説明

引き出し

【課題】 引き出しの側部からの収納物の溢れを防止する際、安定的かつ着脱が容易な保護部を設けた引き出しを提供すること。
【解決手段】 本発明に係る引き出しは、
少なくとも底板と前板と背板と両側の側板よりなる引き出しであって、前記側板の上方に、前記側板と略水平な棧材を、前記前板と前記背板の間に亘るように配置し、前記引き出しには保護部材と保護部材支持部とを備えた保護部が設けられ、前記保護部材支持部は、前記棧材と前記側板とのそれぞれに着脱自在に、且つ前記棧材と前記側板との間に亘るように取り付けられ、前記保護部材は、前記保護部材支持部に着脱自在に、且つ前記棧材と前記側板の間に位置するように取り付けられることを特徴とする引き出し。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房内のフロアキャビネットや洗面化粧台のキャビネットに組み込まれる引き出しに係り、特に収納物の落下を防止する機能を有する引き出しに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、引き出しからの収納物の落下を防止する機能を有するものとして、引き出しの側板の上方にカバーを設けるものは存在する(例えば、特許文献1参照)。
一方、本願出願人は、引き出し本体内の空間を前後に仕切る仕切り板を着脱自在に取り付けることのできる引出しを開示している(特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1では、側板の上端の上方に水平な桟材を架設した引出しにおいて、側板の上端と桟材との間の側面開口を覆うように側部カバーを配置して、側部カバーの下端を側板の上端に載置すると共に側部カバーの上端を桟材の外側に沿わせて、側部カバーの上端を桟材に取付けクリップにて連結している。
【特許文献1】特開2005−177187号公報
【特許文献2】実開平5−76341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、側部カバーの上端は、桟材に取付けるための取付けクリップによって取り付けられているだけであるため、側部カバーのガタツキなどが懸念される。また、側部カバーの取り付けの際には、まず側部カバーを側板に載せて、側部カバーを手で保持したまま、残る片手でクリップをつけるという過程を経る必要があった。また、取り外しの際にも、クリップを外すと側部カバーが倒れてしまうため、手で側部カバーを保持した状態でクリップを外す必要があり、面倒だった。
【0005】
そこで本発明では、引き出しの側部からの収納物の溢れを防止する際、安定的かつ着脱が容易な保護部を設けるた引き出しを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る引き出しは、
少なくとも底板と前板と背板と両側の側板よりなる引き出しであって、
前記側板の上方に、前記側板と略水平な棧材を、前記前板と前記背板の間に亘るように配置し、
前記引き出しには保護部材と保護部材支持部とを備えた保護部が設けられ、
前記保護部材支持部は、
前記棧材と前記側板とのそれぞれに着脱自在に、
且つ前記棧材と前記側板との間に亘るように取り付けられ、
前記保護部材は、
前記保護部材支持部に着脱自在に、
且つ前記棧材と前記側板の間に位置するように取り付けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
このような構成とすることで、保護部材支持部が棧材と側板のそれぞれに亘って取り付けられていることから、保護部の安定性は非常に高いものとなる。また、保護部材は保護部材支持部にのみ取り付けられているため、着脱の際には保護部全体を一度に着脱することができるため、簡単に着脱を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態を説明するのに先立って、本発明の作用及び効果について説明する。
【0009】
本発明に係る引き出しは、少なくとも底板と前板と背板と両側の側板よりなる引き出しであって、前記側板の上方に、前記側板と略水平な棧材を、前記前板と前記背板の間に亘るように配置し、前記引き出しには保護部材と保護部材支持部とを備えた保護部が設けられ、前記保護部材支持部は、前記棧材と前記側板とのそれぞれに着脱自在に、且つ前記棧材と前記側板との間に亘るように取り付けられ、前記保護部材は、前記保護部材支持部に着脱自在に、且つ前記棧材と前記側板の間に位置するように取り付けられる。
【0010】
このような構成とすることで、保護部材支持部が棧材と側板のそれぞれに亘って取り付けられていることから、保護部の安定性は非常に高いものとなる。また、保護部材は保護部材支持部にのみ取り付けられているため、着脱の際には保護部全体を一度に着脱することができるため、簡単に着脱を行うことができる。
【0011】
また、保護部材を板状としておけば、奥行き違いの引き出しに保護部を取り付ける際、加工の簡単な板状の保護部材の奥行きを変更するだけで対応できる。
【0012】
引き続いて、上記本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
本発明の引き出しAは、例えば厨房のフロアキャビネット10に設けられたシンクやコンロの下方に装着されるものであり、比較的深さの深い引き出しである。引き出しAの引き出し本体5は、図1や図2に示すように底板1と前板2と背板3と両側の側板4とで上面を開口せる角箱状に形成されている。前板2は、フロアキャビネット10の収納空間11の前面開口を覆うよう構成されている。この前板2の前面側には必要に応じて取っ手12を設けてある。本実施例において、背板3は前板2よりも高さの低いものであり、側板4は、前板2や背板3と比べて低いものとなっている。引き出しAは、フロアキャビネット10の収納空間11に対して出し入れ自在に取付けられるのであるが、側板4の部分がスライドレールにてスライド自在に支持される構成となっている。
【0014】
側板4の上端よりも上方には、側板4の上端と略水平となるように、且つ側板4の上方を、前板2から背板3に亘るように棧材6が設けられている。桟材6を配置してある。本実施例において、棧材6はパイプ状の部材となっている。桟材6の長手方向の端部は、それぞれ前板2と背板3に結合してあり、側板4の上端と桟材6との間が側面開口となっている。引き出し本体5内の空間を仕切る仕切り板7は矩形板状に形成されており、片側の上端にフック部13を設けてある。この仕切り板7は引き出し本体5内の前後方向の適宜位置に配置され、フック部13を桟材6に引っ掛けることでその位置に取付けられる。
【0015】
側面開口には、保護部材である側部カバー8と、保護部材支持部であるクリップ9とからなる保護部が設けられており、保護部は側面開口から物品が溢れ落ちることを防ぐよう設けられている。クリップ9の上端は棧材6に、クリップ9の下端は側板4の上端とそれぞれ当接するよう設けられており、引き出しAの前方と後方にそれぞれ設けられたクリップ9には、側部カバー8が取り付けられている。
【0016】
図3は側部カバー8の、図4はクリップ9の斜視図である。
【0017】
側部カバー8は、図3に示すように板状を有しており、本実施例においては、前板2の背板3との間に亘る長さで、且つ側板4の上端から桟材6まで亘るぐらいの高さの矩形板状に形成されている。形成される材料は透明または半透明の合成樹脂等であることが望ましい。
【0018】
側部カバー8を取付けるためのクリップ9は、本実施例においては側板4の上端から桟材6まで亘る高さで適宜の長さで桟材6の直径と同じぐらい幅の矩形箱状に形成されている。クリップ9の下端には、側板4にクリップ9を載置するための、略U字状の嵌合凹部14を設けてあり、クリップ9の中部には、側部カバー8の取付け部である貫通した矩形穴16を設けてあり、クリップ9の上端には棧材6にクリップ9を取り付けるための円弧状嵌合凹部15を設けてある。クリップ9は合成樹脂等の比較的弾性のある材料にて形成されている。
【0019】
次に、図5及び図6(a)及び図6(b)を用い、引き出しAへの保護部である側部カバー8及びクリップ9の取り付け方法について説明する。
【0020】
引き出しAに側部カバー8を取付けて側板4の上端と桟材6との間の側面開口を覆う場合、まず側板カバー8をクリップ9の中部にある矩形穴16に通することによって、側部カバー8を保持する。その後、クリップ9に保持された側部カバー8を、引き出しAの内側に位置させ、側板4の上端にクリップ9を配置して下端にあるU字状の嵌合凹部14を側板4の上端に嵌合させる(図6(a))。その後、クリップ9の上端にある円弧状嵌合凹部15を桟材6に嵌合して桟材6にクリップ9を介して側部カバー8を取り付ける(図6(b))。
【0021】
このように引き出しAに側部カバー8を取付けることにより、側面開口を覆うことができ、側面開口から引き出しAに収納された収納物が飛び出したりすることがなく、引き出しAの開閉の妨げになることがない。また、桟材6と側板4の間に亘って設けられたクリップ9によって側部カバー8が安定した状態で保持される。
【0022】
また、側部カバー8をクリップ9の中部になる矩形穴16を通し、クリップ9と一体になり、引き出し本体5への取付け、または取外しはワンタッチで作業ができる。これにより、保護部の引き出しAへの着脱が容易となる。
【0023】
また、引き出しBの引き出し本体14は図7に示すように蹴込み板17がついており、矩形である側部カバー8に切り欠けが必要となる。側部カバー8は形状が板状なため、成形がしやすいの上、加工も容易である。引き出しの寸法、形状のバリエーションを容易に対応することができる。
【0024】
また、側部カバー8が透明または半透明の材料にて形成してあると、内部を透視できて収納物を判別しやすい。また、側部カバー8の素材や色を変えることにより意匠のバリエーションを容易に増やすことができる。
【0025】
また、側部カバー8を取り付けるとき、上記のようにクリップ9にて取り付けるので、側部カバー8を取り付けても仕切り板7のフック部13を桟材6に引っ掛けて仕切り板7を取り付けることができる。また、クリップ9で取りつける位置を適切に選択することで、仕切り板7で仕切る位置の可動範囲を十分にとることができる。側部カバー8は着脱自在に取付けているため、側部カバー8を取り外して引き出しAを使用することができるのはもちろんである。
【0026】
なお、上記の実施例では厨房のフロアキャビネット10に用いる引出しAについて
述べたが、洗面化粧台のキャビネットなど、その他のキャビネットでも同様に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の引き出しを備えたキャビネットを示す斜視図である。
【図2】本発明の引き出しを示す斜視図である。
【図3】本発明の側部カバーを示す斜視図である。
【図4】本発明のクリップを示す斜視図である。
【図5】本発明の引き出しを示す正面図である。
【図6】本発明の引き出しの、保護部の取り付け方法を示す概略図である。
【図7】本発明の引き出しの変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0028】
A,B 引き出し
1 底板
2 前板
3 背板
4 側板
5 引き出し本体
6 棧材
7 仕切り板
8 側部カバー
9 クリップ
10 フロアキャビネット
11 収納空間
12 取っ手
13 フック部
14 嵌合凹部
15 円弧状嵌合凹部
16 矩形穴
17 蹴込み板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底板と前板と背板と両側の側板よりなる引き出しであって、
前記側板の上方に、前記側板と略水平な棧材を、前記前板と前記背板の間に亘るように配置し、
前記引き出しには保護部材と保護部材支持部とを備えた保護部が設けられ、
前記保護部材支持部は、
前記棧材と前記側板とのそれぞれに着脱自在に、
且つ前記棧材と前記側板との間に亘るように取り付けられ、
前記保護部材は、
前記保護部材支持部に着脱自在に、
且つ前記棧材と前記側板の間に位置するように取り付けられることを特徴とする引き出し。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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