建物の空調システム
【課題】縦長空間部を有する建物において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施する。
【解決手段】建物10において一階/二階の境界部13の一部が取り除かれて吹き抜け開口部14が形成されており、その吹き抜け開口部14を通じて上下に連通する空間が吹き抜け空間15となっている。境界部13には一階用の空調装置21が設置され、二階部分12の天井裏スペースには二階用の空調装置31が設置されている。また、境界部13には、吹き抜け開口部14(吹き抜け空間15)を横切るようにして水平方向にエアカーテンを発生させるためのエアカーテン装置40が設置されている。一階及び二階の少なくともいずれかで空調装置21,31による空調が行われる場合に、エアカーテン装置40の駆動によりエアカーテンが発生するようになっている。
【解決手段】建物10において一階/二階の境界部13の一部が取り除かれて吹き抜け開口部14が形成されており、その吹き抜け開口部14を通じて上下に連通する空間が吹き抜け空間15となっている。境界部13には一階用の空調装置21が設置され、二階部分12の天井裏スペースには二階用の空調装置31が設置されている。また、境界部13には、吹き抜け開口部14(吹き抜け空間15)を横切るようにして水平方向にエアカーテンを発生させるためのエアカーテン装置40が設置されている。一階及び二階の少なくともいずれかで空調装置21,31による空調が行われる場合に、エアカーテン装置40の駆動によりエアカーテンが発生するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、例えば一階部分と二階部分とを連通させて吹き抜け空間を形成したものがある。他方、建物には一般に空調装置が設けられており、上記のような吹き抜け空間の空調を行う場合には、吹き抜け空間を通じて上下方向に空気流が生じるため、室内温度が望み通りに調整できないといった問題が生じる。すなわち、冷房時には空調装置から吹き出された冷風が下方に流れ、暖房時には空調装置から吹き出された冷風が上方に流れる。そのため、夏期等において二階部分でユーザの意向に合うような冷房ができなかったり、冬期等において一階部分でユーザの意向に合うような暖房ができなかったりする。なお、上記のようにユーザの意向に合う冷暖房ができなくなる問題は、吹き抜け空間以外に、上階部と下階部とを繋ぐ階段部分などにおいても生じる。
【0003】
上階部と下階部との温度差を解消し、上下階を均一な温度に設定するための技術として、例えば特許文献1が提案されている。かかる特許文献1では、上下階に連通する空間(吹き抜け空間等)を有する建物において、その上下階の間の床部に、上階室内側に開口する上階側給排気口と、下階室内側に開口する下階側給排気口とを設け、それら各給排気口を空調装置に連通させている。そして、暖房時には、上階室内の空気を上階側給排気口から吸うとともに、下階室内に向かって下階側給排気口から温風を吹き出すようにしている。また、冷房時には、下階室内の空気を下階側給排気口から吸うとともに、上階室内に向かって上階側給排気口から冷風を吹き出す構成としている。
【0004】
上記特許文献1は、上下階における室内温度の均一化を図る上では有用な技術と考えられるが、ユーザ(家人)が上階部又は下階部のいずれかに居る場合であっても、その居場所のみを冷暖房することができない。つまり、常に上下階に渡って空調が行われる。そのため、非効率な空調が行われるおそれがあった。
【特許文献1】特開平11−257684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、縦長空間部を有する建物において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
上階部(二階部分12)と下階部(一階部分11)とを有し、かつその上階部と下階部とを連通する縦長空間部(吹き抜け空間15)を有する建物(建物10)では、上階部又は下階部の少なくともいずれかで空調が行われる際に、縦長空間部を含む空間でユーザの意向に合う冷暖房が行えないことが生じる。
【0008】
この点本発明によれば、上階部と下階部との階間を仕切る高さ付近にエアカーテン装置を設けている。そして、上階部及び下階部の少なくともいずれかで空調装置(空調装置21,31)による空調が行われる場合に、エアカーテン装置を駆動させ、水平方向又は略水平方向にエアカーテンを発生させるようにしている。かかる場合、縦長空間部において上階側の空間と下階側の空間とがエアカーテンにより分断され、空気の上下移動が妨げられる。したがって、夏期等において上階部でユーザの意向に合うような冷房ができない、又は、冬期等において下階部でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合を解消することができる。その結果、縦長空間部を有する建物において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。なお、縦長空間部には、吹き抜け部や階段部が含まれる。
【0009】
ちなみに、吹き抜け空間等の縦長空間部に可動式スクリーンを設置し、そのスクリーンにより、縦長空間部の上階側と下階側とを熱遮断する従来技術もある。しかしながら、かかる技術では、スクリーンにて上階側と下階側とを分離することで、吹き抜け空間等を有することで本来得られる筈の開放感等が損なわれてしまう。また、階段室等を有する空間においてはスクリーンの設置が困難になるといった不都合や、仮に設置できたとしても通行の邪魔になるといった不都合が生じる。この点本発明によれば、吹き抜け空間等による開放感が何ら支障なく得られる。また、階段室等への設置も容易であり、その設置状態において通行の邪魔になるといった不都合も回避できる。
【0010】
ここで、上階部と下階部との温度差(縦長空間部における上階側の空間と下階側の空間との温度差)を算出し、その温度差に応じてエアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させると良い。より具体的には、上階部/下階部の温度差が所定値よりも大きくなることを条件に、エアカーテンを発生させると良い。つまり、上階部と下階部とで温度差が生じていない場合には、空調装置による冷暖房が行われていても、ユーザの意に反するような室内温度の偏りが生じていないと考えられる。この場合、温度条件を加味することにより、都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0011】
また、縦長空間部において上下方向の空気流(上昇気流又は下降気流)が発生することで、上階部と下階部との温度差が生じると考えられる。故に、縦長空間部を通じて上下方向の空気流が発生しているかどうかを判定し、前記上下方向の空気流が発生している旨判定した場合にエアカーテンを発生させると良い。本構成によっても、上記のとおり都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0012】
ところで、冷房空調時の冷気は下方に流れるため、縦長空間部を含む空間でユーザの意向に合うような冷房ができないといった不都合は、上階部を冷房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、下階部を冷房したい場合には上記不都合は生じない)。そこで、空調装置により上階部で冷房空調が行われているかどうかを判定し、その冷房空調が行われている場合にエアカーテンを発生させると良い。本構成によれば、所望とする冷房を好適に行わせることができる。また、エアカーテンを過度に発生させることが回避でき、消費エネルギの節減を図ることができる。
【0013】
また、暖房空調時の暖気は上方に流れるため、縦長空間部を含む空間でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合は、下階部を暖房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、上階部を暖房したい場合には上記不都合は生じない)。そこで、空調装置により下階部で暖房空調が行われているかどうかを判定し、その暖房空調が行われている場合にエアカーテンを発生させると良い。本構成によれば、所望とする暖房を好適に行わせることができる。また、エアカーテンを過度に発生させることが回避でき、消費エネルギの節減を図ることができる。
【0014】
空調装置から上階部又は下階部のいずれかに送出される空調エアをエアカーテン装置に供給しその空調エアによりエアカーテンを形成するとともに、エアカーテン形成後の排出エアを、空調装置による空調階と同階側に吹き出させると良い。この場合、空調エアを活用することで、本来の空調を行いつつ、エアカーテン形成を好適に行わせることができる。
【0015】
エアカーテン装置による吹出エアの温度が変わると、エア進行方向の上下角度(水平方向に対する上下角度)が相違し、エアカーテンの吹出位置と吸込位置とが不一致になることから、エアカーテンが適正に形成できなくなることがあると考えられる。具体的には、吹出エアの温度が低いと同エアが吸込側で下降傾向を呈し、逆に吹出エアの温度が高いと同エアが吸込側で上昇傾向を呈する。これは、本発明のようにエアカーテンを水平方向又は略水平方向に発生させる場合に限って生じる事象である。また特に、上記のように空調装置から送出される空調エアによりエアカーテンを発生させる構成とする場合には、冷房時と暖房時とで吹出エアの温度が相違し、上記事象が生じやすくなる。
【0016】
そこで、エアカーテン装置により形成されるエアカーテンの上下角度(水平方向に対する上下角度、例えば吹出エアの上下角度)を、吹出エアの温度に応じて可変とすると良い。かかる構成によれば、常に適正にエアカーテンを形成し、所望とする効果を得ることができる。なお、上記のように空調装置から送出される空調エアによりエアカーテンを発生させる構成とする場合には、エアカーテンの上下角度(例えば吹出エアの上下角度)を冷房時と暖房時とで変更するような構成を採用することも可能である。
【0017】
エアカーテンの上下角度を変更するための具体的な構成としては、次の(1),(2)が考えられる。
【0018】
(1)エアカーテン装置として、縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリル(エアカーテン吹出グリル42)と吸込グリル(エアカーテン吸込グリル44)とを備え、そのうち吹出グリルの上下方向のエア吹出角度を調整可能とする。そして、吹出グリルのエア吹出角度を調整することで、エアカーテンの上下角度を変更する。具体的には、吹出エアの温度が低い場合(例えば冷房時)には、吹出グリルのエア吹出角度を上向きにし、吹出エアの温度が高い場合(例えば暖房時)には、吹出グリルのエア吹出角度を下向きにすると良い。
【0019】
(2)エアカーテン装置として、縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリル(エアカーテン吹出グリル42)と吸込グリル(エアカーテン吸込グリル44)とを備え、吹出グリルの実際の吹出高さ位置と吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整可能とする。そして、吹出グリルの実際の吹出高さ位置と吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整することで、エアカーテンの上下角度を変更する。具体的には、吹出エアの温度が低い場合(例えば冷房時)には、吹出グリルの実際の吹出高さ位置を高くする、又は吸込グリルの実際の吸込高さ位置を低くする。また、吹出エアの温度が高い場合(例えば暖房時)には、吹出グリルの実際の吹出高さ位置を低くする、又は吸込グリルの実際の吸込高さ位置を高くする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、縦長空間部としての吹き抜け空間を有する住宅等の二階建て建物において、一階部分及び二階部分をそれぞれ個別に空調する空調システムを採用している。図1は、建物10における空調システムの概要を示す図である。
【0021】
図1において、建物10は一階部分11と二階部分12とを有しており、それら一階部分11及び二階部分12の間に境界部13が設けられている。なお、境界部13は、一階天井面及び二階床面や、それらの間にある各部材によって構成されている。また、本建物10においては、一階/二階の境界部13の一部が取り除かれて吹き抜け開口部14が形成されており、その吹き抜け開口部14を通じて上下に連通する空間が吹き抜け空間15となっている。
【0022】
一階/二階の境界部13には一階用の空調装置21が設置されている。空調装置21は少なくとも冷房及び暖房機能を有する熱交換ユニット(室内機)により構成され、この空調装置21によって一階部分11の各部屋における冷暖房が行われる。また、一階用の空調システムとして上記空調装置21以外に、一階天井面11aには吸込グリル22と給気グリル23とが取り付けられており、吸込グリル22を介して一階部屋内の空気が吸い込まれ、その後空調装置21に取り込まれる。空調装置21から排出される空調エア(冷気、又は暖気)は給気ダクト24を介して給気グリル23に給送され、給気グリル23から一階部屋内に吹き出される。
【0023】
また、二階部分12の天井裏スペースには二階用の空調装置31が設置されている。空調装置31は、前述した空調装置21と同様、少なくとも冷房及び暖房機能を有する熱交換ユニット(室内機)により構成され、この空調装置31によって二階部分12の各部屋における冷暖房が行われる。また、二階用の空調システムとして上記空調装置31以外に、二階天井面12aには吸込グリル32と給気グリル33とが取り付けられており、吸込グリル32を介して二階部屋内の空気が吸い込まれ、その後空調装置31に取り込まれる。空調装置31から排出される空調エア(冷気、又は暖気)は給気ダクト34を介して給気グリル33に給送され、給気グリル33から二階部屋内に吹き出される。
【0024】
なお、図示による詳細な説明は割愛するが、一階及び二階の各空調装置21,31にはそれぞれ複数の給気ダクトが接続されるとともに、一階及び二階の各部屋(居室、キッチン、寝室等)にそれぞれ給気グリルが設けられており、これら給気ダクト及び給気グリルによって一階や二階の各部屋に個別に空調エアが供給されるようになっている。
【0025】
また、一階/二階の境界部13には、吹き抜け開口部14(吹き抜け空間15)を横切るようにして水平方向にエアカーテンを発生させるためのエアカーテン装置40が設置されている。エアカーテン装置40は、エアカーテン吹出側の構成として吹出ファン41とエアカーテン吹出グリル42とを備えるとともに、エアカーテン吸込側の構成として吸込ファン43とエアカーテン吸込グリル44とを備える構成となっており、同エアカーテン装置40の稼働時には、吹出ファン41と吸込ファン43とが共に駆動された状態で、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されるエアがエアカーテン吸込グリル44に吸い込まれるようになっている。
【0026】
本実施形態では特に、一階用の空調装置21と吹出ファン41とが接続ダクト45により接続されており、吹出ファン41に対して空調装置21の空調エアが供給されるようになっている。また、吸込ファン43には、接続ダクト46を介してエア排出グリル47が接続されている。エア排出グリル47は、一階/二階の境界部13において一階天井面11aに設けられており、吸込ファン43の駆動に伴い吸い込まれたエア(本実施形態では空調装置21による空調エア)がエア排出グリル47から一階部分11に排出される。
【0027】
なお、空調装置21とエアカーテン吹出グリル42とを接続ダクト45を介して直接接続し、空調装置21からエアカーテン吹出グリル42に対して空調エアを直接供給する構成(吹出ファン41を省略した構成)とすることも可能である。
【0028】
図2は建物10を境界部13にて断面視した平面略図である。同図に示すように、エアカーテン吹出グリル42及びエアカーテン吸込グリル44は、境界部13の吹き抜け開口部14に沿って各々長尺状に設けられ、かつ吹き抜け空間15を挟んで対向配置されている。エアカーテン吹出グリル42及びエアカーテン吸込グリル44には、当該グリル42,44の長手方向に沿って長尺スリット状の吹出口及び吸込口(共に図示略)が設けられているが、その吹出口及び吸込口の形状はそれ以外に、矩形状又は円形状等であっても良い。吹出口及び吸込口が矩形状又は円形状等である場合、同吹出口及び吸込口が横並びで複数設けられる。ちなみに、一階用の空調装置21には、前述のとおり複数の給気ダクト24が接続されるとともに、部屋ごとに給気グリル23が設けられている。
【0029】
上記構成のエアカーテン装置40によれば、空調装置21から吹出ファン41に空調エアが供給されると、その空調エアがエアカーテン吹出グリル42から吹き出され、その後エアカーテン吸込グリル44にて吸い込まれる。これにより、エアカーテン吹出グリル42とエアカーテン吸込グリル44との間において(すなわち吹き抜け開口部14を横切るようにして)水平方向にエアカーテンが形成され、そのエアカーテンによって、吹き抜け空間15を含む空間において一階側の空間と二階側の空間とが分断されて空気の行き来が遮断されるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態における空調システムの制御系の構成について図3を用いて説明する。
【0031】
図3において、第1空調コントローラ51は、一階用の空調装置21を制御するための空調制御装置であり、ユーザの指示等に基づいて空調装置21の稼働状況を制御する。詳しくは、第1空調コントローラ51には、ユーザにより入力操作される入力操作装置52や、一階部分11の室内温度を検出する温度センサ53が接続されており、同空調コントローラ51は、入力操作装置52からの指令信号に従い、ユーザが希望する空調制御を実施する。このとき、第1空調コントローラ51には、入力操作装置52から冷房/暖房の選択情報、希望温度情報、希望風量情報などが入力され、これら各入力情報と都度の室内温度(温度センサ53の検出値)などに基づいて空調制御が行われる。入力操作装置52や温度センサ53は一階部分11の部屋ごとに設けられると良く、部屋ごとの各種情報によって一階部分11の各部屋が所望の温度環境とされる。なお、入力操作装置52には、第1空調コントローラ51との間で無線通信を行うリモコン装置(遠隔操作装置)が含まれる。
【0032】
また、二階用の空調システムもほぼ同様のシステムであり、第2空調コントローラ55は、入力操作装置56(リモコン装置を含む)からの指令信号に従い、ユーザが希望する空調制御を実施する。このとき、第2空調コントローラ55には、入力操作装置56から冷房/暖房の選択情報、希望温度情報、希望風量情報などが入力され、これら各入力情報と都度の室内温度(温度センサ57の検出値)などに基づいて空調制御が行われる。入力操作装置56や温度センサ57は二階部分12の部屋ごとに設けられると良く、部屋ごとの各種情報によって二階部分12の各部屋が所望の温度環境とされる。
【0033】
また本実施形態において、第1空調コントローラ51は、上記した一階用の空調制御に加え、都度の空調実施状況に応じてエアカーテン制御を実施する。この場合、第1空調コントローラ51は、一階側の空調実施状況だけでなく、二階側の空調実施状況も知る必要があり、第2空調コントローラ55から二階用の空調装置31の運転情報や二階の室内温度(温度センサ57の検出値)を入力する。そして、第1空調コントローラ51は、一階及び二階の空調装置21,31の運転状況や一階及び二階の室内温度の差などに基づいてエアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)の駆動を制御する。
【0034】
図4は、エアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャートであり、本処理は第1空調コントローラ51によって例えば所定の時間周期で実行される。
【0035】
図4において、まずステップS11では、一階及び二階の空調装置21,31の少なくともいずれかが運転されているか否か(すなわち、一階又は二階で冷房空調又は暖房空調が行われているか否か)を判定する。また、ステップS12では、一階及び二階の各温度センサ53,57の検出値に基づいて一階及び二階の温度差(吹き抜け空間15を含む空間の一階側及び二階側の温度差)を算出し、続くステップS13では、その温度差が所定値α以上であるか否かを判定する。所定値αは、ユーザが一階部分11と二階部分12との間で移動した時に温度差を感じると想定される温度しきい値であり、例えば3℃である。ただし、所定値αをユーザが変更できる構成とすることも可能である。
【0036】
ステップS11,S13のいずれかがNOであれば、ステップS14に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を停止状態とする。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンは形成されない。また、ステップS11,S13が共にYESであれば、ステップS15に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を駆動させる。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンが形成される。
【0037】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0038】
一階/二階の境界部13にエアカーテン装置40を設け、一階又は二階で空調装置21,31による空調が行われる場合に水平方向にエアカーテンを発生させるようにしたため、夏期等において二階部分12でユーザの意向に合うような冷房ができない、又は、冬期等において一階部分11でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合を解消することができる。その結果、吹き抜け空間15を有する建物10において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。
【0039】
また、吹き抜け開口部14等に可動式スクリーンを設置し、そのスクリーンにより吹き抜け空間15の一階側と二階側とを熱遮断する従来技術とは異なり、吹き抜け空間15による開放感が何ら支障なく得られる。また、複雑な形状の部位にも簡易に設置できる。
【0040】
一階及び二階の温度差に応じてエアカーテン装置40を駆動してエアカーテンを発生させるようにしたため、ユーザの意に反するような室内温度の偏りが生じていない場合において過分にエアカーテンを発生させることが抑制できる。この場合、都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0041】
一階用の空調装置21から供給される空調エアによりエアカーテンを形成するとともに、エアカーテン形成後の排出エアを、空調装置21による空調階と同階側(一階側)に吹き出させる構成としたため、空調エアをうまく活用することができる。これにより、本来の空調を行いつつ、エアカーテン形成を好適に行わせることができる。
【0042】
加えて、エアカーテンを発生させることにより、一階部分11又は二階部分12で発生する臭いや煙等を遮断する効果も期待できる。例えば、一階部分11に設けたダイニング等で焼き肉等をしても、その臭いや煙を二階部分12に行かせないようにすることができる。なおこの場合、空調装置の運転状態に無関係でエアカーテンを発生させることができるよう、エアカーテン装置40の駆動を手動でON/OFFできるようにすると良い。
【0043】
[第2の実施形態]
ところで、冷房空調時の冷気は下方に流れるため、吹き抜け空間15を含む空間でユーザの意向に合うような冷房ができないといった不都合は、二階部分12を冷房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、一階部分11を冷房したい場合には上記不都合は生じない)。また、暖房空調時の暖気は上方に流れるため、吹き抜け空間15を含む空間でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合は、一階部分11を暖房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、二階部分12を暖房したい場合には上記不都合は生じない)。
【0044】
そこで本実施形態では、二階用の空調装置31により冷房空調が行われていること、又は、一階用の空調装置21により暖房空調が行われていることを、エアカーテンの発生条件とし、同条件が満たされる場合にエアカーテンを発生させることとする。
【0045】
図5は、本実施形態においてエアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャートであり、本処理は第1空調コントローラ51によって例えば所定の時間周期で実行される。
【0046】
図5において、ステップS21では、夏期等において二階用の空調装置31により冷房空調が行われているか否かを判定する。また、次のステップS22では、冬期等において一階用の空調装置21により暖房空調が行われているか否かを判定する。そして、ステップS21,S22が共にNOであれば、ステップS23に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を停止状態とする。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンは形成されない。また、ステップS21,S22のいずれかがYESであれば、ステップS24に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を駆動させる。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンが形成される。
【0047】
なお上記図5では割愛しているが、上記図4の処理と同様に、一階及び二階の温度差が所定値α以上であること(上記図4のステップS13)をエアカーテンの発生条件として加えることも可能である。
【0048】
冷房空調、又は暖房空調が行われる場合において、一階及び二階の冷暖房の実施状況とエアカーテン発生の有り無しとをまとめると図6のようになる。夏期等において冷房空調が行われる場合には、図6(a)に示すように、一階部分11の冷房空調に無関係に、二階部分12の冷房空調が行われることに合わせてエアカーテンを発生させるようにする。また、冬期等において暖房空調が行われる場合には、図6(b)に示すように、二階部分12の暖房空調に無関係に、一階部分11の暖房空調が行われることに合わせてエアカーテンを発生させるようにする。
【0049】
以上第2の実施形態によれば、建物10の一階及び二階において、所望とする冷房又は暖房を好適に行わせることができる。また、エアカーテンを過度(無駄)に発生させることが回避でき、消費エネルギの節減を図ることができる。
【0050】
[第3の実施形態]
エアカーテン装置40による吹出エアの温度が変わると、エア進行方向の上下角度が相違する。この場合、エアカーテンの吹出位置と吸込位置とが不一致になり、エアカーテンが適正に形成できなくなることがあると考えられる。そこで本実施形態では、エアカーテンの上下角度(吹出エアの上下角度)を、吹出エアの温度に応じて可変とすることを提案する。
【0051】
すなわち、図7の略図に示すように、エアカーテン吹出グリル42とエアカーテン吸込グリル44とは吹き抜け空間15を挟んで対向配置されており(前記同様)、そのうち、エアカーテン吹出グリル42の上下方向のエア吹出角度が、水平、上向き、下向きの少なくとも3段階で調整可能となっている。具体的には、エアカーテン吹出グリル42に可動式のルーバ(羽根状の板)を設け、そのルーバの上下角度を変更することでエア吹出角度が調整できる構成としている。そして、第1空調コントローラ51により、都度のエア温度情報(吹出エア温度)に基づいてエアカーテン吹出グリル42の上下方向のエア吹出角度を制御する。
【0052】
なお、吹出エア温度は、接続ダクト45内を流れる空調エアの温度を実測して求められても良いし、一階用の空調装置21における都度の空調実施状況(設定温度や実際の室内温度など)に基づく推定演算により求められても良い。
【0053】
本実施形態では、低・中・高の3つの温度範囲をあらかじめ定めておき、都度の吹出エア(空調エア)の温度がいずれに属するかに応じてエアカーテン吹出グリル42のエア吹出角度を制御する。例えば、10〜20℃を低温範囲、20〜45℃を中間温度範囲、45〜50℃を高温範囲とする。
【0054】
図8には、吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を示す。吹出エアの温度が中間温度範囲に属する場合、図8(a)に示すように、エアを水平方向に吹き出させる。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは水平方向にそのまま進み、エアカーテン吸込グリル44に吸い込まれる。
【0055】
これに対し、吹出エアの温度が低温範囲に属する場合には、図8(b)に示すように、エアを上向き角度で吹き出させる。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、低温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で下降気味となるが、上向き角度で吹き出されることで、エアカーテン吸込グリル44に確実に吸い込まれる。また、吹出エアの温度が高温範囲に属する場合には、図8(c)に示すように、エアを下向き角度で吹き出させる。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、高温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で上昇気味となるが、下向き角度で吹き出されることで、やはりエアカーテン吸込グリル44に確実に吸い込まれる。
【0056】
以上第3の実施形態によれば、常に適正にエアカーテンを形成することができる。これにより、上記のとおりユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。
【0057】
エアカーテンの上下角度を変更するための具体的な構成として、次の構成を採用することも可能である。
【0058】
すなわち、図9の略図に示すように、エアカーテン吸込グリル44に、上下に並んだ3つの吸込口44a,44b,44cを設け、その3つの吸込口44a〜44cのいずれか1つのみを選択的にエア吸込可能とする。そして、第1空調コントローラ51により、都度のエア温度情報(吹出エア温度)に基づいて吸込口44a〜44cを切り換えることで、エアカーテン吸込グリル44の実際の吸込高さ位置を制御する。
【0059】
ここでは、上記図7の実施形態と同様、低・中・高の3つの温度範囲をあらかじめ定めておき、都度の吹出エア(空調エア)の温度がいずれに属するかに応じてエアカーテン吸込グリル44の実際の吸込高さ位置を制御する。
【0060】
図10には、吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を示す。なお、本例では、上記図7及び図8で説明した実施形態とは異なり、エアカーテン吹出グリル42におけるエア吹出方向はいずれの場合も水平方向である。
【0061】
吹出エアの温度が中間温度範囲に属する場合、図10(a)に示すように、上下3つの吸込口44a〜44cのうち、真ん中の吸込口44aのみをエア吸込可能とする。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは水平方向にそのまま進み、エアカーテン吸込グリル44の吸込口44aに吸い込まれる。
【0062】
これに対し、吹出エアの温度が低温範囲に属する場合には、図10(b)に示すように、上下3つの吸込口44a〜44cのうち、低位側の吸込口44cのみをエア吸込可能とする。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、低温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で下降気味となるが、エアカーテン吸込グリル44の吸込口44cに確実に吸い込まれる。また、吹出エアの温度が高温範囲に属する場合には、図10(c)に示すように、上下3つの吸込口44a〜44cのうち、高位側の吸込口44bのみをエア吸込可能とする。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、高温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で上昇気味になるが、エアカーテン吸込グリル44の吸込口44bに確実に吸い込まれる。
【0063】
上述したようにエアカーテン吸込グリル44に3つの吸込口44a〜44cを設ける代わりに、エアカーテン吹出グリル42に3つの吹出口を設ける構成としても良い。この場合、エアカーテン吹出グリル42に設けた3つの吹出口のうち1つを選択的に用いてエア吹出可能とすることで、エアカーテン吹出グリル42の実際の吹出高さ位置を調整可能とする。
【0064】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されても良い。
【0065】
上記実施形態では、エアカーテン形成のためのエア供給源として一階用の空調装置21を用い、同空調装置21からの空調エアによりエアカーテンを形成する構成としたが、これを変更し、空調装置21以外にエア供給源(専用のエアポンプ等)を設け、そのエア供給源からの供給エアによりエアカーテンを形成する構成としても良い。また、空調システムの別構成として、二階用の空調装置31を一階用の空調装置21とともに一階/二階の境界部13に設けることも可能であり、かかる場合には二階用の空調装置21からの空調エアによりエアカーテンを形成する構成としても良い。その他、一階用の空調装置(熱交換ユニット)と二階用の空調装置(熱交換ユニット)とを1つに統合することも可能である。
【0066】
上記実施形態では、一階/二階の境界部13の一部を取り除いて形成した吹き抜け開口部14にエアカーテン装置40を設けたが、これを変更しても良い。例えば、図11(a)に示すように、通常の居住階61の天井裏にロフト階62を設け、居住階61の天井63の一部を取り除いて形成した開口部64を通じてロフト階62に行き来可能とする。居住階61、ロフト階62にはそれぞれ空調装置65,66が設けられている。この場合、天井63にエアカーテン装置を設置し、そのエアカーテン装置にて水平方向にエアカーテンACを発生させることにより、居住階61とロフト階62とを分断して空気の上下移動を規制する。これにより、居住階61及びロフト階62にてユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。
【0067】
また、図11(b)に示すように、上階部71と下階部72とを区画する境界部として、高さ位置が異なる段差状の境界部73a,73bを設け、その境界部73a,73bにエアカーテン装置を設置することも可能である。この場合、エアカーテンACは、水平方向に対して若干上向き(略水平方向)に形成される。なお、図示の構成では、下側の境界部73aから上側の境界部73bに対してエアを吹き出す構成としているが、その逆に上側の境界部73bから下側の境界部73aに対してエアを吹き出す構成とすることも可能である。
【0068】
その他に、上階部と下階部とを結ぶ階段部分にエアカーテン装置を設けても良い。この場合、エアカーテン吹出グリルやエアカーテン吸込グリルが階段角度(傾き)に沿って斜めに設けられていても良い。いずれにしろ、上階部と下階部との階間を仕切る高さ付近にエアカーテン装置が設けられ、そのエアカーテン装置により水平方向又は略水平方向にエアカーテンが形成される構成であれば良い。
【0069】
また、吹き抜け開口部の平面形状(上階側又は下階側から見た形状)を変更して良く、その変更例を図12に示す。図12(a)では、吹き抜け開口部を幅狭部分と幅広部分とを有する形状とし、同(b)では、吹き抜け開口部を三角形状としている。そして、いずれの場合にも、吹き抜け開口部にエアカーテンACを発生させる構成としている。なお、図12の(a),(b)のように、エアカーテン長さ(エア吹出位置から吸込位置までの距離)が部位によって相違する場合、そのエアカーテン長さに応じてエア吹出強さを変更しても良い。例えば、エアカーテン長さが短い部位はエア吹出強さを小さくし、エアカーテン長さが長い部位はエア吹出強さを大きくする。
【0070】
上記第1の実施形態では、一階及び二階の温度差が所定値以上であることをエアカーテンの発生条件としたが(図4のフローチャート参照)、これを以下のように変更する。例えば、吹き抜け空間15において上下方向の空気流(上昇気流又は下降気流)が発生しているかどうかを判定し、その空気流が発生している旨判定した場合にエアカーテンを発生させるようにしても良い。空気流の有無は熱式センサ等からなる空気流センサにより検出されると良い。本構成によっても、上記のとおり都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0071】
上記第3の実施形態では、吹出エアの温度に応じてエアカーテンの上下角度(例えば吹出エアの上下角度)を可変としたが、これを変更する。例えば、空調装置21により冷房空調が行われるか、暖房空調が行われるかに応じてエアカーテンの上下角度(例えば吹出エアの上下角度)を可変としても良い。
【0072】
住宅以外の建物にも本発明を適用することができる。例えば、吹き抜けロビーを有するホテル等の建物や、ショッピングモール等の商用設備において、上階部と下階部とを連通する吹き抜け空間に本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】建物における空調システムの概要を示す図。
【図2】建物を境界部にて断面視した平面略図。
【図3】空調システムの制御系の構成を示す図。
【図4】エアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャート。
【図5】第2の実施形態においてエアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャート。
【図6】第2の実施形態において一階及び二階の冷暖房の実施状況とエアカーテン発生の有り無しとをまとめて示す図。
【図7】第3の実施形態における基本構成を示す略図。
【図8】第3の実施形態において吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を説明するための略図。
【図9】第3の実施形態における基本構成を示す略図。
【図10】第3の実施形態において吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を説明するための略図。
【図11】別の実施形態においてエアカーテン装置の設置例を示す略図。
【図12】吹き抜け開口部の変更例を示す略図。
【符号の説明】
【0074】
10…建物、11…一階部分、12…二階部分、13…境界部、14…吹き抜け開口部、15…吹き抜け空間、21…空調装置、31…空調装置、40…エアカーテン装置、41…吹出ファン、42…エアカーテン吹出グリル、43…吸込ファン、44…エアカーテン吸込グリル、44a〜44c…吸込口、51…第1空調コントローラ、53,57…温度センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、例えば一階部分と二階部分とを連通させて吹き抜け空間を形成したものがある。他方、建物には一般に空調装置が設けられており、上記のような吹き抜け空間の空調を行う場合には、吹き抜け空間を通じて上下方向に空気流が生じるため、室内温度が望み通りに調整できないといった問題が生じる。すなわち、冷房時には空調装置から吹き出された冷風が下方に流れ、暖房時には空調装置から吹き出された冷風が上方に流れる。そのため、夏期等において二階部分でユーザの意向に合うような冷房ができなかったり、冬期等において一階部分でユーザの意向に合うような暖房ができなかったりする。なお、上記のようにユーザの意向に合う冷暖房ができなくなる問題は、吹き抜け空間以外に、上階部と下階部とを繋ぐ階段部分などにおいても生じる。
【0003】
上階部と下階部との温度差を解消し、上下階を均一な温度に設定するための技術として、例えば特許文献1が提案されている。かかる特許文献1では、上下階に連通する空間(吹き抜け空間等)を有する建物において、その上下階の間の床部に、上階室内側に開口する上階側給排気口と、下階室内側に開口する下階側給排気口とを設け、それら各給排気口を空調装置に連通させている。そして、暖房時には、上階室内の空気を上階側給排気口から吸うとともに、下階室内に向かって下階側給排気口から温風を吹き出すようにしている。また、冷房時には、下階室内の空気を下階側給排気口から吸うとともに、上階室内に向かって上階側給排気口から冷風を吹き出す構成としている。
【0004】
上記特許文献1は、上下階における室内温度の均一化を図る上では有用な技術と考えられるが、ユーザ(家人)が上階部又は下階部のいずれかに居る場合であっても、その居場所のみを冷暖房することができない。つまり、常に上下階に渡って空調が行われる。そのため、非効率な空調が行われるおそれがあった。
【特許文献1】特開平11−257684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、縦長空間部を有する建物において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
上階部(二階部分12)と下階部(一階部分11)とを有し、かつその上階部と下階部とを連通する縦長空間部(吹き抜け空間15)を有する建物(建物10)では、上階部又は下階部の少なくともいずれかで空調が行われる際に、縦長空間部を含む空間でユーザの意向に合う冷暖房が行えないことが生じる。
【0008】
この点本発明によれば、上階部と下階部との階間を仕切る高さ付近にエアカーテン装置を設けている。そして、上階部及び下階部の少なくともいずれかで空調装置(空調装置21,31)による空調が行われる場合に、エアカーテン装置を駆動させ、水平方向又は略水平方向にエアカーテンを発生させるようにしている。かかる場合、縦長空間部において上階側の空間と下階側の空間とがエアカーテンにより分断され、空気の上下移動が妨げられる。したがって、夏期等において上階部でユーザの意向に合うような冷房ができない、又は、冬期等において下階部でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合を解消することができる。その結果、縦長空間部を有する建物において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。なお、縦長空間部には、吹き抜け部や階段部が含まれる。
【0009】
ちなみに、吹き抜け空間等の縦長空間部に可動式スクリーンを設置し、そのスクリーンにより、縦長空間部の上階側と下階側とを熱遮断する従来技術もある。しかしながら、かかる技術では、スクリーンにて上階側と下階側とを分離することで、吹き抜け空間等を有することで本来得られる筈の開放感等が損なわれてしまう。また、階段室等を有する空間においてはスクリーンの設置が困難になるといった不都合や、仮に設置できたとしても通行の邪魔になるといった不都合が生じる。この点本発明によれば、吹き抜け空間等による開放感が何ら支障なく得られる。また、階段室等への設置も容易であり、その設置状態において通行の邪魔になるといった不都合も回避できる。
【0010】
ここで、上階部と下階部との温度差(縦長空間部における上階側の空間と下階側の空間との温度差)を算出し、その温度差に応じてエアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させると良い。より具体的には、上階部/下階部の温度差が所定値よりも大きくなることを条件に、エアカーテンを発生させると良い。つまり、上階部と下階部とで温度差が生じていない場合には、空調装置による冷暖房が行われていても、ユーザの意に反するような室内温度の偏りが生じていないと考えられる。この場合、温度条件を加味することにより、都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0011】
また、縦長空間部において上下方向の空気流(上昇気流又は下降気流)が発生することで、上階部と下階部との温度差が生じると考えられる。故に、縦長空間部を通じて上下方向の空気流が発生しているかどうかを判定し、前記上下方向の空気流が発生している旨判定した場合にエアカーテンを発生させると良い。本構成によっても、上記のとおり都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0012】
ところで、冷房空調時の冷気は下方に流れるため、縦長空間部を含む空間でユーザの意向に合うような冷房ができないといった不都合は、上階部を冷房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、下階部を冷房したい場合には上記不都合は生じない)。そこで、空調装置により上階部で冷房空調が行われているかどうかを判定し、その冷房空調が行われている場合にエアカーテンを発生させると良い。本構成によれば、所望とする冷房を好適に行わせることができる。また、エアカーテンを過度に発生させることが回避でき、消費エネルギの節減を図ることができる。
【0013】
また、暖房空調時の暖気は上方に流れるため、縦長空間部を含む空間でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合は、下階部を暖房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、上階部を暖房したい場合には上記不都合は生じない)。そこで、空調装置により下階部で暖房空調が行われているかどうかを判定し、その暖房空調が行われている場合にエアカーテンを発生させると良い。本構成によれば、所望とする暖房を好適に行わせることができる。また、エアカーテンを過度に発生させることが回避でき、消費エネルギの節減を図ることができる。
【0014】
空調装置から上階部又は下階部のいずれかに送出される空調エアをエアカーテン装置に供給しその空調エアによりエアカーテンを形成するとともに、エアカーテン形成後の排出エアを、空調装置による空調階と同階側に吹き出させると良い。この場合、空調エアを活用することで、本来の空調を行いつつ、エアカーテン形成を好適に行わせることができる。
【0015】
エアカーテン装置による吹出エアの温度が変わると、エア進行方向の上下角度(水平方向に対する上下角度)が相違し、エアカーテンの吹出位置と吸込位置とが不一致になることから、エアカーテンが適正に形成できなくなることがあると考えられる。具体的には、吹出エアの温度が低いと同エアが吸込側で下降傾向を呈し、逆に吹出エアの温度が高いと同エアが吸込側で上昇傾向を呈する。これは、本発明のようにエアカーテンを水平方向又は略水平方向に発生させる場合に限って生じる事象である。また特に、上記のように空調装置から送出される空調エアによりエアカーテンを発生させる構成とする場合には、冷房時と暖房時とで吹出エアの温度が相違し、上記事象が生じやすくなる。
【0016】
そこで、エアカーテン装置により形成されるエアカーテンの上下角度(水平方向に対する上下角度、例えば吹出エアの上下角度)を、吹出エアの温度に応じて可変とすると良い。かかる構成によれば、常に適正にエアカーテンを形成し、所望とする効果を得ることができる。なお、上記のように空調装置から送出される空調エアによりエアカーテンを発生させる構成とする場合には、エアカーテンの上下角度(例えば吹出エアの上下角度)を冷房時と暖房時とで変更するような構成を採用することも可能である。
【0017】
エアカーテンの上下角度を変更するための具体的な構成としては、次の(1),(2)が考えられる。
【0018】
(1)エアカーテン装置として、縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリル(エアカーテン吹出グリル42)と吸込グリル(エアカーテン吸込グリル44)とを備え、そのうち吹出グリルの上下方向のエア吹出角度を調整可能とする。そして、吹出グリルのエア吹出角度を調整することで、エアカーテンの上下角度を変更する。具体的には、吹出エアの温度が低い場合(例えば冷房時)には、吹出グリルのエア吹出角度を上向きにし、吹出エアの温度が高い場合(例えば暖房時)には、吹出グリルのエア吹出角度を下向きにすると良い。
【0019】
(2)エアカーテン装置として、縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリル(エアカーテン吹出グリル42)と吸込グリル(エアカーテン吸込グリル44)とを備え、吹出グリルの実際の吹出高さ位置と吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整可能とする。そして、吹出グリルの実際の吹出高さ位置と吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整することで、エアカーテンの上下角度を変更する。具体的には、吹出エアの温度が低い場合(例えば冷房時)には、吹出グリルの実際の吹出高さ位置を高くする、又は吸込グリルの実際の吸込高さ位置を低くする。また、吹出エアの温度が高い場合(例えば暖房時)には、吹出グリルの実際の吹出高さ位置を低くする、又は吸込グリルの実際の吸込高さ位置を高くする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、縦長空間部としての吹き抜け空間を有する住宅等の二階建て建物において、一階部分及び二階部分をそれぞれ個別に空調する空調システムを採用している。図1は、建物10における空調システムの概要を示す図である。
【0021】
図1において、建物10は一階部分11と二階部分12とを有しており、それら一階部分11及び二階部分12の間に境界部13が設けられている。なお、境界部13は、一階天井面及び二階床面や、それらの間にある各部材によって構成されている。また、本建物10においては、一階/二階の境界部13の一部が取り除かれて吹き抜け開口部14が形成されており、その吹き抜け開口部14を通じて上下に連通する空間が吹き抜け空間15となっている。
【0022】
一階/二階の境界部13には一階用の空調装置21が設置されている。空調装置21は少なくとも冷房及び暖房機能を有する熱交換ユニット(室内機)により構成され、この空調装置21によって一階部分11の各部屋における冷暖房が行われる。また、一階用の空調システムとして上記空調装置21以外に、一階天井面11aには吸込グリル22と給気グリル23とが取り付けられており、吸込グリル22を介して一階部屋内の空気が吸い込まれ、その後空調装置21に取り込まれる。空調装置21から排出される空調エア(冷気、又は暖気)は給気ダクト24を介して給気グリル23に給送され、給気グリル23から一階部屋内に吹き出される。
【0023】
また、二階部分12の天井裏スペースには二階用の空調装置31が設置されている。空調装置31は、前述した空調装置21と同様、少なくとも冷房及び暖房機能を有する熱交換ユニット(室内機)により構成され、この空調装置31によって二階部分12の各部屋における冷暖房が行われる。また、二階用の空調システムとして上記空調装置31以外に、二階天井面12aには吸込グリル32と給気グリル33とが取り付けられており、吸込グリル32を介して二階部屋内の空気が吸い込まれ、その後空調装置31に取り込まれる。空調装置31から排出される空調エア(冷気、又は暖気)は給気ダクト34を介して給気グリル33に給送され、給気グリル33から二階部屋内に吹き出される。
【0024】
なお、図示による詳細な説明は割愛するが、一階及び二階の各空調装置21,31にはそれぞれ複数の給気ダクトが接続されるとともに、一階及び二階の各部屋(居室、キッチン、寝室等)にそれぞれ給気グリルが設けられており、これら給気ダクト及び給気グリルによって一階や二階の各部屋に個別に空調エアが供給されるようになっている。
【0025】
また、一階/二階の境界部13には、吹き抜け開口部14(吹き抜け空間15)を横切るようにして水平方向にエアカーテンを発生させるためのエアカーテン装置40が設置されている。エアカーテン装置40は、エアカーテン吹出側の構成として吹出ファン41とエアカーテン吹出グリル42とを備えるとともに、エアカーテン吸込側の構成として吸込ファン43とエアカーテン吸込グリル44とを備える構成となっており、同エアカーテン装置40の稼働時には、吹出ファン41と吸込ファン43とが共に駆動された状態で、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されるエアがエアカーテン吸込グリル44に吸い込まれるようになっている。
【0026】
本実施形態では特に、一階用の空調装置21と吹出ファン41とが接続ダクト45により接続されており、吹出ファン41に対して空調装置21の空調エアが供給されるようになっている。また、吸込ファン43には、接続ダクト46を介してエア排出グリル47が接続されている。エア排出グリル47は、一階/二階の境界部13において一階天井面11aに設けられており、吸込ファン43の駆動に伴い吸い込まれたエア(本実施形態では空調装置21による空調エア)がエア排出グリル47から一階部分11に排出される。
【0027】
なお、空調装置21とエアカーテン吹出グリル42とを接続ダクト45を介して直接接続し、空調装置21からエアカーテン吹出グリル42に対して空調エアを直接供給する構成(吹出ファン41を省略した構成)とすることも可能である。
【0028】
図2は建物10を境界部13にて断面視した平面略図である。同図に示すように、エアカーテン吹出グリル42及びエアカーテン吸込グリル44は、境界部13の吹き抜け開口部14に沿って各々長尺状に設けられ、かつ吹き抜け空間15を挟んで対向配置されている。エアカーテン吹出グリル42及びエアカーテン吸込グリル44には、当該グリル42,44の長手方向に沿って長尺スリット状の吹出口及び吸込口(共に図示略)が設けられているが、その吹出口及び吸込口の形状はそれ以外に、矩形状又は円形状等であっても良い。吹出口及び吸込口が矩形状又は円形状等である場合、同吹出口及び吸込口が横並びで複数設けられる。ちなみに、一階用の空調装置21には、前述のとおり複数の給気ダクト24が接続されるとともに、部屋ごとに給気グリル23が設けられている。
【0029】
上記構成のエアカーテン装置40によれば、空調装置21から吹出ファン41に空調エアが供給されると、その空調エアがエアカーテン吹出グリル42から吹き出され、その後エアカーテン吸込グリル44にて吸い込まれる。これにより、エアカーテン吹出グリル42とエアカーテン吸込グリル44との間において(すなわち吹き抜け開口部14を横切るようにして)水平方向にエアカーテンが形成され、そのエアカーテンによって、吹き抜け空間15を含む空間において一階側の空間と二階側の空間とが分断されて空気の行き来が遮断されるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態における空調システムの制御系の構成について図3を用いて説明する。
【0031】
図3において、第1空調コントローラ51は、一階用の空調装置21を制御するための空調制御装置であり、ユーザの指示等に基づいて空調装置21の稼働状況を制御する。詳しくは、第1空調コントローラ51には、ユーザにより入力操作される入力操作装置52や、一階部分11の室内温度を検出する温度センサ53が接続されており、同空調コントローラ51は、入力操作装置52からの指令信号に従い、ユーザが希望する空調制御を実施する。このとき、第1空調コントローラ51には、入力操作装置52から冷房/暖房の選択情報、希望温度情報、希望風量情報などが入力され、これら各入力情報と都度の室内温度(温度センサ53の検出値)などに基づいて空調制御が行われる。入力操作装置52や温度センサ53は一階部分11の部屋ごとに設けられると良く、部屋ごとの各種情報によって一階部分11の各部屋が所望の温度環境とされる。なお、入力操作装置52には、第1空調コントローラ51との間で無線通信を行うリモコン装置(遠隔操作装置)が含まれる。
【0032】
また、二階用の空調システムもほぼ同様のシステムであり、第2空調コントローラ55は、入力操作装置56(リモコン装置を含む)からの指令信号に従い、ユーザが希望する空調制御を実施する。このとき、第2空調コントローラ55には、入力操作装置56から冷房/暖房の選択情報、希望温度情報、希望風量情報などが入力され、これら各入力情報と都度の室内温度(温度センサ57の検出値)などに基づいて空調制御が行われる。入力操作装置56や温度センサ57は二階部分12の部屋ごとに設けられると良く、部屋ごとの各種情報によって二階部分12の各部屋が所望の温度環境とされる。
【0033】
また本実施形態において、第1空調コントローラ51は、上記した一階用の空調制御に加え、都度の空調実施状況に応じてエアカーテン制御を実施する。この場合、第1空調コントローラ51は、一階側の空調実施状況だけでなく、二階側の空調実施状況も知る必要があり、第2空調コントローラ55から二階用の空調装置31の運転情報や二階の室内温度(温度センサ57の検出値)を入力する。そして、第1空調コントローラ51は、一階及び二階の空調装置21,31の運転状況や一階及び二階の室内温度の差などに基づいてエアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)の駆動を制御する。
【0034】
図4は、エアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャートであり、本処理は第1空調コントローラ51によって例えば所定の時間周期で実行される。
【0035】
図4において、まずステップS11では、一階及び二階の空調装置21,31の少なくともいずれかが運転されているか否か(すなわち、一階又は二階で冷房空調又は暖房空調が行われているか否か)を判定する。また、ステップS12では、一階及び二階の各温度センサ53,57の検出値に基づいて一階及び二階の温度差(吹き抜け空間15を含む空間の一階側及び二階側の温度差)を算出し、続くステップS13では、その温度差が所定値α以上であるか否かを判定する。所定値αは、ユーザが一階部分11と二階部分12との間で移動した時に温度差を感じると想定される温度しきい値であり、例えば3℃である。ただし、所定値αをユーザが変更できる構成とすることも可能である。
【0036】
ステップS11,S13のいずれかがNOであれば、ステップS14に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を停止状態とする。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンは形成されない。また、ステップS11,S13が共にYESであれば、ステップS15に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を駆動させる。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンが形成される。
【0037】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0038】
一階/二階の境界部13にエアカーテン装置40を設け、一階又は二階で空調装置21,31による空調が行われる場合に水平方向にエアカーテンを発生させるようにしたため、夏期等において二階部分12でユーザの意向に合うような冷房ができない、又は、冬期等において一階部分11でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合を解消することができる。その結果、吹き抜け空間15を有する建物10において、ユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。
【0039】
また、吹き抜け開口部14等に可動式スクリーンを設置し、そのスクリーンにより吹き抜け空間15の一階側と二階側とを熱遮断する従来技術とは異なり、吹き抜け空間15による開放感が何ら支障なく得られる。また、複雑な形状の部位にも簡易に設置できる。
【0040】
一階及び二階の温度差に応じてエアカーテン装置40を駆動してエアカーテンを発生させるようにしたため、ユーザの意に反するような室内温度の偏りが生じていない場合において過分にエアカーテンを発生させることが抑制できる。この場合、都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0041】
一階用の空調装置21から供給される空調エアによりエアカーテンを形成するとともに、エアカーテン形成後の排出エアを、空調装置21による空調階と同階側(一階側)に吹き出させる構成としたため、空調エアをうまく活用することができる。これにより、本来の空調を行いつつ、エアカーテン形成を好適に行わせることができる。
【0042】
加えて、エアカーテンを発生させることにより、一階部分11又は二階部分12で発生する臭いや煙等を遮断する効果も期待できる。例えば、一階部分11に設けたダイニング等で焼き肉等をしても、その臭いや煙を二階部分12に行かせないようにすることができる。なおこの場合、空調装置の運転状態に無関係でエアカーテンを発生させることができるよう、エアカーテン装置40の駆動を手動でON/OFFできるようにすると良い。
【0043】
[第2の実施形態]
ところで、冷房空調時の冷気は下方に流れるため、吹き抜け空間15を含む空間でユーザの意向に合うような冷房ができないといった不都合は、二階部分12を冷房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、一階部分11を冷房したい場合には上記不都合は生じない)。また、暖房空調時の暖気は上方に流れるため、吹き抜け空間15を含む空間でユーザの意向に合うような暖房ができないといった不都合は、一階部分11を暖房したい場合に発生すると考えられる(換言すれば、二階部分12を暖房したい場合には上記不都合は生じない)。
【0044】
そこで本実施形態では、二階用の空調装置31により冷房空調が行われていること、又は、一階用の空調装置21により暖房空調が行われていることを、エアカーテンの発生条件とし、同条件が満たされる場合にエアカーテンを発生させることとする。
【0045】
図5は、本実施形態においてエアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャートであり、本処理は第1空調コントローラ51によって例えば所定の時間周期で実行される。
【0046】
図5において、ステップS21では、夏期等において二階用の空調装置31により冷房空調が行われているか否かを判定する。また、次のステップS22では、冬期等において一階用の空調装置21により暖房空調が行われているか否かを判定する。そして、ステップS21,S22が共にNOであれば、ステップS23に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を停止状態とする。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンは形成されない。また、ステップS21,S22のいずれかがYESであれば、ステップS24に進み、エアカーテン装置40(吹出ファン41、吸込ファン43)を駆動させる。このとき、吹き抜け開口部14においてエアカーテンが形成される。
【0047】
なお上記図5では割愛しているが、上記図4の処理と同様に、一階及び二階の温度差が所定値α以上であること(上記図4のステップS13)をエアカーテンの発生条件として加えることも可能である。
【0048】
冷房空調、又は暖房空調が行われる場合において、一階及び二階の冷暖房の実施状況とエアカーテン発生の有り無しとをまとめると図6のようになる。夏期等において冷房空調が行われる場合には、図6(a)に示すように、一階部分11の冷房空調に無関係に、二階部分12の冷房空調が行われることに合わせてエアカーテンを発生させるようにする。また、冬期等において暖房空調が行われる場合には、図6(b)に示すように、二階部分12の暖房空調に無関係に、一階部分11の暖房空調が行われることに合わせてエアカーテンを発生させるようにする。
【0049】
以上第2の実施形態によれば、建物10の一階及び二階において、所望とする冷房又は暖房を好適に行わせることができる。また、エアカーテンを過度(無駄)に発生させることが回避でき、消費エネルギの節減を図ることができる。
【0050】
[第3の実施形態]
エアカーテン装置40による吹出エアの温度が変わると、エア進行方向の上下角度が相違する。この場合、エアカーテンの吹出位置と吸込位置とが不一致になり、エアカーテンが適正に形成できなくなることがあると考えられる。そこで本実施形態では、エアカーテンの上下角度(吹出エアの上下角度)を、吹出エアの温度に応じて可変とすることを提案する。
【0051】
すなわち、図7の略図に示すように、エアカーテン吹出グリル42とエアカーテン吸込グリル44とは吹き抜け空間15を挟んで対向配置されており(前記同様)、そのうち、エアカーテン吹出グリル42の上下方向のエア吹出角度が、水平、上向き、下向きの少なくとも3段階で調整可能となっている。具体的には、エアカーテン吹出グリル42に可動式のルーバ(羽根状の板)を設け、そのルーバの上下角度を変更することでエア吹出角度が調整できる構成としている。そして、第1空調コントローラ51により、都度のエア温度情報(吹出エア温度)に基づいてエアカーテン吹出グリル42の上下方向のエア吹出角度を制御する。
【0052】
なお、吹出エア温度は、接続ダクト45内を流れる空調エアの温度を実測して求められても良いし、一階用の空調装置21における都度の空調実施状況(設定温度や実際の室内温度など)に基づく推定演算により求められても良い。
【0053】
本実施形態では、低・中・高の3つの温度範囲をあらかじめ定めておき、都度の吹出エア(空調エア)の温度がいずれに属するかに応じてエアカーテン吹出グリル42のエア吹出角度を制御する。例えば、10〜20℃を低温範囲、20〜45℃を中間温度範囲、45〜50℃を高温範囲とする。
【0054】
図8には、吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を示す。吹出エアの温度が中間温度範囲に属する場合、図8(a)に示すように、エアを水平方向に吹き出させる。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは水平方向にそのまま進み、エアカーテン吸込グリル44に吸い込まれる。
【0055】
これに対し、吹出エアの温度が低温範囲に属する場合には、図8(b)に示すように、エアを上向き角度で吹き出させる。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、低温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で下降気味となるが、上向き角度で吹き出されることで、エアカーテン吸込グリル44に確実に吸い込まれる。また、吹出エアの温度が高温範囲に属する場合には、図8(c)に示すように、エアを下向き角度で吹き出させる。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、高温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で上昇気味となるが、下向き角度で吹き出されることで、やはりエアカーテン吸込グリル44に確実に吸い込まれる。
【0056】
以上第3の実施形態によれば、常に適正にエアカーテンを形成することができる。これにより、上記のとおりユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。
【0057】
エアカーテンの上下角度を変更するための具体的な構成として、次の構成を採用することも可能である。
【0058】
すなわち、図9の略図に示すように、エアカーテン吸込グリル44に、上下に並んだ3つの吸込口44a,44b,44cを設け、その3つの吸込口44a〜44cのいずれか1つのみを選択的にエア吸込可能とする。そして、第1空調コントローラ51により、都度のエア温度情報(吹出エア温度)に基づいて吸込口44a〜44cを切り換えることで、エアカーテン吸込グリル44の実際の吸込高さ位置を制御する。
【0059】
ここでは、上記図7の実施形態と同様、低・中・高の3つの温度範囲をあらかじめ定めておき、都度の吹出エア(空調エア)の温度がいずれに属するかに応じてエアカーテン吸込グリル44の実際の吸込高さ位置を制御する。
【0060】
図10には、吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を示す。なお、本例では、上記図7及び図8で説明した実施形態とは異なり、エアカーテン吹出グリル42におけるエア吹出方向はいずれの場合も水平方向である。
【0061】
吹出エアの温度が中間温度範囲に属する場合、図10(a)に示すように、上下3つの吸込口44a〜44cのうち、真ん中の吸込口44aのみをエア吸込可能とする。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは水平方向にそのまま進み、エアカーテン吸込グリル44の吸込口44aに吸い込まれる。
【0062】
これに対し、吹出エアの温度が低温範囲に属する場合には、図10(b)に示すように、上下3つの吸込口44a〜44cのうち、低位側の吸込口44cのみをエア吸込可能とする。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、低温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で下降気味となるが、エアカーテン吸込グリル44の吸込口44cに確実に吸い込まれる。また、吹出エアの温度が高温範囲に属する場合には、図10(c)に示すように、上下3つの吸込口44a〜44cのうち、高位側の吸込口44bのみをエア吸込可能とする。この場合、エアカーテン吹出グリル42から吹き出されたエアは、高温であるためエアカーテン吸込グリル44付近で上昇気味になるが、エアカーテン吸込グリル44の吸込口44bに確実に吸い込まれる。
【0063】
上述したようにエアカーテン吸込グリル44に3つの吸込口44a〜44cを設ける代わりに、エアカーテン吹出グリル42に3つの吹出口を設ける構成としても良い。この場合、エアカーテン吹出グリル42に設けた3つの吹出口のうち1つを選択的に用いてエア吹出可能とすることで、エアカーテン吹出グリル42の実際の吹出高さ位置を調整可能とする。
【0064】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されても良い。
【0065】
上記実施形態では、エアカーテン形成のためのエア供給源として一階用の空調装置21を用い、同空調装置21からの空調エアによりエアカーテンを形成する構成としたが、これを変更し、空調装置21以外にエア供給源(専用のエアポンプ等)を設け、そのエア供給源からの供給エアによりエアカーテンを形成する構成としても良い。また、空調システムの別構成として、二階用の空調装置31を一階用の空調装置21とともに一階/二階の境界部13に設けることも可能であり、かかる場合には二階用の空調装置21からの空調エアによりエアカーテンを形成する構成としても良い。その他、一階用の空調装置(熱交換ユニット)と二階用の空調装置(熱交換ユニット)とを1つに統合することも可能である。
【0066】
上記実施形態では、一階/二階の境界部13の一部を取り除いて形成した吹き抜け開口部14にエアカーテン装置40を設けたが、これを変更しても良い。例えば、図11(a)に示すように、通常の居住階61の天井裏にロフト階62を設け、居住階61の天井63の一部を取り除いて形成した開口部64を通じてロフト階62に行き来可能とする。居住階61、ロフト階62にはそれぞれ空調装置65,66が設けられている。この場合、天井63にエアカーテン装置を設置し、そのエアカーテン装置にて水平方向にエアカーテンACを発生させることにより、居住階61とロフト階62とを分断して空気の上下移動を規制する。これにより、居住階61及びロフト階62にてユーザの意向に合った空調を行い、しかも各階の空調を効率良く実施することができる。
【0067】
また、図11(b)に示すように、上階部71と下階部72とを区画する境界部として、高さ位置が異なる段差状の境界部73a,73bを設け、その境界部73a,73bにエアカーテン装置を設置することも可能である。この場合、エアカーテンACは、水平方向に対して若干上向き(略水平方向)に形成される。なお、図示の構成では、下側の境界部73aから上側の境界部73bに対してエアを吹き出す構成としているが、その逆に上側の境界部73bから下側の境界部73aに対してエアを吹き出す構成とすることも可能である。
【0068】
その他に、上階部と下階部とを結ぶ階段部分にエアカーテン装置を設けても良い。この場合、エアカーテン吹出グリルやエアカーテン吸込グリルが階段角度(傾き)に沿って斜めに設けられていても良い。いずれにしろ、上階部と下階部との階間を仕切る高さ付近にエアカーテン装置が設けられ、そのエアカーテン装置により水平方向又は略水平方向にエアカーテンが形成される構成であれば良い。
【0069】
また、吹き抜け開口部の平面形状(上階側又は下階側から見た形状)を変更して良く、その変更例を図12に示す。図12(a)では、吹き抜け開口部を幅狭部分と幅広部分とを有する形状とし、同(b)では、吹き抜け開口部を三角形状としている。そして、いずれの場合にも、吹き抜け開口部にエアカーテンACを発生させる構成としている。なお、図12の(a),(b)のように、エアカーテン長さ(エア吹出位置から吸込位置までの距離)が部位によって相違する場合、そのエアカーテン長さに応じてエア吹出強さを変更しても良い。例えば、エアカーテン長さが短い部位はエア吹出強さを小さくし、エアカーテン長さが長い部位はエア吹出強さを大きくする。
【0070】
上記第1の実施形態では、一階及び二階の温度差が所定値以上であることをエアカーテンの発生条件としたが(図4のフローチャート参照)、これを以下のように変更する。例えば、吹き抜け空間15において上下方向の空気流(上昇気流又は下降気流)が発生しているかどうかを判定し、その空気流が発生している旨判定した場合にエアカーテンを発生させるようにしても良い。空気流の有無は熱式センサ等からなる空気流センサにより検出されると良い。本構成によっても、上記のとおり都度の必要に応じて適度にエアカーテンを発生させることができる。
【0071】
上記第3の実施形態では、吹出エアの温度に応じてエアカーテンの上下角度(例えば吹出エアの上下角度)を可変としたが、これを変更する。例えば、空調装置21により冷房空調が行われるか、暖房空調が行われるかに応じてエアカーテンの上下角度(例えば吹出エアの上下角度)を可変としても良い。
【0072】
住宅以外の建物にも本発明を適用することができる。例えば、吹き抜けロビーを有するホテル等の建物や、ショッピングモール等の商用設備において、上階部と下階部とを連通する吹き抜け空間に本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】建物における空調システムの概要を示す図。
【図2】建物を境界部にて断面視した平面略図。
【図3】空調システムの制御系の構成を示す図。
【図4】エアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャート。
【図5】第2の実施形態においてエアカーテン制御に関する処理手順を示すフローチャート。
【図6】第2の実施形態において一階及び二階の冷暖房の実施状況とエアカーテン発生の有り無しとをまとめて示す図。
【図7】第3の実施形態における基本構成を示す略図。
【図8】第3の実施形態において吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を説明するための略図。
【図9】第3の実施形態における基本構成を示す略図。
【図10】第3の実施形態において吹出エアの温度と同吹出エアの進行方向との関係を説明するための略図。
【図11】別の実施形態においてエアカーテン装置の設置例を示す略図。
【図12】吹き抜け開口部の変更例を示す略図。
【符号の説明】
【0074】
10…建物、11…一階部分、12…二階部分、13…境界部、14…吹き抜け開口部、15…吹き抜け空間、21…空調装置、31…空調装置、40…エアカーテン装置、41…吹出ファン、42…エアカーテン吹出グリル、43…吸込ファン、44…エアカーテン吸込グリル、44a〜44c…吸込口、51…第1空調コントローラ、53,57…温度センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に隣接する上階部と下階部とを有するとともに、その上階部と下階部とを連通する縦長空間部を有する建物に適用され、
前記上階部及び下階部のそれぞれで空調を行う空調装置と、
上階部及び下階部の階間を仕切る高さ付近に設けられ、水平方向又は略水平方向にエアカーテンを形成するエアカーテン装置と、
上階部及び下階部の少なくともいずれかで前記空調装置による空調が行われる場合に、前記エアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させるエアカーテン制御手段と、
を備えたことを特徴とする建物の空調システム。
【請求項2】
前記上階部と前記下階部との温度差を算出する温度差算出手段をさらに備え、
前記エアカーテン制御手段は、前記算出した上階部及び下階部の温度差に応じて前記エアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させる請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項3】
前記縦長空間部を通じて上下方向の空気流が発生しているかどうかを判定する手段をさらに備え、
前記エアカーテン制御手段は、前記上下方向の空気流が発生している旨判定した場合に、前記エアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させる請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項4】
前記エアカーテン制御手段は、前記空調装置により上階部で冷房空調が行われているかどうかを判定し、その冷房空調が行われている場合に、前記エアカーテンを発生させる請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項5】
前記エアカーテン制御手段は、前記空調装置により下階部で暖房空調が行われているかどうかを判定し、その暖房空調が行われている場合に、前記エアカーテンを発生させる請求項1乃至4のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項6】
前記空調装置から上階部又は下階部のいずれかに送出される空調エアを前記エアカーテン装置に供給しその空調エアによりエアカーテンを形成するとともに、エアカーテン形成後の排出エアを、前記空調装置による空調階と同階側に吹き出させる請求項1乃至5のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項7】
前記エアカーテン装置により形成されるエアカーテンの上下角度を、吹出エアの温度に応じて可変とする請求項1乃至6のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項8】
前記エアカーテン装置として、前記縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリルと吸込グリルとを備え、そのうち前記吹出グリルの上下方向のエア吹出角度を調整可能とした建物の空調システムであって、
前記吹出グリルのエア吹出角度を調整することで、前記エアカーテンの上下角度を変更する請求項7に記載の建物の空調システム。
【請求項9】
前記エアカーテン装置として、前記縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリルと吸込グリルとを備え、前記吹出グリルの実際の吹出高さ位置と前記吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整可能とした建物の空調システムであって、
前記吹出グリルの実際の吹出高さ位置と前記吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整することで、前記エアカーテンの上下角度を変更する請求項7に記載の建物の空調システム。
【請求項1】
上下に隣接する上階部と下階部とを有するとともに、その上階部と下階部とを連通する縦長空間部を有する建物に適用され、
前記上階部及び下階部のそれぞれで空調を行う空調装置と、
上階部及び下階部の階間を仕切る高さ付近に設けられ、水平方向又は略水平方向にエアカーテンを形成するエアカーテン装置と、
上階部及び下階部の少なくともいずれかで前記空調装置による空調が行われる場合に、前記エアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させるエアカーテン制御手段と、
を備えたことを特徴とする建物の空調システム。
【請求項2】
前記上階部と前記下階部との温度差を算出する温度差算出手段をさらに備え、
前記エアカーテン制御手段は、前記算出した上階部及び下階部の温度差に応じて前記エアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させる請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項3】
前記縦長空間部を通じて上下方向の空気流が発生しているかどうかを判定する手段をさらに備え、
前記エアカーテン制御手段は、前記上下方向の空気流が発生している旨判定した場合に、前記エアカーテン装置を駆動させてエアカーテンを発生させる請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項4】
前記エアカーテン制御手段は、前記空調装置により上階部で冷房空調が行われているかどうかを判定し、その冷房空調が行われている場合に、前記エアカーテンを発生させる請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項5】
前記エアカーテン制御手段は、前記空調装置により下階部で暖房空調が行われているかどうかを判定し、その暖房空調が行われている場合に、前記エアカーテンを発生させる請求項1乃至4のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項6】
前記空調装置から上階部又は下階部のいずれかに送出される空調エアを前記エアカーテン装置に供給しその空調エアによりエアカーテンを形成するとともに、エアカーテン形成後の排出エアを、前記空調装置による空調階と同階側に吹き出させる請求項1乃至5のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項7】
前記エアカーテン装置により形成されるエアカーテンの上下角度を、吹出エアの温度に応じて可変とする請求項1乃至6のいずれかに記載の建物の空調システム。
【請求項8】
前記エアカーテン装置として、前記縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリルと吸込グリルとを備え、そのうち前記吹出グリルの上下方向のエア吹出角度を調整可能とした建物の空調システムであって、
前記吹出グリルのエア吹出角度を調整することで、前記エアカーテンの上下角度を変更する請求項7に記載の建物の空調システム。
【請求項9】
前記エアカーテン装置として、前記縦長空間部を挟んで対向配置される吹出グリルと吸込グリルとを備え、前記吹出グリルの実際の吹出高さ位置と前記吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整可能とした建物の空調システムであって、
前記吹出グリルの実際の吹出高さ位置と前記吸込グリルの実際の吸込高さ位置との少なくともいずれかを調整することで、前記エアカーテンの上下角度を変更する請求項7に記載の建物の空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−111627(P2008−111627A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295983(P2006−295983)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(592251499)株式会社デンソーエース (6)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(592251499)株式会社デンソーエース (6)
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