説明

座席付育児器具および絵合わせおもちゃ

【課題】乳幼児からある程度成長した子供までが楽しむことのできる絵合わせおもちゃが取り付けられた座席付育児器具を提供する。
【解決手段】座席付育児器具20は、座席21と、座席の前方空間に取り付けられる絵合わせおもちゃ11とを備える。絵合わせおもちゃ11に注目すると、棒状部材と、棒状部材に回転自在に保持される部材であって、表面に複数の異なる図柄が描かれている複数の回転体とを備える。そして、複数の異なる図柄それぞれに対応する図柄は、複数の回転体それぞれに含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、座席の前方空間におもちゃが取り付けられている座席付育児器具、および座席付育児器具に取り付ける絵合わせおもちゃに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の座席付育児器具は、例えば、特開2005−254837号公報(特許文献1)に記載されている。同公報に記載されている座席付育児器具は、子供が着座する座席と、座席の上方を覆う幌とを備える乳母車であって、幌から座席の前方位置に様々な形状の吊下げおもちゃが吊下げられている。そして、上記構成の乳母車によれば、着座した子供が様々な形状の吊下げおもちゃを見て楽しむことができると記載されている。
【特許文献1】特開2005−254837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2005−254837号公報(特許文献1)に記載されている吊下げおもちゃは主に月齢の低い乳幼児を対象としており、見て楽しむだけのものに過ぎない。そのため、ある程度の年齢以上の子供はすぐに飽きてしまい、あまり興味を示さなくなる。
【0004】
そこで、この発明の目的は、乳幼児からある程度成長した子供までが楽しむことのできるおもちゃが取り付けられた座席付育児器具を提供することである。また、このようなおもちゃとして、座席付育児器具に取付可能な絵合わせおもちゃを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る座席付育児器具は、座席と、座席の前方空間に取り付けられる絵合わせおもちゃとを備える。絵合わせおもちゃに注目すると、棒状部材と、棒状部材に回転自在に保持される部材であって、表面に複数の異なる図柄が描かれている複数の回転体とを備える。そして、複数の異なる図柄それぞれに対応する図柄は、複数の回転体それぞれに含まれている。
【0006】
上記構成の絵合わせおもちゃは、複数の回転体に描かれた図柄のうちの対応する図柄が正面を向くように各回転体を回して遊ぶ。このようなおもちゃを座席付育児器具の前方空間に取り付けることにより、ある程度成長した子供にとっても興味を持って遊ぶことができる座席付育児器具を得ることができる。
【0007】
好ましくは、複数の異なる図柄は、回転体の表面に円周方向に並べられており、隣接する図柄の間には、回転体の表面から径方向外側に突出する仕切り部材が設けられている。この絵合わせおもちゃは、回転体に描かれた複数の図柄の間に仕切り部材が配置されて隣の図柄が見えないようになっている。その結果、見えない部分の図柄を見たいと思う子供に「回転体を回す」という行動を促すことができる。さらに、この仕切り部材は、回転体を回す際の把手としても機能する。
【0008】
さらに好ましくは、棒状部材は任意の形状に湾曲可能であって、棒状部材の両端部には、棒状部材を固定する固定部材が設けられている。これにより、絵合わせおもちゃが座席付育児器具から着脱可能な状態となるので、1つの絵合わせおもちゃを乳母車、チャイルドシート、または子供用椅子等複数の育児器具に共通して使用することができる。
【0009】
この発明に係る絵合わせおもちゃは、棒状部材と、棒状部材に回転自在に保持される部材であって、表面に複数の異なる図柄、および隣接する図柄の間に径方向外側に突出する仕切り部材を有する複数の回転体とを備える。そして、複数の異なる図柄それぞれに対応する図柄は、複数の回転体それぞれに含まれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図7を参照して、この発明の一実施形態に係る座席付育児器具10および絵合わせおもちゃ11を説明する。なお、図1は絵合わせおもちゃ11を取り付けた座席付育児器具としての乳母車20を示す図、図2は絵合わせおもちゃ11を示す図、図3〜図5は回転体の構造を示す図、図6および図7は棒状部材の構造を示す図である。
【0011】
まず、図2を参照して、この発明の一実施形態に係る絵合わせおもちゃ11は、棒状部材12と、複数の回転体13,14,15,16とを備える。回転体13,14,15,16は、棒状部材12に嵌合して棒状部材12に対して回転自在な状態に保持されている。なお、この実施形態においては、4つの回転体13,14,15,16を一列に並べて配置している。
【0012】
次に図3を参照して、回転体13はスポンジ素材や樹脂材料等で形成される円筒形状の部材であって、中央に棒状部材12に嵌合する穴13aと、表面に複数の異なる図柄13b,13c,13d(図3では13bのみ図示)と、隣接する図柄の間に配置される仕切り部材13eとが設けられている。なお、回転体14,15,16も同様の構成であるので、説明は省略する。
【0013】
なお図4を参照して、仕切り部材13eは、回転体13の表面から径方向外側に突出し、図柄と同じ数だけ設けられる。そして、この仕切り部材13eは、正面を向く図柄以外の図柄が子供に見えないようにする衝立としての機能と、回転体13を回すときの把手としての機能を担っている。
【0014】
この仕切り部材13eが衝立および把手として機能するためには、回転体13の表面からある程度の長さ突出している必要がある。そこで、この実施形態においては、回転体13の外形寸法Dを4.5cm≦D≦5.5cmとし、仕切り部材13eの回転体13の表面からの突出量tを1.5cm≦t≦2.5cmの範囲内に設定している。また、この実施形態においては3つの図柄13b,13c,13dが同じ大きさであるので、3つの仕切り部材13eは、120°毎に等間隔に設けられている。
【0015】
図5を参照して、回転体13に描かれている図柄は、笑顔の子豚13b、困った顔の子豚13c、家13dであって、回転体の円周方向に並べて描かれている。同様に回転体14,15,16においても、表情の異なる動物(子豚および狼)14b,14c,15b,15cと、家14d,15d,16dが描かれている。すなわち、この実施形態における図柄は、物語「三匹の子豚」をモチーフに利用している。
【0016】
そして、各回転体13,14,15,16に描かれている図柄のうち、笑顔の動物13b,14b,15b,16b、困った顔の動物13c,14c,15c,16c、および家13c,14c,15c,16cは互いに対応する図柄であって、子供は、対応する図柄が正面を向くように回転体13,14,15,16を回転させて遊ぶ。
【0017】
次に図6および図7を参照して、棒状部材12は、スポンジ素材や樹脂材料等で形成されており、力を加えることによって湾曲可能となっている。また、両端には棒状部材12を乳母車等の座席付育児器具に固定するための固定部材12aが設けられている。なお、この実施形態においては、固定部材12aとしてマジックテープ(登録商標)を採用している。
【0018】
この棒状部材12の長さは、複数の回転体13,14,15,16を一列に並べて配置するのに十分な長さであり、直径は回転体13,14,15,16の内径寸法に合わせて決定する。すなわち、棒状部材12に嵌合する回転体13,14,15,16を子供の力で容易に回転させることができると共に、手を離すと回転体13,14,15,16が自由に回転しない程度の大きさとする必要がある。
【0019】
上記構成の絵合わせおもちゃ11は、ある程度成長した子供にとっても興味を持って遊ぶことができるものであるので、比較的長期間使用可能である。また、回転体13,14,15,16それぞれに仕切り部材を設けたことによって、正面を向く図柄以外の図柄が見えなくなるので、見えない部分の図柄を見ようとする子供の興味を惹くことができる。さらに、棒状部材12を湾曲可能な構造とすることにより、あらゆるサイズの座席付育児器具に取付可能となる。
【0020】
次に図1を参照して、この発明の一実施形態に係る座席付育児器具20は、子供が着座する座席21と、座席21の前方および左右に設けられて座席21からの子供の転落を防止するガード部22とを備える乳母車であって、座席21の前方空間には、図1に示したような絵合わせおもちゃ11が取り付けられている。この絵合わせおもちゃ11は、棒状部材12を乳母車20のガード部22に沿う形状に湾曲させて、ガード部分22の上に載置して使用する。このとき、両端の固定部材12aは、左右のガード部22に巻きつけて固定する。これにより、子供は乳母車20に乗りながら絵合わせおもちゃ11で遊ぶことができる。なお、絵合わせおもちゃ11は、固定部材12aで固定した位置を中心として角度を変えて(図1の矢印方向)使用することもできる。
【0021】
上記構成の絵合わせおもちゃ11は、乳母車20から着脱可能であるので、乳母車20から取り外して、チャイルドシートや子供用椅子等の他の座席付育児器具に取り付けることができる。このように、いつも子供の傍に置いておくことができる絵合わせおもちゃとすることにより、子供はこの絵合わせおもちゃ11に愛着を感じるようになり、大切にするようになる。
【0022】
なお、上記の実施形態において、回転体13,14,15,16は円筒体である例を示したが、これに限ることなく、任意の形状を採用してもよい。例えば、四角柱や五角柱を採用し、各面に図柄を描いて角の部分に仕切り部材を配置する等してもよい。
【0023】
また、上記の実施形態において、回転体13,14,15,16に描かれている図柄は物語の「三匹の子豚」をモチーフにした例を示したが、これに限ることなく、任意の図柄を採用することができる。例えば、他の物語の登場人物等を採用してもよいし、図形(三角、四角、円等)や模様(水玉、ストライプ、市松模様等)を採用してもよい。さらに、異なるモチーフの図柄を配した複数の回転体セットを予め用意しておいて、子供の興味に合わせて適宜入れ替えるようにしてもよい。
【0024】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、ある程度成長した子供にとっても興味を持って遊ぶことができる絵合わせおもちゃ、およびこのようなおもちゃを有する座席付育児器具に有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図2の絵合わせおもちゃを乳母車に取り付けた状態を示す図である
【図2】この発明の一実施形態に係る絵合わせおもちゃを示す図である。
【図3】回転体の斜視図である。
【図4】回転体の側面図である。
【図5】回転体の展開図である。
【図6】棒状部材を伸ばした状態を示す図である。
【図7】棒状部材の湾曲した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
11,101 得合わせおもちゃ、12 棒状部材、12a 固定部材、13,14,15,16 回転体、13a 穴、13b、13c、13d、14b、14c、14d,15b,15c,15d,16b,16c,16d 図柄、13e 仕切り部材、20 乳母車、21 座席、22 カード部、102 支柱、103,104,105 立方体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席と、
前記座席の前方空間に取り付けられる絵合わせおもちゃとを備え、
前記絵合わせおもちゃは、
棒状部材と、
前記棒状部材に回転自在に保持される部材であって、表面に複数の異なる図柄が描かれている複数の回転体とを備え、前記複数の異なる図柄それぞれに対応する図柄は、前記複数の回転体それぞれに含まれている、座席付育児器具。
【請求項2】
前記複数の異なる図柄は、前記回転体の表面に円周方向に並べてられており、
隣接する前記図柄の間には、前記回転体の表面から径方向外側に突出する仕切り部材が設けられている、請求項1に記載の座席付育児器具。
【請求項3】
前記棒状部材は、任意の形状に湾曲可能であって、
前記棒状部材の両端部には、棒状部材を固定する固定部材が設けられている、請求項1または2に記載の座席付育児器具。
【請求項4】
棒状部材と、
前記棒状部材に回転自在に保持される部材であって、表面に複数の異なる図柄、および隣接する前記図柄の間に径方向外側に突出する仕切り部材を有する複数の回転体とを備え、
前記複数の異なる図柄それぞれに対応する図柄は、前記複数の回転体それぞれに含まれている、絵合わせおもちゃ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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