説明

建屋出入口解錠装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、緊急要員入館時の建屋出入口解錠装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、エレベータの故障時には、緊急要員が建屋内に入らねばならないために、出入口の鍵を保守会社で預かつたり、電気錠の暗証NOを教えてもらい、緊急要員が、建屋出入口の鍵を操作していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
ホームエレベータが設置される一般住宅では、万一エレベータが故障した場合、エレベータに取付た端末装置が、エレベータの故障信号をとり込み、保守会社の監視センタへ、電話回線を介して、自動通報する。この通報に基づいて、緊急要員が故障復旧に向かう。このとき、建屋にエレベータ内にとじ込められた人以外居ない場合、建屋出入口の鍵が解錠できないと、せつかく到着しても救出作業ができない。さらに、エレベータの保守会社で契約先の建屋の鍵を預かることは、対象が一般住宅の為困難である。又鍵の紛失等のトラブル発生時には、直接居住者に保安上の危険が及ぶことになる。
本発明の目的は、エレベータの故障時には、緊急要員が、建屋の鍵を持つていなくとも、建屋出入口を解錠可能な建屋出入口解錠装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、エレベータと、このエレベータの運転故障状態を通報する端末装置と、出入口に遠隔操作可能な施錠装置を設けた建屋出入口解錠装置において、エレベータ緊急要員用の入力装置を設け、緊急要員の入力信号と、エレベータの状態を監視するセンタ装置から前記端末装置へ伝送した識別コードとが一致したとき、エレベータの故障信号と連動してエレベータの前記端末装置が、施錠装置へ解錠信号を出力することにより、建屋出入口を解錠することにより達成される。
〔作用〕
エレベータの端末装置は、エレベータの故障信号が入力されると、あらかじめ設定した手順に従つて、故障情報を、電話回線を介して、保守会社の監視センタへ通報する。監視センタでは、復旧の為に人員を選択し、緊急要員が到着時に入力する信号を、端末装置へ伝送する。建屋出入口の入力装置より入力された信号は、端末装置へとり込まれ、監視センタから伝送された信号と照合する。2つの信号が合致した場合、端末装置では、エレベータの故障信号の有無を調べ、有の場合には、電気錠のコントローラに、解錠信号を発する。
このため、入力装置からの信号と監視センタから伝送された識別コードが、一致し、エレベータが故障していた場合、建屋出入口の鍵は、解錠される。つまり、緊急要員が建屋の鍵を持つていなくとも、建屋出入口を解錠可能となる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を、第1図により説明する。
第1図は本発明の建屋出入口解錠装置の一実施例を示す全体構成図である。
1は、建屋出入口の電気錠。2はこの電気錠1の施錠解錠を制御するコントローラ。3は電気錠1の近傍に設置した暗証番号入力用のテンキ。4は電気錠1を手動で直接操作する鍵。5はエレベータの制御盤。6は制御盤5からの故障信号、運行状況、及びエレベータ乗りかご7内のインターホン8の通話信号、以上の信号をとり込み、電話回線を介して通報する端末装置。9は端末装置6の通報を受信し処理及び端末装置6へ情報を伝送する、エレベータ状態監視用の監視センタ。10は緊急要員の手配を行なうサービスステーシヨン。
平常時、建屋出入口の電気錠2は、鍵4を用いて、施錠、解錠操作を行なう。
エレベータが故障し、エレベータ制御盤5が、特定のシーケンスにより、故障信号を端末装置6へ出力する。端末装置6は、監視センタ9へ電話回線を介して情報を通報する。または、エレベータ乗りかご7に閉じ込められた人が、インターホン8を操作した場合、端末装置6は、一定時間後、インターホン8を電話回線を介して監視センタと接続する。これにより、緊急時には、監視センタ9で、状況を把握して、サービスステーシヨン10へ要員の出動要請を行なう。
又、監視センタ9は、出動した要員のidNOを、端末装置6へ伝送操作を行なう。端末装置6では、要員のidNOがメモリーエリアに格納される。テンキ3は、端末装置6に接続、緊急要員が到着しidNOを入力する。端末装置6は、テンキ3の入力と、監視センタ9から伝送された要員のidNOを比較し、合致した場合、エレベータの故障信号の有無を判定する。端末装置6は、エレベータ故障信号が有り、テンキ3の入力と監視センタ9からの伝送が合致したとき、コントローラ2へ解錠信号を出力する。これにより、建屋出入口の電気錠1は解錠される。
エレベータが故障していない場合、監視センタ9からのidNOと、テンキ3の入力が合致しても、電気錠1は、解錠しない。
又、テンキ3からの入力、判定する要員のidNOは、監視センタ9からそのつど設定するための悪用は困難である。
本実施例によれば、エレベータの故障時に、保守会社で指定した要員だけが、建屋出入口を、鍵無しで、解錠することができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、保守会社は、緊急時に建屋内へ入るために、建屋出入口の鍵を預かる必要がなくなる。万一、解錠操作の方法が第三者に洩れても、エレベータが故障していなければ、建屋出入口は解錠できない。また、緊急要員各自のidNOが洩れても、idNOは、監視センタ側で設定するため、第三者が、入力装置の操作を目撃して悪用することは、不可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の建屋出入口解錠装置の一実施例を示す全体構成図である。
1……電気錠、2……コントローラ、3……テンキ、4……鍵、5……エレベータ制御盤、6……端末装置、7……エレベータ乗りかご、8……インターホン、9……監視センタ、10……サービスステーシヨン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】エレベータと、このエレベータの運転故障状態を通報する端末装置と、出入口に遠隔操作可能な施錠装置を設けた建屋出入口解錠装置において、エレベータ緊急要員用の入力装置を設け、緊急要員の入力信号と、エレベータの状態を監視するセンタ装置から前記端末装置へ伝送した識別コードとが一致したとき、エレベータの故障信号と連動してエレベータの前記端末装置が、施錠装置へ解錠信号を出力することにより、建屋出入口を解錠することを特徴とする建屋出入口解錠装置。

【第1図】
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【特許番号】第2588974号
【登録日】平成8年(1996)12月5日
【発行日】平成9年(1997)3月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−266288
【出願日】平成1年(1989)10月16日
【公開番号】特開平3−128879
【公開日】平成3年(1991)5月31日
【出願人】(999999999)株式会社日立ビルシステムサービス
【参考文献】
【文献】特開 平3−73779(JP,A)