説明

建設機械のクイックカプラー回路

【課題】昇圧の時間やタイミングを制御することを可能にし、油圧ポンプ昇圧中の作業機の動作の安定化、燃費の向上を図ることを可能にした建設機械のクイックカプラー回路を提供する。
【解決手段】スイッチ15を、アタッチメントを保持する際のロックポジションと、アタッチメントを脱離させる際のアンロックポジションの2つのポジションで操作するように構成する。また、制御装置16が、スイッチ15をロックポジションあるいはアンロックポジションに操作して出力された操作信号を受けて、油圧ポンプの昇圧が始まるように、且つ所定の時間が経過した段階で油圧ポンプの昇圧が終了するように、電磁切替バルブ13を切替制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットやブレーカなどのアタッチメントを容易に着脱するための建設機械のクイックカプラー回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベル(建設機械)1は、図3に示すように、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3上に上下方向に起倒自在に取り付けられた作業機4とを備えて構成されている。また、作業機4は、後端が上部旋回体3に回動自在に支持されたブーム5と、ブーム5の先端に後端が回動自在に支持されたアーム6と、アーム6の先端側に回動自在に取り付けられたバケット(アタッチメント)7とを備えて多関節状に形成されている。そして、オペレータのレバー操作に応じて作動油が給排されることにより、ブームシリンダ8とアームシリンダ9とバケットシリンダ10(作業用アクチュエータ)がそれぞれ伸縮駆動し、ブーム5とアーム6とバケット7がそれぞれ回動するように構成されている。
【0003】
一方、アーム6の先端にバケット、ブレーカ、クラッシャなどの各種アタッチメント7を着脱できるように構成し(アタッチメント7を交換可能に構成し)、一台の建設機械1を多目的・多機能で使用できるようにしたものがある。さらに、クイックカプラー回路を備え、オペレータのスイッチ操作によって容易に且つ素早くアタッチメント7の着脱を行えるようにしたものがある。
【0004】
そして、一般に、クイックカプラー回路(クイックカプラーB)は、アーム6の先端とアタッチメント7の間に設けられ、作動油の給排によって伸縮駆動してアタッチメント7を保持/脱離させるクイックカプラーシリンダと、油圧ポンプと、油圧ポンプから供給される作動油の供給方向を作業用アクチュエータ(ブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10)側あるいはクイックカプラーシリンダ側に切り替える電磁切替バルブと、クイックカプラーシリンダに対する作動油の供給方向を切り替えてクイックカプラーシリンダを伸縮駆動させるためのカプラー切替バルブと、スイッチ操作によって出力されたパイロット信号(操作信号)に基づいて電磁切替バルブとカプラー切替バルブをそれぞれ切替制御する制御装置とを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−327291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、クイックカプラーシリンダの伸縮動作(アタッチメント7の着脱)を確実なものにするためには、オペレータによるポンプ昇圧操作が必要になる。このため、上記従来のクイックカプラー回路においては、電磁切替バルブを使用し、ポンプ強制昇圧のためのパイロット信号を制御して、油圧ポンプを強制昇圧させるように構成されている。また、上記従来のクイックカプラー回路は、電磁切替バルブ及びカプラー切替バルブがスイッチ操作に応じて切替駆動するように構成され、これら2つのバルブを制御するために3ポジションスイッチとリレー回路を必要としている。
【0007】
すなわち、従来のクイックカプラー回路では、作業用アクチュエータを伸縮駆動させて作業を行う際のワーキングポジション、クイックカプラーシリンダを伸長(あるいは縮長)させてアタッチメント7を保持(装着)する際のロックポジション、クイックカプラーシリンダを縮長(あるいは伸長)させてアタッチメント7を脱離させる際のアンロックポジションの3つのポジションで操作されるスイッチと、リレー回路の組み合わせによって、油圧ポンプを昇圧させる制御を行っている。そして、アタッチメント7の交換時には、ロックポジションとアンロックポジションを使用し、これらロックポジションとアンロックポジションにある間は、常に油圧ポンプが昇圧されるように構成されている。
【0008】
このため、スイッチのポジションによって常にクイックカプラーシリンダを伸長(あるいは縮長)させるように昇圧しているか、常にクイックカプラーシリンダを縮長(あるいは伸長)させるように昇圧しているか、または常に昇圧していないかの制御しかできず、昇圧の時間やタイミングまで制御することができない。これにより、ポンプ昇圧中の各作業用アクチュエータ8、9、10(作業機4)の動きが不安定になったり、無駄なポンプ昇圧時間が生じて燃費の悪化を招くという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、昇圧の時間やタイミングを制御することを可能にし、油圧ポンプ昇圧中の作業機の動作の安定化、燃費の向上を図ることを可能にした建設機械のクイックカプラー回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
請求項1の建設機械のクイックカプラー回路は、アタッチメントを作業機に着脱するための建設機械のクイックカプラー回路であって、伸縮駆動してアタッチメントを作業機に保持/脱離させるクイックカプラーシリンダと、油圧ポンプと、油圧ポンプの強制昇圧を切り替える電磁切替バルブと、クイックカプラーシリンダに対する作動油の供給方向を切り替えてクイックカプラーシリンダを伸縮駆動させるためのカプラー切替バルブと、電磁切替バルブとカプラー切替バルブをそれぞれ切替制御する制御装置とを備え、電磁切替バルブとカプラー切替バルブを切替操作するためのスイッチが、クイックカプラーシリンダを伸縮させてアタッチメントを保持する際のロックポジションと、クイックカプラーシリンダを伸縮させてアタッチメントを脱離させる際のアンロックポジションの2つのポジションで操作するように構成され、制御装置は、スイッチをロックポジションあるいはアンロックポジションに操作して出力された操作信号を受けて、カプラー切替バルブを切替制御するとともに、スイッチの操作によって油圧ポンプの昇圧が始まるように、且つ所定の時間が経過した段階で油圧ポンプの昇圧が終了するように、電磁切替バルブを切替制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の建設機械のクイックカプラー回路においては、クイックカプラー回路がスイッチの操作信号を制御装置を経由して電磁切替バルブに伝えるように構成されているため、油圧ポンプを昇圧させるように電磁切替バルブが切り替わっている時間を制御することが可能になる。すなわち、制御装置が、スイッチをロックポジションあるいはアンロックポジションに操作して出力された操作信号に基づいて、油圧ポンプを昇圧させるように電磁切替バルブを切替制御した後、所定の時間が経過した段階で油圧ポンプの昇圧を完了するように電磁切替バルブを切替制御することで、ポンプ昇圧時間やタイミングを制御することが可能になる。
【0013】
これにより、ロックポジションとアンロックポジションの2ポジションで操作されるスイッチを操作して、クイックカプラーシリンダが動いている間のみ油圧ポンプを昇圧させるように制御することが可能になる。よって、従来のクイックカプラー回路と比較し、昇圧時間を最小限にすることが可能になり、ポンプ昇圧中に各アクチュエータ(作業機)の動きが不安定になることを最小限に抑制することが可能になる。また、無駄なポンプ昇圧時間を減らすことが可能になるため、燃費の向上を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る建設機械のクイックカプラー回路を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る建設機械のクイックカプラー回路の変形例を示す図である。
【図3】油圧ショベル(建設機械)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1及び図3を参照し、本発明の一実施形態に係る建設機械のクイックカプラー回路について説明する。
【0016】
本実施形態の建設機械1は、油圧ショベル(図3参照)であり、アーム6(作業機)の先端にバケットやブレーカ等の各種アタッチメント7を容易に着脱するためのクイックカプラー回路Aを備えている。
【0017】
そして、本実施形態のクイックカプラー回路Aは、図1に示すように、クイックカプラーシリンダ11と、油圧ポンプ(例えば、可変容量ポンプ)12と、電磁切替バルブ(ソレノイドバルブ)13と、カプラー切替バルブ14と、スイッチ15と、制御装置16とを備えて構成されている。
【0018】
クイックカプラーシリンダ11は、作動油を給排することによって伸縮駆動し、アタッチメント7をアーム6の先端に保持(装着)/脱離させるためのものであり、アーム6の先端に取り付けられる着脱装置に内蔵し、アーム6の先端とアタッチメント7の間に設けられている。また、本実施形態のクイックカプラー回路Aにおいては、クイックカプラーシリンダ11を伸ばすとアタッチメント7が固定され、クイックカプラーシリンダ11を縮めるとアタッチメント7が取り外されるように、クイックカプラーシリンダ11のピストン室11aとロッド室11bにそれぞれ油圧配管が繋げられている。
【0019】
電磁切替バルブ13は、油圧源の油圧ポンプ12によって供給された作動油の供給方向を作業機4の作業用アクチュエータ(ブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10)側あるいはクイックカプラーシリンダ11側に切替可能に構成されており、油圧配管を介して、油圧ポンプ12、各作業用アクチュエータ8、9、10、カプラー切替バルブ14に繋げられている。
【0020】
カプラー切替バルブ14は、クイックカプラーシリンダ11を伸縮駆動させるためのものであり、クイックカプラーシリンダ11に油圧配管で繋げられ、油圧ポンプ12から供給された作動油のクイックカプラーシリンダ11に対する供給方向を切替可能に構成されている。
【0021】
スイッチ15は、アタッチメント7を交換(着脱)する際に、オペレータによって、電磁切替バルブ13とカプラー切替バルブ14を切替操作するためのものであり、ワイヤーハーネスを用いて制御装置16に繋げられている。また、本実施形態のスイッチ15は、クイックカプラーシリンダ11を伸長させてアタッチメント7を保持する際のロックポジションと、クイックカプラーシリンダ11を縮長させてアタッチメント7を取り外す際のアンロックポジションの2つのポジションで操作するように構成されている。
【0022】
制御装置16は、電磁切替バルブ13とカプラー切替バルブ14をそれぞれ切替制御するためのものであり、ワイヤーハーネスを用いて電磁切替バルブ13、カプラー切替バルブ14にそれぞれ繋げられている。本実施形態の制御装置16は、スイッチ15をロックポジションあるいはアンロックポジションに操作して出力された操作信号を受けて、カプラー切替バルブ14を切替制御する。また、これとともに、スイッチ15の操作によって油圧ポンプ12の昇圧が始まるように、且つ所定の時間が経過した段階で油圧ポンプ12の昇圧が終了するように、電磁切替バルブを切替制御する。
【0023】
上記構成からなる本実施形態のクイックカプラー回路Aでアタッチメント7を交換(着脱)する際には、はじめに、オペレータがレバー操作して、作業用アクチュエータ8、9、10を駆動させ、アーム6の先端に取り付けられているアタッチメント7を所定の位置に配置する。
【0024】
次に、オペレータがアンロックポジションにスイッチ操作すると、操作信号が制御装置16に入力され、この操作信号に基づいて制御装置16から電磁切替バルブ13とカプラー切替バルブ14にそれぞれ切替信号が出力される。そして、制御装置16から出力された切替信号によって、電磁切替バルブ13が切り替わり、油圧ポンプ12が昇圧する。また、制御装置16から出力された切替信号によって、カプラー切替バルブ14が切り替わり、クイックカプラーシリンダ11が縮長するように作動油が給排される。このようにしてクイックカプラーシリンダ11が縮長することで、アーム6の先端に取り付けられているアタッチメント7の保持状態が解除され、このアタッチメント7がアーム6の先端から脱離する。
【0025】
また、このとき、本実施形態においては、制御装置16によって、電磁切替バルブ13を切替制御した後(オペレータがアンロックポジションにスイッチ操作した後)、例えば10秒程度の所定の時間が経過した段階で、電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧ポンプ12の昇圧が終わる。すなわち、オペレータがアンロックポジションにスイッチ操作して、クイックカプラーシリンダ11が縮長し、アタッチメント7がアーム6の先端から脱離すると、制御装置16によって自動的に電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧が作業時の通常圧に戻る。
【0026】
これにより、従来のクイックカプラー回路のように、スイッチ15をアンロックポジションにすると、常にクイックカプラーシリンダ11を縮長させるように昇圧している状態になることがなく、油圧ポンプ12の昇圧時間が最小限でよくなる。このため、各作業用アクチュエータ8、9、10を駆動させた際に不安定な動きになることも最小限に抑制され、また、無駄なポンプ昇圧時間がなくなる(削減される)。
【0027】
次に、新たなアタッチメント7をアーム6の先端に取り付ける際には、はじめに、オペレータのレバー操作によって新たなアタッチメント7がアーム6の先端側の所定位置に配されるように作業機4を駆動させる。このとき、各作業用アクチュエータ8、9、10が不安定な動きになることないため、好適にアーム6の先端側を所定位置に配することが可能である。
【0028】
そして、このようにアーム6の先端側を所定位置に配した状態で、オペレータがロックポジションにスイッチ操作すると、操作信号が制御装置16に入力され、この操作信号に基づいて制御装置16から電磁切替バルブ13とカプラー切替バルブ14にそれぞれ切替信号が出力される。制御装置16から出力された切替信号によって、油圧ポンプ12が昇圧する。また、制御装置16から出力された切替信号によって、カプラー切替バルブ14が切り替わり、クイックカプラーシリンダ11が伸長するように作動油が給排される。このようにしてクイックカプラーシリンダ11が伸長することで、新たなアタッチメント7の連結ピン又はウェッジを掴み、新たなアタッチメント7がアーム6の先端に連結して保持(装着)される。
【0029】
また、このアタッチメント7の装着時においても、制御装置16によって、電磁切替バルブ13を切替制御した後(オペレータがロックポジションにスイッチ操作した後)、例えば10秒程度の所定の時間が経過した段階で、電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧ポンプ12の昇圧が終わる。すなわち、オペレータがロックポジションにスイッチ操作して、クイックカプラーシリンダ11が伸長し、アタッチメント7がアーム6の先端に装着されると、制御装置16によって自動的に電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧が作業時の通常圧に戻る。
【0030】
これにより、スイッチ15をロックポジションにすると、常にクイックカプラーシリンダ11を伸長させるように昇圧している状態になることがなく、油圧ポンプ12の昇圧時間が最小限でよくなる。よって、アタッチメント7の装着時においても、各作業用アクチュエータ8、9、10を駆動させた際に不安定な動きになることも最小限に抑制され、また、無駄なポンプ昇圧時間がなくなる(削減される)。
【0031】
また、アタッチメント7の装着時においては、電磁切替バルブ13を切替制御し、油圧を作業時の通常圧に戻した後、例えば5秒程度の所定の時間、制御装置16によって作業用アクチュエータ8、9、10を駆動させるように制御してもよい。この場合には、装着したアタッチメント7が確実に(好適に)連結して装着されているか否かを確認することが可能になる。
【0032】
したがって、本実施形態の建設機械のクイックカプラー回路Aにおいては、クイックカプラー回路Aがスイッチ15から出力された操作信号を制御装置16を経由して電磁切替バルブ13に伝えるように構成されているため、油圧ポンプ12を昇圧させるように電磁切替バルブ13が切り替わっている時間を制御することが可能になる。すなわち、制御装置16が、スイッチ15をロックポジションあるいはアンロックポジションに操作して出力された操作信号に基づいて、油圧ポンプ12を昇圧させるように電磁切替バルブ13を切替制御した後、所定の時間が経過した段階で油圧ポンプ12の昇圧を完了するように電磁切替バルブ13を切替制御することで、ポンプ昇圧時間やタイミングを制御することが可能になる。
【0033】
これにより、ロックポジションとアンロックポジションの2ポジションで操作されるスイッチ15を操作して、クイックカプラーシリンダ11が動いている間のみ油圧ポンプ12を昇圧させるように制御することが可能になる。よって、従来のクイックカプラー回路と比較し、昇圧時間を最小限にすることが可能になり、ポンプ昇圧中に各作業用アクチュエータ8、9、10(作業機4)の動きが不安定になることを最小限に抑制することが可能になる。また、無駄なポンプ昇圧時間を減らすことが可能になるため、燃費の向上を図ることも可能になる。
【0034】
以上、本発明に係る建設機械のクイックカプラー回路の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、建設機械1が油圧ショベルであるものとして説明を行ったが、本発明に係る建設機械は、ショベルローダなど他の建設機械であってもよい。
【0035】
また、本実施形態のクイックカプラー回路Aでは、クイックカプラーシリンダ11を伸ばすとアタッチメント7が固定され、クイックカプラーシリンダ11を縮めるとアタッチメント7が取り外されるように、クイックカプラーシリンダ11のピストン室11aとロッド室11bにそれぞれ油圧配管を繋げて構成されているものとした。これに対し、図2に示すように、クイックカプラーシリンダ11を伸ばすとアタッチメント7が取り外され、クイックカプラーシリンダ11を縮めるとアタッチメント7が固定されるように、本実施形態と逆に、クイックカプラーシリンダ11のピストン室11aとロッド室11bにそれぞれ油圧配管を繋げて、クイックカプラー回路Aが構成されていてもよい。
【0036】
そして、この場合には、本実施形態とは逆に、オペレータがアンロックポジションにスイッチ操作すると、制御装置16から電磁切替バルブ13とカプラー切替バルブ14にそれぞれ切替信号が出力されて、電磁切替バルブ13が切り替わり、油圧ポンプ12が昇圧する。また、制御装置16から出力された切替信号によってカプラー切替バルブ14が切り替わり、クイックカプラーシリンダ11が伸長するように作動油が給排される。このようにしてクイックカプラーシリンダ11が伸長することで、アーム6の先端に取り付けられているアタッチメント7の保持状態が解除され、このアタッチメント7がアーム6の先端から脱離する。
【0037】
また、このとき、制御装置16によって電磁切替バルブ13を切替制御した後(オペレータがアンロックポジションにスイッチ操作した後)、例えば10秒程度の所定の時間が経過した段階で、電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧ポンプ12の昇圧が終わる。すなわち、オペレータがアンロックポジションにスイッチ操作して、クイックカプラーシリンダ11が伸長し、アタッチメント7がアーム6の先端から脱離すると、制御装置16によって自動的に電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧が作業時の通常圧に戻る。
【0038】
これにより、油圧ポンプ12の昇圧時間が最小限でよくなるため、各作業用アクチュエータ8、9、10を駆動させた際に不安定な動きになることも最小限に抑制され、また、無駄なポンプ昇圧時間がなくなる(削減される)。
【0039】
また、新たなアタッチメント7をアーム6の先端に取り付ける際においても、本実施形態とは逆に、アーム6の先端側を所定位置に配した状態で、オペレータがロックポジションにスイッチ操作すると、制御装置16から電磁切替バルブ13とカプラー切替バルブ14にそれぞれ切替信号が出力され、油圧ポンプ12が昇圧する。また、制御装置16から出力された切替信号によって、カプラー切替バルブ14が切り替わり、クイックカプラーシリンダ11が縮長するように作動油が給排される。このようにしてクイックカプラーシリンダ11が縮長することで、新たなアタッチメント7の連結ピン又はウェッジを掴み、新たなアタッチメント7がアーム6の先端に連結して保持(装着)される。
【0040】
また、このアタッチメント7の装着時においても、制御装置16によって、電磁切替バルブ13を切替制御した後、例えば10秒程度の所定の時間が経過した段階で、電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧ポンプ12の昇圧が終わる。すなわち、オペレータがロックポジションにスイッチ操作して、クイックカプラーシリンダ11が縮長し、アタッチメント7がアーム6の先端に装着されると、制御装置16によって自動的に電磁切替バルブ13が切替制御され、油圧が作業時の通常圧に戻る。
【0041】
これにより、スイッチ15をロックポジションにすると、常にクイックカプラーシリンダ11を縮長させるように昇圧している状態になることがなく、油圧ポンプ12の昇圧時間が最小限でよくなる。よって、アタッチメント7の装着時においても、各作業用アクチュエータ8、9、10を駆動させた際に不安定な動きになることも最小限に抑制され、また、無駄なポンプ昇圧時間がなくなる(削減される)。
【符号の説明】
【0042】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業機
5 ブーム
6 アーム
7 バケット(アタッチメント)
8 ブームシリンダ(作業用アクチュエータ)
9 アームシリンダ(作業用アクチュエータ)
10 バケットシリンダ(作業用アクチュエータ)
11 クイックカプラーシリンダ
11a ピストン室
11b ロッド室
12 油圧ポンプ
13 電磁切替バルブ
14 カプラー切替バルブ
15 スイッチ
16 制御装置
A 建設機械のクイックカプラー回路
B クイックカプラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アタッチメントを作業機に着脱するための建設機械のクイックカプラー回路であって、
伸縮駆動してアタッチメントを作業機に保持/脱離させるクイックカプラーシリンダと、油圧ポンプと、油圧ポンプの強制昇圧を切り替える電磁切替バルブと、クイックカプラーシリンダに対する作動油の供給方向を切り替えてクイックカプラーシリンダを伸縮駆動させるためのカプラー切替バルブと、電磁切替バルブとカプラー切替バルブをそれぞれ切替制御する制御装置とを備え、
電磁切替バルブとカプラー切替バルブを切替操作するためのスイッチが、クイックカプラーシリンダを伸縮させてアタッチメントを保持する際のロックポジションと、クイックカプラーシリンダを伸縮させてアタッチメントを脱離させる際のアンロックポジションの2つのポジションで操作するように構成され、
制御装置は、スイッチをロックポジションあるいはアンロックポジションに操作して出力された操作信号を受けて、カプラー切替バルブを切替制御するとともに、スイッチの操作によって油圧ポンプの昇圧が始まるように、且つ所定の時間が経過した段階で油圧ポンプの昇圧が終了するように、電磁切替バルブを切替制御することを特徴とする建設機械のクイックカプラー回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−2034(P2012−2034A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140514(P2010−140514)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】