説明

形態形成タンパク質発現を調節するための方法および組成物

【課題】 内因性組織モルフォゲン、特に骨形成タンパク質−1(OP−1)および近縁の遺伝子の発現を調節し得る化合物をスクリーニングするための組成物および方法を提供すること。
【解決手段】 1つ以上のOP−1特異的、非コードヌクレオチド配列および適切なリポーター遺伝子を用いて、組織形態形成タンパク質、特にOP−1、OP−1ホモログおよび近縁のタンパク質の発現を調節するそれらの能力について、化合物をスクリーニングするための方法および組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
【0002】
【数1】

【0003】
(発明の分野)
【0004】
【数2】

【背景技術】
【0005】
(発明の背景)
【0006】
【数3】

【0007】
【数4】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
【数5】

【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
項目1.天然に存在する条件下で、OP1に隣接して存在する少なくとも1つのOP1特異的な非コード配列に作動性に連結したリポーター遺伝子を規定するDNA配列を含むベクターであって、上記非コード配列は、上記ベクター上の上記リポーター遺伝子の発現に影響を及ぼす能力がある、ベクター。
項目2.上記非コード配列は、核酸結合分子により機能し、それによって、上記リポーター遺伝子の発現に影響を及ぼし得る、項目1に記載のベクター。
項目3.上記非コード配列は、塩基3170〜3317(配列番号1);塩基3020〜3317(配列番号1);塩基2790〜3317(配列番号1);塩基2548〜3317(配列番号1);塩基2150〜2296(配列番号2);塩基2000〜2296(配列番号2);塩基1788〜2296(配列番号2);塩基1549〜2296(配列番号2)により規定されるDNA配列(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)からなる群より選択される、項目1に記載のベクター。
項目4.上記非コード配列は、塩基2300〜3317(配列番号1);塩基1300〜3317(配列番号1);塩基1〜3317(配列番号1);塩基2548〜2790(配列番号1);塩基1549〜2790(配列番号1);塩基1〜2790(配列番号1);塩基800〜2296(配列番号2);塩基1〜2296(配列番号2);塩基1549〜1788(配列番号2);塩基800〜1788(配列番号2);塩基1〜1788(配列番号2)により規定されるDNA配列(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の群より選択される、項目1に記載のベクター。
項目5.上記非コード配列は、配列番号3(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の一部もしくは全体により規定される、項目1に記載のベクター。
項目6.上記非コード配列は、OP1イントロン配列の一部または全体を含む、項目1に記載のベクター。
項目7.OP1イントロンの一部もしくは全体を規定する上記配列は、配列番号1(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の塩基3736〜10700;塩基10897〜11063;塩基11217〜11424;塩基11623〜13358;塩基13440〜10548;塩基15166〜17250;全体からなる配列の群より選択される、項目6に記載のベクター。
項目8.上記ベクターは、少なくとも第2の上記非コード配列を含む、項目1に記載のベクター。
項目9.上記第2の非コード配列は、項目2、3、4、5または7に規定される配列の群より独立して選択される、項目8に記載のベクター。
項目10.上記非コード配列は、少なくとも1つのWt−1/Egrコンセンサス結合エレメントを規定する、項目1に記載のベクター。
項目11.上記非コード配列は、1〜6の間のWt−1/Egr結合エレメントを規定する、項目1に記載のベクター。
項目12.上記非コード配列は、FTZ結合エレメントの少なくとも一部を規定する、項目1に記載のベクター。
項目13.上記非コード配列は、ステロイド結合エレメントを規定する、項目1に記載のベクター。
項目14.項目1、3、4、5、6、10、11または12のいずれかに記載のベクターを用いてトランスフェクトされた、細胞。
項目15.上記ベクターのDNAの少なくとも一部が、細胞のゲノム内に作動可能に組み込まれている、項目14に記載のトランスフェクトされた細胞。
項目16.上記細胞のゲノムが、OP−1遺伝子座を有し、かつ、上記トランスフェクトされたDNAの少なくとも一部が、上記OP−1遺伝子座において上記ゲノム内に作動可能に組み込まれている、項目15に記載のトランスフェクトされた細胞。
項目17.上記細胞が、天然に存在する条件下で、OP1を発現する、項目14に記載のトランスフェクトされた細胞。
項目18.上記細胞が、上皮細胞である、項目17に記載のトランスフェクトされた細胞。
項目19.上記細胞が、腎臓(kidney)細胞起源、腎臓(renal)細胞起源、尿生殖器細胞起源、肝細胞起源、骨細胞起源、心臓細胞起源、肺細胞起源または神経細胞起源である、項目17に記載のトランスフェクトされた細胞。
項目20.トランスフェクトされたベクターを含む細胞であって、上記ベクターは、少なくとも2つのDNA配列と作動可能に連結したリポーター遺伝子を規定し、第1の上記配列は、塩基2548〜2790(配列番号1);塩基2548〜3317(配列番号1);塩基1549〜1788(配列番号2);塩基1549〜2296(配列番号2)からなる群より選択される配列(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の一部または全体を含み、そして、第2の上記配列は、DNA結合分子により機能し得るベクターであって、上記第1の配列および第2の配列は、上記リポーター遺伝子の発現に影響を及ぼす能力がある配列を規定する、細胞。
項目21.上記第2のDNA配列は、少なくとも1つのWt−1/Egr−1コンセンサスエレメント(配列番号4)を含む、項目20に記載の細胞。
項目22.上記第2のDNA配列は、1〜6の間のWt−1/Egr−1コンセンサスエレメント(配列番号4)を含む、項目21に記載の細胞。
項目23.上記第2のDNA配列は、少なくとも6のWt−1/Egr−1コンセンサスエレメント(配列番号4)を含む、項目21に記載の細胞。
項目24.上記第2のDNA配列は、TCCエレメント、FTZ結合エレメントおよびステロイド結合エレメントからなる配列の群より選択される、項目20に記載の細胞。
項目25.上記リポーター遺伝子に作動可能に連結し、上記遺伝子の発現に影響を及ぼす能力がある第3のDNA配列をさらに含み、上記第3のDNA配列は、独立して、TCCエレメント、FTZ結合エレメントおよびステロイド結合エレメントからなる配列の群より選択される、項目20に記載の細胞。
項目26.上記リポーター遺伝子に作動可能に連結し、上記遺伝子の発現に影響を及ぼす能力がある第3のDNA配列をさらに含み、上記第3のDNA配列は、独立して、塩基3736〜10700(配列番号1);塩基10897〜11063(配列番号1);塩基11217〜11424(配列番号1);塩基11623〜13358(配列番号1);塩基13440〜10548(配列番号1);塩基15166〜17250(配列番号1)からなる配列(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の群より選択される、項目20に記載の細胞。
項目27.OP−1の発現を調節する能力について、候補化合物をスクリーニングするための方法であって、上記方法は、以下の工程:
(a)上記候補化合物を、天然に存在する条件下で、OP1遺伝子に隣接して存在する、少なくとも1つのOP1特異的な非コード配列と作動可能に連結したリポーター遺伝子を規定するDNA配列を含むベクターを用いてトランスフェクトされた細胞と共にインキュベートする工程であって、上記非コード配列は、上記ベクター上の上記リポーター遺伝子の発現に影響を及ぼす能力がある、工程;
(b)上記細胞において発現されるリポーター遺伝子のレベルを測定する工程;および
(c)上記レベルを、上記候補化合物の非存在下で上記細胞において発現される上記リポーター遺伝子のレベルと比較する工程であって、ここで、リポーター遺伝子発現レベルの増加は、上記候補がインビボにおいてOP−1発現を増加する能力の指標であり、そして、リポーター遺伝子発現レベルの減少は、上記候補がインビボにおいてOP−1発現を阻害する能力の指標である、工程
を包含する、方法。
項目28.上記非コード配列は、核酸結合分子により機能し得、それによって、上記リポーター遺伝子の発現に影響を及ぼし得る、項目27に記載の方法。
項目29.上記非コード配列は、塩基3170〜3317(配列番号1);塩基3020〜3317(配列番号1);塩基2790〜3317(配列番号1);塩基2548〜3317(配列番号1);塩基2150〜2296(配列番号2);塩基2000〜2296(配列番号2);塩基1788〜2296(配列番号2);塩基1549〜2296(配列番号2)により規定されるDNA配列(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の群より選択される、項目27に記載の方法。
項目30.上記非コード配列は、塩基2300〜3317(配列番号1);塩基1300〜3317(配列番号1);塩基1〜3317(配列番号1);塩基2548〜2790(配列番号1);塩基1549〜2790(配列番号1),塩基1〜2790(配列番号1);塩基800〜2296(配列番号2);塩基1〜2296(配列番号2);塩基1549〜1788(配列番号2);塩基800〜1788(配列番号2);塩基1〜1788(配列番号2)により規定されるDNA配列(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の群より選択される、項目27に記載の方法。
項目31.上記非コード配列は、項目5、6または7により規定される配列からなる群より選択される、項目27に記載の方法。
項目32.OP−1の発現を調節する能力について候補化合物をスクリーニングする方法であって、上記方法は、以下の工程:
(a)項目20、21、24または25に記載の細胞と共に、上記候補化合物をインキュベートする工程;
(b)上記細胞において発現されるリポーター遺伝子のレベルを測定する工程;および
(c)上記レベルを、上記候補化合物の非存在下で上記細胞において発現される上記リポーター遺伝子のレベルと比較する工程であって、ここで、リポーター遺伝子発現レベルの増加は、上記候補がインビボにおいてOP−1発現を増加する能力の指標であり、そして、リポーター遺伝子発現レベルの減少は、上記候補がインビボにおいてOP−1発現を阻害する能力の指標である、工程
を包含する、方法。
項目33.項目27または32に記載の方法により同定される、化合物。
項目34.配列番号2(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の塩基1〜1871により規定されるDNA配列を含む、実質的に純粋な核酸。
項目35.配列番号3(その対立遺伝子、種、および他の配列改変体を含む)の塩基1〜2997により規定されるDNA配列を含む、実質的に純粋な核酸。
項目36.上記リポーター遺伝子に作動可能に連結されたOP1プロタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部または全体をさらに含む、項目1、3、4、5または7に記載のベクター。
項目37.上記ベクターが、上記リポーター遺伝子に作動可能に連結されたOP1プロタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部または全体をさらに含む、項目27に記載の方法。
項目38.細胞においてOP−1の発現を調節する能力を有する候補化合物を産生する方法であって、上記方法は、以下の工程:
(a)項目27に記載の方法により、候補化合物を得る工程、および
(b)上記候補化合物、または、上記候補と同一のOP−1発現調節能力を実質的に有するその誘導体のいずれかを産生する工程
を包含する、方法。
項目39.上記工程(b)により産生された上記候補化合物、またはその誘導体が、組換えDNA技術、または非生物学的なペプチド合成によるものである、項目38に記載の方法。
項目40.細胞におけるOP−1発現を調節し得る候補分子を同定するためのキットであって、このキットは、以下:
(a)サンプルを受容するために適合された容器であって、上記サンプルは、天然に存在する条件下で、OP−1遺伝子に隣接して存在する、少なくとも1つのOP−1特異的な非コード配列と作動可能に連結したリポーター遺伝子を含むDNA配列をコードするベクターを含み、上記非コード配列は、上記リポーター遺伝子の発現に影響を及ぼす能力があり、ここで、上記ベクターは、細胞内に保有される、容器、および
(b)上記候補化合物を上記サンプルに対して曝露した後に、上記リポーター遺伝子の発現を検出するための手段
を備える、キット。
項目41.上記リポーター遺伝子が、OP−1 DNA配列を含む、項目40に記載のキット。
【0010】
【数6】

【0011】
【数7】

【0012】
【数8】

【0013】
【数9】

【0014】
【数10】

【0015】
【数11】

【0016】
【数12】

【0017】
【数13】

【0018】
【数14】

【0019】
【数15】

【0020】
【数16】

【0021】
【数17】

【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(詳細な説明)
【0023】
【数18】

【0024】
【数19】

【0025】
【数20】

【0026】
【数21】

【0027】
【数22】

【0028】
【数23】

【0029】
【数24】

【0030】
【数25】

【0031】
【数26】

【0032】
【数27】

【0033】
【数28】

【0034】
【数29】

【0035】
【数30】

【0036】
【数31】

【0037】
【数32】

【0038】
【数33】

【0039】
【数34】

【0040】
【数35】

【0041】
【数36】

【0042】
【数37】

【0043】
【数38】

【0044】
【数39】

【0045】
【数40】

【0046】
【数41】

【0047】
【数42】

【0048】
【数43】

【0049】
【数44】

【0050】
【数45】

【0051】
【数46】

【0052】
【数47】

【0053】
【数48】

【0054】
【数49】

【0055】
【数50】

【0056】
【数51】

【0057】
【数52】

【0058】
【数53】

【0059】
【数54】

【0060】
【数55】

【0061】
【数56】

【0062】
【数57】

【0063】
【数58】

【0064】
【数59】

【0065】
【数60】

【0066】
【数61】

【0067】
【数62】

【0068】
【数63】

【0069】
【数64】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1A】。
【数65】


【図1B】。
【数66】


【図2】図2は、エストロゲンによるマウス子宮のOP−1 mRNA調節の時間経過を示す。
【図3A】。
【数67】


【図3B】。
【数68】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)骨形成タンパク質−1(OP−1)の特異的上流非コード配列の単一の核酸フラグメントであって、ここで、該核酸フラグメントは、配列番号1のヌクレオチド3170〜3317、3020〜3317、2790〜3317、2548〜3317、2300〜3317、1300〜3317、2548〜2790、1549〜2790、もしくは、1〜2790を含み、ここで、単離された核酸は、該OP−1上流配列の核酸フラグメントの1つより多くを含まない、単一の核酸フラグメント;あるいは
b)(i)骨形成タンパク質−1(OP−1)の特異的上流非コード配列の核酸フラグメントであって、ここで、該核酸フラグメントは、配列番号2のヌクレオチド2150〜2296、2000〜2296、1788〜2296、1549〜2296、800〜2296、1〜2296、1549〜1788、800〜1788、もしくは、1〜1788を含む、核酸フラグメント;または
(ii)核酸フラグメント(a)の変異体であって、該変異体は核酸フラグメント(a)と同一の機能を有し、そして、該変異体は核酸フラグメント(a)に対して相補的な核酸と、40%ホルムアミド、5×SSPE、5×デンハルト液、および0.1%SDS中、37℃でのハイブリダイゼーション、その後の0.1×SSPE、および0.1%SDS中での50℃での洗浄の条件下でハイブリダイズする、変異体;
と作動可能に連結したレポーター遺伝子を含むベクターであって、ここで、該核酸フラグメントは、エストロゲン応用性の様式で、該レポーター遺伝子の発現を制御するように作動する、ベクター。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2006−25796(P2006−25796A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240508(P2005−240508)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【分割の表示】特願平8−501323の分割
【原出願日】平成7年6月7日(1995.6.7)
【出願人】(501188889)キュリス インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】