説明

待機電力低減多機能機器

【課題】多数の機能を備えた機器に於いて、それらの機能がそれぞれ直ちに作動を開始できるように、所定の回路については待機電流を流しておくことにより、全体として大きな待機電力を消費する問題を簡単な手法で解決する「待機電力低減多機能機器」とする。
【解決手段】多機能機器の使用中、使用した機能を曜日と時間帯に分けて、各機能毎に使用回数履歴として記憶し、電源をOFFする時、曜日と時間帯毎に使用回数の多い機能順に優先順位を付けたテーブルを作成し記憶しておく。機器の電源がONしたことを検出した時、優先順位を付けた機能使用履歴テーブルの中で、優先順位の高い所定個数の機能のみを選択し、その機能をスタンバイ状態にすると共に、他の機能はスタンバイ状態にしない。また、最も優先度の高い機能はレジューム作動に関わらず、優先してその機能を作動させる。作動履歴を記録する時には、所定時間以上作動したもののみ記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用ヘッドユニットのように多数の機能を備えた機器に於いて、それぞれの機能部がいつでも直ちに作動できるように待機状態になっていることにより、待機用の消費電力が大きくなる問題を解決することができるようにした待機電力低減多機能機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭用電気機器を初め、車両用の各種機器に於いては、機器自体の主電源をOFFしていても、例えばリモコンからの信号を受信する等のために、内部の回路を作動させておく必要があり、また、他の各種機能部においても同様に、待機電力を必要としているものが多い。
【0003】
特に車両用の機器においては、その電源としてほとんどの機器に於いて車両のバッテリを使用しており、このバッテリには容量に限りがあると共に、バッテリの電力残量が少なくなると電圧が低下し、各種機器が作動しなくなり、最終的にエンジンが始動できなくなることもある。
【0004】
車両には各種の機器が搭載されているが、その中でもオーディオ装置は車両にとって重要な機器であり、運転者は車に乗ると、ラジオやCD等、何らかのオーディオを楽しむことが多い。近年の各種オーディオ機器は小型化し、車両用のオーディオ機器の中心となるヘッドユニットには、種々の機能を備えるようになっている。
【0005】
このような多機能のヘッドユニットシステムの例を図4に示す。同図に示す車両用ヘッドユニットシステムの例においては、ヘッドユニット31に対して左右のスピーカ32を備え、主としてナビゲーション用画面を表示するモニタ33を接続すると共に、車両用バッテリ34を電源としている。なお、スピーカ32については、車内の音響効果を高めるため、車内の各部に更に多数のスピーカを配置していることが多い。
【0006】
このヘッドユニット31は多くの機能を行うことができ、図示の例では機能1から機能nまで、n個の機能を行う例を示している。その中の機能1ではAM・FMラジオ、機能2では衛星ラジオ、機能3ではCD・DVD、機能4ではメモリカードに記録したオーディオの再生等を可能としている。
【0007】
また、機能5では多数のスピーカのためのパワーアンプ、機能6ではヘッドユニット内に収められたナビゲーション機能を備え、モニタ33に地図表示等を行っている。更に機能7ではこのモニタ33を利用して出力するテレビ、機能8ではハンズフリー機能やインターネット接続のための携帯電話の接続、機能9では外部入力端子に接続されるCDやDVDのディスクチェンジャ、機能10ではオーディオ等で用いられるUSB機器の接続、そのほか更に例えばブルートゥース機能等の種々の機能はここで省略し、機能nでは携帯オーディオ機器の接続等を行う例を示している。
【0008】
なお、車載電源監視装置により車載バッテリの電源電圧を検出し、それにより電源電圧の基準電圧からの低下値のレードを判定して、その判定結果に対応して予め設定された警告メッセージを、携帯電話等で発信する技術は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−246246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年のヘッドユニットにおいては、このように多数の機能を行うことができるようにしているが、これらの機能は一部共通する回路も存在するが、多くの部分でそれぞれ独自の回路を備え、各々が外部から作動指示があった時直ちにその機能を行うことができるように、待機状態としており、そのためにわずかではあるが待機電力を消費している。
【0011】
このような待機電力はそれぞれはわずかであるものの、図示のように多数の機能が集まると、無視できない電力となり、特に前記のように車両に搭載した機器は電源を車両に搭載したバッテリに頼っているため、このバッテリの電力を消費すると他の機器の作動に影響を与える。
【0012】
また、このような多数の機能が直ちに立ち上がるようにするには、それぞれ特定の機能は常に待機状態にしておくため、それぞれの回路を作動状態にしているため、ヘッドユニットのCPUではそのための処理を行っており、これも機能数が多くなるとCPUにとって負担となる。そのため、各機能部が実際に作動を行う指示を受けた時、その作動開始が遅れてしまうこともある。
【0013】
したがって本発明は、多数の機能を備えた機器に於いて、それらの機能がそれぞれ直ちに作動を開始できるように、所定の回路については待機電流を流しておくことにより、全体として大きな待機電力を消費する問題を、簡単な手法により解決することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る待機電力低減多機能機器は、前記課題を解決するため、機器の電源のON・OFFを検出する機器電源ON・OFF検出手段と、機器内の複数の機能の内、作動する機能を選択する機器内機能作動選択手段と、前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源がONしたことを検出した時、機器内の複数の機能の内所定個数の機能を選択してスタンバイ作動を行い、他の機能はスタンバイを行わないようにするスタンバイ機能選択手段と、機器内の複数の機能の内、作動している機能を検出する機器内機能作動検出段と、前記機器内機能作動検出手段で作動している機能を検出した時、曜日と時間帯毎の作動機能毎の作動回数とからなる機能使用履歴テーブルに、現在の曜日と時間帯と作動機能に対応したデータを、更新してテーブルを作成する機能使用履歴テーブル作成手段と、前記機能使用履歴テーブル作成手段で作成したデータにより、各曜日と時間帯毎に、作動回数に応じて作動機能の優先順位を付与したテーブルを作成し記憶する優先順位付機能使用履歴テーブル作成記憶手段と、前記優先順位付機能使用履歴テーブルのデータを読み込む優先順付機能使用履歴テーブル読込手段とを備え、前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源がONしたことを検出した時、前記機器内スタンバイ機能選択手段では、前記優先順位付機能使用履歴テーブル読込手段で読み込んだ優先順位付機能使用履歴テーブルの中で、作動回数の多い優先順位の高い所定個数の機能を選択し、当該機能のみをスタンバイ状態にすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る他の待機電力低減多機能機器は、前記待機電力低減多機能機器において、前記機器内機能作動選択手段では、前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源をONしたことを検出した時、前記優先順位付機能使用履歴テーブル読込手段で読み込んだ機能の内、最も優先順位の高い機能を最初に作動する機能として選択することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る他の待機電力低減多機能機器は、前記待機電力低減多機能機器において、前記機器内機能作動選択手段では、前記機器電源ON・OFF検出手段で電源をOFFしたことを検出した時、最後に作動していた機能を記憶する最終作動機能記憶手段に記憶していた機能に関わらず、前記最も優先順位の高い機能を最初に作動する機能として選択することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る他の待機電力低減多機能機器は、前記待機電力低減多機能機器において、前記優先順位付機能使用テーブル作成記憶手段では、前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源をOFFしたことを検出した時、優先順位付機能使用履歴テーブルのデータを更新して作成し、記憶することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る他の待機電力低減多機能機器は、前記待機電力低減多機能機器において、前記機能使用履歴テーブル作成手段は、前記機器内機能作動検出手段で特定の機能の作動を検出した時、所定時間以上当該機能の作動を継続したことを検出した時、当該機能の履歴を記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記のように構成したので、多数の機能を備えた機器に於いて、それらの機能がそれぞれ直ちに作動を開始できるように、所定の回路については待機電流を流しておくことにより、全体として大きな待機電力を消費する問題を、簡単な手法により解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例の作動フロー図である。
【図3】本発明で使用する各種データ例を示す図である。
【図4】従来の複数機能機器としてのヘッドユニットのシステム例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0021】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明を実施する機能ブロック図であり、本発明を各種の態様で実施することができるようにした例を示している。したがって、本発明はこれらの機能ブロックの内任意のものを選択して、各種の態様で実施することができる。なお、図1における各機能部は、各機能を行う手段と言うこともできる。
【0022】
図1に示す例においては、本発明を車両搭載機器1としての、前記図4に示したヘッドユニットに適用した例を示しており、車両用電源2から機器電源9として電力を取り込んで作動する。また、この車両搭載機器1は利用者指示部3からの各種指示信号を、利用者指示取込部4で取り込んでいる。
【0023】
この利用者指示取込部4で取り込む指示信号は、この車両搭載機器に対する利用者の指示として、例えばオーディオ装置のボリュームや選曲指示等極めて多種のものが存在するが、特に本発明に関連して、この車両搭載機器の電源をON・OFFするための機器電源ON・OFF指示5と、この車両搭載機器が備えている多数の機能の内任意の機能の作動を指示する機器内機能作動指示6とを特に示している。
【0024】
その中の機器電源ON・OFF指示5で機器の電源をON或いはOFFにする指示は、機器電源9に対して出力し。それによりこの車両搭載機器の電源をON・OFF作動している。また、機器内機能作動指示6の信号は、機器内機能作動選択部11に出力し、この車両搭載機器としてのヘッドユニットが行っている各種の機能1〜nのうちのいずれを作動するかの、利用者による指示信号としている。
【0025】
最終作動機能記憶部7は通常の多機能機器が備えているレジューム機能としての、この機器の電源をOFFするときに最後に作動させていた機能を記憶しておくものであり、図示の例では機器電源9をOFFする信号を機器電源ON・OFF作動検出部10で検出し、この時作動させていた機能を機器内機能作動選択部11から取り込んで記憶している。
【0026】
この最終作動機能記憶部7に記憶していたデータは、次に機器電源ON・OFF作動検出部10で機器の電源がONになったことを検出した時、機器内機能作動選択部11がこの最終作動機能記憶部7のデータを読み込み、記憶していた機能を作動させることによりレジューム機能を行っている。但し本発明においては、後述するように優先順位付機能使用履歴テーブルにより、このようなレジューム機能を用いずに、最優先の機能を最初から作動させても良い。
【0027】
優先順位付機能使用履歴テーブル読込部8においては、後述するようにして作成された優先順位付機能使用履歴テーブル作成記憶部29で作成し、記憶している優先順位付機能使用履歴テーブルを、特に機器内機能スタンバイ選択部12が、スタンバイさせておく機能の選択に際して使用する。
【0028】
機器電源9は前記のように車両用電源2からこの機器の作動電源を取り込み、機器電源ON・OFF指示5から利用者のON・OFF指示により電源をON・OFFするが、そのほか、車両のキースイッチにおけるアクセサリスイッチのOFFによっても電源がOFFされる。
【0029】
このような機器電源9のON・OFFは機器電源ON・OFF作動検出部で検出され、それにより前記のように最終作動機器記憶部7が作動し、また、後述するように優先順位付機能使用履歴テーブル作成記憶部29がそのテーブルの作成、及び作成したデータの記憶を行う。
【0030】
機器内機能作動選択部11では、この車両搭載機器としてのヘッドユニットが備えている各種の機能について、前記のように利用者の指示により、その機能の内のいずれかを選択して作動させる。また、機器内機能スタンバイ選択部12では、機器内の機能をいつでも直ちに作動させるスタンバイの機能を、特定の機能を選択して作動指示する。
【0031】
特にこの機器内機能スタンバイ選択部12においては、従来はこの車両搭載機器としてのヘッドユニットに於いて、全ての機能部がスタンバイを行っていたものであるが、ここでは前記優先順位付機能使用履歴テーブル読込部8で読み込んだデータにより、優先順位付機能使用履歴データ作成記憶部29で作成され、記憶しているデータによって、その優先順位の内、予め定めた5個等の所定の数の機能について、スタンバイ状態にさせる。それにより、他の機能についてはスタンバイ状態とはせず、その機能はOFF状態としておく。
【0032】
前記機器内機能作動選択部11及び機器内スタンバイ機能選択部12は、図1の例においては機能1〜nとして例示した、この車両搭載機器としてのヘッドユニットに於いて作動する各機能の内の任意のものを選択して作動し、或いはスタンバイさせる。図示の例では前記図4と同様の機能を示しており、その中の機能1はAM・FMラジオ13、機能2は衛星ラジオ14、機能3はCD・DVD15、機能4はメモリカード16とし、このメモリカードに記録したオーディオの再生等を可能としている。
【0033】
また、機能5は多数のスピーカのためのパワーアンプ17、機能6はヘッドユニット内に収められたナビゲーション18の機能を備え、モニタに地図表示等を行っている。更に機能7はこのモニタを利用して出力するテレビ19、機能8はハンズフリー機能やインターネット接続のための携帯電話接続20、機能9は外部入力端子に接続されるCDやDVDのディスクチェンジャ21、機能10はオーディオ等で用いられるUSB機器接続22、そのほか更に例えばブルートゥース機能等の種々の機能はここで省略して示し、機能nは携帯オーディオ機器接続23、等の種々の機能を行う例を示している。
【0034】
機器内機能作動検出部24では、図示の例においては現在実際に作動している機能を検出するものであり、前記のように機器内機能作動選択部11で特定の機能の作動を指示した時、機器作動経過時間検出部26において、日時取込部25においてこの機器内の時計機能、或いは機器外の時計機能のデータを取り込み、作動を開始してからの経過時間を検出する。
【0035】
それにより機器内機能作動検出部24では、各機能の作動を開始して例えば1分等の所定の時間が経過した時、現在の機能の作動は利用者が意図する機能であると推測し、この機能を利用者の履歴データとして記憶する処理を行うものとする。それに対して、機能が実際に作動しても1分未満で他の機能に変えたような場合は、先に作動した機能は利用者の好みに合わなかった機能であると判断し、これを利用者が利用した機能の履歴には残さないようにする。
【0036】
但し、この機能は、後述するように機器内機能作動検出部24で検出した機能の作動データを、機能使用履歴テーブル作成部28で直接用いてテーブルを作成する時に必要とされ、他の態様として機能使用履歴データ蓄積部27に作動時間も含めて一旦蓄積し、その後に機能使用履歴テーブル作成部28で当該テーブルを作成する時には、その作動時間によって不適切なデータは、機能使用履歴テーブル作成には採用しないようにする際には、前記機能作動経過時間検出部26は不要となる。
【0037】
上記のように、機器内機能作動検出部24で、例えば1分等の所定時間以上作動したことを検出した時には、機能使用履歴デーブル作成部28で、図3(b)にテーブルの一部を例示するように、曜日毎、朝、昼、夕方、夜の時間帯別に、使用した機能部分にプラス1のカウントを行う。このカウントデータは少なくとも1週間を1単位とし、できる限りこのカウントデータを蓄積して、利用者の好みを確実に知ることができるようにする。
【0038】
本発明においては他の態様として前記のように機器内機能作動検出部24では、各機能が一時的にでも作動した時には全て例えば図3(a)に示すような機能使用履歴データに蓄積し、以降の各機能部ではこのデータを用いて各種テーブルを作成するようにすることもできる。
【0039】
この機能使用履歴データ蓄積部27に、図3(a)に示すように、データ番号、作動を行った年月日、曜日、作動時間、使用機能、更に必要に応じて種々のデータを蓄積し、所定時間を経過したもの、所定量以上のデータ等を順に削除する。このようなデータを蓄積することにより、本発明に於ける機器内スタンバイ機能選択部12の作動以外に、このヘッドユニットの他の各種機能に於いても、必要なデータを取り込んで整理し、利用者の好みのデータとして使用することもできる。
【0040】
機能使用履歴テーブル作成部28では、前記のように機器内機能作動検出部24で検出した、実際に利用者がその機能を利用したと推測できるデータにより、或いは機能使用履歴データ蓄積部27に蓄積されたデータを用いて実際に利用者が特定の機能を作動させたと推測される機能を、図3(b)に示すようなテーブルに順に加算する。
【0041】
優先順位付機能使用履歴テーブル作成部記憶29では、前記のようにして作成された機能使用履歴テーブル作成部28で作成されたテーブルを用い、例えば機器電源ON・OFF作動検出部10で機器の電源がOFFしたことを検出した時、その信号を入力して、図3(c)に示すような優先順位付機能使用履歴テーブルを作成し、これを記憶する。
【0042】
この優先順位付機能使用履歴テーブル作成記憶部29では、前記のように機能使用履歴テーブル作成部28で作成したテーブルを用いてそのテーブルを作成する以外に、図示の例では機能使用履歴データ蓄積部27のデータを直接用いて、所定のソフトウェアで演算することにより、同様のテーブルを作成することもできる。
【0043】
このようにして優先順位付機能使用履歴テーブルを、機器の電源をOFFした時に作成し、記憶しておくことにより、次にこの機器をONした時には直ちにこの優先順位付の機能使用履歴テーブルを読み込み、優先順位の高い例えば5個等の所定の個数の機能のみをスタンバイ状態にし、他の機能はOFFして、待機電流を流さないようにする。
【0044】
それにより、この機能を搭載した機器は、例えば通勤用車両、営業用車両等の用途に合わせて、また利用者の曜日毎の運転時の気分等によって、機器の使用態様がほぼパターン化していることを利用し、曜日や時間によってほぼ使わない機能がはっきりするので、そのような機能に対して待機電流を流し続けるのは無駄であり、本発明はこのような無駄を無くすことが可能となる。
【0045】
前記のような図1に示す機能ブロックから成る本発明においては、例えば図2に示すような作動フローにしたがって順に作動させることができる。図2に示す多機能機器待機電流低減処理の例においては、最初、機器本体の電源をONしたか否かの判別を行うことから開始している(ステップS1)。ここで未だこの機器の電源をONしていない時にはステップS1に戻ってこの作動を繰り返す。
【0046】
ステップS1において機器本体の電源をONしたと判別した時、即ち図1の機器電源ON・OFF作動検出部10で、利用者の指示により機器の電源をONしたことを検出した時には、図示の例ではステップS2に進んで、レジューム機能を行うか否かを判別している。
【0047】
即ち、通常の機器では機器の電源をONした時、記憶しておいた前回の最終利用機能を読み込み、直ちに作動を開始させるものであるが、本発明においては後述するように曜日毎に、且つ時間毎に利用者の好みの機能が記憶されているので、レジューム機能を用いない方が利用者の好みに合うと判断される時には、予めこの機器に初期設定しておくことにより、このレジューム機能を用いないようにすることができる。
【0048】
ステップS2において、レジューム機能を行うと判別した時には、直ちにステップS3に進み、前回の最終作動機能の作動を開始する。その後、前記ステップS2で、レジューム機能を用いないと判別した時と共にステップS4に進み、現在の曜日と時間を取り込む。その後優先順位付機能使用履歴テーブルから、現在の優先順位の例えば上位から5個等の所定個数を読み込む(ステップS5)。
【0049】
次いで、読み込んだ優先順位上位の所定数の機能のみをスタンバイ状態にし、他の機能はスタンバイ機能をOFFする(ステップS6)。図2に示す例ではその後読み込んだ第1優先順位の機能を機器の現在の作動機能として、その機能を選択して作動を開始する。
【0050】
本発明においては前記のように、この車両の利用者の曜日毎、時間帯毎の、例えばヘッドユニット使用の好みのデータを蓄積しているので、従来から用いられている、最後にこの機器を使用した時に電源をOFFした際に作動していた機能を記憶しているレジューム機能よりも、利用者にとって適切な機能と推測されるため、もしも前記ステップS2においてレジューム機能で作動を開始すると判別し、ステップS3で実際にレジューム機能で作動を開始しても、このステップS7において、第1優先順位の機能の作動を開始することができる。なお、前記ステップS2においてレジューム機能を用いないと判別した時は、ここでこの車両搭載機器は実際に作動することとなる。
【0051】
その後図2に示す例においては、ステップS8において、作動した機能を1分等の所定時間連続して作動させたか否かを判別している。この判別によって1分等の所定時間連続して作動していると判別した時には、ステップS9に進んで、機能使用履歴テーブルに作動した機能の履歴を記録する。
【0052】
この作動は、図1の機器内機能作動検出部24で、機能作動経過時間検出部26が経過時間を検出した結果、1分等の所定時間が経過した信号を出力した時、それにより機能使用履歴テーブル作成部が、現在の曜日と時間に対応した位置に、使用した機能の欄に対してデータを1追加することによって行う。
【0053】
前記ステップS8に於いて、作動した機能を1分等の所定時間作動させていなかったと判別した時、即ち前記レジューム機能により作動を開始した機能、或いはステップS7で読み込んだ第1優先順位の機能を作動させている時も、その後1分等の所定時間以内に他の機能に切り替えた時、或いはこの機器の作動自体をOFFした時のような場合は、ステップS9の作動を行うことなく、即ち履歴テーブルに記録することなく、ステップS10に進む。この判別により、実際に特定の機能の作動が開始された時でも、自分の好みのものではないと推測される場合には、この作動履歴を残さないようにすることができる。
【0054】
なお、このような短時間作動機能のデータは、例えば機能使用データ蓄積部27が存在し、ここに記録する時には、その短時間のデータを検索して、特定の曜日と時間帯には利用者が好まない機能としてデータを蓄積しておき、機器内スタンバイ機能選択部では、逆に優先的にスタンバイの機能を行わないようにすることもできる。
【0055】
ステップS10では前記ステップS9で機能使用履歴テーブルに作動した機能の履歴を記録した後、及びステップS9で作動した機能を1分等の所定時間作動させなかったと判別した時、並びに後述するステップS11で機器の電源をOFFしていないと判別した時と共に、利用者が他の機能の作動に切り替えたか否かを判別する。
【0056】
ここで他の機能に切り替えたと判別した時には、ステップS8に戻って、その切り替えた機能は1分等の所定時間連続して作動させたか否かを判別し、経過した時のみステップS9で機能使用履歴テーブルにデータを記録する作業を繰り返す。ステップS10で利用者が他の機能の作動に切り替えていないと判別した時には、前記のようにステップS10に戻って他の機能の作動に切り替えたかを判別し、前記作動を繰り返す。
【0057】
それに対してステップS10において、利用者が他の機能に切り替えていないと判別した時にはステップS11に進み、機器の電源をOFFしたか否かを判別し、未だOFFしていないと判別した時には前記のようにステップS10に戻って前記作動を繰り返す。また、ステップS11で機器の電源をOFFしたと判別した時には、ステップS12に進んでレジューム機能のため、図1の最終作動機能記憶部7に、最後に作動していた機能を記録する。
【0058】
図2の例においては、その後優先順位付機能使用履歴テーブルを更新して記録する。それにより、この機器の作動を終了した時に最新の優先順位付機能使用履歴テーブルを作成しているので、例えば機器の作動開始時にそのようなデータを作成して前記作動を開始するよりも短時間でその時の曜日と時間帯に適した第1順位の機能の作動を自動的に行うことができ、更にほとんど使うことの無い機能をスタンバイ状態にして無駄の待機電力を消費することが無くなる。図2の例では、その後ステップS1に戻って、前記作動を繰り返す。
【0059】
なお、前記の実施例では、機器の電源をONしたときのみ前記スタンバイ機能の選択を行う例を示したが、この機器が電源をOFFしている時でも、例えばこの機器を搭載した車両のアクセサリスイッチをONした時には各種機能部でスタンバイ状態になる場合は、機器がOFFしている時でも、現在の曜日と時間帯に合わせてスタンバイを行う機能を選択することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両搭載機器
2 車両用電源
3 利用者指示部
4 利用者指示取込部
5 機器電源ON・OFF指示
6 機器内機能作動指示
7 最終作動機能記憶部
8 優先順位付機能使用履歴テーブル読込部
9 機器電源
10 機器電源ON・OFF作動検出部
11 機器内機能作動選択部
12 機器内スタンバイ機能選択部
13 機能1(AM・FMラジオ)
14 機能2(衛星ラジオ)
15 機能3(CD・DVD)
16 機能4(メモリカード)
17 機能5(パワーアンプ)
18 機能6(ナビゲーション)
19 機能7(テレビ)
20 機能8(携帯電話接続)
21 機能9(ディスクチェンジャ接続)
22 機能10(USB機器接続)
23 機能n(携帯オーディオ機器接続)
24 機器内機能作動検出部
25 日時取込部
26 機能作動経過時間検出部
27 機能使用履歴データ蓄積部
28 機能使用履歴テーブル作成部
29 優先順位付機能使用履歴テーブル作成記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の電源のON・OFFを検出する機器電源ON・OFF検出手段と、
機器内の複数の機能の内、作動する機能を選択する機器内機能作動選択手段と、
前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源がONしたことを検出した時、機器内の複数の機能の内所定個数の機能を選択してスタンバイ作動を行い、他の機能はスタンバイを行わないようにするスタンバイ機能選択手段と、
機器内の複数の機能の内、作動している機能を検出する機器内機能作動検出段と、
前記機器内機能作動検出手段で作動している機能を検出した時、曜日と時間帯毎の作動機能毎作動回数とからなる機能使用履歴テーブルに、現在の曜日と時間帯と作動機能に対応したデータを、更新してテーブルを作成する機能使用履歴テーブル作成手段と、
前記機能使用履歴テーブル作成手段で作成したデータにより、各曜日と時間帯毎に、作動回数に応じて作動機能の優先順位を付与したテーブルを作成し記憶する優先順位付機能使用履歴テーブル作成記憶手段と、
前記優先順位付機能使用履歴テーブルのデータを読み込む優先順付機能使用履歴テーブル読込手段とを備え、
前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源がONしたことを検出した時、前記機器内スタンバイ機能選択手段では、前記優先順位付機能使用履歴テーブル読込手段で読み込んだ優先順位付機能使用履歴テーブルの中で、作動回数の多い優先順位の高い所定個数の機能を選択し、当該機能のみをスタンバイ状態にすることを特徴とする待機電力低減多機能機器。
【請求項2】
前記機器内機能作動選択手段では、前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源をONしたことを検出した時、前記優先順位付機能使用履歴テーブル読込手段で読み込んだ機能の内、最も優先順位の高い機能を最初に作動する機能として選択することを特徴とする請求項1記載の待機電力低減多機能機器。
【請求項3】
前記機器内機能作動選択手段では、前記機器電源ON・OFF検出手段で電源をOFFしたことを検出した時、最後に作動していた機能を記憶する最終作動機能記憶手段に記憶していた機能に関わらず、前記最も優先順位の高い機能を最初に作動する機能として選択することを特徴とする請求項2記載の待機電力低減多機能機器。
【請求項4】
前記優先順位付機能使用テーブル作成記憶手段では、前記機器電源ON・OFF検出手段で機器の電源をOFFしたことを検出した時、優先順位付機能使用履歴テーブルのデータを更新して作成し、記憶することを特徴とする請求項1記載の待機電力低減多機能機器。
【請求項5】
前記機能使用履歴テーブル作成手段は、前記機器内機能作動検出手段で特定の機能の作動を検出した時、所定時間以上当該機能の作動を継続したことを検出した時に、当該機能の履歴を記録することを特徴とする請求項1記載の待機電力低減多機能機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−63688(P2013−63688A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202661(P2011−202661)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)