説明

弾性嵌め込み丁番片、及び同取り付け構造

【課題】 樹脂製フロントフレームへの丁番の組み付けを簡単にし、正確に組み付けの精度を出せるようにする事。
【解決手段】 後端部に丁番部(20)を有し、前端部には、その先端部に開口部(31)を有するスリット(32)を有し、前端部表面に少なくとも一箇所以上の戻り止め爪(34)を有する板状弾性体とそれに連設する嵌合用の溝(35)と留め板(36)とを有し、そして前記後端部と前端部を連結する中間部とからなる弾性嵌め込み丁番片を採り入れると共に、更に、樹脂製フロントフレーム(50)の左右の外側端部それぞれに形成された少なくとも一方が開口された穴部(53)と、該穴部から連設された戻り止め凹部(54)と、そして、前記穴部入口から裏面に連設された上下の嵌合用突起部となる壁部により囲まれたスロットとに、前記弾性嵌め込み丁番片の前端部を嵌め込んだ取り付け構造の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂製フロントフレームに取り付ける金属製の丁番片とその取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂製のフロントフレームとテンプルとの間の連結としては、例えば実開昭54−141323号の様に金属製の丁番をフロントフレーム端部とテンプル部端部に埋設して動かないように安定する方法が殆どを占めてきた。
【0003】
【特許文献1】実開昭54−141323号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図7の様に上記方法を採る事により、丁番基部をフロントフレームに埋設する際にきちんとした精度が出せない。即ち、丁番コマの取り付け角度、位置のズレ、捩れ等がどうしても起きてしまう。それをフロントフレームとテンプルとの当接部である突当部に於いて、切削等により微調整や修正等が行われて来た。そして又、どうしてもフロントフレームを平面状に形成しがちになってしまう。それは、フロントフレームに曲面(R)をつけると、その外側端部に埋設する丁番の角度や位置は更に精度が出し難くなり、手間が掛かってしまうからである。そして眼鏡を掛ける時等に於いて少し外側にテンプルを開拡すると樹脂フロントフレームと樹脂テンプルがギシギシと軋む接触音がして感じが良くなかった。又、組立て、組み付けにも手間が掛かり高価に付いてしまった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する為に、先ず、後端部に丁番部を有し、前端部には、その先端部に開口部を有するスリットを有し、前端部表面に少なくとも一箇所以上の戻り止め爪を有する板状弾性体とそれに連設する嵌合用の溝と留め板とを有し、そして前記後端部と前端部を連結する中間部とからなる事を特徴とする弾性嵌め込み丁番片を採り入れると共に、更に、樹脂製フロントフレームの左右の外側端部それぞれに形成された少なくとも一方が開口された穴部と、該穴部から連設された戻り止め凹部と、そして、前記穴部入口から裏面に連設された上下に嵌合用突起部となる壁部により囲まれたスロットとに、前記弾性嵌め込み丁番片の前端部を嵌め込んだ取り付け構造とした。
【0006】
そして、後端部に丁番部を有し、前端部には、その先端部に開口部を有するスリットを有し少なくとも表裏面のどちらか一面に少なくとも一箇所以上の戻り止め爪を有する板状弾性体を有し、そして前記後端部と前端部を連結する中間部とからなる事を特徴とする弾性嵌め込み丁番片の提供を図り、樹脂製フロントフレームの左右の外側端部それぞれに形成された少なくとも一方が開口された穴部と該穴部から連設された戻り止め凹部に、前記弾性嵌め込み丁番片の前端部を嵌め込んだ取り付け構造とした。
【0007】
そして、更に、丁番部の後方に連結されたテンプル先端部と前記フロントフレーム外側端部が当接しないような弾性丁番片の取り付け構造とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明により先ず第一に、組み立て、組み付けが簡単になった事である。即ち、テンプルに本発明の弾性嵌め込み丁番を組み付けた後、フロントフレームに差し込むだけで組み付けが終わってしまう事である。又、フロントフレームに多少のアール(曲率R)を付けても、狂いが少なく形成できる事である。そしてテンプル樹脂とフロントフレーム樹脂が当接し難い構造となっているために軋み音が出ない事である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
後端部に丁番部を有し、前端部には、その先端部に開口部を有するスリットを有し、前端部表面に少なくとも一箇所以上の戻り止め爪を有する板状弾性体とそれに連設する嵌合用の溝と留め板とを有し、そして前記後端部と前端部を連結する中間部とからなる事を特徴とする弾性嵌め込み丁番片、及び、樹脂製フロントフレームの左右の外側端部それぞれに形成された少なくとも一方が開口された穴部と、該穴部から連設された戻り止め凹部と、そして、前記穴部入口から裏面に連設された上下に嵌合用突起部となる壁部により囲まれたスロットとに、前記弾性嵌め込み丁番片の前端部を嵌め込んだ取り付け構造。
【実施例1】
【0010】
図1〜図4は本発明の請求項1〜2に関連する実施例図であり、図1は本発明の弾性嵌め込み丁番片の斜視図で、図2はその組み付け平面図、図3は組み付け前のフロントフレームの外側端部背面図で、図4は図2の全体平面図である。
【0011】
図1に示した如く、後端部に丁番部20(この場合は雌コマ部として図示されているが勿論雄コマ部でも良い)を有し、前端部にはその先端部30に開口部31を有する弾性を生じさせる為のスリット32を有し、前端部表面33に戻り止め用の爪34が設けられている。そして嵌合用の溝35と留め板36が設けられ、そして、後端部と前端部を連結する中間部37とから構成されている。前記嵌合用の溝35は、フロントフレーム50の嵌合用突起となる壁51,52に嵌合する。
【0012】
そして、次に図2の如く、テンプル40とフロントフレーム50に連結されることになる。この時上述した様に、予めテンプル40に本発明の弾性嵌め込み丁番片10をネジ締めしておいてからフロントフレーム穴部53に嵌め込むと簡単で手間が掛からない。それを、テンプルとフロントフレームを直接にネジ止めしようとすると長いテンプルやフロントフレームが邪魔になりなかなかはかどらない事となる。又、戻り止め凹部54と戻り止め用爪34もしっかり嵌合する事により嵌め殺し状態となり互いに外れる事無くしっかりと結合される。勿論接着剤等がここに使用されても良い。図3はフロントフレーム50の穴部53近辺の背面図である。図4は組み立て後の全体平面図であり、テンプル40の最先端部41とフロントフレーム外側端部55が接触または当接し難い構造となっている。ここで樹脂製フロントフレームは射出等の成型でもシート材を切り出し加工したものであっても良い。
【実施例2】
【0013】
図5〜6は請求項3及び4に関連する第二の実施例の関連図である。図5は本発明の第二の実施例の斜視図であり、この場合は、後端部に丁番部20aを有し、前端部の先端部30aには開口部31aを有する弾性を生じさせるスリット32aを有し、少なくとも表裏面のどちらか一面(図の場合は表面にしてある)又は両面に戻り止め用爪34aを有した板状弾性体であり、そして前端部と後端部を中間部37aにより連結している。この場合は、図6のように、フロントフレーム50aの側部からめくら穴に前記弾性嵌め込み丁番片の前端部12aを嵌合するだけで良く、この方法でも本発明の課題は解決可能である。又、上記板状弾性体はU字型の板バネでも勿論構わない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
通常の矯正用の眼鏡は元より、サングラス、ゴーグル等に於いても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施例の斜視図
【図2】本発明の第一の実施例の組み付け平面図
【図3】本発明の第一の実施例の組み付け前のフロントフレーム背面図
【図4】本発明の第一の実施例の組み付け後の平面図
【図5】本発明の第二の実施例の斜視図
【図6】本発明の第二の実施例の組み付け後の平面図
【図7】従来図
【符号の説明】
10 本発明の弾性嵌め込み丁番片
11 弾性嵌め込み丁番片の後端部
12 弾性嵌め込み丁番片の前端部
20 丁番部
31 弾性嵌め込み丁番片の前端部開口部
32 スリット
33 弾性嵌め込み丁番片の前端部表面
34 戻り止め用爪
35 嵌合用溝
36 留め板
37 中間部
40 テンプル
50 樹脂製フロントフレーム
51,52 嵌合用凸部(壁部)
53 穴
54 戻り止め爪用係止凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端部に丁番部を有し、前端部には、その先端部に開口部を有するスリットを有し、前端部表面に少なくとも一箇所以上の戻り止め爪を有する板状弾性体とそれに連設する嵌合用の溝と留め板とを有し、そして前記後端部と前端部を連結する中間部とからなる事を特徴とする弾性嵌め込み丁番片。
【請求項2】
樹脂製フロントフレームの左右の外側端部それぞれに形成された少なくとも一方が開口された穴部と、該穴部から連設された戻り止め凹部と、そして、前記穴部入口から裏面に連設された上下に嵌合用突起部となる壁部により囲まれたスロットとに、前記弾性嵌め込み丁番片の前端部を嵌め込んだ事を特徴とする請求項1記載の弾性嵌め込み丁番片の取り付け構造。
【請求項3】
後端部に丁番部を有し、前端部には、その先端部に開口部を有するスリットを有し少なくとも表裏面のどちらか一面に少なくとも一箇所以上の戻り止め爪を有する板状弾性体を有し、そして前記後端部と前端部を連結する中間部とからなる事を特徴とする弾性嵌め込み丁番片。
【請求項4】
樹脂製フロントフレームの左右の外側端部それぞれに形成された少なくとも一方が開口された穴部と該穴部から連設された戻り止め凹部に、前記弾性嵌め込み丁番片の前端部を嵌め込んだ事を特徴とする請求項3記載の弾性嵌め込み丁番片の取り付け構造。
【請求項5】
前記丁番部の後方に連結されたテンプル先端部と前記フロントフレーム外側端部が当接しないように設けられた事を特徴とする請求項2又は4の何れか1項に記載の弾性丁番片の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−276148(P2008−276148A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141056(P2007−141056)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(390013985)長谷川眼鏡株式会社 (9)
【Fターム(参考)】