説明

建築物壁面保護具

【課題】 壁面が見苦しい状態になることなく、壁面や備品が破損することを防止できるようにする。
【解決手段】 建築物の壁面に沿って配設される建築物壁面保護具であって、板状をなし緩衝性を有する複数の緩衝ピース(第1〜第3緩衝ピース110A〜110C)と、一対の支柱130と、その一対の支柱130によって複数の緩衝ピース110A〜110Cを支持する支持機構とを有する。その支持機構は、建築物の壁面に沿った通行方向に沿って複数の緩衝ピース110A〜110Cを結合して緩衝ピース連結体121を形成するための面ファスナ15と、一対の支柱130間にわたって配設される支持棒材140と、複数の緩衝ピース110A〜110Cのうちの少なくとも一部の緩衝ピース(110A〜110C)に設けられ、その緩衝ピース(110A〜110C)を支持棒材140に取り付けるループ16とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面を保護するための建築物壁面保護具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅やオフィスビル等の建築物において、引っ越し等の際に、家具等の備品を運搬する必要がある。
その際に、その建築物の壁面に対してその備品が接触すると、そのうちの一方又は両方が損傷するおそれがある。
【0003】
このため、従来においては、引っ越し等の際には、壁面に対して段ボール紙を粘着テープによって貼着するという対策がとられている場合もあった。これによって、備品が壁面(段ボール紙)に対して接触しても、その段ボール紙によってその衝撃が緩和され、壁面も備品も損傷することが防止されるのである。
【0004】
しかしながら、上述の方法では、段ボール紙を粘着テープによって壁面に対して貼着するものであるため、その引っ越しが終了した後にその段ボール紙を取り外そうとする場合に、粘着テープのあとがついたり、壁面(壁紙)が剥離したりする等、見苦しい状態となる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、壁面が見苦しい状態になることなく、壁面や備品が破損することを防止することができる建築物壁面保護具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、建築物の壁面に沿って配設される建築物壁面保護具であって、板状をなし緩衝性を有し、前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って配設される複数の緩衝ピースと、一対の支柱と、前記一対の支柱によって複数の前記緩衝ピースを支持するための支持機構とを有する、建築物壁面保護具である。
【0007】
「前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って」とは、その壁面が廊下部分等(その床面は水平方向に延びている)におけるものの場合には「その水平方向に沿って」を意味し、その壁面が階段部分等(その床面は全体として水平から傾斜している)におけるものの場合には「その傾斜方向に沿って」を意味する。
【0008】
この発明の建築物壁面保護具では、板状をなし緩衝性を有する複数の緩衝ピースが建築物の壁面に沿った通行方向に沿って配設され、その複数の緩衝ピースが、支持機構を介して、一対の支柱によって支持される。
このため、運搬される備品がその建築物の壁面に対して直接的に接触することが防止されるとともに、その備品がその緩衝ピース連結体を介して間接的にその壁面に接触した場合にも、その緩衝ピース連結体が緩衝性を有するために、その備品及びその壁面とも損傷することが防止される。
【0009】
また、この発明の建築物壁面保護具は、壁面に対して粘着テープによって緩衝材を貼着するものではないため、使用後において壁面が粘着テープによって見苦しい状態になることも防止される。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の建築物壁面保護具であって、前記支持機構は、前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って前記複数の緩衝ピースを結合して緩衝ピース連結体を形成するために前記各緩衝ピースに設けられた面ファスナと、前記緩衝ピース連結体と前記支柱を結合するために前記緩衝ピース及び前記支柱に設けられた面ファスナとを有する、建築物壁面保護具である。
【0011】
この発明の建築物壁面保護具では、請求項1に係る発明の建築物壁面保護具の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この発明の建築物壁面保護具では、複数の緩衝ピースが面ファスナによって建築物の壁面に沿った通行方向に沿って連結されて、緩衝ピース連結体が形成される。
そして、その緩衝ピース連結体が面ファスナによって支柱に対して結合され、その支柱によって、その緩衝ピース連結体が(ひいては各緩衝ピースが)支持される。
このようにして、この発明の建築物壁面保護具では、各緩衝ピースが一対の支柱によって確実に支持され、請求項1に係る発明の効果が確実に得られる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の建築物壁面保護具であって、前記支持機構は、前記一対の支柱間にわたって配設される支持棒材と、前記複数の緩衝ピースのうちの少なくとも一部の緩衝ピースに設けられ、当該緩衝ピースを前記支持棒材に取り付けるループとを有する、建築物壁面保護具である。
【0013】
この発明の建築物壁面保護具では、請求項1に係る発明の建築物壁面保護具の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この発明の建築物壁面保護具では、一対の支柱間にわたって配設される支持棒材に対して、複数の緩衝ピースのうちの少なくとも一部の緩衝ピースに設けられたループによって、その複数の緩衝ピースが取り付けられる。
このようにして、この発明の建築物壁面保護具では、各緩衝ピースが一対の支柱によって確実に支持され、請求項1に係る発明の効果が確実に得られる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の建築物壁面保護具であって、前記支持機構は、前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って前記複数の緩衝ピースを結合して緩衝ピース連結体を形成するために前記各緩衝ピースに設けられた面ファスナと、前記一対の支柱間にわたって配設される支持棒材と、前記複数の緩衝ピースのうちの少なくとも一部の緩衝ピースに設けられ、当該緩衝ピースを前記支持棒材に取り付けるループとを有する、建築物壁面保護具である。
【0015】
この発明の建築物壁面保護具では、請求項1に係る発明の建築物壁面保護具の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この発明の建築物壁面保護具では、複数の緩衝ピースが面ファスナによって建築物の壁面に沿った通行方向に沿って連結されて、緩衝ピース連結体が形成される。
そして、一対の支柱間にわたって配設される支持棒材に対して、複数の緩衝ピースのうちの少なくとも一部の緩衝ピースに設けられたループによって、その緩衝ピース連結体が取り付けられる。
こうして、一対の支柱によって、その緩衝ピース連結体が(ひいては各緩衝ピースが)支持される。
このようにして、この発明の建築物壁面保護具では、各緩衝ピースが一対の支柱によって確実に支持され、請求項1に係る発明の効果が確実に得られる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに係る発明の建築物壁面保護具であって、前記複数の緩衝ピースのうちには、ほぼ三角形状の板状のものが含まれている、建築物壁面保護具。
【0017】
この発明の建築物壁面保護具では、請求項1〜請求項4に係る発明の建築物壁面保護具の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、ほぼ三角形状の板状の緩衝ピースが緩衝ピース連結体の各端部に配置されることによって、その緩衝ピース連結体の形状がほぼ平行四辺形状となり得る。
このため、鉛直(又はほぼ鉛直)の支柱によってその緩衝ピース連結体の各端部が支持されることによって、階段部分等(その床面が全体として水平から傾斜している)における壁面を適切に保護することができる。
なお、「ほぼ三角形状」「ほぼ平行四辺形状」には「三角形状」「平行四辺形状」が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施形態1]
次に、本発明の実施形態1について、図1A〜図8に基づいて説明する。
この建築物壁面保護具は、3種類の緩衝ピース(第1〜第3緩衝ピース10A〜10C)(図1A〜図1C)と、一対の支柱30(図3)を有している。
図1A〜図1Cに示すように、各緩衝ピース10A〜10Cは、ピース本体12を有している。図2に示すように、ピース本体12は、板状をなし、合成樹脂のシート状の表皮13の内部にウレタン,発泡ポリエチレン等の緩衝材14が充填されて形成されている。
【0019】
図1A,図5,図6に示すように、第1緩衝ピース10A(そのピース本体12)は、直角二等辺三角形状をしている。
第1緩衝ピース10Aのピース本体12のおもて面のうちの直角部分と対向する辺(斜辺)には、当該辺から張り出すように、面ファスナ(オス)15mが取り付けられている。面ファスナ(オス)15mのうちの裏面が結合面(符号省略)である。
第1緩衝ピース10Aのピース本体12のおもて面のうちの直角部分と隣接する辺(その2辺のうち、ピース本体12のおもて面から見て斜辺から反時計回り方向に隣接する辺)に沿って、当該辺の内側部分には、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面が結合面(符号省略)である。
【0020】
図1B,図5,図6に示すように、第2緩衝ピース10B(そのピース本体12)は、長方形状をしている。第2緩衝ピース10B(そのピース本体12)の長辺の長さは、第1緩衝ピース10A(そのピース本体12)及び第3緩衝ピース10C(そのピース本体12)の斜辺以外の辺の長さに対応している。
一対の長辺には、当該各辺から張り出すように、面ファスナ(オス)15mが取り付けられている。面ファスナ(オス)15mのうちの裏面が結合面(符号省略)である。
【0021】
図1C,図5,図6に示すように、第3緩衝ピース10C(そのピース本体12)は、第1緩衝ピース10Aと同様に、直角二等辺三角形状をしている。
第3緩衝ピース10Cのピース本体12のおもて面のうちの直角部分と対向する辺(斜辺)に沿って、当該辺の内側部分には、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面が結合面(符号省略)である。
第3緩衝ピース10Cのピース本体12のおもて面のうちの直角部分と隣接する辺(その2辺のうち、ピース本体12のおもて面から見て、斜辺から反時計回り方向に隣接する辺)に沿って、当該辺の内側部分にも、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面が結合面(符号省略)である。
【0022】
図3に示すように、各支柱30は支柱本体32を有し、支柱本体32の下部に支持部33が設けられている。支持部33は、吸盤によって形成されている。これによって、板張り(フローリングともいわれる)の床面等に固着され得る。
なお、支持部33は、重りを内在し、その重量によって支柱本体32(支柱30)が床面に安定的に設置されるものでもよい。
【0023】
支柱本体32に対して、円筒状のスリーブ部材35が嵌合されている。各スリーブ部材35は、一対の帯状の布材(符号省略)によって円筒状に形成されるとともに、両布材の各縁部が遠心方向に張り出すようにされるとともに結合されて、一対の張り出し部36a,36bが形成されている。
スリーブ部材35の下端部は、支持部33よりも所定の距離だけ高い位置に位置している。
【0024】
一方の張り出し部36aの両面には、面ファスナ(オス)15mが取り付けられている。また、他方の張り出し部36bの両面には、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。
面ファスナ(オス)15m,面ファスナ(メス)15fは、各々、スリーブ部材35の長さ方向に沿って延びている。
【0025】
なお、以上の各緩衝ピース10A〜10C及び支柱30において、以下のようにして結合される面ファスナ(オス)15m及び面ファスナ(メス)15fが、面ファスナ15(図6,図8)を構成する。
【0026】
次に、この建築物壁面保護具の使用方法及び作用効果について説明する。
第1の使用方法として、階段部分Sにおける壁面W1を保護するために使用される場合について、図4〜図7に基づいて説明する。
【0027】
斜め上方から斜め下方に向けて、第1緩衝ピース10A,第2緩衝ピース10B,第1緩衝ピース10A,第3緩衝ピース10C,第2緩衝ピース10B,第1緩衝ピース10Aの順に配列される。そして、隣接する各緩衝ピース(10A〜10C)同士が、壁面W1に沿った通行方向に沿って(すなわち階段部分Sの通行方向に沿って)、面ファスナ15によって結合される。こうして、平行四辺形の板状の緩衝ピース連結体21が形成される。
【0028】
それとともに、緩衝ピース連結体21の各端部を形成する各第1緩衝ピース10Aと各支柱30(張り出し部36b)とが、面ファスナ15(面ファスナ(オス)15m・面ファスナ(メス)15f)によって結合される。
【0029】
また、階段の上側及び下側であってともに壁面W1の近傍の床面に対して、各々、支柱30が設置される。
なお、各緩衝ピース10A〜10C及び各支柱30の結合並びに支柱30の設置の順序は、適宜選択され得る。
【0030】
以上のようにして、階段部分Sの壁面W1の近傍に平行四辺形状の緩衝ピース連結体21が設置され、壁面W1が緩衝ピース連結体21によって保護されることになる。
このため、引っ越し等において備品がその階段部分Sを運搬される際に、緩衝ピース連結体21によって、その備品が壁面W1に対して直接的に接触することが防止される。また、緩衝ピース連結体21を介して備品が間接的に壁面W1に対して接触した場合にも、緩衝ピース連結体21が緩衝性を有するために、備品及び壁面W1が損傷することが防止される。
【0031】
なお、階段部分Sにおいては、廊下等の通常の水平な床面と比較して、作業員が備品を運搬する際に足元に注意が向くために、その分、備品が壁面W1に対して接触しやすいが、このように壁面W1が保護されるために、備品及び壁面W1が損傷することが防止されるのである。
【0032】
また、この建築物壁面保護具(その第1の使用方法)では、緩衝ピース連結体21の形状が平行四辺形状とされるため、その両端部が一対の鉛直な支柱30によって支持されることによって、階段部分Sの壁面W1が適切に保護される。
【0033】
また、この建築物壁面保護具は、壁面W1に対して粘着テープによって緩衝材14を貼着するものではないため、使用後において壁面W1が粘着テープによって見苦しい状態になることも防止される。
【0034】
第2の使用方法として、この建築物壁面保護具が、床面が水平な部分(廊下部分P等)における壁面W2を保護するために使用される場合について、図8に基づいて説明する。
【0035】
水平方向における一方から他方に向けて、第1緩衝ピース10A,第3緩衝ピース10C,第2緩衝ピース10B,第1緩衝ピース10A,第3緩衝ピース10C,第2緩衝ピース10Bの順に配列される。そして、隣接する各緩衝ピース同士(10A〜10C)が、壁面W2に沿った通行方向に沿って(すなわち廊下部分P等の通行方向に沿って)、面ファスナ15によって結合される。こうして、帯板状の緩衝ピース連結体22が形成される。
【0036】
それとともに、緩衝ピース連結体22の一端部(図8において左端部)を形成する緩衝ピース10Aと支柱30(張り出し部36a)とが、面ファスナ15(面ファスナ(メス)15f・面ファスナ(オス)15m)によって結合される。
また、緩衝ピース連結体22の他端部(図8において右端部)を形成する緩衝ピース10Bと支柱30(張り出し部36b)とが、面ファスナ15(面ファスナ(オス)15m・面ファスナ(メス)15f)によって結合される。
【0037】
また、壁面W2の近傍の床面に対して、各支柱30が設置される。
なお、各緩衝ピース10A〜10C及び各支柱30の結合並びに支柱30の設置の順序は、適宜選択され得る。
【0038】
以上のようにして、廊下部分P等の壁面W2の近傍に帯板状の緩衝ピース連結体22が設置され、壁面W2が緩衝ピースによって保護されることになる。
そして、第1の使用方法の場合と同様に、備品及び壁面W2が損傷することが防止されとともに、使用後において壁面W2が粘着テープによって見苦しい状態になることも防止される。
【0039】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2について、図9A〜図13及び図2に基づいて説明する。
この建築物壁面保護具は、3種類の緩衝ピース(第1〜第3緩衝ピース110A〜110C)(図9A〜図9C),一対の支柱130(図10,図11),1本の支持棒材140(図10,図11)を有している。
図9A〜図9Cに示すように、各緩衝ピース110A〜110Cは、ピース本体12を有している。図2に示すように、ピース本体12は、板状をなし、合成樹脂のシート状の表皮13の内部にウレタン,発泡ポリエチレン等の緩衝材14が充填されて形成されている。
【0040】
図9A,図12,図13に示すように、第1緩衝ピース110A(そのピース本体12)は、直角二等辺三角形状をしている。
第1緩衝ピース110Aのピース本体12のおもて面及び裏面の各面のうちの直角部分と対向する辺(斜辺)には、当該辺から張り出すように、各々、面ファスナ(オス)15mが取り付けられている。各面ファスナ(オス)15mのうちの裏面が結合面(符号省略)である。
なお、「面ファスナ(オス)15mのうちの裏面」とは、ピース本体12のおもて面に設けられた面ファスナ(オス)15mの場合はピース本体12の裏面の側の面であり、ピース本体12の裏面に設けられた面ファスナ(オス)15mの場合はピース本体12のおもて面の側の面である。
また、各面ファスナ(オス)15mの一部は、ピース本体12の内部に入り込んでおり、その部分がピース本体12(表皮13)に対して固定されている。
これらについては以下同様である。
【0041】
第1緩衝ピース110Aのピース本体12のおもて面及び裏面の各面のうちの直角部分と隣接する辺(その2辺のうちの1辺)に沿って、当該辺の内側部分には、各々、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。各面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面が結合面(符号省略)である。
なお、「面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面」とは、ピース本体12のおもて面に設けられた面ファスナ(メス)15fの場合はピース本体12のおもて面の側の面であり、ピース本体12の裏面に設けられた面ファスナ(メス)15fの場合はピース本体12の裏面の側の面である。これについても以下同様である。
【0042】
第1緩衝ピース110Aのピース本体12の直角部分と隣接する辺(その2辺のうちの他辺)には、2つのループ16が設けられている。ループ16は、帯状の布材(符号省略)の一端部が当該辺のおもて面の側に結合され、他端部が当該辺の裏面の側に結合されて形成されている。正確にいうと、布材の各端部(その近傍を含む)は、ピース本体12の内部に入り込んでおり、その部分がピース本体12(表皮13)に対して固定されている。これについても以下同様である。
【0043】
図9B,図12,図13に示すように、第2緩衝ピース110B(そのピース本体12)は、長方形状をしている。第2緩衝ピース110B(そのピース本体12)の長辺の長さは、第1緩衝ピース110A(そのピース本体12)及び第3緩衝ピース110C(そのピース本体12)の斜辺以外の辺の長さに対応している。
【0044】
第2緩衝ピース110Bのピース本体12のおもて面及び裏面の各面のうちの一方の長辺には、当該長辺から張り出すように、各々、面ファスナ(オス)15mが取り付けられている。面ファスナ(オス)15mのうちの裏面が結合面(符号省略)である。
第2緩衝ピース110Bのピース本体12のおもて面及び裏面の各面のうちの他方の長辺に沿って、当該辺の内側部分には、各々、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。各面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面が結合面(符号省略)である。
第2緩衝ピース110Bのピース本体12の一方の短辺には、ループ16が1つ設けられている。
【0045】
図9C,図12,図13に示すように、第3緩衝ピース110C(そのピース本体12)は、第1緩衝ピース110Aと同様に、直角二等辺三角形状をしている。
第3緩衝ピース110Cのピース本体12のおもて面及び裏面の各面のうちの直角部分と対向する辺(斜辺)に沿って、当該辺の内側部分には、各々、面ファスナ(メス)15fが取り付けられている。各面ファスナ(メス)15fのうちのおもて面が結合面(符号省略)である。
第3緩衝ピース110Cのピース本体12のおもて面及び裏面の各面のうちの直角部分と隣接する辺には、当該辺から張り出すように、各々、面ファスナ(オス)15mが取り付けられている。各面ファスナ(オス)15mのうちの裏面が結合面(符号省略)である。
【0046】
なお、以上の各緩衝ピース110A〜110Cにおいて、後述のようにして結合される面ファスナ(オス)15m及び面ファスナ(メス)15fが、面ファスナ15(図12,図13)を構成する。
【0047】
図10に示すように、各支柱130は支柱本体132を有し、支柱本体132の下部に支持部133が設けられている。支持部133は四角形の板状をなし、支柱本体132の下端部は支持部133の偏心した位置に結合されている。
支柱本体132の上端部には、一対の張り出し材134が固定され、両張り出し材134には、ボルト孔137が形成されている。
支持棒材140の各端部には、一対のボルト孔142が形成されている。
【0048】
そして、図10及び図11に示すように、支持棒材140の各端部が、各支柱130(支柱本体132)の一対の張り出し材134の間に配置され、ボルト138が張り出し材134のボルト孔137及び支持棒材140のボルト孔142を挿通するようにされ、ボルト138とナット139とが螺着されることによって、各支柱130(支柱本体132)に対して支持棒材140の各端部が結合される。
その際、図11に示すように、ボルト138とナット139とが強固に螺着されない状態おいては、支持棒材140は、各支柱130に対して直角の方向を基準に揺動可能であり、斜め上方から斜め下方の間の種々の角度をとりえる。
【0049】
次に、この建築物壁面保護具の使用方法及び作用効果について説明する。
第1の使用方法として、階段部分Sにおける壁面W1を保護するために使用される場合について、図12に基づいて説明する。
【0050】
階段の上側及び下側であってともに壁面W1の近傍の床面に対して、各々、支柱130を設置する。
支持棒材140については、その一端部(斜め下方の端部が好ましい)を支柱130に対して揺動可能に連結する。
【0051】
そして、各緩衝ピース(110A〜110C)については、壁面W1に沿って、斜め上方から斜め下方に向けて、第1緩衝ピース110A,第2緩衝ピース110B,第3緩衝ピース110C,第1緩衝ピース110A,第2緩衝ピース110B,第3緩衝ピース110Cの順になるように配設する。
その際、第1緩衝ピース110A及び第2緩衝ピース110Bについては、その各ループ16に対して支持棒材140が挿通状態となるようにして、支持棒材140に対して取り付ける。
また、隣接する各緩衝ピース(110A〜110C)同士が、壁面W1に沿った通行方向に沿って(すなわち階段部分Sの通行方向に沿って)、面ファスナ15によって結合させる。こうして、平行四辺形の板状の緩衝ピース連結体121が形成される。
上述の作業と相前後して、支持棒材140の他端部を支柱130に対して連結する。
【0052】
こうして、支持棒材140が一対の支柱130によって支持され、緩衝ピース連結体121が支持棒材140に支持された状態となる。
【0053】
以上のようにして、階段部分Sの壁面W1の近傍に平行四辺形状の緩衝ピース連結体121が設置され、壁面W1が緩衝ピース連結体121によって保護されることになる。
このため、引っ越し等において備品がその階段部分Sを運搬される際に、緩衝ピース連結体121によって、その備品が壁面W1に対して直接的に接触することが防止される。また、緩衝ピース連結体121を介して備品が間接的に壁面W1に対して接触した場合にも、緩衝ピース連結体121が緩衝性を有するために、備品及び壁面W1が損傷することが防止される。
【0054】
なお、階段部分Sにおいては、廊下等の通常の水平な床面と比較して、作業員が備品を運搬する際に足元に注意が向くために、その分、備品が壁面W1に対して接触しやすいが、このように壁面W1が保護されるために、備品及び壁面W1が損傷することが防止されるのである。
【0055】
また、この建築物壁面保護具(その第1の使用方法)では、緩衝ピース連結体121の形状が平行四辺形状とされるため、その上端部が支持棒材140によって支持されることによって、階段部分Sの壁面W1が適切に保護される。
【0056】
また、この建築物壁面保護具は、壁面W1に対して粘着テープによって緩衝材14を貼着するものではないため、使用後において壁面W1が粘着テープによって見苦しい状態になることも防止される。
【0057】
第2の使用方法として、この建築物壁面保護具が、床面が水平な部分(廊下部分P等)における壁面W2を保護するために使用される場合について、図13に基づいて説明する。
【0058】
壁面W2の近傍の床面に対して、各支柱130を設置する。
支持棒材140については、その一端部を支柱130に対して揺動可能に連結する。
【0059】
そして、各緩衝ピース(110A〜110C)については、壁面W2に沿って、一方から他方に向けて、第2緩衝ピース110B,第1緩衝ピース110A,第3緩衝ピース110C,第2緩衝ピース110B,第1緩衝ピース110A,第3緩衝ピース110Cの順になるように配設する。
その際、第1緩衝ピース110A及び第2緩衝ピース110Bについては、その各ループ16に対して支持棒材140が挿通状態となるようにして、支持棒材140に対して取り付ける。
また、隣接する各緩衝ピース(110A〜110C)同士が、壁面W2に沿った通行方向に沿って、面ファスナ15によって結合させる。こうして、帯板状の緩衝ピース連結体122が形成される。
上述の作業と相前後して、支持棒材140の他端部を支柱130に対して連結する。
【0060】
こうして、支持棒材140が一対の支柱130によって支持され、緩衝ピース連結体122が支持棒材140に支持された状態となる。
【0061】
以上のようにして、廊下部分P等の壁面W2の近傍に帯板状の緩衝ピース連結体122が設置され、壁面W2が緩衝ピース連結体122によって保護されることになる。
そして、第1の使用方法の場合と同様に、備品及び壁面W2が損傷することが防止されとともに、使用後において壁面W2が粘着テープによって見苦しい状態になることも防止される。
【0062】
なお、上記のものはあくまで本発明の一実施形態にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具を構成する第1緩衝ピースを示す斜視図である。面ファスナ(メス)には、便宜的に、多数の小さな丸印が付されている(このことは他の図においても同様である)。
【図1B】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具を構成する第2緩衝ピースを示す斜視図である。
【図1C】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具を構成する第3緩衝ピースを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具を構成する各緩衝ピースを示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具を構成する支柱を示す図である。(a)は分解斜視図であり、(b)は斜視図であり、(c)は横断面図である。面ファスナ(オス)には、便宜的に、多数の小さなばつ印が付されている(このことは他の図においても同様である)。
【図4】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具の使用状態(第1の使用方法)を示す分解正面図である。
【図5】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具の使用状態(第1の使用方法)を示す分解背面図である。
【図6】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具の使用状態(第1の使用方法)を示す正面図である。
【図7】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具の使用状態(第1の使用方法)を示す断面図である。図6中のVII−VII線で仮想的に切断した断面図である。
【図8】本発明の実施形態1の建築物壁面保護具の使用状態(第2の使用方法)を示す正面図である。
【図9A】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具を構成する第1緩衝ピースを示す斜視図である。
【図9B】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具を構成する第2緩衝ピースを示す斜視図である。
【図9C】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具を構成する第3緩衝ピースを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具を構成する支柱(一対の支柱のうちの1つ)及び支持棒材を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具を構成する支柱(一対の支柱のうちの1つ)及び支持棒材を示す正面図である。
【図12】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具の使用状態(第1の使用方法)を示す正面図である。
【図13】本発明の実施形態2の建築物壁面保護具の使用状態(第2の使用方法)を示す正面図である。
【符号の説明】
【0064】
10A,110A 第1緩衝ピース(緩衝ピース)
10B,110B 第2緩衝ピース(緩衝ピース)
10C,110C 第3緩衝ピース(緩衝ピース)
15 面ファスナ
15m 面ファスナ(オス)
15f 面ファスナ(メス)
16 ループ
21,22,121,122 緩衝ピース連結体
30,130 支柱
140 支持棒材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に沿って配設される建築物壁面保護具であって、
板状をなし緩衝性を有し、前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って配設される複数の緩衝ピースと、
一対の支柱と、
前記一対の支柱によって複数の前記緩衝ピースを支持するための支持機構と
を有する、建築物壁面保護具。
【請求項2】
請求項1に記載の建築物壁面保護具であって、
前記支持機構は、
前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って前記複数の緩衝ピースを結合して緩衝ピース連結体を形成するために前記各緩衝ピースに設けられた面ファスナと、
前記緩衝ピース連結体と前記支柱を結合するために前記緩衝ピース及び前記支柱に設けられた面ファスナと
を有する、建築物壁面保護具。
【請求項3】
請求項1に記載の建築物壁面保護具であって、
前記支持機構は、
前記一対の支柱間にわたって配設される支持棒材と、
前記複数の緩衝ピースのうちの少なくとも一部の緩衝ピースに設けられ、当該緩衝ピースを前記支持棒材に取り付けるループと
を有する、建築物壁面保護具。
【請求項4】
請求項1に記載の建築物壁面保護具であって、
前記支持機構は、
前記建築物の壁面に沿った通行方向に沿って前記複数の緩衝ピースを結合して緩衝ピース連結体を形成するために前記各緩衝ピースに設けられた面ファスナと、
前記一対の支柱間にわたって配設される支持棒材と、
前記複数の緩衝ピースのうちの少なくとも一部の緩衝ピースに設けられ、当該緩衝ピースを前記支持棒材に取り付けるループと
を有する、建築物壁面保護具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の建築物壁面保護具であって、
前記複数の緩衝ピースのうちには、ほぼ三角形状の板状のものが含まれている、
建築物壁面保護具。



【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−161447(P2006−161447A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355865(P2004−355865)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(500363069)