説明

建設機械

【課題】 制御弁支持板の軽量化と高剛性化を両立しつつ、制御弁支持板上に油圧ホースを配策するためのスペースを確保する。
【解決手段】 制御弁支持板22は、上側に突出する山形部22A,22B,22F,22Gと下側に窪んだ凹窪部22C,22D,22Eとを交互に配置してなる波形板を用いて形成し、制御弁群24を制御弁支持板22の山形部22A,22B,22Fに取付けている。これにより、制御弁支持板22は、立体的な波形状により薄板を用いた場合でも高い剛性を得ることができる。また、多連弁25を構成する各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aを、各凹窪部22C,22Eの位置に配置することにより、ホース接続部26A〜32Aの周囲に作業スペースを確保できる。さらに、各パイロットホース33は凹窪部22C,22E内に沿って延在させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種アクチュエータを制御する制御弁群を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、走行モータにより自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され油圧モータを駆動するエンジンを備えた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられアクチュエータにより俯仰動するフロント装置とにより大略構成されている。
【0003】
そして、上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームを有し、該旋回フレームには、制御弁支持板が設けられ、この制御弁支持板上には、下部走行体の走行モータとフロント装置のアクチュエータを含む各種アクチュエータを制御する制御弁群が設けられている。また、制御弁群は、例えば長さ方向の両端部にホース接続口が設けられた油圧パイロット式の制御弁を並列状態で複数個重ねて配置した多連弁、その他の制御弁等により構成されている。そして、制御弁群を構成する各制御弁のホース接続口には、パイロット用の油圧ホースが接続され、これにより、レバー、ペダル等の操作によって各制御弁を操作する構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−262615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、複数個の制御弁を重ねて構成された多連弁等からなる制御弁群は、大きな重量となるから、この制御弁群を搭載する制御弁支持板は、強度をもった厚肉な板体を用いて形成しなくてはならない。また、制御弁群を構成する各制御弁のホース接続口には油圧ホースが接続されるから、この油圧ホースの接続作業を行ったり、接続した油圧ホースを配策するスペースを確保するためには、制御弁群を高い位置に配置する必要があり、制御弁支持板を溶接手段を用いて台座状に組立てている。従って、制御弁支持板の重量が嵩んだり、制御弁支持板の組立作業に手間を要するという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、制御弁支持板の軽量化と高剛性化を両立しつつ、油圧ホースを配策するためのスペースを確保できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による建設機械は、走行モータにより自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され油圧ポンプを駆動する原動機を備えた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられアクチュエータにより俯仰動するフロント装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームと、該旋回フレームに設けられた制御弁支持板と、該制御弁支持板上に設けられ前記フロント装置のアクチュエータおよび前記下部走行体の走行モータを含む各種アクチュエータを制御する複数の制御弁からなる制御弁群と、該制御弁群の各制御弁毎にそれぞれ設けたホース接続部に接続される複数本の油圧ホースとを備えている。
【0008】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記制御弁支持板は、上側に突出する山形部と下側に窪んだ凹窪部とを交互に配置してなる波形板を用いて形成し、前記各制御弁は、前記制御弁支持板の山形部にそれぞれ取付け、前記各制御弁のホース接続部は、前記制御弁支持板の凹窪部の位置に配置し、前記各油圧ホースは、前記ホース接続部から前記凹窪部内に沿って延びるように配策する構成としたことにある。
【0009】
請求項2の発明は、前記旋回フレームは、前,後方向に延びる底板と、該底板上に前,後方向に延びて立設された左,右の縦板と、前記底板の外側を取囲んで円弧状に形成された左,右のサイドフレームと、前記底板の前側と左サイドフレームの前端とを接続する前フレームと、前記底板と前記左サイドフレームとを前,後方向の中間位置で接続する張出しビームとにより構成し、前記制御弁支持板は、前側部位を前記前フレームに取付け、後側部位を前記張出しビームに取付ける構成としたことにある。
【0010】
請求項3の発明は、前記旋回フレームのうち、前記左サイドフレーム、前フレームおよび張出しビームによって画成される部位には、オペレータが着座するキャノピ装置またはキャブ装置を設け、前記制御弁支持板は、該キャノピ装置またはキャブ装置の下側に配置する構成としたことにある。
【0011】
請求項4の発明は、前記制御弁群の制御弁には、電磁制御弁を含む構成とし、前記制御弁支持板には、凹窪部に沿って前記油圧ホースの他に前記電磁制御弁に接続される電気配線を配策する構成としたことにある。
【0012】
本発明の場合、前記制御弁群の制御弁には、前記走行モータによる走行速度を切換える走行速度切換弁を含む構成としてもよい。これにより、制御弁群の制御弁として、走行モータによる走行速度を切換える走行速度切換弁を制御弁支持板に取付けることができる。
【0013】
また、本発明の場合、前記各種アクチュエータには、前記フロント装置以外の予備のアクチュエータを有し、前記制御弁群の制御弁には、前記予備のアクチュエータの駆動を切換えるセレクタバルブを含む構成としてもよい。これにより、制御弁群の制御弁として、フロント装置以外の予備のアクチュエータの駆動を切換えるセレクタバルブを制御弁支持板に取付けることができる。
【0014】
さらに、本発明の場合、前記制御弁支持板の山形部には、前記制御弁群以外に前記原動機の回転数を制御するための回転数制御用アクチュエータを設ける構成としてもよい。これにより、制御弁支持板の山形部には、原動機の回転数を制御するための回転数制御用アクチュエータを取付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、制御弁支持板は、上側に突出する山形部と下側に窪んだ凹窪部とを交互に配置してなる波形板を用いて形成し、制御弁群の各制御弁は、前記制御弁支持板の山形部にそれぞれ取付ける。この上で、各制御弁のホース接続部は、前記制御弁支持板の凹窪部の位置に配置し、各油圧ホースは、前記ホース接続部から前記凹窪部内に沿って延在させている。
【0016】
従って、制御弁支持板は、山形部と凹窪部とからなる立体的な波形板を用いて形成することにより、板厚を厚くすることなく高い剛性を得ることができる。また、制御弁群の各制御弁は、制御弁支持板の山形部に取付けるときに、そのホース接続部を制御弁支持板の凹窪部の位置に配置しているから、ホース接続部と凹窪部との間に作業スペースを確保することができる。さらに、ホース接続部に接続した各油圧ホースは、凹窪部内の空間を利用して配策することができる。
【0017】
この結果、制御弁支持板は、薄板を用いて高強度に形成することができ、軽量化と高剛性化とを両立することができる。しかも、制御弁支持板の波形状を利用してホース接続部と凹窪部との間には、作業スペースを確保できるから、ホース接続部に対する油圧ホースの接続作業、例えばスパナ等を用いたねじ締め作業等を容易に行うことができ、組立作業性を向上することができる。また、ホース接続部に接続した各油圧ホースは、凹窪部内に沿って延びるように配策できるから、例えば小型の建設機械でも各油圧ホースを整然と並べることができ、配管作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、旋回フレームを、前,後方向に延びる底板と、該底板上に前,後方向に延びて立設された左,右の縦板と、前記底板の外側を取囲んで円弧状に形成された左,右のサイドフレームと、前記底板の前側と左サイドフレームの前端とを接続する前フレームと、前記底板と前記左サイドフレームとを前,後方向の中間位置で接続する張出しビームとにより構成しているから、制御弁支持板は、その前側部位を前記前フレームに取付け、その後側部位を前記張出しビームに取付けることにより、旋回フレーム上に簡単に取付けることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、旋回フレームのうち、左サイドフレーム、前フレームおよび張出しビームによって画成される部位には、オペレータが着座するキャノピ装置またはキャブ装置を設け、制御弁支持板は、該キャノピ装置またはキャブ装置の下側に配置する構成としている。従って、デッドスペースとなり易いキャノピ装置またはキャブ装置の下側の空間を利用して制御弁支持板および制御弁群を効率よく配設することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、制御弁群の制御弁として電磁制御弁を含んだ場合には、この電磁制御弁に接続される電気配線を制御弁支持板の凹窪部に沿って延在させることができ、凹窪部内のスペースを有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】フロント装置を省略した油圧ショベルを拡大して示す平面図である。
【図3】制御弁群等を搭載した制御弁支持板が取付けられた旋回フレームを拡大して示す平面図である。
【図4】制御弁支持板が取付けられた旋回フレームを示す平面図である。
【図5】制御弁支持板が取付けられた旋回フレームを示す斜視図である。
【図6】制御弁群等を搭載した制御弁支持板を拡大して示す平面図である。
【図7】制御弁群等を搭載した制御弁支持板を拡大して示す斜視図である。
【図8】制御弁群等を搭載した制御弁支持板を図6中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】制御弁群と制御弁支持板と前フレーム、張出しビームの分解斜視図である。
【図10】制御弁支持板を単体で示す外観斜視図である。
【図11】油圧ショベルの油圧回路を示す回路図である。
【図12】本発明の第1の変形例による制御弁支持板を多連弁を搭載した状態で示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の変形例による小型の旋回フレームの前フレームと張出しビームとの間に制御弁支持板を取付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に適用される建設機械として、キャノピ仕様の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図11に従って詳細に説明する。
【0023】
図1において、1は本実施の形態に適用される建設機械としてのキャノピ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。そして、油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前,後方向の前側に設けられ土砂の掘削作業等を行うフロント装置5とにより大略構成されている。
【0024】
また、下部走行体2は、左,右のトラックサイドフレーム2Aを有している。それぞれのトラックサイドフレーム2Aには、前,後位置に遊動輪2B,駆動輪2C(いずれも左側のみ図示)が設けられ、該遊動輪2B,駆動輪2Cには履帯2Dが巻回されている。
【0025】
また、下部走行体2には、左,右の駆動輪2Cを回転駆動するアクチュエータとしての左,右の走行モータ2E,2F(図11中に図示)が設けられている。この左,右の走行モータ2E,2Fは、例えば可変容量式の油圧モータによって構成され、その容量(傾転角)を大容量と小容量との間で可変に設定する容量制御シリンダ2G,2Hを備えている。そして、左,右の容量制御シリンダ2G,2Hは、油圧ホース2J、走行速度切換弁35を介してパイロットポンプ8Bに接続されている。
【0026】
一方、旋回装置3は、油圧モータ等のアクチュエータとして形成された旋回モータ3Aを有し、該旋回モータ3Aを駆動することにより、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回動作することができる。
【0027】
また、フロント装置5は、後述する旋回フレーム6の前側に揺動可能かつ俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、該アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、前記ブーム5Aを俯仰動するブームシリンダ5Dと、前記アーム5Bを俯仰動するアームシリンダ5Eと、前記バケット5Cを回動するバケットシリンダ5Fとからなり、これらのシリンダ5D,5E,5Fは、アクチュエータを構成している。
【0028】
さらに、上部旋回体4は、図2に示すように、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、かつ旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回中心Oを中心として旋回したときに、後述するカウンタウエイト10の後面がほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0029】
なお、上述の旋回半径Rは、旋回中心Oからカウンタウエイト10の後面までの距離によって規定され、上述の仮想円Cは、上部旋回体4の旋回時におけるカウンタウエイト10の後面の軌跡となっている。
【0030】
そして、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、カウンタウエイト10、キャノピ装置11、制御弁支持板22、制御弁群24等により構成されている。
【0031】
6は上部旋回体4の支持構造体を構成する旋回フレームである。この旋回フレーム6は、図3、図4、図5に示す如く、左,右方向の中間部を前,後方向に延びた平板状の底板6Aと、該底板6Aの上面側に左,右方向に離間して略V字状に立設された左縦板6B,右縦板6Cと、該各縦板6B,6Cの前端部に設けられ、フロント装置5を支持する支持ブラケット6Dと、例えばパイプ部材等を湾曲させることにより前記底板6Aの外側を取囲む円弧状に形成された左サイドフレーム6E,右サイドフレーム6Fと、前記底板6Aの前側に左方向に延びて設けられ前記底板6Aの前側と左サイドフレーム6Eの前端とを接続する左前フレーム6Gと、前記底板6Aと前記左サイドフレーム6Eの前,後方向の中間位置に左,右方向に延びて設けられ該底板6Aと左サイドフレーム6Eとを接続する左張出しビーム6Hと、前記底板6Aの前側に右方向に延びて設けられ前記底板6Aの前側と右サイドフレーム6Fの前端とを接続する右前フレーム6Jと、前記底板6Aと前記右サイドフレーム6Fの前,後方向の中間位置に左,右方向に延びて設けられ該底板6Aと右サイドフレーム6Fとを接続する右張出しビーム6Kとにより大略構成されている。
【0032】
ここで、左前フレーム6Gは、図5に示す如く、左サイドフレーム6Eの前端に繋がるパイプフレーム6G1と、該パイプフレーム6G1から後側に延びた平板状の取付板6G2とにより構成されている。また、左前フレーム6Gのパイプフレーム6G1には、左,右方向に間隔をもって支柱6Lが立設され、該各支柱6Lの上部にはフロア取付板6Mが左,右方向に延びて取付けられている。そして、フロア取付板6Mには、後述のフロア支持ブラケット21が取付けられている。また、左前フレーム6Gの取付板6G2には、後述する制御弁支持板22の前側が取付けられている。
【0033】
7は旋回フレーム6の後側に搭載された原動機としてのエンジン(図1中に点線で図示)で、該エンジン7は、後述の油圧ポンプ8を回転駆動するものである。また、エンジン7には、回転数を制御するためのガバナレバーを有し、該ガバナレバーは、コントロールケーブル(いずれも図示せず)を介して後述の回転数制御用アクチュエータ39に接続されている。
【0034】
また、8はエンジン7に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ8は、図11に示すように、下部走行体2の走行モータ2E,2F、旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5D,5E,5F等に圧油を供給するメインポンプ8Aと、後述の各作業レバー14,15、走行レバー16,17等にパイロット圧を供給するパイロットポンプ8Bとにより構成されている。さらに、9は旋回フレーム6上に設けられた作動油タンク(図2中に点線で示すと共に図11中に記号で図示)を示している。
【0035】
10は旋回フレーム6の後部に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト10は、フロント装置5との重量バランスをとるものである。また、カウンタウエイト10は、エンジン7を後側から覆うように円弧状に湾曲して形成されている。
【0036】
11は旋回フレーム6に設けられたキャノピ装置で、該キャノピ装置11は、旋回フレーム6の左側寄り、即ち、左サイドフレーム6E、左前フレーム6Gおよび左張出しビーム6Hによって画成される部位に位置してオペレータの居住空間を形成するものである。また、キャノピ装置11は、後述のフロア部材12、運転席13、左,右の作業レバー14,15、左,右の走行レバー16,17、アタッチメント操作レバー18、天井板20等により構成されている。
【0037】
ここで、キャノピ装置11は、図1中に二点鎖線で示すように、前側位置が旋回フレーム6の前側位置に傾転可能に支持され、この前側位置を支点としてチルトアップ、チルトダウンすることができる。これにより、キャノピ装置11等によって閉塞された旋回フレーム6の左側部位であっても後述の制御弁群24等を配設することができる。
【0038】
12は旋回フレーム6上の左側寄りに設けられたフロア部材を示している。このフロア部材12は、後側が運転席13を取付ける運転席取付部となり、前側が運転席13に着座したオペレータが足を乗せる足乗せ部となっている。また、フロア部材12の前部は、後述のフロア支持ブラケット21等を介して旋回フレーム6のフロア取付板6Mに傾転可能に支持されている。
【0039】
13はフロア部材12の運転席取付部上に設けられた運転席で、該運転席13は、油圧ショベル1を操縦するときにオペレータが着座するものである。また、運転席13の左,右両側には、図1、図11に示すように、旋回装置3とフロント装置5を操作する作業レバー14,15が設けられている。一方、運転席13の前側となるフロア部材12の運転席取付部の前側位置には、下部走行体2を走行させる左,右の走行レバー(ペダル)16,17が設けられている。
【0040】
さらに、運転席13の周囲には、アタッチメント操作レバー18(図11中に記載)が設けられ、該アタッチメント操作レバー18は、例えばフォークグラップル、ブレーカ等のアタッチメント(図示せず)を操作するものである。なお、アタッチメントの操作手段としては、アタッチメント操作レバー18に限らず、例えば、ペダル、スイッチ等を用いることもできる。
【0041】
ここで、各作業レバー14,15、走行レバー16,17、アタッチメント操作レバー18は、減圧弁型の油圧パイロット弁として構成されている。そして、各レバー14〜18の流入側には、供給側の油圧ホース19が接続され、該油圧ホース19は後述のゲートロック弁42を介してパイロットポンプ8Bに接続されている。
【0042】
一方、左作業レバー14の流出側は、後述する吐出側のパイロットホース33を介して後述する多連弁25を構成する旋回制御弁26のホース接続部26Aとアーム制御弁27のホース接続部27Aとに接続されている。また、右作業レバー15の流出側は、パイロットホース33を介してブーム制御弁28のホース接続部28Aとバケット制御弁29のホース接続部29Aとに接続されている。
【0043】
また、左,右の走行レバー16,17の流出側は、パイロットホース33を介して左,右の走行制御弁30,31のホース接続部30A,31Aに接続されている。さらに、アタッチメント操作レバー18の流出側は、パイロットホース33を介してアタッチメント制御弁32のホース接続部32Aに接続されている。
【0044】
20はキャノピ装置11を構成する天井板である。この天井板20は、運転席13の上方を覆うもので、下側に延びた4本の支柱20Aがフロア部材12に取付けられている。なお、天井板20は、2本または3本の支柱20Aによって支持する構成としてもよい。
【0045】
このように構成されたキャノピ装置11は、フロア部材12の前側部位をフロア支持ブラケット21(図3、図4中に図示)等からなるフロア支持部材を介して旋回フレーム6の前側位置に傾転可能に支持されている。また、フロア部材12の後部は、カウンタウエイト10等の構造物に着脱可能に取付けられている。これにより、フロア部材12の後部をカウンタウエイト10から取外し、この後部を上側に持ち上げることにより、図1中に二点鎖線で示すように、前側のフロア支持部材を支点としてチルトアップすることができる。このキャノピ装置11のチルトアップ状態では、該キャノピ装置11等によって閉塞された旋回フレーム6の左側部位を開放することができ、後述の制御弁群24の点検、整備等を行うことができる。一方、フロア部材12の後部を下げることによりチルトダウンすることができる。
【0046】
次に、後述の制御弁群24を支持するために旋回フレーム6に設けられた本実施の形態による制御弁支持板22の構成について述べる。
【0047】
即ち、22は旋回フレーム6の左側寄りに設けられた制御弁支持板を示している。この制御弁支持板22は、図4、図5に示すように、左縦板6B、左サイドフレーム6E、左前フレーム6Gおよび左張出しビーム6Hによって画成される部位に配置されている。
【0048】
また、制御弁支持板22は、図6、図7、図8に示すように、後述の多連弁25、走行速度切換弁35、セレクタバルブ37、回転数制御用アクチュエータ39等を支持するものである。そして、制御弁支持板22は、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた互いに平行な複数の折曲線に沿って1枚の板体を表面側と裏面側とに互い違いに折曲げることにより波形板として形成されている。
【0049】
詳しくは、制御弁支持板22は、図8、図10に示すように、左,右方向の中央寄りに配置され、上側に突出した状態で前,後方向に延びた左,右の山形部22A,22Bと、該各山形部22A,22Bに隣り合って配置され、下側に窪んだ状態で前,後方向に延びた左,中,右の凹窪部22C,22D,22Eと、左,右方向の外側に位置して上側に突出した左,右の半山形部22F,22Gとにより構成されている。
【0050】
ここで、制御弁支持板22は、山形部22A,22B、凹窪部22C,22D,22Eおよび半山形部22F,22Gとにより立体的な波形板として形成しているから、素材として板厚が薄い鋼板等を用いた場合でも、完成形の状態では高い剛性を得ることができ、制御弁支持板22を軽量に形成することができる。また、制御弁支持板22は、山形部22A,22B、半山形部22F,22G間に凹窪部22C,22D,22Eを設けたことにより、この凹窪部22C,22D,22E内のスペースを、例えばパイロットホース33を接続するときの作業スペース、パイロットホース33を配策するための配索スペースとして利用することができる。
【0051】
そして、制御弁支持板22は、図6、図9に示すように、左,右の凹窪部22C,22Eの前側部位を左前フレーム6Gの取付板6G2にボルト23を用いて締結し、左,右の凹窪部22C,22Eの後側部位を左張出しビーム6Hにボルト23を用いて締結することにより、旋回フレーム6の左側寄りでキャノピ装置11の下側の位置に配設することができる。この場合、左,右の凹窪部22C,22Eを山形部22A,22B等よりも低い位置に配置することにより、ボルト23の頭部を隠すことができ、多連弁25等を取付けるときの作業性を効率よく行うことができる。
【0052】
24は制御弁支持板22上に設けられた制御弁群を示している。この制御弁群24は、後述の多連弁25、走行速度切換弁35、セレクタバルブ37により構成されている。
【0053】
25は制御弁支持板22の中央後側寄りに設けられた多連弁である。この多連弁25は、油圧ポンプ8のメインポンプ8Aからの主管路の途中に設けられ、圧油を下部走行体2の走行モータ2E,2F、旋回装置3の旋回モータ3A、作業装置5の各シリンダ5D,5E,5F、後述のアタッチメントシリンダ45への油圧の給排を制御するものである。そして、多連弁25は、旋回装置3の旋回モータ3Aを制御する旋回制御弁26と、フロント装置5のアームシリンダ5Eを制御するアーム制御弁27と、ブームシリンダ5Dを制御するブーム制御弁28と、バケットシリンダ5Fを制御するバケット制御弁29と、下部走行体2の左走行モータ2Eを制御する左走行制御弁30と、右走行モータ2Fを制御する右走行制御弁31と、アタッチメントシリンダ45を制御するアタッチメント制御弁32とにより大略構成されている。これらの制御弁26〜32は、油圧パイロット式のスプール弁によって形成されている。
【0054】
まず、旋回制御弁26は、横方向に延びる直方体状の本体部の両側にホース接続部26Aを有している。この左,右のホース接続部26Aにはそれぞれ吐出側のパイロットホース33が接続され、該各パイロットホース33は左作業レバー14に接続されている。また、アーム制御弁27は、旋回制御弁26とほぼ同様に、本体部の両側にホース接続部27Aを有し、この左,右のホース接続部27Aはパイロットホース33を介して左作業レバー14に接続されている。
【0055】
次に、ブーム制御弁28のホース接続部28Aは、パイロットホース33を介して右作業レバー15に接続されている。また、バケット制御弁29のホース接続部29Aは、パイロットホース33を介して右作業レバー15に接続されている。
【0056】
一方、左走行制御弁30は、旋回制御弁26等とほぼ同様に、本体部の両側にホース接続部30Aを有し、この左,右のホース接続部30Aはパイロットホース33を介して左走行レバー16に接続されている。また、右走行制御弁31のホース接続部31Aは、パイロットホース33を介して右走行レバー17に接続されている。
【0057】
さらに、アタッチメント制御弁32は、旋回制御弁26等とほぼ同様に、本体部の両側にホース接続部32Aを有し、この左,右のホース接続部32Aはパイロットホース33を介してアタッチメント操作レバー18に接続されている。
【0058】
このように構成された多連弁25は、各制御弁26〜32が平行して並ぶように連結されることにより、1個の弁組立体として構成されている。そして、多連弁25は、図9に示すように、制御弁支持板22の中央後側寄りに配置され、左,右の山形部22A,22B上にボルト34を用いて取付けられている。この場合、多連弁25は、各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aを左,右の凹窪部22C,22Eの上側位置に配置することができる。
【0059】
これにより、各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aと左,右の凹窪部22C,22Eとの間には、パイロットホース33を接続するときの作業、例えばスパナ等の工具を用いたねじ締め作業等を行うための作業スペースを確保することができる。また、各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aに接続したパイロットホース33は、各ホース接続部26A〜32Aに下向きに接続することにより、該各ホース接続部26A〜32Aから左,右の凹窪部22C,22E内に沿って延在させることができる。
【0060】
35は制御弁群24の制御弁を構成する走行速度切換弁で、該走行速度切換弁35は、下部走行体2の各容量制御シリンダ2G,2Hに圧油を供給する油圧ホース2Jの途中に設けられている。この走行速度切換弁35は、下部走行体2の各走行モータ2E,2Fによる走行速度を、例えば低速と高速の2速に切換えるものである。また、走行速度切換弁35は、電磁パイロット式の制御弁として形成され、図7、図8に示すように、下側の配線接続部35Aに一般にハーネスと呼ばれる電気配線35Bの一側が接続されている。この電気配線35Bの他側は、運転席13の周囲に配置された速度切換スイッチ36に接続されている。
【0061】
ここで、走行速度切換弁35は、図8に示すように、制御弁支持板22のうち右山形部22Bの前側寄り位置にボルト止めしている。これにより、配線接続部35Aの下側には、中凹窪部22Dによってスペースを形成でき、このスペースによって配線接続部35Aに電気配線35Bを容易に接続することができる。しかも、電気配線35Bは、中凹窪部22D内に沿って延在させることができる。
【0062】
そして、走行速度切換弁35は、速度切換スイッチ36の開成状態では各容量制御シリンダ2G,2Hを最縮小状態とし、左,右の走行モータ2E,2Fによる走行速度を低速状態とする。一方、オペレータが速度切換スイッチ36を閉成状態に切換えたときには、パイロットポンプ8Bからの圧油によって各容量制御シリンダ2G,2Hを伸長させることにより、左,右の走行モータ2E,2Fによる走行速度を高速に切換えることができる。
【0063】
37は制御弁群24の制御弁を構成するセレクタバルブで、該セレクタバルブ37は、後述のアタッチメントシリンダ45の駆動を切換えるものである。また、セレクタバルブ37は、アタッチメント制御弁32とアタッチメントシリンダ45との間に配置される例えば手動式の切換弁として構成されている。また、セレクタバルブ37は、制御弁支持板22の左半山形部22Fの後部に略L字状のブラケット38を介して取付けられている。
【0064】
そして、セレクタバルブ37は、追加して設けたアタッチメントに応じ、そのアタッチメントシリンダ45の動作を伸縮動作(フォークグラップル等の動作)または伸長方向にのみ連続伸長させる動作(ブレーカ等の動作)に切換えるものである。
【0065】
39は制御弁支持板22の前側に取付けられた回転数制御用アクチュエータで、該回転数制御用アクチュエータ39は、左山形部22Aの前側にL字状のブラケット40を介して取付けられている。また、回転数制御用アクチュエータ39は、エンジン7の回転数を制御するもので、ワイヤケーブル等(図示せず)を介してエンジン7のガバナレバーに接続されている。これにより、回転数制御用アクチュエータ39は、大きな出力が必要な場合にエンジン7の回転数を高くし、それ以外の場合は回転数を下げる制御を行うことができる。
【0066】
41は制御弁支持板22の左半山形部22Fの中間部位に取付けられたマニホールドである。このマニホールド41は、複数本の油圧ホース(いずれも図示せず)を中継するものである。
【0067】
42は各レバー14〜18にパイロット圧を供給する油圧ホース19の途中に設けられたゲートロック弁、43は該ゲートロック弁42を切換えるゲートロックスイッチを示している。ゲートロックスイッチ43は、運転席13の左側方に設けられたゲートロックレバー44(図1中に記載)の操作によって開,閉される。ここで、ゲートロックレバー44は、運転席13に乗り降りするときに左作業レバー14のコンソールボックスを跳ね上げてゲートロックスイッチ43を開成する。これにより、各レバー14〜18への圧油の供給を絶ち、各レバー14〜18の誤操作を防止するものである。
【0068】
なお、45はフロント装置5以外の予備のアクチュエータとして追加されるアタッチメントシリンダ(図11参照)である。このアタッチメントシリンダ45は、例えばフォークグラップル等を開閉させて物を掴んだり、ブレーカ等を連続動作させてコンクリート等を破砕したりするものである。
【0069】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、制御弁支持板22に制御弁群24を搭載し、該制御弁支持板22を旋回フレーム6に取付ける場合の動作について説明する。
【0070】
まず、複数の制御弁26〜32等を連ねてなる多連弁25は、制御弁支持板22の中央後側寄りに配置し、左,右の山形部22A,22B上にボルト34を用いて取付ける。このときに、多連弁25を構成する各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aは左,右の凹窪部22C,22Eの上側位置に配置する。これにより、各ホース接続部26A〜32Aの下側には、各凹窪部22C,22Eとの間に作業スペースを形成することができるから、作業者は、この作業スペースを利用して各ホース接続部26A〜32Aにパイロットホース33を接続することができる。
【0071】
次に、走行速度切換弁35を制御弁支持板22の右山形部22Bの前側寄りに配置し、該右山形部22Bにボルト止めする。このときに、下側の配線接続部35Aは、中凹窪部22Dの上方に突出することになるから、この配線接続部35Aに対し電気配線35Bを容易に接続することができる。
【0072】
また、セレクタバルブ37を左半山形部22Fの後部にブラケット38を介して取付け、さらに、回転数制御用アクチュエータ39を左山形部22Aの前側にブラケット40を介して取付ける。このようにして、制御弁支持板22の各山形部22A,22B,22Fに制御弁群24、回転数制御用アクチュエータ39等を取付けたら、この制御弁支持板22を旋回フレーム6に取付ける。
【0073】
この場合、制御弁支持板22は、左,右の凹窪部22C,22Eの前側部位を旋回フレーム6の左前フレーム6Gの取付板6G2にボルト23を用いて締結し、左,右の凹窪部22C,22Eの後側部位を左張出しビーム6Hにボルト23を用いて締結する。これにより、旋回フレーム6の左側寄りでキャノピ装置11の下側の位置に制御弁群24等を配設することができる。ここで、制御弁支持板22は、山形部22A,22B、凹窪部22C,22D,22Eおよび半山形部22F,22Gとにより立体的な波形板として形成しているから、薄板から形成しても完成形では高い剛性を得ることができ、重量物である制御弁群24を安定的に支持することができる。
【0074】
そして、旋回フレーム6に制御弁支持板22を介して制御弁群24、回転数制御用アクチュエータ39等を取付けたら、多連弁25を構成する各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aにパイロットホース33を接続する。このときに、各ホース接続部26A〜32Aは、左,右の凹窪部22C,22Eの上側位置に配置されているから、下側にも作業スペースを広くとることができ、該各ホース接続部26A〜32Aにパイロットホース33を容易に接続することができる。
【0075】
また、各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aに接続したパイロットホース33は、左,右の凹窪部22C,22E内のスペースを利用して周囲の邪魔にならないように配策することができる。また、走行速度切換弁35の電気配線35Bは、中凹窪部22D内に沿って延在させることができる。さらに、各制御弁26〜32には、メインポンプ8Aからの油圧ホースと下部走行体2の各走行モータ2E,2F、旋回装置3の旋回モータ3A、フロント装置5の各シリンダ5D,5E,5F等へと延びる油圧ホース(いずれも図示せず)を接続する。
【0076】
次に、油圧ショベル1の動作について説明すると、運転席13に着座したオペレータは、左,右の走行レバー16,17によって多連弁25の各走行制御弁30,31を操作することにより、各走行モータ2E,2Fによって下部走行体2を走行させることができる。また、左,右の作業レバー14,15によって多連弁25の各制御弁26〜29を操作することにより、旋回装置3とフロント装置5を動作させ、土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0077】
かくして、本実施の形態によれば、制御弁支持板22は、上側に突出する山形部22A,22B,22F,22Gと下側に窪んだ凹窪部22C,22D,22Eとを交互に配置してなる波形板を用いて形成し、制御弁群24を構成する多連弁25、走行速度切換弁35、セレクタバルブ37、回転数制御用アクチュエータ39は、前記制御弁支持板22の山形部22A,22B,22Fに取付ける構成としている。従って、制御弁支持板22は、山形部22A,22B,22F,22Gと凹窪部22C,22D,22Eとからなる立体的な波形状とすることで、素材として薄板を用いた場合でも高い剛性を得ることができ、重量物である制御弁群24を変形することなく安定的に支持することができる。
【0078】
また、多連弁25を構成する各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aは、各凹窪部22C,22Eの位置に配置しているから、各ホース接続部26A〜32Aと凹窪部22C,22Eとの間に、例えばスパナ等の工具を取扱うための作業スペースを確保することができる。
【0079】
さらに、各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aに接続された各パイロットホース33は、各ホース接続部26A〜32Aに対して下向きに接続することにより、凹窪部22C,22E内に沿って延在させることができる。
【0080】
この結果、制御弁支持板22は、薄板を用いて高強度に形成することができるから、軽量化と高剛性化とを両立することができる。しかも、制御弁支持板22の波形状を利用することにより、各ホース接続部26A〜32Aの下側にも作業スペースを確保できるから、各ホース接続部26A〜32Aホース接続部に対する各パイロットホース33の接続作業を容易に行うことができ、組立作業性を向上することができる。
【0081】
しかも、各パイロットホース33は、凹窪部22C,22E内に沿って延在させているから、例えば小型の油圧ショベル1においても各パイロットホース33を整然と並べることができ、配管作業やメンテナンス作業を容易に行うことができ、作業性を向上することができる。
【0082】
また、旋回フレーム6を、底板6A、左,右の縦板6B,6C、支持ブラケット6D、左,右のサイドフレーム6E,6Fと、左,右の前フレーム6G,6J、左,右の張出しビーム6H,6Kにより構成しているから、制御弁支持板22は、凹窪部22C,22Eの前側部位を左前フレーム6Gにボルト23を用いて締結し、凹窪部22C,22Eの後側部位を左張出しビーム6Hにボルト23を用いて締結することにより、旋回フレーム6上に取付けることができる。この場合、左,右の凹窪部22C,22Eは、山形部22A,22B等よりも低い位置に配置しているから、ボルト23の頭部を隠すことができ、多連弁25等を取付けるときに各ボルト23が邪魔にならないようにして作業性を向上することができる。
【0083】
一方、制御弁支持板22、制御弁群24等は、キャノピ装置11のフロア部材12の下側に配置する構成としている。従って、デッドスペースとなり易いキャノピ装置11の下側の空間を利用して制御弁支持板22、制御弁群24等を効率よく配設することができる。この場合、キャノピ装置11は前側位置を支点としてチルトアップまたはチルトだダウンすることができるから、フロア部材12をチルトアップした状態では、制御弁群24等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0084】
さらに、制御弁支持板22の各山形部22A,22B,22F,22Gには、多連弁25の他に走行速度切換弁35、セレクタバルブ37等を取付けることができ、また、制御弁群24の他にエンジン7の回転数を制御する回転数制御用アクチュエータ39等を取付けることができる。
【0085】
なお、実施の形態では、制御弁支持板22を、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた互いに平行な複数の折曲線に沿って1枚の板体を表面側と裏面側とに互い違いに折曲げることにより波形板として形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第1の変形例のように構成してもよい。
【0086】
即ち、図12において、51は第1の変形例による制御弁支持板で、該制御弁支持板51は、1枚の板体に左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた凹部をプレス加工することにより波形板として形成されている。この制御弁支持板51は、素材となる板体の部分が上側に突出する中央の山形部51A,左,右の半山形部51B,51Cとなり、プレス加工で下側に窪んだ部分が左,右の凹窪部51D,51Eとなっている。この場合、多連弁25は、中央の山形部51Aに取付けることにより、各制御弁26〜32のホース接続部26A〜32Aを各凹窪部51D,51Eの位置に配置することができる。
【0087】
また、実施の形態では、旋回フレーム6の左前フレーム6Gを、左サイドフレーム6Eの前端に繋がるパイプフレーム6G1と、該パイプフレーム6G1から後側に延びた平板状の取付板6G2とにより構成し、この取付板6G2に制御弁支持板22の前側部位を取付ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図13に示す第2の変形例のように構成してもよい。
【0088】
即ち、図13において、61は第2の変形例による旋回フレームで、該旋回フレーム61は、前述した実施の形態による旋回フレーム6に比較し、さらに小型の油圧ショベルに適用されるものである。そして、超小型の油圧ショベル用の旋回フレーム61は、底板61A、左,右の縦板61B,61C、支持ブラケット61D、左,右のサイドフレーム61E,61Fと、左前フレーム61G、左張出しビーム61H、右前フレーム61J、右張出しビーム61Kにより大略構成されている。
【0089】
この小さな旋回フレーム61では、左前フレーム61Gと左張出しビーム61Hとが接近しているから、実施の形態で用いていた取付板を省略し、パイプ状の左前フレーム61Gのブラケット61G1に制御弁支持板22′の前側部位を直接的に取付ける構成としてもよい。
【0090】
また、実施の形態では、制御弁支持板22の左,右の凹窪部22C,22Eを、旋回フレーム6の左前フレーム6Gと左張出しビーム6Hに取付ける構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、制御弁支持板22の山形部22A,22B,22F,22Gから選んで左前フレーム6Gと左張出しビーム6Hに取付ける構成としてもよい。この場合には、山形部22A,22B,22F,22Gと左前フレーム6G,左張出しビーム6Hとの間にスペーサ等を介在させることで、制御弁支持板22を所定の高さ位置に配置することができる。
【0091】
また、実施の形態では、フロア部材12の上側に運転席13の上方を覆う天井板20を備えたキャノピ装置11の下側に、制御弁支持板22を配置する構成としている。しかし、本発明はこれに限らず、例えばフロア部材の上側に運転席13の周囲と上方を覆うキャブボックスを備えたキャブ装置の下側に、制御弁支持板を配置する構成としてもよい。
【0092】
さらに、実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
2E 左走行モータ
2F 右走行モータ
3 旋回装置
3A 旋回モータ
4 上部旋回体
5 フロント装置
5D ブームシリンダ
5E アームシリンダ
5F バケットシリンダ
6,61 旋回フレーム
6A,61A 底板
6B,61B 左縦板
6C,61C 右縦板
6D,61D 支持ブラケット
6E,61E 左サイドフレーム
6F,61F 右サイドフレーム
6G,61G 左前フレーム
6H,61H 左張出しビーム
7 エンジン
8 油圧ポンプ
11 キャノピ装置
12 フロア部材
13 運転席
14 左作業レバー
15 右作業レバー
16 左走行レバー
17 右走行レバー
18 アタッチメント操作レバー
20 天井板
22,51,22′ 制御弁支持板
22A 左山形部
22B 右山形部
22C,51D 左凹窪部
22D 中凹窪部
22E,51E 右凹窪部
22F,51B 左半山形部
22G,51C 右半山形部
24 制御弁群
25 多連弁
26 旋回制御弁
26A,27A,28A,29A,30A,31A,32A ホース接続部
27 アーム制御弁
28 ブーム制御弁
29 バケット制御弁
30 左走行制御弁
31 右走行制御弁
32 アタッチメント制御弁
33 パイロットホース(油圧ホース)
35 走行速度切換弁
35A 配線接続部
35B 電気配線
36 速度切換スイッチ
37 セレクタバルブ
39 回転数制御用アクチュエータ
43 ゲートロックスイッチ
45 アタッチメントシリンダ(予備のアクチュエータ)
51A 山形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行モータにより自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され油圧ポンプを駆動する原動機を備えた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられアクチュエータにより俯仰動するフロント装置とからなり、
前記上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームと、該旋回フレームに設けられた制御弁支持板と、該制御弁支持板上に設けられ前記フロント装置のアクチュエータおよび前記下部走行体の走行モータを含む各種アクチュエータを制御する複数の制御弁からなる制御弁群と、該制御弁群の各制御弁毎にそれぞれ設けたホース接続部に接続される複数本の油圧ホースとを備えてなる建設機械において、
前記制御弁支持板は、上側に突出する山形部と下側に窪んだ凹窪部とを交互に配置してなる波形板を用いて形成し、
前記各制御弁は、前記制御弁支持板の山形部にそれぞれ取付け、
前記各制御弁のホース接続部は、前記制御弁支持板の凹窪部の位置に配置し、
前記各油圧ホースは、前記ホース接続部から前記凹窪部内に沿って延びるように配策する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記旋回フレームは、前,後方向に延びる底板と、該底板上に前,後方向に延びて立設された左,右の縦板と、前記底板の外側を取囲んで円弧状に形成された左,右のサイドフレームと、前記底板の前側と左サイドフレームの前端とを接続する前フレームと、前記底板と前記左サイドフレームとを前,後方向の中間位置で接続する張出しビームとにより構成し、
前記制御弁支持板は、前側部位を前記前フレームに取付け、後側部位を前記張出しビームに取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記旋回フレームのうち、前記左サイドフレーム、前フレームおよび張出しビームによって画成される部位には、オペレータが着座するキャノピ装置またはキャブ装置を設け、
前記制御弁支持板は、該キャノピ装置またはキャブ装置の下側に配置する構成としてなる請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記制御弁群の制御弁には、電磁制御弁を含む構成とし、前記制御弁支持板には、凹窪部に沿って前記油圧ホースの他に前記電磁制御弁に接続される電気配線を配策する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−17553(P2012−17553A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153735(P2010−153735)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】