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0016】
図1〜図8は、本発明の一実施形態に係るものであり、図1は座席シートの説明図、図2は座席シートのクッション体と表皮との接着領域の説明図、図3は座席シートの断面説明図、図4はウェブの繊維方向の説明図、図5はシート状繊維構造体の製造工程の説明図、図6はシート状繊維構造体の積層状態を表す説明図、図7,図8はクッション体の製造工程の説明図である。
【0017】
本例の座席シート1は、車、電車、航空機等の座席に適用することができるものであり、事務椅子、介護椅子等の各種椅子等にも適用可能である。本例の座席シート1は、図1に示すように、着座部10と、背もたれ部20と、を備えている。着座部10,背もたれ部20は、それぞれ表皮14,24で覆われたクッション体11,21を備えている。クッション体11,21の後面側は、それぞれ樹脂製のカバー19,29で覆われている。
【0018】
図2(A),(B)は、それぞれ背もたれ部20,着座部10の正面図である。図中、破線で囲まれた斜線部20a,10aは、それぞれクッション体21と表皮24,クッション体11と表皮14の接着領域である。このように、本例では、クッション体11,21は、それぞれ部分的に表皮14,24と接着固定された構成となっている。
【0019】
なお、本例の座席シート1の着座部10,背もたれ部20では、クッション体11,21を表皮14,24にて覆う構成は同様であるので、以下、着座部10を例にとってその構造および製造方法について説明する。
【0020】
図3に示すように、着座部10は、所定形状のクッション体11の表面を表皮14で覆った構成である。
表皮14は、その端末が折り返されて袋状に縫製されており、その袋状の縫製部に紐15が通されている。表皮14は、紐15を締め付けることにより、周囲が縮んでクッション体11に取付けられている。
【0021】
クッション体11の裏面側の中央部は、平面状に形成されており、この部位が可撓性を有する樹脂製の支持プレート17によって支持されている。本例の着座部10では、クッション体11の弾性と支持プレート17による弾性によって、適度なクッション性を付与することができるようになっている。
【0022】
また、クッション体11の裏面側の両側部は、クッション体11の側部の形状を保持するように、インナーカバー18によって支持されている。クッション体11の両側部に掛かる外力は、クッション体11の剛性と共に、インナーカバー18によって支持される。
なお、本例では、着座時に支持プレート17を撓み易くするために、支持プレート17とインナーカバー18とを別体に形成しているが、これに限らず、これらを一体に形成してもよい。
【0023】
インナーカバー18の裏面は、金属製の支持フレーム16によって支持されている。さらに、支持フレーム16には、支持フレーム16,支持プレート17,インナーカバー18を覆うように、カバー19が取付けられている。
【0024】
本例のクッション体11の表側の面(着座者との当接面)には、座面部12と、座面部12の両側で隆起するように土手部13が形成されている。
座面部12は、その幅方向の中央部が凹状ではなく平面状に形成された平面部12aとなっている。そして、この平面部12aの外縁部は、平面部12aよりも表皮14側(着座者側)に向けて隆起する傾斜部12bとなっている。
【0025】
また、本例では、土手部13と座面部12との間に溝部13aが形成されており、土手部13は、溝部13aから幅方向外側上方へ向けて隆起するように形成されている。土手部13は、着座者との当接面が断面凸状となるように形成されている。
なお、本例では、傾斜部12b,溝部13aを含む土手部13が隆起部に相当する。
【0026】
本例では、クッション体11と表皮14とが、平面部12aの縁部から連続する傾斜部12b,溝部13a,土手部13において熱接着性シートであるホットメルトフィルム11aによって接着固定されている。詳しくは、本例では、平面部12aのうち、傾斜部12bとの境界付近も表皮14と接着されている。なお、土手部13の側面13bでは、その略上側半分の領域で表皮14とクッション体11が接着固定されている。
【0027】
本例では、このようにクッション体11と表皮14とは、平面部12aの殆どの領域で接着固定されず、平面部12aの縁部およびその外側の部位で接着固定されている。このため、平面部12aでは表皮14が浮き上がらず、自然状態で表皮14は平面部12aと接した状態に保持される。このように、凹状ではない平面部12aでは、表皮14は自らのテンションによって平面状に張設され平面部12aと接触した状態となるので、シワ等を生じさせることなく外観を良好に保持することができる。
【0028】
また、着座者が着座することにより、クッション体11が弾性的に変形したときも、表皮14が平面部12aに接着固定されていないので、平面部12aの変形にかかわらず、表皮14は自らのテンションで平面状に戻ることが可能である。これにより、表皮14にシワ等を生じさせることなく、着座部10の外観形状を良好に保持することができる。
また、本例では、クッション体11の表側の面の一部領域を表皮14と接着する構成であるので、全領域を接着する構成と比べて、ホットメルトフィルム等の接着剤の使用量を抑えることができる。
【0029】
なお、本例では、座面部12に平面部12aが形成されていたが、これに限らず、中央部が盛り上がるように、凸面部を形成してもよい。このように凸面部を形成して、この部位と表皮14とを接着固定しない構成でも、平面部12aを形成した場合と同様に表皮14の浮き上がりやシワ等の発生を防止して、外観形状を良好に保持することができる。
【0030】
また、本例では、土手部13が手で掴まれて力が加わるようなときに、表皮14がずれないよう土手部13と表皮14とを接着固定している。しかしながら、土手部13は断面凸状であるから表皮14と接着固定しない構成とすると、この部位においても確実にシワ等が生じてしまうことを防止することができるので、必ずしも土手部13と表皮14とを接着固定しなくてもよい。
【0031】
本例のクッション体11は、後述するようにウェブ2を林立状態に折り畳んで繊維構造体としてのシート状繊維構造体4を形成し、このシート状繊維構造体4を複数積層して、無数の通気孔である蒸気孔49が型面に形成された成形型40内に配置し、圧締した状態で、高圧スチーム成形機50内で高圧スチーム成形したものである。
【0032】
まず、本例のクッション体11を形成するためのウェブ2について説明する。ウェブ2は、非弾性捲縮短繊維の集合体からなるマトリックス繊維中に、この短繊維よりも低い融点であって、少なくとも120℃以上の融点を有する熱接着性複合短繊維が接着成分として分散・混合されたものである。
【0033】
本例のウェブ2は、非弾性捲縮短繊維としての非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリエステルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなる熱接着性複合短繊維とが、主に長さ方向に繊維の方向が向くように混綿されたものである。本例のウェブ2は、少なくとも30kg/mの嵩性を有すると共に、熱接着性複合短繊維同士間、および熱接着性複合短繊維と非弾性ポリエステル系捲縮短繊維との間に立体的繊維交差点が形成されている。
【0034】
本例では、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維として、異方冷却により立体捲縮を有する単糸繊度12デニール、繊維長64mmの中空ポリエチレンテレフタレート繊維を用いている。
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維は、通常のポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンまたはこれらの共重合エステルからなる短繊維ないしそれら繊維の混綿体、または上記のポリマー成分のうちの2種以上からなる複合繊維等を用いることができる。これら短繊維のうち好ましいのはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートの短繊維である。さらに、固有粘度において互いに異なる2種のポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、またはその組み合わせからなり、熱処理等により捲縮がミクロクリンプを有する潜在捲縮繊維を用いることもできる。
【0035】
また、短繊維の断面形状は、円形、偏平、異型または中空のいずれであってもよい。また、その短繊維の太さは2〜200デニール、特に6〜100デニールの範囲にあることが好ましい。この短繊維の太さが小さいと、ソフト性はアップするもののクッション体の弾力性が低下する場合が多い。
【0036】
また、短繊維の太さが大きすぎると、取扱い性、特にウェブ2の形成性が悪化する。また構成本数も少なくなりすぎて、熱接着性複合短繊維との間に形成される交差点の数が少なくなり、クッション体の弾力性が発現しにくくなると同時に耐久性も低下するおそれがある。更には風合も粗硬になりすぎる。
【0037】
また、本例では、熱接着性複合短繊維として、融点154℃の熱可塑性ポリエーテルエステル系エラストマーを鞘成分に用い、融点230℃のポリブチレンテレフタレートを芯成分に用いた単糸繊度6デニール、繊維長51mmの芯/鞘型熱融着性複合繊維(芯/鞘比=60/40:重量比)が用いられている。
【0038】
熱接着性複合短繊維は、熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとで構成される。そして、前者が繊維表面の少なくとも1/2を占めるものが好ましい。重量割合でいえば、前者と後者が複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。熱接着性複合短繊維の形態としては、サイド・バイ・サイド、シース・コア型のいずれであってもよいが、好ましいのは後者である。このシース・コア型においては、非弾性ポリエステルがコアとなるが、このコアは同心円上あるいは偏心状にあってもよい。特に偏心型のものにあっては、コイル状弾性捲縮が発現するので、より好ましい。
【0039】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマーが好ましい。特に後者が適当である。ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコール、アミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。これらのポリマーのうち、特に好ましいものはポリオールとしてポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクトンあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合、有機ジイソシアネートとしてはp,p'−ジフェニルメタンジイソシアネートが好適である。また、鎖伸長剤としては、p,p'ビジスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールが好適である。
【0040】
一方、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アレキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール、またこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アレキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体である。
【0041】
しかしながら、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維との接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分テレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。勿論、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されてもよい。
【0042】
また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
【0043】
このポリエステル系エラストマーの重合度は、固有粘度で0.8〜1.7dl/g、特に0.9〜1.5dl/gの範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎると、マトリックスを構成する非弾性ポリエステル系捲縮短繊維とで形成される熱固着点が破壊され易くなる。一方、この粘度が高すぎると、熱融着時に紡錘状の節部が形成されにくくなる。
【0044】
熱可塑性エラストマーの基本的特性としては、破断伸度が500%以上が好ましく、更に好ましくは800%以上である。この伸度が低すぎると、クッション体11が圧縮されその変形が熱固着点におよんだとき、この部分の結合が破壊され易くなる。
【0045】
一方、熱可塑性エラストマーの300%の伸長応力は0.8kg/mm以下が好ましく、更に好ましくは0.8kg/mmである。この応力が大きすぎると、熱固着点が、クッション体11に加わる力を分散しにくくなり、クッション体11が圧縮されたとき、その力で熱固着点が破壊されるおそれがあるか、あるいは破壊されない場合でもマトリックスを構成する非弾性ポリエステル系捲縮短繊維まで歪ませたり、捲縮をへたらせてしまったりすることがある。
【0046】
また、熱可塑性エラストマーの300%伸長回復率は60%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上である。この伸長回復率が低いと、クッション体11が圧縮されて熱固着点は変形しても、もとの状態に戻りにくくなるおそれがある。これらの熱可塑性エラストマーは、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリマーよりも低融点であり、かつ熱固着点の形成のための融着処理時に捲縮短繊維の捲縮を熱的にへたらせないものであることが必要である。この意味から、その融点は短繊維を構成するポリマーの融点より40℃以上、特に60℃以上低いことが好ましい。かかる熱可塑性エラストマーの融点は例えば120〜220℃の範囲の温度とすることができる。
【0047】
この融点差が40℃より小さいと、以下に述べる融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維の捲縮のへたりを惹起し、また捲縮短繊維の力学的特性を低下させてしまう。なお、熱可塑性エラストマーについて、その融点が明確に観察されないときは、融点を軟化点をもって交替する。
【0048】
一方、上記、複合繊維の熱可塑性エラストマーの相手方成分として用いられる非弾性ポリエステルとしては、既に述べたような、マトリックスを形成する捲縮短繊維を構成するポリエステル系ポリマーが採用されるが、そのなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく採用される。
【0049】
上述の複合繊維は、ウェブ2の重量を基準として、20〜100%、好ましくは30〜80%の範囲で分散・混入される。
本例のウェブ2では、バインダ繊維としての熱接着性複合短繊維と、主体繊維としての非弾性捲縮短繊維が、60:40の重量比率で混綿されている。
【0050】
複合繊維の分散・混入率が低すぎると、熱固着点の数が少なくなり、クッション体11が変形し易くなったり、弾力性、反撥性および耐久性が低くなったりするおそれがある。また、配列した山間の割れも発生するおそれがある。
【0051】
本例では、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と、熱接着性複合短繊維とを、重量比率40:60で混綿し、ローラーカードに通して、目付20g/mのウェブ2に形成した。
【0052】
この連続ウェブ2中の長さ方向(連続している方向)に向いている繊維Cと横方向(ウェブの幅方向)に向いている繊維Dの単位体積当りの総数を調べると、C:D=2:1であることが確かめられた。
本例のウェブ2は、上述のように長さ方向に向いている繊維の方が、横方向に向いている繊維よりも相対的割合が多くなるように形成されている。すなわち、本例のウェブ2は、単位体積当りにおいて、C≧3D/2、好ましくはC≧2Dの関係を満足するように形成されている。
【0053】
ここでウェブ2の長さ方向に向いている繊維とは、図4に示すように、ウェブ2の長さ方向に対する繊維の長さ方向の角度θが、0゜≦θ≦45゜の条件を満足する繊維であり、横方向(ウェブの幅方向)に向いている繊維とは、θが45゜<θ≦90゜を満足する繊維である。図中、符号aはウェブを構成する繊維、符号bはウェブの長さ方向(延出方向)、符号cはウェブを構成する繊維方向を表している。
また、シート状繊維構造体4を構成する繊維の向きについても、シート状繊維構造体4の厚さ方向および厚さ方向に垂直な方向に沿う方向とは、これらの方向に対して±45゜の範囲にあるものを意味する。
【0054】
各繊維の向いている方向は、ウェブ2の表層部、内層部でランダムな箇所を抽出し、透過型光学顕微鏡で観察することによって観察した。
なお、ウェブ2の厚みは5mm以上、好ましくは10mm以上、更に好ましくは20mm以上である。通常5〜150mm程度の厚みである。
【0055】
次に、主に長さ方向に繊維が沿うように形成されたウェブ2を、所定の密度と構造体としての所望の厚さになるようにアコーデオンの如く折り畳んでいき、複合繊維同士間、および非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と複合繊維間に立体的な繊維交差点を形成せしめた後、ポリエステルポリマーの融点よりも低く、熱可塑性エラストマーの融点(または流動開始点)より高い温度(〜80℃)で熱処理することにより、上記繊維交差点でエラストマー成分が熱融着され、可撓性熱固着点が形成される。
【0056】
具体的には、図5に示すように、ローラ表面速度2.5m/分の駆動ローラ61により、熱風サクション式熱処理機62(熱処理ゾーンの長さ5m、移動速度1m/分)内へ押し込むことでアコーデオン状に折り畳み、Struto設備で190℃で5分間処理し熱融着された厚さ25mmのシート状繊維構造体4を得た(繊維構造体形成工程)。
【0057】
このようにして形成されたシート状繊維構造体4中には、熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点、および熱接着性複合短繊維と非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在した状態となっている。
シート状繊維構造体4の密度は、0.015〜0.20g/cmの範囲が、クッション性、通気性、弾力性の発現のために適当である。
【0058】
長さ方向に繊維が沿うように形成されたウェブ2を折り畳んで形成することにより、シート状繊維構造体4は、厚さ方向に向いている繊維の方が、厚さ方向と垂直な方向を向いている繊維よりも多く、主に繊維方向が厚さ方向と平行となる。つまり、本例のシート状繊維構造体4は、単位体積当りにおいて、厚さ方向に沿って配列している繊維の総数をA、厚さ方向に対して垂直な方向に沿って配列している繊維の総数をBとしたときに、A≧3B/2、好ましくはA≧2Bの関係を満足するように形成される。
【0059】
次に、シート状繊維構造体4を所定形状に裁断し、図6に示すように、縦方向(厚さ方向T)に積層した。本例では、略矩形状のシート状繊維構造体4a、シート状繊維構造体4bと、クッション体11の土手部13を形成するためのU字型のシート状繊維構造体4cとを裁断し、シート状繊維構造体4aとシート状繊維構造体4bとの間に、シート状繊維構造体4cを挟持させた。
【0060】
これらのシート状繊維構造体4a〜4cは、その厚さ方向Tに積層される。つまり、繊維方向が縦方向に揃うように積層される。また、シート状繊維構造体4a〜4cは、ウェブ2の積層方向Lがクッション体11の幅方向Wと直交する向きに配置される。
また、シート状繊維構造体4a〜4cが互いに当接する部分には、必要に応じホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等が配設される。
【0061】
本例では、次述するように、さらに成形型40内においてシート状繊維構造体4a〜4cに積層させるように、所定形状のホットメルトフィルム11aおよび表皮14を配置する。ホットメルトフィルム11aは、図2,図3で示したように、クッション体11の平面部12aの境界部から連続して傾斜部12b,溝部13a,土手部13と表皮14とを接着固定可能な形状に形成されている。
【0062】
このようにシート状繊維構造体4a〜4c,ホットメルトフィルム11a,表皮14を、図7に示すような成形型40に積層状態で配設し、圧締する(繊維構造体配置工程)。本例の成形型40は、第1型41と第2型44からなる。第1型41と第2型44を型締めすると所望のクッション体11の凹凸形状を有するキャビティ40aが形成される。また、本例では、第2型44は薄板状の面状部材によって形成されており、その型面には蒸気孔49が形成されている。なお、本例では、第1型41には、蒸気孔49が形成されていないが、蒸気孔49を設けてもよい。成形型40は、鉄,鋼,アルミニウム等の金属、ガラス繊維,カーボン繊維を使用し樹脂で形成したもの、又、合成樹脂のいずれで形成されていてもよい。
【0063】
シート状繊維構造体4a〜4cは、自然状態で成形型40のキャビティ40aよりも、容積で1.2〜3.0倍程度大きく形成されている。したがって、型締め時には、シート状繊維構造体4a〜4cは、キャビティ40aの形状に圧縮された状態となる。
【0064】
第1型41には、溝形成部42が型面から突出するように形成されている。この溝形成部42は、クッション体11の座面部12と土手部13とを分離するようにクッション体11(またはシート状繊維構造体4a)の厚さ方向に凹状となる所定幅の溝部13aを形成するためのものである。
【0065】
次に、図8に示すように、シート状繊維構造体4a〜4cが内部に配設された成形型40を高圧スチーム成形機50内に入れる。そして、高圧スチーム成形機50内部を大気圧よりも高い気圧である2〜8気圧程度に加圧し、1〜3分間、成形型40に120℃〜180℃程度の蒸気を吹き付ける(成形工程)。蒸気を吹き付けた後、冷却し、脱型してクッション体11を得る(冷却・離型工程)。
【0066】
本例の成形工程では、先ずバインダ繊維としての熱接着性複合短繊維の融点以上、すなわち、熱可塑性エラストマーの融点以上であって、主体繊維としてのマトリックス繊維(非弾性捲縮短繊維)の融点よりも低い成形温度の蒸気を成形型40に対して吹き付け可能とするように、高圧スチーム成形機50内の温度を不図示のヒーターによって成形温度まで昇温すると共に、高圧スチーム成形機50内の気圧を周辺大気圧(約1atm)から少なくとも成形温度における蒸気の飽和蒸気圧以上に昇圧する。
【0067】
本例では、バインダ繊維の融点は約154℃であり、成形温度を161℃に設定している。そして、本例では、約30秒で高圧スチーム成形機50内を成形温度161℃まで昇温すると共に、高圧スチーム成形機50内を熱伝達物質として用いる水(HO)の沸点が成形温度161℃となる気圧約5.5atm(約0.557MPa)まで昇圧している。すなわち、成形温度161℃での水の飽和蒸気圧は約5.5atmである。
【0068】
成形工程では、高圧スチーム成形機50内を成形温度および所定圧力に保持した状態で、成形温度の水蒸気を成形型40に対して吹き付ける。本例では、約1分10秒間蒸気を吹き付けた。
その後、約1分で高圧スチーム成形機50内を成形温度以下に下げると共に、周辺大気圧まで減圧する。そして、成形型40を高圧スチーム成形機50内から取り出して、成形型40を冷却し(冷却工程)、成形型40から熱成形されたクッション体11を離型する(離型工程)。
本例では、高圧スチーム成形機50にてクッション体11を熱成形するタクトタイムは約3〜5分とすることができる。
【0069】
このように成形温度の蒸気を吹き付けることによって、成形型40の蒸気孔49から蒸気が通気性を有するシート状繊維構造体4a〜4c内に入り込み、他の蒸気孔49から成形型40外部へ抜け出て行く。シート状繊維構造体4a〜4cは、圧縮状態で成形型40内に配設されており、蒸気熱によって、熱接着性複合短繊維同士、および熱接着性複合短繊維と非弾性捲縮短繊維との交差点が熱融着され、成形型40のキャビティ40aの形状に形成される。
【0070】
また、シート状繊維構造体4a〜4c間に配設されたホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等が、蒸気熱によって溶融し、シート状繊維構造体4a〜4c同士を固着する。
このように、蒸気によってシート状繊維構造体4a〜4c内の繊維同士が熱融着されると共に、ホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等がシート状繊維構造体4a〜4c同士を固着することによって、所定形状のクッション体11が形成される。
【0071】
また、成形工程においては、シート状繊維構造体4bと表皮14との間に積層されていたホットメルトフィルム11aが蒸気熱によって溶融し、シート状繊維構造体4bと表皮14とが接着固定される。これにより、クッション体11と表皮14とが一体化された状態で成形される。
【0072】
本例のように、飽和蒸気圧まで昇圧された高圧スチーム成形機50内で、成形温度の蒸気を成形型40に吹き付けると、成形時間を大幅に短縮することができる。すなわち、成形温度の蒸気は、熱風よりも熱容量が大きいため、バインダ繊維を短時間で溶融させることが可能となる。
【0073】
本例のクッション体11は、繊維の方向が厚さ方向に向いたシート状繊維構造体4a〜4cを積層して高圧スチーム成形している。したがって、クッション体11を構成する繊維は、座席シート1に着座者が着座したときに荷重が加わる方向に沿うように配列されている。このような構成によって、本例のクッション体11は、通気性を有すると共に、応力方向に対して適度な硬さを確保することができ、また、応力の分散性、耐久性に優れたものとなる。すなわち、本例では、荷重方向にウェブ2の延出方向が向いているため、クッション体11の硬度をそれほど大きくせずに、柔らかい触感を確保したまま大きな荷重を支持することが可能である。
【0074】
また、本例のクッション体11は、成形型40によって圧縮した状態で成形されるものであり、成形型40のキャビティの形状に合わせて、3次元的な複雑な凹凸形状とすることが可能である。その際、成形型40内での圧縮度に応じて、部分的にクッション感を調整することも可能となる。
【0075】
以上はクッション体11について説明したが、クッション体21についても同様に形成することができる。
そして、このようにクッション体11,21を形成した後、組み付け工程では、これらクッション体11,21が、支持プレート,インナーカバーを配設した支持フレームに載置される。そして、表皮の端部に取付けられた紐を引っ張ると、クッション体11,21が支持フレームに組み付けられる。さらにカバーが支持フレームに取付けられると、座席シート1が形成される。
【0076】
上記実施形態では、クッション体11と表皮14とを成形工程において一体に形成していたが、これに限らず、繊維構造体配置工程において、表皮14およびホットメルトフィルム11aを成形型40内に配置せずにクッション体11を形成し、このクッション体11に表皮14を接着工程において接着固定するようにしてもよい。
すなわち、接着工程では、クッション体11のうち、平面部12aの縁部から連続して傾斜部12b,溝部13a,土手部13が接着剤等によって表皮14に接着固定される。
【0077】
また、上記実施形態では、クッション体11がシート状繊維構造体4を熱成形することによって形成されていたが、これに限らず、成形工程においてウレタン等によってクッション体11を形成してもよい。この場合、表皮14は、接着工程においてクッション体11と所定部位が接着固定される。
【0078】
また、上記実施形態では、着座部10および背もたれ部20に、シート状繊維構造体4を積層して高圧スチーム形成したクッション体11,21を用いているが、これに限らず、アームレストやヘッドレスト等の着座者による荷重が掛かる部位に、シート状繊維構造体4を積層して高圧スチーム形成したクッション体を用いてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、繊維構造体として、ウェブ2をアコーデオン状に折畳んで形成されたシート状繊維構造体4を用いてクッション体11を形成しているが、これに限らず、例えば、繊維構造体としてウェブ2を厚さ方向に多数積層したものを用いてもよいし、主体繊維とバインダ繊維とが分散・混合された原繊維集合体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態に係る座席シートの説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る座席シートのクッション体と表皮との接着領域の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る座席シートの断面説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るウェブの繊維方向の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るシート状繊維構造体の製造工程の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るシート状繊維構造体の積層状態を表す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るクッション体の製造工程の説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るクッション体の製造工程の説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1 座席シート
2 ウェブ
4 シート状繊維構造体
10 着座部
20 背もたれ部
10a,20a 斜線部
11,21 クッション体
11a ホットメルトフィルム
12 座面部
12a 平面部
12b 傾斜部
13 土手部
13a 溝部
13b 側面
14,24 表皮
15 紐
16 支持フレーム
17 支持プレート
18 インナーカバー
19,29 カバー
40 成形型
40a キャビティ
41 第1型
42 溝形成部
44 第2型
49 蒸気孔
50 高圧スチーム成形機
61 駆動ローラ
62 熱風サクション式熱処理機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮によって覆われたクッション体を備えた座席シートであって、
前記クッション体には、平面部または凸面部と、該平面部または凸面部の縁部よりも前記表皮側に隆起した隆起部と、が形成され、
前記クッション体は、前記平面部または凸面部において前記表皮と接着固定されない領域を有すると共に、前記平面部または凸面部の縁部において前記表皮と接着固定されたことを特徴とする座席シート。
【請求項2】
前記隆起部には、溝部が形成され、
前記表皮は、前記溝部において前記クッション体と接着固定されたことを特徴とする請求項1に記載の座席シート。
【請求項3】
繊維構造体を所定形状に形成し表皮で覆ったクッション体と、該クッション体を支持する支持フレームと、を備えた座席シートの製造方法であって、
前記クッション体に平面部または凸面部と、該平面部または凸面部の縁部よりも前記表皮側に隆起した隆起部と、を形成可能なキャビティを有する成形型に、前記繊維構造体と前記表皮とを積層して配置すると共に、前記平面部または凸面部において前記表皮と接着固定されない領域を形成すると共に前記平面部または凸面部の縁部と前記表皮とを接着するように、前記繊維構造体と前記表皮との間に熱接着性シートを配置して、前記成形型を型締めする繊維構造体配置工程と、
前記成形型を加熱して前記クッション体を形成する成形工程と、
前記支持フレームに前記クッション体を取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする座席シートの製造方法。
【請求項4】
前記成形型は、前記隆起部に溝部を形成する溝形成部を有し、
前記配置工程では、前記溝部と前記表皮とを接着するように、前記繊維構造体と前記表皮との間に熱接着性シートを配置することを特徴とする請求項3に記載の座席シートの製造方法。
【請求項5】
表皮で覆われたクッション体と、該クッション体を支持する支持フレームと、を備えた座席シートの製造方法であって、
前記クッション体に平面部または凸面部と、該平面部または凸面部の縁部よりも前記表皮側に隆起した隆起部と、を形成可能なキャビティを有する成形型によって前記クッション体を形成する成形工程と、
前記クッション体の平面部または凸面部において前記表皮と接着固定されない領域を形成すると共に前記平面部または凸面部の縁部と前記表皮とを接着固定して、該表皮にて前記クッション体を覆う接着工程と、
前記支持フレームに前記クッション体を取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする座席シートの製造方法
【請求項6】
前記成形型は、前記隆起部に溝部を形成する溝形成部を有し、
前記接着工程では、前記溝部と前記表皮とを接着固定することを特徴とする請求項5に記載の座席シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−268115(P2007−268115A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99682(P2006−99682)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【Fターム(参考)】