説明

引起装置

【課題】補助ラグガイドのラグ姿勢切換構造を簡潔な構成にしながら、引起セット状態と倒伏セット状態との切換え操作を行い易くする引起装置を提供する。
【解決手段】引起ラグ45を引起姿勢に案内するラグガイド50と、その終端部に連接されて引起ラグ45を引起姿勢と倒伏姿勢とに切換える補助ラグガイド51を備えた引起装置2であって、引起フレーム43内に上下方向の取付け間隔を有して突設した取付ピン53に、補助ラグガイド51に穿設した縦向きの引起側溝52aと倒伏側溝52bと横向きの接続溝52cとによりコ字形状に形成した取付溝52を、スライド自在に挿入することにより、取付ピン53に引起側溝52aを係合させたとき補助ラグガイド51を引起セット状態に保持し、且つ取付ピン53に倒伏側溝52bを係合させたとき補助ラグガイド51を倒伏セット状態bに保持するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインやバインダ等に設置される引起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取部に設置される引起装置は、引起フレーム内に、複数の引起ラグを所定間隔毎に回動自在に取付けたチェンを駆動スプロケットと輪体に巻き掛け、穀稈引起し経路側で引起ラグを引起姿勢に案内するラグガイドと、その終端部に連接され引起ラグを引起セット状態と倒伏セット状態とに切換え自在にセットする補助ラグガイドとを備えている(例えば特許文献1及び特許文献2)。
上記引起装置は、補助ラグガイドを引起セット状態にすると、ラグガイドと補助ラグガイドによる長いガイド面を一連に形成し、引起ラグを引起姿勢に保持し高い位置まで上昇移行させるため、長い穀稈(長稈材)に対する引起しを十分に行うことができる。
また短い穀稈(短稈材)を引起す際には、補助ラグガイドを退動させて倒伏セット状態に切換えることにより、引起ラグはラグガイドのみによる高さに上昇移行しながら穀稈を引起すので、短稈材の穂先部に対する引起ラグの接当を回避し穂先の脱粒を防止した引起しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−127427号公報
【特許文献2】実公平3−35077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される引起装置のラグ姿勢切換構造は、補助ラグガイドを、引起フレームに上下の取付け間隔を有して穿設される横向き長孔の取付溝を介し、ボルトを挿入して締着するようにしている。このため補助ラグガイドの引起セット状態と倒伏セット状態との切換え操作は、引起カバーを取外したのち、補助ラグガイドをボルトを緩めて進退移動し所定位置に位置決めしてボルトを締着し、且つ上部フレームの再組付けを行う等の煩雑さがある。また補助ラグガイドは、引起フレームに横向きの長孔をボルト固定するだけなので、各引起ラグの引起し負荷を長期間に亘り受けるとき、ボルトの緩みに伴う補助ラグガイドのガタツキ、及び引起ラグの引起姿勢不良を生ずる等の問題がある。
【0005】
また上記特許文献2に示される引起装置のラグ姿勢切換構造は、補助ラグガイドを上下一対の並行リンクによって引起フレームに取付け、且つケース外側からレバーを操作してリンクを回動し、補助ラグガイドを引起セット状態と倒伏セット状態とに切換えるようにしている。そのため、補助ラグガイドの切換え操作は、引起カバーを外すことなく且つ工具類を必要としないで行うことができる一方、補助ラグガイドを進退作動させるリンク機構部品の点数並びに重量が増大すること、及び製造コストが高くなる等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の引起装置は、第1に、引起フレーム43内で、複数の引起ラグ45を所定間隔毎に回動自在に取付けたチェン46を駆動スプロケット47と輪体48に巻き掛け、穀稈の引起し経路2a側で引起ラグ45を引起姿勢に案内するラグガイド50と、該ラグガイド50のガイド面終端に連接されて、引起ラグ45を引起姿勢と倒伏姿勢とに切換える補助ラグガイド51とにより、引起ラグ45を起立させた引起姿勢にしながら上昇移行させると共に、非引起し経路側で倒伏姿勢にしながら下降移行させる引起装置2において、前記引起フレーム43内に上下方向の取付け間隔を有して突設した取付ピン53に、補助ラグガイド51に穿設した、引起ラグ45を引起姿勢に保持させる縦向きの引起側溝52aと、引起ラグ45を倒伏姿勢に保持させる倒伏側溝52bと、引起側溝52aと倒伏側溝52bとを連通させる横向きの接続溝52cとによりコ字形状に形成した取付溝52を、スライド自在に挿入することにより、取付ピン53に引起側溝52aを係合させた位置決め状態で補助ラグガイド51を引起セット状態aに保持し、且つ取付ピン53に倒伏側溝52bを係合させた位置決め状態で補助ラグガイド51を倒伏セット状態bに保持するように構成したことを特徴としている。
【0007】
第2に、補助ラグガイド51を、引起フレーム43に対し、該引起フレーム43に形成される下部空間55から引起セット状態aと倒伏セット状態bとに切換え操作自在に臨ませて、取付けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、補助ラグガイドに穿設した縦向きの引起側溝と倒伏側溝と横向きの接続溝とからなる取付溝を、引起フレーム内で上下方向の取付け間隔を有して突設する取付ピンにスライド自在に挿入することにより、補助ラグガイドは、取付溝を介し取付ピンに引起側溝と倒伏側溝を係合させた引起セット状態と倒伏セット状態とに速やか切換えることができると共に、補助ラグガイドは取付ピンに縦方向の引起側溝を自重をかけて係合しているので、引起セット状態において引起ラグによる左右方向の強い引起し負荷を受けても左右方向移動を確実に規制することができ、引起ラグの引起姿勢不良の発生を防止した穀稈の引起しを行うことができる。また補助ラグガイドの姿勢切換え操作を、引起カバーを外す等の煩雑作業を要することなく行うことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、補助ラグガイドを、引起フレームに形成した下部空間に姿勢切換え自在に臨ませて取付けたことにより、補助ラグガイドの姿勢切換えを、引起カバーを外すことなく、引起装置の背後から簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る引起装置を備えたコンバインの側面図である。
【図2】コンバインの正面図である。
【図3】補助ラグガイドを引起セット状態にした引起装置の正面図である。
【図4】補助ラグガイドを倒伏セット状態にした引起装置の正面図である。
【図5】図4の背面図である。
【図6】扱深調節駆動機構の構成を示す側断面図である。
【図7】穀粒排出レバーの設置構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図示する符号1は本発明に係る引起装置2を備えたコンバインであり、このコンバイン1は、左右一対のクローラ式の走行部3aを備える機体フレーム3に、その右側方位置に運転部4と図示しない原動機部とグレンタンク5を前後方向に配設し、左側方位置に脱穀部6を配設し、脱穀部6の前方位置に左右一対で2条の植立穀稈を引起す引起装置2を備える前処理部7を昇降自在に支持している。
【0012】
これによりコンバイン1は、植立する穀稈を前処理部7で刈取ると共に、刈取られた穀稈を前搬送装置8からフィードチェン9を介し脱穀部6に搬送し、脱穀部6により脱穀選別された穀粒をグレンタンク5に貯留しながらコンバイン作業を行う。そして、コンバイン1は、図7で後述する穀粒排出レバー5aを操作することにより、グレンタンク5内に貯留された穀粒を穀粒排出オーガ5bから排出することができる。
【0013】
先ず、前処理部7の各装置部及び機構等について説明する。前処理部7は、脱穀部6の前部で横向きに設置される伝動軸部11aを支点に昇降回動自在に支持される支持フレーム10と、該支持フレーム10の前部に一体的に形成される刈取部フレーム11を介して構成される。上記刈取部フレーム11には、最前部に植立穀稈を仕分ける分草体12を刈取幅の左右及び中央部に設けており、その後方に引起し経路2aを形成する左右一対の引起装置2を、前側の支持杆13aと後側の伝動支柱13によって後傾斜姿勢をなして取付け、且つ後方下部に刈取幅長さの刈刃15と、刈刃15によって刈取られた穀稈を中央部に掻き寄せながら後方送りし前搬送装置8の始端部に送り込む掻込搬送装置16を設置している。
【0014】
支持フレーム10は、前処理部7を脱穀部6の前方に横設される伝動軸部11aに軸支し、且つ前方寄りを図示しない油圧式の昇降シリンダを介して機体フレーム3と連結し、前処理部7を伝動軸部11aを支点に昇降回動するように支持されている。また支持フレーム10はその中途部又は伝動軸部11aから上方にむけて突設した伝動軸筒17によって、前搬送装置8を伝動及び扱深さ回動可能に支持している。
【0015】
この前搬送装置8は、穂側搬送体19と株側搬送帯20とを上下に一体的に併設してなり、両者を前記伝動軸筒17の支点部を中心に、後述する扱深調節駆動機構21の作動により扱深調節自在に上下回動させることができる。これにより穂側搬送体19と株側搬送帯20は、前記掻込搬送装置16によって後方送りされる穀稈の稈身の上部と下部を挟持し、扱深調節を行いながらフィードチェン9に継送することができる。
【0016】
上記扱深調節駆動機構21は図6に示すように、穀稈長を検出する扱深センサ22の検知指令又はオペレータの手動操作によって正逆回転駆動する減速機付のモータ(ギヤードモータ)23と、該モータ23の出力軸23aに接続してモータケースに軸支されるネジ軸25と、該ネジ軸25に螺挿して上下方向に移動するネジシリンダ26とからなる駆動シリンダ27と、ネジシリンダ26の頭部に設けた作動ピン28と前搬送装置8側の接続片8aとを接続するリンク機構29等から構成される。リンク機構29は作動ピン28に連結される第1リンク30の上部と、支軸31に回動自在に軸支される第2リンク32とを連結ピン33を介して連結してなり、該第2リンク32の中途に前記接続片8aを連結している。
【0017】
またネジシリンダ26の頭部には鍔状の取付片35を設けており、該取付片35の下面にシリンダ外周を一定の隙間を形成して覆う大径パイプからなる外カバー36を取付けている。そして、シリンダ外周には小径パイプからなる内カバー37をスライド自在に嵌挿すると共に、内カバー37の上方部分を上記隙間内に入り込ませている。この内カバー37は、ネジシリンダ26の最大伸長時に、内カバー37の下端部内に係合しながらモータ23のケース上壁38に接当する長さとなして設けている。これによりモータ23により正逆回転されるネジ軸25を介し、ネジシリンダ26が上下移動するとき、内カバー37はネジ軸25を覆うので、穀稈搬送時に生ずる藁屑や塵埃等の付着を防止する。また内カバー37はネジシリンダ26に遊嵌しているので、上方に持ち上げるとネジ軸25の略全長を露出させることができるため、ネジ軸25に対するグリスの塗布等のメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
【0018】
次に、引起装置2について図1〜図5を参照し説明する。左右の引起装置2は、上部フレーム(上部ケース)40と下部フレーム(下部ケース)41を上下に重ね合わせて構成される引起フレーム(引起ケース)43内で、複数の引起ラグ45を所定間隔毎に回動自在に取付けた無端帯状のチェン46を、下部フレーム41の上下部に軸支される駆動スプロケット47とローラ状の輪体48に巻き掛けている。そして、引起装置2は穀稈の引起し側では引起ラグ45を横方向に起立突出して上昇移行させる引起姿勢(起立姿勢)と、非引起し側では引起ラグ45を後退方向に倒伏させて下降移行する倒伏姿勢にすることができる。
【0019】
また左右の引起装置2は、引起フレーム43の上面を引起カバー49によって着脱自在に覆っている。即ち、引起カバー49は図5に示すように、その上部側を引起フレーム43の上係止部43aに係止した状態で、下部側をノブボルト43bによって引起フレーム43にボルト止めをしている。また引起フレーム43の非引起し経路側は、側面視三角形状の側方カバー49aによって着脱自在に覆っている。この側方カバー49aは図1,図3,図5で示すように、その下部側を刈取部フレーム11側の係止部材に抜き差し自在に挿入係止した状態で、上部側をノブボルト43cによって引起フレーム43の上部に突設した取付座43dにボルト止めをしている。これにより側方カバー49aは、引起し装置2と後方の伝動支柱13との側方を開閉自在に覆っている。
【0020】
各引起装置2は、引起フレーム43の引起し側でチェン46に沿わせ、引起ラグ45をケース下部側から引起姿勢となして短稈材引起し距離の上昇移行を案内するラグガイド50を設け、且つ該ラグガイド50のガイド面の終端に補助ラグガイド51を後述するラグ姿勢切換構造によって設けている。これにより引起装置2は、補助ラグガイド51を左右(横)方向に進退移動させるように切換え操作すると、ラグガイド50の終端部から上昇移行する引起ラグ45を、引起姿勢から後退方向に倒伏させる倒伏姿勢とに可逆的に切換えることができる。
【0021】
図示するラグ姿勢切換構造は、補助ラグガイド51の取付け面の上下に取付け間隔を有してコ字形状の取付溝52を穿設すると共に、下部フレーム41の取付け面の上下に、上記各取付溝52をスライド自在に挿入させる鍔状の頭部を有する取付ピン53を突設している。即ち、上記補助ラグガイド51に穿設される上下の取付溝52は、ケース内側寄りで縦(上下)方向に形成される引起側溝52aと、ケース外側寄り(引起し経路側)で縦方向に形成される倒伏側溝52bと、両溝の下部を横(左右)方向に接続する接続溝52cとからなり、プレス打抜き加工等により一連に形成することができる。
【0022】
これにより図3に示すように、取付ピン53に引起側溝52aの溝上端を係合させた位置決め状態において、補助ラグガイド51は引起ラグ45を起立させた引起姿勢に保持して上昇移行させる引起セット状態aにすることができる。また補助ラグガイド51を引起セット状態aから、実線矢印の上方向に押動し取付ピン53にスライドさせて上方移動させ、次いで接続溝52cを介して横移動したのち溝端で下方移動させると、補助ラグガイド51は自重を付加した状態で引起側溝52aを取付ピン53にスライドさせて下降することができる。これにより補助ラグガイド51は、倒伏側溝52bの溝上端を取付ピン53に位置決め係合し、引起ラグ45をラグガイド50から倒伏姿勢に切換えて上昇移行させる倒伏セット状態bにすることができる。
【0023】
また倒伏セット状態bにある補助ラグガイド51を引起セット状態aに切換えセットするときは、上記の切換え操作と逆順の操作によって補助ラグガイド51を、取付溝52を介し上記と同様なワンタッチ操作によって引起セット状態aに切換えることができる。また補助ラグガイド51は、駆動スプロケット47と輪体48との間で切欠した引起フレーム43の下部空間55に対し、補助ラグガイド51の引起ラグ45ガイド面とは反対側の下部が一部露出するように臨ませて配置してある。これにより作業者は、引起カバー49を取外すことなく引起装置2の背後から、下部空間55内に手を差し入れて、補助ラグガイド51の上下移動及び横方向の進退移動を、スパナやドライバ等の工具を用いることなく容易に行うことができる。
【0024】
以上のように構成される引起装置2は、図3に示す補助ラグガイド51の引起セット状態aでは、ラグガイド50から上方に長いガイド面を一連に形成することができ、引起し経路2aにおいて引起ラグ45を引起姿勢で上昇移行させるので、長稈材に対する引起しを十分に行うことができる。また短稈材を引起す際には図4,図5に示すように、補助ラグガイド51を取付溝52を介して退動させ倒伏セット状態bに切換えると、引起ラグ45はラグガイド50のみで上昇移行されて穀稈を引起したのち、退動した補助ラグガイド51に至ると速やかに倒伏姿勢になる。これにより短稈材の穂先部に対する引起ラグ45の接当を回避し穂先の脱粒を防止した引起しをスムーズに行う。
【0025】
上記のような引起し作業を行う引起装置2は、引起フレーム43内に上下方向の取付け間隔を有して突設した各取付ピン53に対し、補助ラグガイド51に穿設した引起側溝52aと倒伏側溝52bと両者の接続溝52cとからなるコ字形状の各取付溝52を挿入していることにより、補助ラグガイド51による引起ラグ45の引起セット状態aと倒伏セット状態bとの切換え操作を、引起カバー49を取外すことなく外部から簡単に行うことができる。
【0026】
即ち、実施形態におけるラグ姿勢切換え操作は、必要により左側の側方カバー49aを外した状態で、引起装置2に対し背後から下部空間55内に手を差し入れ、各補助ラグガイド51を自重に抗して上方に移動させ取付ピン53との係合を解除した状態で、接続溝52cを介して横移動(退動)させて下方に移動させる。これにより補助ラグガイド51は、倒伏側溝52bを介して取付ピン53に係合するため、倒伏セット状態bへの位置決め固定を速やかに完了することができる。また補助ラグガイド51の倒伏セット状態bから引起セット状態aへの復帰操作は、上記と同様な補助ラグガイド51の上方移動と横移動(進動)と下降移動により、引起側溝52aを取付ピン53に係合させて行う。
【0027】
この際に、補助ラグガイド51は、その自重を利用して縦方向の引起側溝52aを取付ピン53に係合させているので、引起ラグ45による左右方向の強い引起し負荷を繰り返し受けたとしても、従来の長孔とボルトにより補助ラグガイド51を締着する取付け手段のように、長期の使用に伴うボルトの緩み等に伴う補助ラグガイド51のガタツキや、引起ラグ45の引起姿勢不良の発生を伴うといった不具合を防止することができる。また簡潔で廉価な構成にしながら長期間の使用を可能にすることができる。
【0028】
尚、実施形態の引起装置2では、補助ラグガイド51のラグ姿勢切換え操作を背後から行うようにしたが、引起カバー49を取外すことなく引起装置2の上方から切換え操作を行う場合には、該引起カバー49に開閉容易な蓋付の小窓を形成すると、該小窓から同様な補助ラグガイド51の進退操作を行うことができる。さらに、取付ピン53は引起フレーム43に突設した頭部付の固定ピンに代りボルトにしてもよく、この場合には、補助ラグガイド51をボルトに係合させた状態で、引起フレーム43に締着することにより上下方向の固定を強く行うことができる。
【0029】
次に、図1,図7を参照し前記グレンタンク5内に貯留される穀粒を排出する穀粒排出レバー5aについて説明する。この穀粒排出レバー5aは、グレンタンク5の側壁に取付けられた操作ボックス57に操縦部4側から操作可能に設けられている。また穀粒排出レバー5aは操作ワイヤ58を介して図示しない穀粒排出用ベルトクラッチを操作可能に接続しており、グレンタンク5内の穀粒排出螺旋を入り切り自在に回転駆動することができる。これにより穀粒排出レバー5aは、前方矢印方向への回動操作により、タンク底部の穀粒排出螺旋及び穀粒排出オーガ5b内の螺旋体を回転駆動させてグレンタンク5内の穀粒排出を行う。
【0030】
この穀粒排出レバー5aと操作ワイヤ58との取付けは、操作ボックス57のカバー構造を利用して行い易くしている。即ち、穀粒排出レバー5aは操作ボックス57内で、支持軸60により回動自在に軸支されており、そのレバーアーム端に連結した鉤型のワイヤ取付リンク61の端部と、機体側の取付部材62に支持される操作ワイヤ58のインナワイヤ58aとを、コイルスプリング63によって連結している。そして、操作ボックス57には、上記コイルスプリング63に対向する壁面位置に、メンテナンス用の作業孔64を方形状に開口形成しており、該作業孔64を覆う蓋カバー65を上記コイルスプリング63を取付ける際のゲージとして利用するようにしている。
【0031】
この蓋カバー65は、内側面の右辺に蓋係合用の取付片66を固設しており、該取付片66は図7(b)に示すゲージ形状にしている。これにより蓋カバー65は、その右辺と取付片66との間に操作ボックス57の開口縁を差し入れて係合させた状態で、左辺の中間位置を1本のボルト67で締着することにより、作業孔64に取付けることができる。上記取付片66は図7(b)で示す右辺の上下長さ(ゲージ長)Sが、図7(a)で示すワイヤ取付リンク61とインナワイヤ58aのワイヤ取付け部との間隔(スプリング取付間隔)Lをコイルスプリング63のセット長となるように設定している。そして、右辺の央部には、コイルスプリング63のコイル部を嵌めることができる形状と深さのコイルスプリング嵌挿部68を凹入形成している。
【0032】
これにより操作ボックス57から外された蓋カバー65は、その取付片66を作業孔64に入れて、前記スプリング取付間隔Lとゲージ長Sとの差異を目視し、次いで、スプリング取付間隔Lがゲージ長Sと一致するようにインナワイヤ58aの取付け位置を調節する。この場合にスプリング取付間隔Lの調節は、取付部材62に嵌挿しているアウタワイヤ58bのネジ部58cを、ナット60,61の固定位置を調節することによりインナーレール16の取付け位置を固定すると、ゲージ長Sに一致する位置でコイルスプリング63の取付けセットを精度よく簡単に行うことができる。
【0033】
従って、上記構成による取付片66を備えた蓋カバー65は、穀粒排出レバー5aとインナワイヤ58aとを弾力的に接続するコイルスプリング63の適正取付けを行うゲージを兼用しながら、1本のボルト67によって作業孔64を簡単に覆うことができる等の特徴がある。
【符号の説明】
【0034】
1 汎用コンバイン
2 引起装置
43 引起フレーム
45 引起ラグ
46 チェン
41 下部フレーム
47 駆動スプロケット
48 輪体
50 ラグガイド
51 補助ラグガイド
52 取付溝
52a 引起側溝
52b 倒伏側溝
52c 接続溝
53 取付ピン
55 下部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引起フレーム(43)内で、複数の引起ラグ(45)を所定間隔毎に回動自在に取付けたチェン(46)を駆動スプロケット(47)と輪体(48)に巻き掛け、穀稈の引起し経路(2a)側で引起ラグ(45)を引起姿勢に案内するラグガイド(50)と、
該ラグガイド(50)のガイド面終端に連接されて、引起ラグ(45)を引起姿勢と倒伏姿勢とに切換える補助ラグガイド(51)とにより、引起ラグ(45)を起立させた引起姿勢にしながら上昇移行させると共に、非引起し経路側で倒伏姿勢にしながら下降移行させる引起装置(2)において、
前記引起フレーム(43)内に上下方向の取付け間隔を有して突設した取付ピン(53)に、補助ラグガイド(51)に穿設した、引起ラグ(45)を引起姿勢に保持させる縦向きの引起側溝(52a)と、引起ラグ(45)を倒伏姿勢に保持させる倒伏側溝(52b)と、引起側溝(52a)と倒伏側溝(52b)とを連通させる横向きの接続溝(52c)とによりコ字形状に形成した取付溝(52)を、スライド自在に挿入することにより、
取付ピン(53)に引起側溝(52a)を係合させた位置決め状態で補助ラグガイド(51)を引起セット状態(a)に保持し、且つ取付ピン(53)に倒伏側溝(52b)を係合させた位置決め状態で補助ラグガイド(51)を倒伏セット状態(b)に保持するように構成した引起装置。
【請求項2】
補助ラグガイド(51)を、引起フレーム(43)に対し、該引起フレーム(43)に形成される下部空間(55)から引起セット状態(a)と倒伏セット状態(b)とに切換え操作自在に臨ませて、取付けた請求項1記載の引起装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39100(P2013−39100A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179327(P2011−179327)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】