説明

建設機械

【課題】 旋回フレーム上の機器収容スペース内に油圧機器を安定して配置する。
【解決手段】 アングルシリンダ用制御弁32を取付ける取付ブラケット41を、旋回フレーム13の底板15に取付けられるベース部42と、右縦板17に対面しつつベース部42から上方に立上る立上り板部43とにより構成する。そして、立上り板部43の上端部43Bには、縦腕部49と横腕部50とによりL字型に形成した補強腕48を固着し、縦腕部49の下端部49Aを底板15に当接させると共に、横腕部50の先端部50Aを右縦板17に当接させる。これにより、取付ブラケット41は、補強腕48によって左,右方向(板厚方向)の荷重、振動に対して充分な強度を保つことができ、底板15の上方に、取付ブラケット41を介して重量物であるアングルシリンダ用制御弁32を安定して配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に、下部走行体上に上部旋回体が旋回可能に搭載された建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、旋回式建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成され、作業装置を用いて土砂等の掘削作業を行うものである。
【0003】
ここで、油圧ショベルの上部旋回体はベースとなる旋回フレームを有し、該旋回フレームは、下部走行体上に旋回輪を介して取付けられる底板と、該底板上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左,右の縦板とを備え、強固な支持構造体として構成されている。
【0004】
そして、旋回フレームの後端側には、作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトが設けられ、カウンタウエイトの前側には、エンジン、油圧ポンプ、熱交換器等の搭載機器が設けられている。また、旋回フレームの前部左側には、オペレータが着席する運転席が設けられている。さらに、旋回フレームには、油圧ショベルに搭載された走行用油圧モータ、作業装置に設けられる各種油圧シリンダに対する圧油の給排を制御する複数の制御弁(コントロールバルブ)が配設されている(特許文献1参照)。
【0005】
ここで、一般にミニショベルと呼ばれるように、機械全体の形状(寸法)が小さな小型油圧ショベルにおいては、旋回フレームの面積が小さく設定されているため、エンジン、油圧ポンプ、熱交換器、複数の制御弁、各制御弁と油圧アクチュエータとの間を接続する複数本の油圧ホース等を、狭隘な機器収容スペース内にコンパクトに配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−97341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、小型油圧ショベルは、通常、作業装置によって掘削した土砂を排土するブレード(排土板)を備えており、近年では、油圧ショベルの走行方向に対してブレードの角度を適宜に変化させることができるアングルブレードを備えたものが知られている。そして、油圧ショベルにアングルブレードを搭載する場合には、アングルブレードの角度を変化させる油圧シリンダ(アングルシリンダ)に対し、圧油の給排を制御するための制御弁を新たに追加する必要がある。
【0008】
しかし、小型油圧ショベルにおいては、上述の如く旋回フレームの面積が小さく設定されているため、この旋回フレームの底板上に新たな制御弁を取付けた場合には、この新たな制御弁との干渉を回避しつつ旋回フレームの底板上に複数本の油圧ホースを配策しなければならず、これら各油圧ホースの取回し作業が困難であるという問題がある。
【0009】
これに対し、新たに追加される制御弁を、ブラケットを介して旋回フレームの底板から上方に離間した位置に配設することが考えられる。しかし、制御弁は重量物であるため、この制御弁を支持するブラケットは、油圧ショベルの走行時、作業時の振動に耐えるだけ強度を有する必要がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、旋回フレーム上の機器収容スペース内に油圧機器を安定して配置することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され旋回フレームにエンジン、油圧機器を含む搭載機器が取付けられた上部旋回体とからなり、前記上部旋回体の旋回フレームは、前記下部走行体上に旋回輪を介して取付けられる底板と、該底板上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左,右の縦板とを有する構成としてなる建設機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記旋回フレームには少なくとも1個の油圧機器を取付ける取付ブラケットを設け、該取付ブラケットは、前記底板に締結具を用いて取付けられるベース部と、前記縦板と対面しつつ該ベース部から上方に立上がり前記油圧機器が取付けられる立上り板部とにより構成し、前記取付ブラケットの立上り板部の上端側には、一端部が前記底板に当接すると共に他端部が前記縦板または底板に当接することにより前記立上り板部を補強する補強腕を固着して設けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記取付ブラケットの立上り板部は、前記旋回フレームの底板上に前,後方向に延びるように取付け、前記補強腕は、前記立上り板部の上端側に左,右方向に延びるように固着し、かつ前記立上り板部には、前記底板との間に隙間をもたせた状態で前記油圧機器を取付ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記取付ブラケットのベース部を前記底板に取付けたときに、前記補強腕の一端側は弾性変形した状態でその一端部を前記底板に当接し、前記補強腕の他端側は弾性変形した状態でその他端部を前記縦板または底板に当接する構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記補強腕は、前記立上り板部に沿って上,下方向に延びる縦腕部と、該縦腕部の上端側から左,右方向に折曲げられ途中部位が前記立上り板部の上端側に固着された横腕部とによりL字型の板体として構成し、前記縦腕部の下端部を前記底板に当接させ、前記横腕部の先端部を前記縦板に当接させる構成としたことにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記ベース部にはボルトが挿通されるボルト挿通孔を設け、前記底板には前記ボルトが螺合するボルト孔を設ける構成とし、前記補強腕の縦腕部は、その下端部が前記取付ブラケットのベース部の下面よりも僅かに下方に突出する長さ寸法に設定し、前記ベース部に設けたボルト挿通孔の孔中心から前記補強腕の横腕部の先端部までの左,右方向の長さ寸法は、前記底板に設けたボルト孔の孔中心から前記縦板までの左,右方向の長さ寸法よりも僅かに大きく設定したことにある。
【0017】
請求項6の発明は、前記補強腕は、前記立上り板部に沿って上,下方向に延びる左,右一対の縦腕部と該左,右の縦腕部の上端側を連結し途中部位が前記立上り板部の上端側に固着された横腕部とにより逆U字型の板体として構成し、前記左,右の縦腕部の下端部をそれぞれ前記底板に当接させる構成としたことにある。
【0018】
請求項7の発明は、前記補強腕の左,右の縦腕部は、その下端部が前記取付ブラケットのベース部の下面よりも僅かに下方に突出する長さ寸法に設定したことにある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、取付ブラケットのベース部を締結具を用いて旋回フレームの底板に取付けた状態で、旋回フレームの底板から上方に立上る立上り板部に油圧機器を取付けることにより、底板上方のスペースを有効に利用して油圧機器を立体的に配置することができる。このため、例えば他の油圧機器に接続される複数本の油圧ホースを底板上に配策する場合に、これら各油圧ホースを、取付ブラケットに取付けた油圧機器を避けるために複雑に取回す必要がなく、底板上に油圧ホースを配策するときの作業性を高めることができる。
【0020】
この場合、取付ブラケットを構成する立上り板部の上端側に固着された補強腕の一端部が旋回フレームの底板に当接し、他端部が縦板または底板に当接することにより、補強腕は旋回フレームの底板、縦板等を利用して取付ブラケットを支持する。このように、重量物である油圧機器が取付けられた取付ブラケットを補強腕によって補強することにより、取付ブラケットは、油圧ショベルが発生する振動に対して充分な強度を得ることができる。従って、旋回フレームの底板上方に、取付ブラケットを介して油圧機器を安定して配置することができる。
【0021】
しかも、補強腕の一端部は底板に当接し、他端部は縦板または底板に当接するだけであるため、予め取付ブラケットの立上り板部に油圧機器を組付けた組立体(サブアッセンブリ体)を形成し、取付ブラケットのベース部を締結具を用いて底板に取付けることにより、取付ブラケットを介して油圧機器を旋回フレームに容易に取付けることができ、旋回フレームに油圧機器を取付けるときの作業性を高めることができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、取付ブラケットは、前,後方向の荷重、振動に対して充分な強度を有するものの、左,右方向の荷重、振動に対する強度が小さい。これに対し、取付ブラケットを構成する立上り板部の上端側に左,右方向に延びる補強腕を固着することにより、補強腕が底板、縦板等に当接してつっかえ棒の役目を果たすので立上り板部の左,右方向への変形を抑えることができ、取付ブラケットは、前,後方向および左,右方向の荷重、振動とに対して充分な強度を得ることができる。
【0023】
また、取付ブラケットの立上り板部に、底板との間に隙間をもたせた状態で油圧機器を取付けることにより、この隙間を利用して他の油圧機器に接続される油圧ホース等を配置することができる。従って、旋回フレームの底板の上方には取付ブラケットを介して油圧機器を配置し、この油圧機器と底板との間に形成された隙間には油圧ホース類を配置することにより、旋回フレームの底板上を立体的に活用することができ、旋回フレーム上の狭隘な機器収容スペース内に効率良く機器類を配置することができる。
【0024】
さらに、取付ブラケットに固着した補強腕によって取付ブラケットの強度を確保することにより、取付ブラケットを小型化することができ、旋回フレーム上の機器収容スペースを有効に利用することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、旋回フレームの底板に取付ブラケットのベース部を取付けたときに、補強腕の一端側が弾性変形することにより、補強腕の一端部を底板に強固に当接させることができる。一方、補強腕の他端側が弾性変形することにより、補強腕の他端部を縦板または底板に強固に当接させることができる。これにより、補強腕によって補強された取付ブラケットの強度を一層高めることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、L字型の板体として構成した補強腕のうち縦腕部の下端部が旋回フレームの底板に当接し、横腕部の先端部が旋回フレームの縦板に当接することにより、旋回フレームの底板、縦板、補強腕の縦腕部、横腕部によって強固な四角形の枠状体を構成することができ、この枠状体によって取付ブラケットを補強することにより、取付ブラケットの強度を高めることができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、取付ブラケットのベース部をボルトを用いて底板に締結したときに、補強腕を構成する縦腕部の下端部が底板に当接することにより、補強腕の縦腕部は立上り板部の上端側と底板との間で弾性変形する。一方、取付ブラケットのベース部をボルトを用いて底板に締結したときに、補強腕を構成する横腕部の先端部が縦板に当接することにより、補強腕の横腕部は立上り板部の上端側と縦板との間で弾性変形する。この結果、補強腕を適度な弾性を保った状態で旋回フレームの底板と縦板とに当接させることができ、該補強腕によって補強された取付ブラケット全体の強度を一層高めることができる。
【0028】
請求項6の発明によれば、逆U字型の板体として構成した補強腕のうち、左,右の縦腕部の下端部がそれぞれ旋回フレームの底板に当接することにより、旋回フレームの底板、補強腕の左,右の縦腕部、横腕部によって強固な四角形の枠状体を構成することができ、この枠状体によって取付ブラケットを補強することにより、取付ブラケットの強度を高めることができる。
【0029】
請求項7の発明によれば、取付ブラケットのベース部をボルトを用いて底板に締結したときに、補強腕を構成する左,右の縦腕部がそれぞれ底板に当接することにより、これら左,右の縦腕部は立上り板部の上端側と底板との間で弾性変形する。この結果、補強腕を適度な弾性を保った状態で旋回フレームの底板に当接させることができ、該補強腕によって補強された取付ブラケット全体の強度を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態が適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを作業装置を取外した状態で上方からみた平面図である。
【図3】旋回フレームを単体で示す平面図である。
【図4】旋回フレームに取付ブラケットを介してアングルシリンダ用制御弁を取付けた状態を示す斜視図である。
【図5】アングルシリンダ、アングルシリンダ用制御弁等を含む油圧回路図である。
【図6】取付ブラケット、アングルシリンダ用制御弁等を示す分解斜視図である。
【図7】取付ブラケット、補強腕、アングルシリンダ用制御弁等を図4中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。
【図8】取付ブラケットを旋回フレームから取外した状態を示す図6と同様位置の断面図である。
【図9】第2の実施の形態による補強腕を示す図6と同様な分解斜視図である。
【図10】第2の実施の形態による補強腕、取付ブラケット、アングルシリンダ用制御弁等を示す図7と同様位置の断面図である。
【図11】取付ブラケットを旋回フレームから取外した状態を示す図8と同様位置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、キャノピ式の小型油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。なお、本実施の形態では、取付ブラケットに取付ける油圧機器として、排土装置を構成するブレードのアングルを変化させるアングルシリンダ用制御弁を例に挙げて説明する。
【0033】
図中、1は建設機械の代表例としての小型な油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、左,右のクローラ(履帯)2Aを有する自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前部側に設けられたスイング式の作業装置5とにより大略構成され、作業装置5によって土砂の掘削作業等を行うものである。なお、図1に示される油圧ショベル1は、例えば車体重量が3〜7トン程度であり、通常、ミニショベルと呼ばれるものである。
【0034】
ここで、上部旋回体4は、図2に示すように、下部走行体2の車幅(左,右のクローラ2Aの間隔)よりも僅かに小さい左,右方向の幅寸法を有し、上方からみてほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回動作を行ったときに、後述するカウンタウエイト6の後面がほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0035】
そして、上部旋回体4は、ベースとなる後述の旋回フレーム13と、該旋回フレーム13の後端側に配設され作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、該カウンタウエイト6の前側に位置して左,右方向に延びる横置き状態に配設されたエンジン7と、該エンジン7によって駆動される油圧ポンプ8と、旋回フレーム13の前部左側に配設された運転席9と、該運転席9を上方から覆うキャノピ10と、運転席9を取囲むようにカウンタウエイト6の前側に配置されエンジン7、油圧ポンプ8等の搭載機器を覆う外装カバー11とにより大略構成されている。
【0036】
また、運転席9の周囲には、左,右の走行用レバー・ペダル12A、左,右の作業用操作レバー12B、排土操作レバー12C等が配置されている。そして、運転席9に着席したオペレータは、走行用レバー・ペダル12Aを操作することにより下部走行体2の走行を制御し、作業用操作レバー12Bを操作することにより上部旋回体4の旋回動作と作業装置5の動作とを制御し、排土操作レバー12Cを操作することにより後述するアングルブレード27の昇降動作を制御する構成となっている。
【0037】
次に、13は上部旋回体4のベースとなる旋回フレームを示している。この旋回フレーム13は、図3および図4に示すように、後述のセンタフレーム14と、左,右のサイドフレーム22,23とにより大略構成され、強固な支持構造体をなすものである。
【0038】
14は旋回フレーム13の中央部分を構成するセンタフレームで、該センタフレーム14は、図4に示すように、厚肉な鋼板等を用いて前,後方向に延びる平板状に形成され、旋回輪3を介して下部走行体2上に取付けられる底板15と、該底板15の上面側に立設され、左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板16、右縦板17と、底板15上に立設され左,右の縦板16,17の途中部位を横切るように左,右方向に延びた横板18とにより大略構成されている。
【0039】
そして、左,右の縦板16,17の前部側は横板18から前方に向けて「ハ」の字状に延び、左,右の縦板16,17の前端側には、スイング式の作業装置5を支持する円筒状のスイングブラケット19が設けられている。一方、左,右の縦板16,17の後端側は横板18から後方に向けてほぼ平行に延び、これら左,右の縦板16,17の後端側には、図2に示すエンジン7が横置き状態で搭載される構成となっている。
【0040】
また、センタフレーム14の中央部にはセンタジョイント20が配設され、センタフレーム14のうち左縦板16と横板18とが交わる角隅部には、上部旋回体4を旋回させる旋回装置21が配設されている。さらに、センタフレーム14の底板15と右縦板17とが交わる部位には、左縦板16と右縦板17との間でかつ横板18よりも前側に位置して、後述の取付ブラケット41が着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0041】
22はセンタフレーム14の左側に配設された左サイドフレームで、該左サイドフレーム22は、例えば角筒状のパイプ材を用いて形成され、円弧状に湾曲しつつ前,後方向に延びる左曲げ枠部22Aと、該左曲げ枠部22Aの前端側から左縦板16に向けて左,右方向に延びる左前枠部22Bとにより構成されている。そして、左サイドフレーム22は、左,右方向に延びる複数の左横梁22Cを介してセンタフレーム14の左端側に接合されている。
【0042】
23はセンタフレーム14の右側に配設された右サイドフレームで、該右サイドフレーム23も角筒状のパイプ材を用いて形成され、円弧状に湾曲しつつ前,後方向に延びる右曲げ枠部23Aと、該右曲げ枠部23Aの前端側から右縦板17に向けて左,右方向に延びる右前枠部23Bとにより構成されている。そして、右サイドフレーム23は、左,右方向に延びる複数の右横梁23Cを介してセンタフレーム14の右端側に接合されている。
【0043】
24は下部走行体2に設けられた排土装置を示し、該排土装置24は、作業装置5によって掘削した土砂等を、下部走行体2の走行動作を利用して排土するものである。そして、排土装置24は、運転席9の近傍に配置された排土操作レバー12Cの操作に応じて作動する構成となっている。
【0044】
ここで、排土装置24は、図1および図2に示すように、基端側が二股状に分岐して下部走行体2のトラックフレームに上,下方向に回動可能に連結され、先端側が下部走行体2から前方に突出した昇降アーム25と、下部走行体2のトラックフレームと昇降アーム25との間に設けられ昇降アーム25を昇降させる昇降シリンダ26と、左,右方向に延びる板体からなり、昇降アーム25の先端部に連結ピン27Aを介して左,右方向(図2中の矢示L,R方向)に回転可能に連結されたアングルブレード(排土板)27と、昇降アーム25とアングルブレード27との間に設けられ、アングルブレード27を連結ピン27Aを中心として左,右方向に回転させるアングルシリンダ28とにより大略構成されている。
【0045】
なお、昇降シリンダ26とアングルシリンダ28のロッド部は、排土作業によって土砂が降りかかるのを防止するためにロッドカバーによって覆われているが、このロッドカバーは図示が省略されている。
【0046】
次に、排土装置24を構成するアングルシリンダ28の動作を制御するための油圧回路について、図5を参照して説明する。
【0047】
図5において、8はタンク29と共に油圧源を構成する油圧ポンプで、該油圧ポンプ8は、油圧ショベル1のエンジン7によって回転駆動されることにより、タンク29内の作動油を高圧の圧油として吐出するものである。そして、油圧ポンプ8とタンク29とは、油圧源側主管路30A,30B、アクチュエータ側主管路31A,31B、および後述のアングルシリンダ用制御弁32を通じてアングルシリンダ28のロッド側油室28A,ボトム側油室28Bにそれぞれ接続されている。
【0048】
32はアングルシリンダ28に対する圧油の給排を制御する油圧機器としてのアングルシリンダ用制御弁で、該アングルシリンダ用制御弁32は、図4および図6に示すように、内部に油通路が形成された単一の弁ブロック33と、該弁ブロック33に取付けられたアングル左回転制御弁34、アングル右回転制御弁35とからなる2連制御弁として構成されている。
【0049】
ここで、アングル左回転制御弁34は、油圧ポンプ8及びタンク29とアングルシリンダ28との間に配置され、油圧源側主管路30A,30Bとアクチュエータ側主管路31Aとに接続されている。そして、アングル左回転制御弁34は、アングルシリンダ28のロッド側油室28Aに給排される圧油の方向を制御するもので、電磁パイロット部34Aを有する3ポート2位置の電磁弁からなっている。
【0050】
一方、アングル右回転制御弁35は、油圧ポンプ8及びタンク29とアングルシリンダ28との間に配置され、油圧源側主管路30A,30Bとアクチュエータ側主管路31Bとに接続されている。そして、アングル右回転制御弁35は、アングルシリンダ28のボトム側油室28Bに給排される圧油の方向を制御するもので、電磁パイロット部35Aを有する3ポート2位置の電磁弁からなっている。
【0051】
36はアングル左回転制御弁34の電磁パイロット部34Aに接続されたアングル左回転スイッチを示し、37はアングル右回転制御弁35の電磁パイロット部35Aに接続されたアングル右回転スイッチを示している。そして、これらアングル左回転スイッチ36とアングル右回転スイッチ37とは、例えば図1に示す排土操作レバー12Cに付設され、オペレータによって開,閉操作されるものである。
【0052】
そして、アングル左回転スイッチ36を閉成したときには、電源(バッテリ)38からアングル左回転制御弁34の電磁パイロット部34Aに対する給電が行われ、アングル左回転制御弁34は弁位置(a)から弁位置(b)に切換えられる。これにより、油圧ポンプ8から吐出した圧油が、油圧源側主管路30A、アクチュエータ側主管路31Aを通じてアングルシリンダ28のロッド側油室28A内に供給されると共に、ボトム側油室28B内の圧油が、アクチュエータ側主管路31B、油圧源側主管路30Bを通じてタンク29に戻され、アングルブレード27は、連結ピン27Aを中心として左方向(図5中の矢示L方向)に回転する構成となっている。
【0053】
一方、アングル右回転スイッチ37を閉成したときには、電源(バッテリ)38からアングル右回転制御弁35の電磁パイロット部35Aに対する給電が行われ、アングル右回転制御弁35は弁位置(c)から弁位置(d)に切換えられる。これにより、油圧ポンプ8から吐出した圧油が、油圧源側主管路30A、アクチュエータ側主管路31Bを通じてアングルシリンダ28のボトム側油室28B内に供給されると共に、ロッド側油室28A内の圧油が、アクチュエータ側主管路31A、油圧源側主管路30Bを通じてタンク29に戻され、アングルブレード27は、連結ピン27Aを中心として右方向(図5中の矢示R方向)に回転する構成となっている。
【0054】
そして、アングル左回転制御弁34とアングル右回転制御弁35との2連制御弁からなるアングルシリンダ用制御弁32は、後述する取付ブラケット41に取付けられることにより、図4に示すように、旋回フレーム13を構成するセンタフレーム14の底板15と右縦板17とが交わる部位に配設される構成となっている。
【0055】
次に、41は本実施の形態に用いられる取付ブラケットを示し、該取付ブラケット41は、旋回フレーム13の底板15と右縦板17とが交わる部位に着脱可能に取付けられ、油圧機器としてのアングルシリンダ用制御弁32が取付けられるものである。そして、取付ブラケット41は、図6ないし図8に示すように、鋼板等をL字型に折曲げることにより形成され、旋回フレーム13(センタフレーム14)の底板15に取付けられるベース部42と、該ベース部42から鉛直上向きに立上がり右縦板17と左,右方向で対面する立上り板部43とにより大略構成されている。
【0056】
ここで、ベース部42は、前後方向に延びる長方形状をなし、前,後方向に離間して2個のボルト挿通孔42Aが穿設されている。そして、各ボルト挿通孔42Aに上方から締結部材としてのボルト44を挿通し、該各ボルト44を、底板15に螺設したボルト孔(雌ねじ孔)15Aに螺合することにより、底板15上に取付ブラケット41が着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0057】
一方、立上り板部43は、右縦板17と左,右方向で対面すると共に、右縦板17に沿って底板15上を前,後方向に延びている。また、立上り板部43の上,下方向の中間部から上部側には、前,後方向に離間して2個のボルト挿通孔43Aが穿設され、これら各ボルト挿通孔43Aに挿通したボルト45を、アングルシリンダ用制御弁32の弁ブロック33に螺設したボルト孔(雌ねじ孔)33Aに螺合することにより、取付ブラケット41にアングルシリンダ用制御弁32が着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0058】
ここで、図7に示すように、立上り板部43にアングルシリンダ用制御弁32を取付けた状態で、アングルシリンダ用制御弁32の弁ブロック33と底板15との間には隙間46が形成され、底板15上に配置された複数本の油圧ホース47を、隙間46を通じて前,後方向に延ばすことができる構成となっている。
【0059】
一方、取付ブラケット41のベース部42と立上り板部43とは、底板15上に前,後方向に延びた状態で取付けられるので、前,後方向の荷重、振動に対して充分な強度を有しているのに比較して、左,右方向(板厚方向)の荷重、振動に対する強度が小さい。このため、立上り板部43の上端部43Bには、後述の補強腕48が固着され、この補強腕48によって取付ブラケット41の左,右方向の荷重、振動に対する強度を高める構成となっている。
【0060】
48は取付ブラケット41を構成する立上り板部43の上端部43Bに固着して設けられた補強腕を示し、該補強腕48は、取付ブラケット41の左,右方向の荷重、振動に対する強度を高めるものである。ここで、補強腕48は、取付ブラケット41よりも厚肉な帯鋼を折曲げることにより、立上り板部43に沿って上,下方向に延びる縦腕部49と、該縦腕部49の上端側から左,右方向に折曲げられた横腕部50とからなる、全体としてL字型の板体として構成されている。
【0061】
そして、横腕部50の途中部位を、立上り板部43の上端部に溶接手段を用いて固着することにより、補強腕48は取付ブラケット41に一体化され、取付ブラケット41のベース部42をボルト44を用いて底板15に取付けた状態で、補強腕48の一端部となる縦腕部49の下端部49Aが底板15に当接し、補強腕48の他端部となる横腕部50の先端部50Aが右縦板17に当接する構成となっている。
【0062】
この場合、図8に示すように、横腕部50の下面50B(即ち、立上り板部43の上端部43B)から縦腕部49の下端部49Aまでの上,下方向の長さ寸法A1は、立上り板部43の上端部43Bからベース部42の下面42Bまでの上,下方向の長さ寸法A2よりも僅かに大きく設定されている(A1>A2)。このように、補強腕48の縦腕部50は、その先端部50Aが取付ブラケット41のベース部42の下面42Bよりも僅かに下方に突出する長さ寸法に設定されている。
【0063】
一方、取付ブラケット41のベース部42に設けたボルト挿通孔42Aの孔中心から横腕部50の先端部50Aまでの左,右方向の長さ寸法B1は、底板15に設けたボルト孔15Aの孔中心から右縦板17までの左,右方向の長さ寸法B2よりも僅かに大きく設定されている(B1>B2)。
【0064】
従って、取付ブラケット41のベース部42を、ボルト44を用いて底板15に締結したときに、補強腕48を構成する縦腕部49は、その下端部49Aが底板15に当接することにより、取付ブラケット41の立上り板部43の上端部43Bと底板15との間で弾性変形し、横腕部50は、その先端部50Aが右縦板17に当接することにより、立上り板部43の上端部43Bと右縦板17との間で弾性変形する。
【0065】
このように、取付ブラケット41をボルト44を用いて底板15に取付けたときには、補強腕48の縦腕部49と横腕部50とが、それぞれ適度な弾性を保った状態で旋回フレーム13の底板15と右縦板17とに当接することにより、これら底板15、右縦板17、補強腕48の縦腕部49、横腕部50によって強固な四角形の枠状体を構成することができ、この枠状体によって取付ブラケット41を補強することにより、左,右方向の荷重、振動に対する取付ブラケット41の強度を高めることができる構成となっている。
【0066】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて土砂の掘削作業等を行うときには、まず、エンジン7を作動させて油圧ポンプ8を駆動する。この状態で、運転席9に着席したオペレータが、走行用レバー・ペダル12Aを操作することにより、下部走行体2を自走させて油圧ショベル1を作業現場まで移動させる。
【0067】
そして、油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが作業用操作レバー12Bを操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5によって土砂等の掘削作業を行うことができる。また、オペレータが走行用レバー・ペダル12Aと排土操作レバー12Cとを操作することにより、下部走行体2を自走させつつアングルブレード27によって土砂を排土することができる。
【0068】
このとき、オペレータが、排土操作レバー12Cに付設されたアングル左回転スイッチ36,アングル右回転スイッチ37を適宜に操作することにより、アングルシリンダ用制御弁32がアングルシリンダ28に対する圧油の給排を制御し、アングルブレード27は、昇降アーム25との連結ピン27Aを中心として、図2中の矢示L方向または矢示R方向に回転する。
【0069】
このように、本実施の形態においては、排土装置24のブレードとしてアングルブレード27を搭載しているため、油圧ショベル1に搭載される標準的な油圧機器に追加して、アングルシリンダ28に対する圧油の給排を制御するアングルシリンダ用制御弁32を設けている。
【0070】
そして、本実施の形態による油圧ショベル1は、追加されたアングルシリンダ用制御弁32を旋回フレーム13上の狭隘な機器収容スペース内に配置するため、旋回フレーム13を構成する底板15と右縦板17とが交わる部位に、アングルシリンダ用制御弁32を組付けた取付ブラケット41を取付けるようになっており、以下、取付ブラケット41を介して旋回フレーム13の機器収容スペース内にアングルシリンダ用制御弁32を配置する作業について説明する。
【0071】
まず、図6に示すように、取付ブラケット41の立上り板部43に穿設したボルト挿通孔43Aにボルト45を挿通し、このボルト45を、アングルシリンダ用制御弁32の弁ブロック33に螺設したボルト孔33Aに螺合する。これにより、取付ブラケット41にアングルシリンダ用制御弁32を組付けたサブアッセンブリ体を形成することができる。
【0072】
このようにして、取付ブラケット41の立上り板部43に予めアングルシリンダ用制御弁32を組付けた状態で、取付ブラケット41のベース部42に穿設したボルト挿通孔42Aにボルト44を上方から挿通し、このボルト44を、旋回フレーム13の底板15に螺設したボルト孔15Aに上方から螺合する。これにより、取付ブラケット41は、立上り板部43が前,後方向に延びた状態で底板15上に取付けられ、このとき、立上り板部43の上端部43Bに固着された補強腕48のうち、縦腕部49の下端部49Aが底板15に当接し、横腕部50の先端部50Aが右縦板17に当接する(図7参照)。
【0073】
この場合、図8に示すように、横腕部50の下面50Bから縦腕部49の下端部49Aまでの長さ寸法A1は、立上り板部43の上端部43Bからベース部42の下面42Bまでの長さ寸法A2よりも僅かに大きく設定されている(A1>A2)。また、ベース部42に設けたボルト挿通孔42Aの孔中心から横腕部50の先端部50Aまでの長さ寸法B1は、底板15に設けたボルト孔15Aの孔中心から右縦板17までの長さ寸法B2よりも僅かに大きく設定されている(B1>B2)。
【0074】
従って、縦腕部49は、取付ブラケット41のベース部42の下面42Bから下方に突出した下端部49Aが、底板15に当接することにより、取付ブラケット41の立上り板部43の上端部43Bと底板15との間で弾性変形し、横腕部50は、その先端部50Aが右縦板17に当接することにより、立上り板部43の上端部43Bと右縦板17との間で弾性変形する。このため、取付ブラケット41をボルト44を用いて底板15に取付けたときには、補強腕48の縦腕部49と横腕部50とが、それぞれ適度な弾性を保った状態で旋回フレーム13の底板15と右縦板17とに当接することにより、これら底板15、右縦板17、補強腕48の縦腕部49、横腕部50によって強固な四角形の枠状体を構成し、左,右方向の荷重、振動に対する取付ブラケット41の強度を高めることができる。
【0075】
このように、取付ブラケット41は、立上り板部43が前,後方向に延びた状態で底板15上に取付けられることにより、前,後方向の荷重、振動に対して充分な強度を保つことができ、かつ、立上り板部43の上端部43Bに固着した補強腕48によって左,右方向(立上り板部43の板厚方向)の荷重、振動に対して充分な強度を保つことができる。この結果、底板15の上方に、取付ブラケット41を介して重量物であるアングルシリンダ用制御弁32を安定して配置することができる。
【0076】
しかも、縦腕部49と横腕部50とからL字型の板体として形成した補強腕48を取付ブラケット41に固着することにより、取付ブラケット41の強度を確保することができるので、取付ブラケット41を小型化することができ、旋回フレーム13上の機器収容スペースを有効に利用することができる。
【0077】
かくして、図7に示すように、底板15と右縦板17とが交わる部位に、アングルシリンダ用制御弁32を組付けた取付ブラケット41を取付けることにより、アングルシリンダ用制御弁32を、底板15から上方に離間した位置に配置することができる。これにより、底板15とアングルシリンダ用制御弁32との間には隙間46が形成されるので、底板15上に配置された複数本の油圧ホース47を、隙間46を通じて前,後方向に延ばすことができる。
【0078】
従って、複数本の油圧ホース47を底板15上に配策する場合に、これら各油圧ホース47を、アングルシリンダ用制御弁32を避けるために複雑に取回す必要がなく、底板15上に各油圧ホース47を配策するときの作業性を高めることができる。
【0079】
このように、旋回フレーム13の底板15と右縦板17とが交わる部位のうち、底板15の上方には取付ブラケット41を介してアングルシリンダ用制御弁32を配置し、このアングルシリンダ用制御弁32と底板15との間に形成された隙間46には、他の油圧機器に接続された複数本の油圧ホース47を配置することにより、底板15と右縦板17とが交わる部位を立体的に活用することができ、旋回フレーム13上の狭隘な機器収容スペース内にアングルシリンダ用制御弁32、複数本の油圧ホース47等を効率良く配置することができる。
【0080】
しかも、取付ブラケット41に固着される補強腕48は、縦腕部49の下端部49Aが底板15に当接し、横腕部50の先端部50Aが右縦板17に当接するだけであるため、予め取付ブラケット41の立上り板部43にアングルシリンダ用制御弁32を組付けたサブアッセンブリ体を形成し、取付ブラケット41のベース部42をボルト44を用いて上方から底板15に取付けることにより、取付ブラケット41を介してアングルシリンダ用制御弁32を旋回フレーム13に容易に取付けることができ、この取付作業の作業性を高めることができる。
【0081】
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、取付ブラケットに固着する補強腕を、左,右一対の縦腕部と横腕部とにより逆U字型の板体として形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0082】
図中、51は取付ブラケット41に固着して設けられる補強腕で、該補強腕51は、第1の実施の形態による補強腕48に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、補強腕51は、取付ブラケット41よりも厚肉な帯鋼を折曲げることにより、立上り板部43に沿って上,下方向に延び、左,右方向で対面する左,右一対の縦腕部52,53と、これら左縦腕部52の上端部と右縦腕部53の上端部との間を連結し左,右方向に延びる横腕部54とにより、全体として逆U字型の板体として構成されている。
【0083】
そして、横腕部54の途中部位を、立上り板部43の上端部に溶接手段を用いて固着することにより、補強腕51は取付ブラケット41に一体化され、図10に示すように、取付ブラケット41のベース部42をボルト44を用いて底板15に取付けた状態で、補強腕51の一端部となる左縦腕部52の下端部52Aと、補強腕51の他端部となる右縦腕部53の先端部53Aとの両方が、底板15に当接する構成となっている。
【0084】
この場合、図11に示すように、横腕部54の下面54A(即ち、立上り板部43の上端部43B)から左縦腕部52の下端部52Aまでの上,下方向の長さ寸法C1と、横腕部54の下面54Aから右縦腕部53の下端部53Aまでの上,下方向の長さ寸法C1とは、等しい長さ寸法に設定され、この長さ寸法C1は、立上り板部43の上端部43Bからベース部42の下面42Bまでの上,下方向の長さ寸法C2よりも僅かに大きく設定されている(C1>C2)。このように、補強腕51の左,右の縦腕部52,53は、それぞれの下端部52A,53Aが、取付ブラケット41のベース部42の下面42Bよりも僅かに下方に突出する長さ寸法に設定されている。
【0085】
従って、取付ブラケット41のベース部42を、ボルト44を用いて底板15に締結したときに、補強腕51を構成する左,右の縦腕部52,53は、その下端部52A,53Aが底板15に当接することにより、取付ブラケット41の立上り板部43の上端部43Bと底板15との間で弾性変形する。このように、取付ブラケット41をボルト44を用いて底板15に取付けたときには、補強腕51の左,右の縦腕部52,53が、それぞれ適度な弾性を保った状態で旋回フレーム13の底板15に当接することにより、これら底板15、補強腕51の各縦腕部52,53、横腕部54によって強固な四角形の枠状体を構成することができ、この枠状体によって取付ブラケット41を補強することにより、左,右方向の荷重、振動に対する取付ブラケット41の強度を高めることができる構成となっている。
【0086】
本実施の形態は、取付ブラケット41に上述の如き補強腕51を固着したもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0087】
然るに、本実施の形態によれば、補強腕51を左,右の縦腕部52,53と横腕部54とにより逆U字型に形成し、左,右の縦腕部52,53の下端部52A,53Aを両方とも底板15に当接させることにより、左,右方向の荷重、振動に対する取付ブラケット41の強度を高めることができる。従って、旋回フレーム13のうち底板15と左縦板16または右縦板17とが交わる部位だけでなく、底板15上の任意の位置に、補強腕51によって補強された取付ブラケット41を取付けることができ、アングルシリンダ用制御弁32の配設場所を適宜に設定することができる。
【0088】
なお、上述した第1の実施の形態では、旋回フレーム13の底板15と右縦板17とが交わる部位に取付ブラケット41を取付け、補強腕48の縦腕部49の下端部49Aを底板15に当接させると共に、横腕部50の先端部50Aを右縦板17に当接させた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば底板15と左縦板16とが交わる部位に取付ブラケット41を取付け、縦腕部49の下端部49Aを底板15に当接させると共に、横腕部50の先端部50Aを左縦板16に当接させる構成としてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態では、取付ブラケット41に取付ける油圧機器としてアングルシリンダ用制御弁32を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば排土装置のブレードをチルトさせるためのチルトシリンダ用制御弁を取付ブラケット41に取付ける構成としてもよい。さらに、岩石等を砕くブレーカ(削岩機)を制御するためのブレーカ用制御弁、地固め用の加振機(タンパ)を制御するための加振機用制御弁等の付加的に油圧ショベルに搭載される各種の制御弁を、取付ブラケット41に取付ける構成としてもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態では、運転席9を上方から覆うキャノピ10を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばキャノピ10に代えて、運転席9を取囲んで運転室を画成するキャブを備えた油圧ショベルに適用してもよい。
【0091】
さらに、上述した実施の形態では、建設機械として油圧ショベル1を例示しているが、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0092】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 旋回輪
4 上部旋回体
7 エンジン
13 旋回フレーム
15 底板
15A ボルト孔
16 左縦板
17 右縦板
28 アングルシリンダ
32 アングルシリンダ用制御弁(油圧機器)
33 弁ブロック
34 アングル左回転制御弁
35 アングル右回転制御弁
41 取付ブラケット
42 ベース部
42A ボルト挿通孔
42B 下面
43 立上り板部
43A ボルト挿通孔
43B 上端部
44,45 ボルト(締結具)
46 隙間
48,51 補強腕
49 縦腕部
49A 下端部(一端部)
50,54 横腕部
50A 先端部(他端部)
52 左縦腕部
52A 下端部(一端部)
53 右縦腕部
53A 下端部(他端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され旋回フレームにエンジン、油圧機器を含む搭載機器が取付けられた上部旋回体とからなり、
前記上部旋回体の旋回フレームは、前記下部走行体上に旋回輪を介して取付けられる底板と、該底板上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左,右の縦板とを有する構成としてなる建設機械において、
前記旋回フレームには少なくとも1個の油圧機器を取付ける取付ブラケットを設け、
該取付ブラケットは、前記底板に締結具を用いて取付けられるベース部と、前記縦板と対面しつつ該ベース部から上方に立上がり前記油圧機器が取付けられる立上り板部とにより構成し、
前記取付ブラケットの立上り板部の上端側には、一端部が前記底板に当接すると共に他端部が前記縦板または底板に当接することにより前記立上り板部を補強する補強腕を固着して設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記取付ブラケットの立上り板部は、前記旋回フレームの底板上に前,後方向に延びるように取付け、前記補強腕は、前記立上り板部の上端側に左,右方向に延びるように固着し、かつ前記立上り板部には、前記底板との間に隙間をもたせた状態で前記油圧機器を取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記取付ブラケットのベース部を前記底板に取付けたときに、前記補強腕の一端側は弾性変形した状態でその一端部を前記底板に当接し、前記補強腕の他端側は弾性変形した状態でその他端部を前記縦板または底板に当接する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記補強腕は、前記立上り板部に沿って上,下方向に延びる縦腕部と該縦腕部の上端側から左,右方向に折曲げられ途中部位が前記立上り板部の上端側に固着された横腕部とによりL字型の板体として構成し、前記縦腕部の下端部を前記底板に当接させ、前記横腕部の先端部を前記縦板に当接させる構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記ベース部にはボルトが挿通されるボルト挿通孔を設け、前記底板には前記ボルトが螺合するボルト孔を設ける構成とし、
前記補強腕の縦腕部は、その下端部が前記取付ブラケットのベース部の下面よりも僅かに下方に突出する長さ寸法に設定し、
前記ベース部に設けたボルト挿通孔の孔中心から前記補強腕の横腕部の先端部までの左,右方向の長さ寸法は、前記底板に設けたボルト孔の孔中心から前記縦板までの左,右方向の長さ寸法よりも僅かに大きく設定してなる請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記補強腕は、前記立上り板部に沿って上,下方向に延びる左,右一対の縦腕部と該左,右の縦腕部の上端側を連結し途中部位が前記立上り板部の上端側に固着された横腕部とにより逆U字型の板体として構成し、前記左,右の縦腕部の下端部をそれぞれ前記底板に当接させる構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項7】
前記補強腕の左,右の縦腕部は、その下端部が前記取付ブラケットのベース部の下面よりも僅かに下方に突出する長さ寸法に設定してなる請求項6に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−236286(P2010−236286A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86263(P2009−86263)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】