説明

建物における収納棚の設置構造

【課題】窓戸の屋内側に収納棚が設置される場合でも、窓戸を開いて通気性を確保することができる建物における収納棚の設置構造を提供する。
【解決手段】建物の外壁部16に形成された窓部21には、回動することにより該窓部21を開閉する窓ガラス22が設けられており、外壁部16における屋内側の壁際には、窓部21と屋内外方向に一部重なるようにして収納棚30が設置されている。窓ガラス22は、その開放に伴い窓部21に対して屋内側に傾く内倒し窓により構成されている。収納棚30において外壁部16側の背面部41には、その一部の領域にのみ背板39が配設されることで、窓ガラス22を開放した際に当該窓ガラス22が収納棚30と干渉するのを回避するための開口領域40が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物における収納棚の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、洗面室に洗面台とともに洗濯機を設置し、洗面室をランドリー空間として利用することがある。この場合、洗面台と洗濯機とは、例えば洗面室を屋外と仕切る外壁部の壁際に横並びで設置される。また、かかる洗面室では、外壁部において洗濯機の上方となる位置に窓部を設け、その窓部を通じて洗面室への採光や通気を行うことがある。なお、窓部には、当該窓部を開閉する窓戸が設けられる。
【0003】
また、洗面室には、タオル等の洗面用具や、洗剤等の洗濯用品といった物品を収納する収納棚が設置されているのが一般である(例えば特許文献1参照)。ここで、建物内において居住スペースを十分確保しようとすると、洗面室が手狭になることが多く、その場合収納棚を床面上に設置するのが困難となるため、収納棚は例えば外壁部において洗濯機の上方に設置される。このような設置構成では、収納棚の一部が窓部の屋内側に配置されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−117333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の構成では、外壁部の壁際において窓下に洗濯機が設置されているため、窓戸を開け閉めする際には、洗濯機上を窓戸に向かって手を伸ばし開け閉めすることとなり手間がかかる。特に、近年普及が進んでいるドラム式の洗濯機では奥行き寸法が大きいため、窓戸の開け閉めが大変になると考えられる。そこで、これを改善すべく、例えば窓戸として内倒し窓を用いることが考えられる。内倒し窓は、屋内側に傾倒させることにより開放状態となる構成であるため、窓下に洗濯機が設置されていても、窓戸に対して比較的手が届き易く窓戸の開け閉めがし易くなると考えられる。なお、内倒し窓には、その他に屋外側から室内を覗かれにくくする等の利点もある。
【0006】
しかしながら、窓戸として内倒し窓を用いると、窓戸を屋内側に倒して開いたときに、その一部が屋内側に設置された収納棚と干渉し、窓戸の開き度に制約が生じるおそれがある。その場合、所望の通気性を確保することが困難となるおそれがあり、その改善が求められる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、窓戸の屋内側に収納棚が設置される場合でも、窓戸を開いて通気性を確保することができる建物における収納棚の設置構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物における収納棚の設置構造は、建物の外壁部に形成された窓部には、回動することにより該窓部を開閉する窓戸が設けられており、前記外壁部における屋内側の壁際には、前記窓部と屋内外方向に一部重なるようにして収納棚が設置されている建物における収納棚の設置構造において、前記窓戸は、その少なくとも一部が当該窓戸の開放に伴い前記窓部に対して屋内側に傾く屋内側傾き部となっており、前記収納棚において前記外壁部側の背面部には、その一部の領域にのみ背板が配設されることで、前記窓戸を開放した際に前記屋内側傾き部が前記収納棚と干渉するのを回避するための開口部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、窓戸を開くと、窓戸において屋内側に傾く部分(屋内側傾き部)が、収納棚の背面部に形成された開口部を通じて収納棚の内側に入り込む。これにより、窓戸の屋内側に収納棚が設置される場合でも、窓戸を開いて通気性を確保することができる。
【0010】
第2の発明の建物における収納棚の設置構造は、第1の発明において、前記収納棚は、前記背板を挟んだ両側に対向配置される一対の側板と、それら各側板の間に上下に複数架設された棚板と、を備え、前記窓戸を開放状態とすることにより、前記屋内側傾き部が上下に隣り合う2つの棚板の間に入り込む構成となっていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、上下に複数の棚板を有する収納棚が窓戸の屋内側に設置される場合でも窓戸を開放することができるため、実用上好ましい構成といえる。
【0012】
第3の発明の建物における収納棚の設置構造は、第2の発明において、前記窓戸の開放状態において前記屋内側傾き部を挟んで上下に隣り合う2つの棚板のうち少なくともいずれかは、前記側板に着脱可能に支持されている可動棚板であることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、窓戸を開いて窓戸の清掃等のメンテナンスを行う際に、可動棚板を取り外した状態で行うことができるため、窓戸のメンテナンス性向上を図ることができる。特に、窓下に洗濯機等の大型装置が設置される場合には、かかる装置が邪魔となり窓戸のメンテナンスが困難となるためその効果が大きいものとなる。
【0014】
第4の発明の建物における収納棚の設置構造は、第3の発明において、前記窓戸は、その下端部を回動中心とする回動によって所定の開放位置まで屋内側に傾倒されることで開放状態となる内倒し窓により構成され、該内倒し窓により構成されることでその全体が前記屋内側傾き部となっており、前記窓戸は、前記所定の開放位置よりもさらに屋内側に傾倒されるメンテナンス位置まで傾倒可能とされており、前記所定の開放位置では前記上下に隣り合う2つの棚板の間にその一部が入り込む一方、前記メンテナンス位置では前記2つの棚板のうち下側の棚板にその一部が干渉する位置まで傾けられ、当該下側の棚板が前記可動棚板により構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、窓戸が内倒し窓により構成されており、その傾倒位置として所定の開放位置と、それよりも大きく傾倒されるメンテナンス位置との2位置が設定されている。ここで、窓戸が所定の開放位置まで傾倒されると、その一部が上下に隣り合う棚板同士の間に入り込むため、窓戸を開いて通気を行うことが可能となる。また、上下に隣り合う棚板のうち下側の棚板(可動棚板)を取り外せば、窓戸をメンテナンス位置まで傾倒させることができるため、窓戸のメンテナンスを好適に行うことが可能となる。
【0016】
第5の発明の建物における収納棚の設置構造は、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記窓戸は、その下端部を回動中心とする回動によって所定の開放位置まで屋内側に傾倒されることで開放状態となる内倒し窓により構成され、該内倒し窓により構成されることでその全体が前記屋内側傾き部となっており、前記窓部において前記窓戸よりも屋外側には網戸が着脱可能に設けられており、前記窓戸は、前記所定の開放位置よりもさらに屋内側に傾倒されるメンテナンス位置まで傾倒可能とされており、該メンテナンス位置に傾倒された状態において当該窓戸の傾斜方向における延長線上に配置されたすべての前記棚板が、前記側板に着脱可能に支持されている可動棚板であることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、網戸のメンテナンスを行うべく網戸を窓部から取り外す際、窓戸をメンテナンス位置まで傾倒させるとともに、窓戸の傾斜方向延長線上にあるすべての棚板を取り外すことで、傾倒された窓戸の窓面(詳しくは屋外側の窓面)に沿って網戸を屋内側にスライドさせて取り外すことができる。この場合、網戸の取り外しが容易となるため、網戸のメンテナンス性向上を図ることができる。
【0018】
第6の発明の建物における収納棚の設置構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記収納棚は、洗濯機が設けられるランドリー空間において前記洗濯機の上方に設けられる上部戸棚であり、前記外壁部の一部であって前記窓部よりも下側の部分となる窓下外壁部分が段差部を介して当該窓部よりも屋外側に配置されることにより、前記ランドリー空間を前記窓部に対して屋外側に拡張させる拡張スペースが形成されており、その拡張スペースの少なくとも一部を用いて前記洗濯機が設置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、ランドリー空間において窓部よりも屋外側に拡張された拡張スペースを利用して洗濯機を設置することができるため、洗濯機が窓部に対して屋内側に張り出す張出量を小さくすることができる。これにより、窓戸を開け閉めする際に洗濯機が邪魔となるのを抑制することができるため、窓戸の開け閉めを容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】建物の間取りを示す間取り図。
【図2】洗面室を示す正面図。
【図3】外壁部周辺の構成を示す断面図。
【図4】収納棚を示す斜視図。
【図5】収納棚を示す背面図。
【図6】窓ガラスを開放させる場合の作用を説明するための説明図であり、(a)が窓ガラスを通常開放位置まで倒した状態、(b)がメンテナンス位置まで倒した状態を示す。
【図7】他の実施形態における外壁部周辺の構成を示す断面図。
【図8】図7のB−B線断面図。
【図9】壁フレーム及びその周辺部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットが互いに連結されてなるものである。図1は建物の間取りを示す間取り図であり、図2は建物内の洗面室を示す正面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態における建物10には、居室空間としてリビング11等が設けられているとともに、非居室空間として洗面室12と、浴室13と、トイレ14とが設けられている。洗面室12には、洗面台18と、ドラム式の洗濯機19とが設けられている。洗面台18と洗濯機19とは、洗面室12を屋外と仕切る外壁部16の壁際に横並びで配置されている。この場合、洗面室12がランドリー空間に相当する
外壁部16には、洗面室12を屋外と連通させる開口部として窓部21が形成されている。図2に示すように、窓部21は、外壁部16において洗濯機19の上方に形成されており、この窓部21を通じて洗面室12への採光や通気が可能となっている。また、窓部21には、当該窓部21を開閉する窓戸として窓ガラス22が設けられている。窓ガラス22は、屋内側(つまり洗面室12側)に傾倒されることにより開放状態となる内倒し窓により構成されている(図3参照)。また、窓部21には、窓ガラス22の屋外側に網戸23が着脱可能に設けられている。
【0023】
洗面室12において外壁部16の壁際には収納棚30が設置されている。収納棚30は、タオルや石鹸といった水廻り用品等の物品を収納するものであり、洗濯機19の上方に設置されている。収納棚30は、外壁部16に対して固定されることにより設置されており、その設置状態において一部が窓部21の屋内側に配置されている。この場合、収納棚30の一部(詳しくは下部)と窓部21(窓ガラス22)とが屋内外方向において互いに重なり合った状態とされている。
【0024】
ここで、かかる収納棚30の設置構成では、窓ガラス22を屋内側に倒して開いた場合に窓ガラス22が収納棚30に干渉して、窓ガラス22の開放量に制約が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、この点に鑑みて、窓ガラス22を開いた場合に、窓ガラス22が収納棚30と干渉するのを回避すべく特徴的な構成を有している。以下、かかる特徴的な構成について図3乃至図5を用いて説明する。なお、図3は外壁部16周辺の構成を示す断面図であり、図4は収納棚30を示す斜視図であり、図5は収納棚30を示す背面図である。また、図3は図2のA−A線断面図に相当する。
【0025】
図3に示すように、窓ガラス22は、その下端部を回動中心として回動可能に設けられており、その回動によって窓部21に対し屋内側へ傾倒可能とされている。例えば窓ガラス22は、その下端部が窓部21の周縁に沿って配設される窓枠(図示略)にヒンジ(図示略)を介して取り付けられることで回動可能とされている。そして、窓ガラス22が屋内側に傾倒されることにより、窓部21が開放されるようになっている。なお、本窓ガラス22ではその全体が屋内側傾き部となっている。
【0026】
具体的には、窓ガラス22は、通常開放位置(図3の一点鎖線を参照)と、それよりも屋内側(屋外側とは反対側)に傾倒されるメンテナンス位置(図3の二点鎖線を参照)とに傾倒可能とされている。本実施形態では、通常開放位置における窓ガラス22の開き角度(詳しくは鉛直方向に対する窓ガラス22の傾斜角度)が30°に設定されており、メンテナンス位置における窓ガラス22の開き角度が45°に設定されている。窓ガラス22は、通常開放位置まで傾倒されることにより所定の開放状態となり、かかる開放状態で用いられるものとなっている。また、窓ガラス22の清掃等のメンテナンスを行う際には、窓ガラス22をメンテナンス位置まで傾倒させてメンテナンスを行う。
【0027】
窓ガラス22の屋内側には、収納棚30が設置されている。以下、収納棚30の構成について図4及び図5を用いて詳しく説明する。
【0028】
図4及び図5に示すように、収納棚30は、前面に扉を有しておらず当該前面が開放された第1収納棚部31と、前面に扉を有する第2収納棚部32とを備える。収納棚30は、これら各収納棚部31,32が横並びで一体化されることにより構成されている。第1収納棚部31は、全体として箱状(ボックス状)をなしており、対向する一対の側板33と、それら各側板33の間に上下に複数架設された棚板35,36とを備える。各側板33は、例えばパーティクルボードよりなり、窓ガラス22の横幅よりも大きい間隔を隔てて対向配置されている。
【0029】
棚板35,36は、上下に複数段(本実施形態では4段)設けられ、上下に隣り合う棚板35,36同士は互いに離間して配置されている。ここで、各棚板35,36における上方スペースが収納スペースとなる。棚板35,36は、例えばパーティクルボードよりなり、対向する各側板33の間に水平方向に延びる向きで架け渡されている。
【0030】
これら複数の棚板35,36のうち、最上段の棚板が固定棚板35、それ以外の棚板が可動棚板36として構成されている。固定棚板35は、その両端部がそれぞれ各側板33にビス等により固定されており、これにより側板33に対して着脱不能に取り付けられている。
【0031】
一方、可動棚板36は、各側板33に対して着脱可能に取り付けられている。各側板33の内側面にはそれぞれ可動棚板36を支持する支持ピン37が側板33の横幅方向に所定の間隔で複数(例えば2つ)取り付けられている(図3も参照)。そして、これらの支持ピン37上に可動棚板36が支持されており、これにより可動棚板36が着脱可能とされている。具体的には、可動棚板36の下面には、各支持ピン37の配設位置に対応して複数の係合溝部(図示略)が形成され、それら各係合溝部に支持ピン37を入り込ませた(係合させた)状態で可動棚板36が支持ピン37上に支持されている。これにより、可動棚板36が着脱可能とされる構成において、可動棚板36が側板33から容易に脱落することが抑制されている。
【0032】
また、各可動棚板36はそれぞれ対向する各側板33間において、その後端部が側板33の後端部よりも若干前方に位置するように配置されている。この場合、各可動棚板36の後方には所定のスペースが形成されており、第1収納棚部31が窓部21の屋内側に設置される場合に、同スペースにより可動棚板36が窓枠(図示略)に干渉するのを回避することができるようになっている。
【0033】
各可動棚板36のうち最下段に配置された可動棚板36aは各側板33の下端部間に架け渡されて、第1収納棚部31の底板を構成している。この可動棚板36aは、前後方向の長さ(前後幅)が他の可動棚板36b,36cよりも小さくなっており、これにより可動棚板36aの前方には後述するハンガー部50が配設される配設スペースが形成されている。
【0034】
対向する各側板33の上端部の間には天板38が架け渡されている。天板38は、例えばパーティクルボードよりなる。天板38は、その両端部がそれぞれ各側板33に対してビス等で固定されている。
【0035】
対向する各側板33の後端部の間には背板39が架け渡されている。背板39は、例えばパーティクルボードよりなる。背板39は、その横幅寸法が各側板33の離間距離とほぼ同じとされ、かつ、その高さ寸法(上下長さ)が側板33の高さ寸法(上下長さ)よりも小さい寸法とされている。具体的には、背板39の高さ寸法は、天板38と固定棚板35との間の離間距離とほぼ同じとされている。そして、背板39は、第1収納棚部31の背面部41において両側板33、天板38及び固定棚板35により囲まれる内側部分に配設されており、その配設状態においてそれら各部材33,35,38に対しビス等で固定されている。この場合、第1収納棚部31の背面部41ではその一部(上部)にのみ背板39が配設され、背板39が配設されていない残りの部分が開口領域40となっている。
【0036】
開口領域40は、第1収納棚部31の背面部41にて同収納棚部31の内外を連通しており、その開口幅(横幅)が各側板33により規定されている。したがって、開口領域40の開口幅は各側板33の設置間隔(離間距離)と略同じとされており、それ故、開口領域40の開口幅は窓ガラス22の横幅よりも大きくなっている。なおここで、開口領域40が開口部に相当する。
【0037】
対向する各側板33の間には、スライド部43が設けられている。スライド部43は、横方向に延びる棒状のハンガー部44と、ハンガー部44の両端部からそれぞれ後方に延びるように形成された一対のスライドバー45と、それら各スライドバー45の後端部同士を横方向に連結する連結バー46とを備え、それら各部材44〜46が互いに連結されることで矩形形状をなしている。
【0038】
スライド部43は、各側板33の間において可動棚板36cの直下に配置されており、前後方向にスライド可能に設けられている。具体的には、各側板33の内側面にはそれぞれスライド部43の設置高さに合わせて前後方向に延びるスライドレール47が設けられている。これら各スライドレール47にはそれぞれスライド部43の各スライドバー45が配設されており、これによりスライド部43がスライドレール47を介して各側板33に支持されている。そして、各スライドバー45をスライドレール47に沿ってスライドさせることにより、スライド部43を前後方向にスライド移動させることが可能となっている。かかる構成によれば、スライド部43を前方にスライドさせることによりハンガー部44を手前に引き出すことができるため、例えば洗濯物WをハンガーHに吊ってハンガー部44に引っ掛けることで洗濯物Wを干したりすること等が可能となる(図3参照)。
【0039】
また、スライド部43において各スライドバー45の間には、長手方向の中間位置に幕板49が架け渡されている。幕板49は、スライド部43の補強のために、ひいては第1収納棚部31の補強のために設けられている。また、幕板49は、スライド部43を手前に引き出す際に、その直下の可動棚板36b上に載置された物品が落下するのを抑制する機能も有している。すなわち、スライド部43を手前に引き出す際には、可動棚板36b上の物品が連結バー46に引っ掛かり転倒ひいては落下する可能性があるが、幕板49があれば物品が転倒した際に幕板49によって物品を受けることができるため、物品の落下を抑制することが可能となる。
【0040】
対向する各側板33の下端部間にはハンガー部50が架け渡されている。ハンガー部50は、横方向に延びる棒状をなし、可動棚板36aの前面側に設けられている。この場合、ハンガー部50にタオル等の物品を引っ掛けることが可能となる。また、ハンガー部50により各側板33が連結されているため、補強効果も期待できる。
【0041】
第2収納棚部32は、第1収納棚部31と同様、全体として箱状(ボックス状)をなしており、その高さ寸法及び奥行き寸法がそれぞれ第1収納棚部31と同じとされている。第2収納棚部32は、第1収納棚部31に対して高さ方向及び奥行き方向のそれぞれにおいて位置合わせされた状態で配置され、その配置状態で第1収納棚部31に連結されている。これにより、収納棚30は全体として直方体状をなしている。
【0042】
第2収納棚部32は、本体部51と扉部52とからなる。本体部51は、対向する一対の側板53と、それら各側板53の間に架設された上下複数(図5では3つ)の棚板54と、各側板53の間における上端部間に架設された天板55と、各側板53の間における後端部間に架設された背板56とを備え、これら各部材53〜56が互いに連結されることにより構成されている。第2収納棚部32における本体部51の側板53は第1収納棚部31における側板33と当接された状態で、当該側板33に対してビス等により連結されている。これにより、第2収納棚部32が第1収納棚部31と一体化されている。
【0043】
次に、収納棚30の設置構成について説明する。
【0044】
図2及び図3に示すように、収納棚30は、洗濯機19の上方位置において、その背面部を外壁部16の屋内面に対向させた状態で設置されている。かかる収納棚30の設置状態において、第1収納棚部31は、その一部(下部)が窓部21の屋内側に配置されており、当該窓部21と屋内外方向に重なり合っている。第1収納棚部31は、その横幅方向(左右方向)の両端部が窓部21を挟んで左右両側に位置するように配置されており、詳しくは同横幅方向において両側板33の間に窓部21ひいては窓ガラス22が位置するように配置されている。
【0045】
第1収納棚部31は、その背板39を外壁部16において窓部21よりも上方の部分に当接させた状態で設けられており、その当接された背板39が外壁部16に対してビス等で固定されている。これにより、第1収納棚部31が外壁部16に対して固定されている。この場合、第1収納棚部31の背面部41では背板39が窓部21よりも上方に位置しており、その結果背面部41において窓部21と屋内外方向に重なり合っている部分には開口領域40が配置されている。これにより、窓部21の屋内側に第1収納棚部31が配置される構成においても、開口領域40を通じて洗面室12への採光が可能となっている。
【0046】
より詳しくは、第1収納棚部31の設置状態では、同収納棚部31の一部が窓部21の上側略半分の領域と重なり合っている。この場合、中段の可動棚板36bは、その下面が窓部21の上端部と略同じ高さ位置となるように配置されており、下段の可動棚板36aは窓部21の上下方向略中央の高さ位置に配置されている。
【0047】
続いて、かかる収納棚30(第1収納棚部31)の設置状態において、窓ガラス22を開放させる場合の作用について図6を用いて説明する。図6は、窓ガラス22を開放させる場合の作用を説明するための説明図であり、(a)が窓ガラス22を通常開放位置まで倒した状態を示し、(b)がメンテナンス位置まで倒した状態を示す。
【0048】
図6(a)に示すように、窓ガラス22を通常開放位置まで傾倒させた場合には、窓ガラス22の一部(回動先端側)が第1収納棚部31の開口領域40を通じて同収納棚部31の内側に入り込み、上下に隣り合う2つの可動棚板36a,36bの間に配置される。この場合、窓ガラス22が第1収納棚部31に干渉するのを回避することができるため、窓ガラス22を開いて通気を行うことが可能となる。
【0049】
また、図6(b)に示すように、窓ガラス22をメンテナンス位置まで傾倒させた場合には、窓ガラス22が下段の可動棚板36aと干渉する位置まで傾倒される。そのため、窓ガラス22をメンテナンス位置まで傾倒させる際には、可動棚板36aを取り外した状態で傾倒させる。これにより、窓ガラス22を大きく傾けた状態で窓ガラス22の清掃等のメンテナンスを行うことができるため、メンテナンス性向上を図ることができる。
【0050】
また、メンテナンス位置まで窓ガラス22を傾けた状態で、窓部21から網戸23を取り外し、網戸23のメンテナンスを行うこともできる。ここで、窓ガラス22をメンテナンス位置まで傾倒させた状態では、窓ガラス22の傾斜方向の延長線上に可動棚板36bのみが設置されている。そこで、この可動棚板36bを取り外せば、網戸23を窓部21から取り外した後、網戸23を窓ガラス22の窓面(屋外側の窓面)に沿ってスライドさせながら屋内側に移動させることができるため、網戸23の取り外しを容易とすることできる。これにより、網戸23のメンテナンスを好適に行うことが可能となる。
【0051】
なお、窓ガラス22のメンテナンスを行うに際して、下段の可動棚板36aの他に、中段の可動棚板36bや、さらには上段の可動棚板36aを取り外してメンテナンスを行ってもよい。そうすれば、窓ガラス22のメンテナンスをさらにし易くすることができる。
【0052】
図3に戻って、同図に示されているその他の構成に関して説明すると、洗濯機19は、洗面室12の床面65上に載置された排水パン60の内側に設置されている。洗濯機19から排水された水はこの排水パン60に流れ、その後排水パン60に接続された排水管(図示略)を通じて洗面室12外部に排水される。外壁部16の屋内面において洗濯機19の上方位置には、洗濯機19への給水を行うための給水栓61が設けられている。給水栓61には、給水配管62が接続されており、その給水配管62は外壁部16を貫通して屋外側に延び、その後外壁部16の屋外面に沿って下方に延びている。
【0053】
外壁部16の屋外面には、給水配管62を覆うための配管カバー63が設けられている。配管カバー63は、上下方向に延びかつ外壁面側が開口された長尺箱状をなしており、例えば樹脂材料により形成されている。配管カバー63は、その内部に給水配管62を収容するようにして外壁部16にビス等で取り付けられている。これにより、給水配管62を屋外側に配置する構成において建物10の美観が損なわれるのを防止することができる。なお、給水配管62は、配管カバー63の底板部に形成された挿通孔部63aを通じてカバー外部に引き出されている。
【0054】
上記のように、給水配管62を外壁部16の屋外面に沿って上下に延びるように配置したことで、給水配管62を外壁部16の屋内面に沿って上下に延びるように配置する場合と比べ、給水配管62の外径寸法分、洗濯機19を外壁部16に近づけて設置することができる。これにより、窓ガラス22に対して洗濯機19が屋内側に張り出す張出量を小さくすることができるため、窓ガラス22の開閉をし易くすることができる。
【0055】
洗面室12の床面65を形成する床面材66は、例えばパーティクルボードからなる。床面材66は、基礎67上に設置された床大梁68上に床根太69を介して下方から支持されている。なお、床大梁68は、断面コ字状をなす溝形鋼よりなり、その溝開口を屋内側に向けた状態で配置されている。
【0056】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0057】
第1収納棚部31の背面部41において一部の領域にのみ背板39を配設することにより同背面部41に開口領域40を形成し、窓ガラス22を開放させた際にはその開口領域40を通じて窓ガラス22を第1収納棚部31の内側に入り込ませるようにした。これにより、窓ガラス22の屋内側に第1収納棚部31が設置されていても、窓ガラス22を開くことができ通気性を確保することができる。
【0058】
また、窓ガラス22を開いた際に窓ガラス22が上下に隣り合う2つの棚板36a,36bの間に入り込むようにした。これにより、第1収納棚部31が複数の棚板35,36を有する構成であっても窓ガラス22を開くことができるため、実用上好ましい構成といえる。
【0059】
また、それら上下に隣り合う2つの棚板36a,36bの双方を着脱可能な可動棚板36a,36bにより構成したため、窓ガラス22の清掃等のメンテナンスを行う際にはそれら各可動棚板36a,36bを取り外した状態でメンテナンスを行うことができる。これにより、窓ガラス22のメンテナンス性向上を図ることができる。特に、窓部21の下方に洗濯機19が設置されている場合には、洗濯機19が邪魔となって窓ガラス22のメンテナンスが困難となるおそれがあるため、その効果が大きいものとなる。
【0060】
窓ガラス22を、通常開放位置とそれよりも屋内側に傾倒されるメンテナンス位置とに傾倒可能とし、窓ガラス22をメンテナンス位置まで傾倒させた際に窓ガラス22と干渉する棚板36aを着脱可能の可動棚板36aとした。この場合、この可動棚板36aを取り外せば、窓ガラス22をメンテナンス位置まで傾倒させることができるため、窓ガラス22を大きく倒した状態でメンテナンスすることができる。これにより、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0061】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0062】
(1)例えば、外壁部16の一部であって窓部21よりも下側の部分を段差部を介して当該窓部21よりも屋外側に配置することで、洗面室12を窓部21よりも屋外側に拡張させる拡張スペースを形成し、その拡張スペースを利用して洗濯機19を設置するようにしてもよい。その具体例を図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7は外壁部16周辺の構成を示す断面図であり、図8は図7のB−B線断面図である。
【0063】
図7及び図8に示す建物80では、外壁部16として、窓部21が形成された主外壁部16aと、窓部21よりも下方において主外壁部16aよりも屋外側に設けられた副外壁部16bとを備える。副外壁部16bは、外壁部16における幅方向の一部に形成されており、この副外壁部16bが設けられることにより洗面室12の一部が主外壁部16aよりも屋外側に拡張されている。以下、この拡張されたスペースを拡張スペース85という。
【0064】
拡張スペース85を挟んで左右両側には一対の側面部82が設けられている。これら各側面部82はそれぞれ副外壁部16bと主外壁部16aとに跨るように設けられている。拡張スペース85の上方には、天面部83が副外壁部16bと主外壁部16aとに跨るようにして設けられている。この場合、拡張スペース85は、副外壁部16b、各側面部82及び天面部83により囲まれて形成されている。ここで、各側面部82及び天面部83が段差部に相当する。
【0065】
拡張スペース85の床部は床支持部材95を有して構成されている。床支持部材95は、断面L字状をなす長尺材よりなり、床大梁68のウェブの外側面に固定された支持板部95aと、支持板部95aの上端部から屋外側に向かって副外壁部16bの下方に到るまで延びる支持板部95bとを有する。支持板部95aの上面は床面材66の上面と略面一とされており、支持板部95aの上面と床面材66の上面とに跨るようにしてフローリング等の床仕上げ面材96が敷設されている。
【0066】
洗面室12の床面(床仕上げ面材96)上には、洗濯機19が設置されている。洗濯機19はその一部が拡張スペース85に入り込んだ状態で設置されており、詳しくはその背面が副外壁部16bの屋内面に近接する位置に設置されている。これにより、本例では、洗濯機19において窓部21に対し屋内側にはみ出すはみ出し量が、上記実施形態の場合と比べ、小さくなっている。そのため、窓ガラス22の開け閉めに際して、洗濯機19が邪魔となるのが抑制されており、その結果窓ガラス22の開け閉めを容易に行うことが可能となっている。
【0067】
図7に示すその他の構成として、副外壁部16bの屋内面には給水栓61が設けられており、この給水栓61には給水配管97が接続されている。給水配管97は、上記実施形態の場合と異なり、副外壁部16bの内部を下方に向かって延びている。また、洗濯機19が設置されている排水パン60には排水口60aが形成されており、その排水口60aには排水配管98が接続されている。排水配管98も給水配管97と同様に下方に延びており、これら各配管97,98はそれぞれ床支持部材95の支持板部95bに形成された挿通孔部101を通じて下方に延びている。そして、これら各配管97,98はいずれも、床支持部材95の下方において基礎67の屋外側に配置されている。したがって、配管97,98のメンテナンスがし易くなっている。
【0068】
また、床支持部材95の支持板部95bの下方には、給水配管97と排水配管98とを屋外から覆うようにして幕板99が設けられている。幕板99は、これら各配管97,98を囲むようにコ字状をなしており、その屋外面が副外壁部16bの屋外面と略面一となるように配置されている。これにより、基礎67の外側に配置される各配管97,98により建物の外観が損なわれるのを回避することができる。
【0069】
ところで、副外壁部16bを構築するにあたって、例えば図9に示すような壁フレーム90を用いてもよい。すなわち、壁フレーム90は複数のフレーム材が互いに連結されることにより構成されており、この壁フレーム90に壁面材(図示略)を取り付けることで副外壁部16bを形成する。具体的には、壁フレーム90は、副外壁部16bを構成するための副外壁フレーム部90aと、天面部83を構成するための天面フレーム部90bと、主外壁部16aを構成するための主外壁フレーム部90cとを有する。
【0070】
副外壁フレーム部90aの下端部にはL字状の支持金具92が取り付けられている。支持金具92は、副外壁フレーム部90aの左右両端にそれぞれ設けられ、互いに直交する2つの板部92a,92bのうち一方の板部92aを下側に向けかつ他方の板部92bを屋内側に向けて取り付けられている。主外壁フレーム部90cには、複数のフレーム材により囲まれた矩形形状の開口領域105が形成されている。この開口領域105は窓部21を形成するために用いられるものである。また、主外壁フレーム部90cの上端部には、一対の吊り具93が取り付けられている。
【0071】
壁フレーム90は、各吊り具93がそれぞれ床大梁68上方の天井大梁(図示略)に予め取り付けられたボルト(図示略)に吊り下げられ、かつ、各支持金具92が床支持部材95の支持板部95a上に載置された状態で設置される。詳しくは、各支持金具92は、その鉛直板部92aを支持板部95aの端部に当接させた状態で水平板部92bが支持板部95a上に載置されており、その載置された状態で水平板部92bが支持板部95aに対しボルトにより固定されている。これにより、壁フレーム90が建物10側に固定されている。
【0072】
かかる壁フレーム90において副外壁フレーム部90aには図示しない壁面材が取り付けられることにより副外壁部16bが形成され、天面フレーム部90bには図示しない面材が取り付けられることで天面部83が形成され、主外壁フレーム部90cには図示しない外壁面材が取り付けられることで主外壁部16aの一部が形成される。また、主外壁フレーム部90cの開口領域105を用いて窓部21が形成され、同窓部21には窓ガラス22が配設される。また、副外壁フレーム部90a及び天面フレーム部90bを挟んだ左右両側にはそれぞれ側板103が設けられ、これらの側板103は各フレーム部90a,90bにおける左右両端のフレーム材に対しビス等で取り付けられる。この側板103により側面部82が構成される。このように、副外壁部16bを構築するにあたり壁フレーム90(及び床支持部材95)を用いれば、比較的簡単に窓下に拡張スペース85を形成することができる。
【0073】
(2)上記実施形態では、第1収納棚部31に棚板35,36を上下4段設けたが、棚板35,36の段数は任意としてよい。例えば、棚板を最下段の棚板のみの1段とし、側板33の高さ方向の中間位置には棚板を設けない構成としてもよい。また、上記実施形態では、可動棚板36を上下3段配置したが、これら各可動棚板36のうちいずれか又はすべてを固定棚板35に代えてもよい。例えば、通常開放位置まで傾倒された窓ガラス22を挟んで両側に配置される各可動棚板36b,36cのうちいずれか一方を固定棚板35に代えてもよい。
【0074】
(3)窓ガラス22との干渉を回避することができる範囲であれば、第1収納棚部31における背面部41の開口領域40を上記実施形態のものより小さくしてもよい。例えば、背板39を上記実施形態のものよりも下方に延ばして形成することで開口領域40の開口高さ(上下高さ)を小さくすることが考えられる。具体的には、背板39の高さ寸法を天板38と可動棚板36bとの離間距離と略同じとし、それら各板38,36b間に上下に架け渡すようにして背板39を配設する。この場合、背面部41における上下方向の約半分に亘り背板39が配設されるため、第1収納棚部31の背面側の強度を高めることができる。また、背板39と外壁部16との当接面を広く確保することができるため、第1収納棚部31を外壁部16に安定した状態で設置することができる。
【0075】
(4)上記実施形態では、収納棚30において第1収納棚部31に本発明を適用したが、これを変更して、扉付きの第2収納棚部32に本発明を適用してもよい。すなわち、第2収納棚部32の背面部の一部にのみ背板56を設けることで同収納棚部32の背面部に開口領域を形成し、その開口領域により開放させた窓ガラス22との干渉を回避するようにしてもよい。但し、第2収納棚部32には前面に扉部52が設けられているため、窓ガラス22を開いても通気を十分に確保することができないおそれがある。この点を鑑みると、上記実施形態のように前面が開放された第1収納棚部31に本発明を適用することが望ましいと思われる。
【0076】
(5)上記実施形態では、窓ガラス22が通常開放位置とメンテナンス位置との2位置に切替可能とされていたが、窓ガラス22は通常開放位置のみに傾倒可能なものであってもよい。この場合、通常開放位置まで傾倒させた状態で窓ガラス22のメンテナンスを行えばよい。また、上記実施形態では、窓部21を開閉する窓戸として内倒し窓を用いたが、回転窓や、横開き式の内開き窓等その他の窓戸を用いてもよい。つまり、窓戸の開放時に少なくとも一部が窓部21に対して屋内側に傾く窓戸であれば、本発明を適用可能である。
【0077】
(6)上記実施形態では、収納棚30が外壁部16に固定されることで設置されていたが、収納棚30は天井面に固定されることで吊り下げ設置されていてもよいし、設置台の上に載置されることにより設置されていてもよい。
【0078】
(7)上記実施形態では、洗面室12に設置された収納棚30に本発明を適用したが、トイレやキッチン等その他の部屋に設置される収納棚に適用してもよい。トイレやキッチンについても洗面室12と同様手狭となることが多いため、収納棚が外壁部の壁際において一部窓部21と重なるように設置される場合が考えられる。
【符号の説明】
【0079】
10…建物、12…ランドリー空間としての洗面室、19…洗濯機、21…窓部、22…窓戸としての窓ガラス、23…網戸、30…収納棚、31…第1収納棚部、32…第2収納棚部、33…側板、35…固定棚板、36…可動棚板、39…背板、40…開口部としての開口領域、41…背面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁部に形成された窓部には、回動することにより該窓部を開閉する窓戸が設けられており、前記外壁部における屋内側の壁際には、前記窓部と屋内外方向に一部重なるようにして収納棚が設置されている建物における収納棚の設置構造において、
前記窓戸は、その少なくとも一部が当該窓戸の開放に伴い前記窓部に対して屋内側に傾く屋内側傾き部となっており、
前記収納棚において前記外壁部側の背面部には、その一部の領域にのみ背板が配設されることで、前記窓戸を開放した際に前記屋内側傾き部が前記収納棚と干渉するのを回避するための開口部が形成されていることを特徴とする建物における収納棚の設置構造。
【請求項2】
前記収納棚は、
前記背板を挟んだ両側に対向配置される一対の側板と、
それら各側板の間に上下に複数架設された棚板と、を備え、
前記窓戸を開放状態とすることにより、前記屋内側傾き部が上下に隣り合う2つの棚板の間に入り込む構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の建物における収納棚の設置構造。
【請求項3】
前記窓戸の開放状態において前記屋内側傾き部を挟んで上下に隣り合う2つの棚板のうち少なくともいずれかは、前記側板に着脱可能に支持されている可動棚板であることを特徴とする請求項2に記載の建物における収納棚の設置構造。
【請求項4】
前記窓戸は、その下端部を回動中心とする回動によって所定の開放位置まで屋内側に傾倒されることで開放状態となる内倒し窓により構成され、該内倒し窓により構成されることでその全体が前記屋内側傾き部となっており、
前記窓戸は、前記所定の開放位置よりもさらに屋内側に傾倒されるメンテナンス位置まで傾倒可能とされており、前記所定の開放位置では前記上下に隣り合う2つの棚板の間にその一部が入り込む一方、前記メンテナンス位置では前記2つの棚板のうち下側の棚板にその一部が干渉する位置まで傾けられ、当該下側の棚板が前記可動棚板により構成されていることを特徴とする請求項3に記載の建物における収納棚の設置構造。
【請求項5】
前記窓戸は、その下端部を回動中心とする回動によって所定の開放位置まで屋内側に傾倒されることで開放状態となる内倒し窓により構成され、該内倒し窓により構成されることでその全体が前記屋内側傾き部となっており、
前記窓部において前記窓戸よりも屋外側には網戸が着脱可能に設けられており、
前記窓戸は、前記所定の開放位置よりもさらに屋内側に傾倒されるメンテナンス位置まで傾倒可能とされており、該メンテナンス位置に傾倒された状態において当該窓戸の傾斜方向における延長線上に配置されたすべての前記棚板が、前記側板に着脱可能に支持されている可動棚板であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の建物における収納棚の設置構造。
【請求項6】
前記収納棚は、洗濯機が設けられるランドリー空間において前記洗濯機の上方に設けられる上部戸棚であり、
前記外壁部の一部であって前記窓部よりも下側の部分となる窓下外壁部分が段差部を介して当該窓部よりも屋外側に配置されることにより、前記ランドリー空間を前記窓部に対して屋外側に拡張させる拡張スペースが形成されており、その拡張スペースの少なくとも一部を用いて前記洗濯機が設置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物における収納棚の設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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