説明

庭木の剪定メソッド

【課題】現在の庭木の剪定に関する情報提供は、樹種別や樹木分類別の分類方法であるために、取り扱い樹種について個別の説明をせざるを得ないのが現状で、剪定箇所の事例形式としての提供以外の手段が見出せない。
【解決手段】課題を解決するために、樹形という観点から庭木を5つに分類して、分類毎に其々の生理生態と生理生態から裏付けされた剪定方法に基づいて、分類毎に特徴的な形態をパターン化した樹形とて現したことを特徴とする樹木の分類法と剪定のメソッドを提供して課題解決を図るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園芸分野の庭木の管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
庭木の管理に関する情報は多岐に渡り提供されている。その提供方法は、樹種別や樹木分類別に集約されており、樹種名索引によって目的とする庭木の掲載ページを検索するという方法である。索引によって得られる情報は、掲載庭木の生育特性と樹木特性、剪定作業の標記という形式で提供されている。
【0003】
庭木の管理に於いて剪定に関しては、剪定に特化した情報が提供されている。現状の剪定に関する情報は、樹種別や樹木分類別に集約され、樹種名索引によって目的とする庭木の掲載ページを検索して、その庭木の剪定情報を得る形式である。提供されている内容は、掲載樹種に限定した剪定箇所の事例形式の提供方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-121620
【0005】
【特許文献2】特開2009-11296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
庭木として取り扱われる樹木は、自然界で放任されて生育する樹木とは異なり、庭に役割を持って植栽され、その役割を果たすために維持管理していく樹木を指すものである。それ故に、庭木の管理に於いて剪定は重要項目である。
【0007】
現在の庭木の剪定に関する情報提供は、樹種別や樹木分類別の分類方法であるために、取り扱い樹種について個別の説明をせざるを得ないのが現状で、剪定箇所の事例形式としての提供以外の手段が見出せない。そのため現実の庭木との類似点が見出せないと剪定を行う事が出来ないという問題がある。
【0008】
また、現実の庭木に於いて、その庭木の特徴的な樹形と剪定が目標とする樹形の提示、剪定後一定期間を経た庭木の樹形予測を可能とする情報が欠如しているために、剪定箇所の特定及び剪定後の庭木の生育状況の把握が出来ず、剪定が実現できないのが現状であり課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来の提供方法の問題点や課題を解決するために、樹形という観点から庭木を5つに分類して、分類毎に其々の生理生態と生理生態から裏付けされた剪定方法に基づいて、分類毎に特徴的な形態をパターン化した樹形として現したことを特徴とする樹木の分類法と剪定のメソッドを提供して課題解決を図るものである。
【発明の効果】
【0010】
樹木の分類法と剪定のメソッドによれば、特徴的な形態をパターン化した樹形として5つに分類した特徴により、現実の庭木に於いては適応する分類に提供される樹形に当てはめることで、その庭木の剪定の実施を可能とした維持管理の効果が得られる。この効果は本発明の分類方法の特性によるもので、樹木の生理生態に裏づけされた樹形に即した剪定法であるからである。
【0011】
分類毎に提供される樹形により、現実の庭木に於いてその庭木の特徴的な樹形の把握と、庭に配置された際の樹形把握と育成状況の予測及び育成過程の把握を可能とする効果が得られる。
【0012】
更に一般樹形分類群の自然樹形に分類される花木、果樹に於いては、樹種特有の開花や結実を実現するための最適な樹形をパターン化して区分する特長によって、花木、果樹の庭木を適応区分に再配置する特徴をもつ。現実の花木、果樹に於いては、其々の適応区分に提供される樹形に沿って剪定することで、庭木としての樹形の維持管理及び開花、結実を実現する効果が得られる。
【0013】
本発明によれば、庭木としての目的や機能が果たせないという従来の剪定に於ける問題に対して、庭木の剪定目的である樹形の維持と大きさのコントロールを実現して、庭木の管理で重要項目である剪定を実現する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】樹木の分類及び剪定のメソッドの説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1により説明する。本実施形態は、樹木の中の庭木に関しての管理に関する重要項目である剪定に関しての説明である。剪定という管理に関わる分野、例えば公園や街路樹等の剪定も同様に適応可能である。また、其々の分野と区分に於いて庭木の育成状況の時系列管理カレンダーを内蔵して庭木の管理を完結する。なお時系列管理カレンダーは、樹木の育成状況と剪定及び維持管理項目の観点から24ヶ月の時間軸をもって表現する。本発明の説明に当たって用いられる図中の実施形態説明のために用いる用語は、本発明を総括的に説明するための表現でありこれに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の樹木の分類方法とその剪定のメソッドの5つの分類についての形態説明である。
【0017】
1は、5つの分類の全体を現す。庭木を樹形主体に分類する特徴を現す。
【0018】
2は、5つの分類の内の一般樹形の集合域を現す。一般樹形は自然樹形と仕立て樹形に区分される。2に分類される自然樹形とは、仕立て樹形との対比樹形の意で、庭木として扱われる樹木に限定した自然樹形という区分である。庭木は庭に配置されて役割を持つ樹木で、剪定という管理を要するものと定義する。自然界で放任されて生育している自然樹形とは異なるものである。
【0019】
2の一般樹形分類の2つの区分は、自然樹形は単幹と株立ちに区分され、自然樹形に区分される花木、果樹に於いては、更に樹種特有の開花や結実を実現するための最適な樹形として区分する特長によって開花、結実を実現する。また仕立て樹形はスタンダード、玉づくり、玉散らし、直幹、模様木、エスパリエ、トピアリー、その他の人工樹形に区分され其々に特徴的な樹形が配置される。
【0020】
其々の区分域には、パターン化された育成状況と剪定及び維持管理項目を時系列に配置したカレンダーとして内蔵する。
【0021】
3は、庭木分類の中の針葉樹形の集合域である。針葉樹形に分類され集約された形態からパターン化した樹形として区分し、其々の区分に代表的な樹形を配置する。
【0022】
3の其々の区分域にはパターン化された育成状況と剪定及び維持管理項目を時系列に配置したカレンダーとして内蔵する。
【0023】
4は、庭木分類の中の枝垂れ樹形の集合域である。枝垂れ樹形に分類され集約された形態からパターン化した樹形として区分し、其々の区分に代表的な樹形を配置する。
【0024】
4の区分域にはパターン化された育成状況と剪定及び維持管理項目を時系列に配置したカレンダーとして内蔵する。
【0025】
5は、庭木分類の中の竹・笹の集合域である。竹・笹の特徴的な樹形を其々の区分に配置する。
【0026】
5の区分域にはパターン化された育成状況と剪定及び維持管理項目を時系列に配置したカレンダーとして内蔵する。
【0027】
6は、庭木分類のヤシタイプの集合域である。ヤシタイプに分類され集約された形態からパターン化した樹形として区分し、其々の区分に代表的な樹形を配置する。
【0028】
6の区分域にはパターン化された育成状況と剪定及び維持管理項目を時系列に配置したカレンダーとして内蔵する。
【0029】
本発明の樹木の分類方法と剪定のメソッドは、樹木の生理生態から導かれる形態を集約してパターン化した樹形とした特長によって、分類群に集約される樹木の特徴的な樹形に維持管理することで、その分類に集約される樹木の剪定を体系的に実現する効果を提供する。このメソッドは該当樹木の生育と剪定による育成状況を時系列に把握して管理できることを特徴とする。この時系列の育成状況は庭木に於ける剪定のシミュレーションとしての提供を可能とする。
【0030】
本発明によれば、庭という空間や剪定という管理を伴う空間に於いて、其々のデザインに於ける樹木の配置と育成状況に於ける時系列的な樹形変化の把握を可能とする。また、
機能性や樹形、育成状況の観点から、求められる条件に即した樹木の選択と適応配置の提供及びその管理方法の提供を実現する。これら各項目を時系列に沿って連続的に表現を可能とする装置によりシミュレーションソフトとしての適応を可能とする。また時系列の育成状況を時間毎に編集すれば、紙媒体への適応を可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の樹木の分類方法と剪定のメソッドによれば、樹種個々に於ける剪定箇所の事例の提供を必要とせず、分類及び区分に導かれる樹木群全般に渡り、パターン化した樹形に沿って剪定することで現実の剪定を可能とするものである。これは、本発明の分類方法の特性によるもので、樹木の生理生態に裏づけされたパターン化した樹形に即した剪定法であるからであり、生育過程における樹形の予測を可能とする事で、庭や剪定を伴う空間に於いて適応する樹木の適切な配置とデザインの把握を可能とする。既存の樹木に関しても、当初配置された意図に基づいてその樹木の特徴的な樹形の維持管理の方法を提供可能とする。このメソッドによれば、樹木の生育及び育成上の樹木特性の予測を可能とする。本発明によれば、例えば狭い空間に樹木を植栽する場合は、その樹形特性を樹形分類群から選択して、その分類に集約されている樹木群の中から植栽条件と好みに合った樹木の選択を簡易に実現する。また同様に、庭木として特定の機能を有する場合に於いても、適合する樹形分類群を選択して、条件に見合った樹木の選択の実現を図るものである。多くのユーザーが経験する花が付かない、実を結ばない、果樹に実が生らない等の問題に対しても、これらの要因に最適な樹形の提供と樹形に沿った剪定をすることで、庭木としての樹形の美しさの維持と開花、結実の課題を解決するものである。本発明の分類方法に則った樹木の表示ラベルの提供により、ユーザーにとっては樹木の維持管理及び配置に関する情報提供を実現し、庭木の選択時にはユーザーにとって最適な条件と庭木としての役割の選択を容易に実現する。また園芸業界及び生産者にあっても販売促進につながるツールとしての期待が高まるものである。本メソッドをプログラム化したカリキュラムとすることで、実習形式や講習会形式での剪定技術及び維持管理方法の伝達を可能とする。
【符号の説明】
【0032】
1
樹木分類の全域
2
一般樹形分類
3
針葉樹樹形分類
4
枝垂れ樹形分類
5
竹・笹分類
6
ヤシタイプ分類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木の生理生態に基づいて集約した樹形の形態をパターン化して特徴的な樹形として
5つに分類したことを特徴とする樹木の分類及び剪定のメソッド。
【請求項2】
前記記載分類群に集約された花木、果樹に於いては、更に樹種特有の開花、結実を実現するための最適な樹形をパターン化した樹形として適応区分に配置する特徴をもつ樹木の分類及び剪定のメソッド。
【請求項3】
樹木の分類及び剪定のメソッドによれば、現実の樹木の剪定に於いて、その樹木が集約されている分類群及び適応区分に提供される樹形に沿って剪定することにより、樹木の特徴的な樹形の維持管理及び開花、結実を実現可能とするものである。

【図1】
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【公開番号】特開2011−10625(P2011−10625A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159381(P2009−159381)
【出願日】平成21年7月5日(2009.7.5)
【出願人】(592200903)株式会社アイ・アンド・プラス (17)
【Fターム(参考)】