説明

建設機械

【課題】 サイドフレームの強度を高め、かつ、サイドフレーム上に搭載されたキャブの上端部の地上高さを抑える。
【解決手段】 キャブ7が搭載される左サイドフレーム21を、厚肉な中実材からなる強度部材22を用いて形成し、作動油タンク8および燃料タンク9が搭載される右サイドフレーム30を、内部が閉断面空間30Cとなった中空な筒状体を用いて形成する。左サイドフレーム21は、中実材からなる強度部材22によって強度が高められるので、右サイドフレーム30のように、内部に形成される閉断面空間30Cを増大させて強度を高める必要がない。この結果、強度部材22の高さ寸法を、右サイドフレーム30の高さ寸法よりも小さくすることができ、左サイドフレーム21上にキャブ7を搭載した状態で、履帯2Aの下端部2A1とキャブ7の上面7Dとの間の高さ寸法Eを低く抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に、旋回フレームを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成され、この作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
この場合、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前部左側に設けられ運転室を画成するキャブと、作業装置を挟んでキャブとは反対側に配置された燃料タンクおよび作動油タンク等の貯油タンクと、旋回フレームの後部側に搭載された原動機、油圧ポンプと、旋回フレームの後端側に設けられたカウンタウエイトとにより大略構成されている。
【0004】
一方、旋回フレームは、通常、左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びるセンタフレームと、該センタフレームを挟んで左,右両側に設けられた左,右のサイドフレームと、センタフレームと左,右のサイドフレームとの間に設けられた左,右の張出しビームとにより構成されている。
【0005】
この場合、センタフレームは、厚肉な底板と、該底板上に立設された左,右の縦板とを有し、センタフレームと左サイドフレームとの間は、左縦板から左側方に張出す左張出しビームによって接続され、センタフレームと右サイドフレームとの間は、右縦板から右側方に張出す右張出しビームによって接続されている。そして、旋回フレームの前部左側には、通常、防振マウントを介してキャブが取付けられており、該キャブは、左サイドフレームの上方に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−20681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来技術による旋回フレームを構成するサイドフレームは、通常、板厚が異なる2枚の板材を溶接することにより、内部がD型の閉断面空間となった筒状体(D型フレーム)を用いて形成されている。即ち、サイドフレームは、主として荷重を受ける厚板材と、該厚板材に溶接されサイドフレームの外側面を形成する薄板材とからなる筒状体により構成されている。
【0008】
しかし、厚板材と薄板材とからなる筒状体を用いて形成されたサイドフレームにおいては、厚板材の板厚と薄板材の板厚とに大きな差が生じた場合には、厚板材と薄板材との接合部分に応力が集中することにより、サイドフレームの強度が低下してしまう。このため、厚板材の板厚を大きくした場合には、これに伴って薄板材の板厚も大きくする必要がある。この結果、サイドフレーム全体の重量が増大する上に、サイドフレームの外観美が低下してしまうという問題がある。
【0009】
一方、内部が閉断面空間となったサイドフレームにおいては、当該サイドフレームの断面積を大きくすることにより、その強度を高めることができる。このため、従来技術による旋回フレームは、通常、サイドフレームの閉断面空間を上,下方向に延ばして断面積を大きくすることにより、当該サイドフレームの強度を高める構成としている。
【0010】
しかし、旋回フレームの左サイドフレーム上にはキャブが搭載されるため、左,右のサイドフレームの閉断面空間を上,下方向に延ばすことにより、下部走行体の下端(地面)から左サイドフレームの上面までの高さ寸法が大きくなった場合には、地面からキャブの上端部までの高さ寸法が増大してしまう。この結果、例えば油圧ショベルを輸送用のコンテナに積載するときに、このコンテナの天井部分にキャブの上端側が干渉してしまい、油圧ショベルをコンテナに積載することができなくなるという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、サイドフレームの強度を高めることができ、かつ、サイドフレーム上に搭載されたキャブの上端部の地上高さを抑えることができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された旋回フレームを有し、該旋回フレームに作業装置が設けられた上部旋回体とからなり、前記上部旋回体の旋回フレームは、左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びるセンタフレームと、該センタフレームを挟んで左,右両側に設けられた左,右のサイドフレームと、前記センタフレームと左,右のサイドフレームとの間に設けられた左,右の張出しビームとを備え、前記左,右のサイドフレームのうち一方側のサイドフレームと前記センタフレームとの間には運転室を画成するキャブを設け、前記左,右のサイドフレームのうち他方側のサイドフレームと前記センタフレームとの間には燃料および/または作動油を貯溜する貯油タンクを設けてなる建設機械に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記一方側のサイドフレームは厚肉な中実材からなる強度部材を用いて形成し、前記他方側のサイドフレームは中空な筒状体を用いて形成し、前記下部走行体の下端と前記一方側のサイドフレームの上面との間の高さ寸法は、前記下部走行体の下端と前記他方側のサイドフレームの上面との間の高さ寸法よりも低く設定し、かつ前記強度部材には薄肉な板材を用いて形成された外面カバーを締結部材を用いて取付けたことにある。
【0014】
請求項2の発明は、前記強度部材の外側面には強度部材側ブラケットを設け、前記外面カバーの内側面にはカバー側ブラケットを設け、前記強度部材側ブラケットと前記カバー側ブラケットとを前記締結部材を用いて締結することにより、前記強度部材に対し前記外面カバーが取付けられる構成としたことにある。
【0015】
請求項3の発明は、前記センタフレームは、底板と、該底板上に立設され前,後方向に延びる左,右の縦板とにより構成し、前記強度部材は、前記キャブの前面側に位置して左,右方向に延びる前梁部と、該前梁部から屈曲し前記キャブの外側面に沿って前,後方向に延びる縦梁部とによりL字状の強度部材として形成し、前記前梁部の内側端部には当該内側端部から後側に延びる連結腕を設け、前記前梁部の内側部位は、前記連結腕を介して前記左,右の縦板のうち一方側の縦板に溶接手段により固着すると共に、前記底板の上面に溶接手段により固着する構成とし、前記縦梁部は、前記左,右の張出しビームのうち一方側の張出しビームに溶接手段により固着する構成としたことにある。
【0016】
請求項4の発明は、前記外面カバーは、前記キャブの前面側に位置して左,右方向に延びる前外面カバーと、この前外面カバーの端部に接続され前記キャブの外側面に沿って前,後方向に延びる縦外面カバーとの2部材により構成したことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、一方側のサイドフレームを、中実材からなる強度部材を用いて形成したので、この強度部材の肉厚を大きくすることにより、一方側のサイドフレームの強度を高めることができ、キャブを安定して支持することができる。しかも、一方側のサイドフレームは、中実材からなる強度部材を用いて形成されるので、筒状体を用いて形成された他方側のサイドフレームのように、内部に形成される閉断面空間を上,下方向に増大させてその強度を高める必要がない。
【0018】
従って、一方側のサイドフレームの上,下方向の寸法(高さ寸法)を、他方側のサイドフレームの高さ寸法よりも小さくすることができ、下部走行体の下端と一方側のサイドフレームの上面との間の高さ寸法を、下部走行体の下端と他方側のサイドフレームの上面との間の高さ寸法よりも低く設定することができる。この結果、一方側のサイドフレーム上にキャブを搭載した場合でも、キャブの上端部の地上高さを低く抑えることができる。従って、建設機械を輸送用のコンテナに積載する場合に、キャブの上端側が輸送用のコンテナと干渉するのを抑えることができ、このコンテナに建設機械を確実に積載することができる。
【0019】
さらに、薄肉な板材により形成された外面カバーを、締結部材を用いて強度部材に取付けることにより、この外面カバーによって強度部材を外側から覆うことができ、一方側のサイドフレームの外観美を保つことができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、強度部材側ブラケットとカバー側ブラケットとを締結部材を用いて締結することにより、外面カバーは、おのずと強度部材に取付けられる。しかも、外面カバーを強度部材に取付けた状態で、強度部材側ブラケットと、カバー側ブラケットと、これら各ブラケットを締結する締結部材とを、強度部材と外面カバーとの間に収容することができる。この結果、各ブラケットと締結部材とを外面カバーで覆うことにより、一方側のサイドフレームの外観美を保つことができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、L字状の強度部材を構成する前梁部の内側端部に後側に延びる連結腕を設けることにより、前梁部の内側部位を、連結腕を介してセンタフレームの一方側の縦板に溶接すると共に、センタフレームの底板の上面に溶接することができる。これにより、前梁部の内側部位とセンタフレームとの溶接長さを大きく確保することができ、強度部材をセンタフレームに確実に固定することができる。
【0022】
この場合、前梁部の内側端部に設けた連結腕を、センタフレームの一方側の縦板に溶接することにより、前梁部の内側端部を一方側の縦板に直接的に溶接する場合に比較して、縦板からの大きな振動が前梁部に直接的に伝わるのを抑え、縦板からの振動を連結腕の撓みによって吸収することができる。この結果、センタフレームに対する一方側のサイドフレームの取付強度を高めることができ、旋回フレーム全体の信頼性を高めることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、強度部材に取付けられる外面カバーを、左,右方向に延びる前外面カバーと前,後方向に延びる縦外面カバーとの2部材によって構成することにより、これら前外面カバーと縦外面カバーの長さを短縮化すると共に、形状を単純化することができ、外面カバーを製造するときの作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態が適用された油圧ショベルを示す左側面図である。
【図2】油圧ショベルをキャブ側からみた正面図である。
【図3】旋回フレーム上にエンジンン、燃料タンク、作動油タンク、カウンタウエイト等を搭載した状態を示す平面図である。
【図4】旋回フレームを単体で示す斜視図である。
【図5】旋回フレームと外面カバーとを示す分解斜視図である。
【図6】強度部材、外面カバー、強度部材側ブラケット、カバー側ブラケット、ボルトを示す一部破断の分解斜視図である。
【図7】図3中のA部を拡大して示す拡大平面図である。
【図8】強度部材、外面カバー、強度部材側ブラケット、カバー側ブラケット、ボルトを図3中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】右サイドフレームを図3中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】比較例による油圧ショベルをキャブ側からみた正面図である。
【図11】第2の実施の形態による外面カバーを備えた旋回フレームを示す図4と同様な斜視図である。
【図12】旋回フレーム、前外面カバー、縦外面カバー等を示す図5と同様な分解斜視図である。
【図13】前外面カバーと縦外面カバーとを示す分解斜視図である。
【図14】前外面カバーと縦外面カバーとの接続部分を図13中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、クローラ式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0026】
まず、図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、左,右の履帯2Aを有する自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。そして、上部旋回体3の前側には、スイング式の作業装置4がスイングポスト4Aを介して左,右方向に揺動可能に設けられ、該作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う構成となっている。
【0027】
ここで、上部旋回体3は、図2および図3に示すように、ベースとなる後述の旋回フレーム11を有している。旋回フレーム11の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト5が設けられ、該カウンタウエイト5の前側には、エンジン6が左,右方向に延びる横置き状態で搭載されている。旋回フレーム11の前部左側には、オペレータが搭乗する運転室を画成するキャブ7が搭載され、該キャブ7は、前面7A、後面7B、外側面7C、内側面7D、および上面7Eによって囲まれた箱状に形成され、キャブ7の内部には、運転席、各種操作レバー等(いずれも図示せず)が設けられている。
【0028】
一方、旋回フレーム11のうち作業装置4を挟んでキャブ7と反対側には、貯油タンクとしての作動油タンク8および燃料タンク9が左,右方向に並んで搭載され、これら作動油タンク8、燃料タンク9とカウンタウエイト5との間、およびキャブ7とカウンタウエイト5との間には、エンジン6等の搭載機器を収容する建屋カバー10が設けられている。
【0029】
この場合、上部旋回体3は、図2および図3に示すように、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、かつ上方からみてほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回動作を行ったときに、カウンタウエイト5の後面5Aが、ほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0030】
11は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームを示し、該旋回フレーム11は、強固な支持構造体をなし、下部走行体2上に旋回可能に搭載されるものである。ここで、旋回フレーム11は、後述のセンタフレーム12、左張出しビーム19、右張出しビーム20、左サイドフレーム21、右サイドフレーム30等により構成されている。
【0031】
12は旋回フレーム11の左,右方向の中央部に配置されたセンタフレームを示し、外センタフレーム12は、図3および図4に示すように、後述の底板13と、左縦板14と、右縦板15とにより大略構成されている。
【0032】
13はセンタフレーム12の底板を示し、この底板13は、厚肉な鋼板材を用いて形成され、前,後方向に延びている。ここで、底板13の前端側には、ほぼ三角形状の突起部13Aが設けられ、この突起部13Aには、作業装置4のスイングポスト4Aを揺動可能に支持する後述のスイングブラケット16が取付けられる構成となっている。また、底板13の上面13Bには、後述する左,右の縦板14,15が立設されている。
【0033】
14は底板13上に立設された左縦板で、該左縦板14は、底板13の上面13Bの左寄りに立設され、前,後方向に延びている。ここで、左縦板14の前,後方向の中間部には屈曲部が設けられ、左縦板14の後部側と右縦板15との間隔は、左縦板14の前部側と右縦板15との間隔よりも大きく設定されている。そして、左縦板14の外側面14Aには、後述する後側左張出しビーム19B等が固着されている。また、左縦板14の後端部には、カウンタウエイト5を取付けるためのウエイト取付部14Bが設けられている。
【0034】
15は左縦板14と対面して底板13上に立設された右縦板で、該右縦板15は、前,後方向に延びる1枚の板材を用いて形成され、底板13の上面13Bの右寄りに立設されている。そして、右縦板15と後述する右サイドフレーム30との間には、作動油タンク8および燃料タンク9等が配置され、右縦板15の外側面15Aには、後述する右張出しビーム20が固着されている。また、右縦板15の後端部には、カウンタウエイト5を取付けるためのウエイト取付部15Bが設けられている。
【0035】
ここで、左縦板14の前端側と右縦板15の前端側とは、上方からみてハ字状に屈曲し、これら左縦板14の前端部と右縦板15の前端部とには、上,下方向に延びる円筒状のスイングブラケット16が固着されている。また、左縦板14の上端部と右縦板15の上端部との間は、底板13と上,下方向で対面する上板17によって連結され、この上板17と底板13の突起部13Aとの間に、スイングブラケット16が挟持される構成となっている。
【0036】
18はセンタフレーム12の後部側に設けられた4個(3個のみ図示)のエンジンブラケットを示している。これら各エンジンブラケット18は、前,後方向と左,右方向とに間隔をもって左,右の縦板14,15の近傍に配置されている。そして、エンジン6は、各エンジンブラケット18にマウント部材(図示せず)を介して取付けられ、図3に示すように、左,右の縦板14,15上を左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。
【0037】
19はセンタフレーム12と後述する左サイドフレーム21との間に左,右方向に延びて設けられた左張出しビームを示している。この左張出しビーム19は、前,後方向の前側に位置する前側左張出しビーム19Aと、後側に位置する後側左張出しビーム19Bとにより構成されている。ここで、前側左張出しビーム19Aは、厚肉な平板状に形成され、その基端側は底板13の左端部に溶接手段を用いて固着されている。また、前側左張出しビーム19Aの先端側は、センタフレーム12から左側方に突出し、後述の左サイドフレーム21に溶接手段を用いて固着されている。
【0038】
一方、後側左張出しビーム19Bは、前側左張出しビーム19Aよりも薄肉な板材を折曲げることにより形成され、その基端側は底板13の上面13Bと左縦板14の外側面14Aとに溶接手段を用いて固着されている。また、後側左張出しビーム19Bの先端側は、センタフレーム12から左側方に突出し、後述の左サイドフレーム21に溶接手段を用いて固着されている。そして、後側左張出しビーム19Bの左,右方向の両端側には、それぞれマウント取付孔19Cが穿設され、これら各マウント取付孔19Cには、キャブ7を防振支持するためのマウント部材(図示せず)が取付けられる構成となっている。
【0039】
20はセンタフレーム12と後述する右サイドフレーム30との間に左,右方向に延びて設けられた右張出しビームを示している。この右張出しビーム20は、前,後方向の前側に位置する前側右張出しビーム20Aと、前,後方向の中間部に位置する中間右張出しビーム20Bと、前,後方向の後側に位置する後側右張出しビーム20Cとにより構成されている。ここで、前側右張出しビーム20A、中間右張出しビーム20B、後側右張出しビーム20Cは、薄肉な板材を折曲げることにより形成され、その基端側は底板13の上面13Bと右縦板15の外側面15Aとに溶接手段を用いて固着されている。
【0040】
また、前側右張出しビーム20A、中間右張出しビーム20Bおよび後側右張出しビーム20Cの先端側は、センタフレーム12から右側方に突出し、後述の右サイドフレーム30に溶接手段を用いて固着されている。そして、図3に示すように、中間右張出しビーム20Bと後側右張出しビーム20Cの上面側には、作動油タンク8と燃料タンク9とが左,右方向に隣接して設けられている。
【0041】
次に、本実施の形態による旋回フレーム11に用いられる左サイドフレームについて説明する。
【0042】
21は一方側のサイドフレームとしての左サイドフレームを示し、該左サイドフレーム21は、左張出しビーム19を介してセンタフレーム12の左側に取付けられ、旋回フレーム11の左側の外周部分を構成するものである。ここで、左サイドフレーム21は、後述の強度部材22と、外面カバー25とにより構成されている。
【0043】
22は左サイドフレーム21の主要部を構成する強度部材を示し、この強度部材22は、図5ないし図8に示すように、厚肉な中実材、即ち、上,下方向に延びる長方形の断面形状を有する強度部材からなっている。この場合、強度部材22は、キャブ7の前面7A側に位置して左,右方向に延びる前梁部22Aと、該前梁部22Aの左端側から後方に屈曲し、キャブ7の外側面7Cに沿って前,後方向に延びる縦梁部22BとによりL字状に形成されている。一方、前梁部22Aの内側端部(右端部)22A1には、後述の連結腕23が設けられている。
【0044】
23は前梁部22Aの内側端部22A1に設けられた連結腕で、該連結腕23は、強度部材22の前梁部22Aとセンタフレーム12の左縦板14との間を連結するものである。ここで、連結腕23は、前,後方向の中間部に折曲部23Aが設けられた板体からなり、その前端側が前梁部22Aの内側端部22A1に溶接手段を用いて固着されている。
【0045】
そして、強度部材22を構成する前梁部22Aの内側部位は、その内側端部22A1に固着された連結腕23の後端側が、左縦板14の外側面14Aに溶接手段によって固着されると共に、前梁部22Aの下端部が底板13の上面13Bに溶接手段によって固着されている。一方、強度部材22を構成する縦梁部22Bは、センタフレーム12から左側方に突出した前側左張出しビーム19Aの先端部と、後側左張出しビーム19Bの先端部とに、それぞれ溶接手段を用いて固着されている。
【0046】
このように、左サイドフレーム21を構成する強度部材22は、前梁部22Aが左縦板14の外側面14Aと底板13の上面13Bとに溶接手段を用いて固着され、縦梁部22Bが前側左張出しビーム19Aおよび後側左張出しビーム19Bの先端部に溶接手段を用いて固着されることにより、センタフレーム12に対して強固に接合されている。この場合、前梁部22Aの内側端部22A1に連結腕23を設け、この連結腕23を左縦板14に溶接することにより、前梁部22Aの内側端部22A1を左縦板14に直接的に溶接する場合に比較して、左縦板14からの大きな振動が前梁部22Aに直接的に伝わるのを抑え、左縦板14からの振動を連結腕23の撓みによって吸収することができる構成となっている。
【0047】
24は強度部材22の外側面22Cに設けられた複数個(例えば4個)の強度部材側ブラケットを示し、これら各強度部材側ブラケット24は、後述する外面カバー25を強度部材22に取付けるボルト27が挿通されるものである。ここで、図6および図8に示すように、各強度部材側ブラケット24は、鋼板材等を逆U字型に折曲げることにより形成され、強度部材22の外側面22Cに適度な間隔をもって溶接されている。これら各強度部材側ブラケット24は、強度部材22に取付けられた状態で水平方向に延びる取付面24Aを有し、該取付面24Aの中央部にはボルト挿通孔24Bが穿設されている。
【0048】
25は強度部材22に取付けられた外面カバーを示し、該外面カバー25は、左サイドフレーム21の外側面を構成するものである。この外面カバー25は、薄肉な板材に折曲げ加工を施すことにより、全体として強度部材22と同様なL字状に形成され、強度部材22の外側面22Cを覆うことにより、左サイドフレーム21の外観美を高めるものである。ここで、外面カバー25は、強度部材22の上面22Dとほぼ同一平面を形成する上面板25Aと、該上面板25Aから下向きに折曲げられ、強度部材22の外側面22Cと間隔をもって対面する側面板25Bとにより構成されている。また、外面カバー25のうち強度部材22側に位置する内側面25Cには、後述する各カバー側ブラケット26が設けられている。
【0049】
26は外面カバー25の内側面25Cに設けられた複数個(例えば4個)のカバー側ブラケットを示し、これら各カバー側ブラケット26は、強度部材22に設けられた各強度部材側ブラケット24と対応する4か所に配置されている。ここで、図6および図8に示すように、各カバー側ブラケット26は、鋼板材等をU字型に折曲げることにより形成され、外面カバー25の内側面25C(上面板25Aの下側)に溶接されている。これら各カバー側ブラケット26は、外面カバー25に取付けられた状態で水平方向に延びる取付面26Aを有し、該取付面26Aの中央部上面側には、ナット等の雌ねじ部材26Bが固着されている。
【0050】
27は外面カバー25を強度部材22に取付ける締結部材としての複数本(例えば4本)のボルトを示している。これら各ボルト27は、図6に示すように、強度部材22に設けた強度部材側ブラケット24のボルト挿通孔24Bに下側から上向きに挿通され、外面カバー25に設けたカバー側ブラケット26の雌ねじ部材26Bに螺着されるものである。
【0051】
従って、図8に示すように、強度部材22の上面22Dに外面カバー25の内側面25Cが当接し、強度部材22の上面22Dと外面カバー25の上面板25Aとがほぼ同一平面を形成した状態で、強度部材側ブラケット24とカバー側ブラケット26とをボルト27によって締結することにより、外面カバー25を強度部材22に取付けることができ、強度部材22と外面カバー25とからなる左サイドフレーム21が形成される。
【0052】
この場合、強度部材側ブラケット24は強度部材22の外側面22Cに設けられ、カバー側ブラケット26は外面カバー25の内側面25Cに設けられているので、強度部材側ブラケット24と、カバー側ブラケット26と、これら各ブラケット24,26を締結するボルト27とを、強度部材22と外面カバー25との間に収容することができる構成となっている。
【0053】
次に、28は強度部材22の前梁部22Aと縦梁部22Bとが交わる角隅部に設けられた左前側キャブ支持板を示し、該左前側キャブ支持板28は、前梁部22Aおよび縦梁部22Bの内側面に溶接手段を用いて固着されている。一方、29は強度部材22の前梁部22Aと左縦板14との間に設けられた右前側キャブ支持板を示し、該右前側キャブ支持板29は、強度部材22の前梁部22Aの内側面と左縦板14の外側面14Aとに溶接手段を用いて固着されている。
【0054】
ここで、左前側キャブ支持板28と右前側キャブ支持板29とには、それぞれキャブ7を防振支持するマウント部材(図示せず)を取付けるためのマウント取付孔28A,29Aが穿設されている。従って、キャブ7は、後側左張出しビーム19Bと、左前側キャブ支持板28と、右前側キャブ支持板29とに、マウント部材を介して支持される構成となっている。
【0055】
次に、30は他方側のサイドフレームとしての右サイドフレームを示し、該右サイドフレーム30は、右張出しビーム20を介してセンタフレーム12の右側に取付けられ、旋回フレーム11の右側の外周部分を構成するものである。ここで、右サイドフレーム30は、図3および図9に示すように、中空な筒状体を用いて形成され、前側右張出しビーム20Aから後側右張出しビーム20Cに亘って前,後方向に延びている。
【0056】
この場合、右サイドフレーム30は、薄肉な板材を用いて形成されセンタフレーム12側に配置される内面板30Aと、該内面板30Aよりも薄肉な板材を折曲げて形成された外面板30Bとを溶接手段を用いて接合することにより、内部が閉断面空間30Cとなった筒状体として形成されている。そして、前側右張出しビーム20Aの先端部に、右サイドフレーム30の前端部を溶接手段を用いて固着すると共に、中間右張出しビーム20Bと後側右張出しビーム20Cの先端部に、右サイドフレーム30の内面板30Aを溶接手段を用いて固着することにより、右サイドフレーム30は、センタフレーム12に対して強固に接合されている。
【0057】
ここで、図8および図9に示すように、左サイドフレーム21を構成する強度部材22の高さ寸法をAとし、中空な筒状体として形成された右サイドフレーム30の高さ寸法をBとすると、これら高さ寸法A,Bは下記数1の関係となっている。
【0058】
【数1】

【0059】
このように、左サイドフレーム21を中実材からなる強度部材22を用いて形成することにより、この強度部材22の高さ寸法Aを、中空な筒状体を用いて形成した右サイドフレーム30の高さ寸法Bよりも小さくすることができる構成となっている。
【0060】
これにより、図2に示すように、下部走行体2を構成する履帯2Aの下端部2A1と左サイドフレーム21の上面21A(外面カバー25の上面板25Aの上面)との間の高さ寸法をCとし、下部走行体2を構成する履帯2Aの下端部2A1と右サイドフレーム30の上面30Dとの間の高さ寸法をDとすると、これら高さ寸法C,Dは下記数2の関係となる。
【0061】
【数2】

【0062】
このように、履帯2Aの下端部2A1と左サイドフレーム21の上面21Aとの間の高さ寸法Cを、履帯2Aの下端部2A1と右サイドフレーム30の上面30Dとの間の高さ寸法DよりもΔCだけ小さく設定することにより、左サイドフレーム21上にキャブ7を搭載した状態で、履帯2Aの下端部2A1とキャブ7の上面7Eとの間の高さ寸法E、即ち、キャブ7の上面7Eの地上高さを低く抑えることができる構成となっている。
【0063】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、キャブ7が搭載される左サイドフレーム21を、厚肉な中実材からなる強度部材22を用いて形成し、作動油タンク8および燃料タンク9が搭載される右サイドフレーム30を、内部が閉断面空間30Cとなった中空な筒状体を用いて形成している。このため、強度部材22の肉厚を大きくすることにより、左サイドフレーム21の強度を高めることができ、キャブ7を安定して支持することができる。
【0064】
この場合、左サイドフレーム21は、中実材からなる強度部材22を用いて形成されるので、右サイドフレーム30のように、内部に形成される閉断面空間30Cを上,下方向に増大させてその強度を高める必要がない。従って、図8および図9に示すように、強度部材22の高さ寸法Aを、右サイドフレーム30の高さ寸法Bよりも小さくすることができる。
【0065】
これにより、本実施の形態による油圧ショベル1は、図2に示すように、下部走行体2を構成する履帯2Aの下端部2A1と左サイドフレーム21の上面21Aとの間の高さ寸法Cを、下部走行体2を構成する履帯2Aの下端部2A1と右サイドフレーム30の上面30Dとの間の高さ寸法DよりもΔCだけ小さく設定することができる。この結果、左サイドフレーム21上にキャブ7を搭載した状態で、履帯2Aの下端部2A1とキャブ7の上面7Eとの間の高さ寸法Eを低く抑えることができる。
【0066】
次に、図2に示す本実施の形態による油圧ショベル1と、図10に示す比較例による油圧ショベル101との比較について説明する。
【0067】
まず、比較例による油圧ショベル101は、本実施の形態による油圧ショベル1と同様な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体102とを備えている。上部旋回体102はベースとなる旋回フレーム103を有し、この旋回フレーム103の前部左側には、本実施の形態による油圧ショベル1と同様なキャブ7が設けられている。
【0068】
ここで、比較例による旋回フレーム103は、本実施の形態に適用した旋回フレーム11と同様なセンタフレーム104と、右サイドフレーム30とを備えている。しかし、比較例による旋回フレーム103の左サイドフレーム105は、右サイドフレーム30と同様な中空な筒状体を用いて形成され、右サイドフレーム30と左サイドフレーム105とは、等しい高さ寸法Bを有している。
【0069】
従って、比較例による油圧ショベル101は、下部走行体2を構成する履帯2Aの下端部2A1と右サイドフレーム30の上面30Dとの間の高さ寸法と、履帯2Aの下端部2A1と左サイドフレーム105の上面105Aとの間の高さ寸法とは、等しい高さ寸法Dとなり、左サイドフレーム105上にキャブ7を搭載したときに、このキャブ7の上面7Eと履帯2Aの下端部2A1との間の高さは、高さ寸法Fとなる。
【0070】
これに対し、本実施の形態による油圧ショベル1は、左サイドフレーム21を中実材からなる強度部材22を用いて形成することにより、図2に示すように、履帯2Aの下端部2A1と左サイドフレーム21の上面21Aとの間の高さ寸法Cを、履帯2Aの下端部2A1と右サイドフレーム30の上面30Dとの間の高さ寸法DよりもΔCだけ小さくすることができる。
【0071】
このため、本実施の形態の油圧ショベル1は、左サイドフレーム21上にキャブ7を搭載したときに、このキャブ7の上面7Eと履帯2Aの下端部2A1との間の高さ寸法Eは、比較例による油圧ショベル101におけるキャブ7の上面7Eと履帯2Aの下端部2A1との間の高さ寸法FよりもΔCだけ小さくなる。
【0072】
この結果、比較例による油圧ショベル101を輸送用のコンテナ(図示せず)に積載するときには、コンテナの天井部分にキャブ7の上端側が干渉する虞れがあるのに対し、本実施の形態による油圧ショベル1を輸送用のコンテナに積載するときには、コンテナの天井部分にキャブ7の上端側が干渉するのを防止することができ、油圧ショベル1を輸送用のコンテナに確実に積載することができる。
【0073】
しかも、本実施の形態によれば、強度部材22に外面カバー25を取付けることにより、この外面カバー25によって強度部材22を外側から覆うことができる。この結果、強度部材22によって左サイドフレーム21の強度を高めつつ、外面カバー25によって左サイドフレーム21の外観美を保つことができる。
【0074】
この場合、外面カバー25を取付けるための強度部材側ブラケット24は、強度部材22の外側面22Cに設け、カバー側ブラケット26は、外面カバー25の内側面25Cに設けられている。このため、強度部材側ブラケット24と、カバー側ブラケット26と、これら強度部材側ブラケット24とカバー側ブラケット26とを締結するボルト27とを、強度部材22と外面カバー25との間に収容することができ、左サイドフレーム21の外観美を高めることができる。
【0075】
さらに、本実施の形態によれば、強度部材22を、キャブ7の前面7A側に位置して左,右方向に延びる前梁部22Aと、キャブ7の外側面7Cに沿って前,後方向に延びる縦梁部22BとによりL字状に形成し、前梁部22Aの内側端部22A1には、当該内側端部22A1から後側に延びる連結腕23を設けている。そして、前梁部22Aの内側部位を、連結腕23を介してセンタフレーム12の左縦板14に溶接すると共に、底板13の上面13Bに溶接することにより、前梁部22Aの内側部位とセンタフレーム12との溶接長さを大きく確保することができ、強度部材22をセンタフレーム12に確実に固定することができる。
【0076】
しかも、前梁部22Aの内側端部22A1に設けた連結腕23を、センタフレーム12の左縦板14に溶接することにより、前梁部22Aの内側端部22A1を左縦板14に直接的に溶接する場合に比較して、左縦板14からの大きな振動が前梁部22Aに直接的に伝わるのを抑え、左縦板14からの振動を連結腕23の撓みによって吸収することができる。この結果、センタフレーム12に対する左サイドフレーム21の取付強度を高めることができ、旋回フレーム11全体の信頼性を高めることができる。
【0077】
次に、図11ないし図14は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、強度部材に取付けられる外面カバーを、前外面カバーと縦外面カバーとの2部材によって構成したことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0078】
31は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームを示し、該旋回フレーム31は、第1の実施の形態に用いた旋回フレーム11に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、旋回フレーム31は、第1の実施の形態による旋回フレーム11と同様に、センタフレーム12、左張出しビーム19、右張出しビーム20、右サイドフレーム30、後述の左サイドフレーム32等により構成されている。
【0079】
32は一方側のサイドフレームとしての左サイドフレームを示し、該左サイドフレーム32は、旋回フレーム31の左側の外周部分を構成するものである。ここで、左サイドフレーム32は、第1の実施の形態による左サイドフレーム21とほぼ同様に、強度部材22と、後述の前外面カバー33及び縦外面カバー34とにより大略構成されるものの、これら前外面カバー33及び縦外面カバー34の構成が、第1の実施の形態による外面カバー25とは異なるものである。
【0080】
33は強度部材22に取付けられた前外面カバーを示し、該前外面カバー33は、後述する縦外面カバー34と共に左サイドフレーム32の外側面を構成するものである。この前外面カバー33は、薄肉な板材に折曲げ加工を施すことにより形成され、図2に示すキャブ7の前面7A側に位置し、強度部材22の前梁部22Aに沿って左,右方向に直線的に延びている。
【0081】
ここで、前外面カバー33は、強度部材22の上面22Dとほぼ同一平面を形成する上面板33Aと、該上面板33Aから下向きに折曲げられ、強度部材22の外側面22Cと間隔をもって対面する側面板33Bとにより構成されている。一方、前外面カバー33のうち強度部材22側に位置する内側面33Cには、2個のカバー側ブラケット26が設けられ、これら各カバー側ブラケット26が、強度部材22の前梁部22Aに固着された強度部材側ブラケット24にボルト27を用いて取付けられる。また、前外面カバー33の左端部には、当該前外面カバー33よりも一回り小さな相似形をなす接続端部33Dが設けられている。
【0082】
34は前外面カバー33と共に強度部材22に取付けられた縦外面カバーを示している。この縦外面カバー34は、薄肉な板材に折曲げ加工を施すことにより形成され、前外面カバー33の接続端部33Dに着脱可能に接続されるものである。そして、縦外面カバー34は、前外面カバー33の接続端部33Dから強度部材22の縦梁部22Bに沿って後方へと折曲げられ、図2に示すキャブ7の外側面7Cに沿って前,後方向に延びている。
【0083】
ここで、縦外面カバー34は、強度部材22の上面22Dとほぼ同一平面を形成する上面板34Aと、該上面板34Aから下向きに折曲げられ、強度部材22の外側面22Cと間隔をもって対面する側面板34Bとにより構成されている。一方、縦外面カバー34のうち強度部材22側に位置する内側面34Cには、3個のカバー側ブラケット26が設けられ、これら各カバー側ブラケット26が、強度部材22の前梁部22Aと縦梁部22Bとに固着された強度部材側ブラケット24にボルト27を用いて取付けられる。
【0084】
このとき、前外面カバー33の接続端部33Dが、縦外面カバー34の前端部に嵌合することにより、前外面カバー33と縦外面カバー34とが一体に接続され、前外面カバー33の上面板33Aと縦外面カバー34の上面板34Aとが同一平面を形成すると共に、前外面カバー33の側面板33Bと縦外面カバー34の側面板34Bとが同一平面を形成する。
【0085】
第2の実施の形態による左サイドフレーム32は、上述の如き前外面カバー33と縦外面カバー34との2部材からなる外面カバーを、個別に強度部材22に取付けて一体化するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0086】
然るに、第2の実施の形態によれば、強度部材22に取付けられる外面カバーを、左,右方向に延びる前外面カバー33と、この前外面カバー33に接続され、前,後方向に延びる縦外面カバー34との2部材によって構成している。
【0087】
このため、これら前外面カバー33及び縦外面カバー34の長さを短縮化すると共に、前外面カバー33及び縦外面カバー34の形状を単純化することができる。この結果、前外面カバー33と縦外面カバー34の2部材を個別に製造するときの作業性を高めることができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
【0088】
なお、上述した実施の形態では、旋回フレーム11の前部左側にキャブ7が搭載される油圧ショベル1において、厚肉な中実材からなる強度部材22を用いて左サイドフレーム21を形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば旋回フレームの前部右側にキャブを設ける場合には、旋回フレームの右サイドフレームを厚肉な中実材からなる強度部材を用いて形成してもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルの旋回フレームに適用してもよい。さらに、油圧ショベル以外にも、例えば油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
2A1 下端部
3 上部旋回体
4 作業装置
7 キャブ
8 作動油タンク(貯油タンク)
9 燃料タンク(貯油タンク)
11,31 旋回フレーム
12 センタフレーム
13 底板
13B 上面
14 左縦板
15 右縦板
19 左張出しビーム
20 右張出しビーム
21,32 左サイドフレーム(一方側のサイドフレーム)
21A 上面
22 強度部材
22A 前梁部
22A1 内側端部
22B 縦梁部
23 連結腕
24 強度部材側ブラケット
25 外面カバー
26 カバー側ブラケット
27 ボルト(締結部材)
30 右サイドフレーム(他方側のサイドフレーム)
30D 上面
33 前外面カバー
33D 接続端部(端部)
34 縦外面カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された旋回フレームを有し、該旋回フレームに作業装置が設けられた上部旋回体とからなり、
前記上部旋回体の旋回フレームは、左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びるセンタフレームと、該センタフレームを挟んで左,右両側に設けられた左,右のサイドフレームと、前記センタフレームと左,右のサイドフレームとの間に設けられた左,右の張出しビームとを備え、
前記左,右のサイドフレームのうち一方側のサイドフレームと前記センタフレームとの間には運転室を画成するキャブを設け、
前記左,右のサイドフレームのうち他方側のサイドフレームと前記センタフレームとの間には燃料および/または作動油を貯溜する貯油タンクを設けてなる建設機械において、
前記一方側のサイドフレームは厚肉な中実材からなる強度部材を用いて形成し、
前記他方側のサイドフレームは中空な筒状体を用いて形成し、
前記下部走行体の下端と前記一方側のサイドフレームの上面との間の高さ寸法は、前記下部走行体の下端と前記他方側のサイドフレームの上面との間の高さ寸法よりも低く設定し、
かつ前記強度部材には薄肉な板材を用いて形成された外面カバーを締結部材を用いて取付ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記強度部材の外側面には強度部材側ブラケットを設け、前記外面カバーの内側面にはカバー側ブラケットを設け、
前記強度部材側ブラケットと前記カバー側ブラケットとを前記締結部材を用いて締結することにより、前記強度部材に対し前記外面カバーが取付けられる構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記センタフレームは、底板と、該底板上に立設され前,後方向に延びる左,右の縦板とにより構成し、
前記強度部材は、前記キャブの前面側に位置して左,右方向に延びる前梁部と、該前梁部から屈曲し前記キャブの外側面に沿って前,後方向に延びる縦梁部とによりL字状の強度部材として形成し、
前記前梁部の内側端部には当該内側端部から後側に延びる連結腕を設け、前記前梁部の内側部位は、前記連結腕を介して前記左,右の縦板のうち一方側の縦板に溶接手段により固着すると共に、前記底板の上面に溶接手段により固着する構成とし、
前記縦梁部は、前記左,右の張出しビームのうち一方側の張出しビームに溶接手段により固着する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記外面カバーは、前記キャブの前面側に位置して左,右方向に延びる前外面カバーと、この前外面カバーの端部に接続され前記キャブの外側面に沿って前,後方向に延びる縦外面カバーとの2部材により構成してなる請求項1,2または3に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−53433(P2013−53433A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191452(P2011−191452)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)